JP2007230324A - 車両用傘収納装置 - Google Patents

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龍経 勝見
Nobuyoshi Ogasawara
信義 小笠原
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Abstract

【課題】座席シートとサイドパネルとの間に設けられる傘収納装置において、乗員の乗降を阻害することがなく、収納できる傘のサイズに制約を受けることなく、傘の取り出し、収納が容易であるとともに、車体への組みつけが容易であり、さらに、車室内の意匠性を低下させることのない、利便性、安全性、組付け容易性、意匠性をすべて兼ね備えた傘収納装置を提供する。
【解決手段】長尺な凹溝状の傘収納部が、前部ドア開口の下縁および後部ドア開口の下縁に沿って配設される車両用傘収納装置であって、前記傘収納部が、前席シートと前部ドア開口の下縁との間から後部ドア開口の下縁にわたって配設されていることを特徴とする傘収納装置による。
【選択図】図1

Description

本発明は自動車の乗員室内に設けられる傘収納装置に関する。
自動車室内において、雨の日などに乗員が車外で使用した傘に残る雨水などが車内のシートやフロアカーペットなどの内装品を濡らしたりすることがないように、また、晴天時に傘を格納しておくことなどを目的として、傘収納装置を車内に装備することが行なわれている。前記傘収納装置の設置場所としては、ドア内部に傘の収容空間を形成するとともに、ドアの側面に開口を形成することによって、傘を出し入れするようにしたものや、ドアの開口下縁に傘の収容空間を形成し、開閉可能な蓋を設けたもの等が提案されているが、このような実施例では、ドアの開閉に支障をきたす惧れがあるとともに、傘の出し入れをするのにドアを開ける必要があるため利便性が悪く、安全性にも問題があった。このようなこともあり、乗員から容易に手が届く所に位置し、利便性に優れ、また、デッドスペースを有効利用できることなどを理由として、自動車室内のサイドパネルと座席シートとの間のスペースに傘収納装置を配設するものが、最も多く提案されている。
このような傘収納装置が、たとえば特許文献1に開示されている。ここに開示されている構成は、図5に示しているように、サイドパネル22と座席シート23との間に傘収納ケース21を取り付けるものであって、該傘収納ケース21の上端縁部に形成された取付片21aを、前記サイドパネル22とスカッフプレート25との間に挿入して係止させるとともに、前記傘収納ケース21の底部に形成されたドレンパイプ27を前記サイドパネル22に貫通させて取り付けたことを特徴とするとされており、これによって、前記傘収納ケース21を車体に取付固定するとともに、前記スカッフプレート5と傘収納ケース1との隙間は前記取付片21aによって閉塞されて、傘に残った雫によってフロアカーペット26を濡らすことがなくなり、前記ドレンパイプ27が雫を車室外に排出することができるとしている。
実開昭64−7851号公報(実願昭56−158493)
従来の傘収納装置は、座席シートとサイドパネルとの間のスペースのみを利用することが前提となっているため、必然的に前記傘収納装置の長さや幅が限られることになり、利用できる傘の大きさや、形状に限定があるものであり、通常サイズの傘を収納することができないという非常に使い勝手が悪いものであった。すなわち、乗員の足溜まり部分に前記傘収納部を設けると、外観見栄えが低下するとともに、乗員の乗降に支障がでたり、乗員の居住スペースを狭めて快適性を損われたりする惧れがあるために、上記の傘収納装置は座席シート横のみに配置せざるをえなくなり、必然的に収納できる傘の長さは座席シートの車両前後方向の長さと略同程度の短い傘に限定されていた。
また、前記特許文献1に記載の実施例において、前記収納ケース21は上面を車室内側に開放した凹溝状の本体と、該本体の開口の一端にインテグラルヒンジを介して蓋が開閉自在に組み付けられ、前記開口を遮蔽して、傘の飛び出しを防止するとともに、傘および前記凹溝状の本体内部が車室内に露出しないようにして意匠性を高めている。しかし、このような蓋を設けてしまうと、傘を出し入れする際に、蓋を開け閉めする操作が必要となり、片方の手で蓋を開けて、その状態を保ちつつ、もう一方の手で傘を出したり、入れたりする動作が必要になるため、乗員は両手を使わなければならなり、利便性が著しく悪化する。特に、サイドパネルと座席シートとの間のような隙間に傘収納部を設けるような場合は、乗員は上体を屈ませたり、捻ったりするか、あるいは、一端、車外に出てドアを開けた状態で作業をする必要があり、傘の出し入れが非常に煩わしいものとなる。このため、使用者はこのような傘収納ケースを使うことが面倒になり、結局、傘収納ケースの蓋の上に傘を置いたり、従来のように、フロアカーペットや座席シート上に置いておくようになり、傘収納ケースは全く意味のないものとなる惧れを有していた。逆に、前記傘収納部に蓋を設けずに、前記開口を覆わない構成とした場合は、傘が前記傘収納ケースから飛び出したりする惧れがあるだけでなく、傘が露出してしまい外観見栄えも悪化する。
また、上記の従来例においては、前記収納ケースを前記サイドパネルに取付固定するために、前記サイドパネルと前記フロアカーペットに孔をあけて、該孔に前記ドレンパイプを挿通させ、係止させる構成としていたが、この構成では、前記孔の加工や組付けのために工数が増加するとともに、前記孔から車外騒音が侵入してくるため、車室内の静粛性が低下する惧れも有している。
上記のように、スカッフプレートと座席シートとの間に前記傘収納装置を設けることによって、乗員室内のスペースが減少し、乗員の乗降の邪魔になるなどして、乗員の快適性が損なわれ、また、乗員が足を引っ掛ける惧れがあるなど安全性にも課題も有している。また、乗員の乗降を阻害しない構成とすると、必然的に傘のサイズが限定されたり、蓋を設けることにより利便性が低下したりするなど課題を多く有している。このため、これらの課題とコストパフォーマンスとを考慮すると、乗員の居住スペースを削り、製造コストを増加させてまで、傘専用の収納装置を設けることはしていない車両が一般的となっている。
本発明は、斯かる上記の課題に鑑み、座席シートとサイドパネルとの間に設けられる傘収納装置において、乗員の乗降を阻害することがなく、収納できる傘のサイズに制約を受けることがない、また、傘の取り出し、収納が容易であるとともに、車体への組みつけが容易であり、さらに、車室内の意匠性を低下させることのない、利便性、安全性、組付け容易性、意匠性をすべて兼ね備えた傘収納装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する為の本発明の手段は、長尺な凹溝状の傘収納部が、前部ドア開口の下縁および後部ドア開口の下縁に沿って配設される車両用傘収納装置であって、前記傘収納部が、前席シートと前部ドア開口の下縁との間から後部ドア開口の下縁にわたって配設されていることを特徴とする傘収納装置による。
このような構成とすることによって、従来の傘収納装置のように傘収納部に収納される傘のサイズに制約を受けることがなく、長さが90cm以上あるような長尺の傘にも対応する傘収納部を設けることも可能となる。また、本発明の傘収納装置は前席シートと前部ドア開口の下縁との間から後部ドア開口の下縁にわたって配設されていて、傘は乗員の手の届く位置に格納されるため、乗員は着座した状態で傘の出し入れ操作をおこなうことができるとともに、前席シートとサイドパネル間のスペースを有効利用することができる。また、前記傘収納装置は前席シート横の隙間に配設されるため、前席乗員の乗降を阻害したりすることがなく、居住スペースを削減することがなくなるとともに、前記傘収納装置は前席シートに着座した乗員の視界から外れるため、車室内の意匠性が低下することがなく、乗員の快適性が損われることがなくなる。
前記傘収納部は前部スカッフプレートから延出形成されていることが好ましい。このような構成とすることによって、部品点数を削減することができ、前記前部スカッフプレートを前記サイドパネルに組み付けることによって、前記傘収納装置も同時に組みつけられるため、組付け工数を低減してコストを削減することが可能となる。また、前記前部スカッフプレートと前記傘収納装置が一体化されるため、前記前部スカッフプレートと前記傘収納装置との間に隙間が形成されることがないため、車外で使用した傘を収納する際に、雨水が前記隙間から漏れてフロアカーペットを濡らすことがなくなる。また、前記前部スカッフプレートと前記傘収納装置とを連続した意匠とすることで、一体感を持たせて見栄えを向上させることも可能となる。
後部ドア開口の下縁には、前記傘収納部の開口を部分的に覆う遮蔽蓋が設けられていることが好ましい。すなわち、前記傘収納部において、後席乗員が乗降する際に跨ぐ部分であり、また、乗員の視界に入る部分である後部ドア開口下縁に露出した前記傘収納部の後端部分に遮蔽蓋を設けることによって、乗員が乗降する際に、傘収納部の凹溝に足を挟んで転倒するというようなことがなくなり、また、収納された傘が車室内に露出するのを防ぎ、意匠性の低下を防止することができる。
また、本発明の遮蔽蓋は従来のような傘収納部の開口を全て覆うのではなく、傘収納部の後端を部分的に覆うのみであるため、傘収納部の前方部分、即ち、前席シートと前部ドア開口の下縁との間の乗員の視界に入り難い部分においては、前記傘収納部の開口を覆うものはなく車室内側に開放されている。このため、傘を前方部分から挿入し、その後、前記傘収納部の後方へとスライドさせれば、前記遮蔽蓋を開くことなく傘を収納することができる。また、傘を取り出す際には、車室内に露出している傘の柄の部分を手で掴み、上方へ持ち上げる動作を行なえば、傘の先端部分が前記遮蔽蓋を押し上げるため、傘を前記傘収納部から取り出すことが可能となり、傘を出し入れする度に遮蔽蓋を開け閉めするような煩わしい操作を行なう必要がなくなる。
また、傘収納装置を設けていない従来の後部スカッフプレートのみの構成であれば、乗員が乗降する際に前記後部スカッフプレートを足場にするには幅が狭すぎるため、乗員が乗降する際には、前記後部スカッフプレートが組み付けられる部分に通常形成されている突出部を跨いで乗降しており、前記突出部に足を引っ掛けて躓いて怪我をする惧れを有していたが、前記傘収納装置における前記傘収納部の後端部分に遮蔽蓋を設けることによって、該遮蔽蓋と前記後部スカッフプレートとによって、従来よりも幅の大きい足場ができ、乗員の乗降において安全性が向上するという効果も得られる。
前記遮蔽蓋は後部スカッフプレートに設けられていることが好ましく、これにより、後部スカッフプレートと前記傘収納部の連続した意匠を形成することが可能となり、見栄えがよくなるため、傘収納装置を設けることによる異物感を取り除くことができるなど、優れた効果が得られる。
前記傘収納装置は前記前部スカッフプレートと前記後部スカッフプレートとを結合一体化することによって形成されることが好ましい。このような構成とすると、長尺な傘収納部が前端と後端の夫々において固定されるため、前記傘収納部が確実に固定されて安定性が増すという効果が得られるため、前記傘収納装置のガタツキや位置ずれによる異音の発生を可及的に防止できる。また、前記後部スカッフプレートを別体成形して後付けする構成としたことによって、車体への組付け性が向上するといった効果も得られる。即ち、本発明の傘収納装置は、前部ドア開口の下縁から後部ドア開口の下縁にわたって、配設されることに特徴を有しており、このような配設態様をとる部品を車体に組み付ける際には、前記前部スカッフプレートと前記後部スカッフプレートとを一体成形すると、前部ドアの開口と後部ドアの開口とを仕切るセンタピラーパネルが組付けの邪魔になり、組付け性が悪化する惧れを有していたが、別体とすることによって、組付け軌跡が単純化され、組付け性が格段に向上する。また、本発明のような長尺な傘収納装置において、樹脂などを射出成形するなどして成形すると、樹脂の熱収縮などによる寸法変化の影響が大きく、寸法誤差が発生し、組付けに不具合が発生する惧れを有しているが、前部スカッフプレートと後部スカッフプレートを別体で形成した後、結合一体化する構成とすれば、結合部において、寸法誤差を吸収可能な構成とすることも可能となる。
前記後部スカッフプレートには前記傘収納部の後端の開口を縁取るコ字状枠部が延出形成されており、前記コ字状枠部と前記傘収納部を嵌合することによって、前記前部スカッフプレートと前記後部スカッフプレートが一体化されていることがより好ましい。このような構成とすることによって、前記後部スカッフプレートと前記傘収納部とがより強固に固定することが可能となる。また、本発明の傘収納装置は非常に長尺な構成となるため、成形による寸法誤差が大きくなる惧れがあるが、前記コ字状枠部と前記傘収納部との嵌合部において、このような寸法誤差を吸収することも可能となる。
前記遮蔽蓋は、前記コ字状枠部の前記後部スカッフプレートと反対側に位置する端部に回動可能に軸支されていることがより好ましい。このような構成とすることによって、前記遮蔽蓋は車外側に開くため、後席に乗っていた乗員が降りるのと同時に、前席の乗員が傘を取り出そうとした場合などでも、前記遮蔽蓋を車室側から押せば閉まるため、後席の乗員が前記遮蔽蓋に足を引っ掛けて車外へ転げ落ちて、怪我をしたり、交通事故に遭うような惧れがなくなる。
前記傘収納部には、傘の柄を保持する固定手段が設けられていることが好ましく、前記固定手段により傘を固定して収納することができるようになるため、車両走行中の振動によって、傘が前記傘収納部から飛び出して、乗員の運転を阻害したり、前記傘収納部内で傘が動いて、異音が発生したりするような不具合を防止することが可能となる。
本発明による車両用の傘収納装置は、前部ドア開口の下縁から後部ドア開口の下縁まで、乗員室内を前後方向に最大限に使用して設置することができ、従来では使用することができなかったサイズの大きい傘も問題なく収納することができる。また、乗員室内の見栄えを低下させることのない構成でありながら、傘の出し入れが極めて容易に行なうことができる。さらに、従来から車輌に設けられているスカッフプレートと一体成形することによって、部品点数を増やす必要がなくなるとともに、スカッフプレートを車体に組み付ければ、同時に傘収納装置も組み付けられるため、組付け工数を低減して、製造コストを削減することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
図1(a)は前部ドア開口を車外側から見た外観斜視図であり、図1(b)は後部ドア開口を車外側から見た外観斜視図である。本発明による傘収納装置1が前席シート3とサイドパネル4との間から後部シート7とサイドパネル4との間にわたって配設されている。
傘収納装置1は、前部ドア開口の下縁を覆う前部スカッフプレート10と、該前部スカッフプレート10から延出形成された傘収納部11と、後部ドア開口の下縁を覆う後部スカッフプレート12と、該後部スカッフプレート12から延出形成されたコ字状枠部12aと、該コ字状枠部12aに回動可能に軸支される遮蔽蓋14とからなる。
前記前部スカッフプレートおよび前記後部スカッフプレートは、ドア開口の下縁において、車体パネルの合わせが露出しないように遮蔽したり、ドア開口の下縁を装飾して意匠性を向上させることの他に、乗員が乗り降りする際に擦れて車体パネルの塗装が剥げたりすることを防止するカバーとして機能することを目的として設置されている。また、これらのスカッフプレートの端部を延出形成して、床面を覆うフロアカーペット2の端末を前記スカッフプレートの端部とフロア面とで挟むことによって、押さえる固定部材としても利用されている。
前記前席シート3は乗員の体型にあわせて、通常、車両前後方向に一定距離だけスライドして調節可能とされている。このため、前記傘収納部11は前記前席シート3が後方に最大限スライドしたときにも前記傘収納部が露出しないように配置されている。
図2に前記傘収納装置1の分解斜視図を示す。本発明による傘収納装置1は運転席側と助手席側のどちらか、または、両方に配設されてよく、この場合、左右対称形状となっている。図2の傘収納装置1は車両の右側に設けられるものを示している。前記傘収納部11は前記前部スカッフプレート10から延出形成されており、傘を収納可能な凹陥部11aを有している。該凹陥部11aは前記前席シートと前部ドア開口の下縁との間から車両後方に向かって、前記後席シート7と後部ドア開口の下縁との間まで伸びた長尺な凹溝状に形成されていて、前記凹陥部11aの裏面はフロアパネル8上に載置される。傘は、前記前部スカッフプレート側から凹陥部11aに挿入され、前記凹陥部11a上をスライドさせることによって前記傘収納部11内に収納することができる。前記傘収納部11の凹陥部11aにはクリップ15が組み付けられており、傘の柄を前記クリップ15に嵌合固定することが可能であり、自動車の走行中に傘が飛び出して、運転者の運転に支障をきたすような惧れを低減し、安全性を確保していると同時に、傘が振動によって前記凹陥部11aと干渉して異音が発生することを防止している。
前記傘収納部11の後端部において、前記凹陥部11aの開口縁が切り欠かれており、この切欠部に、前記後部スカッフプレート12に延出形成したコ字状枠部12aが嵌合することによって、前記前部スカッフプレート10と前記後部スカッフプレート12は嵌合一体化する。このため、本発明の傘収納装置1は、スカッフプレートを車体に組み付けると同時に、傘収納部も車体に組み付けられるため、傘収納部の車体への取付のために、新たに結合部品を設ける必要がなく、また、車体パネルに係合用の孔を設ける必要もないため、加工工数や組付工数を低減することができる。
前記後部スカッフプレート12に設けられた前記コ字状枠部12aの座席シート側には回動軸12bが3箇所、延出形成されており、前記回動軸12bは円柱状の軸と、該軸の両端から伸びて、前記コ字状枠部12aと前記軸とを連結する2本の脚部とからなり、前記軸に前記遮蔽蓋14が回動可能に軸支されている。また、前記回動軸12bのうち少なくとも一つにはバネ16が巻装されていて、前記遮蔽蓋14が閉じて、前記凹陥部11aを遮蔽蓋14が覆っている状態に保つ、即ち、前記遮蔽蓋14を遮蔽位置に保持するように付勢している。これにより、傘を前記傘収納部11の凹陥部11aに収納して前記遮蔽蓋14が閉じられた状態から、使用者が前記クリップ15と傘の柄の嵌合を解除して傘を上方へ引き出す操作を行なえば、前記遮蔽蓋14は前記傘から前記バネ16の弾性力よりも大きな力を受けるため、前記回動軸12bを中心として回動し、使用者が前記遮蔽蓋14を手動で開ける必要がなく、また、傘を取り出せば、前記遮蔽蓋14は前記回動軸12bに設けられた前記バネ16によって前記遮蔽位置へと付勢され、自動的に閉じられるため、遮蔽蓋14の開閉という煩わしい作業を行なう必要がなくなるといった優れた機能を有している。
上記のとおり、本実施例では傘を収納する前記凹陥部11aを遮蔽する遮蔽蓋14を、前記凹陥部11aの一部のみを遮蔽していて、傘の収納状態で少なくとも傘の柄が露出する構成としていることに特徴を有しており、これにより、蓋の設けられていない前部から傘を差し込み、前記凹陥部11aの後端まで傘をスライドさせて収納させることができるとともに、傘を取り出す際には、傘を持ち上げれば傘の先端が前記遮蔽蓋を押圧して、前記遮蔽蓋は開かれるため、傘の出し入れに遮蔽蓋14の開閉を手動で行なう必要がなくなる。さらに、本発明の構成は、前記傘収納部11の開口を遮蔽蓋で全て覆うことがなく、大部分が車室内へと開放されているため、従来のような、傘収納部を完全に蓋で覆った密閉状態で濡れた傘を収納する構成と比較して、換気が良好でカーエアコンの風が流れ込み易く、自然乾燥し易いといった作用効果も得られる。
また、傘の柄が露出する部分を、前席シート3と前部ドアとの間の乗員の視界に入らない位置へと前記傘収納装置1は配置され、また、後部ドア8の開口下縁に露出して、後席乗員の視界に入るとともに、乗員の乗降時の通路となる後端部は、前記遮蔽蓋14によって前記凹陥部11aが遮蔽される構成とされているため、意匠性の低下を防止するとともに、後席乗員の乗降を阻害しない。
また、前記凹陥部11aの底面は車両前後方向に傾斜していて、前方側が低くなるように形成してもよい。。このような構成とすることによって、車外で使用した傘を収納したときに、傘に残った雨の雫が前記凹陥部11aを伝って、前記凹陥部11aの前端部に集められる。このため、前席乗員は容易に雨水を拭き取ることが可能となる。
図3に図1のA−A線断面図を示す。前記凹陥部11aの底面には嵌合孔11bを有する凸部11dが上方へ向けて突出形成されていて、前記凹陥部11aの両側面には係止孔11c、11c´が形成されている。前記クリップ15は、傘の柄を押さえて固定する、断面U字形をした保持部15bと、該保持部15bの両端から折曲、延出形成された係止片15a、15a´と、前記保持部15bの底面から外方へ延出形成された弾性脚15c、15c´とからなり、前記係止片15a、15a´を前記係止孔11c、11c´に挿入し、係止させるとともに、前記弾性脚15c、15c´を前記嵌合孔11bに嵌合されている。これによって、前記クリップ15は前記傘収納部11内に取付固定されるとともに、前記係止片15a、15a´は前記係止孔11c、11c´に挿入されて、位置決めされる。
前記係止片15a、15a´は前記係止孔11c、11c´に挿入されているのみであるため、力が加われば変位可能であり、前記保持部15bに傘の柄を嵌め込む際に、前記クリップ15の開口15eの幅は傘の柄の外径よりも小さくされているが、前記保持部15bは係止片15aが外方へ変形して前記開口15eを押し拡げて、傘の柄を前記開口15eに通すことが可能であり、傘の柄を前記開口を通した後は前記開口は再び閉じられ、傘の柄は前記保持部15b内に嵌合保持される。
また、前記傘収納部11の凹陥部11aの座席シート側の端部にはフロア面へ向かって突出するように係止爪11eが折曲形成されていて、前記係止爪11eによって、前記フロアカーペット2の端末を押さえて、固定する機能も付与されている。このような構成とすることによって、前記フロアカーペット2を固定するための固定具を新たに設けることなく、フロアパネル面に前記フロアカーペット2を固定することができる。
図4に図1のB−B線断面図を示す。前記傘収納部11に形成された前記凹陥部11aの両端部には、夫々突条11f、11f´が折曲形成されていて、前記後部スカッフプレート12から延出形成された、前記コ字状枠部12aの下端には、前記突条11f、11f´と嵌合する凹溝12c、12c´が形成されている。これらの突条11f、11f´と凹溝12c、12c´が夫々嵌合することによって、、前記コ字状枠部12aと前記傘収納部11が結合する、即ち、前記前部スカッフプレート10と前記後部スカッフプレート12が結合一体化されて、本発明の傘収納装置1は完成する。また、前記前部スカッフプレートと前記後部スカッフプレートは、従来どおり、前部ドア開口下縁および後部ドア開口下縁に組み付けられるが、本発明の傘収納装置は、傘の傘収納部11が前後のスカッフプレートと一体化されているため、車体へ組み付ける必要がなく、従来のような組付け作業を省略することが可能となり、製造コストを低減することができる。また、前記傘収納部11が前後のスカッフプレートと一体化されているため、連続した意匠とすることができ、一体感が現出し、従来の傘収納装置のように異物感を与えることがなく、外観見栄えを著しく向上させることが可能となる。
図中、前記コ字状枠部12bの開口を覆う前記遮蔽蓋14は、閉じられた遮蔽位置を実線で、前記遮蔽位置から前記回動軸12bを中心として約90°回動して開かれた開放位置を2点鎖線で示している。前記回動軸12bには前記バネ16が巻装されていて、前記遮蔽蓋14が閉じた、図中実線
で示した遮蔽位置へと付勢されているため、傘を前記傘収納部11から取り出す際に前記遮蔽蓋14が開いたとしても、傘を取り出して、前記遮蔽蓋14への力が作用しない状態となれば、前記遮蔽蓋14は自動的に前記遮蔽位置まで回動して閉じられる。
上記のように、本発明の傘収納装置は傘収納部11を前部スカッフプレート11と一体成形するとともに、乗員の視界に入らない前席座席シート横のデッドスペースに配置され、前記傘収納部11において、後部ドア開口の下縁付近に露出する部分については、後部スカッフプレートに設けた遮蔽蓋14によって、部分的に、開閉自在に覆われる構成となっている。このため、傘の出し入れに伴う、遮蔽蓋の開閉を手動で行なう必要がなくなり、利便性に優れるとともに、車室内の見栄えの低下を招くことなく、スカッフとの一体化により、意匠性を向上させることが可能となる。
本実施例における傘収納装置1は前席乗員用の傘収納装置であったが、これに限られるものではなく、後席乗員用の傘収納装置とすることもできる。上記実施例とは前後対称となる、すなわち、傘収納部が前席シートとサイドパネルとの間から前部ドア開口の下縁にわたって設けられる構成であって、傘収納部が後部スカッフプレートから車両前方へと延出形成され、前記傘収納部の凹溝状の凹陥部が前席乗員の乗降部に露出する部分には前部スカッフプレートから延出形成されたコ字状枠部を嵌合固定するとともに、該コ字状枠部に設けられた遮蔽蓋が露出部を遮蔽する構成としてもよい。
(a)本発明による車両用傘収納装置を自動車の前部ドア開口から見た斜視図。(b)本発明による車両用傘収納装置を自動車の後部ドア開口から見た斜視図。 本発明の車両用傘収納装置の分解斜視図。 図1(a)のA−A線断面図。 図1(b)のB−B線断面図。 従来の車両用傘収納装置の配設態様を示した断面図。
符号の説明
1 傘収納装置
2 フロアカーペット
3 前席シート
4 サイドパネル
5 オープニングトリム
6 傘
7 後席シート
8 後部ドア
10 前部スカッフプレート
11 傘収納部
11a 凹陥部
11b 嵌合孔
11c、11c´ 係止孔
11d 凸部
11e 係止爪
11f 突条
12 後部スカッフプレート
12a コ字状枠部
12b 回動軸
12c 凹溝
12d 係止爪
14 遮蔽蓋
15 クリップ
15a、15a´ 係止片
15b 保持部
15c、15c´ 弾性脚
15e 開口

Claims (8)

  1. 長尺な凹溝状の傘収納部が、前部ドア開口の下縁および後部ドア開口の下縁に沿って配設される車両用傘収納装置であって、前記傘収納部が、前席シートと前部ドア開口の下縁との間から後部ドア開口の下縁にわたって配設されていることを特徴とする傘収納装置。
  2. 前記傘収納部は前部スカッフプレートから延出形成されていることを特徴とする請求項1に記載の傘収納装置。
  3. 後部ドア開口の下縁には、前記傘収納部の開口を部分的に覆う遮蔽蓋が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の傘収納装置。
  4. 前記遮蔽蓋が後部スカッフプレートに設けられていることを特徴とする請求項3に記載の傘収納装置。
  5. 前部スカッフプレートと後部スカッフプレートを結合一体化してなることを特徴とする請求項1〜4に記載の傘収納装置。
  6. 前記後部スカッフプレートには前記傘収納部の後端の開口を縁取るコ字状枠部が延出形成されており、前記コ字状枠部と前記傘収納部の嵌合によって、前記前部スカッフプレートと前記後部スカッフプレートが一体化されてなることを特徴とする請求項5に記載の傘収納装置
  7. 前記遮蔽蓋は、前記コ字状枠部において前記後部スカッフプレートに対向する側に回動可能に軸支されていることを特徴とする請求項6に記載の傘収納装置。
  8. 前記傘収納部には、傘の柄を保持する固定手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜7に記載の傘収納装置。
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JP2014221564A (ja) * 2013-05-13 2014-11-27 本田技研工業株式会社 車両用傘収納装置

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