JP2007231267A - シール材用熱可塑性エラストマー組成物、成形部材、及びコンデンサ - Google Patents

シール材用熱可塑性エラストマー組成物、成形部材、及びコンデンサ Download PDF

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Seiji Morioka
誠次 森岡
Kentarou Kanae
健太郎 鼎
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Abstract

【課題】リサイクル可能であるとともに、強度、柔軟性、耐溶剤性、耐透湿性、オイルブリード性、及びシール性に優れたシール材を製造することができるシール材用熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】(A)イソブチレン−イソプレン共重合ゴムと、(B)α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂、及び環状オレフィン系熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂成分と、を含む原料組成物を、(C)架橋剤の存在下に動的に熱処理してなる、可塑剤及び軟化剤を実質的に含有しないシール材用熱可塑性エラストマー組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、シール材用熱可塑性エラストマー組成物、成形部材、及びコンデンサに関する。
種々の電気・機械部品において、少なくともその一部を区画するための部材として各種のシール材が用いられている。一例を挙げると、電解コンデンサ(以下、単に「コンデンサ」という)においては、その一端に開口部を有する金属材料等からなる外装ケース内に、電解液を含浸したコンデンサ素子が収容されるが、その開口部を封止するためにシール材が用いられている。このようなシール材の特性は、電解液の蒸発拡散に伴うコンデンサの性能劣化に関して多大な影響を及ぼすことが知られている。従って、電解液の種類と、それに適応する物性を有するシール材を選択することは、非常に重要である。
このようなシール材を構成する材料としては、従来、ブチルゴムを主成分とするゴム材料が多用されてきた(例えば、特許文献1,2参照)。しかしながら、ブチルゴムを主成分とするゴム材料を用いたシール材は、耐溶剤性が十分とはいえない場合があった。このようなブチルゴムの特性を改良すべく、アルキルフェノールホルマリン樹脂を架橋剤として使用してブチルゴムを架橋した樹脂架橋ブチルゴムをコンデンサ用のシール材として用いることが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
また、耐溶剤性等の向上を目的として、飽和炭化水素系重合体を特定の硬化剤で硬化させた樹脂材料を用いて、コンデンサのシール材を構成する試みがなされている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、樹脂材料を主体とする材料で構成されたコンデンサ用のシール材は、ゴム材料からなるシール材に比べて、柔軟性やシール性が良好であるとはいえなかった。
一方、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂と、架橋されたブチルゴムを含有する熱可塑性エラストマー組成物、及びそれを用いたコンデンサ用部品(シール材)(例えば、特許文献5参照)、インクジェットプリンター用インクチューブ(チューブ材)(例えば、特許文献6参照)が開示されている。しかしながら、特許文献5で開示された熱可塑性エラストマー組成物からなるシール材であっても、強度、柔軟性、耐溶剤性、耐透湿性、及びシール性等の諸特性は、必ずしも満足できるものではなかった。なお、近年の環境保護の観点から、各種の電気・機械部品を構成する材料についても、リサイクル可能であることの重要性が高まりつつある。シール材の構成材料についても例外ではなく、リサイクル可能であることが要求されるが、シール材としての好適な特性を発揮しつつ、同時にリサイクル可能な材料は、これまで見出されていないのが現状であった。
また、特許文献6で開示された熱可塑性エラストマー組成物からなるチューブ材であっても、柔軟性、非汚染性(オイルブリード)等の諸特性は、必ずしも満足できるものではなかった。
特開昭55−158621号公報 特開平1−114030号公報 特許第3682786号公報 特開2004−165259号公報 特開2001−316483号公報 特開2004−142364号公報
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、リサイクル可能であるとともに、強度、柔軟性、耐溶剤性、耐透湿性、オイルブリード性、及びシール性に優れたシール材を製造することができるシール材用熱可塑性エラストマー組成物、リサイクル可能であるとともに、強度、柔軟性、耐溶剤性、耐透質性、オイルブリード性、及びシール性に優れた成形部材、並びに、小型であるとともに気密性に優れ、長期間使用可能なコンデンサを提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、特定のゴム成分及び熱可塑性樹脂成分を含む原料組成物を動的に熱処理して架橋するとともに、可塑剤及び軟化剤を実質的に含有させないことによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すシール材用熱可塑性エラストマー組成物、成形部材、及びコンデンサが提供される。
[1](A)イソブチレン−イソプレン共重合ゴムと、(B)α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂、及び環状オレフィン系熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂成分と、を含む原料組成物を、(C)架橋剤の存在下に動的に熱処理してなる、可塑剤及び軟化剤を実質的に含有しないシール材用熱可塑性エラストマー組成物。
[2]前記(A)ゴム成分の含有割合が、前記(A)ゴム成分と前記(B)熱可塑性樹脂成分の合計量を100質量%とした場合に、10〜90質量%である前記[1]に記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物。
[3]前記(B)熱可塑性樹脂成分が、密度0.89g/cm以上のプロピレン重合体である前記[1]又は[2]に記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物。
[4]前記(C)架橋剤が、有機過酸化物、及び/又はフェノール系架橋剤である前記[1]〜[3]のいずれかに記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物。
[5]JIS K7129にて規定される透湿度測定法により、厚み500μmの試料で測定した透湿度が、0.6g/m・24h以下である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形部材。
[7]シール材、又はチューブ材である前記[6]に記載の成形部材。
[8]コンデンサ用、バッテリー用、トナーケース用、インクカートリッジを含むインクジェットプリンター用、フラットパネルディスプレイ用、又は筐体用である前記[6]又は[7]に記載の成形部材。
[9]シール部を有する容器であって、前記シール部が、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物からなるシール材が配設されることにより構成された容器。
[10]コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収容する、少なくとも一の開口部を有する外装ケースと、前記開口部を封止する前記[1]〜[5]のいずれかに記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物からなるシール材と、を備えたコンデンサ。
本発明のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、リサイクル可能であるとともに、強度、柔軟性、耐溶剤性、耐透湿性、オイルブリード性、及びシール性に優れたシール材を製造することができるという効果を奏するものである。
また、本発明の成形部材は、リサイクル可能であるとともに、強度、柔軟性、耐溶剤性、耐透湿性、オイルブリード性、及びシール性に優れているという効果を奏するものである。
本発明のコンデンサは、小型であるとともに気密性に優れ、長期間使用可能であるという効果を奏するものである。
以下、本発明の実施の最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
1.シール材用熱可塑性エラストマー組成物:
本発明のシール材用熱可塑性エラストマー組成物の一実施形態は、(A)イソブチレン−イソプレン共重合ゴム(以下、「(A)成分」、又は単に「ブチルゴム」ともいう)と、(B)α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂、及び環状オレフィン系熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂成分(以下、「(B)成分」ともいう)と、を含む原料組成物を、(C)架橋剤(以下、「(C)成分」ともいう)の存在下に動的に熱処理してなる、可塑剤及び軟化剤を実質的に含有しないものである。以下、その詳細について説明する。
((A)イソブチレン−イソプレン共重合ゴム)
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物を構成する(A)成分は、イソブチレン−イソプレン共重合ゴムである。この(A)成分は、イソブチレンに由来する構成単位と、イソプレンに由来する構成単位とを含む、不飽和度の低いゴム状無晶形共重合体である。このイソブチレン−イソプレン共重合ゴムは、例えば、イソブチレンと少量のイソプレンを、メチルクロリド中で、無水塩化アルミニウムを触媒として使用して−100℃程度の低温でスラリー重合した後、乾燥することにより得ることができる。
イソブチレン−イソプレン共重合ゴムに含まれる、イソプレンに由来する構成単位の割合は、全構成単位を100mol%とした場合に、0.5〜15mol%であることが好ましく、0.8〜5.0mol%であることが更に好ましい。イソプレンに由来する構成単位の割合が0.5mol%未満であると、架橋反応が遅延する傾向にあり、機械的強度が十分でない場合がある。一方、イソプレンに由来する構成単位の割合が15mol%超であると、シール材用熱可塑性エラストマー組成物の架橋密度が過度に上昇し、シール材の機械的物性が低下する傾向にある。
((B)熱可塑性樹脂成分)
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物を構成する(B)成分は、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂、及び環状オレフィン系熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂成分である。
(α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂)
α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂は、α−オレフィンに由来する構成単位(b1)を含む重合体である。また、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の、X線回折による結晶化度は50%以上、好ましくは53%以上、更に好ましくは55%以上である。この結晶化度は、密度と密接に関係している。例えば、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合、α型結晶(単斜晶形)の密度は0.936g/cm、スメチカ型微結晶(擬六方晶形)の密度は0.886g/cm、非晶質(アタクチック)成分の密度は0.850g/cmである。また、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂がポリ−1−ブテンである場合、アイソタクチック結晶成分の密度は0.91g/cm、非晶質(アタクチック)成分の密度は0.87g/cmである。
従って、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の密度は、0.89g/cm以上、好ましくは0.90〜0.94g/cmである。密度を0.89g/cm以上とすることにより、結晶化度を50%以上とすることができる。なお、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の、結晶化度が50%未満、及び/又は密度が0.89g/cm未満であると、得られるシール材の耐熱性、機械的強度等が低下する傾向にある。
構成単位(b1)を構成するα−オレフィンは、炭素数が2〜12のものであることが好ましい。なかでも、プロピレン、1−ブテンが更に好ましい。α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂に含まれる構成単位(b1)の割合は、全構成単位を100mol%とした場合に、80mol%以上であることが好ましく、90〜100mol%であることが更に好ましい。80mol%未満であると、機械的強度が十分でない場合がある。
α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂は、構成単位(b1)以外の他の構成単位(b2)を含む共重合体であってもよい。この共重合体は、ブロック共重合体とランダム共重合体のいずれであってもよい。但し、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂がブロック共重合体である場合、このブロック共重合体の結晶化度を50%以上とするためには、構成単位(b2)の割合は、全構成単位を100mol%とした場合に、40mol%以下であることが好ましく、20mol%以下であることが更に好ましい。なお、このブロック共重合体は、例えば、チーグラー・ナッタ触媒を用いたリビング重合により製造することができる。
また、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂がランダム共重合体である場合、このランダム共重合体の結晶化度を50%以上とするためには、構成単位(b2)の割合は、全構成単位を100mol%とした場合に、15mol%以下であることが好ましく、10mol%以下であることが更に好ましい。なお、このランダム共重合体は、例えば、チーグラー・ナッタ触媒、可溶性バナジウム化合物、有機アルミニウム化合物、及び溶媒を含む触媒成分の存在下で、α−オレフィン等を重合することにより得ることができる。重合方法としては、中・低圧法等を挙げることができ、気相法(流動床又は撹拌床)、液相法(スラリー法又は溶液法)等で製造することができる。重合時には、必要に応じて、水素ガス等の分子量調節剤を用いてもよい。
触媒成分に含まれる可溶性バナジウム化合物としては、VOCl及び/又はVClと、アルコールとの反応生成物を用いることが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、n−デカノール、n−ドデカノール等を挙げることができる。これらのうち、炭素数3〜8のアルコールが好ましい。
触媒成分に含まれる有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジクロリド、トリメチルアルミニウムと水との反応生成物であるメチルアルミノキサン等を挙げることができる。これらのうち、エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリドとトリイソブチルアルミニウムとの混合物、トリイソブチルアルミニウムとブチルアルミニウムセスキクロリドとの混合物が好ましい。
触媒成分に含まれる溶媒としては、炭化水素が好ましい。なかでも、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサンが更に好ましい。これらの溶媒を、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の、示差走査熱量測定法により測定される最大ピーク温度(融点)は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることが更に好ましい。α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の融点が100℃未満であると、得られるシール材の耐熱性、及び機械的強度が不十分となる傾向にある。
また、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂のメルトフローレート(MFR)(温度230℃、荷重2.16kg)は、0.1〜1000g/10分であることが好ましく、0.5〜500g/10分であることが更に好ましく、1〜100g/10分であることが特に好ましい。α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂のMFRが0.1g/10分未満であると、原料組成物の混練加工性、押出加工性等が不十分となる傾向にある。一方、1000g/10分超であると、得られるシール材の機械的強度が低下する傾向にある。
従って、α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂としては、結晶化度が50%以上、密度が0.89g/cm以上、構成単位(b1)以外の構成単位の含有量が20mol%以下、融点が100℃以上、かつ、MFRが0.1〜100g/10分であるものが好ましい。特に、融点が140〜170℃である、プロピレン重合体及び/又はプロピレンと、エチレンとの共重合体が好ましく、特に、密度0.89g/cm3以上のプロピレン重合体が好ましい。なお、二種以上のα−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂を併用することもできる。
α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂の具体例としては、プライムポリマー社、サンアロマー社、及び日本ポリプロ社から発売されているプロピレン重合体、プロピレン・エチレンランダム重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体等を挙げることができる。より具体的には、商品名「ノバテック」(日本ポリプロ社製)、商品名「ウィンテック」(日本ポリプロ社製)、商品名「ニューフォーマー」(日本ポリプロ社製)、商品名「ニューストレン」(日本ポリプロ社製)、商品名「ニューコン」(日本ポリプロ社製)等を挙げることができ、なかでもプロピレン重合体のグレードが好ましい。
(α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂)
α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂は、α−オレフィンに由来する構成単位(b3)を含み、X線回折による結晶化度が50%未満、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下のものである。また、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の密度は、0.85〜0.89g/cmであることが好ましく、0.85〜0.88g/cmであることが更に好ましい。
構成単位(b3)を構成するα−オレフィンは、炭素数が3以上のものであることが好ましく、炭素数が3〜12のものであることが更に好ましい。また、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂に含まれる構成単位(b3)の割合は、全構成単位を100mol%とした場合に、60mol%以上であることが好ましい。60mol%未満であると、機械的強度が十分でない場合がある。
α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の具体例としては、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリ1−ブテン等の単独重合体;50mol%超のプロピレンと、他のα−オレフィン(エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)とからなる共重合体;50mol%超の1−ブテンと、他のα−オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等)とからなる共重合体等を挙げることができる。なかでも、アタクチックポリプロピレン、50mol%超のプロピレンとエチレンとからなる共重合体、50mol%超のプロピレンと1−ブテンとからなる共重合体が特に好ましい。
アタクチックポリプロピレン、及びアタクチックポリ−1−ブテンは、ジルコノセン化合物−メチルアルミノキサン触媒を用いる重合方法によって製造することができる。なお、アタクチックポリプロピレンは、前述のα−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂として例示したポリプロピレンの副生成物として得ることもできる。
α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂が共重合体である場合に、この共重合体は、ブロック共重合体とランダム共重合体のいずれであってもよい。但し、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂がブロック共重合体である場合、このブロック共重合体に含まれる構成単位(b3)の割合は、全構成単位を100mol%とした場合に、60〜100mol%以上であることが好ましい。60mol%未満であると、機械的強度が十分でない場合がある。
α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の、GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、1000以上であることが好ましく、1500以上であることが更に好ましい。α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂のMnが1000未満であると、物理特性に劣る傾向にある。
α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂の市販品としては、商品名「ベストプラスト」(デグサ社製)、商品名「APAO」(ハンツマン社製)等を挙げることができる。
(環状オレフィン系樹脂)
環状オレフィン系樹脂の具体例としては、下記一般式(1)で表される環状オレフィンの(共)重合体を挙げることができる。
Figure 2007231267
前記一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の有機基であり、RとR、及びRとRは、いずれも一体化して2価の有機基を形成してもよい。また、RとR、及びRとRは、いずれも、互いに結合して単環構造又は多環構造を形成してもよい。mは、0又は正の整数であり、pは、0又は正の整数である。
より具体的な環状オレフィン系樹脂としては、以下に示す(i)〜(vii)のいずれかの(共)重合体を挙げることができる。
(i)前記一般式(1)で表される環状オレフィンの開環重合体。
(ii)前記一般式(1)で表される環状オレフィンと共重合性単量体との開環共重合体。
(iii)前記(i)又は(ii)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体。
(iv)前記(i)又は(ii)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化した後、水素添加して得られた(共)重合体。
(v)前記一般式(1)で表される環状オレフィンと、不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体。
(vi)前記一般式(1)で表される環状オレフィンと、ビニル系環状炭化水素系単量体及び/又はシクロペンタジエン系単量体との付加型(共)重合体、並びにその水素添加(共)重合体。
(vii)前記一般式(1)で表される環状オレフィンと、アクリレートとの交互共重合体。
(環状オレフィン)
前記一般式(1)における1価の有機基としては、炭素数1〜30の炭化水素基、炭化水素基以外の1価の極性基を挙げることができる。1価の極性基としては、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基等を挙げることができる。なお、これらの極性基は、メチレン基等の連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基等の極性を有する2価の有機基からなる連結基を介して結合した炭化水素基等も、極性基の具体例として挙げることができる。これらの極性基のうち、カルボキシル基、水酸基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基が特に好ましい。前記一般式(1)で表される環状オレフィンは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記一般式(1)で表される環状オレフィンとしては、例えば、以下の化合物を例示することができる。なお、環状オレフィンは、これらの化合物に限定されるものではない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]−8−デセン、トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン。
前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭化水素基であることが好ましい。炭化水素機の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1又は2であることが特に好ましい。R及びRは、アルキル基であることが特に好ましく、メチル基であることが最も好ましい。
また、前記一般式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基であり、かつ、R及びRのうちの少なくともいずれかが、水素原子、又は前記1価の極性基であることが好ましい。
前記一般式(1)中、mは、0〜3の整数であることが好ましく、pは、0〜3の整数であることが好ましい。m+pの値が、0〜4であることが好ましく、0〜2であることが更に好ましく、m=1、p=0であることが特に好ましい。m=1、p=0である環状オレフィンは、ガラス転移温度が高く、かつ機械的強度も優れた環状オレフィン系樹脂が得られる点で最も好ましい。
更に、R及びRのうちの少なくともいずれかが、下記一般式(2)で表される極性基である環状オレフィンは、高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有する環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
−(CHCOOR (2)
前記一般式(2)中、Rは炭化水素基である。Rの炭素数は、1〜12であることが好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1又は2であることが特に好ましい。なお、Rは、アルキル基であることが好ましい。また、前記一般式(2)中、nは0〜5の整数である。nの値が小さい環状オレフィンほど、ガラス転移温度が高い環状オレフィン系樹脂が得られるため好ましく、n=0である環状オレフィンは、その合成が容易である点で特に好ましい。特に、前記一般式(2)で表される極性基は、アルキル基であるR及びRが結合している炭素原子に結合していることが、吸湿性の低い環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。
前記(i)開環重合体は、メタセシス触媒の存在下で、前述の環状オレフィンを開環重合させることにより得ることができる。また、前記(ii)開環共重合体は、前述の環状オレフィンと共重合性単量体とを開環共重合させることにより得ることができる。
(ii)開環共重合体を得るに際して用いられる前記共重合性単量体としては、シクロオレフィンを挙げることができる。このシクロオレフィンの炭素数は、4〜20であることが好ましく、5〜12であることが更に好ましい。共重合性単量体のより具体的な例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン等を挙げることができる。これらのシクロオレフィンは、一種単独で用いても、二種以上を併用してもよい。なお、環状オレフィン系樹脂の市販品としては、商品名「ARTON」(JSR社製)、商品名「TOPAS」(独Ticona社製)、商品名「アペル」(三井化学社製)、商品名「ゼオネックス」(日本ゼオン社製)、及び商品名「ゼオノア」(日本ゼオン社製)等を挙げることができる。
(ゴム成分と熱可塑性樹脂成分の割合)
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物中の(A)成分の含有割合は、(A)成分と(B)成分の合計量を100質量%とした場合に、10〜90質量%であることが好ましく、15〜85質量%であることが更に好ましく、20〜85質量%であることが特に好ましい。(A)成分の含有割合が10質量%未満であると、得られるシール材用熱可塑性エラストマー組成物の柔軟性及びゴム弾性が低下する傾向にある。一方、(A)成分の含有割合が90質量%超であると、得られるシール材用熱可塑性エラストマー組成物の相構造(モルホロジー)が、動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物の特徴である良好な海島構造(熱可塑性樹脂が海(マトリックス)、架橋したゴムの粒子が島(ドメイン))になり難く、流動性及び成形加工性が低下する傾向にある。
((C)架橋剤)
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物を製造するために用いられる(C)成分は、架橋剤である。(C)成分の種類は、特に限定されない。但し、(B)成分の融点以上の温度における動的熱処理により、少なくとも(A)成分を架橋し得る化合物であることが好ましい。
(C)成分の具体例としては、有機過酸化物、フェノール樹脂架橋剤、硫黄、硫黄化合物、p−キノン、p−キノンジオキシムの誘導体、ビスマレイミド化合物、エポキシ化合物、シラン化合物、アミノ樹脂、ポリオール架橋剤、ポリアミン、トリアジン化合物、金属石鹸等を挙げることができる。なかでも、有機過酸化物、フェノール樹脂架橋剤が好ましい。これらを一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
有機過酸化物としては、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−3、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,2’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−イソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシド、p−メンタンパーオキシド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジラウロイルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ(t−ブチルパーオキシ)パーベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等を挙げることができる。なかでも、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジーt−ブチルパーオキサイドが好ましい。これらを一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノール樹脂架橋剤としては、例えば、下記一般式(3)で表されるp−置換フェノール系化合物、o−置換フェノール・アルデヒド縮合物、m−置換フェノール・アルデヒド縮合物、臭素化アルキルフェノール・アルデヒド縮合物等を挙げることができる。なかでも、p−置換フェノール系化合物が好ましい。これらを一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 2007231267
前記一般式(3)中、Rは炭素数1〜15の飽和炭化水素基であり、nは0〜10の整数である。なお、p−置換フェノール系化合物は、アルカリ触媒の存在下における、p−置換フェノールとアルデヒド(好ましくはホルムアルデヒド)との縮合反応により得ることができる。
フェノール系架橋剤の市販品としては、商品名「タッキロール201」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、商品名「タッキロール250−I」(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、商品名「タッキロール250−III」(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、商品名「PR−4507」(群栄化学工業社製)、商品名「ST137X」(ローム&ハース社製)、商品名「スミライトレジンPR−22193」(住友デュレズ社製)、商品名「タマノル531」(荒川化学社製)、商品名「SP1059」、商品名「SP1045」、商品名「SP1055」、商品名「SP1056」(以上、スケネクタディ社製)、商品名「CRM−0803」(昭和ユニオン合成社製)を挙げることができる。なかでも、「タッキロール201」が好ましく使用される。
架橋剤の使用量は、シール材用熱可塑性エラストマー組成物を製造するための原料組成物に含まれる(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.01〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜15質量部とすることが更に好ましく、1〜10質量部とすることが更に好ましい。
架橋剤として有機過酸化物を使用する場合において、この有機過酸化物の使用量は、シール材用熱可塑性エラストマー組成物を製造するための原料組成物に含まれる(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部とすることが好ましく、0.1〜5質量部とすることが更に好ましい。有機過酸化物の使用量が10質量部超であると、架橋度が過度に高くなり、成形加工性が低下し、得られるシール材用熱可塑性エラストマー組成物の機械的物性が低下する傾向にある。一方、有機過酸化物の使用量が0.05質量部未満であると、架橋度が不足し、得られるシール材用熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性及び機械的強度が低下する傾向にある。
また、架橋剤としてフェノール樹脂架橋剤を使用する場合において、このフェノール樹脂架橋剤の使用量は、シール材用熱可塑性エラストマー組成物を製造するための原料組成物に含まれる(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、0.2〜20質量部とすることが好ましく、0.5〜10質量部とすることが更に好ましく、1〜5質量部とすることが特に好ましい。フェノール樹脂架橋剤の使用量が20質量部超であると、成形加工性が低下する傾向にある。一方、フェノール樹脂架橋剤の使用量が0.2未満であると、架橋度が不足し、得られるシール材用熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性及び機械的強度が低下する傾向にある。
架橋剤とともに、架橋助剤及び/又は架橋促進剤を用いると、架橋反応を穏やかに行うことができ、均一な架橋を形成することができるために好ましい。架橋剤として有機過酸化物を用いる場合には、架橋助剤として、硫黄、硫黄化合物(粉末硫黄、コロイド硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、表面処理硫黄、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等)、オキシム化合物(p−キノンオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンオキシム等)、多官能性モノマー類(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、トリアリルシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−トルイレンビスマレイミド、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛等)等を用いることが好ましい。なかでも、p,p’−ジベンゾイルキノンオキシム、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジビニルベンゼンが好ましい。これらを一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドは、架橋剤としての作用を示すものであるため、架橋剤として単独で使用することもできる。
架橋剤として有機過酸化物を使用する場合における、架橋助剤の使用量は、原料組成物に含まれる(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、0.2〜5質量部とすることが更に好ましい。架橋助剤の使用量が10質量部超であると、架橋度が過度に高くなり、成形加工性が低下し、得られるシール材用熱可塑性エラストマー組成物の機械的物性が低下する傾向にある。
(添加剤、充填剤)
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤及び/又は充填剤を含有させることができる。添加剤としては、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、耐候剤、非ハロゲン系難燃剤、充填剤、防菌・防かび剤、ブロッキング剤、シール性改良剤、熱安定剤、光安定剤、銅害防止剤等の安定剤、金属不活性剤、結晶核剤、粘着付与剤、発泡助剤、着色剤(染料、顔料等)等を挙げることができる。
また、最終製品の装着性等の摺動特性を向上させるため、本発明の効果を損なわない範囲で滑剤成分を添加することができる。滑剤成分としては、金属石鹸、オレフィン樹脂ワックス、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪アルコール、脂肪酸エステル等を挙げることができる。また、滑剤成分は、最終製品の通常使用温度下において固形状のもの、又は高粘度特性を示すものが好ましい。液状のものや低粘度特性のものでは、シール材用熱可塑性エラストマー組成物からの溶出に起因する肉痩せ等の不具合が生じ易く、長期間にわたってシール性を維持できなくなる場合がある。
また、充填剤としては、フェライト等の金属粉末、ガラス繊維、金属繊維等の無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の有機繊維、複合繊維、チタン酸カリウムウィスカー等の無機ウィスカー、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、マイカ、炭酸カルシウム、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、アルミナ、アルミナシリカ、ケイ酸カルシウム、ハイドロタルサイト、カオリン、けい藻土、グラファイト、軽石、エボ粉、コットンフロック、コルク粉、硫酸バリウム、フッ素樹脂、ポリマービーズ、カーボンブラック、セルロースパウダー、ゴム粉、木粉等を挙げることができる。
(その他の重合体成分)
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物には、(A)成分及び(B)成分以外にも、その他の重合体成分が含有されていてもよい。含有させることのできるその他の重合体成分の種類は、得られるシール材用熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度、柔軟性、耐透湿性等を阻害しないものであれば、特に限定されない。
その他の重合体成分としては、アイオノマー樹脂、アミノアクリルアミド重合体、ポリエチレン及びその無水マレイン酸グラフト重合体、ポリイソブチレン、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキサイド、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリプロピレン及びその無水マレイン酸グラフト重合体、ポリイソブチレン及びその無水マレイン酸グラフト重合体、塩素化ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、ACS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、MBS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート、ビニルアルコール樹脂、ビニルアセタール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、ニトリルゴム及びその水素添加物、アクリルゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、単純ブレンド型オレフィン系熱可塑性エラストマー、インプラント型オレフィン系熱可塑性エラストマー、動的架橋型オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエン−イソプレンブロック共重合体、水添ブタジエンブロック共重合体を挙げることができる。これらの重合体成分は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
(シール材用熱可塑性エラストマー組成物)
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、可塑剤を実質的に含有しないものである。従って、可塑剤の揮発等に起因する肉痩せ等の不具合が生じ難く、長期間にわたって優れたシール性を発揮するものである。また、本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、軟化剤を実質的に含有しないものである。従って、長期間にわたってシール特性を維持できるため、例えばコンデンサ用のシール材の構成材料として使用する場合に、コンデンサに内封する物質、例えば電解液の透過減量を少なくすることができる。ここで、本明細書にいう、可塑剤及び軟化剤を「実質的に含有しない」とは、可塑剤及び軟化剤の合計の含有割合が、シール材用熱可塑性エラストマー組成物の全体に対して、5.0質量%以下、好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下であることをいう。なお、最も好ましい可塑剤及び軟化剤の含有割合は、0.1質量%以下である(即ち、全く含まれていない)。
なお、本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、微量の可塑剤を含有させることもできる。含有させることのできる可塑剤としては、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジメチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソオクチルセバケート等の脂肪酸エステル類;トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸n−オクチルエステル、トリメリット酸系イソノニルエステル等のトリメリット酸エステル類の他、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート、ジエチレングリコールモノオレート、グリセリルモノリシノレート、トリラウリルホスフェート、トリステアリルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、エポキシ化大豆油、ポリエーテルエステル等を挙げることができる。一方、使用することが好ましくない可塑剤及び軟化剤としては、アロマティック油、ナフテン油、パラフィン油、ホワイトオイル、ペトロラタム、ギルソナイト等の石油系軟化剤;ひまし油、綿実油、菜種油、パーム油、椰子油、ロジン等の植物油系軟化剤を挙げることができる。
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物のメルトフローレート(MFR)は、温度230℃、荷重98Nの条件において、0.1g/10分以上であることが好ましく、0.5g/10分以上であることが更に好ましく、1.0g/10分以上であることが特に好ましい。MFRが0.1g/10分未満であると、各種成形方法による加工性等が不十分となる傾向にある。
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、流動性にも優れたものである。従って、金型を使用して各種の成形体を製造した場合であっても、金型汚染が発生し難く、長期間にわたって金型を使用することができる。また、本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、リサイクル可能なものであるため、材料を無駄なく使用することができる。
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性に優れたものである。具体的には、本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物の、JIS K6253にて規定される硬度が、好ましくはデュロD70以下〜デュロA40以上であり、更に好ましくはデュロD65以下〜デュロA45以上であり、特に好ましくはデュロD60以下〜デュロA50以上である。上記の範囲外の硬度であると、このシール材用熱可塑性エラストマー組成物を用いたシールと筐体との嵌合性が低下する可能性がある。
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、シール性に優れたものである。具体的には、本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物の、JIS K6262にて規定される70℃、22時間後の圧縮永久歪みは、好ましくは90%以下であり、更に好ましくは85%以下であり、特に好ましくは80%以下である。圧縮永久歪みが90%超であると、コンデンサのシール材として使用した場合に、シール部から電解液が漏洩し易くなる場合がある。
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、耐透湿性に優れたものである。具体的には、本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物の、JIS K7129にて規定される透湿度測定法により、厚み500μmの試料で測定した透湿度は、好ましくは0.6g/m・24h以下、更に好ましくは0.55g/m・24h以下、特に好ましくは0.5g/m・24h以下である。透湿度が0.6g/m・24h超であると、コンデンサのシール材として使用した場合に、コンデンサの電気特性が低下し易くなる傾向にある。
(シール材用熱可塑性エラストマー組成物の製造方法)
本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、(A)成分と(B)成分を含有する原料組成物に(C)架橋剤を加え、動的に熱処理することによって製造することができる。ここで、「動的に熱処理する」とは、剪断力を加えること、及び加熱することの両方を行うことをいう。そして、このような動的な熱処理によって得られる本実施形態のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、具体的には、(B)成分を海相とし、この海相中に、(A)成分の粒子が島相として分散している、いわゆる海島構造を構成している。
原料組成物を調製するに際しては、(A)成分及び(B)成分は、そのまま用いてもよいし、それぞれ同一又は異なる添加剤等を含む組成物として調製したものを用いてもよい。(A)成分の形状は、ベール状、クラム状、ペレット状、粉体状(ベール状ゴム又はクラム状ゴムの粉砕品を含む)のいずれであってもよい。また、形状の異なる複数の(A)成分を組み合わせて用いてもよい。
「動的に熱処理する」ために用いる装置としては、溶融混練装置等を好適例として挙げることができる。この溶融混練装置による処理は、連続式及びバッチ式のいずれの方式でもよい。溶融混練装置の具体例としては、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサ、一軸押出機、二軸押出機、連続式混練機、加圧ニーダー等を挙げることができる。これらのうち、経済性、処理効率等の観点から、一軸押出機、二軸押出機、連続式混練機等の連続式の溶融混練装置を用いることが好ましい。また、型式が同一の又は異なる連続式の溶融混練装置を二台以上組み合わせて用いてもよい。
二軸押出機のL/D比(スクリュー有効長さLと外径Dとの比)は、30以上であることが好ましく、36〜60であることが更に好ましい。また、二軸押出機としては、例えば、二本のスクリューが噛み合うもの、噛み合わないもの等の任意の二軸押出機を使用することができるが、二本のスクリューの回転方向が同一方向でスクリューが噛み合うものがより好ましい。このような二軸押出機としては、例えば、商品名「PCM」(池貝社製)、商品名「KTX」(神戸製鋼所社製)、商品名「TEX」(日本製鋼所社製)、商品名「TEM」(東芝機械社製)、商品名「ZSK」(ワーナー社製)等を挙げることができる。
連続式混練機のL/D比(スクリュー有効長さLと外径Dとの比)は、5以上であることが好ましく、10以上であることが更に好ましい。このような連続式混練機としては、商品名「ミクストロンKTX・LCM・NCM」(神戸製鋼所社製)、商品名「CIM・CMP」(日本製鋼所社製)等を挙げることができる。
動的に熱処理するに際しての処理温度は、120〜350℃とすることが好ましく、150〜290℃とすることが更に好ましい。処理時間は、20秒間〜320分間とすることが好ましく、30秒間〜25分間とすることが更に好ましい。また、負荷する剪断力は、ずり速度で10〜20000/秒とすることが好ましく、100〜10000/秒とすることが更に好ましい。
2.成形部材
次に、本発明の成形部材について説明する。本発明の成形部材の一実施形態は、これまで述べてきたシール材用熱可塑性エラストマー組成物を成形してなるものである。従って、本実施形態の成形部材は、リサイクル可能であるとともに、強度、柔軟性、耐溶剤性、耐透湿性、及びシール性に優れたものであり、シール材、チューブ材として好適である。
本実施形態の成形部材は、上述のような特性を生かし、コンデンサ用、バッテリー用、トナーケース用、インクカートリッジを含むインクジェットプリンター用、FPD(フラットパネルディスプレイ)用、家庭用電化製品若しくはAV機器等の筐体用の各種成形部材(シール材、チューブ材)として好適である。また、本実施形態の成形部材を配設することによりシール部を構成すれば、優れたシール性等を有するシール部を備えた容器を提供することができる。
なお、本実施形態の成形部材は、例えば射出成型成形、プレス成形、押出成形等の各種成形方法によって製造することができる。
3.コンデンサ
次に、本発明のコンデンサについて説明する。図1は、本発明のコンデンサの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すコンデンサ5は、コンデンサ素子4と、外装ケース3と、シール材1とを備えたものである。コンデンサ素子4には、外部に電気を取り出すためのリード線2が配設されている。また、外装ケース3は、一以上の開口部6を有し、その内部にコンデンサ素子4を収容し得るものである。そして、シール材1は、コンデンサ素子4をその内部に収容した外装ケース3の開口部6を封止するように配設されている。
本実施形態のコンデンサ5のシール材1は、前述のシール材用熱可塑性エラストマー組成物からなるシール材である。このため、このシール材1は、リサイクル可能であるとともに、強度、柔軟性、耐溶剤性、耐透湿性、及びシール性に優れたものである。従って、このシール材1を備えた本実施形態のコンデンサ5は、気密性に優れたものである。また、シール材1のシール性は極めて優れているため、外装ケース3内に封入される電解液等が劣化・漏洩等し難い。従って、本実施形態のコンデンサ5は、長期間使用可能であるといった特性を有するものである。更に、シール材1は、その形状を薄くした場合であっても、十分なシール性が発揮される。従って、このシール材1を用いた本実施形態のコンデンサ5は、その全体構造を小型化することができる。
本実施形態のコンデンサ5は、例えば、以下に示す方法により製造することができる。先ず、リード線2を接続した陽極箔と陰極箔を、セパレータを介して捲回することにより、コンデンサ素子4を作製する。このコンデンサ素子4を、電解液を含浸させた後にアルミニウム等の金属材料からなる外装ケース3内に収納する。次いで、外装ケース3の開口部にシール材1を配置し、開口部6を外側から絞る等の形状加工を行うことにより、コンデンサ5を製造することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[引張試験]:JIS K6251に準拠して、引張強度T(MPa)、及び引張伸びE(%)を測定した。
[硬度]:柔軟性の指標として、JIS K6253に準拠して、デュロメータ硬さ試験を測定した。測定には、「タイプAデュロメータ」と「タイプDデュロメータ」を、材料の硬度に応じて使い分けた。
[圧縮永久ひずみ]:JIS K6262に準拠して70℃×22時間の条件で測定した。なお、圧縮永久ひずみ(CS(%))の測定結果は、シール特性の評価指標とすることができる。
[溶剤透過試験]:耐溶剤性の指標として、カップ法による測定値から透過量を算出した。具体的には、内径50mm、深さ20mmのカップにγ−ブチロラクトンを入れ、シート状に成形した試料でカップを封ずる。このカップを40℃のオーブン内に静置し、24時間毎にカップの質量を測定する。オーブンに入れる前のカップの質量を「初期質量」とし、下記式(4)より透過度((g・mm)/(m・day))を算出した。
透過度={[初期質量(g)−t日数後の質量(g)]×試料厚み(mm)}/{カップ口面積(m)×試験日数(day)} (4)
[透湿度]:耐透湿性の指標として、JIS K7129に準拠して、温度38℃、相対湿度100%の条件で材料の透湿度を測定した。なお、測定試料は厚み500μmに調整したものを使用し、透湿度測定機として、日立ハイテクノロジーズ社製の商品名「mocon PERMATRAN WR3/31」を用いた。
[オイルブリード性]:オイルブリード性の指標として、試験片を吸着紙に挟み25%圧縮し、100℃の条件下において168時間静置した。解放後に試験片表面の状態、及び吸着紙へのオイル分の移行を確認することで、オイルブリード性を評価した。吸着紙へのオイル分の移行現象が認められない場合を「○(オイルブリード性良好)」、吸着紙へのオイル分の移行現象が認められる場合を「×(オイルブリード性不良)」と評価した。
[リサイクル特性]:加工温度付近の温度(160〜250℃)において塑性変形特性を有するか否かを観察し、塑性変形特性が認められる場合を「○(リサイクル特性良好)」、塑性変形特性が認められない場合を「×(リサイクル特性不良)」と評価した。
(実施例1)
150℃に加熱した加圧型ニーダー(容量10リットル、モリヤマ社製)にブチルゴム(商品名「Butyl268」、JSR社製)75部、及びプロピレン重合体(1)(商品名「PM900A」、サンアロマー社製)25部を投入した。ポリプロピレンが溶融して各成分が均一に分散するまで、40rpm(ずり速度200/秒)で15分間混練することにより、溶融状態の混練物を得た。得られた溶融状態の混練物を、フィーダールーダー(モリヤマ社製)を用いてペレット化した混練物を得た。ペレット化した混練物100部、及び粉状に粉砕した架橋剤(1)(商品名「タッキロール201」、田岡化学社製)2部をヘンシェルミキサーに投入し、30秒間混合した。その後、二軸押出機(同方向完全噛合い型スクリュー、L/D=33.5、池貝社製)を使用し、160℃、滞留時間1分30秒、300rpm、(ずり速度400/秒)で動的熱処理を行いながら押し出して、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物(実施例1)を得た。
得られた熱可塑性エラストマー組成物を、射出成型機(型番「N−100」、日本製鋼所社製)を使用して射出成型することによって、120mm×120mm×2mmのシート状の、物性評価用の試験片を作製した。作製した試験片の引張強度Tは10MPa、引張伸びEは420%、圧縮永久ひずみCSは35%、溶剤透過試験により測定した透過量は5(g・mm)/(m・day)、透湿度は0.26g/m・24時間、オイルブリード性の評価結果は「○」、及びリサイクル特性の評価結果は「○」であった。
(比較例1)
架橋剤(1)を使用しないこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物(比較例1)を得た。得られた熱可塑性エラストマー組成物を、前述の実施例1の場合と同様にして射出成型することにより、物性評価用の試験片を作製した。作製した試験片の各種物性値の測定結果、及び特性の評価結果を表1に示す。
(実施例2〜7、比較例2)
表1に示す配合処方とすること以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、ペレット状の熱可塑性エラストマー組成物(実施例2〜7、比較例2)を得た。なお、使用した各種成分・添加剤の商品名及び製造元を表2に示す。得られた熱可塑性エラストマー組成物を、前述の実施例1の場合と同様にして射出成型することにより、物性評価用の試験片を作製した。作製した試験片の各種物性値の測定結果、及び特性の評価結果を表1に示す。
(比較例3)
100℃に加熱したバンバリーミキサ(容量1.7リットル、神戸製鋼所社製)に、表1に示す配合処方に従って架橋剤以外の各種成分・添加剤を投入し、各成分が均一に分散するまで、60rpmで約10分間混練することにより、配合ゴム組成物を得た。得られた配合ゴム組成物308.5部に対して、架橋剤(1)(商品名「タッキロール201」、田岡化学社製)12部を、6インチロール(関西ロール社製)を用いて添加することにより、架橋剤入り配合ゴム組成物(比較例3)を得た。なお、使用した各種成分・添加剤の商品名及び製造元を表2に示す。
得られた架橋剤入り配合ゴム組成物を、プレス機(関西ロール社製)と金型モールドを用いて、200℃×45分間プレス成型することによって、120mm×120mm×2mmのシート状の、物性評価用の試験片を作製した。作製した試験片の各種物性値の測定結果、及び特性の評価結果を表1に示す。
(比較例4)
表1に示す配合処方とすること以外は、前述の比較例3の場合と同様にして架橋剤、架橋助剤以外の各種成分・添加剤を添加、混練し、配合ゴム組成物を得た。得られた配合ゴム組成物186.2部に対して、架橋剤(2)(商品名「パークミルD−40」、日本油脂社製)8.2部と、架橋助剤(商品名「バルノックDGM」、大内新興化学工業社製)2.5部を、6インチロール(関西ロール社製)を用いて添加することにより、架橋剤入り配合ゴム組成物(比較例4)を得た。なお、使用した各種成分・添加剤の商品名及び製造元を表2に示す。得られた架橋剤入り配合ゴム組成物を、前述の比較例3の場合と同様にして170℃×20分間プレス成型することによって、物性評価用の試験片を作製した。作製した試験片の各種物性値の測定結果、及び特性の評価結果を表1に示す。
(比較例5)
プロピレン重合体(1)(商品名「PM900A」、サンアロマー社製)を、前述の実施例1の場合と同様にして射出成型することにより、物性評価用の試験片を作製した。作製した試験片の各種物性値の測定結果、及び特性の評価結果を表1に示す。
Figure 2007231267
Figure 2007231267
表1に示すように、実施例1〜3の熱可塑性エラストマー組成物を用いれば、比較例1〜4の熱可塑性エラストマー組成物を用いた場合に比して、引張強度及び引張伸び(柔軟性)に優れているとともに、溶剤透過性、耐透湿性、シール性、及びオイルブリード性に優れ、リサイクル可能なシール材を製造できることが明らかである。
本発明のシール材用熱可塑性エラストマー組成物は、リサイクル可能であるとともに、強度、柔軟性、耐溶剤性、耐透湿性、オイルブリード性、及びシール性に優れたシール材やチューブ材等の成形部材を製造することができるものである。従って、本発明のシール材用熱可塑性エラストマー組成物からなるシール材を用いれば、小型であるとともに気密性に優れ、長期間使用可能なコンデンサを提供することができる。
本発明のコンデンサの一実施形態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 シール材
2 リード線
3 外装ケース
4 コンデンサ素子
5 コンデンサ
6 開口部

Claims (10)

  1. (A)イソブチレン−イソプレン共重合ゴムと、
    (B)α−オレフィン系結晶性熱可塑性樹脂、α−オレフィン系非晶質熱可塑性樹脂、及び環状オレフィン系熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の熱可塑性樹脂成分と、を含む原料組成物を、
    (C)架橋剤の存在下に動的に熱処理してなる、可塑剤及び軟化剤を実質的に含有しないシール材用熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 前記(A)ゴム成分の含有割合が、前記(A)ゴム成分と前記(B)熱可塑性樹脂成分の合計量を100質量%とした場合に、10〜90質量%である請求項1に記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 前記(B)熱可塑性樹脂成分が、密度0.89g/cm以上のプロピレン重合体である請求項1又は2に記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 前記(C)架橋剤が、有機過酸化物、及び/又はフェノール系架橋剤である請求項1〜3のいずれか一項に記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物。
  5. JIS K7129にて規定される透湿度測定法により、厚み500μmの試料で測定した透湿度が、0.6g/m・24h以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物を成形してなる成形部材。
  7. シール材、又はチューブ材である請求項6に記載の成形部材。
  8. コンデンサ用、バッテリー用、トナーケース用、インクカートリッジを含むインクジェットプリンター用、フラットパネルディスプレイ用、又は筐体用である請求項6又は7に記載の成形部材。
  9. シール部を有する容器であって、
    前記シール部が、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物からなるシール材が配設されることにより構成された容器。
  10. コンデンサ素子と、
    前記コンデンサ素子を収容する、少なくとも一の開口部を有する外装ケースと、
    前記開口部を封止する請求項1〜5のいずれか一項に記載のシール材用熱可塑性エラストマー組成物からなるシール材と、
    を備えたコンデンサ。
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