JP2007230350A - 電動ステアリングロック装置 - Google Patents

Abstract

【課題】基板のグリスによる悪影響を防止でき、しかも、ゴム材及びネジ等の締結手段を使用することなくモータを振動等によるガタ抑制状態で固定できる電動ステアリングロック装置を提供する。
【解決手段】アウターケース４と、アウターケース４内に収容されたインナーケース５とを有し、インナーケース５内にモータ１０、ウオームギア１１及びウオームホイール１２を収容し、アウターケース４内で、且つ、インナーケース５の外部にモータ駆動回路を構成する基板１７を収納した電動ステアリングロック装置１であって、インナーケース５には、モータ１０のほぼ全体を包み込むモータ収容室５ａを設けると共に、互いに対向する各内側面より内部に突出する弾性リブ８ｂ，９ｂを設け、モータ収容室５ａに収容したモータ１０を弾性リブ８ｂ，９ｂの弾性復帰力で支持した。
【選択図】図１

Description

本発明は、自動車のステアリングシャフトの回転をロックする電動ステアリングロック装置に関する。

この種の従来の電動ステアリングロック装置としては、特許文献１に開示されたものがある。この電動ステアリングロック装置１００は、図９及び図１０に示すように、ケース本体１０１とこのケース本体１０１の上方を被うケースカバー１０２とから成るケース１０３を有する。このケース１０３内には、モータ１０４と、このモータ１０４の回転を伝達するウオームギア１０５と、このウオームギア１０５に噛み合うウオームホイール１０６と、このウオームホイール１０６の回転で変移するカム機構１０７と、このカム機構１０７によって直線移動されるロック用ロッド１０８が収納されている。

ケース１０３内には、モータ駆動回路を構成する基板１１０が収容されている。この基板１１０には外部接続用のコネクタ１１１が固定されている。このコネクタ１１１の相手コネクタ挿入側は、ケース１０３のコネクタ開口部１１２より外部に露出されている。

上記構成において、モータ１０４の回転がカム機構１０７に伝達されると、カム機構１０７が変移する。このカム機構１０７によってケース本体１０１の孔１０１ａよりロック用ロッド１０８が進退移動し、ステアリングシャフト（図示せず）を係止するロック位置とステアリングシャフトに係止しないロック解除位置との間で変移する。

ところで、車両に搭載される電動ステアリングロック装置１００は、振動、衝撃等を受けるため、振動、衝撃によってケース１０３内でモータ１０４がガタつかないように固定する必要がある。従来では、モータ１０４の外周面にゴム材を巻き付けてケース１０３にネジで固定するのが一般的である。
特開２００５−３４３３７８号公報

しかしながら、従来例では、モータ１０４を固定するのにゴム材とネジを使用するため、部品点数が増加し、コストアップになるとともに、組立工程を簡素化することが困難であるいう問題がある。

又、従来例では、モータ１０４、ウオームギア１０５及びウオームホイール１０６のグリスが基板１１０及びこれに搭載された電子部品に飛散し、グリスによる悪影響が発生する可能性もある。

そこで、本発明は、グリスによる基板への悪影響を防止でき、しかも、ゴム材及びネジ等の締結手段を使用することなくモータを振動等によるガタ抑制状態で固定できる電動ステアリングロック装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成する請求項１の発明は、アウターケースと、このアウターケース内に収容されたインナーケースとを有し、前記インナーケース内にモータ及び伝達ギアを収容し、前記アウターケース内で、且つ、前記インナーケースの外部にモータ駆動回路を構成する基板を収納した電動ステアリングロック装置であって、前記インナーケースには、前記モータのほぼ全体を近接位置で包み込むモータ収容室を設けると共に、互いに対向する各内側面より内部に突出する弾性リブを設け、前記モータ収容室に収容した前記モータを前記弾性リブの弾性復帰力で支持したことを特徴とする。

請求項２の発明は、請求項１記載の電動ステアリングロック装置であって、前記インナーケースは、互いの合わせ面で組み合わされる２つのインナー分割ケース部材から構成され、双方の前記インナー分割ケース部材が合わせ面を開く方向に変移しないように前記アウターケースで固定したことを特徴とする。

請求項３の発明は、請求項２記載の電動ステアリングロック装置であって、前記インナー固定手段は、インナーケースの下方を支持するインナーケース載置部と、インナーケースの上方を支持する一対のインナーケース挟持部とから構成されたことを特徴とする。

請求項１の発明によれば、インナーケース内にモータと伝達ギアを収容するため、モータや伝達ギアのグリスが基板に飛散することがなく、又、インナーケースのモータ収容室内に包み込むように収容したモータを弾性リブによって支持する。従って、基板のグリスによる悪影響を防止でき、しかも、ゴム材とネジ等の固定手段を使用することなくモータを振動等によるガタ抑制状態で固定できる。

請求項２の発明によれば、請求項１の発明の効果に加え、アウターケースによってインナーケースを固定するため、双方のインナー分割ケース部材間に設けるロック手段はロック力の弱いもので足りる。従って、双方のインナー分割ケース部材間のロック手段を係止アーム爪と係止溝によって構成することができ、部品点数の削減、コストダウンに寄与する。

請求項３の発明によれば、請求項２の発明と同様の効果が得られる。

以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図１〜図８は本発明の一実施形態を示し、図１は電動ステアリングロック装置１の分解斜視図、図２は電動ステアリングロック装置１の正面図、図３は電動ステアリングロック装置１の平面図、図４は図２のＡ−Ａ線断面図、図５は図３のＢ−Ｂ線に沿ったロック状態の断面図、図６は図３のＢ−Ｂ線断面図に沿ったロック解除状態の断面図、図７は図２のＣ−Ｃ線断面図、図８は図２のＤ−Ｄ線断面図である。

図１〜図３に示すように、電動ステアリングロック装置１は、ケース本体２とケースカバー３から成るアウターケース４と、このアウターケース４内に収容されたインナーケース５とを備えている。

ケース本体２とケースカバー３は、互いの合わせ面で合わせられた状態で固定ネジ６によって組み付け固定されている。ケース本体２には、図４に詳しく示すように、インナー固定手段である円弧状のインナーケース載置部２ａが設けられている。このインナーケース載置部２ａは、下記するインナー分割ケース部材８，９が合わせ面を開く方向に変移しないようにインナーケース５の下方を支持している。ケースカバー３には、図８に示すように、インナー固定手段である一対のインナーケース挟持部３ａ，３ａが設けられている。この一対のインナーケース挟持部３ａ，３ａは、下記するインナー分割ケース部材８，９が合わせ面を開く方向に変移しないようにインナーケース５の上方を支持している。

又、ケース本体２とケースカバー３の各合わせ面には、開口部用溝７ａ，７ｂがそれぞれ形成されている。ケース本体２とケースカバー３を組み合わせると、双方の開口部用溝７ａ，７ｂによってコネクタ開口部７が構成される。

インナーケース５は、アウターケース４と同様に、互いに組み付けされる２つのインナー分割ケース部材８．９から構成されている。双方のインナー分割ケース部材８，９は、ロック手段を備えている。ロック手段は、一方のインナー分割ケース部材８に設けられた係止アーム爪８ａと、他方のインナー分割ケース部材９に設けられた係止溝９ａとから構成されている。双方のインナー分割ケース部材８，９は、係止アーム爪８ａが係止溝９ａに係止されることによって組み付け固定されている。

又、双方のインナー分割ケース部材８，９内には、モータ１０のほぼ全体を包み込むことができるモータ収容室５ａが形成されている。このモータ収容室５ａの互いに対向する位置には、その内側面より内部に突出する弾性リブ８ｂ，９ｂがそれぞれ設けられている。

インナーケース５内には、モータ１０と、このモータ１０の回転軸に固定された伝達ギアであるウオームギア１１と、このウオームギア１１に噛み合い、インナーケース５に回転自在に支持された伝達ギアであるウオームホイール１２と、このウオームホイール１２の一方面に一体に設けられた第１カム部１３と、ウオームホイール１２の他方面に一体に設けられた第２カム部１４と、ステアリングシャフト（図示せず）を係止できるロック部材１５の上方部とが収容されている。

モータ１０は、図４〜図６に詳しく示すように、そのほぼ全体を包み込むようにしてモータ収容室５ａ内に収容されていると共に、図７に詳しく示すように、左右一対の弾性リブ８ｂ，９ｂの弾性復帰力を受けて支持されている。

アウターケース４の内部で、且つ、インナーケース５の外部位置には、保持レバー１６と、モータ駆動回路を構成する回路基板１７とが収容されている。

ロック部材１５は、第１カム部１３に追従して上下動（ａ矢印方向）できるように支持されている。そして、ケース本体２の孔２ｂより外部に突出し、ステアリングシャフト（図示せず）の回転を阻止するロック位置と、ケース本体２内に退避し、ステアリングシャフト（図示せず）の回転を許容するロック解除位置との間で変移する。ロック部材１５は、第１カム部１３に追従して移動するよう圧縮バネ１８によって付勢されている。

保持レバー１６は、第２カム部１４に追従して揺動（ｂ矢印方向）できるように支持されている。そして、ロック部材１５の移動を許容する待機位置と、ロック部材１５のロック解除位置にあって、そのロック位置側への移動を阻止する保持位置との間で変移する。保持レバー１６は、第２カム部１４に追従して移動するようコイルバネ１９によって付勢されている。

基板１７は、その基板面に搭載された多数の電子部品（図示せず）を有し、電子部品、プリント配線等によってモータ駆動回路が構成されている。基板１７には、外部接続用のコネクタ２０とスペーサ２１が同じネジ２２で共締めされることによって固定されている。コネクタ２０は、その相手コネクタ挿入口側がアウターケース４のコネクタ開口部７より外部に露出するように配置されている。スペーサ２１は、コネクタ２０の外周とコネクタ開口部７の内周面との間に介在されている。

次に、上記電動ステアリングロック装置１の動作を説明する。駐車中にあって、ロック部材１５がロック位置に位置するものとする。このロック状態にあって車両を駆動するべく、ドライバー等がステアリング施解錠ボタン（図示せず）を押下すると、モータ１０の駆動によりウオームホイール１２が解錠方向に回転する。すると、ロック部材１５が第１カム部１３に追従してロック解除位置まで移動し、モータ１０の駆動が停止される（図６の位置）。一方、保持レバー１６はロック部材１５のロック位置では待機位置に位置する。そして、ロック部材１５がロック解除位置まで移動した時点で保持位置に移動される。以上により、ロック解除位置への動作が完了する。ロック部材１５のロック解除位置では、ステアリングシャフト（図示せず）の回転が自由となる。又、ロック部材１５が保持レバー１６によって位置保持されるため、強い衝撃力がロック部材１５に加わっても、ロック部材１５がロック位置側に移動することはない。これにより、車両走行中等においてステアリングシャフト（図示せず）がロックするような事態を確実に防止できる。

ロック部材１５のロック解除位置にあって、車両駐車するためドライバー等がステアリング施解錠ボタン（図示せず）を押下すると、モータ１０の駆動によりウオームホイール１２が施錠方向に回転し、保持レバー１６が保持位置から待機位置に直ちに移動する。一方、モータ１０の駆動によりウオームホイール１２が施錠方向に回転すると、ロック部材１５は保持レバー１６の待機位置への移動後、第１カム部３２に追従してロック位置に移動し、モータ１０の駆動が停止される（図５の位置）。以上により、ロック位置への動作が完了する。ロック部材１５のロック位置では、ステアリングシャフト（図示せず）の回転がロックされる。これにより、駐車中における車両盗難を防止できる。

次に、電動ステアリングロック装置１の簡単な組み付け手順を説明する。ウオームギア１１付きのモータ１０、ウオームホイール１２及びロック部材１５の上部をインナー分割ケース部材８，９内の所定位置に配置し、双方のインナー分割ケース部材８，９間を係止アーム爪８ａと係止溝９ａでロックすることによってインナーケース５を組み付ける。一方、電子部品（図示せず）が搭載された基板１７に、コネクタ２０とスペーサ２１をネジ２２で共締めして固定する。

次に、基板１７をインナーケース５にネジ２３で固定する。インナーケース５と基板１７の組み付け体をケース本体２の所定位置に仮配置する。又、ケース本体２の所定位置に保持レバー１６等の収容部品を仮配置する。

次に、ケース本体２の上方からケースカバー３を被せる。すると、インナーケース５は、ケース本体２のインナーケース載置部２ａとケースカバー３の一対のインナーケース挟持部３ａ，３ａで支持される。このようにして組み合わせたケースカバー３とケース本体２を固定ネジ６でネジ固定すれば完了する。

以上、本発明では、インナーケース５内にモータ１０、ウオームギア１１及びウオームホイール１２を収容するため、モータ１２、ウオームギア１１及びウオームホイール１２のグリスが基板１７に飛散することがなく、又、インナーケース５のモータ収容室５ａ内で包み込むようにモータ１０を収容し、且つ、このモータ１０をインナーケース５の弾性リブ８ｂ，９ｂによって支持する。従って、基板１７のグリスによる悪影響を防止でき、しかも、従来例のようにゴム材とネジ等の固定手段を使用することなくモータ１０を振動等によるガタ抑制状態で固定できる。

この実施形態では、インナーケース５は、互いの合わせ面で組み合わされる２つのインナー分割ケース部材８，９から構成され、双方のインナー分割ケース部材８，９が合わせ面を開く方向に変移しないように固定するインナーケース固定手段をアウターケース４に設けた。具体的には、インナーケース固定手段は、ケース本体２のインナーケース載置部２ａとケースカバー３の一対のインナーケース挟持部３ａ，３ａとから構成した。このようにアウターケース４によってインナーケース５を固定するため、双方のインナー分割ケース部材８，９間に設けるロック手段はロック力の弱いもので足りる。従って、前記実施形態のように、双方のインナー分割ケース部材８，９間のロック手段を係止アーム爪８ａと係止溝９ａによって構成することができ、部品点数の削減、コストダウンに寄与する。

この実施形態では、弾性リブ８ｂ，９ｂは、インナー分割ケース部材８，９の左右一箇所より一対設けられているが、左右の複数箇所より複数対設けても良く、左右位置ではなく上下位置に設けても良い。又、左右位置及び上下位置の双方にそれぞれ設けても良い。

この実施形態では、伝達ギアは、モータ１０の回転軸に固定されたウオームギア１１とこれに噛み合うウオームホイール１２とから構成されているが、これに限定されるものではない。つまり、伝達ギアは、モータ１０の回転をカム機構（第１カム部１３，第２カム部１４）に伝達できるものであれば良い。

本発明の一実施形態を示し、電動ステアリングロック装置の分解斜視図である。 本発明の一実施形態を示し、電動ステアリングロック装置の正面図である。 本発明の一実施形態を示し、電動ステアリングロック装置の平面図である。 本発明の一実施形態を示し、図２のＡ−Ａ線断面図である。 本発明の一実施形態を示し、図３のＢ−Ｂ線に沿ったロック状態の断面図である。 本発明の一実施形態を示し、図３のＢ−Ｂ線断面図に沿ったロック解除状態の断面図である。 本発明の一実施形態を示し、図２のＣ−Ｃ線断面図である。 本発明の一実施形態を示し、図２のＤ−Ｄ線断面図である。 従来例の電動ステアリングロック装置の横断面図である。 従来例の電動ステアリングロック装置の縦断面図である。

符号の説明

１ 電動ステアリングロック装置
２ａ インナーケース載置部（インナーケース固定手段）
３ａ 一対のインナーケース挟持部（インナーケース固定手段）
４ アウターケース
５ インナーケース
５ａ モータ収容室
８ インナー分割ケース部材
８ａ 係止アーム爪（ロック手段）
８ｂ 弾性リブ
９ インナー分割ケース部材
９ａ 係止溝（ロック手段）
９ｂ 弾性リブ
１０ モータ
１１ ウオームギア（伝達ギア）
１２ ウオームホイール（伝達ギア）
１７ 基板

Claims (3)

1. アウターケースと、このアウターケース内に収容されたインナーケースとを有し、前記インナーケース内にモータ及び伝達ギアを収容し、前記アウターケース内で、且つ、前記インナーケースの外部にモータ駆動回路を構成する基板を収納した電動ステアリングロック装置であって、
   前記インナーケースには、前記モータのほぼ全体を包み込むモータ収容室を設けると共に、互いに対向する各内側面より内部に突出する弾性リブを設け、前記モータ収容室に収容した前記モータを前記弾性リブの弾性復帰力で支持したことを特徴とする電動ステアリングロック装置。
2. 請求項１記載の電動ステアリングロック装置であって、
   前記インナーケースは、互いの合わせ面で組み合わされる２つのインナー分割ケース部材から構成され、双方の前記インナー分割ケース部材が合わせ面を開く方向に変移しないように固定するインナー固定手段を前記アウターケースに設けたことを特徴とする電動ステアリングロック装置。
3. 請求項２記載の電動ステアリングロック装置であって、
   前記インナー固定手段は、インナーケースの下方を支持するインナーケース載置部と、インナーケースの上方を支持する一対のインナーケース挟持部とから構成されたことを特徴とする電動ステアリングロック装置。
   

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