JP2007227998A - 薄膜圧電共振器とそれを用いた薄膜圧電フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 横音響モードの発生を抑制した高いQ値を有する薄膜圧電共振器を提供するとともに、低挿入損失を実現できる薄膜圧電共振器フィルタを容易に提供する。
【解決手段】 圧電層と該圧電層を挟んで対向するように形成された上部電極と下部電極とを有する圧電共振器スタックと、該圧電共振器スタックの下に形成された空隙部と、該空隙部を形成するように圧電共振器スタックを支持する基板とからなる薄膜圧電共振器であり、前記圧電共振器スタックは、前記基板面に並行な平面方向において、前記上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域と、基板に接する支持領域、および、前記振動領域と前記支持領域の間の緩衝領域とからなり、前記振動領域と支持領域との距離である前記緩衝領域の幅wが、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、0.25<w/t<2の範囲にあることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、通信機器の技術分野に属するものであり、薄膜圧電共振器とそれを用いた薄膜圧電フィルタに関するものである。
セルラ電話機のRF回路部には常に小型化が求められる。最近では、セルラ電話機に多様な機能を付与することが要望されており、その実現のためにはできるだけ多くのコンポーネントを組み込むことが好ましく、一方でセルラ電話機の大きさには制約があるので、結局、機器における専有面積(実装面積)及び高さの低減の要求が厳しく、従ってRF回路部を構成するコンポーネントについても専有面積が小さく、高さの低いものが求められている。
このような事情から、RF回路に使用される帯域通過フィルタとして、小型でかつ軽量化が可能である薄膜圧電共振器を用いた薄膜圧電フィルタが利用されるようになっている。前記のような薄膜圧電フィルタは、文献に示されているように半導体基板上に上下の電極で挟まれるように窒化アルミニウム(AlN)や酸化亜鉛(ZnO)等の圧電層を形成し、且つ弾性波エネルギーが半導体基板中に漏洩しないように、その直下に空洞を設けた薄膜圧電共振器(Thin Film Bulk Acoustic Resonator:FBAR)からなるRFフィルタである。
図15は、従来の薄膜圧電共振器の一実施形態を示し、図15(a)は、その模式的平面図であり、図15(b)は図15(a)のX−X断面図である。図15の薄膜圧電共振器は、圧電層と、該圧電層を挟むように形成された下部電極8および上部電極10とを有する。薄膜圧電共振器は、空隙部4を有する基板6と、該基板6の上面上の端縁に周縁部が支持されて吊られた形態の圧電スタック12とを有する。該圧電共振器スタック12は、圧電層2と該圧電層を挟むように形成された下部電極(下部電極層)8および上部電極(上部電極層)10とからなる。
圧電層2と電極層8、10との積層体から構成される圧電共振器スタック12は、その周縁部で吊られており、その主表面が両方とも空気その他の周囲ガス叉は真空と接している。この場合、圧電共振器スタック12はQの高い音波共振器を形成する。電極層8,10に加えられる交流信号は、圧電共振器スタック12における音速を該スタック12の重み付き厚さの2倍で割った値に等しい周波数を持つものである。即ち、fr=v/2t0(ここで、frは共振周波数であり、vはスタック12内の音速であり、t0はスタック12の重み付き厚さである)の場合、その交流信号によって、圧電共振器スタック12が共振する。スタック12を構成する層内における音速が各層を構成する材料ごとに異なるため、圧電共振器スタック12の共振周波数は、物理的厚さではなく、圧電層2や電極層8,10内の音速とそれらの物理的厚みを考慮した重み付き厚さにより決まる。
前記のFBARは、厚み方向に伝搬する弾性波(縦音響モード)を用いた共振器である。しかし、電極と平行方向に伝搬する弾性波(横音響モード)も存在する。この横音響モードは縦音響モードと干渉して、フィルタの通過帯域内のリップルの発生、位相特性の劣化を引き起こす。さらに、共振スタック部以外への音響エネルギーの散逸による品質係数Q値の劣化により、フィルタの挿入損失の増加がFBARのRFデバイスとしての適用を妨げてきた。
従来、前述の不要な横音響モードによる特性劣化を防ぐため、特許文献1には、上部電極周辺にフレームを形成することが、また特許文献2には、上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる部分の平面形状が、平行な辺を持たない多角形の共振器が示されている。
図16に特許文献1に記載の薄膜圧電共振器の模式的平面図とそのY−Y断面図を示す。図16に示したように上部電極端部にフレームを設けることにより、横音響モードによるノイズの発生を抑制している。
図17には特許文献2に記載の薄膜圧電共振器の平面図を示す。図17に示したように上部電極と下部電極に挟まれた圧電層が平行な辺を持たない多角形であることにより、横音響モードによるノイズの発生を抑制している。
米国特許第6,788,170号公報 米国特許第6,215,375号公報
薄膜圧電フィルタには、通過帯域に出現するスプリアス特性を抑制し、且つ、低挿入損失を実現することが求められている。そのために薄膜圧電共振器としては、不要振動である横音響モードの抑制と高い品質係数Q値を有することが求められる。
特許文献1に記載の手法は、前記フレームを形成する工程を必要とするとともに、フレーム幅がμmオーダーの線幅を必要とすることから、上部電極との位置精度等を考慮すると、非常に高い加工精度が必要とされ、その製造は非常に困難なものとなる。従って製造コストの増大を招く。
特許文献2に記載の、上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる部分の平面形状が平行な辺を持たない多角形の共振器は、共振器を多数配置してフィルタを構成する場合、共振器を規則的に配置することが難しくフィルタの小型化が図れないという問題点がある。また、反共振周波数でのQ値の低下が起こり、特性が劣化する。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、横音響モードの発生を抑制した高いQ値を有する薄膜圧電共振器を提供するとともに、低挿入損失を実現できる薄膜圧電共振器フィルタを容易に提供することを目的としたものである。
本発明は、圧電層と該圧電層を挟んで対向するように形成された上部電極と下部電極とを有する圧電共振器スタックと、該圧電共振器スタックの下に形成された空隙部と、該空隙部を形成するように圧電共振器スタックを支持する基板とからなる薄膜圧電共振器であり、前記圧電共振器スタックは、前記基板面に並行な平面方向において、前記上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域と、基板に接する支持領域、および、前記振動領域と前記支持領域の間の緩衝領域とからなり、前記振動領域と支持領域との距離である前記緩衝領域の幅wが、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、0.25<w/t<2の範囲にあることを特徴とする薄膜圧電共振器に関する。
また、本発明は、前記振動領域の形が円形であり、前記円の直径dが、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して40≦d/t≦120の範囲にあることを特徴とする前記薄膜圧電共振器に関する。さらに、前記円の直径dは、40≦d/t≦80の範囲にあることが好ましい。
また、本発明は、前記振動領域の形が楕円形であり、前記楕円の長径aと短径bは、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、40≦(a×b)1/2/t≦120の範囲にあることを特徴とする前記薄膜圧電共振器に関する。さらに、前記楕円の長径aと短径bは、40≦(a×b)1/2/t≦80の範囲にあることが好ましい。
また、本発明は、前記振動領域の形が円形の薄膜圧電共振器を複数用いた薄膜圧電フィルタであって、互いに直列に接続された複数の直列薄膜圧電共振器と、複数の並列薄膜圧電共振器とを有し、前記直列薄膜圧電共振器は、前記並列薄膜圧電共振器を介して接地されている薄膜圧電フィルタにおいて、前記直列薄膜圧電共振器の振動領域の直径をd1と、前記並列薄膜圧電共振器の振動領域の直径をd2としたときに、d1/2≦d2≦d1の範囲にあることを特徴とする薄膜圧電フィルタに関する。
また、本発明は、前記振動領域の形が楕円形の薄膜圧電共振器を複数用いた薄膜圧電フィルタであって、互いに直列に接続された複数の直列薄膜圧電共振器と、複数の並列薄膜圧電共振器とを有し、前記直列薄膜圧電共振器は、前記並列薄膜圧電共振器を介して接地されている薄膜圧電フィルタにおいて、前記直列薄膜圧電共振器の振動領域の長径をa1と短径をb1と、前記並列薄膜圧電共振器の振動領域の長径をa2と短径をb2としたときに、(a1×b1)/4≦(a2×b2)≦(a1×b1)の範囲にあることを特徴とする薄膜圧電フィルタに関する。
また、本発明は、前記圧電共振器スタックの前記上部電極の上、および/又は前記下部電極の下に、AlN、AlON、Si34、およびSiAlONからなる群より選択される少なくとも1つの誘電体層を有することを特徴とする薄膜圧電共振器に関する。
本発明の薄膜圧電共振器によれば、圧電層と該圧電層を挟んで対向するように形成された上部電極と下部電極とを有する圧電共振器スタックと、該圧電共振器スタックの下に形成された空隙部と、該空隙部を形成するように圧電共振器スタックを支持する基板とからなる薄膜圧電共振器であり、前記圧電共振器スタックは、前記基板面に並行な平面方向において、前記上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域と、基板に接する支持領域、および、前記振動領域と前記支持領域の間の緩衝領域とからなり、前記振動領域と支持領域との距離である前記緩衝領域の幅wが、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、0.25<w/t<2の範囲、好ましくは0.3≦w/t≦1.9の範囲とすることで、高いQ値を有する薄膜圧電共振器を実現することができる。
また、本発明の薄膜圧電共振器によれば、前記振動領域の形が円形であり、前記円の直径dを、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、40≦d/t≦120の範囲とすることで、横音響モードによる特性劣化を招くことなく高いQ値を有する薄膜圧電共振器を実現することができる。より好ましくは、40≦d/t≦80の範囲とすることで、横音響モードによる特性劣化を招くことなくより高いQ値を有する薄膜圧電共振器を実現することができる。d/t<40とした場合には、共振器のインピーダンスが大きくなりすぎるとともに、反共振点でのQ値が低下し、好ましくない。また、d/t>120とした場合には、横音響モードによる特性劣化が起こり、好ましくない。
また、本発明の薄膜圧電共振器によれば、前記振動領域の形が楕円形であり、前記楕円の長径aと短径bは、前記振動部の厚みtに対して、40≦(a×b)1/2/t≦120の範囲とすることで、横音響モードによる特性劣化を招くことなく高いQ値を有する薄膜圧電共振器を実現することができる。より好ましくは、40≦(a×b)1/2/t≦80の範囲とすることで、横音響モードによる特性劣化を招くことなくより高いQ値を有する薄膜圧電共振器を実現することができる。(a×b)1/2/t<40とした場合には、共振器のインピーダンスが大きくなりすぎるとともに、反共振点でのQ値が低下し、好ましくない。また、(a×b)1/2/t>120とした場合には、横音響モードによる特性劣化が起こり、好ましくない。
また、本発明の薄膜圧電フィルタによれば、前記振動領域の形が円形であり、前記円の直径dが、40≦d/t≦120の範囲とした薄膜圧電共振器を用い、互いに直列に接続された複数の直列薄膜圧電共振器と、複数の並列薄膜圧電共振器とを有し、前記直列薄膜圧電共振器は、前記並列薄膜圧電共振器を介して接地されている薄膜圧電フィルタにおいて、前記直列薄膜圧電共振器の振動領域の円の直径をd1と、前記並列薄膜圧電共振器の振動領域の円の直径をd2としたときに、d1/2≦d2≦d1の範囲とすることで、横音響モードによる帯域内リップルの発生を抑制するとともに、低挿入損失な薄膜圧電フィルタを実現することができる。
また、本発明の薄膜圧電フィルタによれば、前記振動領域の形が楕円形であり、前記楕円の長径aと短径bは、前記振動部の厚みtに対して、40≦(a×b)1/2/t≦120の範囲にある薄膜圧電共振器を用い、互いに直列に接続された複数の直列薄膜圧電共振器と、複数の並列薄膜圧電共振器とを有し、前記直列薄膜圧電共振器は、前記並列薄膜圧電共振器を介して接地されている薄膜圧電フィルタにおいて、前記直列薄膜圧電共振器の振動領域の楕円長径をa1と短径をb1と、前記並列薄膜圧電共振器の振動領域の楕円長径をa2と短径をb2としたときに、(a1×b1)/4≦(a2×b2)≦(a1×b1)の範囲とすることで、横音響モードによる帯域内リップルの発生を抑制するとともに、低挿入損失な薄膜圧電フィルタを実現することができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
本発明は、横音響モードの発生を抑制した高いQ値を有する薄膜圧電共振器を提供するとともに、低挿入損失を実現できる薄膜圧電フィルタを容易に提供することを目的としている。
図1は本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示し、図1(a)はその模式的平面図であり、図1(b)と図1(c)は、それぞれ図1(a)のX−X断面図とY−Y断面図である。本発明の薄膜圧電共振器は、圧電共振器スタック12と、該圧電共振器スタックの下に形成された空隙部4と、該空隙部を形成するように圧電共振器スタックを支持する基板6とからなる。
本発明の薄膜圧電共振器を構成する圧電共振器スタックは、圧電層2と、該圧電層を挟むように形成された下部電極8および上部電極10とを含む積層体である。圧電共振器スタックは、圧電層と上部電極と下部電極とが形成されている領域に限定されるものではなく、電極が形成されていない領域まで含むものである。圧電共振器スタック12は、前記基板面に並行な平面方向において、下部電極8と上部電極10とが厚み方向で重なる振動領域16と、基板6に接している支持領域18、および、振動領域16と支持領域18の間の緩衝領域20とからなり、振動領域16の下に空隙部4が形成されている。本発明の薄膜圧電共振器は、この緩衝領域の幅w、即ち、前記振動領域と支持領域との距離が、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、0.25<w/t<2の範囲にあることを特徴とする。
本発明の薄膜圧電共振器では、緩衝領域と振動領域との境界線の全てにおいて、前記幅wの緩衝領域が存在することが好ましいが、前記境界線の40%以上において、0.25<w/t<2の範囲にある緩衝領域があれば、高いQ値を有する薄膜圧電共振器を得ることができる。
図1の実施形態では、前記圧電層2が前記下部電極8と前記上部電極10に挟まれた圧電共振器スタックの振動領域の形が円形である。ただし、上部電極および下部電極を外部回路に接続するために形成されている導電性の薄膜(接続導体という)14は、上部電極または下部電極には含めないものとする。即ち、接続導体の形成されている領域は振動領域とは考えず、振動領域の形を考える場合には、接続導体と上部電極または下部電極との境界は、上部電極または下部電極の接続導体に接していない部分の外形の線を延長することにより求められる。また、本発明の緩衝領域は、上部電極と接続している接続導体と、下部電極とが厚み方向で重なる部分を含み、振動領域と緩衝領域との境界線は、上部電極と上部電極に接続している接続導体との境界線を含むものとする。
本発明の薄膜圧電共振器は、特に、上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域の圧電共振器スタックの厚みをt、振動領域と支持領域との距離である緩衝領域の幅をwとしたとき、0.25<w/t<2の範囲とすることにより、共振器のQ値を大きくすることが可能である。少なくとも、緩衝領域と振動領域との境界線の40%以上が、0.25<w/t<2、好ましくは0.3≦w/t≦1.9の範囲とすることにより、高いQ値を実現することができる。
また、本発明の薄膜圧電共振器は、前記振動領域の形が円形であり、円の直径dが、40≦d/t≦120の範囲とすることにより、不要な横音響モードによるスプリアスの発生を抑制するとともに、共振器のQ値を大きくすることが可能である。より好ましくは、40≦d/t≦80の範囲とすることで、不要な横音響モードによるスプリアスの発生を抑制するとともに、より高いQ値を実現することができる。
本発明の薄膜圧電共振器の構成および材料は、従来の薄膜圧電共振器と同様な構成および材料を適用することができる。例えば、基板6はシリコン基板、ガリウム砒素基板、ガラス基板などからなるものでよく、空隙部4は異方性湿式エッチング、RIE(Reactive Ion Etching)などの従来技術により形成することができる。圧電層2は、例えば、酸化亜鉛(ZnO)や窒化アルミニウム(AlN)のような薄膜として製造できる圧電材料からなるものでよい。また、上部電極および下部電極は、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、金(Au)のような薄膜として製造でき、パターニングが可能な金属材料、または、それらの積層体からなるものでよい。
本発明の薄膜圧電共振器は次のようにして作製することができる。シリコンウェハなどの基板6上に湿式エッチング等の技術によりピット部を形成した後、CVD法等の成膜技術により犠牲層を形成する。その後、CMP法などの平坦化技術により基板表面を平坦化し、ピット内部にのみ犠牲層が堆積された基板とする。犠牲層としては、PSG(Phospho−silicate glass)のように、容易にエッチングされる材料が適当である。スパッタリング法、蒸着法などの成膜方法で下部電極8、圧電層2、上部電極10を成膜するとともに、湿式エッチング、RIE、リフトオフ法などのパターニング技術を用いて各層をパターニングする。この際、図1における上部電極10の端部と空隙部4の端部との平面方向での距離w、即ち、振動領域と支持領域との距離である緩衝領域の幅wが、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、0.25<w/t<2の範囲であり、前記円形の直径をdとしたとき、40≦d/t≦120の範囲となるようにパターニングを行う。更に、前記パターニング技術を用いて、基板上面から犠牲層まで達する貫通孔30を形成した後、エッチング液にて犠牲層を除去する。これにより、ピット部は空隙部4となる。
また、本発明において、上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域の形が円形の薄膜圧電共振器で、振動領域と支持領域との距離である緩衝領域の幅wが、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、0.25<w/t<2の範囲であり、前記円形の直径をdとしたとき、40≦d/t≦120の範囲である形態として、図1(b)に示した実施形態以外に、図2および図3に示すような実施形態もある。図2は、本発明の他の実施形態を示す薄膜圧電共振器の断面図である。図1(b)の実施形態では、基板6に空隙部4を形成していた。図2の実施形態では、基板6の上部に、空隙部4を形成している。図3の実施形態では、基板6に空隙部4を形成している点は、図1(b)と同様であるが、図3の実施形態では、空隙部4を基板の裏面より形成している点が異なる。
図2に示した薄膜圧電共振器は、例えば次のようにして作製することができる。シリコンウェハなどの基板6上に、スパッタリング法、CVD法等の成膜技術、または熱酸化により酸化シリコン(SiO2)層を形成する。その後、スパッタリング法、蒸着法などの成膜法により、エッチング液にて容易に溶解する犠牲層を形成し、湿式エッチング、RIE、リフトオフ法などのパターニング技術を用いてパターニングする。犠牲層としては、ゲルマニウム(Ge)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)などの金属またはそれらの金属酸化物が適当である。その後、スパッタリング法、蒸着法などの成膜方法で下部電極8、圧電層2、上部電極10を成膜するとともに、湿式エッチング、RIE、リフトオフ法などのパターニング技術を用いて各層をパターニングする。この際、上部電極10の端部と空隙部4の端部との平面方向での距離w、即ち、振動領域と支持領域との距離である緩衝領域の幅wが、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、0.25<w/t<2の範囲であり、前記円形の直径をdとしたとき、40≦d/t≦120の範囲となるようにパターニングを行う。更に、前記パターニング技術を用いて、基板上面から犠牲層まで達する貫通孔30を形成した後、エッチング液にて犠牲層を除去する。さらに、SiO2層のエッチングが可能なエッチング液を選択し、SiO2層をエッチングすることにより、犠牲層と同一パターンでSiO2層をエッチングすることができる。これにより、犠牲層とSiO2層に空隙部4を形成することができる。
図3に示した薄膜圧電共振器は、例えば次のようにして作製することができる。基板6上にスパッタリング法、蒸着法等の成膜方法で下部電極8、圧電層2、上部電極10を成膜するとともに、湿式エッチング、RIE,リフトオフ法などのパターニング技術を用いて各層をパターニングする。その後、基板6の裏面より、異方性湿式エッチング、Deep−RIE等の深堀エッチング技術にて、下部電極下まで、エッチングすることにより空隙部4を形成することができる。
本発明における薄膜圧電共振器は、図4に示すように、下部電極8の下側に誘電体層18を、上部電極10の上面に誘電体層20を有した実施形態もある。誘電体層としては、AlN、AlON、Si34、およびSiAlONなどの比較的弾性率の大きな材料が好ましい。図4に示す下部誘電体層18、および/又は上部誘電体層20を有した薄膜圧電共振器であっても、図1から図3に示した薄膜圧電共振器と同様に、横音響モードによる特性劣化を招くことなく、高いQ値を有した薄膜圧電共振器を得ることができる。下部誘電体層18、および/又は上部誘電体層20を設けることにより、下部電極18および/又は上部電極の酸化劣化を防止することが可能となる。
また、本発明の他の薄膜圧電共振器は、前記振動領域の形が楕円形であり、前記楕円の長径aと短径bは、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、40≦(a×b)1/2/t≦120の範囲にあることを特徴とする。
図5は本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示し、図5(a)はその模式的平面図であり、図5(b)は、図5(a)のX−X断面図である。薄膜圧電共振器は、圧電層2と、該圧電層を挟むように形成された下部電極8および上部電極10とからなる。前記圧電層2の前記下部電極8と前記上部電極10に挟まれた圧電共振器スタックの振動領域の形が楕円形である。ただし、上部電極および下部電極を外部回路に接続するために形成されている導電性の薄膜(接続導体という)14は、上部電極または下部電極には含めないものとする。即ち、接続導体の形成されている領域は振動領域とは考えず、振動部の形状を考える場合には、また、接続導体と上部電極または下部電極との境界は、上部電極または下部電極の外形線を延長することで求められる。また、上部電極と接続している接続導体と、下部電極とが厚み方向で重なる部分は、緩衝領域に含め、上部電極と上部電極に接続している接続導体との境界線は、振動領域と緩衝領域との境界線に含まれるものとする。
圧電共振器スタック12は、下部電極8と上部電極10とが厚み方向で重なる振動領域16と、基板6に接している支持領域20、および、振動領域16と支持領域18の間の緩衝領域20とからなり、振動領域16の下に空隙部4が形成されている。
本発明の薄膜圧電共振器は、特に、上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域の厚みをt、振動領域と支持領域との距離である緩衝領域の幅をwとしたとき、0.25<w/t<2の範囲にある薄膜圧電共振器で、上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域の形が楕円であり、楕円の長径をaと短径をbとしたときに、40≦(a×b)1/2/t≦120の範囲にあることを特徴とする。0.25<w/t<2、好ましくは0.3≦w/t≦1.9の範囲とすることにより、共振器のQ値を大きくすることが可能である。また、40≦(a×b)1/2/t≦120の範囲とすることにより、不要な横音響モードによるスプリアスの発生を抑制するとともに、高いQ値を実現することができる。より好ましくは、40≦(a×b)1/2/t≦80の範囲とすることにより、不要な横音響モードによるスプリアスの発生を抑制するとともに、より高いQ値を実現することができる。
本発明の薄膜圧電共振器の構成および材料は、従来の薄膜圧電共振器と同様な構成および材料を適用することができる。例えば、基板6はシリコン基板、ガリウム砒素基板、ガラス基板などからなるものでよく、空隙部4は異方性湿式エッチング、RIE(Reactive Ion Etching)などの従来技術により形成することができる。圧電層2は、例えば、酸化亜鉛(ZnO)や窒化アルミニウム(AlN)のような薄膜として製造できる圧電材料からなるものでよい。また、上部電極および下部電極は、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、金(Au)のような薄膜として製造でき、パターニングが可能な金属材料、または、それらの積層体からなるものでよい。
上記のような薄膜圧電共振器は図1に示した薄膜圧電共振器と同様の方法にて作製することができる。
また、本発明の薄膜圧電共振器において、上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域の形が楕円形の実施形態として、図5(b)に示した実施形態以外に、図2と同様な断面図を有する実施形態もある。図2は、本発明の他の実施形態を示す薄膜圧電共振器の断面図でもある。図5(b)の実施形態では、基板6に空隙部4を形成していたが、図2に示した断面図を有する本発明の実施形態では、基板6の上部に、空隙部4を形成している。さらに、図3のような断面図を有する実施形態もある。図3の断面図を有する実施形態では、基板6に空隙部4を形成している点は、図5(b)と同様であるが、図3の実施形態では、空隙部4を基板6の裏面より形成している点が異なる。さらに、図4のような断面図を有する実施形態もある。図4の断面図を有する実施形態では、下部電極下に下部誘電体層24を、上部電極上に上部誘電体層26を有している。図2、図3および図4の断面図を有する実施形態においても、高いQ値を損なうことなく横音響モードによるノイズの発生を抑制した、優れた薄膜圧電共振器が得られる。
また、本発明の前記薄膜圧電共振器を用いて、優れた特性の誘電体フィルタを提供することができる。即ち、本発明の薄膜圧電フィルタは、圧電層と該圧電層を挟んで対向するように形成された上部電極と下部電極とを有する圧電共振器スタックと、該圧電共振器スタックの下に形成された空隙部と、該空隙部を形成するように圧電共振器スタックを支持する基板とからなる薄膜圧電共振器であり、前記圧電共振器スタックは、前記基板面に並行な平面方向において、前記上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域と、基板に接する支持領域、および、前記振動領域と前記支持領域の間の緩衝領域とからなり、前記振動領域と支持領域との距離である前記緩衝領域の幅wが、前記振動部の厚みtに対して、0.25<w/t<2の範囲にあり、且つ前記振動領域の形が円形であり、前記円の直径dが、40≦d/t≦120の範囲とした薄膜圧電共振器を用い、互いに直列に接続された複数の直列薄膜圧電共振器と、複数の並列薄膜圧電共振器とを有し、前記直列薄膜圧電共振器は、前記並列薄膜圧電共振器を介して接地されている薄膜圧電フィルタであり、前記直列薄膜圧電共振器の振動領域の直径をd1と、前記並列薄膜圧電共振器の振動領域の直径をd2としたときに、d1/2≦d2≦d1の範囲とすることにより、通過帯域内のリップルを低減できるとともに、挿入損失の小さい薄膜圧電フィルタを実現できる。
図6には、本発明の薄膜圧電フィルタの一実施形態である梯子型回路の例を示す。本発明の薄膜圧電フィルタは、図6に示す回路構成に限定されるものではないが、梯子型回路とすることにより、より低損失の薄膜圧電フィルタを構成することができるので好ましい。
図7には、本発明の薄膜圧電フィルタの一実施形態を示す。図7の白抜きで示す電極部分が下部電極に、薄い灰色で示す部分が上部電極に、また、濃い灰色部分で示す部分が下部電極と上部電極が厚さ方向で互いに重なる振動領域になる。図7に示すように、前記直列薄膜圧電共振器の直径d1と、前記並列薄膜圧電共振器の直径d2との関係が、d1/2≦d2≦d1の範囲となるように、上部電極と下部電極との重なる振動領域の形を設定することにより、挿入損失の小さい薄膜圧電フィルタを実現できる。
また、本発明の前記他の形態の薄膜圧電共振器を用いた薄膜圧電フィルタを提供することができる。即ち、本発明の他の形態の薄膜圧電フィルタは、圧電層と該圧電層を挟んで対向するように形成された上部電極と下部電極とを有する圧電共振器スタックと、該圧電共振器スタックの下に形成された空隙部と、該空隙部を形成するように圧電共振器スタックを支持する基板とからなる薄膜圧電共振器であり、前記圧電共振器スタックは、前記基板面に並行な平面方向において、前記上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域と、基板に接する支持領域、および、前記振動領域と前記支持領域の間の緩衝領域とからなり、前記振動領域と支持領域との距離である前記緩衝領域の幅wが、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、0.25<w/t<2の範囲にあり、且つ前記振動領域の平面形状が楕円形であり、前記楕円の長径aと短径bは、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、40≦(a×b)1/2/t≦120の範囲にある薄膜圧電共振器を用い、互いに直列に接続された複数の直列薄膜圧電共振器と、複数の並列薄膜圧電共振器とを有し、前記直列薄膜圧電共振器は、前記並列薄膜圧電共振器を介して接地されている薄膜圧電フィルタであって、前記直列薄膜圧電共振器の振動領域の楕円長径をa1と短径をb1と、前記並列薄膜圧電共振器の振動領域の楕円長径をa2と短径をb2としたときに、(a1×b1)/4≦(a2×b2)≦(a1×b1)の範囲とすることにより、通過帯域内のリップルを低減できるとともに、挿入損失の小さい薄膜圧電フィルタを実現できる。
図8には、本発明の薄膜圧電フィルタの一実施形態を示す。図8の白抜きで示す電極部分が下部電極に、薄い灰色で示す部分が上部電極に、また、濃い灰色部分で示す部分が下部電極と上部電極が厚さ方向で互いに重なる振動領域になる。図8に示すように、前記直列薄膜圧電共振器の振動領域の楕円長径a1、短径b1と、前記並列圧電共振器の振動領域の楕円長径a2、短径b2との関係が、(a1×b1)/4≦(a2×b2)≦(a1×b1)の範囲となるように、上部電極と下部電極とが重なる振動領域の形を設定することにより、挿入損失の小さい薄膜圧電フィルタを実現できる。
図7および図8では、前記並列薄膜圧電共振器を同一の接地導体110に接続しているが、接地導体を複数設け、個別の接地導体を介して、外部接地導体と接続することも可能である。
(実施例1〜4)
上部電極の直径が160μm(d/t=72.7)で、緩衝領域の幅w、即ち、上部電極の端部と空隙部の端部との平面方向での距離wを、表1に記載の値とした図1の形態の薄膜圧電共振器を作製した。本実施例での各構成層の厚みは次のように設定した。下部電極をMoで厚み300nm、圧電層をAlNで厚み1700nm、上部電極をMoで厚み200nmとした。即ち、振動領域の圧電共振器スタックの厚みtを、2.2μmとした。図9および表1にこのようにして形成した共振器のQ値とw/tの関係を示す。上部電極が空隙部より小さい場合を、wがプラスとして表記している。0.25<w/t<2の範囲内では、Q値は大きな値となり、良好な共振器特性を示す。図10には上部電極が空隙部より2μm小さい場合(w=2μm、w/t=0.91)のインピーダンス、位相特性を示す。図9および図10より明らかなように、横音響モードによるノイズの発生が抑制されており、良好な薄膜圧電共振器が得られている。
(比較例1〜6)
緩衝領域の幅wの値を表1に記載の値にした以外は、実施例1と同様に、図1の形態の圧電薄膜共振器を作製した。結果を図9および表1に示す。図9および表1からわかるように、実施例1と同様の条件にて、W/t≦0.25またはw/t≧2の条件で作製した薄膜圧電共振器のQ値は、小さくなり好ましくない。また、w/t≧2の条件では、横音響モードによるスプリアスが発生するために、好ましくない。
(実施例5、6)
上部電極、即ち振動領域の直径dを100μm(d/t=45.5)と、240μm(d/t=109.1)とした以外は、実施例2と同様な圧電薄膜共振器を作製した。上部電極の端部と空隙部の端部との平面方向での距離、即ち緩衝領域の幅wは2μmであり、w/t=0.91である。結果を表1に示す。表1からわかるように、比較的高いQ値を有するとともに、横音響モードによるスプリアスの発生を抑えた薄膜圧電共振器が得られている。
(比較例7)
上部電極、即ち振動領域の直径を80μm(d/t=36.4)で、上部電極の端部と空隙部の端部との平面方向での距離、即ち、緩衝領域の幅wを5μm(w/t=2.27)とした図1の形態の薄膜圧電共振器を作製した。本比較例での各構成層の厚みは実施例1と同様とした。結果を表1に示す。得られた薄膜圧電共振器はインピーダンスが大きくなりすぎるとともに、Q値が低下するため好ましくない。
(比較例8)
上部電極、即ち振動領域の直径を300μm(d/t=136.4)で、上部電極の端部と空隙部の端部との平面方向での距離、即ち、緩衝領域の幅wを5μm(w/t=2.27)とした図1の形態の薄膜圧電共振器を作製した。本比較例での各構成層の厚みは実施例1と同様とした。図11にインピーダンス、位相特性を示す。図11より明らかなように、横音響モードによるノイズが発生しており、好ましくない。
(実施例7〜9)
上部電極、即ち振動領域の長径を110μm、短径を90μm((a×b)1/2=45.2、実施例7)、長径を180μm、短径を140μm((a×b)1/2=72.2、実施例8)、および長径を260μm、短径を220μm((a×b)1/2=108.7、実施例9)で、上部電極の端部と空隙部の端部との平面方向での距離、即ち、緩衝領域の幅wを2μm(w/t=0.91)とした振動領域が楕円形である図2の形態の薄膜圧電共振器を作製した。本実施例での各構成層の厚みは実施例1と同様とした。結果を表1に示す。表1からわかるように、w/tを適当な範囲にすることにより、高いQ値を有する薄膜圧電共振器が得られている。また、長径が180μm、短径が140μmの条件で作製した薄膜圧電共振器のインピーダンス、位相特性を図12に示す。図12より明らかなように、横音響モードによるノイズの発生が抑制されている。
(比較例9)
上部電極、即ち振動領域の長径を90μm、短径を70μm((a×b)1/2=36.1)で、上部電極の端部と空隙部の端部との平面方向での距離、即ち、緩衝領域の幅wを5μm(w/t=2.27)とした図2の形態の薄膜圧電共振器を作製した。本比較例での各構成層の厚みは実施例1と同様とした。結果を表1に示す。得られた薄膜圧電共振器はインピーダンスが大きくなりすぎるとともに、Q値が小さくなり好ましくない。
(比較例10)
上部電極、即ち振動領域の長径が320μm、短径が280μm((a×b)1/2=136.1)で、上部電極の端部と空隙部の端部との平面方向での距離、即ち、緩衝領域の幅wを5μm(w/t=2.27)とした図2の形態の薄膜圧電共振器を作製した。本比較例での各構成層の厚みは実施例1と同様とした。結果を表1に示す。表1からわかるように、横音響モードによるノイズが発生するとともに、Q値が小さくなり好ましくない。
(比較例11)
特許文献2に示されている平行な辺を持たない多角形で、共振器面積を実施例1と同一となるようにして薄膜圧電共振器を作製した。上部電極の端部と空隙部との端部との平面方向での距離、即ち、緩衝領域の幅wを5μm(w/t=2.27)として作製した。得られた薄膜圧電共振器の横音響モードによるノイズは抑制されていたものの、反共振周波数におけるQ値は840と低い値を示した。適切な幅の緩衝領域と、電極形状としては、多角形より円形または楕円形とすることが好ましいことがわかる。
Figure 2007227998
(実施例10)
図1に記載のw=2μm(w/t=0.91)の条件とした薄膜圧電共振器を用いて、図6に記載の梯子型回路で1.9GHz帯の薄膜圧電フィルタを構成した。薄膜圧電フィルタの平面方向のレイアウトを図7に記載のものとした。直列共振器の振動領域の直径d1、並列共振器の振動領域の直径d2を、それぞれd1=180μm、d2=140μmとした。図13に薄膜圧電フィルタの通過特性を示す。図13より明らかなように、横音響モードによるスプリアスが抑制され通過帯域内のリップルが小さなフィルタが得られており、60MHzの通過帯域幅とした場合の帯域内の挿入損失は最大1.8dBと非常に小さくなっている。
(比較例12)
図1に記載のw=2μm(w/t=0.91)の条件とした薄膜圧電共振器を用いて、図6に記載の梯子型回路で1.9GHz帯の薄膜圧電フィルタを構成した。薄膜圧電フィルタの平面方向のレイアウトは図7に記載のものとした。直列共振器の振動領域の直径d1、並列共振器の振動領域の直径d2を、それぞれd1=140μm、d2=180μmとした。図14に薄膜圧電フィルタの通過特性を示す。図14より明らかなように、図13に比べ挿入損失が大きく、60MHzの通過帯域幅とした場合の帯域内の挿入損失は最大2.8dBである。
(実施例11)
図5に記載のw=2μm(w/t=0.91)の条件とした薄膜圧電共振器を用いて、図6に記載の梯子型回路で1.9GHz帯の薄膜圧電フィルタを構成した。薄膜圧電フィルタの平面方向のレイアウトは図8に記載のものとした。直列共振器の振動領域の長径a1および短径b1と、並列共振器の振動領域の長径a2およびb2は、それぞれa1=200μm、b1=160μmと、a2=160μm、b2=120μmした。横音響モードによるスプリアスが抑制され通過帯域内のリップルが小さなフィルタが得られ、60MHzの通過帯域幅とした場合の帯域内の挿入損失は最大1.7dBと非常に小さな薄膜圧電フィルタが得られた。
(比較例13)
図5に記載のw=2μm(w/t=0.91)の条件とした薄膜圧電共振器を用いて、図6に記載の梯子型回路で1.9GHz帯の薄膜圧電フィルタを構成した。薄膜圧電フィルタの平面方向のレイアウトは図8に記載のものとした。直列共振器の振動領域の長径a1および短径b1と、並列共振器の振動領域の長径a2およびb2は、それぞれa1=160μm、b1=120μmと、a2=200μm、b2=160μmした。実施例10比べ挿入損失が大きく、60MHzの通過帯域幅とした場合の帯域内の挿入損失は最大2.6dBであった。
本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す、(a)模式的平面図、(b)図1(a)のX−X断面図、および(c)図1(a)のY−Y断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器の他の一実施形態を示す、(a)模式的平面図および(b)断面図である。 本発明の薄膜圧電共振器を用いたフィルタの一実施形態である梯子型回路を示す図である。 本発明の薄膜圧電フィルタの一実施形態を示す模式的平面図である。 本発明の薄膜圧電フィルタの一実施形態を示す模式的平面図である。 実施例1〜4、比較例1〜6で得られた薄膜圧電共振器のQ値を示す図である。 実施例1で得られた薄膜圧電共振器のインピーダンス特性を示す図である。 比較例8で得られた薄膜圧電共振器のインピーダンス特性を示す図である。 実施例8で得られた薄膜圧電共振器のインピーダンス特性を示す図である。 実施例10で得られた薄膜圧電フィルタの通過振幅特性を示す図である。 比較例12で得られた薄膜圧電フィルタの通過振幅特性を示す図である。 従来の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す、(a)模式的平面図、(b)図15(a)のX−X断面図である。 従来の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す、(a)模式的平面図、(b)図15(a)のY−Y断面図である。 従来の薄膜圧電共振器の一実施形態を示す断面図である。
符号の説明
2 圧電層
4 空隙部
6 基板
8 下部電極
10 上部電極
12 圧電共振器スタック
14 接続導体
16 振動領域
18 支持領域
20 緩衝領域
22 フレーム層
24 下部誘電体層
26 上部誘電体層
30 犠牲層エッチング用貫通孔
100 薄膜圧電フィルタ
110 接地導体
101、102 入出力ポート
111、113、115 直列薄膜圧電共振器
112、114、116 並列薄膜圧電共振器

Claims (8)

  1. 圧電層と該圧電層を挟んで対向するように形成された上部電極と下部電極とを有する圧電共振器スタックと、該圧電共振器スタックの下に形成された空隙部と、該空隙部を形成するように圧電共振器スタックを支持する基板とからなる薄膜圧電共振器であり、前記圧電共振器スタックは、前記基板面に並行な平面方向において、前記上部電極と下部電極とが厚み方向で互いに重なる振動領域と、基板に接する支持領域、および、前記振動領域と前記支持領域の間の緩衝領域とからなり、前記振動領域と支持領域との距離である前記緩衝領域の幅wが、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、0.25<w/t<2の範囲にあることを特徴とする薄膜圧電共振器。
  2. 前記振動領域の形が円形であり、前記円の直径dが、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して40≦d/t≦120の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の薄膜圧電共振器。
  3. 前記円の直径dは、40≦d/t≦80であることを特徴とする請求項2記載の薄膜圧電共振器。
  4. 前記振動領域の形が楕円形であり、前記楕円の長径aと短径bは、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、40≦(a×b)1/2/t≦120の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の薄膜圧電共振器。
  5. 前記楕円の長径aと短径bは、前記振動領域の圧電共振器スタックの厚みtに対して、40≦(a×b)1/2/t≦80の範囲にあることを特徴とする請求項4記載の薄膜圧電共振器。
  6. 請求項2記載の薄膜圧電共振器を複数用いた薄膜圧電フィルタであって、互いに直列に接続された複数の直列薄膜圧電共振器と、複数の並列薄膜圧電共振器とを有し、前記直列薄膜圧電共振器は、前記並列薄膜圧電共振器を介して接地されている薄膜圧電フィルタにおいて、前記直列薄膜圧電共振器の振動領域の直径をd1と、前記並列圧電共振器の振動領域の直径をd2としたときに、d1/2≦d2≦d1の範囲にあることを特徴とする薄膜圧電フィルタ。
  7. 請求項4記載の薄膜圧電共振器を複数用いた薄膜圧電フィルタであって、互いに直列に接続された複数の直列薄膜圧電共振器と、複数の並列薄膜圧電共振器とを有し、前記直列薄膜圧電共振器は、前記並列薄膜圧電共振器を介して接地されている薄膜圧電フィルタにおいて、前記直列薄膜圧電共振器の振動領域の長径をa1と短径をb1と、前記並列圧電共振器の振動領域の長径をa2と短径をb2としたときに、(a1×b1)/4≦(a2×b2)≦(a1×b1)の範囲にあることを特徴とする薄膜圧電フィルタ。
  8. 前記圧電共振器スタックは、前記上部電極の上、および/又は前記下部電極の下に、AlN、AlON、Si34、およびSiAlONからなる群より選択される少なくとも1つの誘電体層を有することを特徴とする請求項1記載の薄膜圧電共振器。

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