JP2007230526A - 車両用駆動制御装置、自動車及び車両用駆動制御方法 - Google Patents

車両用駆動制御装置、自動車及び車両用駆動制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トラクションコントロールからの復帰時の駆動応答性を高める。
【解決手段】車両は、発電用エンジン28の出力軸に接続され、当該エンジン28により発電する発電モータ27と、発電モータ27が発電した電力を用いて、車輪を駆動する駆動モータ26と、車輪に目標の駆動力を出力させる目標駆動力を算出するトルク指令演算部21と、トルク指令演算部21が算出した目標駆動力に基づいて、発電用エンジン28及び駆動モータ26を制御する減算部23及びエンジン制御部25とを備える。減算部23及びエンジン制御部25は、トラクションコントロール作動時に、トルク指令演算部21が算出した目標駆動力を減算した値に基づいて、駆動モータ26を駆動させるとともに、トラクションコントロールが作動していない場合のエンジン回転数目標値で発電用エンジン28を制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、エンジンによって発電モータを駆動することにより生成した電力を用いて、駆動モータに車輪を駆動させる車両用駆動制御装置、自動車及び車両用駆動制御方法に関する。
従来より、エンジンによって発電モータを駆動することにより生成した電力を用いて、駆動モータに車輪を駆動させる車両(以下、「シリーズ式ハイブリッド車」という。)のエンジン回転数目標値は、例えば特許文献1に開示されているように、発電効率が最も高くなるような所定回転数、すなわち概ねエンジン出力が最も効率が良い回転数とされている。
特開平11-252709号公報
前記従来技術では、シリーズ式ハイブリッド車でトラクションコントロールが作動した場合、駆動輪の出力(駆動力)を抑制するために、駆動モータの出力を小さくして、その出力減少に合わせて発電用エンジンを低回転数に維持するようになる。
しかし、車輪と路面が高摩擦状態に回復することにより、トラクションコントロールから復帰して、駆動モータ(駆動輪)を高出力にしようとした場合、発電用エンジンが低回転数の状態とされているから、高回転数まで上昇する期間、駆動モータを高出力とすることができず、駆動応答性が悪化してしまうという課題があった。
本発明の課題は、シリーズ式ハイブリッド車でトラクションコントロールが行われた際の復帰時における駆動応答性を高めることである。
前記課題を解決するために、本発明は、
エンジンの出力軸に接続され、当該エンジンにより駆動されて発電する発電モータと、前記発電モータが発電した電力を用いて、車輪を駆動する駆動モータと、前記エンジン及び駆動モータを制御する制御手段と、を備える車両用駆動制御装置である。
この発明では、前記制御手段は、トラクションコントロールによって前記駆動モータの駆動出力が減少された場合に、当該駆動出力の減少に対応するエンジン回転数の減少分を抑制することを特徴とする。
また、本発明は、
エンジンと、前記エンジンの出力軸に接続され、前記エンジンにより駆動されて発電する発電モータと、前記発電モータが発電した電力を用いて、車輪を駆動する駆動モータと、前記エンジン及び駆動モータを制御する制御手段と、前記駆動モータの駆動出力を減少させて、トラクションコントロールを作動させるトラクションコントロール手段と、を備えて車両駆動制御を行う自動車である。
この発明では、前記制御手段は、前記トラクションコントロール手段によるトラクションコントロールによって前記駆動モータの駆動出力が減少された場合に、当該駆動出力の減少に対応するエンジン回転数の減少分を抑制することを特徴とする。
本発明によれば、トラクションコントロールの作動時に、エンジン回転数の制御を目標駆動力に基づくものから切り離し、当該トラクションコントロールによる駆動出力の減少に対応するエンジン回転数の減少分を抑制することで、エンジン回転数をトラクションコントロールからの復帰時の駆動応答性を高めるものにしておく車両用駆動制御装置及び自動車とすることができる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態は、本発明を適用した車両用駆動制御装置を搭載したシリーズ式ハイブリット車両である。
(構成)
図1は、車両の構成を示す。
この車両では、各車輪1a,1b,1c,1dそれぞれに駆動モータ2a,2b,2c,2dが取り付けられており、各車輪1a〜1dが駆動モータ2a〜2dにより回転駆動されるようになっている。この車両では、発電用エンジン4の出力トルクにより発電モータ5が発電をしており、駆動モータ2a〜2dは、発電モータ5から供給される電力により、システム制御部3で算出される駆動出力値(目標駆動力)を発生する。このような構成では、駆動モータ2a〜2dは、発電用エンジン4の出力トルクにより発電モータ5が発電する電力により駆動されるようになっているから、駆動モータ2a〜2dの駆動は、発電用エンジン4の出力の影響を受ける。
また、この車両は、各車輪1a〜1dの車輪回転数を検出する、すなわち車両速度を検出する車輪速検出部6a,6b,6c,6dを搭載している。車輪速検出部6a〜6dの検出値は、システム制御部3に入力される。
また、この車両は、運転者(操縦者)による図示しないアクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダル操作量検出部7を搭載している。アクセルペダル操作量検出部7の検出値は、システム制御部3に入力される。
システム制御部3は、車輪速検出部6a〜6dからの入力値(車輪速信号)とアクセルペダル操作量検出部7からの入力値(アクセル操作量信号)とに基づいて駆動出力値を算出する。また、システム制御部3には、各車輪1a〜1dの空転を防止するトラクションコントロール機能が備わっており、トラクションコントロール機能により車輪の空転を検知した場合、当該車輪の駆動出力を抑制する。具体的には、トラクションコントロール作動時に、駆動出力値を減少させて、車輪の駆動出力を抑制している。
図2は、シリーズ式ハイブリッド車両の構成を制御機能として示す図である。
図2に示すように、制御機能として示すシリーズ式ハイブリッド車両は、トルク指令演算部21、トラクションコントロール部22、減算部23、発電制御部24、エンジン制御部25、駆動モータ26(駆動モータ2a〜2d)、発電モータ27(発電モータ5)及び発電用エンジン28(発電用エンジン4)を備える。例えば、トルク指令演算部21、トラクションコントロール部22、減算部23、発電制御部24及びエンジン制御部25によりシステム制御部3が構成されている。
このような構成において、トルク指令演算部21には、アクセルペダル操作量検出部7からのアクセル操作量信号Si1と、車輪速検出部6a〜6dからの車輪速信号Si2とが入力されており、トルク指令演算部21は、これら入力信号Si1,Si2に基づいて、駆動出力値(トルク指令値又は目標制動力)を算出する。
なお、同図のトルク指令演算部21内の特性図は、スロットル開度をパラメータとした、車速とトルクとの関係を示すテーブルであり、トルク指令演算部21は、このようなテーブルを参照して、入力信号Si1,Si2に基づいて、駆動出力値(トルク指令値)Si3を算出する。トルク指令演算部21は、算出した駆動出力値Si3を発電制御部24、エンジン制御部25及び駆動モータ26に出力する。
ここで、トルク指令演算部21が算出した駆動出力値Si3は、具体的には、減算部23を介して発電制御部24、エンジン制御部25及び駆動モータ26に出力される。
発電制御部24は、入力された駆動出力値Si3に基づいて発電出力値(発電指令値)Si4を算出し、その算出した発電出力値Si4を発電モータ27に出力する。発電制御部24の処理については、後でさらに説明する。また、エンジン制御部25では、入力された駆動出力値Si3に基づいてエンジン回転数目標値(出力指令値、目標エンジン回転数)Si5を算出し、その算出したエンジン回転数目標値Si5を発電用エンジン28に出力する。
エンジン制御部25は、例えば、エンジン目標回転数(エンジン回転数目標値)となるように、現在のエンジン回転数である現エンジン回転数(実エンジン回転数)と目標エンジン回転数との差分に比例したスロットル量を管理する比例制御部や、現エンジン回転数と目標エンジン回転数との差分の積算量に応じたスロットル量を管理する積分制御部や、現エンジン回転数と目標エンジン回転数との時間的偏差量に応じたスロットル量を管理する微分制御部により構成されている。これにより、比例制御部、積分制御部及び微分制御部で管理するそれぞれのスロットル量の総和をエンジンスロットル量とすることで、現エンジン回転数を目標エンジン回転数にしている。このエンジン制御部25は、発電モータ27の負荷、すなわち駆動モータ26の駆動状態と独立して、発電用エンジン28を制御可能な構成となっている。なお、エンジン制御部25の処理ついては、後でさらに説明する。
駆動モータ26は、トルク指令演算部21から出力される駆動出力値Si3となるように、その駆動制御がなされる。その一方で、発電モータ27は、発電制御部24から出力される発電出力値Si4となるように、その駆動制御がなされるとともに、発電用エンジン28は、エンジン制御部25から出力されるエンジン回転数目標値Si5となるように、そのエンジン回転数が制御される。
トラクションコントロール部22は、車輪が空転した場合、例えば車輪速信号値Si2に基づいて車輪の空転を判定した場合、駆動モータ26の駆動を抑制するために、減算用駆動出力値Si6を算出し、その算出した減算用駆動出力値Si6を減算部23に出力する。例えば、トラクションコントロール部22は、車輪が空転していない場合、減算用駆動出力値を0として出力している。
減算部23では、トルク指令演算部21から入力される値、すなわち、アクセル操作量信号Si1と車輪速信号Si2とに基づいて算出した駆動出力値Si3から、トラクションコントロール部22から入力される減算用駆動出力値Si6を減算する。そして、減算部23で算出した減算値は、駆動出力値Si3として、発電制御部24、エンジン制御部25及び駆動モータ26に入力される。
ここで、図3及び図4を用いて、発電制御部24及びエンジン制御部25の処理を更に詳しく説明する。
図3は、発電制御部24の処理手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、処理を開始すると(演算結果として駆動出力値Si3が入力されると)、発電制御部24は、ステップS1において、駆動出力値に基づいて、発電出力値を算出する。
続いてステップS2において、発電制御部24は、前記ステップS1で算出した発電出力値に基づいて、現エンジン回転数において必要な発電量である必要発電量を発電モータ27が発電可能か否かを判定する。ここで、発電可能な場合、ステップS5に進み、発電不可能な場合、ステップS3に進む。
発電制御部24は、ステップS3で、駆動モータ26に入力される駆動出力値を減算し、続くステップS4で、発電モータ27への発電出力値を減算する。
ステップS5では、発電制御部24は、発電出力値を発電モータ27に出力する(発電出力指令をする)。ここで、発電制御部24は、前記ステップS2で発電可能とされている場合には、前記ステップS1で算出した発電出力値を発電モータ27に出力し、前記ステップS2で発電不可能とされている場合には、前記ステップS4で減算した発電出力値を発電モータ27に出力する。
そして、発電制御部24は、以上のような処理を行った後、当該図3に示す処理を終了する(前記ステップS1から再び処理を開始する)。
図4は、エンジン制御部25の処理手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、処理を開始すると(演算結果として駆動出力値Si3が入力されると)、エンジン制御部25は、ステップS11において、トラクションコントロールが現在作動中か否かを判定する。ここで、エンジン制御部25は、トラクションコントロールが現在作動中の場合、ステップS13に進み、トラクションコントロールが現在作動中でない場合、ステップS12に進む。
ステップS12では、エンジン制御部25は、駆動出力値に基づいてエンジン回転数目標値を算出する。そして、エンジン制御部25は、ステップS16に進む。
エンジン制御部25は、ステップS13で、アクセルペダル操作量信号が入力され、続くステップS14で、車輪速信号が入力される。
続くステップS15において、エンジン制御部25は、前記ステップS13及びステップS14で入力されたアクセルペダル操作量信号及び車輪速信号に基づいて、エンジン回転数目標値を算出する。ここで算出したエンジン回転数目標値は、トラクションコントローラが作動していない場合、すなわち、トラクションコントロール部22で減算用駆動出力値を減算していない場合(減算部23で駆動出力値が減算用駆動出力値により減算されない場合)のエンジン回転数目標値と同一値である。
例えば、エンジン制御部25は、トルク指令演算部21が算出した駆動出力値が直接入力されており、その入力された駆動出力値に基づいて、エンジン回転数目標値を算出する。又は、エンジン制御部25は、図2に示すトルク指令演算部21内のテーブルを参照して、アクセルペダル操作量信号及び車輪速信号により駆動出力値を算出して、その算出した駆動出力値に基づいて、エンジン回転数目標値を算出する。
続くステップS16において、エンジン制御部25は、エンジン回転数目標値を発電用エンジンに出力する(エンジン出力指令をする)。そして、エンジン制御部25は、当該図4に示す処理を終了する(前記ステップS11から再び処理を開始する)。
(動作)
次に動作を説明する。
この車両(車両用駆動制御装置)では、発電用エンジン4の出力トルクにより発電モータ5で発電し、その発電した電力により駆動モータ2a〜2dを駆動して、システム制御部3で算出される駆動出力値を発生させる。
すなわち、トルク指令演算部21が、アクセル操作量信号Si1と車輪速信号Si2とに基づいて駆動出力値を算出する。そして、発電制御部24が、トルク指令演算部21が算出した駆動出力値に基づいて、発電モータ27を駆動する発電出力値を算出し(前記ステップS1)、その算出した発電出力値に基づいて、現エンジン回転数において必要な発電量である必要発電量を発電モータ27が発電可能と判断した場合、当該発電出力値をそのまま発電モータ27に出力する(前記ステップS2の判定で“Yes”の場合、ステップS5)。発電モータ27は、その発電出力値となるように駆動される。そして、駆動モータ2a〜2dは、発電モータ27がその発電出力値となるように発電した電力が供給されて、トルク指令演算部21が算出した駆動出力値となるように駆動される。
また、発電制御部24が、発電出力値に基づいて、現エンジン回転数において必要な発電量である必要発電量を発電モータ27が発電不可能と判断した場合、当該発電出力値を減算し、その減算した発電出力値を発電モータ27に出力する(前記ステップS2の判定で“No”の場合、ステップS4、ステップS5)。発電モータ27は、その発電出力値となるように駆動される。そして、駆動モータ2a〜2dには、発電モータ27がその減算した発電出力値となるように発電した電力が供給される。このとき、発電制御部24が、駆動モータ26を駆動する駆動出力値を減算しているから(前記ステップS3)、駆動モータ2a〜2dは、その減算した駆動出力値となるように駆動される。この場合、駆動モータ26への駆動出力値が減算されるので、駆動モータ26の応答性は低くなる。
また、トラクションコントロール部22は、車輪が空転した場合、減算部23に減算用駆動出力値を出力して、駆動出力値から減算用駆動出力値を減算することで、駆動モータ26の駆動を抑制している。これにより、車輪の空転が抑制される。
一方、エンジン制御部25が、トラクションコントロールが現在作動中と判断した場合、アクセルペダル操作量信号及び車輪速信号に基づいて、エンジン回転数目標値を算出する(前記ステップS11の判定で“Yes”の場合、ステップS13〜ステップS15)。また、エンジン制御部25が、トラクションコントロールが現在作動中でないと判断した場合、駆動出力値に基づいて、エンジン回転数目標値を算出する(前記ステップS11の判定で“No”の場合、ステップS12)。そして、発電用エンジン28は、そのようにトラクションコントロールの作動の有無に応じて算出したエンジン回転数目標値となるように制御される。
(作用)
次に作用を説明する。
エンジン制御部25は、トラクションコントロールが現在作動中と判断した場合、アクセルペダル操作量信号及び車輪速信号に基づいて、エンジン回転数目標値を算出することで、当該エンジン回転数目標値をトラクションコントロール部22で減算用駆動出力値を減算しない場合のエンジン回転数目標値、すなわち、トラクションコントロールが作動中でない場合に算出するエンジン回転数目標値と同一値としている。
これにより、従来であれば、トラクションコントロールが作動している場合、駆動出力値を減算して、エンジン回転数目標値を小さくして、発電用エンジン28の回転数を抑制していたところを、本発明の適用により、トラクションコントロールの作動の影響を受けることのないエンジン回転数目標値にしている。
これにより、トラクションコントロール作動中に発電用エンジン28の回転数を、トラクションから復帰して駆動モータ26が高出力が必要となった場合に要求される回転数にしておくことができるので、トラクションコントロールからの復帰直後に駆動モータ26を高出力にすることができ、駆動応答性を高応答にすることができる。
また、トラクションコントロール作動中のエンジン回転数目標値を、アクセルペダル操作量及び車両速度に基づいて算出している。一方、トラクションコントロールから復帰すると、アクセルペダル操作量及び車両速度に基づいて算出される目標制動力(減算用駆動出力値で減算されていない目標制動力)に基づいて、駆動モータ26が制御されるようになる。このようなことから、トラクションコントロール作動中に、アクセルペダル操作量及び車両速度に基づいて算出したエンジン回転数目標値にしておくことで、トラクションコントロールから復帰後にアクセルペダル操作量及び車両速度に基づいて算出される目標駆動力により駆動モータ26が駆動されるようになっても、当該駆動モータ26が目標駆動力を実現するために要求されるエンジン出力状態(エンジン回転数)にしておくことができる。すなわち、トラクションコントロールから復帰時に要求される目標制動力を推定し、その推定した目標駆動力に基づいて、エンジン回転数目標値を算出している。
このように、トラクションコントロール作動中のエンジン回転数目標値を、アクセルペダル操作量及び車両速度に基づいて算出することで、簡単な構成で、かつ精度良く、トラクションコントロールからの復帰時に要求されるエンジン回転数目標値にしておくことができる。また、トラクションコントロールから復帰時に要求される目標駆動力を推定し、その推定した目標駆動力に基づいて、エンジン回転数目標値を算出することで、トラクションコントロールからの復帰時の駆動モータ26の応答を高応答としつつも、過不足のないエンジン回転数(発電出力状態)にできる。
なお、次のような構成により本発明を実現しても良い。
すなわち、前記実施形態では、トラクションコントロールが作動中のエンジン回転数目標値を駆動出力値から算出されるエンジン回転数目標値(トラクションコントロールが作動していない場合のエンジン回転数目標値)と同一値にしている。これに対して、トラクションコントロールが作動中のエンジン回転数目標値を、駆動出力値から算出されるエンジン回転数目標値よりも大きい値にする。これにより、結果として、トラクションコントロールからの復帰時に、より高応答な駆動モータ26の駆動を可能にすることができる。
また、前記実施形態では、トラクションコントロールの作動中にアクセルペダル操作量及び車両速度に基づいて算出したエンジン回転数目標値にしておくことで、トラクションコントロールからの復帰時に要求される目標制動力を推定し、その推定した目標制動力に基づいて、エンジン回転数目標値を算出することを実現している。これに対して、他の手法により、トラクションコントロールからの復帰時に要求される目標制動力を推定し、その推定した目標制動力に基づいて、エンジン回転数目標値を算出する。これにより、トラクションコントロールの作動中にアクセルペダル操作量及び車両速度に基づいてエンジン回転数目標値を算出した場合と同様な効果を得ることができる。
また、トラクションコントロール作動中に、本来は増減するエンジン回転数目標値の増加だけを許容する。例えば、前記実施形態では、アクセルペダル操作量及び車両速度に基づいて算出したエンジン回転数目標値にしており、この場合、アクセルペダル操作量及び車両速度に依っては、トラクションコントロール作動中にエンジン回転数目標値が減少する場合もある。しかし、このような場合でも、エンジン回転数目標値の増加だけを許容する。このように、通常は増減するエンジン回転数目標値のうちの増加だけを許容することで、エンジン回転数が不要に振動してしまうのを防止できる。
また、トラクションコントロール作動中のエンジン回転数目標値を、発電用エンジン28及び発電系ユニットの共振回転数以外のエンジン回転数、並びに発電用エンジン28及び発電系ユニットに負担を与えないエンジン回転数、並びに乗員に不快感を与えないエンジン回転数のうちの少なくとも1つを満たすような値にする。これにより、トラクションコントロール作動中の発電用エンジン2の回転が、当該エンジン及び発電系ユニットに負担を与えてしまったり、車体を大きく振動させてしまったり、車体が振動して、乗員に不快感を与えてしまったりするのを防止できる。
また、トラクションコントロール作動中のエンジン回転数目標値に上限値を設ける。具体的には、トラクションコントロールからの復帰時の路面の路面摩擦係数を1とした場合の目標駆動力に基づいて算出されるエンジン回転数目標値を設定上限値にする。これにより、トラクションコントロールからの復帰時に駆動モータ26の応答を高応答としつつも、発電用エンジン28が燃料を必要以上に消費することを抑制し、発電用エンジン28が高回転となり過ぎて振動してしまうのを抑制できる。また、トラクションコントロールからの復帰時の路面の路面摩擦係数を1とした場合の目標駆動力に基づいて算出されるエンジン回転数目標値を設定上限値にすることで、トラクションコントロールからの復帰時に駆動モータ26を高応答としつつも、当該設定上限値を実情に合致させた値にできる。
なお、前記実施形態の説明において、発電モータ5(発電モータ27)は、エンジンの出力軸に接続され、当該エンジンにより駆動されて発電する発電モータを実現しており、駆動モータ2a〜2d(駆動モータ26)は、前記発電モータが発電した電力を用いて、車輪を駆動する駆動モータを実現しており、減算部23及びエンジン制御部25は、前記エンジン及び駆動モータを制御する制御手段を実現しており、前記制御手段が、トラクションコントロールによって前記駆動モータの駆動出力が減少された場合に、当該駆動出力の減少に対応するエンジン回転数の減少分を抑制すること実現している。
また、前記実施形態の説明において、トルク指令演算部21は、アクセルペダル操作量及び車体速度に基づいて、車輪に駆動力を出力させる際の目標値となる目標駆動力を算出する目標駆動力算出手段を実現している。
また、前記実施形態の説明において、トラクションコントロール部22及び減算部23は、前記目標駆動力算出手段が算出した目標駆動力を減算して、トラクションコントロールを作動させるトラクションコントロール手段を実現している。
(効果)
本実施形態における効果は次のようになる。
(1)エンジンの出力軸に接続され、当該エンジンにより駆動されて発電する発電モータと、前記発電モータが発電した電力を用いて、車輪を駆動する駆動モータと、前記エンジン及び駆動モータを制御する制御手段と、を備え、制御手段は、トラクションコントロールによって前記駆動モータの駆動出力が減少された場合に、当該駆動出力の減少に対応するエンジン回転数の減少分を抑制する。このように、トラクションコントロールによって駆動モータの駆動出力が減少している場合に、エンジン回転数を目標駆動力に基づくものから切り離して、当該駆動出力の減少に対応するエンジン回転数の減少分を抑制することで、エンジン回転数をトラクションコントロールからの復帰時の駆動応答性を高めるものにしておくことができる。
(2)制御手段は、車輪に駆動力を出力させる際の目標値となる目標駆動力に基づいて、前記駆動モータの駆動出力及び前記エンジン回転数を制御し、前記トラクションコントロールの作動時には、前記目標駆動力を減少させており、前記トラクションコントロールにより前記駆動モータの駆動出力が減少された場合には、前記トラクションコントロールの非作動時の前記目標駆動力に対応するエンジン回転数と同じ又はそれよりも大きいエンジン回転数にする。これにより、トラクションコントロール作動中のエンジン回転数を、簡単な構成で、かつ精度良く、トラクションコントロールからの復帰時に要求される値にしておくことができる。また、トラクションコントロール非作動時の目標駆動力に対応するエンジン回転数よりも大きいエンジン回転数にすることで、トラクションコントロールからの復帰時に、より高応答な駆動モータの駆動が可能になる。
(3)制御手段は、車輪に駆動力を出力させる際の目標値となる目標駆動力に基づいて、前記エンジン回転数を制御しており、トラクションコントロールによって前記駆動モータの駆動出力が減少された場合には、前記トラクションコントロールからの復帰時に要求される前記目標駆動力を推定して、その推定した目標駆動力に基づくエンジン回転数にする。これにより、トラクションコントロールからの復帰時に駆動モータを高応答としつつも、過不足のないエンジン回転数にできる。
(4)制御手段は、アクセルペダル操作量及び車体速度に基づいて、車輪に駆動力を出力させる際の目標値となる目標駆動力を算出する目標駆動力算出手段を備え、前記トラクションコントロールの非作動時には、前記目標駆動力に応じて前記駆動モータの駆動出力及び前記エンジン回転数を制御し、前記トラクションコントロールの作動時には、当該トラクションコントロールに対応して減少された前記目標駆動力に応じて前記駆動モータの駆動出力を制御すると共に、アクセルペダル操作量及び車体速度に応じて前記エンジン回転数を制御する。このように、目標制動力の算出にも用いているアクセルペダル操作量及び車体速度に基づいて、トラクションコントロール作動中のエンジン回転数を制御することで、トラクションコントロール作動中のエンジン回転数を、簡単な構成で、かつ精度良く、トラクションコントロールからの復帰時に要求される値にしておくことができる。
(5)制御手段は、エンジン回転数の増加だけを許容する。このように、通常は増減するエンジン回転数のうちの増加だけを許容することで、エンジン回転数が不要に振動してしまうのを防止できる。
(6)制御手段は、エンジン及び発電系ユニットの共振回転数以外のエンジン回転数範囲、並びにエンジン及び発電系ユニットに負担を与えないエンジン回転数範囲、並びに乗員に不快感を与えないエンジン回転数範囲のうちの少なくとも1つのエンジン回転数範囲となるように、前記エンジン回転数の制御をする。これにより、トラクションコントロール作動中のエンジンの回転が、当該エンジン及び発電系ユニットに負担を与えてしまったり、車体を大きく振動させてしまったり、車体が振動して、乗員に不快感を与えてしまったりするのを防止できる。
(7)制御手段は、設定した上限値の回転数内でエンジン回転数を制御することを特徴とする。これにより、トラクションコントロール作動中のエンジン回転数を、トラクションコントロール非作動時の目標駆動力に対応するエンジン回転数と同じ又はそれよりも大きいエンジン回転数にする場合でも、そのエンジン回転数を、設定した上限値の回転数内で制御することで、トラクションコントロール作動中のエンジン回転数を、簡単な構成で、かつ精度良く、トラクションコントロールからの復帰時に要求される値にしておいたり、より高応答な駆動モータの駆動を可能としつつも、エンジンが燃料を必要以上に消費するのを抑制し、エンジンが高回転になり過ぎて振動してしまうのを抑制できる。
(8)設定した上限値は、トラクションコントロールからの復帰時の路面の路面摩擦係数を1とした場合の目標駆動力に基づいて算出される前記エンジン回転数である。これにより、トラクションコントロールからの復帰時に駆動モータを高応答としつつも、上限値を実情に合致させた値にできる。
(実施例)
図5は、エンジン回転数目標値及び現エンジン回転数の経時変化を示す。同図中、実線は、本発明を適用して得られるエンジン回転数目標値であり、点線は、本発明を適用して得られる現エンジン回転数であり、一点鎖線は、従来技術におけるエンジン回転数目標値であり、二点鎖線は、従来技術における現エンジン回転数である。
ここで、本発明を適用することとして、トラクションコントロール作動中にアクセルペダル操作量及び車両速度に基づいてエンジン回転数目標値を算出するとともに、エンジン回転数目標値の増加だけを許容するようにしている。また、従来技術では、トラクションコントロール作動中でも、目標駆動力(減算用駆動出力値で減算された目標駆動力)に基づいて、エンジン回転数目標値を算出している。
図5に示すように、従来技術では、ある時間Aにてトラクション復帰し、駆動出力値(目標駆動力)が大きくなると、エンジン回転数目標値もその駆動出力値とともに大きくなるが(同図中の一点鎖線)、現エンジン回転数の立ち上がりが遅れる(同図中の二点鎖線)。この場合、駆動モータが必要とする出力を発電モータが発電できない。これにより、要求電力の不足により、駆動モータ出力の応答性が悪化してしまう。
これに対して、本発明を適用することで、トラクションコントロール作動中(ある時間A以前)には、アクセルペダル操作量及び車両速度に基づいてエンジン回転数目標値が増加するとともに(同図中の実線)、そのエンジン回転数目標値に基づいて、現エンジン回転数も増加しているから(同図中の点線)、ある時間Aにてトラクション復帰し、駆動出力値(目標駆動力)が大きくなり、エンジン回転数目標値もその駆動出力値とともに大きくなっても、現エンジン回転数がそのエンジン回転数目標値に遅れることなく追従することができる。これにより、駆動モータの応答を高応答にすることができる。
図6は、車両前後加速度の経時変化を示す。同図中、実線は、本発明(前記図5のものと同条件)を適用して得られる結果であり、点線は、従来技術(前記図5のものと同条件)の結果である。
図6に示すように、従来技術では、ある時間Aにてトラクション復帰したとき、前述のように、駆動モータ出力の応答性が悪化してしまうので、車両前後加速度に遅れが生じてしまう(車両前後加速度の立ち上がりが遅くなる)。これに対して、本発明を適用することで、前述のように、駆動モータの応答を高応答にできるから、車両前後加速度を高応答にすることができる(車両前後加速度の立ち上がりが早くなる)。
本発明の実施形態の車両の構成を示す図である。 前記車両の構成を制御機能として示す図である。 発電制御部の処理手順を示すフローチャートである。 エンジン制御部の処理手順を示すフローチャートである。 実施例として得た、エンジン回転数目標値及び実エンジン回転数の経時変化を示す特性図である。 実施例として得た、車両前後加速度の経時変化を示す特性図である。
符号の説明
1a,1b,1c,1d 各車輪、2a,2b,2c,2d 駆動モータ、3 システム制御部、4 発電用エンジン、5 発電モータ、6a,6b,6c,6d 車輪速検出部、7 アクセルペダル操作量検出部、21 トルク指令演算部、22 トラクションコントロール部、23 減算部、24 発電制御部、25 エンジン制御部、26 駆動モータ、27 発電モータ、28 発電用エンジン

Claims (10)

  1. エンジンの出力軸に接続され、当該エンジンにより駆動されて発電する発電モータと、前記発電モータが発電した電力を用いて、車輪を駆動する駆動モータと、前記エンジン及び駆動モータを制御する制御手段と、を備える車両用駆動制御装置において、
    前記制御手段は、トラクションコントロールによって前記駆動モータの駆動出力が減少された場合に、当該駆動出力の減少に対応するエンジン回転数の減少分を抑制することを特徴とする車両用駆動制御装置。
  2. 前記制御手段は、車輪に駆動力を出力させる際の目標値となる目標駆動力に基づいて、前記駆動モータの駆動出力及び前記エンジン回転数を制御し、前記トラクションコントロールの作動時には、前記目標駆動力を減少させており、前記トラクションコントロールにより前記駆動モータの駆動出力が減少された場合には、前記トラクションコントロールの非作動時の前記目標駆動力に対応するエンジン回転数と同じ又はそれよりも大きいエンジン回転数にすることを特徴とする請求項1に記載の車両用駆動制御装置。
  3. 前記制御手段は、車輪に駆動力を出力させる際の目標値となる目標駆動力に基づいて、前記エンジン回転数を制御しており、前記トラクションコントロールからの復帰時に要求される前記目標駆動力を推定して、その推定した目標駆動力に基づくエンジン回転数にすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用駆動制御装置。
  4. アクセルペダル操作量及び車体速度に基づいて、車輪に駆動力を出力させる際の目標値となる目標駆動力を算出する目標駆動力算出手段を備え、前記制御手段は、前記トラクションコントロールの非作動時には、前記目標駆動力に応じて前記駆動モータの駆動出力及び前記エンジン回転数を制御し、前記トラクションコントロールの作動時には、当該トラクションコントロールに対応して減少された前記目標駆動力に応じて前記駆動モータの駆動出力を制御すると共に、アクセルペダル操作量及び車体速度に応じて前記エンジン回転数を制御することを特徴とする請求項1〜3に記載の車両用駆動制御装置。
  5. 前記制御手段は、エンジン回転数の増加だけを許容することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用駆動制御装置。
  6. 前記制御手段は、エンジン及び発電系ユニットの共振回転数以外のエンジン回転数範囲、並びにエンジン及び発電系ユニットに負担を与えないエンジン回転数範囲、並びに乗員に不快感を与えないエンジン回転数範囲のうちの少なくとも1つのエンジン回転数範囲となるように、前記エンジン回転数の制御をすることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用駆動制御装置。
  7. 前記制御手段は、設定した上限値の回転数内でエンジン回転数を制御することを特徴とする請求項2に記載の車両用駆動制御装置。
  8. 前記設定した上限値は、前記トラクションコントロールからの復帰時の路面の路面摩擦係数を1とした場合の前記目標駆動力に基づいて算出されるエンジン回転数であることを特徴とする請求項7に記載の車両用駆動制御装置。
  9. エンジンと、前記エンジンの出力軸に接続され、前記エンジンにより駆動されて発電する発電モータと、前記発電モータが発電した電力を用いて、車輪を駆動する駆動モータと、前記エンジン及び駆動モータを制御する制御手段と、前記駆動モータの駆動出力を減少させて、トラクションコントロールを作動させるトラクションコントロール手段と、を備えて車両駆動制御を行う自動車において、
    前記制御手段は、前記トラクションコントロール手段によるトラクションコントロールによって前記駆動モータの駆動出力が減少された場合に、当該駆動出力の減少に対応するエンジン回転数の減少分を抑制することを特徴とする自動車。
  10. エンジンにより発電モータを駆動して、前記発電モータが発電した電力を用いて、車輪を駆動モータにより駆動する車両用駆動制御方法において、
    トラクションコントロールによって前記駆動モータの駆動出力が減少された場合に、当該駆動出力の減少に対応するエンジン回転数の減少分を抑制することを特徴とする車両用駆動制御方法。
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