以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用したポンプ健全性評価システム1の概念的な構成を表している。
図1に示されるように、ポンプ健全性評価システム1は、原子力プラント内のポンプの健全性を評価するポンプ健全性評価装置2、原子力プラントの建屋に設置された建屋設置地震計3、および、原子力プラント内のポンプに設置されたポンプ設置振動計4により構成されている。
ポンプ健全性評価装置2は、振動データ送信開始・終了要求生成装置11、データ送受信装置12、ポンプ健全性評価計算装置13、記憶装置14、表示装置15、ポンプ振動データベース16、およびポンプグルーピングリスト17により構成されている。
振動データ送信開始・終了要求生成装置11は、ポンプ設置振動計4にポンプの振動データの送信開始の要求をする振動データ送信開始要求と、ポンプ設置振動計4にポンプの振動データの送信終了の要求をする振動データ送信終了要求を生成し、データ送受信装置12に供給する。
データ送受信装置12は、振動データ送信開始・終了要求生成装置11から供給された振動データ送信開始要求と振動データ送信終了要求を取得し、取得された振動データ送信開始要求と振動データ送信終了要求を有線ケーブル(電気ケーブル)あるいは無線(放送電波など)を介してポンプ設置振動計4に送信する。また、データ送受信装置12は、ポンプ設置振動計4から供給されたポンプの振動データを有線ケーブルあるいは無線を介して受信し、受信されたポンプの振動データをポンプ健全性評価計算装置13と記憶装置14に供給する。さらに、データ送受信装置12は、建屋設置地震計3から地震波の感知が開始された旨の通知と、地震波の感知が終了された旨の通知を有線ケーブルあるいは無線を介して受信する。
ポンプ健全性評価計算装置13は、ポンプ振動データベース16に管理されているデータベースとポンプグルーピングリスト17に管理されているグルーピングリストを参照して、データ送受信装置12から供給されたポンプの振動データに基づいて、原子力プラント内のポンプの健全性を評価し、その健全性評価結果を記憶装置14と表示装置15に供給する。
記憶装置14は、データ送受信装置12から供給されたポンプの振動データを取得し、取得されたポンプの振動データを記憶する。また、記憶装置14は、ポンプ健全性評価計算装置13から供給されたポンプの健全性評価結果を記憶する。
表示装置15は、図示せぬLCD(Liquid Crystal Display)や図示せぬCRT(Cathode Ray Tube)などが設けられており、ポンプ健全性評価計算装置13から供給されたポンプの健全性評価結果を取得し、適宜、取得されたポンプ健全性の評価結果を表示する。
ポンプ振動データベース16には、原子力プラント内の全てのポンプ名、健全なポンプに許容される、振動による最大加速度の振幅値である許容最大加速度振幅値、および原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプの属性などが対応付けて登録されている。なお、ここで用いられている「原子力プラント内において安全に係るポンプ」とは、原子力プラント内のポンプのうち、原子力プラントの安全上重要であり、地震発生後においてとりわけ重点的に点検すべきポンプを意味している。以下、同様に用いる。
ポンプグルーピングリスト17には、ポンプ設置振動計4が設置されたポンプをグループ化したグルーピングリストが対応付けて予め登録されており、例えば、ポンプのタイプ、ポンプに設けられている軸受のタイプ、ポンプに接続されている電動機の型式、およびポンプの据付サイズなどに基づいてグループ化された複数のグルーピングリストが予め登録されている。
建屋設置地震計3は、原子力プラントの原子炉建屋に設けられ、有線ケーブル(電気ケーブル)あるいは無線(放送電波など)を介してポンプ健全性評価装置2に接続されている。建屋設置地震計3は、地震により発生する地震波(例えば、P波)を感知し、感知された地震による地震動を計測するセンサ(図示せず)と、それらを記録する計測システムにより構成される。建屋設置地震計3は、地震により発生する地震波を感知すると、ポンプ健全性評価装置2に地震波の感知が開始された旨の通知をするとともに、地震がおさまると、ポンプ健全性評価装置2に地震波の感知が終了された旨の通知をする。
ポンプ設置振動計4は、原子力プラント内の各ポンプに設けられ、有線ケーブル(電気ケーブル)あるいは無線(放送電波など)を介してポンプ健全性評価装置2に接続されており、ポンプ設置振動計4が設置されているポンプの振動を計測し、計測されたポンプの振動データを記憶するとともに、有線ケーブルあるいは無線を介してポンプ健全性評価装置2に供給する。
図2は、原子力プラント内の原子炉建屋に設置されたポンプと、本発明を適用したポンプ健全性評価システム1の接続図を示している。
図2に示されるように、原子力プラント内の原子炉建屋21には複数のポンプ22−1乃至22−6が設置されており、例えば6つのポンプ22−1乃至22−6には、それぞれ、ポンプの振動を計測するポンプ振動計4−1乃至4−6(図示せず)が設置されている。ポンプ22−1乃至22−6に設置されたポンプ設置振動計4−1乃至4−6は、有線ケーブル(電気ケーブル)あるいは無線(放送電波など)を介してポンプ健全性評価装置2に接続されている。
図2の例の場合、説明を簡略化するために、原子力プラント内の原子炉建屋21に6つのポンプ(ポンプ22−1乃至ポンプ22−6)が設置されるようにしたが、その数は6つの場合に限定されない。また、ポンプ設置振動計4−1乃至4−6は、以下において、それぞれを個々に区別する必要がない場合、ポンプ設置振動計4と総称し、ポンプ22−1乃至22−6は、以下において、それぞれを個々に区別する必要がない場合、ポンプ22と総称する。
図3は、ポンプ設置振動計4をポンプ22に設置した場合の断面の構成を表している。
図3に示されるように、ポンプ22は、ポンプ本体23と、ポンプ本体23に機械エネルギーを供給する電動機24により構成される。ポンプ本体23は、電動機24から供給された機械エネルギーを例えば、冷却水の圧力・運動エネルギーに変換し、冷却水を加圧して所定の系統に供給する。電動機24は、ポンプ本体23に部材を介して機械的に接続されており、電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、変換された機械エネルギーをポンプ本体23に供給する。
図3の場合、ポンプ設置振動計4は、設置場所の一例として、ポンプ本体23の軸受部の上部に設置されている。これにより、ポンプ本体23の軸受部が地震によって破損したとき、地震による破損に伴うポンプ本体23の振動の増加を計測することができる。なお、図3の例の場合、ポンプ本体23の軸受部の上部にポンプ設置振動計4を設置するようにしたが、ポンプ22の振動を計測することさえできればよく、例えば、ポンプ22のタイプ(例えば、横軸タイプや縦軸タイプなど)によりポンプ設置振動計4の設置位置を変更するようにしてもよい。具体的には、評価対象であるポンプ22が縦軸タイプのポンプである場合、地震発生時の応答が大きくなるポンプ上端部または下端部にポンプ設置振動計4を設置するようにしてもよい。
図4は、図1のポンプ設置振動計4の内部の詳細な構成を表している。
図4に示されるように、ポンプ設置振動計4は、振動計送受信部31、通常時用振動計記憶装置32、地震発生時用振動計記憶装置33、センサ部34、蓄電池35、および主電池36により構成されている。
振動計送受信部31は、ポンプ健全性評価装置2から有線ケーブル(電気ケーブル)あるいは無線(放送電波など)を介して振動データ送信開始要求と振動データ送信終了要求を受信する。また、振動計送受信部31は、通常時用振動計記憶装置32から供給された通常時のポンプ22の振動データを有線ケーブルあるいは無線を介してポンプ健全性評価装置2に送信するとともに、センサ部34から供給された地震発生時のリアルタイムのポンプ22の振動データを有線ケーブルあるいは無線を介してポンプ健全性評価装置2に送信する。
通常時用振動計記憶装置32は、地震が発生していない通常時においてセンサ部34から供給されたポンプ22の振動データを常時取得し、取得された通常時のポンプ22の振動データを記憶するとともに、必要に応じて、通常時用振動計記憶装置32に記憶されている通常時のポンプ22の振動データを振動計送受信部31に供給する。地震発生時用振動計記憶装置33は、地震が発生している地震発生時においてセンサ部34から供給された地震発生時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生時のポンプ22の振動データを記憶する。
ここで、図5を参照して、「通常時」と「地震発生時」の意味について定義する。図5に示されるように、例えば、原子力プラント内において時刻t1に地震の発生が開始し、時刻t2に地震の発生が終了した場合、地震の発生が開始した時刻t1と地震の発生が終了した時刻t2を境にして、「地震発生前」、「地震発生中」、および「地震発生後」と区分することができる。そうすると、例えば、発生した地震を基準にして、「地震発生前」と「地震発生後」の区分を地震が発生していない「通常時」(「地震発生前通常時」と「地震発生後通常時」)として定義し、「地震発生中」の区分を地震が発生している「地震発生時」として定義することもできる。
しかし、ポンプ健全性評価装置2におけるポンプ健全性評価処理計算(図8のフローチャートを参照して後述する)の際に、地震発生中のポンプ22の振動データだけでなく、地震発生後所定の時間経過するまでのポンプ22の振動データも用いられる場合がある。そこで、便宜上、地震が発生する前から地震の発生が開始した時刻t1まで時間を「地震発生前通常時」と定義し、地震の発生が開始した時刻t1から地震の発生が終了した時刻t2後所定の時間経過した時刻t3までの時間を「地震発生時」と定義し、地震の発生が終了した時刻t2後所定の時間経過した時刻t3以降の時間を「地震発生後通常時」と定義する。付言すれば、地震発生時用振動計記憶装置33には、地震発生中と地震発生後所定の時間が経過するまでのポンプ22の振動データが地震発生時の振動データとして記憶されている。以下、同様に用いる。但し、地震の発生が終了した時刻t2後所定の時間経過した時刻t3以降において、次の地震が発生した場合、次の地震が基準となり、時刻t3から次の地震の発生開始時刻までの時間が次の地震における「地震発生前通常時」となる。
なお、勿論、上述したように、「地震発生前」と「地震発生後」の区分を地震が発生していない「通常時」(「地震発生前通常時」と「地震発生後通常時」)として定義し、「地震発生中」の区分を地震が発生している「地震発生時」として定義するようにしてもよい。
センサ部34は、ポンプ設置振動計4が設置されているポンプ22の振動を計測し、計測されたポンプ22の振動データを振動計送受信部31と、通常時用振動計記憶装置32または地震発生時用振動計記憶装置33に供給する。センサ部34から供給されるポンプ22の振動データには、例えば、ポンプ22の振動による変位に関するデータである変位データ、変位を1回微分した値の速度に関するデータである速度データ、速度を1回微分した値の加速度に関するデータである加速度データなどが含まれている。
蓄電池35は、ポンプ設置振動計4の内部に設けられ、ポンプ設置振動計4の外部に設けられた光電池41からの電力供給により常時充電されており、地震が発生していない地震発生前通常時と地震発生後通常時においてポンプ設置振動計4の各部に電力を供給する。この光電池41は、原子力プラント内においてポンプ22が設置されている区画に設けられた照明により常時発電されており、蓄電池35に対して電気ケーブルなどを介して充電を行っている。
主電池36は、ポンプ設置振動計4の内部に設けられた大容量の電池であり、より多くの電力を必要とする地震発生時においてポンプ設置振動計4の各部に電力を供給する。
図4の例の場合、光電池41を用いて蓄電池35の充電を行うようにしているが、例えば、図6に示されるように、ポンプ22に備えられたポンプ電源42を用いて蓄電池35の充電を行うようにしてもよい。但し、本実施形態のポンプ健全性評価システム1においては、図4のポンプ設置振動計4を用いるものとする。
次に、図7のフローチャートを参照して、ポンプ健全性評価装置2でポンプ22の健全性を評価する処理を行い、ポンプ設置振動計4で振動データをポンプ健全性評価装置2に送信する処理について概略的に説明する。なお、各装置の処理の詳細については、後述する。
ステップS1において、ポンプ健全性評価装置2は、ポンプ設置振動計4に振動データの送信開始を要求する振動データ送信開始要求を生成し、ポンプ設置振動計4に有線ケーブル(電気ケーブル)あるいは無線(放送電波など)を介して送信する。
ステップS11において振動データ送信開始要求を受信したポンプ設置振動計4は、ステップS12で、ポンプ設置振動計4に記憶されている地震発生前のポンプ22の振動データをポンプ健全性評価装置2に有線ケーブルあるいは無線を介して送信する。ステップS2において、ポンプ健全性評価装置2は、ポンプ設置振動計4から有線ケーブルあるいは無線を介して地震発生前通常時のポンプ22の振動データを受信する。
また、ステップS13において、ポンプ設置振動計4は、ポンプ設置振動計4が設置されている地震発生時のポンプ22の振動を計測し、計測された地震発生時のポンプ22の振動データを有線ケーブルあるいは無線を介してポンプ健全性評価装置2にリアルタイムに送信する。
ステップS3において、ポンプ健全性評価装置2は、ポンプ設置振動計4から有線ケーブルあるいは無線を介して地震発生時のポンプ22の振動データをリアルタイムに受信する。
ステップS4において、ポンプ健全性評価装置2は、ポンプ設置振動計4に振動データの送信終了を要求する振動データ送信終了要求を生成し、ポンプ設置振動計4に有線ケーブルあるいは無線を介して送信する。ステップS14において振動データ送信終了要求を受信したポンプ設置振動計4は、ステップS15で、地震発生時のポンプ22の振動データのポンプ健全性評価装置2への送信を終了する。
ステップS5において、ポンプ健全性評価装置2は、ポンプ振動データベース16に管理されているデータベースを読み出し、読み出されたポンプ振動データベース16に管理されているデータベースを参照して、受信されたポンプ22の振動データに基づいて健全性評価処理を行う。
ステップS6において、ポンプ健全性評価装置2は、健全性評価処理による健全性評価結果である健全性評価データを記憶する。ステップS7において、ポンプ健全性評価装置2は、記憶されている健全性評価データに基づいて健全性評価結果を表示する。ステップS8において、ポンプ健全性評価装置2は、記憶されているポンプ22の振動データを読み出すとともに、ポンプグルーピングリスト17に管理されているグルーピングリストを読み出し、読み出されたポンプグルーピングリスト17に管理されているグルーピングリストを参照して、読み出されたポンプ22のデータに基づいて、原子力プラント内の複数のポンプ22の点検順位を計算する。
ステップS9において、ポンプ健全性評価装置2は、点検順位の計算結果を表示する。
以下、図7のフローチャートを参照して説明した処理の詳細について、装置(ポンプ健全性評価装置2とポンプ設置振動計4)ごとに説明する。
図8のフローチャートを参照して、図1のポンプ健全性評価装置2におけるポンプ健全性評価計算処理について説明する。
ステップS21において、ポンプ健全性評価装置2は、振動データ受信処理を実行する。この振動データ受信処理の詳細は、図9のフローチャートに示されている。
図9のフローチャートを参照して、図1のポンプ健全性評価装置2における振動データ受信処理について説明する。
ステップS31において、データ送受信装置12は、建屋設置地震計3から地震波の感知が開始された旨の通知を有線ケーブルあるいは無線を介して受信した否かを判定し、建屋設置地震計3から地震波の感知が開始された旨の通知を受信したと判定されるまで待機する。
ステップS31において建屋設置地震計3から地震波の感知が開始された旨の通知を受信したと判定された場合、振動データ送信開始・終了要求生成装置11はステップS32で、データ送受信装置12の指示に従い、ポンプ設置振動計4にポンプ22の振動データの送信開始を要求する振動データ送信開始要求を生成し、データ送受信装置12に供給する。
ステップS33において、データ送受信装置12は、振動データ送信開始・終了要求生成装置12から供給された振動データ送信開始要求を取得し、取得された振動データ送信開始要求をポンプ設置振動計4に有線ケーブルあるいは無線を介して送信する。
ステップS34において、データ送受信装置12は、ポンプ設置振動計4から地震発生前通常時のポンプ22の振動データを有線ケーブルあるいは無線を介して受信するとともに、ポンプ設置振動計4から有線ケーブルあるいは無線を介して地震発生時のポンプ22の振動データのリアルタイムな受信を開始する。
ステップS35において、データ送受信装置12は、建屋設置地震計3から地震波の感知が終了された旨の通知が有線ケーブルあるいは無線を介して受信された否かを判定し、建屋設置地震計3から地震波の感知が終了された旨の通知が受信されたと判定されるまで待機する。
ステップS35において建屋設置地震計3から地震波の感知が終了された旨の通知が受信されたと判定された場合、データ送受信装置12はステップS36で、地震波の感知が終了された旨の通知が受信された後、予め設定された所定の時間が経過したか否かを判定し、地震波の感知が終了された旨の通知が受信された後、予め設定された所定の時間が経過したと判定されるまで待機する。
ステップS36において地震波の感知が終了された旨の通知が受信された後、予め設定された所定の時間が経過したと判定された場合、振動データ送信開始・終了要求生成装置11はステップS37で、データ送受信装置12の指示に従い、ポンプ設置振動計4にポンプ22の振動データの送信終了を要求する振動データ送信終了要求を生成し、データ送受信装置12に供給する。
このように、地震波の感知が終了された旨の通知が受信された後、予め設定された所定の時間が経過するまで、ポンプ設置振動計4からポンプ22の振動データをリアルタイムで受信することができる。
ステップS38において、データ送受信装置12は、振動データ送信開始・終了要求生成装置11から供給された振動データ終了要求を取得し、取得された振動データ終了要求を有線ケーブルあるいは無線を介してポンプ設置振動計4に送信する。
ステップS39において、データ送受信装置12は、ポンプ設置振動計4からのポンプ22の振動データの受信を終了する。ステップS40において、データ送受信装置12は、有線ケーブルあるいは無線を介してポンプ設置振動計4から受信されたポンプ22の振動データ(すなわち、地震発生前通常時と地震発生時のポンプ22の振動データ)を記憶装置14に供給する。
ステップS41において、記憶装置14は、データ送受信装置12から供給されたポンプ22の振動データを取得し、取得されたポンプ22の振動データを記憶する。
次に、図10のフローチャートを参照して、図9のフローチャートを参照して説明した図1のポンプ健全性評価装置2における振動データ受信処理に対応する、図1のポンプ設置振動計4における振動データ送信処理について説明する。この振動データ送信処理が開始される前に、地震発生前通常時のポンプ22の振動データが、予め通常時用振動計記憶装置32に記憶されている。
ステップS51において、振動計送受信部31は、ポンプ健全性評価装置2から振動データ送信開始要求を有線ケーブルあるいは無線を介して受信したか否かを判定し、ポンプ健全性評価装置2から振動データ送信開始要求を受信したと判定されるまで待機する。
ステップS51においてポンプ健全性評価装置2から振動データ送信開始要求を受信したと判定された場合、通常時用振動計記憶装置32はステップS52で、振動計送受信部31の指示に従い、通常時用振動計記憶装置32に記憶されている地震発生前通常時のポンプ22の振動データを振動計送受信部31に供給する。振動計送受信部31は、通常時用振動計記憶装置32から供給された地震発生前通常時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生前通常時のポンプ22の振動データを有線ケーブルあるいは無線を介してポンプ健全性評価装置2に送信する。
ステップS53において、蓄電池35は、ポンプ設置振動計4の各部への電力の供給を停止する。ステップS54において、主電池36は、蓄電池35に代わり、ポンプ設置振動計4の各部への電力の供給を開始する。
ステップS55において、センサ部34は、地震発生時のポンプ22の振動を計測し、計測された地震発生時のポンプ22の振動データを振動計送受信部31と地震発生時用振動計記憶装置33に供給する。
ステップS56において、振動計送受信部31は、センサ部34から供給された地震発生時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生時のポンプ22の振動データを有線ケーブルあるいは無線を介してポンプ健全性評価装置2にリアルタイムに送信する。
ステップS57において、地震発生時用振動計記憶装置33は、センサ部34から供給された地震発生時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生時のポンプ22の振動データを記憶する。
ステップS58において、振動計送受信部31は、ポンプ健全性評価装置2から有線ケーブルあるいは無線を介して振動データ送信終了要求を受信したか否かを判定する。
ステップS58において振動データ送信終了要求を受信していないと判定された場合、処理はステップS55に戻り、ステップS55以降の処理が繰り返される。すなわち、振動計送受信部31において振動データ送信終了要求を受信するまで、センサ部34により地震発生時のポンプ22の振動が計測され、計測された地震発生時のポンプ22の振動データがリアルタイムで有線ケーブルあるいは無線を介してポンプ健全性評価装置2に送信される。
ステップS58において振動データ送信終了要求を受信したと判定された場合、センサ部34はステップS59で、計測された地震発生時のポンプ22の振動データの振動計送受信部31への供給を終了するとともに、振動計送受信部31は、地震発生時のポンプの振動データのポンプ健全性評価装置2への送信を終了する。
ステップS60において、主電池36は、ポンプ設置振動計4の各部への電力の供給を停止する。ステップS61において、蓄電池35は、ポンプ設置振動計4の各部への電力の供給を開始する。その後、振動データ送信処理は終了するとともに、次の地震が発生するまでの地震発生後通常時のポンプ22の振動データが、通常時用振動計記憶装置32に逐次記憶される。
このように、本発明の実施形態に示されたポンプ健全性評価システム1のポンプ設置振動計4においては、より多くの電力を必要とする地震発生時のポンプ22の振動データの送信処理および記憶処理を行う場合、電力の供給を蓄電池35から大容量の主電池36に切り替えるようにしたので、ポンプ22に設置されたポンプ設置振動計22のメンテナンスなどの間隔を長くすることができる。これにより、地震発生後における原子力プラント内のポンプの健全性を評価する場合にかかるユーザの負担や費用を低減することができる。
図8に戻り、ステップS22においてポンプ健全性評価装置2は、健全性評価処理を実行する。この健全性評価処理の詳細は、図11のフローチャートに示されている。
図11のフローチャートを参照して、図1のポンプ健全性評価装置2における健全性評価処理について説明する。
ステップS71において、ポンプ健全性評価計算装置13は、記憶装置14に記憶されているポンプ22の振動データを読み出す。ここで、読み出されたポンプ22の振動データには、例えば、図12に示されるような加速度データなどが含まれている。
図12に示されるように、地震発生時におけるポンプ22の振動による加速度の振幅値は、地震発生前通常時におけるポンプ22の振動による加速度の振幅値よりも大きくなっており、また、地震発生時のうち地震発生後所定の時間においても、地震発生前通常時におけるポンプ22の振動による加速度の振幅値よりも多少大きくなっている。これは、地震による局所的な振動に伴い、地震発生後においてポンプ22に何らかの異常が生じている可能性があることを示している。なお、一般的に、原子力プラント内に起きる地震が大きいほど、地震発生時におけるポンプ22の振動による加速度の振幅値は大きくなり、地震発生後においてポンプ22に何らかの異常が生じる可能性が高くなる。
ステップS72において、ポンプ健全性評価計算装置13は、ポンプ振動データベース16に管理されているデータベースを読み出す。
図13は、ポンプ振動データベース16に管理されているデータベースの例を表している。
図13のポンプ振動データベース16の第1列目乃至第3列目には、「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、および「ポンプの属性」が対応付けて記述されており、それぞれ、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値、および予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報を示している。
ポンプ振動データベース16の第1行目の場合、「ポンプ名」は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「5」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「5」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係るもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係るもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係るポンプであることを示している。
ポンプ振動データベース16の第2行目の場合、「ポンプ名」は「X2」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X2」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「4」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「4」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係らないもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係らないもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係らないポンプであることを示している。
ポンプ振動データベース16の第3行目乃至第n行目についても同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS73において、ポンプ健全性評価計算装置13は、読み出されたポンプ振動データベース16に管理されているデータベースを参照して、読み出されたポンプ22の振動データに基づいて、現在健全性評価対象となっているポンプ22の許容最大加速度振幅値よりも大きいか否かを判定する。すなわち、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値である計測最大加速度振幅値が、現在健全性評価対象となっているポンプ22の許容最大加速度振幅値よりも大きいか否かを判定する。
例えば、図13の第1行目のポンプ名「X1」のポンプが現在健全性評価対象となっている場合、「許容最大加速度振幅値」が「5」であることから、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値である計測最大加速度振幅値が「10」であるとき、ポンプ22の許容最大加速度振幅値よりも大きいと判定される。
ステップS73においてポンプ22の許容最大加速度振幅値よりも大きいと判定された場合、ポンプ健全性評価計算装置13はステップS74で、読み出されたポンプ振動データベース16に管理されているデータベースを参照して、読み出されたポンプ22の振動データに基づいて、現在健全性評価対象となっているポンプ22が原子力プラント内において安全に係るものか否かを判定する。
例えば、図13の第1行目のポンプ名「X1」のポンプが現在健全性評価対象である場合、「ポンプの属性」は「安全に係るもの」であり、現在健全性評価対象となっているポンプ22が原子力プラント内において安全に係るものであると判定される。すなわち、図11のステップS73の判定処理により地震発生後において健全ではないと判定された現在健全性評価対象となっているポンプ22が、原子力プラントの安全上重要であり、地震発生後においてとりわけ重点的に点検すべきポンプであると判定される。
ステップS74において現在健全性評価対象となっているポンプ22が原子力プラント内において安全に係るものであると判定された場合、ポンプ健全性評価計算装置13はステップS75で、現在健全性評価対象となっているポンプ22が地震発生後において健全ではないと評価する。ステップS76において、ポンプ健全性評価計算装置13は、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させることを示す表示属性情報を生成する。この表示属性情報が生成されたポンプ22は、その後の処理において表示装置15に表示される。
ステップS77において、ポンプ健全性評価計算装置13は、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果のデータである健全性評価データを生成する。具体的には、図13の第1行目のポンプ名「X1」のポンプが現在健全性評価対象となっている場合、現在健全性評価対象となっているポンプ22において計測された最大加速度の振幅値である計測最大加速度振幅値が「10」であるとき、図14のテーブルに示されるような健全性評価データが生成される。
図14は、生成された健全性評価データにおけるポンプ名、許容最大加速度振幅値、ポンプの属性、計測最大加速度振幅値、ポンプの健全性、および表示・非表示属性情報との対応関係を表している。なお、図14の第1列目乃至第3列目の「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、および「ポンプの属性」は、図13のポンプ振動データベース16の第1列目乃至第3列目の「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、および「ポンプの属性」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図14のテーブルの第4列目乃至第6列目には、「計測最大加速度振幅値」、「ポンプの健全性」、および「表示・非表示属性情報」が記載されており、それぞれ、現在健全性評価対象となっているポンプ22において計測された最大加速度の振幅値、ポンプ22が地震発生後において健全であるか否かを示す情報、および、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させるか否かを示す情報を示している。
図14のテーブルの第1行目の場合、「ポンプ名」は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「5」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「5」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係るもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係るもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係るポンプであることを示している。「計測最大加速度振幅値」が「10」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「10」であることを示している。「ポンプの健全性」は「健全ではない」であり、ポンプ22が地震発生後において健全であるか否かを示す情報が「健全ではない」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22が地震発生後において健全ではないこと)を示している。「表示・非表示属性情報」は「表示」であり、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させるか否かを示す情報が「表示」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果が表示装置15に表示されること)を示している。
ステップS74において現在健全性評価対象となっているポンプ22が原子力プラント内において安全に係るものであると判定された場合(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22が原子力プラント内において安全に係らないものであると判定された場合)、ポンプ健全性評価計算装置13はステップS78で、現在健全性評価対象となっているポンプ22が地震発生後において健全であると評価する。ステップS79において、ポンプ健全性評価計算装置13は、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させないことを示す非表示属性情報を生成する。この非表示属性情報が生成されたポンプ22は、その後の処理において表示装置15に表示されない。
その後、処理はステップS77に進み、ポンプ健全性評価計算装置13は、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果のデータである健全性評価データを生成する。
具体的には、図13の第2行目のポンプ名「X2」のポンプが現在健全性評価対象となっている場合、現在健全性評価対象となっているポンプ22において計測された最大加速度の振幅値である計測最大加速度振幅値が「7」であるとき、図15のテーブルに示されるような健全性評価データが生成される。
図15は、生成された健全性評価データにおけるポンプ名、許容最大加速度振幅値、ポンプの属性、計測最大加速度振幅値、ポンプの健全性、および表示・非表示属性情報との対応関係を表している。なお、図15のテーブルの第1列目乃至第6列目の「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、「ポンプの属性」、「計測最大加速度振幅値」、「ポンプの健全性」、および「表示・非表示属性」は、図14のテーブルの第1列目乃至第6列目の「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、「ポンプの属性」、「計測最大加速度振幅値」、「ポンプの健全性」、および「表示・非表示属性」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図15のテーブルの第1行目の場合、「ポンプ名」は「X2」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X2」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「4」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「4」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係らないもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係らないもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係らないポンプであることを示している。「計測最大加速度振幅値」が「7」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「7」であることを示している。「ポンプの健全性」は「健全である」であり、ポンプ22が地震発生後において健全であるか否かを示す情報が「健全である」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22が地震発生後において健全であること)を示している。「表示・非表示属性情報」は「非表示」であり、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させるか否かを示す情報が「非表示」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果が表示装置15に表示されないこと)を示している。
このように、たとえ図11のステップS73の判定処理によりポンプの許容最大加速度振幅値よりも大きいと判定されたポンプ22であっても、原子力プラントの安全上重要ではなく、地震発生後においてとりわけ重点的に点検すべきポンプではないと判定された場合、現在健全性評価対象となっているポンプ22は地震発生後において健全であると評価され、このポンプ22の健全性評価結果は表示装置15に表示されない。
ステップS73においてポンプ22の許容最大加速度振幅値よりも大きくないと判定された場合、処理はステップS78に進み、現在健全性評価対象となっているポンプ22は地震発生後において健全であると評価され、ステップS79において現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させないことを示す非表示属性情報が生成される。その後、処理はステップS77に進み、ポンプ健全性評価計算装置13は、現在健全性評価対象となっている健全性評価結果のデータである健全性評価データを生成する。
具体的には、図13の第2行目のポンプ名「X4」のポンプが現在健全性評価対象となっている場合、現在健全性評価対象となっているポンプ22において計測された最大加速度の振幅値である計測最大加速度振幅値が「1」であるとき、図16のテーブルに示されるよう健全性評価データが生成される。
図16は、生成された健全性評価データにおけるポンプ名、許容最大加速度振幅値、ポンプの属性、計測最大加速度振幅値、ポンプの健全性、および表示・非表示属性情報との対応関係を表している。なお、図16のテーブルの第1列目乃至第6列目の「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、「ポンプの属性」、「計測最大加速度振幅値」、「ポンプの健全性」、および「表示・非表示属性」は、図14のテーブルの第1列目乃至第6列目の「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、「ポンプの属性」、「計測最大加速度振幅値」、「ポンプの健全性」、および「表示・非表示属性」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図16のテーブルの第1行目の場合、「ポンプ名」は「X4」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X4」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「5」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「5」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係るもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係るもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係るポンプであることを示している。「計測最大加速度振幅値」が「1」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「1」であることを示している。「ポンプの健全性」は「健全である」であり、ポンプ22が地震発生後において健全であるか否かを示す情報が「健全である」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22が地震発生後において健全であること)を示している。「表示・非表示属性情報」は「非表示」であり、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させるか否かを示す情報が「非表示」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果が表示装置15に表示されないこと)を示している。
図11のステップS80において、ポンプ健全性評価計算装置13は、生成された健全性評価結果である健全性評価データを記憶装置14に供給する。ステップS81において、記憶装置14は、ポンプ健全性評価計算装置13から供給された健全性評価データを取得し、取得された健全性評価データを記憶する。
ステップS82において、ポンプ健全性評価計算装置13は、読み出されたポンプ22の振動データに基づいて、原子力プラント内のすべてのポンプについて健全性の評価を行ったか否かを判定する。
ステップS82において原子力プラント内のすべてのポンプについて健全性の評価を行っていないと判定された場合、処理はステップS73に戻り、その後、ステップS73以降の処理が繰り返される。これにより、原子力プラント内のすべてのポンプ22について健全性評価処理が行われる。
すなわち、図11のステップS73乃至S82の処理により、原子力プラント内のすべてのポンプについての健全性評価結果である健全性評価データが生成され、図17に示されるように、ポンプ名、許容最大加速度振幅値、ポンプの属性、計測最大加速度振幅値、ポンプの健全性、および表示・非表示属性情報が対応付けて記憶装置14に記憶される。
図17は、生成された健全性評価データにおけるポンプ名、許容最大加速度振幅値、ポンプの属性、計測最大加速度振幅値、ポンプの健全性、および表示・非表示属性情報との対応関係を表している。なお、図17のテーブルの第1列目乃至第6列目の「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、「ポンプの属性」、「計測最大加速度振幅値」、「ポンプの健全性」、および「表示・非表示属性」は、図14のテーブルの第1列目乃至第6列目の「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、「ポンプの属性」、「計測最大加速度振幅値」、「ポンプの健全性」、および「表示・非表示属性」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図17のテーブルの第1行目の場合、「ポンプ名」は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「5」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「5」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係るもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係るもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係るポンプであることを示している。「計測最大加速度振幅値」が「10」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「10」であることを示している。「ポンプの健全性」は「健全ではない」であり、ポンプ22が地震発生後において健全であるか否かを示す情報が「健全ではない」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22が地震発生後において健全ではないこと)を示している。「表示・非表示属性情報」は「表示」であり、現在健全性評価処理が行われているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させるか否かを示す情報が「表示」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果が表示装置15に表示されること)を示している。
図17のテーブルの第2行目の場合、「ポンプ名」は「X2」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X2」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「4」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「4」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係らないもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係らないもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係るポンプであることを示している。「計測最大加速度振幅値」が「7」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「7」であることを示している。「ポンプの健全性」は「健全である」であり、ポンプ22が地震発生後において健全であるか否かを示す情報が「健全である」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22が地震発生後において健全であること)を示している。「表示・非表示属性情報」は「非表示」であり、現在健全性評価処理が行われているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させるか否かを示す情報が「非表示」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果が表示装置15に表示されないこと)を示している。
図17のテーブルの第3行目乃至第n行目についても同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS82において原子力プラント内のすべてのポンプについて健全性の評価を行ったと判定された場合、記憶装置14はステップS83で、ポンプ健全性評価計算装置13の指示に従い、記憶装置14に記憶されている健全性評価データを表示装置15に供給する。ステップS84において、表示装置15は、記憶装置14から供給された健全性評価データに基づいて、図18に示されるように、健全性評価結果を表示する。
図18は、図1の表示装置15に表示される健全性評価結果表示テーブルの表示例を表している。図18の健全性評価結果表示テーブルの「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、および「計測最大加速度振幅値」は、図14のテーブルの第1列目、第2列目、および第4列目の「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、および「計測最大加速度振幅値」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図18の健全性評価結果表示テーブルの第1行目の場合、「ポンプ名」は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「5」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「5」であることを示している。「計測最大加速度振幅値」が「10」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「10」であることを示している。
図18の健全性評価結果表示テーブルの第2行目の場合、「ポンプ名」は「X6」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X6」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「3」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「3」であることを示している。「計測最大加速度振幅値」が「6」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「6」であることを示している。
図18の健全性評価結果表示テーブルの第n行目の場合、「ポンプ名」は「Xn」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「Xn」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「5」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「5」であることを示している。「計測最大加速度振幅値」が「10」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「10」であることを示している。
このように、本発明の実施形態に示されたポンプ健全性評価システム1においては、予め設定された許容最大加速度振幅値よりも計測最大加速度振幅値が大きいか否かが判定され、その判定結果に基づいて地震発生後においてポンプが健全であるか否かを評価することができる。また、予め設定された許容最大加速度振幅値よりも計測最大加速度振幅値が大きいと判定されたポンプ22のうち、予め設定された原子力プラント内において安全に係るものであるポンプについてのみについて地震発生後において健全ではないと評価し、表示装置15に表示するようにしたので、表示装置15に表示されるポンプ22の数を抑えることができる。これにより、原子力プラント内のポンプ22を点検するユーザにかかる負担と時間を低減することができる。従って、地震発生後におけるプラント内のポンプ22の健全性を容易に、かつ、廉価に評価することができる。
なお、本発明の実施形態に示されたポンプ健全性評価システム1においては、「ポンプの属性」として原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報を予め設定するようにしたが、このような場合に限られず、原子力プラント内のポンプ22に関して何らかの優先順位を設けることができるポンプ属性情報であればよく、例えば、原子力プラントの特徴やユーザの点検手順に好適なポンプ属性情報(例えば、どの系統のポンプ22であるか否かを示すポンプ属性情報など)を「ポンプの属性」として予め設定するようにしてもよい。勿論、「ポンプの属性」として複数のポンプ属性情報を予め設定するようにしてもよい。
図8に戻り、ステップS23において、ポンプ健全性評価装置2は、点検順位計算処理を実行する。この点検順位計算処理の詳細は、図19のフローチャートに示されている。
図19のフローチャートを参照して、図1のポンプ健全性評価装置2における点検順位計算処理について説明する。
ステップS91において、ポンプ健全性評価計算装置13は、記憶装置14に記憶されているポンプ22の振動データを読み出す。ステップS92において、ポンプ健全性評価計算装置13は、ポンプグルーピングリスト17に管理されているグルーピングリストを読み出す。
図20は、ポンプグルーピングリスト17に管理されているグルーピングリストの例を表している。図20のポンプグルーピングリスト17は、例えば、予め設定された第1グルーピングリスト乃至第3グルーピングリストからなる。第1グルーピングリスト乃至第3グルーピングリストは、それぞれ、使用している軸受が同じポンプ22をグループ化したもの、電動機の型式が同じポンプ22をグループ化したもの、およびポンプ22の据付ボルトのサイズが同じポンプ22をグループ化したものである。
なお、図20の例の場合、説明を省略するために、ポンプグルーピングリスト17に3つのグルーピングリスト(第1グルーピングリスト乃至第3グルーピングリスト)が管理されているようにしたが、その数は3つに限定されない。
図20のポンプグルーピングリスト17の第1グルーピングリストの第1列目乃至第3列目には、「ポンプ名」、「ポンプタイプ」、「軸受タイプ」が記載されており、それぞれ、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前、ポンプ22のタイプ、およびポンプ22に設けられている軸受のタイプを示している。
図20の第1グルーピングリストの第1行目の場合、「ポンプ名」は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「ポンプタイプ」は「横軸」であり、ポンプ22のタイプが「横軸」であることを示している。「軸受タイプ」は「玉軸受」であり、ポンプ22に設けられている軸受のタイプが「玉軸受」であることを示している。
図20の第1グルーピングリストの第2行目の場合、「ポンプ名」は「X4」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X4」であることを示している。「ポンプタイプ」は「横軸」であり、ポンプ22のタイプが「横軸」であることを示している。「軸受タイプ」は「玉軸受」であり、ポンプ22に設けられている軸受のタイプが「玉軸受」であることを示している。
図20の第1グルーピングリストの第3行目の場合、「ポンプ名」は「X5」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X5」であることを示している。「ポンプタイプ」は「横軸」であり、ポンプ22のタイプが「横軸」であることを示している。「軸受タイプ」は「玉軸受」であり、ポンプ22に設けられている軸受のタイプが「玉軸受」であることを示している。
以下、図20の第1グルーピングリストの第4行目以降に列挙されたポンプX10、X13、X15…においても、いずれもポンプ22のタイプが「横軸」であり、また、ポンプ22に設けられている軸受のタイプが「玉軸受」である。
次に、図20のポンプグルーピングリスト17の第2グルーピングリストの第1列目乃至第3列目には、「ポンプ名」、「ポンプタイプ」、「電動機の型式」が記載されており、それぞれ、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前、ポンプ22のタイプ、およびポンプ22に接続されている電動機の型式を示している。
図20の第2グルーピングリストの第1行目の場合、「ポンプ名」は「X2」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X2」であることを示している。「ポンプタイプ」は「縦軸」であり、ポンプ22のタイプが「縦軸」であることを示している。「電動機の型式」は「15−33」であり、ポンプ22に接続されている電動機の型式が「15−33」であることを示している。
図20の第2グルーピングリストの第2行目の場合、「ポンプ名」は「X3」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X3」であることを示している。「ポンプタイプ」は「縦軸」であり、ポンプ22のタイプが「縦軸」であることを示している。「電動機の型式」は「15−33」であり、ポンプ22に接続されている電動機の型式が「15−33」であることを示している。
図20の第2グルーピングリストの第3行目の場合、「ポンプ名」は「X6」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X6」であることを示している。「ポンプタイプ」は「縦軸」であり、ポンプ22のタイプが「縦軸」であることを示している。「電動機の型式」は「15−33」であり、ポンプ22に接続されている電動機の型式が「15−33」であることを示している。
以下、図20の第2グルーピングリストの第4行目以降に列挙されたX7、X12、X17…においても、いずれもポンプ22のタイプが「縦軸」であり、また、ポンプ22に接続されている電動機の型式が「15−33」である。
また、図20のポンプグルーピングリスト17の第3グルーピングリストの第1列目乃至第3列目には、「ポンプ名」、「ポンプタイプ」、「据付ボルトサイズ」が記載されており、それぞれ、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前、ポンプ22のタイプ、およびポンプ22の据付ボルトのサイズを示している。
図20の第3グルーピングリストの第1行目の場合、「ポンプ名」は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「ポンプタイプ」は「横軸」であり、ポンプ22のタイプが「横軸」であることを示している。「据付ボルトサイズ」は「M30」であり、ポンプ22の据付ボルトのサイズが「M30」であることを示している。
図20の第3グルーピングリストの第2行目の場合、「ポンプ名」は「X4」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X4」であることを示している。「ポンプタイプ」は「横軸」であり、ポンプ22のタイプが「横軸」であることを示している。「据付ボルトサイズ」は「M30」であり、ポンプ22の据付ボルトのサイズが「M30」であることを示している。
図20の第3グルーピングリストの第3行目の場合、「ポンプ名」は「X5」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X5」であることを示している。「ポンプタイプ」は「横軸」であり、ポンプ22のタイプが「横軸」であることを示している。「据付ボルトサイズ」は「M30」であり、ポンプ22の据付ボルトのサイズが「M30」であることを示している。
以下、図20の第3グルーピングリストの第4行目以降に列挙されたX11、X25、X40…においても、いずれもポンプ22のタイプが「横軸」であり、また、ポンプ22の据付ボルトのサイズが「M30」である。
ステップS93において、ポンプ健全性評価計算装置13は、読み出されたポンプグルーピングリスト17に管理されているグルーピングリストを参照して、読み出されたポンプ22の振動データに基づいて、適宜、好適なグループごとにポンプ22の点検順位を計算する。
図21乃至23を参照して、好適なグループごとにポンプ22の点検順位を計算した場合の例について説明する。
図21は、ポンプグルーピングリスト17に管理されている第1グルーピングリストのポンプ22について点検順位を計算した場合の点検順位計算結果テーブルを表している。なお、図21の点検順位計算結果テーブルの第2列目乃至第5列目の「ポンプ名」、「計測最大加速度振幅値」、「ポンプタイプ」、および「軸受タイプ」は、図14のテーブルの第1列目と第4列目の「ポンプ名」と「計測最大加速度振幅値」および図20の第1グルーピングリストの第2列目と第3列目の「ポンプタイプ」と「軸受タイプ」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図21の点検順位計算結果テーブルの第1列目には、「点検順位」が記載されており、ポンプグルーピングリスト17に管理されている第1グルーピングリストのポンプ22の中で点検すべき順位を示している。
図21の点検順位計算結果テーブルの第1行目の場合、「点検順位」は「1」であり、使用している軸受が同じポンプ22をグループ化した第1グルーピングリストのポンプ22の中で点検すべき順位が「1」であることを示している。「ポンプ名は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「計測最大加速度振幅値」は「10」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「10」であることを示している。「ポンプタイプ」は「横軸」であり、ポンプ22のタイプが「横軸」であることを示している。「軸受タイプ」は「玉軸受」であり、ポンプ22に設けられている軸受のタイプが「玉軸受」であることを示している。
図21の点検順位計算結果テーブルの第2行目の場合、「点検順位」は「2」であり、使用している軸受が同じポンプ22をグループ化した第1グルーピングリストのポンプ22の中で点検すべき順位が「2」であることを示している。「ポンプ名は「X13」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X13」であることを示している。「計測最大加速度振幅値」は「9」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「9」であることを示している。「ポンプタイプ」は「横軸」であり、ポンプ22のタイプが「横軸」であることを示している。「軸受タイプ」は「玉軸受」であり、ポンプ22に設けられている軸受のタイプが「玉軸受」であることを示している。
図21の点検順位計算結果テーブルの第3行目乃至第6行目についても同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図22は、ポンプグルーピングリスト17に管理されている第2グルーピングリストのポンプ22の中で点検順位を計算した場合の点検順位計算結果テーブルを表している。なお、図22の点検順位計算結果テーブルの第2列目乃至第5列目の「ポンプ名」、「計測最大加速度振幅値」、「ポンプタイプ」、および「電動機の型式」は、図14のテーブルの第1列目と第4列目の「ポンプ名」と「計測最大加速度振幅値」および図20の第2グルーピングリストの第2列目と第3列目の「ポンプタイプ」と「電動機の型式」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図22の点検順位計算結果テーブルの第1列目には、「点検順位」が記載されており、ポンプグルーピングリスト17に管理されている第2グルーピングリストのポンプ22の中で点検すべき順位を示している。
図22の点検順位計算結果テーブルの第1行目の場合、「点検順位」は「1」であり、電動機の型式が同じポンプ22をグループ化した第2グルーピングリストのポンプ22の中で点検すべき順位が「1」であることを示している。「ポンプ名は「X33」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X33」であることを示している。「計測最大加速度振幅値」は「10」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「10」であることを示している。「ポンプタイプ」は「縦軸」であり、ポンプ22のタイプが「縦軸」であることを示している。「電動機の型式」は「15−33」であり、ポンプ22に接続されている電動機の型式が「15−33」であることを示している。
図22の点検順位計算結果テーブルの第2行目の場合、「点検順位」は「2」であり、電動機の型式が同じポンプ22をグループ化した第2グルーピングリストのポンプ22の中で点検すべき順位が「2」であることを示している。「ポンプ名は「X39」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X39」であることを示している。「計測最大加速度振幅値」は「9」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「9」であることを示している。「ポンプタイプ」は「縦軸」であり、ポンプ22のタイプが「縦軸」であることを示している。「電動機の型式」は「15−33」であり、ポンプ22に接続されている電動機の型式が「15−33」であることを示している。
図22の点検順位計算結果テーブルの第3行目乃至第6行目についても同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図23は、ポンプグルーピングリスト17に管理されている第3グルーピングリストのポンプ22について点検順位を計算した場合の点検順位計算結果テーブルを表している。なお、図23の点検順位計算結果テーブルの第2列目乃至第5列目の「ポンプ名」、「計測最大加速度振幅値」、「ポンプタイプ」、および「据付ボルトサイズ」は、図14のテーブルの第1列目と第4列目の「ポンプ名」と「計測最大加速度振幅値」および図20の第3グルーピングリストの第2列目と第3列目の「ポンプタイプ」と「据付ボルトサイズ」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図23の点検順位計算結果テーブルの第1列目には、「点検順位」が記載されており、ポンプグルーピングリスト17に管理されている第3グルーピングリストのポンプ22の中で点検すべき順位を示している。
図23の点検順位計算結果テーブルの第1行目の場合、「点検順位」は「1」であり、据付ボルトのサイズが同じポンプ22をグループ化した第3グルーピングリストのポンプ22の中で点検すべき順位が「1」であることを示している。「ポンプ名は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「計測最大加速度振幅値」は「10」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「10」であることを示している。「ポンプタイプ」は「横軸」であり、ポンプ22のタイプが「横軸」であることを示している。「据付ボルトサイズ」は「M30」であり、ポンプ22の据付ボルトのサイズが「M30」であることを示している。
図23の点検順位計算結果テーブルの第2行目の場合、「点検順位」は「2」であり、据付ボルトのサイズが同じポンプ22をグループ化した第3グルーピングリストのポンプ22の中で点検すべき順位が「2」であることを示している。「ポンプ名は「X11」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X11」であることを示している。「計測最大加速度振幅値」は「9」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「9」であることを示している。「ポンプタイプ」は「横軸」であり、ポンプ22のタイプが「横軸」であることを示している。「据付ボルトサイズ」は「M30」であり、ポンプ22の据付ボルトのサイズが「M30」であることを示している。
図23の点検順位計算結果テーブルの第3行目乃至第6行目についても同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図19のステップS94において、ポンプ健全性評価計算装置13は、点検順位の計算結果のデータである点検順位計算データを記憶装置14と表示装置15に供給する。
ステップ95において、記憶装置14は、ポンプ健全性評価計算装置13から供給された点検順位計算データを取得し、取得された点検順位計算データを記憶する。
ステップS96において、表示装置15は、ポンプ健全性評価計算装置13から供給された点検順位計算データに基づいて、点検順位結果を表示する。
図24は、表示装置15に表示される点検順位計算結果表示テーブルの例を表している。なお、図24の点検順位計算結果表示テーブルは、図21の点検順位結果テーブルと同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ここで、同じグループに属するポンプ22の場合、そのうち計測最大加速度振幅値が計測されたポンプ22が、地震による振動に伴い地震発生後において最も故障しやすいと考えられる。そのため、ユーザは、図24に示されるような表示装置15に表示される点検順位計算結果表示テーブルを見ることにより、使用している軸受が同じポンプ22をグループリスト化した第1グルーピングリストのポンプ22の中で地震発生後に点検すべき順位を知ることができる。これにより、ユーザは、図24に示されるような表示装置15に表示された点検順位に基づいて、使用している軸受が同じポンプ22をグループリスト化した第1グルーピングリストのポンプ22の点検スケジュールを容易に立てることができ、さらには、原子力プラント内のポンプ22のうち、点検する必要が少ないポンプの点検を省略することができる。従って、原子力プラント内のポンプ22の健全性の評価を容易に、かつ、廉価にすることができる。
なお、点検順位計算処理においては、適宜、各原子力プラントの特徴に合った好適なグルーピングリストを選択し、好適なポンプ22のグループを予め設定することができる。これにより、好適なグループのポンプ22の点検順位を計算することができる。例えば、ポンプ22の重量と地震発生時において計測された計測加速度振幅値を乗じた値とポンプ22におけるボルトの締め付け力との関係から、ポンプ22のグループの設定をするようにしてもよい。
また、本発明の実施形態に示されたポンプ健全性評価システム1においては、図24のように、1つのグルーピングリストのポンプ22の点検順位計算結果に対応する点検順位計算結果表示テーブルを表示装置15に表示させるようにしたが、勿論、複数のグルーピングリストのポンプ22の点検順位計算結果に対応する複数の点検順位計算結果表示テーブルを同時に表示装置15に表示させるようにしてもよい。これにより、ユーザは、地震発生後における原子力プラント内のポンプ22のうち、より重点的に点検すべきポンプ22を知ることができる。従って、原子力プラント内のポンプ22の健全性の評価を容易に、かつ、廉価にすることができる。
ここで、図11のフローチャートを参照して説明したポンプ健全性評価装置2における健全性評価処理においては、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値である計測最大加速度振幅値がポンプ22の許容最大加速度振幅値よりも大きいか否かを判定することにより、ポンプ22が地震発生後において健全であるか否かを評価するようにしたが、例えば、地震発生前と地震発生後の計測最大加速度振幅値の比(地震発生後の計測最大加速度振幅値/地震発生前の計測最大加速度振幅値)が、地震発生前後において許容される許容最大加速度振幅値の比よりも大きいか否かを判定することにより、ポンプ22が地震発生後において健全であるか否かを評価するようにしてもよい。この場合の健全性評価処理の詳細は、図25のフローチャートに示されている。
図25のフローチャートを参照して、図1のポンプ健全性評価装置2における他の健全性評価処理について説明する。なお、図25のステップS101、およびステップS105乃至S115の処理は、図11のステップS71、およびステップS74乃至S84の処理と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
ステップS102において、ポンプ健全性評価計算装置13は、ポンプ振動データベース16に管理されているデータベースを読み出す。
図26は、ポンプ振動データベース16に管理されているデータベースの他の例を表している。なお、図26のポンプ振動データベース16の第1列目と第3列目の「ポンプ名」と「ポンプの属性」は、図13のポンプ振動データベース16の第1列目と第3列目の「ポンプ名」と「ポンプの属性」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図26のポンプ振動データベース16の第2列目には、「許容地震発生前後最大加速度振幅値比」が記載されており、地震発生前後においてポンプ22に許容される最大加速度振幅値の比を示している。
ここで、地震発生前におけるポンプ22の最大加速度振幅値よりも地震発生後における最大加速度振幅値が大きくなるにつれて、地震発生前後におけるポンプ22の振動による加速度振幅値の比も当然に大きくなる。また、地震発生前におけるポンプ22の最大加速度振幅値よりも地震発生後における最大加速度振幅値が大きいということは、地震による局所的な振動に伴い、地震発生後においてポンプ22に何らかの異常が生じている可能性があることを示している。従って、地震発生前後におけるポンプ22の振動による加速度振幅値の比が大きいこともまた、地震による局所的な振動に伴い、地震発生後においてポンプ22に何らかの異常が生じている可能性があることを示している。
図26のポンプ振動データベース16の第1行目の場合、「ポンプ名」は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「許容地震発生前後最大加速度振幅値比」は「2.0」であり、地震発生前後においてポンプ22に許容される最大加速度振幅値の比が「2.0」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係るもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係るもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係るポンプであることを示している。
図26のポンプ振動データベース16の第2行目の場合、「ポンプ名」は「X2」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X2」であることを示している。「許容地震発生前後最大加速度振幅値比」は「2.5」であり、地震発生前後においてポンプ22に許容される最大加速度振幅値の比が「2.5」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係らないもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係らないもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係らないポンプであることを示している。
図26のポンプ振動データベース16の第3行目乃至第6行目についても同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図25のステップS103において、ポンプ健全性評価計算装置13は、読み出されたポンプ振動データベース16に管理されているデータベースを参照して、読み出されたポンプ22の振動データに基づいて、地震発生前後において計測されたポンプ22の最大加速度振幅値の比である計測地震発生前後最大加速度振幅値比(地震発生後の計測最大加速度振幅値/地震発生前の計測最大加速度振幅値)を計算する。具体的には、図27の例の場合、計測地震発生前後最大加速度振幅値比は、およそ3.9と計算される。
ステップS104において、ポンプ健全性評価計算装置13は、計測地震発生前後最大加速度振幅値比の計算結果に基づいて、ポンプ22の計測地震発生前後最大加速度振幅値比が、許容地震発生前後最大加度振幅値比よりも大きいか否かを判定する。
例えば、図26の第1行目のポンプ名「X1」のポンプが現在健全性評価対象となっている場合、「許容地震発生前後最大加速度振幅値比」が「2.0」であることから、計算された計測地震発生前後最大加速度振幅値比が図27に示されるように「3.9」であるとき、ポンプ22の許容地震発生前後最大加速度振幅値比よりも大きいと判定される。
そして、図25のステップS103乃至S113の処理により、原子力プラント内のすべてのポンプについての健全性評価結果である健全性評価データが生成され、図28に示されるように、ポンプ名、許容地震発生前後最大加速度振幅値比、ポンプの属性、計測地震発生前後最大加速度振幅値比、ポンプの健全性、および表示・非表示属性情報が対応付けて記憶装置14に記憶される。
図28は、生成された健全性評価データにおけるポンプ名、許容地震発生前後最大加速度振幅値比、ポンプの属性、計測地震発生前後最大加速度振幅値比、ポンプの健全性、および表示・非表示属性情報との対応関係を表している。なお、図28のテーブルの第1列目乃至第6列目の「ポンプ名」、「許容最大加速度振幅値」、「ポンプの属性」、「計測地震発生前後最大加速度振幅値比」、「ポンプの健全性」、および「表示・非表示属性」は、図26のテーブルの第1列目乃至第3列目の「ポンプ名」、「許容地震発生前後最大加速度振幅値」、および「ポンプの属性」と図14テーブルの第5列目と第6列目の「ポンプの健全性」および「表示・非表示属性」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図28のテーブルの第4列目には、「計測地震発生前後最大加速度振幅値比」が記載されており、地震発生前後において計測された最大加速度振幅値の比である計測地震発生前後最大加速度振幅値比を示している。
図28のテーブルの1行目の場合、「ポンプ名」は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「許容地震発生前後最大加速度振幅値比」は「2.0」であり、地震発生前後においてポンプ22に許容される最大加速度振幅値の比が「2.0」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係るもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係るもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係るポンプであることを示している。「計測地震発生前後最大加速度振幅値比」が「3.9」であり、地震発生前後において計測された最大加速度振幅値の比である計測地震発生前後最大加速度振幅値比が「3.9」であることを示している。「ポンプの健全性」は「健全ではない」であり、ポンプ22が地震発生後において健全であるか否かを示す情報が「健全ではない」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22が地震発生後において健全ではないこと)を示している。「表示・非表示属性情報」は「表示」であり、現在健全性評価処理が行われているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させるか否かを示す情報が「表示」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果が表示装置15に表示されること)を示している。
図28のテーブルの2行目の場合、「ポンプ名」は「X2」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X2」であることを示している。「許容地震発生前後最大加速度振幅値比」は「2.5」であり、地震発生前後においてポンプ22に許容される最大加速度振幅値の比が「2.5」であることを示している。「ポンプの属性」は「安全に係らないもの」であり、予め設定された原子力プラント内において安全に係るポンプであるか否かを示すポンプ属性情報が「安全に係らないもの」であり、そのポンプが原子力プラント内において安全に係らないポンプであることを示している。「計測地震発生前後最大加速度振幅値比」が「3.0」であり、地震発生前後において計測された最大加速度振幅値の比である計測地震発生前後最大加速度振幅値比が「3.0」であることを示している。「ポンプの健全性」は「健全である」であり、ポンプ22が地震発生後において健全であるか否かを示す情報が「健全である」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22が地震発生後において健全であること)を示している。「表示・非表示属性情報」は「非表示」であり、現在健全性評価処理が行われているポンプ22の健全性評価結果を表示装置15に表示させるか否かを示す情報が「非表示」であること(すなわち、現在健全性評価対象となっているポンプ22の健全性評価結果が表示装置15に表示されないこと)を示している。
図28のテーブルの第3行目乃至第n行目についても同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図29は、図1の表示装置15に表示される健全性評価結果表示テーブルの表示例を表している。図29の健全性評価結果表示テーブルの「ポンプ名」、「許容地震発生前後最大加速度振幅値」、および「計測地震発生前後最大加速度振幅値」は、図28のテーブルの第1列目、第2列目、および第4列目の「ポンプ名」、「許容地震発生前後最大加速度振幅値」、および「計測地震発生前後最大加速度振幅値」と同様であり、その説明は繰り返しになるので省略する。
図29の健全性評価結果表示テーブルの第1行目の場合、「ポンプ名」は「X1」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「X1」であることを示している。「許容地震発生前後最大加速度振幅値比」は「2.0」であり、地震発生前後においてポンプ22に許容される最大加速度振幅値の比が「2.0」であることを示している。「計測地震発生前後最大加速度振幅値比」が「3.9」であり、地震発生前後において計測された最大加速度振幅値の比である計測地震発生前後最大加速度振幅値比が「3.9」であることを示している。
図29の健全性評価結果表示テーブルの第n行目の場合、「ポンプ名」は「Xn」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「Xn」であることを示している。「許容地震発生前後最大加速度振幅値比」は「2.0」であり、地震発生前後においてポンプ22に許容される最大加速度振幅値の比が「2.0」であることを示している。「計測地震発生前後最大加速度振幅値比」が「2.5」であり、地震発生前後において計測された最大加速度振幅値の比である計測地震発生前後最大加速度振幅値比が「2.5」であることを示している。
このように、本発明の実施形態に示されたポンプ健全性評価システム1においては、予め設定された許容地震発生前後最大加速度振幅値比よりも計測地震発生前後最大加速度振幅値比が大きいか否かが判定され、その判定結果に基づいて地震発生後においてポンプが健全であるか否かを評価することができる。また、許容地震発生前後最大加速度振幅値比よりも計測地震発生前後最大加速度振幅値比が大きいと判定されたポンプ22のうち、予め設定された原子力プラント内において安全に係るものであるポンプについてのみについて地震発生後において健全ではないと評価し、表示装置15に表示するようにしたので、表示装置15に表示されるポンプ22の数を抑えることができる。これにより、原子力プラント内のポンプ22を点検するユーザにかかる負担と時間を低減することができる。従って、地震発生後におけるプラント内のポンプ22の健全性を容易に、かつ、廉価に評価することができる。
なお、図25のフローチャートを参照して説明した健全性評価処理においては、地震発生前と地震発生後の最大加速度振幅値の比を用いるようにしたが、例えば、ポンプ22の種類によって、地震発生前後において計測された加速度の値のRMS(Root Mean Square)値の比または時間平均値などを用いるようにしてもよい。また、図11のフローチャートを参照して説明した健全性評価処理と図25のフローチャートを参照して説明した健全性評価処理を直列的あるいは並列的に行うようにしてもよい。これにより、両方において重複して地震発生後において健全ではないと評価され、表示装置15に表示されたポンプ22のみを点検するようにすることで、原子力プラント内のポンプ22を点検するユーザにかかる負担と時間をさらに低減することができる。
ところで、地震によりポンプ健全性評価装置2に電源喪失等の機能不全が生じる可能性がある。このような場合、ポンプ健全性評価装置2にポンプ設置振動計4からポンプ22の振動データを送信することができなくなり、その結果、原子力プラント内のポンプ22の地震発生後の健全性を評価することができなってしまう。そこで、地震発生時の振動データをポンプ設置振動計4に記憶し、その後、ポンプ健全性評価装置2の機能が完全に回復したとき、ポンプ設置振動計4に記憶されている地震発生通常時と地震発生時の振動データを送信するようにしてもよい。一方、地震発生後、しばらくしても、ポンプ健全性評価装置2の機能が回復しないときには、例えば、図30に示されるように、ポンプ設置振動計4から有線ケーブルあるいは無線などを介して、ユーザが携帯しているPDA(Personal Digital Assistance)51に地震発生通常時と地震発生時の振動データを送信するようにしてもよい。
図31は、ユーザが携帯しているPDA51の内部の構成を表している。
CPU(Central Processing Unit)61は、ROM(Read Only Memory)62に記憶されているプログラム、または記憶部69からRAM(Random Access Memory)63にロードされたアプリケーションに従って各種の処理を実行する。RAM63にはまた、CPU61が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
CPU61、ROM62、およびRAM63は、バスを構成するCPUインタフェース64を介して相互に接続されている。CPUインタフェース64には、LCD68に対する画面の表示を制御する表示制御部65も接続されている。
表示制御部65には、カメラ部66、LCD68の他、VRAM(Video RAM)67も接続されている。表示制御部65は、CPU61による制御に基づいて、カメラ部66により撮像された画像をVRAM67に記憶させ、そのVRAM67に記憶させている画像や、他のメモリ(不揮発性半導体メモリ73、RAM63、記憶部69)に記憶されている画像をLCD68に表示させる。VRAM67には、カメラ部66により撮像された画像の他、LCD68に表示させる画像も記憶される。
また、CPUインタフェース64には、ジョグダイヤル91、ボタン92、スクロールボタン93、およびキーボード94等からなる入力部70、タッチパネル71、赤外線通信ポート79、不揮発性半導体メモリスロットに相当するスロットI/F72、リムーバブルメインバッテリ81およびバックアップバッテリ82を充電させるとともに、他の外部装置85(例えば、パーソナルコンピュータなど)との通信の中継装置となるクレードル84等が接続されるコネクタ83、並びに、マイクロフォン76で集音された音声をディジタルデータに変換する音声処理部75が接続されている。
なお、タッチパネル71により検出された座標を表す情報は、CPUインタフェース64を介してCPU61に供給される。
さらに、CPUインタフェース64には、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)またはハードディスクなどより構成される記憶部69が接続される。記憶部69は、PDA51に対して着脱可能な記憶媒体である不揮発性半導体メモリ74とは異なり、PDA51が内蔵するメモリである。
CPUインタフェース64には、Bluetooth(登録商標)等の規格に準拠した無線通信を行う無線通信部78、および、ICカードに対して非接触でデータを読み書きする非接触ICカードインタフェース(I/F)77が接続されている。
外部装置85(例えば、パーソナルコンピュータなど)に適宜装着される磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリなどから読み出されたアプリケーションは、赤外線通信ポート79を介して行われる赤外線通信、無線通信部78を介して行われる無線通信、または、クレードル84を介して行われる有線の通信等により、必要に応じてPDA51に対して供給され、記憶部69にインストールされる。または、スロットI/F72に適宜装着される不揮発性半導体メモリ74から読み出されたアプリケーションも、必要に応じて記憶部69にインストールされる。
CPUインタフェース64には、LCD68とその上に積層された透明なタッチパネル71からなる表示部(図示せず)が本体部(図示せず)に対して閉じた状態の場合、オン状態となり、表示部が本体部に対して開いた状態の場合、オフ状態となるLCD開閉スイッチ89、および、表示部が所定の角度以上回動された場合にオン状態となるLCD回転スイッチ90が設けられている。
また、CPUインタフェース64には、リムーバブルメインバッテリ81が装着されるメインバッテリ装着部80、およびリムーバブルメインバッテリ81が取り外されたときの予備電源となる、充電式ボタン電池等から成るバックアップバッテリ82が接続されている。
このようなPDA51を用いた場合のポンプ設置振動計4における振動データ送信処理の詳細は、図32のフローチャートに示されている。
図32のフローチャートを参照して、図1のポンプ設置振動計4における他の振動データ送信処理について説明する。
ステップS121において、ポンプ設置振動計4は、地震発生時振動データ記憶処理を実行する。この地震発生時振動データ記憶処理の詳細は、図33のフローチャートに示されている。
図33のフローチャートを参照して、図1のポンプ設置振動計4における地震発生時振動データ記憶処理について説明する。
ステップS131において、センサ部34は、計測された計測加速度振幅値が所定の基準値より大きいか否かを判定し、計測された計測加速度振幅値が所定の基準値より大きいと判定するまで待機する。
具体的には、図34の例の場合、時刻t4において計測された計測加速度振幅値が所定の基準値より大きいと判定される。
ステップS131において計測された計測加速度振幅値が所定の基準値より大きいと判定された場合、蓄電池35はステップS132で、ポンプ設置振動計4の各部へ電力の供給を停止する。ステップS133において、主電池36は、ポンプ設置振動計4の各部への電力の供給を開始する。
ステップS134において、センサ部34は、地震発生時のポンプ22の振動を計測し、計測された地震発生時のポンプ22の振動データを地震発生時用振動計記憶装置33に供給する。ステップS135において、地震発生時用振動計記憶装置33は、センサ部34から供給された地震発生時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生時のポンプ22の振動データを記憶する。
ステップS136において、センサ部34は、所定の計測時間経過したか否かを判定する。すなわち、現在の時刻が、時刻t4から予め設定された所定の計測時間経過した時刻t5であるか否かを判定する。
ステップS136において所定の計測時間経過していないと判定された場合、処理はステップS134に戻り、その後、ステップS134以降の処理が繰り返される。これにより、地震が発生してから予め設定された所定の計測時間が経過するまで(時刻t4から時刻t5まで)、ポンプ22の振動データが地震発生時用振動計記憶装置33に逐次記憶される。従って、たとえポンプ健全性評価装置2が地震により電源喪失等の機能不全が生じた場合であっても、ポンプ22の振動データを記憶することができる。
ステップS136において所定の計測時間経過したと判定された場合、主電池36はステップS137で、ポンプ設置振動計4の各部への電力の供給を停止する。ステップS138において、蓄電池35は、ポンプ設置振動計4の各部への電力の供給を開始する。
図32に戻り、ステップS122において、振動計送受信部31は、ポンプ健全性評価装置2から有線ケーブルあるいは無線を介して振動データ送信開始要求を受信したか否かを判定する。すなわち、電源喪失等の機能不全が生じたポンプ健全性評価装置2が地震発生後しばらくして回復し、振動データ送信開始要求を送信し、有線ケーブルあるいは無線を介して振動データ送信開始要求を受信したか否かを判定する。
ステップS122においてポンプ健全性評価装置2から有線ケーブルあるいは無線を介して振動データ送信開始要求を受信したと判定された場合、通常時用振動計記憶装置32はステップS123で、記憶されている地震発生前通常時のポンプ22の振動データを振動計送受信部31に供給する。振動計送受信部31は、通常時用振動計記憶装置32から供給された地震発生前通常時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生前のポンプ22の振動データを有線ケーブルあるいは無線を介してポンプ健全性評価装置2に送信する。
ステップS124において、地震発生時用振動計記憶装置33は、記憶されている地震発生時のポンプ22の振動データを振動計送受信部31に供給する。振動計送受信部31は、地震発生時用振動計記憶装置33から供給された地震発生時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生時のポンプ22の振動データを有線ケーブルあるいは無線を介して送信する。
ステップS125において、振動計送受信部31は、ポンプ健全性評価装置2から有線ケーブルあるいは無線を介して振動データ送信終了要求を受信したか否かを判定し、ポンプ健全性評価装置2から有線ケーブルあるいは無線を介して振動データ送信開始要求を受信したと判定するまで待機する。
ステップS125においてポンプ健全性評価装置2から有線ケーブルあるいは無線を介して振動データ送信開始要求を受信したと判定された場合、振動データ送信処理は終了する。その後、ポンプ健全性評価装置2においては、図7のステップS22およびステップS23の健全性評価処理および点検順位計算処理が行われる。これにより、たとえポンプ健全性評価装置2が地震により電源喪失等の機能不全が生じた場合であっても、その後、ポンプ設置振動形4からポンプ2の振動データを受信することができ、受信されたポンプ22の振動データに基づいて、地震発生後における原子力プラント内のポンプ22の健全性を評価することができる。
ステップS122においてポンプ健全性評価装置2から有線ケーブルあるいは無線を介して振動データ送信開始要求を受信していないと判定された場合、振動計送受信部31はステップS126で、ユーザがPDA51の入力部70やタッチパネル71を操作することにより、通常時用振動計記憶装置32と地震発生時用記憶装置33に記憶されているポンプ22の振動データをPDA51に送信するとの指示がなされたか否かを判定する。
ステップS126において通常時用振動計記憶装置32と地震発生時用記憶装置33に記憶されているポンプ22の振動データをPDA51に送信するとの指示がなされと判定された場合、通常時用振動計記憶装置32はステップS127で、振動計送受信部31の指示に従い、通常時用振動計記憶装置32に記憶されている地震発生前通常時のポンプ22の振動データを振動計送受信部31に供給する。振動計送受信部31は、通常時用振動計記憶装置32から供給された地震発生前通常時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生前通常時のポンプ22の振動データを有線ケーブルあるいは無線を介してPDA51に送信する。
ステップS128において、地震発生時用振動計記憶装置33は、振動計送受信部31の指示に従い、地震発生時用振動計記憶装置33に記憶されている地震発生時のポンプ22の振動データを振動計送受信部31に供給する。振動計送受信部31は、地震発生時用振動計記憶装置33から供給された地震発生時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生時のポンプ22の振動データを有線ケーブルあるいは無線を介してPDA51に送信する。
次に、図35のフローチャートを参照して、図32のステップS127とステップS128の処理に対応する、図31のPDA51の振動データ表示処理について説明する。
ステップS141において、CPU61は、無線通信部78や赤外線通信ポート79を介してあるいはクレードル84を介して、ポンプ設置振動計4から地震発生前通常時と地震発生時のポンプ22の振動データを受信したか否かを判定し、ポンプ設置振動計4から通常時と地震発生時のポンプ22の振動データを受信したと判定するまで待機する。
ステップS141においてポンプ設置振動計4から地震発生前通常時と地震発生時のポンプ22の振動データを受信したと判定された場合、CPU61はステップS142で、無線通信部78や赤外線通信ポート79を介してあるいはクレードル84を介してポンプ設置振動計4から受信された地震発生前通常時と地震発生時のポンプ22の振動データを記憶部69に供給する。記憶部69は、無線通信部78や赤外線通信ポート79あるいはクレードル84を介して地震発生前通常時と地震発生時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生前通常時と地震発生時のポンプ22の振動データを記憶する。
ステップS143において、CPU61は、記憶部69に記憶されている地震発生前通常時と地震発生時のポンプ22の振動データを読み出し、表示制御部65に供給する。ステップS144において、表示制御部65は、CPU61を介して記憶部69から供給された地震発生前通常時と地震発生時のポンプ22の振動データを取得し、取得された地震発生前通常時と地震発生時のポンプ22の振動データを、CPU61の指示に従い、LCD68に表示させる。
図36は、LCD68に表示される振動データ表示画面の表示例を表している。
振動データ表示画面は、振動データ表示領域95と振動インジケータ96からなる。
振動データ表示領域95には、ポンプ名、許容最大加速度振幅値、および計測最大加速度振幅値が表示される。図36の例の場合、ポンプ名は「Xa」であり、原子力プラント内のポンプ22を識別するためのポンプ22の名前が「Xa」であることを示している。「許容最大加速度振幅値」は「b」であり、地震発生中においてポンプ22に許容される振動による最大加速度の振幅値が「b」であることを示している。「計測最大加速度振幅値」が「c」であり、読み出されたポンプ22の振動データにおいて計測された最大加速度の振幅値が「c」であることを示している。
振動インジケータ96には、ポンプ22の計測された計測最大加速度振幅値の計数が表示される。
これにより、ユーザは、視覚的に、地震発生後における原子力プラント内のポンプ22の健全性を評価することができる。従って、ユーザは、LCD68に表示される振動データ表示画面に基づいて、ポンプ22の点検の可否を決定することができ、地震発生後においてポンプ22の健全性を容易に、かつ、廉価に評価することができる。
なお、本発明の実施形態に示されたポンプ健全性評価システム1においては、地震発生後、しばらくしても、ポンプ健全性評価装置2の機能が回復しないときには、ユーザが携帯しているPDA51に地震発生通常時と地震発生時の振動データを送信するようにしたが、PDAに限られず、例えば、携帯電話機などのPDA以外の携帯情報端末を用いるようにしてもよい。
また、各ポンプ設置振動計4にそれぞれ表示装置を設けるようにして、ポンプ名、許容最大加速度振幅値、および計測最大加速度振幅値などを表示するようにしてもよい。
さらに、本発明は、地震発生後のポンプの健全性を評価するポンプ健全性評価システムだけでなく、地震が発生していない通常時におけるポンプの監視をするポンプ監視システムにも適用することができる。
また、本発明の実施形態に示されたポンプ健全性評価システム1は、原子力プラントに用いた例を説明しているが、そのような場合に限られず、例えば、他のプラント(火力プラントや化学プラントなど)に用いるようにしてもよい。
なお、本発明の実施形態では、フローチャートのステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
1…ポンプ健全性評価システム、2…ポンプ健全性評価装置、3…建屋設置地震計、4…ポンプ設置振動計、11…振動データ送信開始・終了要求生成装置、12…データ送受信装置、13…ポンプ健全性評価計算装置、14…記憶装置、15…表示装置、16…ポンプ振動データベース、17…ポンプグルーピングリスト、22−1乃至22−6…ポンプ、23…ポンプ本体、24…電動機、31…振動計送受信部、32…通常時用振動計記憶装置、33…地震発生時用振動計記憶装置、34…センサ部、35…蓄電池、36…主電池、41…光電池、42…ポンプ電源、51…PDA、61…CPU、62…ROM、63…RAM、64…CPUインタフェース、65…表示制御部、66…カメラ部、67…VRAM、68…LCD、69…記憶部、70…入力部、71…タッチパネル、72…スロットI/F、73…機能拡張モジュール、74…不揮発性半導体メモリ、75…音声処理部、76…マイクロフォン、77…非接触ICカードI/F、78…無線通信部、79…赤外線通信ポート、80…メインバッテリ装着部、81…リムーバブルメインバッテリ、82…バックアップバッテリ、83…コネクタ、84…クレードル、85…外部装置、86…本体接続用コネクタ、87…USBコネクタ、88…USBポート、89…LCD開閉スイッチ、90…LCD回転スイッチ、91…ジョグダイヤル、92…ボタン、93…スクロールボタン、94…キーボード、95…振動データ表示領域、96…振動インジケータ。