JP2007230992A - スピロ環状アセタール化合物およびその製造方法ならびにスピロ環状アセタール構造を有するポリマー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固体酸触媒の存在下、下記一般式(I)で表される化合物とペンタエリスリトールとを脱水縮合させて、下記一般式(II)で表されるスピロ環状アセタール化合物を製造する。下記一般式(II)で表わされるスピロ環状アセタール化合物を用いて下記一般式(III)で表わされる繰り返し単位を有するポリマーを製造する。
(式中、R1はアルキル基又はアリール基を表し、Qは水素原子又はアシル基を表し、Lは少なくとも1つの炭素原子を含む2価の連結基を表し、nは0または1を表す。)
【選択図】なし
Description
一般に、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン類は、酸触媒存在下、カルボニル化合物とペンタエリスリトール[C(CH2OH)4]とを脱水縮合することにより合成することができる(例えば非特許文献3及び4参照)。分子内に水酸基やエステル基を有するカルボニル化合物を出発原料に用いることにより、ポリマー原料や架橋剤(またはその原料)として有用な3,9位に直接またはアルキレン基やフェニレン基を介して水酸基またはエステル基を有する2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン類を合成することができる(例えば、特許文献8、並びに非特許文献5及び6参照)。
しかしこの場合は、自己縮合やエステル交換反応等の副反応を併発する可能性があり、特にケトン類の場合は、非特許文献3及び4からも明らかなように、アルデヒド類と比べて所望のスピロ環状アセタール化反応が遅いため、高純度の目的物を効率的に得られないことが少なくない。
しかし、この方法は工程が煩雑かつ工程数が多いため経済的に好ましくない。また、この方法においては本質的にエステル交換反応等の副反応の問題が解決されたわけではなく、3,9−ジアルキル(またはジアリール)−3,9−ビス[アシルオキシメチル(またはヒドロキシメチル)]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンの合成には適用することはできない。
また本発明は、新規な化合物である3,9−ジメチル−3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ジメチル−3,9−ビス(アセチルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ジメチル−3,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ジメチル−3,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、および3,9−ジメチル−3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを原料として得られるポリエステル類を提供することを目的とする。
[1]固体酸触媒の存在下、下記一般式(I)で表される化合物とペンタエリスリトールとを脱水縮合させることを特徴とする下記一般式(II)で表されるスピロ環状アセタール化合物の製造方法。
[2]前記固体酸触媒がゼオライト又は層状粘土鉱物であることを特徴とする[1]項に記載のスピロ環状アセタール化合物の製造方法。
[3]前記固体酸触媒が層状粘土鉱物であることを特徴とする[1]または[2]項に記載のスピロ環状アセタール化合物の製造方法。
[4]前記層状粘土鉱物がモンモリロナイトであることを特徴とする[2]または[3]項に記載のスピロ環状アセタール化合物の製造方法。
[5]R1がメチル基であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載のスピロ環状アセタール化合物の製造方法。
[6]下記一般式(A)で表されるスピロ環状アセタール化合物。
[7]前記一般式(A)で表される化合物が、下記式(II−1)、(II−2)または(II−3)のいずれかで表されることを特徴とする[6]項に記載のスピロ環状アセタール化合物。
[9]下記一般式(III)で表される繰り返し単位を有するポリマー。
まず、前記一般式(II)で表されるスピロ環状アセタール化合物について説明する。
前記一般式(II)で表される化合物において、R1はアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基を表す。R1で表されるアルキル基は、炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは炭素数2〜10であり、直鎖であっても分岐であってもよい。R1で表されるシクロアルキル基は、炭素数3〜20が好ましく、より好ましくは炭素数5〜10である。これらのアルキル基、シクロアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、デシル等が挙げられる。また、これらのアルキル基、シクロアルキル基は置換基を有していてもよい。
R1で表されるアリール基は、炭素数6〜30が好ましく、より好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニル、ナフチルが挙げられ、置換基を有してもよいフェニル基が好ましい。また、これらのアリール基は上記のアルキル基、シクロアルキル基で述べたような置換基を有していてもよい。
R1は好ましくはアルキル基であり、より好ましくは無置換アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
上記一般式(A)で表されるスピロ環状アセタール化合物は、下記式(II−1)、(II−2)、(II−3)または一般式(II−4)として表される。
R3は、好ましくは水素原子である。
前記一般式(II)で表されるスピロ環状アセタール化合物は、固体酸触媒の存在下、前記一般式(I)で表される化合物とペンタエリスリトール[C(CH2OH)4]とを脱水縮合することにより製造することができる。
前記一般式(I)中、R1及びQは、一般式(II)について上述したものと同様であり、好ましい範囲も同様である。
本発明において、脱水縮合は、反応条件下、生成する水を分離あるいは除去できる方法であればいずれの方法でもよいが、例えば、共沸で水を除去する方法や、脱水剤存在下で反応を行う方法が好ましい。
このとき、ペンタエリスリトールの使用量としては前記一般式(I)で表される化合物に対して、0.1〜5当量が好ましく、0.2〜1当量がより好ましく、0.3〜0.6当量が特に好ましい。
固体酸触媒の例としては、無機または有機のマトリックス中に何らかの方法でスルホン酸を固定化したもの[例えば、ナフィオン(NafionR、商品名)、アンバーライト(AmberliteR、商品名、酸性のもの)等]、硝酸酸化カーボン、ゼオライト(例えば、A、X、Y型、モルデナイト、エリオナイト、ZSM−5等)、リン酸アルミニウム、層状粘土鉱物(例えば、モンモリロナイト(montmorillonite)、バイデライト(beidellite)、ノントロナイト(nontronite)、サポナイト(saponite)、ヘクトライト(hectorite)、海泡石(sepiolite)等)等が挙げられる。より好ましい固体酸触媒はゼオライトおよび層状粘土鉱物であり、中でもモンモリロナイトが好ましい。
固体酸触媒の使用量としては前記一般式(I)で表される化合物に対して0.001〜2当量が好ましく、0.01〜0.5当量がより好ましい。酸触媒が固体酸触媒の場合は、活性点の酸性度や密度にもよるが、前記一般式(I)で表される化合物に対して0.1〜200質量%用いるのが好ましく、より好ましくは1〜50質量%であり、更に好ましくは5〜30質量%である。
反応は無溶媒で行ってもよいし、溶媒中で行ってもよい。用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、四塩化炭素、クロロホルム、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等、およびこれらの混合溶媒が挙げられ、より好ましくはヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、トルエン、キシレンであり、トルエンがより好ましい。溶媒の使用量は前記一般式(I)で表される化合物の1〜100質量倍が好ましく、2〜50質量倍がより好ましい。反応温度は好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。反応時間は使用する酸の種類、量、溶媒および反応温度に依存する。これらを適宜調節し12時間以内、好ましくは6時間以内で反応を行うことが好ましい。
一方、前記一般式(II)で表される化合物のうち、Qがアシル基の場合、上記で記載した条件下、前記一般式(I)においてQがアシル基である化合物とペンタエリスリトールとを反応させることにより製造することもできるし、前記式(II−1)で表される化合物をアシル化して製造することもできる。
Lとして好ましくは、炭素数1〜20(好ましくは2〜10)の直鎖または分岐のアルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン、オクチレン等)、炭素数3〜20(好ましくは5〜10のシクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン、シクロヘキシレン等)および炭素鎖6〜20(好ましくは6〜12)のアリーレン基(たとえば、1,2−フェニレン、1,3−フェニレン、1,4−フェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレン等)を挙げることができる。これらの各基は置換基を有してもよく、R1におけるアルキル基、シクロアルキル基で説明した置換基が挙げられる。
より具体的には、前記式(II−1)で表されるジオールは、例えば丸善株式会社発行、日本化学会編、第4版実験化学講座28、高分子合成、p.217−231に記載の方法等に準じて、2官能のカルボン酸誘導体と重縮合させることにより、前記一般式(III)で表される繰り返し単位を有するポリマーへと誘導することができる。
式(II−1)で表されるジオールと2官能酸ハライドとの重縮合は、無塩基で行ってもよいが、塩基の存在下で行った方が好ましい。好ましい塩基としては、水酸化アルカリ金属(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、水酸化アルカリ土類金属(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等)等の無機塩基およびピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、キノリン、イソキノリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデ−7−セン、テトラメチルグアニジン等の有機塩基が挙げられ、より好ましくはピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、キノリン、イソキノリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基である。塩基の使用量としては、好ましくは式(II−1)で表されるジオールに対し、0.1当量〜100当量であり、より好ましくは2当量〜10当量である。
比較例1
ヒドロキシアセトン(190g,2.56mol)およびピリジン(210ml,2.6mol)の酢酸エチル(1L)溶液に5℃にてプロピオニルクロリド(197g,2.1mol)を滴下した。反応液を室温にて1時間攪拌した後、水(700ml)に注加した。分液後、有機層を1N塩酸水(700ml)で2回、水(700ml)で2回及び飽和食塩水(500ml)で1回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別後、溶媒を減圧にて留去することにより、プロピオニルオキシアセトン(177g,1.36mol)を得た。得られたプロピオニルオキシアセトンはこれ以上の精製操作をすることなく次工程に用いた。
プロピオニルオキシアセトン(10g,76.8mmol)、ペンタエリスリトール(5.22g,38.4mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(0.76g,4mmol)のトルエン(200ml)溶液を、Dean−Stark水分離器を用いて水を除去しながら、3時間還流攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル(300ml)/炭酸水素ナトリウム水溶液(350ml)に注加した。分液後、有機層を水(200ml)で2回、および飽和食塩水(200ml)で1回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別後、溶媒を減圧にて留去することにより11.6gの濃縮残留物を得た。濃縮残留物のNMRを測定した結果、プロピオニルオキシアセトン(原料):3,9−ジメチル−3,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(目的物):2−メチル−2,5,5−トリス(プロピオニルオキシメチル)−[1,3]ジオキサン(副生成物)≒1:4:1を主成分とする混合物であった。濃縮残留物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で精製することにより3,9−ジメチル−3,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを得た(7.5g,20.8mmol,収率54%)。
1H NMR(CDCl3):δ4.21−4.12(m,4H),3.89−3.67(m,8H),2.39(q,J=7.5Hz,4H),1.40(s,6H),1.16(t,J=7.5Hz,6H)
m.p.=55−56℃
プロピオニルオキシアセトン(10g,76.8mmol)、ペンタエリスリトール(5.22g,38.4mmol)およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム塩(1.0g,4mmol)のトルエン(200ml)溶液を、Dean−Stark水分離器を用いて水を除去しながら、6時間還流攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル(300ml)/炭酸水素ナトリウム水溶液(350ml)に注加した。分液後、有機層を水(200ml)で2回、および飽和食塩水(200ml)で1回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別後、溶媒を減圧にて留去することにより11.0gの濃縮残留物を得た。濃縮残留物のNMRを測定した結果、比較例1で生成した副生成物{2−メチル−2,5,5−トリス(プロピオニルオキシメチル)−[1,3]ジオキサン}はほとんど認められなかったが、それ以外の副生成物が生成し、さらに原料のプロピオニルオキシアセトンも比較例1と同程度残存することがわかった。濃縮残留物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で精製することにより3,9−ジメチル−3,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを得た(7.3g,20.3mmol,収率53%)。
プロピオニルオキシアセトン(10g,76.8mmol)、ペンタエリスリトール(5.22g,38.4mmol)およびゼオライト(1.5g)のトルエン(200ml)溶液を、Dean−Stark水分離器を用いて水を除去しながら、6時間還流攪拌した。反応液を室温まで冷却し、セライトろ過後、減圧にて溶媒を留去し、10.8gの濃縮残留物を得た。濃縮残留物のNMRを測定した結果、比較例1又は2で生成した副生成物はほとんど認められず、プロピオニルオキシアセトン(原料):3,9−ジメチル−3,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(目的物)≒1:8を主成分とする混合物であった。濃縮残留物を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶することにより3,9−ジメチル−3,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを得た(8.5g,23.6mmol,収率61%)。
プロピオニルオキシアセトン(10g,76.8mmol)、ペンタエリスリトール(5.22g,38.4mmol)およびモンモリロナイト(montmorillonite K10、商品名、アルドリッチ社製)(1.5g)のトルエン(200ml)溶液を、Dean−Stark水分離器を用いて水を除去しながら、6時間還流攪拌した。反応液を室温まで冷却し、セライトろ過後、減圧にて溶媒を留去し、11.5gの濃縮残留物を得た。濃縮残留物のNMRを測定した結果、比較例1又は2で生成した副生成物はほとんど認められず、プロピオニルオキシアセトン(原料):3,9−ジメチル−3,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(目的物)≒1:10を主成分とする混合物であった。濃縮残留物を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶することにより3,9−ジメチル−3,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを得た(9.5g,26.4mmol,収率69%)。
比較例3
ヒドロキシアセトン(100g,1.35mol)およびピリジン(121ml,1.5mol)の酢酸エチル(1L)溶液に5℃にてアセチルクロリド(96ml,1.35mol)を滴下した。反応液を室温にて1時間攪拌した後、1N塩酸水(400ml)に注加した。分液後、有機層を水(300ml)及び飽和食塩水(300ml)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別後、溶媒を減圧にて留去することにより、アセトキシアセトン(40g,0.34mol)を得た。得られたアセチルオキシアセトンはこれ以上の精製操作をすることなく次工程に用いた。
アセチルオキシアセトン(28.3g,244mmol)、ペンタエリスリトール(16.6g,122mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(1.74g,9.2mmol)のトルエン(200ml)溶液を、Dean−Stark水分離器を用いて水を除去しながら、3時間還流攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸エチル(300ml)/炭酸水素ナトリウム水溶液(350ml)に注加した。分液後、有機層を水(200ml)で2回、および飽和食塩水(200ml)で1回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別後、溶媒を減圧にて留去することにより31.5gの濃縮残留物を得た。濃縮残留物のNMRを測定した結果、原料及び目的物を含む複雑な混合物であった。濃縮残留物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で精製することにより3,9−ジメチル−3,9−ビス(アセチルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを得た(7.6g,22.9mmol,収率19%)。
1H NMR(CDCl3):δ4.19−4.10(m,4H),3.91−3.66(m,8H),2.10(s,6H),1.41(s,6H)
m.p.=66−67℃
アセチルオキシアセトン(8.9g,76.8mmol)、ペンタエリスリトール(5.22g,38.4mmol)およびゼオライト(1.5g)のトルエン(200ml)溶液を、Dean−Stark水分離器を用いて水を除去しながら、6時間還流攪拌した。反応液を室温まで冷却し、セライトろ過後、減圧にて溶媒を留去し、10.3gの濃縮残留物を得た。濃縮残留物のNMRを測定した結果、アセチルオキシアセトン(原料):3,9−ジメチル−3,9−ビス(アセチルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(目的物)≒1:9を主成分とする混合物であった。濃縮残留物を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶することにより3,9−ジメチル−3,9−ビス(アセチルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを得た(8.3g,25.0mmol,収率65%)。
アセチルオキシアセトン(8.9g,76.8mmol)、ペンタエリスリトール(5.22g,38.4mmol)およびモンモリロナイト(montmorillonite K10)(1.5g)のトルエン(200ml)溶液を、Dean−Stark水分離器を用いて水を除去しながら、6時間還流攪拌した。反応液を室温まで冷却し、セライトろ過後、減圧にて溶媒を留去し、10.7gの濃縮残留物を得た。濃縮残留物のNMRを測定した結果、アセチルオキシアセトン(原料):3,9−ジメチル−3,9−ビス(アセチルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(目的物)≒1:9を主成分とする混合物であった。濃縮残留物を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶することにより3,9−ジメチル−3,9−ビス(アセチルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを得た(8.5g,25.6mmol,収率67%)。
実施例5
ヒドロキシアセトン(5.7g,76.8mmol)、ペンタエリスリトール(5.22g,38.4mmol)およびモンモリロナイト(montmorillonite K10)(1.5g)のトルエン(200ml)溶液を、Dean−Stark水分離器を用いて水を除去しながら、6時間還流攪拌した。反応液を50℃まで冷却し、セライトろ過後、減圧にて溶媒を留去し、9.4gの濃縮残留物を得た。濃縮残留物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/メタノール=10/1)で精製することにより3,9−ジメチル−3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを得た(6.1g,24.5mmol,収率64%)。
1H NMR(DMSOd−6):δ4.71(bs,2H),3.78−3.57(m,8H),3.33(bs,4H),1.27(s,6H)
m.p.=127−128℃
ヒドロキシアセトン(5.7g,76.8mmol)、ペンタエリスリトール(5.22g,38.4mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(0.76g,4mmol)のトルエン(200ml)溶液を、Dean−Stark水分離器を用いて水を除去しながら、3時間還流攪拌した。反応進行をTLCにて確認したところ、多数の副生成物の生成が認められ、目的の3,9−ジメチル−3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンは極微量しか生成していなかった。
実施例6
水酸化ナトリウム(3g,0.075mol)、水(25ml)およびメタノール(25ml)の溶液に3,9−ジメチル−3,9−ビス(プロピオニルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(6.5g,18mmol)をゆっくり添加し、60℃にて40分攪拌した。溶媒を減圧にて留去した後、濃縮残留物をアセトニトリル/食塩水に溶かした。有機層を減圧にて濃縮し、酢酸エチルを加えた。不溶物をろ過後、再び減圧にて濃縮した。濃縮残留物を酢酸エチル/ヘキサンから再結晶することにより、3,9−ジメチル−3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを得た(3.4g,13.7mmol,収率76%)。
実施例7
3,9−ジメチル−3,9−ビス(ヒドロキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(2.5g)およびピリジン(2.1ml)の酢酸エチル(50ml)溶液にアクリロイルクロリド(2.0ml)を滴下した。反応液を室温にて5時間攪拌後、酢酸エチル(100ml)/1N塩酸水(100ml)に注ぎ、分液した。有機層を重曹水(100ml)、水(100ml×2回)、および飽和食塩水(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。硫酸ナトリウムを濾別後、溶媒を減圧にて留去した。濃縮残留物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/2)で精製することにより3,9−ジメチル−3,9−ビス(アクリロイルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンを得た(3.1g,収率86%)。
1H NMR(CDCl3):δ6.45(dd,J=17.6Hz,1.6Hz,2H), 6.17(dd,J=17.6Hz,10.4Hz,2H), 5.87(dd,J=10.4Hz,1.6Hz,2H), 4.27(d,J=11.6Hz,2H),4.22(d,J=11.6Hz,2H),3.84(dd,J=35.6Hz,11.6Hz,4H), 3.73(dd,J=25.8Hz,11.6Hz,4H), 1.43(s,6H)
下式で表される繰り返し単位を有するポリマーの調製
(株)東ソー製ゲル浸透クロマトグラフ分析計(HLC−8220GPC)にて数平均分子量(Mn)および質量平均分子量を測定したところ、ポリスチレン換算でそれぞれMn=2,729、Mw=3,850であった。
下式で表される繰り返し単位を有するポリマーの調製
1H NMR(CDCl3):δ4.24〜4.15(m,4H),3.87−3.3.53(m,8H), 1.42(s,6H)
(株)東ソー製ゲル浸透クロマトグラフ分析計(HLC−8220GPC)にて数平均分子量(Mn)および質量平均分子量を測定したところ、ポリスチレン換算でそれぞれMn=3,916、Mw=5,036であった。
特開2004−331795号公報の実施例2において、トリシクロデカンジメチロールジアクリレートを等重量の3,9−ジメチル−3,9−ビス(アクリロイルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンで置き換えた以外は特開2004−331795号公報の実施例1、2と同様にして熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルム上にハードコート層を形成した。外観、JIS−K7105による400nmにおける光線透過率、JIS−K5400による碁盤目剥離試験、および85℃、85%RH、1000時間の高温高湿耐久試験の結果は、特開2004−331795号公報の実施例2の結果と同等であった。
特開2006−63162号公報の実施例1において、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを等重量の3,9−ジメチル−3,9−ビス(アクリロイルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンで置き換えた以外は特開2006−63162号公報の実施例1と同様にしてポリカーボネートシート上にハードコート層を形成した。外観、JIS−K5600による耐候性試験、ASTM D1044に準じたテーバー式摩耗試験、形成性試験、JIS−K5400に準拠した密着性試験の結果は、特開2006−63162号公報の実施例1の結果と同等であった。
これら結果より、3,9−ジメチル−3,9−ビス(アクリロイルオキシメチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンは、透明性、外観、密着性、耐久性等に優れた架橋剤の一つとして有用であることがわかった。
実施例12
実施例8で調製したポリマーひとかけらをMATSUNAMI GLASS社製(18×18mm、厚さ0.12〜0.17mm)のカバーグラスに挟み徐々に加熱したところ、110〜120 ℃で溶解した。溶解したポリマーをカバーグラス間に均一に圧延し、室温まで冷却したところ、カバーグラスは透明かつ強固に接着し、引き離すことはできなかった。
実施例12と同様の実験をビスフェノールAとアジピン酸とのポリエステル(Mw≒10,000)を用いて行ったところ、150℃付近でポリマーは溶解し、一旦透明となったが、室温まで冷却すると白濁し、カバーグラスは容易に引き離すことができた。
以上の実施例8〜12及び比較例5の結果を総合すると、一般式(III)で表される繰り返し単位を有する本発明のポリマーは種々の用途に用いられる。例えば透明なガラス接着剤として有用である。また、一般式(III)で表される繰り返し単位を有するポリマーは、環状を有し、芳香環を含まないポリエステルであることから、透明性、耐候性、耐熱性、生分解性等の様々なユニークは特性が期待できる。
Claims (9)
- 前記固体酸触媒がゼオライト又は層状粘土鉱物であることを特徴とする請求項1に記載のスピロ環状アセタール化合物の製造方法。
- 前記固体酸触媒が層状粘土鉱物であることを特徴とする請求項1または2に記載のスピロ環状アセタール化合物の製造方法。
- 前記層状粘土鉱物がモンモリロナイトであることを特徴とする請求項2または3に記載のスピロ環状アセタール化合物の製造方法。
- R1がメチル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスピロ環状アセタール化合物の製造方法。
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