JP2007228773A - モータ、モータ駆動装置及びモータ駆動方法 - Google Patents

モータ、モータ駆動装置及びモータ駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ロータ位置検出用の非通電期間を必要としないセンサレス駆動により振動や騒音を低減し、さらに高効率で安定なモータ駆動が可能なモータおよびモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】モータ(10)を、少なくとも1相の電機子巻線の誘起電圧の振幅を他の相と異ならせて出力可能に構成する(例えば、モータ(10)において1相のみ電機子巻線の巻数を異ならせる。)。モータ駆動装置の位置検出部(40)は、抵抗(91〜93)で構成された擬似中性点生成部(90)からの擬似中性点電圧Vnとモータ(10)の中性点電圧Vcの差動増幅信号により誘起電圧の基本波成分のゼロクロスを検出してロータ位置検出を行う。通電制御部(50)は位置検出部(40)の位置検出信号FGに基づきモータ駆動部(20)の各パワートランジスタ(21〜26)のPWM正弦波駆動を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、センサレス駆動を行うモータ駆動装置に関する。
ハードディスクや光ディスク等のスピンドルモータとして、あるいはエアコンのファンモータやコンプレッサ駆動用モータとして、ブラシレスモータが一般的に採用されている。ブラシレスモータは、広範囲の可変速制御や電力消費量低減のため、インバータ装置を使ってPWM駆動される。
3相コイルを有するブラシレスモータ内部には、通常、ロータ位置検出のため、ホール素子等の位置センサが電気角120度毎に配置されている。ブラシレスモータは、この位置センサから得られるロータ回転位置に対応した信号を用い、振動や騒音を低減することを目的として略正弦波駆動されている。
これに対して、低コスト化や小型化を目的としたセンサレス技術が種々開発されている。このセンサレス駆動を実現する方法として、120度通電方式のような180度未満の通電方式を用い、非通電期間に発生する誘起電圧のゼロクロスを検出する方法がある。しかし、そのような方式では非通電期間の存在が原因となって、通電切り替わりタイミングにおいて振動が発生し、それに伴う騒音が発生するという問題があった。このような問題を解決するものとして特許文献1に開示の技術がある。特許文献1はロータ位置検出用の非通電期間を必要とせずにロータ位置検出が可能なモータ駆動制御技術を開示する。
特許文献1の位置検出回路は、モータの電機子巻線に並列に接続された抵抗回路を有し、その抵抗回路の共通接続点(疑似中性点)の電圧と、モータの電機子巻線の中性点の電圧との差電圧を検出し、その差電圧を示す差分信号のゼロクロスを検出し、ゼロクロスに基づいてロータ位置検出を行う。そのような位置検出回路の出力は、モータの電機子巻線に発生する誘起電圧の周波数の3倍の周波数を持つ信号(誘起電圧に含まれる3倍高調波)となる。以上のように、特許文献1では、疑似中性点電圧とモータの電機子巻線の中性点電圧の差分信号に基づいてロータ位置検出を行うことで、ロータ位置検出用の非通電期間を設けずにロータ位置検出を可能としている。
特許第3424307号
上記特許文献1の構成では、次のような課題があった。疑似中性点電圧とモータの電機子巻線の中性点電圧の差分信号は誘起電圧に含まれる3倍高調波の含有率に依存した信号であり、その振幅値はモータ回転速度に依存する。特に低速時には振幅が小さくなるため、差分信号のゼロクロスの検出が困難となり、位置検出誤差が生じる。
また、特許文献1の位置検出回路は差分信号のゼロクロスを検出するための比較器を備えており、その比較器がオフセットを持つ場合には位置検出誤差が生じる。特に、3倍高調波の含有率が小さいモータを用いた場合、差分信号はますます振幅が小さくなり、比較器のオフセットによる影響は無視できない。
位置検出信号に位置検出誤差が多く含まれると、インバータ装置に含まれるスイッチング素子を駆動するための通電制御信号の通電開始タイミングに誤差が生じるため、効率の悪化を免れない。また、位置検出誤差が非常に大きい場合等は、通電制御信号の通電開始タイミングの誤差が非常に大きく、トルク不足によるうねりや脱調等の不具合が発生する。さらに、位置検出が不可能となった場合は脱調してしまう。つまり、3倍高調波の含有率に依存した信号を用いたロータ位置検出は、低速時や比較器のオフセットの影響により、位置検出誤差の増大や、位置検出不能を招き、効率の悪化やセンサレス駆動の不能状態を生じる場合がある。
なお、ロータ位置検出用に非通電期間を持つセンサレス駆動を行った場合、非通電期間における誘起電圧のゼロクロス検出が可能なため、上記従来の方式より安定なセンサレス駆動が可能となるが、非通電期間を設けたことにより、通電切り替わりタイミングで振動が発生し、それに伴う騒音も発生する。
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ロータ位置検出用の非通電期間を必要としないセンサレス駆動により振動や騒音を低減し、さらに高効率で安定なモータ駆動が可能なモータおよびモータ駆動装置を提供することにある。
本発明の第1の態様において、複数相の電機子巻線を含むステータと、ロータとを有し、ステータの電機子巻線の中の少なくとも1相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅が、他相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅と異なるよう構成されたモータと、複数相の電機子巻線の共通接続点の電圧である中性点電圧と、モータの各相端子電圧を平均化した電圧である疑似中性点電圧との差電圧に基づいてロータの位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段の位置検出信号に基づいて複数相の電機子巻線に電力を供給する電力供給手段とを備える、モータ駆動装置が提供される。
本発明の第2の態様において、複数相の電機子巻線を含むステータと、ロータとを有し、ステータの電機子巻線の中の少なくとも1相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅が、他相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅と異なるよう構成されたモータが提供される。
本発明の第3の態様において、複数相の電機子巻線が結線されたステータとロータとを有するモータの駆動方法が提供される。モータは、ステータの電機子巻線の中の少なくとも1相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅が、他相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅と異なるよう構成されている。そのモータの駆動方法は、複数相の電機子巻線の共通接続点の電圧である中性点電圧を検出し、中性点電圧に基づいてロータの位置を検出するステップと、検出したロータの位置に応じて複数相の電機子巻線に電力を供給するステップとを含む。
本発明によれば、ロータ位置検出用の非通電期間を必要としないセンサレス駆動が可能であり、非通電期間の存在が原因となる振動や騒音を低減し、高効率で安定なモータ駆動が可能となる。
以下、本発明に係るモータ駆動装置の実施の形態について添付の図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1〜図10を用いて本発明の実施の形態1におけるモータおよびモータ駆動装置について説明する。
1. モータ駆動装置の構成
図1に本実施形態におけるモータ駆動装置の全体構成を示す。本実施形態のモータ駆動装置は、電源1と、モータ10と、モータ駆動部20と、電流検出部30と、位置検出部40と、通電制御部50と、を備える。
制御対象であるモータ10は図示しない永久磁石による界磁部を有するロータと、3相電機子巻線Lu,Lv,LwがY結線されたステータとで構成される。モータ10の詳細な構成については後述する。
モータ駆動部20は、電源1(VM)とGND間に配置され、パワートランジスタ21〜26から成る3相ブリッジ構成を持つ。各パワートランジスタ21〜26は通電制御部50からの通電制御信号に応じたスイッチング動作を行い、電源1からモータ10の各相電機子巻線Lu,Lv,Lwに電力供給を行う(PWM駆動)。モータ駆動部20は、ブリッジ接続された6個のパワートランジスタ21〜26で構成され、各パワートランジスタ21〜26にはそれぞれパワーダイオードd21〜d26が逆並列接続されている。パワートランジスタ21と24が直列接続され、その接続点に接続端子13を介して電機子巻線Luの一端が接続されている。また、パワートランジスタ22と25が直列接続され、その接続点に接続端子14を介して電機子巻線Lvの一端が接続されている。また、パワートランジスタ23と26が直列接続され、その接続点に接続端子15を介して電機子巻線Lwの一端が接続されている。各パワートランジスタ21〜26は、通電制御部50からの通電制御信号に応じたオンオフのスイッチング動作を行い(PWM駆動)、電源1からモータ10の各相電機子巻線Lu,Lv,Lwへの電力供給を行う。
なお、モータ駆動部20の構成として、各パワートランジスタ21〜26をNチャネル形電界効果トランジスタで構成する形式、または、上側アームを構成するパワートランジスタ21〜23をPチャネル形電界効果トランジスタで、下側アームを構成するパワートランジスタ24〜26をNチャネル形電界効果トランジスタで構成する形式、のどちらの形式としてもよい。また、バイポーラトランジスタやIGBTを用いて構成してもよい。さらに、各パワーダイオードd21〜d26は各パワートランジスタ21〜26に構造的に存在する寄生ダイオードを用いて構成してもよい。
電流検出部30は、モータ駆動部20とGND間に配置され、例えば電流検出抵抗で構成される。電流検出部30は、モータ駆動部20を流れる電流を電圧信号として検出し、電流検出信号CSを通電制御部50に出力する。
位置検出部40は、抵抗値が等しい抵抗91〜93で構成された擬似中性点生成部90と、差動増幅部41と、比較部42と、基準電圧Vrとを含む。抵抗91〜93の一端は共通接続され、他端はそれぞれ各相電機子巻線Lu、Lv、Lwとモータ駆動部20との接続点に接続されている。抵抗91〜93の共通接続される点が擬似中性点であり、擬似中性点に発生する電圧Vnは、モータ10の各相端子電圧Vu、Vv、Vwを平均化した電圧となる。位置検出部40はロータの位置検出(ロータの磁極位置の検出)を行う。
通電制御部50は、モータ10を略正弦波駆動するために、モータ駆動部20の各パワートランジスタ21〜26の通電制御を行う通電制御信号を位置検出信号FGに基づいて生成する。また、電流検出信号CSと外部入力のトルク指令信号ECによるトルク制御が行われる。
1.1 モータの構成
モータ10の構成について説明する。図2にモータ10の全体構成図を示す。放射線状に延びた3個のステータティース部11に電機子巻線Lu、Lv、LwがそれぞれN回ずつ巻かれている。各相電機子巻線の一端はそれぞれ接続端子13〜15を介してモータ駆動部20に接続される。一方、各相電機子巻線の他端は共通接続され、接続端子16を介して位置検出部40に接続される。4極の永久磁石で構成されたロータ12は、各相電機子巻線が巻かれたステータティース部11の外周に対向して配置されている。ステータティース部11とロータ12の間の空隙幅をGWとする。なお、図2に示すモータ10は、ステータティース部の個数が3個、磁極数が4極のアウターロータ型モータであるが、ステータティース部数や磁極数はこれに限定されず、またロータ形式もアウターロータ型に限定されない。さらに周対向モータでなく面対向モータとしてもよい。
図3は、図2のモータ10を周方向(矢印18の方向)に直線的に展開した図面である。図3(a)は、ステータティース部の形状、電機子巻線の巻数および空隙幅が各相で等しくなるよう構成されたモータに対する展開図である。このように構成されたモータでは、ロータ12が回転することにより各相電機子巻線を鎖交する磁束が変化し、各相電機子巻線に誘起電圧が発生する。図4に、図3(a)のモータによる生じる各相誘起電圧Eu,Ev,Ewを示す。図4では、各相誘起電圧波形は高調波成分を除いた基本波成分のみを示している。図3(a)のようにステータティース部の形状や電機子巻線の巻数および空隙幅が各相で等しい場合、図4(a)に示すように各相誘起電圧Eu,Ev,Ewの振幅は全て等しくなる。
ここで、本実施形態では、モータ10の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅値が1相のみ異なるようにモータ10が構成されている。これを実現するためモータ10は例えば以下の構成を有する。なお、以下では、例として、U相を誘起電圧の振幅値を異ならせる相にしている。
例えば、図3(b)に示すように電機子巻線の巻数を1相だけ異ならせる。例えば、U相電機子巻線Luの巻数をNからN+N1に増加させる。この場合、ロータ回転中に発生する各相誘起電圧Eu,Ev,Ewは、U相誘起電圧Euだけ振幅がX1増加した図4(b)に示すような波形となる。これは、巻線巻数の増加により電機子巻線を鎖交する磁束が増加することによる。
または、図3(c)に示すように1相だけ空隙幅を異ならせてもよい。例えば、U相のみ空隙幅GWからGW1に縮める。この場合でも、図4(b)に示すように、ロータ回転中に発生する各相誘起電圧Eu,Ev,Ewにおいて、U相誘起電圧Euについてのみ、その振幅がX1だけ増加する。これは、空隙幅が短くなることにより電機子巻線を鎖交する磁束が増加することによる。
さらに、図3(d)に示すように1相だけステータティース部11の先端形状を回転方向(周方向)に幅TWからTW1に縮めてもよい。この場合、図4(c)のように、ロータ回転中に発生する各相誘起電圧Eu,Ev,EwはU相誘起電圧Euだけ、振幅がX2だけ減少した波形となる。これは、ステータティース部11の先端形状が回転方向に短くなることによりU相電機子巻線Luを鎖交する磁束が減少することによる。
さらに、図3(e)に示すように1相だけステータティース部11の積厚をSTからST1に減少させてもよい。この場合、図4(c)のように、ロータ回転中に発生する各相誘起電圧Eu,Ev,EwはU相誘起電圧Euだけ、振幅がX2だけ減少した波形となる。これは、ステータティース部11の積厚が減少したことによりU相電機子巻線Luを鎖交する磁束が減少することによる。図3(d)、図3(e)のいずれの場合も、ロータ12に対するステータティース部11の対向部分の面積を異ならせることを意図している。
以上のように、1つの相について電機子巻線の巻数Nや空隙幅GW、ステータティース部11の先端形状の幅TWや積厚STを、他相に対して異ならせることにより、1相だけロータ回転中に発生する誘起電圧の振幅を異ならせることが可能となる。本実施形態では、このようにして1相だけ誘起電圧の振幅を他相に対して異ならせたモータ10を使用する。なお、誘起電圧の振幅を他相に対して異ならせる方法は、図3に示した構成だけでなく、種々の変更が可能であり、また、異ならせる相は1相だけでなく、少なくとも1相が異なればよい。
2.モータ駆動装置の動作
以上のように構成されるモータ駆動装置において、位置検出部40は、ロータ位置を検出し、位置検出信号FGを出力する。電流検出部30は、モータ駆動部20を流れる電流を電圧信号として検出し、電流検出信号CSを通電制御部50に出力する。通電制御部50は、位置検出信号FGに基づき通電制御信号を生成し、モータ駆動部20に出力する。具体的には、位置検出信号FGのエッジに応じて電圧パターン信号を生成し、さらに、電流検出信号CSと外部指令のトルク指令信号ECとの差に応じて、指令電圧を生成する。そして、電圧パターン信号と指令電圧に応じて生成された信号を例えば三角波などの搬送波でパルス幅変調(PWM)を行うことで通電制御信号を生成する。
モータ駆動部20は通電制御部50の通電制御信号にしたがい、パワートランジスタ21〜26のスイッチング動作を制御してモータ10の巻線Lu、Lv、Lwに通電し、モータ10に対する略正弦波駆動及びPWMセンサレス駆動を行う。
特に、位置検出部40は、擬似中性点電圧Vnとモータ10の中性点電圧Vcとの差分を示す差動増幅信号Vdに基づいてロータ位置検出を行い、位置検出信号FGを通電制御部50に出力する。より具体的には、差動増幅部41は、擬似中性点電圧Vnとモータ10の中性点電圧Vcを入力し、両電圧を差動増幅した電圧Vdを生成し、比較部42に出力する。比較部42は差動増幅信号Vdと基準電圧Vrの比較を行い、位置検出信号FGとして通電制御部50に出力する。なお、本実施形態では基準電圧Vr=0としている。このように、本実施形態では、逆起電圧を検出するための非通電期間を設けないでロータ位置検出を行う。
次に、位置検出部40の作動増幅部41が出力する差動増幅信号Vdについて詳細に説明する。
各電機子巻線Lu,Lv,Lwについて、発生する各相誘起電圧をEu,Ev,Ew、各相電流をIu,Iv,Iwとし、インダクタンスをLu,Lv,Lwとし、抵抗成分をRu,Rv,Rwとすると、モータ駆動部20からの各相出力端子電圧Vu,Vv,Vwは次式で表わされる。
Vu=Vc+Ru・Iu+Lu・dIu/dt+Eu ・・・(1)
Vv=Vc+Rv・Iv+Lv・dIv/dt+Ev ・・・(2)
Vw=Vc+Rw・Iw+Lw・dIw/dt+Ew ・・・(3)
ここで、各相インダクタンスが等しく、抵抗成分も等しいとすると、式(1)〜(3)およびキルヒホッフの法則より次式が導ける。
Vu+Vv+Vw=3Vc+Eu+Ev+Ew ・・・(4)
一方、擬似中性点電圧Vnは次式で表わされる。
Vn=(Vu+Vv+Vw)/3 ・・・(5)
よって、式(4)と式(5)より、次の関係が成立する。
Vn−Vc=(Eu+Ev+Ew)/3 ・・・(6)
以上より、擬似中性点電圧Vnとモータ中性点電圧Vcの差分電圧、つまり差動増幅信号Vdは、各相誘起電圧Eu,Ev,Ewの総和に比例した電圧となる。ここで、各相誘起電圧Eu,Ev,Ewが式(7)のような高調波成分を含んだ波形であるとすると、式(6)は式(8)に変形できる。
Eu=ΣA・f(N)sin{N(θ)}
Ev=ΣA・f(N)sin{N(θ−2π/3)}
Ew=ΣA・f(N)sin{N(θ−4π/3)} ・・・(7)
N=1,2,3・・・、A:誘起電圧の基本波振幅、
f(N):N倍高調波の含有率
Vn−Vc=ΣA・f(3N)sin(3Nθ) ・・・(8)
よって、擬似中性点電圧Vnとモータ10の中性点電圧Vcの差分電圧には、誘起電圧に含まれる3N倍高調波成分が現れる。ここで、式(8)において、N≧2の高調波成分は非常に小さいとして、N=1の場合だけを考えると、擬似中性点電圧Vnとモータ中性点電圧Vcとの差分電圧は誘起電圧の3倍高調波成分だけで表わされる。つまり、差動増幅信号Vdは、誘起電圧に含まれる3倍高調波成分となる。
図5(a)に示す誘起電圧に含まれる3倍高調波成分を検出した差動増幅信号Vdを、図5(b)に示す。差動増幅信号Vdの振幅は誘起電圧の基本波振幅Aと3倍高調波含有率f(3)の乗算値となる。比較部42は差動増幅信号Vdと基準電圧Vrを比較し、比較結果を位置検出信号FGとして通電制御部50に出力する。なお、本実施形態では基準電圧Vr=0としているため、図5(c)に示すように、位置検出信号FGは各相誘起電圧Eu,Ev,Ewのゼロクロスにエッジを持つパルス信号となる。つまり、ロータ位置を検出することが可能となる。
しかしながら、比較部42においてオフセットVosを考慮した場合、その場合の位置検出信号FG’は図5(d)に示すような波形となる。したがって、本来位置検出信号FGの立ち上がりタイミングであるV0を検出すべきところ、比較部42のオフセットVosにより、位置検出信号FG’のV0’のタイミングを検出してしまう。つまり、V0’−V0だけ位置検出誤差が生じる。この位置検出誤差は効率の悪化やトルク不足による脱調などを引き起こす可能性がある。
誘起電圧はロータ回転速度に応じて振幅が変化するため、差動増幅信号Vdの振幅は低速時ほど小さくなる。そのため、特に低速時において比較部42のオフセットVosによる位置検出誤差への影響は非常に大きくなる。さらに、差動増幅信号Vdの振幅が比較部42のオフセットVos以下となった場合、位置検出が不可能となり脱調する。
この問題を解決するため、本実施の形態では、図3、図4で示したように1相だけ他相に対して誘起電圧の振幅が異なって出力されるモータ10を使用している。このモータ10を用いた場合、式(7)のU相誘起電圧Euの基本波振幅はAからA+Xとなる。この時、式(8)は次式(9)のように表わされる。
Vn−Vc=ΣA・f(3N)sin(3Nθ)
+ΣX・f(N)sin(Nθ)/3 ・・・(9)
つまり、式(9)は式(8)に、誘起電圧の基本波振幅増加分Xによる項が重畳された形となる。図6(a)、図7(a)に、基本波振幅増加分Xによる項が重畳された誘起電圧の波形を示す。これらの図において波形Euoは振幅増加分Xの重畳前の波形である。このときの差動増幅信号は図6(b)のVd1、図7(b)のVd2のようになる。なお、図6はX>0の場合、図7はX<0の場合である。図6(b)に示す差動増幅信号Vd1は、元の電圧Vd0に、式(9)に示した基本波振幅増加分Xによる項(同図中、電圧Vxに対応)が重畳されたものとなる。よって、差動増幅信号Vd1は、従来の3倍高調波成分を検出した差動増幅信号Vd0において、その周波数を1/3にし、且つ振幅を増加させた信号となる。
このような差動増幅信号Vd1を比較部42で基準電圧Vrと比較すれば、図6(c)に示すような位置検出信号FG1が得られる。位置検出信号FG1は、U相誘起電圧Euのゼロクロス点と同じタイミングでエッジを持つパルス信号となる。つまり、位置検出信号FG1により、誘起電圧の振幅を所定の割合で他の相と異ならせたU相の誘起電圧Euの基本波成分のゼロクロスが検出できる。
また、比較部42にオフセットVosが存在した場合も、差動増幅信号Vd1の振幅は、従来の3倍高調波成分を検出した差動増幅信号Vd0と比較して大きく(すなわち、ゼロクロス付近の傾きが大きく)できるため、オフセットVosによる位置検出誤差への影響は低減される。
また、差動増幅信号Vd1の振幅を増大できることから、従来の差動増幅信号Vd0の振幅がオフセットVos以下となるような低速時の場合であっても、位置検出不可による脱調をなくすことができる。つまり、図8に示すように、従来の差動増幅信号Vd0は低速時では低い値であったため、オフセットVos以下となる回転数R1では、検出が不可能であった。これに対して、差動増幅信号Vd1の振幅は従来の差動増幅信号Vd0の振幅よりも十分に大きいため、従来よりも低速の領域においても、差動増幅信号Vd1の振幅をオフセットVos以上にできる。よって、検出可能回転数の下限をR1からR2に拡大することができ、位置検出不可能による脱調の発生を低減できる。つまり、より低速駆動が可能となる。
なお、図7に示すようにX<0の場合についても図6の場合と同様の効果があることはいうまでもない。ただし、図7(b)に示すように差動増幅信号Vd2のゼロクロス付近の傾きが小さくなるため、オフセットVosによる位置検出誤差への影響が大きくなる場合もある。よって、好ましくは図6に示すように1相だけ他相に対して誘起電圧の振幅を増加させるような構成とする方がよい。
また、位置検出部40の構成は上述した構成に限らず、差動増幅部41の後段にPWM駆動により発生するノイズを除去するためのノイズ除去手段を設けても良い。このように構成することでノイズによる誤検出を防ぐことが可能となり、より精度良いロータ位置検出が可能となる。ノイズ除去手段は、ローパスフィルタ、PWMオンもしくはオフの変化時点から所定期間をマスク処理するマスク処理回路、又は、モータ駆動部20の上側パワートランジスタもしくは下側パワートランジスタのどちらか一方が全てオンするタイミングでサンプルホールド処理を行うサンプルホールド回路等で構成できる。なお、フィルタを用いる場合は、フィルタによる位相遅れを考慮した位置検出を行う必要がある。
通電制御部50は、位置検出部40の位置検出信号FGに基づいてモータ駆動部20の各パワートランジスタ21〜26の通電制御を行う通電制御信号を生成する。具体的には、位置検出信号FGのエッジタイミングに同期して3相正弦波状信号を生成し、三角波等の搬送波によるパルス幅変調を行うことで通電制御信号を生成する。3相正弦波状信号の振幅はトルク指令信号ECと電流検出部30の電流検出信号CSに基づいて制御される。なお、変調方法は上記に限定されず、1相を固定し、残る2相を変調する2相変調を行ってもよい。またその他の方法として、位置検出信号FGおよびトルク指令信号ECより正弦波状電流指令信号を生成し、電流検出部30の電流検出信号CSが正弦波状電流指令信号に達した時点でPWMオフさせる電流ピーク検出方式を用いてもよい。通電制御部50は、位置検出信号FGに応じてモータ駆動部20の各パワートランジスタ21〜26への通電タイミングを制御する構成であればどのような構成でも良い。このように、位置検出部40の位置検出信号FGに基づいてモータ駆動部20の各パワートランジスタ21〜26の通電制御を行い、3相電機子巻線Lu,Lv,Lwに正弦波状電流が流れるように制御することで、センサレス駆動でありながら振動や騒音に優れたモータ駆動制御が可能となる。
以上のように、本実施形態では、擬似中性点電圧Vnとモータ中性点電圧Vcの差分電圧Vdから、誘起電圧の3倍高調波成分を検出せずに、1相だけ他相に対して誘起電圧の振幅を所定の割合で異ならせたモータを使用することにより、振幅を異ならせた相の誘起電圧の基本波成分のゼロクロスを検出することが可能となる。差動増幅信号Vd1の振幅は従来の3倍高調波成分を検出する差動増幅信号Vd0に比べて数倍大きくすることが可能であり、比較部42のオフセットによる位置検出誤差への影響を小さく、その結果生じる位相ずれによる効率低下を抑え、さらに、より低速域まで駆動させることが可能となる。つまり、高効率で安定したセンサレス駆動が可能となる。
3. モータの構成の好ましい例
本実施形態では、1相だけ他相に対して誘起電圧の振幅を所定の割合で異ならせたモータを使用することで、位置検出部40は前記誘起電圧振幅を異ならせた相の基本波成分のゼロクロスを検出することが可能となる。しかし、図3(b)に示すように電機子巻線の巻数を異ならせたモータを使用した場合、各相の電機子巻線の抵抗値が異なってしまう。この場合、電機子巻線の巻数を異ならせた1相と他相との抵抗成分の差分と、その1相を流れる電流との積に略比例した電圧が、式(9)に重畳される。つまり、図6(b)、図7(b)に示した差動増幅信号Vd1,Vd2に、抵抗成分の差分と、その1相を流れる電流との積に略比例した電圧が重畳された電圧が差動増幅信号として出力される。よって、ロータ位置に関係なく、電流に応じた上記重畳電圧が存在することになる。したがって、誘起電圧の位相と電流の位相が異なって駆動している場合、差動増幅信号は電流に応じた上記重畳電圧の存在により、ゼロクロス点が本来の位置に対してずれてしまう。このため、位置検出誤差を大きくするばかりか、位置の誤検出を引き起こす恐れがある。
そこで、上記の問題を防止するために、1相だけ電機子巻線の巻数を他相に対して異ならせた場合、異ならせた分に相当する抵抗成分を予め考慮し、各相の電機子巻線全体の抵抗成分がほぼ等しくなるように電機子巻線の構成等を調整することが好ましい。
例えば、巻数をP%増加した場合、その相の巻線の断面積をP%大きくする。巻数をQ%減少させた場合、その相の巻線の断面積をQ%小さくする。このようにして、各相の抵抗成分をほぼ等しくする。なお、巻線自体の構成(より線や単線)や材料等を変更することで各相の抵抗成分を等しくするようにしてもよい。または、各相の抵抗成分を等しくするように各相に抵抗素子を挿入してもよい。または、各相の抵抗成分を等しくするために、各相の電機子巻線の全長を等しくしてもよい。但し、この場合、他相においては、異なる巻数に対応する長さの巻線はステータティース部に巻かないようにする。具体的には、1相だけ電機子巻線の巻数をR%増加した場合、全相の電機子巻線の全長を同じに設定するとともに、他相においては、R%増分の長さの巻線は、ステータティース部に巻かないように、所定の部位に交互に引っ掛けるようにして巻線の処理を行ってもよい。このように、各相の巻線抵抗成分を等しく設計することで位置検出部40の位置検出誤差を小さくすることが可能となる。
4. 誘起電圧の増加分の設定方法
基本波成分のゼロクロスの検出を可能とする、誘起電圧振幅増加分Xの設定方法について説明する。
図3(a)に示すように各相が均等に構成された従来のモータを使用した場合でも、永久磁石の着磁方法や着磁ばらつき、ステータティース部の材質や形状、巻線仕様や空隙幅、等により、各相に発生する誘起電圧には必ず高調波成分が含まれる。今、誘起電圧の基本波の振幅値をA、高調波の含有率をf(N)(Nは1以上の整数)とする。本実施形態では1相だけ他相に対して誘起電圧の振幅を大きく設定することにより、異ならせた相の誘起電圧の基本波成分のゼロクロスの検出を可能としている。前述したように、誘起電圧の振幅増加分をXとした場合の差動増幅信号Vd1は式(9)で表わされる。
しかしながら、増加分Xの値が十分に大きくない場合は、図9(a)に示すように、差動増幅信号は信号Vd3のような波形となり、位置検出信号FG3は誘起電圧に対して3倍周期の波形となる。この場合は、基本波成分のゼロクロスを検出できない。つまり、基本波成分のゼロクロスを検出した位置検出信号FG1によりモータ駆動制御を行うシステムに対して、3倍周期の位置検出信号FG3が出力された場合、モータを駆動制御することが不可能となってしまう。
そこで、誘起電圧の振幅増加分Xは、基本波成分のゼロクロスの検出を可能とする適切な値に設定する必要がある。以下、これについて説明する。なお、以下では各相誘起電圧には特に3倍高調波成分f(3)が多く含まれているとして説明を行う。
基本波成分のゼロクロスを検出可能とするには、図9(a)に示す差動増幅信号Vd3が、その振幅値が最小となる電気角90度付近で0より小さくなることを避ければよい。式(9)においてθ=90度におけるVn−Vcが正の値となる誘起電圧振幅増加分Xは、次式を満たすことが必要である。
X>−3AΣ{f(12N−3)−f(12N−9)}/
{Σf(4N−3)−f(4N−1)} ・・・(10)
ここで、3倍高調波含有率f(3)=0.05、それ以外の含有率f(m)が0であると仮定すると(m≠3)、式(10)より、X>0.16Aとなる。つまり、増加分Xを基本波振幅Aの0.16倍以上の値に設定すれば、基本波成分のゼロクロスを検出することがより確実となる(図9(b)参照)。
同様に、3倍高調波含有率f(3)が0.1、5倍高調波含有率f(5)が0.05、それ以外の含有率がf(m)が0であると仮定すると(m≠3、5)、X>0.32Aとなる。つまり、基本波振幅Aの0.32倍以上の値を増加分Xとして設定すれば、基本波成分のゼロクロスをより確実に検出することが可能となる。
以上より、3倍高調波含有率のおおよそ3倍以上の割合だけ基本波振幅Aに対して増加させれば、基本波成分のゼロクロスを検出することが可能となる。つまり、少なくとも1相に発生する誘起電圧の振幅の他相に発生する誘起電圧の振幅に対する増加率が、誘起電圧に含まれる3倍高調波成分の含有率の3倍以上となるように構成すればよい。しかし、実際は比較部42にオフセットVosが存在するため、式(10)を満たすXであっても、図9(b)に示す差動増幅信号Vd4のような場合、基本波成分のゼロクロスを検出することは不可能となり、位置検出信号FG4にはパルスZ1が現れてしまう。よって、現実的には、式(10)で求めたXに対してオフセットVosを考慮し、さらなる増分の電圧(+α)を考慮しなければならない。
5. 変形例
以上、1相のみを他相に対して誘起電圧の振幅を増加させる場合について説明を行ったが、これに限定されない。図10に示すように2相の誘起電圧の振幅を小さくし、相対的に1相の誘起電圧の振幅を増加させても同様の結果が得られることは言うまでもない。また、本実施の形態では、1相だけ他の2相に対して誘起電圧の振幅を大きく(または小さく)すればよく、他の2相間では振幅は異なっていてもよい。つまり、本発明は各相誘起電圧の振幅の比が少なくとも1相だけが他相に対して大きい(または小さい)値であればよい。また、PWM駆動に限定されずリニア駆動を行っても同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、従来技術では3倍高調波成分の含有率に略比例した差動増幅信号を用いてロータ位置検出を行っていたため、3倍高調波含有率がある程度必要であった。また、3倍高調波含有率が大きいほどロータ位置検出精度は向上し、低速域までモータ駆動制御が可能であった。しかし、誘起電圧の3倍高調波成分が大きい場合、誘起電圧波形が歪むため正弦波駆動を行っても電流波形が歪むことによる振動や騒音、また効率への影響も無視できない。それに対し、本実施形態では各相誘起電圧の高調波成分f(N)を小さくし、すなわち誘起電圧の高調波成分の含有率を所定値以下とし、誘起電圧波形を正弦波状としても、誘起電圧の基本波成分のゼロクロスを検出することが可能である。したがって、高調波成分による誘起電圧波形歪が効率等に与える影響を小さくすることが可能となる。
6. まとめ
以上より、本実施形態のモータ駆動装置は、1相だけ他相に対して誘起電圧の振幅を異ならせたモータを使用することにより、擬似中性点電圧Vnとモータ中性点電圧Vcとの差分信号により、1相だけ振幅を異ならせた相の誘起電圧の基本波成分のゼロクロスを検出することが可能となる。よって、従来の3倍高調波成分を検出する方式と比較して、簡単な構成で安定したセンサレス駆動が可能となる。具体的には、差動増幅信号の振幅を大きくすることができ、また比較部のオフセットに対する位置検出誤差への影響も小さくすることができる。これにより、より低速域でのモータ駆動制御が可能で、かつ位置検出誤差による効率悪化への影響も小さくすることが可能となる。なお、本発明の趣旨を変えずして種々の変更が可能であり、そのような構成は本発明に含まれることはいうまでもない。
(実施の形態2)
本実施形態では、モータの別の構成を説明する。モータを除くモータ駆動装置の構成、動作は実施の形態1で説明したものと同様である。本実施形態では、モータのステータにおいて、各相の電機子巻線の総巻数を等しくし、1相のみ、巻き方の方向が異なる2種類の巻線を使用する。
図11に、本実施形態のモータのステータの構成を示す。図11は、図3と同様、モータ10の周方向にステータを展開した図である。各相毎にステータティース部11が設けられ、それぞれ電機子巻線Lu,Lv,Lwが巻かれている。各相電機子巻線Lu,Lv,Lwはそれぞれ同じ巻数だけ電機子巻線が巻かれている。しかし、1相(本例ではU相)のみ、巻き方の方向が互いに異なる第1の電機子巻線Lu1と第2の電機子巻線Lu2とで構成されている。
具体的には、各相の電機子巻線の総巻数をPとし、第2の電機子巻線Lu2の巻数をQとする。この場合、第1の電機子巻線Lu1の巻数は(P−Q)となる。このような各相電機子巻線Lu,Lv,Lwで構成されたステータ11を用いたモータ10を使用することにより、実施の形態1と同様に1相だけ誘起電圧の振幅を異ならせて出力させることが可能となる。各相に発生する誘起電圧の振幅は電機子巻線の巻数に略比例する。V相およびW相誘起電圧Eu、Evの振幅は巻数Pに略比例するが、U相誘起電圧Euは、第2の電機子巻線Lu2がQ回だけ逆方向に巻かれているため、第1の電機子巻線Lu1の(P−Q)からQを引いた(P−2Q)に略比例する。つまり、図11における各相誘起電圧Eu,Ev,EwはU相誘起電圧Euだけ他相に対して振幅が小さい図7に示す状態となる。なお、上述のように1相だけ逆方向にQ回巻くのではなく、他の2相において逆方向にQ回巻けば、残りの1相が結果的に他の2相に対して誘起電圧の振幅が大きくなり、図6に示す状態と同じにすることができる。
このように、各相電機子巻線の少なくとも1相を第1の電機子巻線と第2の電機子巻線で構成し、第1及び第2の電機子巻線において互いに巻く方向を異ならせることにより、各相誘起電圧の振幅を異ならせることが可能となる。つまり、実施形態1と同様に擬似中性点電圧Vnとモータ中性点電圧Vcとの差分信号により、誘起電圧の基本波成分のゼロクロスを検出することが可能となる。したがって、従来の3倍高調波成分を検出する方式と比較して、安定したセンサレス駆動が可能となる。具体的には、差動増幅信号の振幅を大きくすることができ、また比較部のオフセットに対する位置検出誤差への影響も小さくすることができるため、より低速域でのモータ駆動制御が可能で、かつ位置検出誤差による効率悪化への影響も小さくすることが可能となる。
また、本実施形態では、U相電機子巻線Luの巻き方を異ならせたが、合計巻数は各相とも同じ巻数であるため、各相の抵抗成分はほぼ等しくなる。つまり、実施形態1で説明したように、各相の抵抗成分の差異による差動増幅信号への影響(これは位置検出誤差を引き起こす)がなくなるため、より安定した効率のよいセンサレス駆動が可能となる。
なお、第1の電機子巻線Lu1と第2の電機子巻線Lu2の巻数の比は実施形態1で説明した式(10)を満たすように設定すればよい。また、本発明の趣旨を変えずして種々の変更が可能であり、そのような構成は本発明に含まれることはいうまでもない。
本発明は、ロータ位置検出用の非通電期間を必要としないセンサレス駆動により振動や騒音を低減し、さらに高効率で安定なモータ駆動が可能であるという効果を有し、センサレス駆動を行うモータおよびモータ駆動装置等として有用である。
本発明の実施の形態1におけるモータ駆動装置の全体構成を示す図 図1のモータの構成図 図2のモータの展開図 図2のモータの各相に発生する誘起電圧波形を示す図 図1の位置検出部の各部の動作を示すタイミングチャート 図1の位置検出部の各部の動作を示す別のタイミングチャート 図1の位置検出部の各部の動作を示すさらに別のタイミングチャート 差動増幅信号とモータ回転数との関係を示す図 差動増幅信号と位置検出信号との関係を示す図 各相誘起電圧波形の関係を示す図 実施の形態2のモータのステータ(電機子巻線)の構成を示す図
符号の説明
1:電源
10:モータ
11:ステータティース部
12:ロータ
13〜16:接続端子
20:モータ駆動部
21〜26:パワートランジスタ
30:電流検出部
40:位置検出部
41:差動増幅部
42:比較部
50:通電制御部
90:擬似中性点生成部
91〜93:抵抗
Lu、Lv、Lw:電機子巻線

Claims (22)

  1. 複数相の電機子巻線を含むステータと、ロータとを有し、前記ステータの電機子巻線の中の少なくとも1相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅が、他相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅と異なるよう構成されたモータと、
    前記複数相の電機子巻線の共通接続点の電圧である中性点電圧と、前記モータの各相端子電圧を平均化した電圧である疑似中性点電圧との差電圧に基づいて前記ロータの位置を検出する位置検出手段と、
    前記位置検出手段の位置検出信号に基づいて前記複数相の電機子巻線に電力を供給する電力供給手段と
    を備えたことを特徴とするモータ駆動装置。
  2. 前記少なくとも1相の電機子巻線の巻数が前記他相の電機子巻線の巻数と異なる、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  3. 各相の電機子巻線の長さを等しくする、ことを特徴とする請求項2に記載のモータ駆動装置。
  4. 前記少なくとも1相の電機子巻線の抵抗値が前記他相の電機子巻線の抵抗値と同じ値となるように、前記少なくとも1相の電機子巻線の断面積が調整される、ことを特徴とする請求項2に記載のモータ駆動装置。
  5. 前記複数相の電機子巻線を巻回するステータティース部をさらに有し、
    前記少なくとも1相の電機子巻線が巻回されているステータティース部のロータに対向する面の面積が、前記他相の電機子巻線が巻回されているステータティース部のロータに対向する面の面積と異なる、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  6. 前記複数相の電機子巻線を巻回するステータティース部をさらに有し、
    前記少なくとも1相の電機子巻線が巻回されているステータティース部と前記ロータの間の空隙幅が、前記他相の電機子巻線が巻回されているステータティース部と前記ロータの間の空隙幅と異なる、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  7. 前記複数相の電機子巻線は、各相の合計巻数が略等しく、前記少なくとも1相の電機子巻線は一部が逆向きに巻かれている、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  8. 前記少なくとも1相に発生する誘起電圧の振幅の前記他相に発生する誘起電圧の振幅に対する増加率が、前記誘起電圧に含まれる3倍高調波成分の含有率の3倍以上になる、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  9. 前記誘起電圧の高調波成分の含有率が所定値以下となるよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  10. 前記位置検出手段は、誘起電圧の基本波成分のゼロクロスを検出することで前記ロータの位置を検出することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  11. 前記位置検出手段は、複数相の巻線の出力端子電圧から擬似中性点電圧を生成する擬似中性点生成手段と、前記中性点電圧と前記擬似中性点電圧の差電圧を出力する差分手段とを含み、前記差分手段の出力から前記ロータの位置を検出する、ことを特長とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  12. 前記位置検出手段は、複数相の出力端子電圧が全て高電位または低電位となるタイミングにおいて前記差電圧のサンプリングを行う、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
  13. 複数相の電機子巻線を含むステータと、ロータとを有し、
    前記ステータの電機子巻線の中の少なくとも1相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅が、他相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅と異なるよう構成されたことを特徴とするモータ。
  14. 前記少なくとも1相の電機子巻線の巻数が前記他相の電機子巻線の巻数と異なる、ことを特徴とする請求項13に記載のモータ。
  15. 各相の電機子巻線の長さを等しくする、ことを特徴とする請求項14に記載のモータ。
  16. 前記少なくとも1相の電機子巻線の抵抗値が前記他相の電機子巻線の抵抗値と同じ値となるように、前記少なくとも1相の電機子巻線の断面積が調整される、ことを特徴とする請求項14に記載のモータ。
  17. 前記複数相の電機子巻線を巻回するステータティース部をさらに有し、
    前記少なくとも1相の電機子巻線が巻回されているステータティース部のロータに対向する面の面積が、前記他相の電機子巻線が巻回されているステータティース部のロータに対向する面の面積と異なる、ことを特徴とする請求項13に記載のモータ。
  18. 前記複数相の電機子巻線を巻回するステータティース部をさらに有し、
    前記少なくとも1相の電機子巻線が巻回されているステータティース部と前記ロータの間の空隙幅が、前記他相の電機子巻線が巻回されているステータティース部と前記ロータの間の空隙幅と異なる、ことを特徴とする請求項13に記載のモータ。
  19. 前記複数相の電機子巻線は、各相の合計巻数が略等しく、前記少なくとも1相の電機子巻線は一部が逆向きに巻かれている、ことを特徴とする請求項13に記載のモータ。
  20. 前記少なくとも1相に発生する誘起電圧の振幅の前記他相に発生する誘起電圧の振幅に対する増加率が、前記誘起電圧に含まれる3倍高調波成分の含有率の3倍以上になる、ことを特徴とする請求項13に記載のモータ。
  21. 前記誘起電圧の高調波成分の含有率が所定値以下となるよう構成されたことを特徴とする請求項13に記載のモータ。
  22. 複数相の電機子巻線が結線されたステータとロータとを有するモータの駆動方法であって、
    前記モータは、前記ステータの電機子巻線の中の少なくとも1相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅が、他相の電機子巻線に発生する誘起電圧の振幅と異なるよう構成されており、
    前記駆動方法は、
    前記複数相の電機子巻線の共通接続点の電圧である中性点電圧を検出し、該中性点電圧に基づいて前記ロータの位置を検出するステップと、
    前記検出したロータの位置に応じて前記複数相の電機子巻線に電力を供給するステップとを含むことを特徴とするモータ駆動方法。
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JPWO2015111369A1 (ja) * 2014-01-22 2017-03-23 パナソニックIpマネジメント株式会社 三相モータ

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