JP2007231348A - 疲労特性に優れた鋼材およびその製造方法 - Google Patents

疲労特性に優れた鋼材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い疲労強度を有する鋼材を安定して提供する。
【解決手段】C:0.35〜0.7 mass%、Si: 1.1mass%以下、Mn:0.1 〜2.0 mass%、Al:0.25mass%以下、Ti:0.005 〜0.1 mass%、Mo:0.05〜0.6 mass%、B:0.0003〜0.006 mass%、S:0.10mass%以下、P:0.03mass%以下およびCr:0.2 mass%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、母材組織が、ベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織を有し、かつこれらベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率が10%以上であり、さらに高周波焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒界について、粒界長さの合計値Le(μm)と、隣り合う粒界3重点同士を結ぶ直線の長さの合計値L(μm)とから求められる粒界凹凸度Aの値を所定範囲とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、表面に高周波焼入れによる硬化層をそなえる、自動車ドライブシャフトおよび等速ジョイントなどに適用して好適な、焼入れ前の素材としての鋼材および焼入れ後の疲労特性に優れた鋼材ならびにそれらの製造方法に関するものである。
従来,自動車用ドライブシャフトや等速ジョイントなどの機械構造用部材は、熱間圧延棒鋼に、熱間鍛造、さらには切削、冷間鍛造などを施して所定の形状に加工したのち、高周波焼入れ−焼戻しを行うことにより、機械構造用部材としての重要な特性であるねじり疲労強度、曲げ疲労強度、転動疲労強度およびすべり転動疲労強度等の疲労強度を確保しているのが一般的である。
他方、近年、環境問題から自動車用部材に対する軽量化への要求が強く、この観点から自動車用部材の疲労強度の一層の向上が要求されている。
上述したような疲労強度を向上させる手段としては、これまでにも種々の方法が提案されている。
例えば、ねじり疲労強度を向上させるためには、高周波焼入れによる焼入れ深さを増加させることが考えられる。しかしながら、焼入れ深さを増加してもある深さで疲労強度は飽和する。
また、ねじり疲労強度の向上には、粒界強度の向上も有効であり、この観点から、TiCを分散させることによって旧オーステナイト粒径を微細化する技術が提案されている(例えば特許文献1参照のこと)。
上記の特許文献1に記載された技術では、高周波焼入れ加熱時に微細なTiCを多量に分散させることで、旧オーステナイト粒径の微細化を図るものであるため、焼入れ前にTiCを溶体化しておく必要があり、熱間圧延工程で1100℃以上に加熱する工程を採用している。そのため、熱延時に加熱温度を高くする必要があり、生産性に劣るという問題があった。
また、上記の特許文献1に開示された技術をもってしても、近年のねじり疲労強度に対する要求には十分に応えられないところにも問題を残していた。
さらに、特許文献2には、硬化層深さCDと高周波焼入れ軸物部品の半径Rとの比(CD/R)を 0.3〜0.7 に制限した上で、このCD/Rと高周波焼入れ後の表面から1mmまでのオーステナイト結晶粒径γf、高周波焼入れままの(CD/R)=0.1 までの平均ビッカース硬さHfおよび高周波焼入れ後の軸中心部の平均ビッカース硬さHcで規定される値Aを、C量に応じて所定の範囲に制御することによってねじり疲労強度を向上させた機械構造用軸物部品が提案されている。
しかしながら、この部品では、焼入れ硬化層の全厚にわたる旧オーステナイト粒径に考慮が払われていないため、やはり近年のねじり疲労強度に対する要求には十分に応えることができなかった。
そこで、出願人は、先に特許文献3にて、特定の成分を有しベイナイトおよび/またはマルテンサイト組織の鋼材を用い、これに加熱温度が1000℃以下の条件で高周波焼入れを行うことにより、硬化層の粒径を12μm以下にまで微細化し、疲労強度を向上させる技術を提案した。この提案技術によって、疲労強度を大幅に向上することが可能になった。
ところで、高周波焼入れに先立って行われる熱間加工によって複雑な形状に加工する必要がある場合には、熱間における変形抵抗を低下させるために、加工温度を通常よりも高温化する必要があるが、その場合には旧オーステナイト粒径を微細とする手法の適用が難しいことが今回明らかとなった。
特開2000−154819号公報(特許請求の範囲、段落〔0008〕) 特開平8−53714 号公報(特許請求の範囲) 特開2005-194614号公報
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたものであり、高周波焼入れ部の疲労強度が高い鋼材およびその製造方法に関して、特に上述の特許文献3の技術を改良し、高周波焼入れ部の旧オーステナイト粒径の微細化手法を用いることなく、それと同等の疲労強度が得られる技術について提供することを目的とする。
さて、発明者らは、前記したような疲労強度を効果的に向上させるべく、鋭意検討を行った。特に、かかる疲労強度の代表例として曲げ疲労強度に着目して、詳細な検討を行った。
その結果、以下に述べるように、鋼の化学組成、組織、焼入れ条件および焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒の粒界形態を最適化することにより、優れた曲げ疲労強度が得られるとの知見を得た。
(a)適正な化学組成に調整した鋼に、適性な条件で焼入れを施すと、焼入れ硬化層の旧オーステナイト粒界について、粒界の3重点以外の部分が複数の凹凸がある形態とでき、この場合、曲げ疲労強度が顕著に向上する。具体的には、粒界が凹凸形状であるため、疲労亀裂の進展が抑制される。この凹凸形態について疲労強度との影響を検討した結果、旧オーステナイト粒界について、粒界長さの合計値Le(μm)と、粒界3重点同士を結ぶ直線の長さの合計値L(μm)とから、下記式(1)で求められる粒界凹凸度Aが1.05以上である場合に、特に高い疲労強度が得られる。

A=Le/L・・・・(1)
(b)上記のように粒界を凹凸形状とするためには、母材組織、すなわち焼入れ前の組織を、ベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織が特定の分率で含有され、該ベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織が粗大であるものとする。ベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織は、フェライト−パーライト組織に比べて炭化物が微細に分散した組織であるため、焼入れ加熱時にオーステナイトの核生成サイトであるフェライト/炭化物の界面の面積が増え、高周波加熱初期に多数のオーステナイト粒が生成する。母材組織のベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織は、粗大(旧オーステナイト粒径が大きい)にしておくと、高周波加熱過程において、生成した多数のオーステナイト粒が結合する。このとき、以下の(d)にて後述するように、鋼組成としてMoが含有されており、なおかつ、高周波焼入時の加熱温度が適正である場合には、高周波加熱時に最終的なオーステナイト粒の粒界形態が凹凸の多数ある形状となる。
(c)母材組織を粗大なベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織とするには、熱間加工時の加熱温度を1000〜1250℃とし、熱間加工後に0.2℃/s以上の速度で冷却する。
(d)上記したように、化学組成および組織を調整した鋼材を使用し、高周波焼入れ条件を適正に制御することで、硬化層の旧オーステナイト粒界の形態が凹凸のあるものとなり、疲労強度が向上する。具体的には、加熱温度:800〜950℃、該加熱温度の範囲での加熱時間:5秒以下とすることにより得られる。特に、この効果はMoを含有した鋼において顕著となる。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.C:0.35〜0.7 mass%、
Si: 1.1mass%以下、
Mn:0.1 〜2.0 mass%、
Al:0.25mass%以下、
Ti:0.005 〜0.1 mass%、
Mo:0.05〜0.6 mass%、
B:0.0003〜0.006 mass%、
S:0.10mass%以下、
P:0.03mass%以下および
Cr:0.2 mass%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、母材組織が、ベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織を有し、かつこれらベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率が10%以上であり、さらに高周波焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒界について、粒界長さの合計値Le(μm)と、隣り合う粒界3重点同士を結ぶ直線の長さの合計値L(μm)とから、下記式(1)にて求められる粒界凹凸度Aの値が1.05以上であることを特徴とする、疲労特性に優れた鋼材。

A=Le/L・・・・(1)
2.上記1において、前記鋼材が、さらに
Cu:1.0 mass%以下、
Ni:3.5 mass%以下、
Co:1.0 mass%以下、
Nb:0.1 mass%以下、
V:0.5 mass%以下および
W:1.0mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、疲労特性に優れた鋼材。
3.上記1または2において、前記鋼材が、さらに
Ca:0.005mass%以下、
Mg:0.005mass%以下、
Te:0.005mass%以下、
Se:0.1mass%以下、
Bi:0.5mass%以下、
Pb:0.5mass%以下、
REM:0.1mass%以下、
Ta:0.5mass%以下、
Hf:0.5mass%以下および
Sb:0.015mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、疲労特性に優れた鋼材。
4.C:0.35〜0.7 mass%、
Si:1.1 mass%以下、
Mn:0.1〜2.0 mass%、
Al:0.25mass%以下、
Ti:0.005 〜0.1 mass%、
Mo:0.05〜0.6 mass%、
B:0.0003〜0.006 mass%、
S:0.10mass%以下、
P:0.03mass%以下および
Cr:0.2 mass%以下
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼素材を、1000〜1250℃に加熱した後に熱間加工し、その後0.2 ℃/s以上の速度で冷却したのち、焼入れ時の加熱温度:800 〜950℃、該加熱温度の範囲での加熱時間:5秒以下の条件下で高周波焼入れを行い、厚み2mm以上の硬化層を形成させることを特徴とする、疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
5.上記4において、前記鋼素材が、さらに
Cu:1.0 mass%以下、
Ni:3.5 mass%以下、
Co:1.0 mass%以下、
Nb:0.1 mass%以下、
V:0.5 mass%以下および
W:1.0mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
6.上記4または5において、前記鋼素材が、さらに
Ca:0.005mass%以下、
Mg:0.005mass%以下、
Te:0.005mass%以下、
Se:0.1mass%以下、
Bi:0.5mass%以下、
Pb:0.5mass%以下、
REM:0.1mass%以下、
Ta:0.5mass%以下
Hf:0.5mass%以下および
Sb:0.015mass%以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
本発明によれば、ねじり疲労特性をはじめとして、曲げ疲労特性、転動疲労特性およびすべり転動疲労特性等の全ての疲労特性に優れた鋼材を安定して得ることができ、その結果、自動車用部材の軽量化等の要求に対し偉功を奏する。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明において、鋼材および鋼素材の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。
C:0.35〜0.7 mass%
Cは、焼入れ性への影響が最も大きい元素であり、焼入れ硬化層の硬さおよび深さを高めて疲労強度の向上に有効に寄与する。しかしながら、含有量が0.35mass%に満たないと必要とされる疲労強度を確保するためには焼入れ硬化深さを飛躍的に高めねばならず、その際焼割れの発生が顕著となり、またベイナイト組織も生成し難くなるため、0.35mass%以上を添加する。一方、0.7 mass%を超えて含有させると粒界強度が低下し、それに伴い疲労強度も低下し、また切削性、冷間鍛造性および耐焼き割れ性も低下する。このためCは、0.35〜0.7 mass%の範囲に限定した。好ましくは 0.4〜0.6 mass%の範囲である。
Si:1.1 mass%
Siを低減すると、高周波加熱時により低温域からオーステナイト化が進行するため、オーステナイト低温域での高周波加熱の際に、オーステナイト粒界の凹凸を増大させる効果がある。そのため、Si量は低目が好ましいが、1.1mass%までは許容できるため、Siは1.1mass%以下とする。
Mn:0.1 〜2.0 mass%
Mnは、焼入れ性を向上させ、焼入れ時の硬化深さを確保する上で不可欠の成分であるため、積極的に添加するが、含有量が 0.1mass%未満ではその添加効果に乏しいので、0.1mass%以上とした。好ましくは 0.3mass%以上である。一方、Mn量が 2.0mass%を超えると焼入れ後の残留オーステナイトが増加し、かえって表面硬度が低下し、ひいては疲労強度の低下を招くので、Mnは 2.0mass%以下とした。なお、Mnは含有量が多いと、母材の硬質化を招き、被削性に不利となるきらいがあるので、1.2 mass%以下とするのが好適である。さらに好ましくは 1.0mass%以下である。
Al:0.25mass%以下
Alは、脱酸に有効な元素である。また、焼入れ加熱時におけるオーステナイト粒成長を抑制することによって焼入れ硬化層の粒径を微細化する効果もある。しかしながら、0.25mass%を超えて含有させてもその効果は飽和し、むしろ成分コストの上昇を招く不利が生じるので、Alは0.25mass%以下の範囲に限定した。なお、含有量が 0.005mass%に満たないとその添加効果に乏しいことから、0.005mass%以上の含有が好ましい。
Ti:0.005 〜0.1 mass%
Tiは、不可避的不純物として混入するNと結合することで、BがBNとなってBの焼入れ性向上効果が消失するのを防止し、Bの焼入れ性向上効果を十分に発揮させる作用を有する。この効果を得るためには、少なくとも 0.005mass%の含有を必要とするが、0.1 mass%を超えて含有されるとTiNが多量に形成される結果、これが疲労破壊の起点となって疲労強度の著しい低下を招くので、Tiは 0.005〜0.1 mass%の範囲に限定した。好ましくは0.01〜0.07mass%の範囲である。さらに、Nを確実に固定して、Bによる焼入れ性向上により、ベイナイトとマルテンサイト組織を得る観点からは、Ti(mass%)/N(mass%)≧3.42を満足させることが好適である。
Mo:0.05〜0.6 mass%
Moは、ベイナイト組織の生成を促進することにより、焼入れ加熱時に生成したオーステナイト粒の粒界を凹凸形状にする作用を有する。特にこの効果は、高周波焼入れ時の加熱温度を800〜950 ℃とすることにより、一層顕著となる。さらに、焼入れ性の向上に有用な元素であるため、焼入れ性を調整するために用いられる。加えて、Moは、炭化物の生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を有効に阻止する元素でもある。
このように、Moは、本発明において非常に重要な元素であり、含有量が0.05mass%に満たないと、焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒界を凹凸形状とすることができない。しかしながら、 0.6mass%を超えて含有させると、圧延材の硬さが著しく上昇し、加工性の低下を招く。従って、Moは0.05〜0.6 mass%の範囲に限定した。好ましくは 0.1〜0.6 mass%の範囲である。さらに好ましくは 0.3〜0.4 mass%の範囲である。
B:0.0003〜0.006 mass%
Bは、ベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織の生成を促進する効果を有する。またBは、微量の添加によって焼入れ性を向上させ、焼入れ時の焼入れ深さを高めることによりねじり強度を向上させる効果もある。さらにBは、粒界に優先的に偏析して、粒界に偏析するPの濃度を低減し、粒界強度を向上させ、もって疲労強度を向上させる作用もある。
このため、本発明では、Bを積極的に添加するが、含有量が0.0003mass%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 0.006mass%を超えて含有させるとその効果は飽和し、むしろ成分コストの上昇を招くため、Bは0.0003〜0.006 mass%の範囲に限定した。好ましくは0.0005〜0.004 mass%の範囲である。さらに好ましくは0.0015〜0.003 mass%の範囲である。
S:0.06mass%以下
Sは、鋼中でMnSを形成し、切削性を向上させる有用元素であるが、0.10mass%を超えて含有させると粒界に偏析して粒界強度を低下させるため、Sは0.10mass%以下に制限した。好ましくは0.04mass%以下である。
P:0.03 mass%以下
Pは、オーステナイトの粒界に偏析し、粒界強度を低下させることにより、疲労強度を低下させる。また、焼割れを助長する弊害もある。従って、Pの含有は極力低減することが望ましいが、0.03 mass%までは許容される。
Cr:0.2 mass%以下
Crは、炭化物を安定化させて残留炭化物の生成を助長し、粒界強度を低下させて疲労強度を劣化させる。従って、Crの含有は極力低減することが望ましいが、0.2 mass%までは許容できる。好ましくは0.05mass%以下である。
以上、基本成分について説明したが、本発明ではその他にも、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Cu:1.0 mass%以下
Cuは、焼入れ性の向上に有効であり、またフェライト中に固溶し、この固溶強化によって、疲労強度を向上させる。さらに、炭化物の生成を抑制することにより、炭化物による粒界強度の低下を抑制し、疲労強度を向上させる。しかしながら、含有量が1.0 mass%を超えると熱間加工時に割れが発生するため、1.0 mass%以下の添加とする。なお好ましくは0.5 mass%以下である。
Ni:3.5 mass%以下
Niは、焼入れ性を向上させる元素であるので、焼入れ性を調整する場合に用いる。また、炭化物の生成を抑制し、炭化物による粒界強度の低下を抑制して、疲労強度を向上させる元素でもある。しかしながら、Niは極めて高価な元素であり、3.5 mass%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇するので、3.5 mass%以下の添加とする。なお、0.05mass%未満の添加では焼入れ性の向上効果および粒界強度の低下抑制効果が小さいので、0.05mass%以上含有させることが望ましい。好ましくは 0.1〜1.0 mass%である。
Co:1.0 mass%以下
Coは、炭化物の生成を抑制して、炭化物による粒界強度の低下を抑制し、強度および疲労強度を向上させる元素である。しかしながら、Coは極めて高価な元素であり、1.0 mass%を超えて添加すると鋼材のコストが上昇するので、1.0 mass%以下の添加とする。なお、0.01mass%未満の添加では、粒界強度の低下抑制効果が小さいので、0.01mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.02〜0.5 mass%である。
Nb:0.1 mass%以下
Nbは、焼入れ性の向上効果があるだけでなく、鋼中でC, Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果によって疲労強度を向上させる。しかしながら、0.1 mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するので、0.1 mass%を上限とする。なお、0.005 %未満の添加では、析出強化作用および焼もどし軟化抵抗性の向上効果が小さいため、0.005 mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.01〜0.05mass%である。
V:0.5 mass%以下
Vは、鋼中でC, Nと結合し析出強化元素として作用する。また、焼もどし軟化抵抗性を向上させる元素でもあり、これらの効果により疲労強度を向上させる。しかしながら、0.5 mass%を超えて含有させてもその効果は飽和するので、0.5 mass%以下とする。なお、0.01mass%未満の添加では、疲労強度の向上効果が小さいので、0.01mass%以上添加することが望ましい。好ましくは0.03〜0.3 mass%である。
W:1.0mass%以下
Wは、脆化作用により被削性を向上させる元素である。しかしながら、1.0mass%を超えて添加しても効果が飽和する上、コストが上昇して経済的に不利となるため、1.0mass%以下で含有させることが好ましい。なお、被削性の改善のためには、Wを0.005mass%以上含有させることが好ましい。
Ca:0.005mass%以下
Caは、MnSと共に硫化物を形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善するので必要に応じて添加することができる。しかしながら、0.005mass%を超えて含有させても、効果が飽和する上、成分コストの上昇を招くため、0.005mass%以下とした。なお、0.0001mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小さいので、0.0001mass%以上含有させることが好ましい。
Mg:0.005mass%以下
Mgは、脱酸元素であるだけでなく、応力集中源となって被削性を改善する効果があるので、必要に応じて添加することができる。しかしながら、過剰に添加すると効果が飽和する上、成分コストが上昇するため、0.005mass%以下とした。なお、0.0001mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小さいので、0.0001mass%以上含有させることが好ましい。
Te:0.1mass%以下
Se:0.1mass%以下
SeおよびTeはそれぞれ、Mnと結合してMnSeおよびMnTeを形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善する。しかしながら、含有量が0.1mass%を超えると、効果が飽和する上、成分コストの上昇を招くので、いずれも0.1mass%以下で含有させるものとした。また、被削性の改善のためには、Seの場合は0.003mass%以上およびTeの場合は0.003mass%以上で含有させることが好ましい。
Bi:0.6mass%以下
Biは、切削時の溶融、潤滑および脆化作用により、被削性を向上させるので、この目的で添加することができる。しかしながら、0.5mass%を超えて添加しても効果が飽和するばかりか、成分コストが上昇するため、0.5mass%以下とした。なお、0.01mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小さいので、0.01mass%以上含有させることが好ましい。
Pb:0.5mass%以下
Pbは、切削時の溶融、潤滑および脆化作用により、被削性を向上させるので、その目的で添加することができる。しかしながら、0.5mass%を超えて添加しても効果が飽和するばかりか、成分コストが上昇するため、0.5mass%以下とした。なお、0.01mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小きいので、0.01mass%以上含有させることが好ましい。
Zr:0.01mass%以下
Zrは、MnSと共に硫化物を形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善する。しかしながら、0.01mass%を超えて含有させても、効果が飽和する上成分コストの上昇を招くため、0.01mass%以下とした。なお、0.003mass%未満では、含有されていても被削性改善効果が小さいために、0.003mass%以上で含有させることが好ましい。
REM:0.1mass%以下
REMは、MnSと共に硫化物を形成し、これがチップブレーカーとして作用することにより被削性を改善する。しかしながら、REMは0.1mass%を超えて含有させても、効果が飽和する上、成分コストの上昇を招くため、それぞれ上記の範囲で含有させるものとした。なお、被削性の改善のためには、REMは0.0001mass%以上含有させることが好ましい。
Ta:0.5mass%以下
Taは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化を防止する効果があるので添加してもよい。しかし、その含有量が0.5mass%を超えて増加させても、それ以上は強度向上に寄与しないので、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Hf:0.5mass%以下
Hfは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化を防止する効果があるので添加してもよい。しかし、その含有量が0.5mass%を超えて増加させても、それ以上は強度向上に寄与しないので、0.5mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.02mass%以上とすることが好ましい。
Sb:0.015mass%以下
Sbは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、疲労強度、特に転動疲労の劣化を防止する効果があるので添加してもよい。しかし、その含有量が0.015mass%を超えて増加させると靱性が劣化するので、0.015mass%以下、好ましくは0.010mass%以下とする。なお、疲労強度の向上作用を発現させるためには、0.005mass%以上とすることが好ましい。
以上、好適成分組成範囲について説明したが、本発明では、成分組成を上記の範囲に限定するだけでは不十分で、母材組織の調整も重要である。
すなわち、本発明においては、母材の組織、すなわち焼入れ前の組織(高周波焼入れ後の硬化層以外の組織に相当)が、ベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織を有し、かつこれらベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率を体積分率( vol%)で10%以上とする必要がある。この理由は、ベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織は、フェライト−パーライト組織に比べて炭化物が微細に分散した組織であるため、焼入れ加熱時にオーステナイトの核生成サイトである、フェライト/炭化物界面の面積が増加し、これがオーステナイト粒界を凹凸化するのに有効に寄与するからである。そして、焼入れ硬化層の旧オーステナイト粒界の凹凸化により、粒界強度が上昇し、疲労強度が向上する。
ここに、ベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率は30 vol%以上、さらには60vol%以上とすることがより好ましい。
すなわち、高周波焼入れ前の母粗中のマルテンサイト相分率が30%を超えると、高周波焼入れ後の旧オーステナイト粒の粒界の凹凸化が低下するのみならず、硬質になるために被削性も劣化する。したがって、マルテンサイト分率は30%以下とすることが好ましい。
なお、ベイナイト組織あるいはマルテンサイト組織以外の残部組織は、フェライト、パーライト等いずれでもよく、特に規定しない。
また、本発明では、高周波焼入れ後の硬化層における旧オーステナイト粒の形態の調整も重要である。すなわち、高周波焼入れ後の硬化層に関し、旧オーステナイト粒界について、粒界長さの合計値Le(μm)と、粒界3重点同士を結ぶ直線の長さの合計値L(μm)とから、下記式(1)にて求められる粒界凹凸度Aが1.05以上とする必要がある。

A=Le/L・・・・(1)
粒界凹凸度Aが1.05以上とすることは、すなわち、旧オーステナイト粒界の凹凸度が大きいことを意味する。
図1に通常の焼入組織の旧オーステナイト粒すなわち凹凸度が小さい組織(図1(a))と、粒界の凹凸度が大きい組織(図1(b))とを比較して模式的に示す。図1(a)の場合には、粒界の3重点以外では粒界がほぼ直線形状をしている。これに対し、図1(b)の場合には、粒界の3重点以外においても粒界が湾曲している。したがって、この場合には上記した粒界凹凸度が大きい値を示すものとなる。
そして、発明者らは、図1(b)に示すように旧オーステナイト粒界の形態が、3重点以外において粒界が湾曲した形状をしており、上記粒界凹凸度Aのが1.05以上の組織を有している場合に、高い疲労強度が得られることを知見した。
ここで、高周波焼入れした部分について、鋼材表面から、マルテンサイト組織の面積率が98%に減少するまでの深さ領域を硬化層と定義する。また、上記粒界凹凸度Aの平均値は次のようにして求めるものとする。すなわち、硬化層について、表面から硬化層厚の1/5位置、1/2位置および4/5位置それぞれの位置を、光学顕微鏡により400倍(1視野の面積:0.25mm×0.225mm)から1000倍(1視野の面積:0.10mm×0.09mm)で、各位置毎に5視野観察し、全ての視野内の旧オーステナイト粒界全てについて、図1(c)に示すように、隣り合う3重点間同士を結ぶ直線の長さI1,I2,・・・・Inを求め、さらに、粒界長さle1,le2,・・・lenを求め、
L=Σ(I1,I2,・・・・In
Le=Σ(le1,le2,・・・len
として、上記式(1)により算出する。
このようにして求めた場合の粒界凹凸度と曲げ疲労強度との関係を、図2に示す。粒界凹凸度が1.05以上の場合に優れた曲げ疲労強度が得られることがわかる。ここで、曲げ疲労試験にあたっては、0.53mass%C−0.10mass%Si−0.74mass%Ma−0.37mass%Mo−0.018mass%Ti−0.0013mass%B鋼の150mm角ビレットを、1100℃に加熱した後、60mmφに棒鋼圧延して0.3℃/sで冷却したものから試験片を切り出し、該試験片に、硬化層厚を3mmとして高周波焼入れを施し、170℃×30分の焼戻しを行ったものを供試材として用いた。この際、高周波焼入れ時の加熱温度を変化させることで、種々の凹凸度の試験片を得た。曲げ疲労試験条件は下記のとおりとし、曲げ疲労強度は108回破断応力で評価した。

(曲げ疲労試験条件)
試験はJIS Z2274に準拠した回転曲げ疲労試験とした。試験片は8mmφの平行部を有する平滑試験片(1号試験片)とし、数種の曲げ応力(S)を適用して破断までの回転数(N)に対してS−N線図を作図した上で、108回破断応力を求めた。
さらに、本発明において、高周波焼入れによる硬化層厚みは2mm以上とする。というのは、所望特性が転動疲労寿命のような極表層付近の組織のみに依存するような場合には、硬化層厚みが1mm程度でもそれなりの効果は得られるが、本発明のように疲労強度を問題とする場合には、硬化層厚みは2mm以上はないと、効果が期待できないからである。より好ましい硬化層厚みは 2.5mm以上、さらに好ましくは3mm以上である。
次に、本発明の製造条件について説明する。
所定の成分組成に調整した鋼材を、棒鋼圧延または熱間鍛造後、必要に応じて冷間圧延、冷間鍛造または切削加工を施したのち、高周波焼入れを施して、製品とする。
本発明では、母材組織を、上述したベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織を有し、かつこれらベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率が10 vol%以上の組織とするために、高周波焼入れを施す前の素材鋼材については、圧延・鍛造等の熱間加工により所定の形状に加工したのち、0.2 ℃/s以上の速度で冷却する必要がある。というのは、冷却速度が0.2 ℃/s未満の場合には、ベイナイトあるいはマルテンサイト組織が得られ難くなり、これら組織の合計の組織分率が10 vol%に達しない場合が生じるからである。熱間加工後の冷却速度の好適範囲は 0.3〜30℃/sである。
なお、熱間加工は 900℃超〜1150℃の温度範囲で行うことが好ましい。900 ℃以下では、必要なベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織が得られず、一方1150℃超では加熱コストが大きくなるため、経済的に不利となるからである。さらに、前記熱間加工を施すにあたり、加熱温度を1000〜1250℃とする。加熱温度が1000℃未満とすると、熱間での変形抵抗が大きくなり、複雑な形状への加工が困難となる。また、加熱温度が1000〜1250℃の範囲内でないと、上述した旧オーステナイト粒の凹凸度が得られなくなる。
次に、本発明では、上述した硬化層を得るために高周波焼入れを施すが、この高周波焼入れ時の加熱温度範囲は 800〜950℃とする必要がある。というのは、加熱温度が 800℃未満の場合、オーステナイト組織の生成が不十分となり、上述した硬化層組織の生成が不十分となる結果、十分な疲労強度を確保することができず、一方、加熱温度が950℃超えの場合、オーステナイト粒界の移動が促進されて粒界が平坦化し、上述の凹凸度が得られずに、やはり疲労強度の低下を招くからである。より好ましい加熱温度範囲は、800〜950 ℃である。
また、本発明においては、高周波焼入れは、上記加熱温度範囲における加熱時間を5秒以下とすることが好ましい。というのは、加熱時間を5秒超とした場合には、上述の旧オーステナイト粒界の凹凸度を達成することができない。より好ましい加熱時間は3秒以下である。
表1に示す成分組成になる鋼素材を、転炉により溶製し、連続鋳造により鋳片とした。鋳片サイズは 300×400mm であった。この鋳片を、ブレークダウン工程を経て150 mm角ビレットに圧延したのち、種々の加熱温度に加熱して、24〜60mmφの棒鋼に圧延した。圧延後の冷却は表2に示す条件とした。
ついで、この棒鋼から、JIS Z2274、1号試験片(平行部8mmφ)の曲げ疲労試験片を作製し、この曲げ疲労試験片に、周波数:15 kHzの高周波焼入れ装置を用いて、表2に示す加熱温度、保持時間で焼入れを行った後、加熱炉を用いて 170℃×30分の条件で焼もどしを行い、その後ねじり疲労試験を行った。
曲げ疲労試験は、小野式回転曲げ試験機を用いて、応力(S)に対する破断くり返し(N)のS−N線図を作成することによって、1×108 回の寿命となる応力を疲労強度として評価した。
得られた結果を表2に併記する。
また、同じ条件で作製した曲げ試験片について、鋼材の母材組織、焼入れ後の硬化層厚み、硬化層の全厚にわたって得られる平均硬化層粒径(旧オーステナイト粒径)および旧オーステナイト粒界の凹凸度を、光学顕微鏡を用いて測定した。
表2には、これらの結果も併記する。
ここで、硬化層厚みについては、前述したように、鋼材表面からマルテンサイト組織の面積率が98%に減少する深さまでとした。さらに、硬化層粒径については、表面から硬化層厚の 1/5位置、1/2 位置および4/5 位置それぞれの位置における平均旧オーステナイト粒径を測定し、それらの最大値を示した。
なお、硬化層粒径の測定は、硬化層の厚さ方向に切断した断面について、水:500 gに対しピクリン酸:50gを溶解させたピクリン酸水溶液に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:11g、塩化第1鉄:1gおよびシュウ酸:1.5 gを添加したものを腐食液として作用させ、旧オーステナイト粒界を現出させて行った。
また、旧オーステナイトの凹凸は、表面から硬化層厚の1/5位置、1/2位置および4/5位置それぞれの位置において、400〜1000倍で5視野ずつ観察し、全ての視野内の旧オーステナイト粒界の全てについて、隣り合う3重点間同士を結ぶ直線の長さを求め、これらを合計してLを算出し、さらに全旧オーステナイト粒界長さLeを求め、上記式(1)により、粒界凹凸度Aを求めた。この値が大きい程、凹凸度は大きいことになる。
Figure 2007231348
Figure 2007231348
表2から明らかなように、本発明で規定した成分組成範囲を満足し、かつ本発明の高周波焼入れ条件を満たす条件で製造した鋼材はいずれも、硬化層の旧オーステナイト粒界の凹凸度が1.05以上を満たしており、その結果高い曲げ疲労強度を得ることができた。
なお、上記の実施例では、疲労特性として主に曲げ疲労特性を例に挙げて説明したが、本発明によれば、他の疲労特性、すなわちねじり疲労特性、転動疲労特性およびすべり転動疲労特性等のような旧オーステナイト粒界での破壊、亀裂進転が関与する疲労特性についても、同様な優れた効果を得られることは言うまでもない。
旧オーステナイト粒界の形態を説明する図であり、(a)は凹凸度が小の場合を、(b)は凹凸度が大の場合を、(c)は凹凸度の測定法を示す。 旧オーステナイト粒界の凹凸度と、曲げ疲労強度との関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. C:0.35〜0.7 mass%、
    Si: 1.1mass%以下、
    Mn:0.1 〜2.0 mass%、
    Al:0.25mass%以下、
    Ti:0.005 〜0.1 mass%、
    Mo:0.05〜0.6 mass%、
    B:0.0003〜0.006 mass%、
    S:0.10mass%以下、
    P:0.03mass%以下および
    Cr:0.2 mass%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になり、母材組織が、ベイナイト組織および/またはマルテンサイト組織を有し、かつこれらベイナイト組織とマルテンサイト組織の合計の組織分率が10%以上であり、さらに高周波焼入れ後の硬化層の旧オーステナイト粒界について、粒界長さの合計値Le(μm)と、隣り合う粒界3重点同士を結ぶ直線の長さの合計値L(μm)とから、下記式(1)にて求められる粒界凹凸度Aの値が1.05以上であることを特徴とする、疲労特性に優れた鋼材。

    A=Le/L・・・・(1)
  2. 請求項1において、前記鋼材が、さらに
    Cu:1.0 mass%以下、
    Ni:3.5 mass%以下、
    Co:1.0 mass%以下、
    Nb:0.1 mass%以下、
    V:0.5 mass%以下および
    W:1.0mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、疲労特性に優れた鋼材。
  3. 請求項1または2において、前記鋼材が、さらに
    Ca:0.005mass%以下、
    Mg:0.005mass%以下、
    Te:0.005mass%以下、
    Se:0.1mass%以下、
    Bi:0.5mass%以下、
    Pb:0.5mass%以下、
    REM:0.1mass%以下、
    Ta:0.5mass%以下、
    Hf:0.5mass%以下および
    Sb:0.015mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、疲労特性に優れた鋼材。
  4. C:0.35〜0.7 mass%、
    Si:1.1 mass%以下、
    Mn:0.1〜2.0 mass%、
    Al:0.25mass%以下、
    Ti:0.005 〜0.1 mass%、
    Mo:0.05〜0.6 mass%、
    B:0.0003〜0.006 mass%、
    S:0.10mass%以下、
    P:0.03mass%以下および
    Cr:0.2 mass%以下
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼素材を、1000〜1250℃に加熱した後に熱間加工し、その後0.2 ℃/s以上の速度で冷却したのち、焼入れ時の加熱温度:800 〜950℃、該加熱温度の範囲での加熱時間:5秒以下の条件下で高周波焼入れを行い、厚み2mm以上の硬化層を形成させることを特徴とする、疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
  5. 請求項4において、前記鋼素材が、さらに
    Cu:1.0 mass%以下、
    Ni:3.5 mass%以下、
    Co:1.0 mass%以下、
    Nb:0.1 mass%以下、
    V:0.5 mass%以下および
    W:1.0mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、疲労特性に優れた鋼材の製造方法。
  6. 請求項4または5において、前記鋼素材が、さらに
    Ca:0.005mass%以下、
    Mg:0.005mass%以下、
    Te:0.005mass%以下、
    Se:0.1mass%以下、
    Bi:0.5mass%以下、
    Pb:0.5mass%以下、
    REM:0.1mass%以下、
    Ta:0.5mass%以下
    Hf:0.5mass%以下および
    Sb:0.015mass%以下
    のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする疲労特性に優れた鋼材の製造方法。

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JP2009228075A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Jfe Steel Corp 加工性および高周波焼入れ後の強度特性に優れる高周波焼入れ用鋼および強度特性に優れる高周波焼入れ部品

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