JP2007227582A - 試料搬送システム、試料搬送方法、プログラムおよび記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料搬送機構内のクリーン度悪化の兆候を的確に検知し、試料を異物付着から保護すること。
【解決手段】 半導体用走査電子顕微鏡用の試料搬送システムSは、試料室1、試料交換室2、ロードポート11、試料搬送経路、試料13の搬送手段、搬送手段を制御する制御装置を備えている。また、試料搬送経路は、除塵用のファンフィルター機構を有し、防塵カバー14に覆われている。そして、制御装置は、ファンフィルター機構の動作状態、防塵カバー14の内外の気圧差、防塵カバー14の内部の気流、および、ファンフィルター機構の寿命、のうち少なくとも1つに基いて、防塵カバー14の内部のクリーン度が悪化したと判断する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体用走査電子顕微鏡で観察するウェハやマスクなどの試料の搬送制御に関する。
従来の半導体製造工場においては、ウェハやマスクなどの試料を塵埃などの異物から守るために、工場内全体を無塵化することが多かった。ところが、近年の半導体製造工場においては、試料を収納するキャリアと、試料搬送経路のみを無塵化する方針に転換しつつある。
そのため、半導体用走査電子顕微鏡においては、ファンフィルター機構(ファンとフィルターで塵埃などを除去する仕組み)と防塵カバーを有する試料搬送機構を取り付けることで、大気系内の試料搬送経路の無塵化を実現し、試料への塵埃などの付着を防止している。
ところで、従来の半導体用走査電子顕微鏡では、特許文献1に見られるように空気流を制御してクリーン度を維持することに主眼を置いており、試料搬送機構内の防塵度(クリーン度)の悪化を検出する機構が無い、もしくは、防塵カバーの開閉状態検出や特許文献2に見られるように内部陽圧検知のみを行うなどの極めて間接的な検出機能があるだけであった。
そのため、試料に対する異物(塵埃など)の付着を防止、抑制するための適切な対策は自動化されておらず、クリーン度の悪化を間接的に検出しても、アラームの表示もしくは試料搬送機構のハードウェア強制インタロックが行われるのみであった。
なお、特許文献1および特許文献2は、半導体処理装置に関する技術であるが、それらを半導体用走査電子顕微鏡に適用するのは当業者であれば極めて容易である。
したがって、試料搬送機構内のクリーン度悪化後の処置と試料の保護は、専門技術を有するエンジニア(あるいはそのエンジニアに指示された者)によってなされるのが常であった。
つまり、エンジニアが半導体工場内に常駐し、アラームの発生に対してリアルタイムに処置をすることができるのであれば、クリーン度悪化による試料への異物付着の可能性を最小限にとどめ、半導体製品性能の劣化による歩留まりの低下を招く可能性を低減することができるのである。
特許第3581310号公報 特開2003−243272号公報
しかしながら、実際には、エンジニアがリアルタイムで試料に対する処置を行うことができるとは限らず、その場合、多数の異物付着試料(不良ロット)を生み出すことになってしまう。
同様に、試料搬送機構のハードウェア強制インタロックが行われる場合であっても、適切にその後の処置を行わなければ、試料搬送経路内に取り残された試料への異物付着は免れない。また、そればかりでなく、クリーン度悪化対策のための作業によって防塵カバーが不用意に開放されることで、キャリア内の試料や、試料交換室内の試料にまで汚染が拡散することになり、不良ロット量産による歩留まりの低下、ひいては半導体製造工場の生産効率の低下をもたらすことにもなってしまう。
さらに、エンジニアが作業する時間中は装置(試料搬送機構など)を停止する必要があり、そのため装置稼働率の低下により半導体製品の生産効率が低下し、また作業に要するコストも増大してしまっていた。また、このような手動による処置は、試料や試料搬送機構の破損などに発展する可能性があった。
このように、従来の半導体用走査電子顕微鏡においては、試料搬送機構内のクリーン度の悪化に伴う試料の保護に、多大な労力と時間、及びコストを費やすことと、多くのミスの発生の可能性をはらむことを余儀なくされていた。また、今日、半導体用走査電子顕微鏡の高性能化指標の一つとして、異物付着の軽減による歩留まり向上への寄与が重要視されている。
そのような状況の中で、専門技術を要するエンジニアによる手動処置のみでは、装置稼働率の低下を招き、また異物付着による歩留まり低下を根本的に解決する手段ではないことが、強く認識されている。
そこで、本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、試料搬送機構内のクリーン度悪化の兆候を的確に検知し、それに伴うウェハやマスクなどの試料に対する異物付着からの保護処理を、安全かつ短時間で実現する機構を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る試料搬送システムは、半導体用走査電子顕微鏡によって観察される試料を搬送する試料搬送システムであって、試料室と、前記試料室と隣接する試料交換室と、前記試料を収納するキャリアを載置するロードポートと、前記ロードポートから前記試料交換室まで設けられた試料搬送経路と、前記試料を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する制御装置と、を備え、前記試料搬送経路は、除塵用のファンフィルター機構を有し、防塵カバーに覆われ、前記制御装置は、前記ファンフィルター機構の動作状態を認識する第一の検出手段、前記防塵カバーの内部と外部の気圧差を検出する第二の検出手段、前記防塵カバーの内部の気流を検出する第三の検出手段、および、前記ファンフィルター機構の寿命を認識する管理手段、のうち少なくとも1つの手段からの検出値に応じて、前記防塵カバー内部のクリーン度が悪化したと判断する。
本発明によれば、試料搬送機構内のクリーン度悪化の兆候を的確に検知し、それに伴う試料に対する異物付着からの保護処理を、安全かつ短時間で実現することができる。
以下、本発明の実施形態に係る半導体用走査電子顕微鏡用の試料搬送システムSについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、試料搬送システムSの全体構成図である。試料搬送システムSは、主に試料搬送機構100とコンピュータ(制御装置)17を備えて構成される。
試料搬送機構100は、試料室1、試料交換室2、防塵カバー14に覆われた試料搬送経路、および、ロードポート11を備え、図1は、それらを実際の鉛直上方から見た場合の図であり、その内部の様子も表わしたものである。
また、図示していないが、試料室1の実際の鉛直上方には電子顕微鏡の電子銃や電子検出器などが備えられている。
コンピュータ17は、搬送機構制御系18、ローダ制御系19および真空排気制御系20を介して試料搬送機構100を制御するものである。また、コンピュータ17は、表示手段であるCRT(Cathode Ray Tube)を備え、記録媒体21およびキーボード(入力手段)22と接続されている。ユーザは、キーボード22から入力を行うことで、コンピュータ17(記録媒体21)に対し、予め、観察や測定を行う試料13の登録を行う。
なお、搬送機構制御系18、ローダ制御系19および真空排気制御系20は、いずれも、試料搬送機構100の各装置などに対する制御プログラムを有するものであり、コンピュータ17に組み込まれたプログラム、あるいは、コンピュータ17とは別の基板や装置などに搭載されたプログラム(あるいはモジュール)など、その形態は問わない。
試料搬送機構100は、試料交換室2というごく小さな領域を試料室1とは別に設けることによって、試料室1全体の真空排気、窒素パージ(窒素の充填)を行う必要の無い構成となっている。
また、試料室1と試料交換室2には、試料13を保持するために、それぞれ試料ホルダ3、試料ホルダ4が備えられている。
キャリア12は、カバーによって密閉されており、その内部はクリーン度の高い空気で満たされている。キャリア12がロードポート11の上に載置されたとき、コンピュータ17は、搬送機構制御系18を制御することで、ロードポート11に載置されたキャリア12の前面ドアを開放した後、搬送機構(搬送手段)9によってキャリア12の内部から試料13を取り出し、その試料13を位置合わせ機構10へ搬送してプリアライメント(事前の位置合わせ)を行う。
なお、搬送機構制御系18は、防塵カバー14に覆われた試料搬送経路における各装置、および、ロードポート11を制御する役割を果たす。
その後、コンピュータ17は、真空排気制御系20を制御することにより、試料交換室2の窒素パージを行う(パージ弁などは不図示)。コンピュータ17は、試料交換室2の内部が大気圧(試料搬送機構100の外部の気圧)になった後に、真空排気制御系20を制御してゲートバルブ8(試料13を通過させるときに開放するバルブ)を開放し、搬送機構制御系18を制御して搬送機構9により位置合わせ機構10から試料13を取り出し、試料交換室2内の試料ホルダ4へ試料13を搬送する。
試料13の試料ホルダ4への搬送が終了した後、コンピュータ17は、真空排気制御系20を制御して、ゲートバルブ8を閉じ、試料交換室2の真空排気を行う(真空排気弁などは不図示)。コンピュータ17は、試料交換室2の真空度がある一定以上に達したとき、ゲートバルブ7(試料13を通過させるときに開放するバルブ)を開放する。コンピュータ17は、ローダ制御系19を介してローダ機構(搬送手段)6を制御し、これにより、試料13は、試料ホルダ3に乗って試料室1へ搬送され、試料ステージ5上に置かれ、観察、測定される。
試料13の観察、測定が終了すると、コンピュータ17の制御によって、試料ホルダ3は試料室1から試料交換室2へ搬送され、真空排気制御系20はゲートバルブ7を閉じ、試料交換室2を窒素パージする。試料交換室2内部が大気圧と同じになれば、コンピュータ17は真空排気制御系20を制御してゲートバルブ8を開放し、試料13が搬送機構9によって取り出され、キャリア12へ収納される。
搬送機構9および位置合わせ機構10は、試料搬送機構100の一部として防塵カバー14の中にあり、外気から隔離されている。ファンフィルターユニット(ファンフィルター機構)16によって、無塵化されたクリーン度の高い空気が常に防塵カバー14の内部を循環しており、さらに防塵カバー14の内部を陽圧(大気圧よりも高い圧力)に保つことによって、外部の異物を引き込まないように、専用の搬送機構制御系18によって制御される。なお、ファンフィルターユニット16には、ファンの回転速度を検出する手段(第一の検出手段:不図示)が備えられている
次に、図2を参照しながら、防塵カバーの内部におけるクリーン度の悪化の兆候を知るためのアルゴリズムについて説明する(適宜図1参照)。図2は、そのアルゴリズムを示すフローチャートである。
本来、クリーン度の悪化は単位体積当りの空気中に、規定された大きさ以上の異物が何個浮遊しているのかを厳密に計測することによって求めるものである。ただ、その方法では、異物計測のための特別な機器の使用が不可欠となってしまうが、このアルゴリズムによれば、そういった特別な機器を使用しなくても、クリーン度悪化の兆候を間接的ながらも適切に捉えることができる。
図2のフローチャートでは、ステップS201によって、ステップS202〜ステップS212が無限ループする、すなわち繰り返される。
まず、第1段階の評価として、搬送機構制御系18は、ファンフィルターユニット16の動作状態、具体的にはファンの回転速度(単位時間当たりの回転数)を監視、すなわち、回転速度が正常値であるか否か判定する(ステップS202)。搬送機構制御系18は、ファンの回転速度が正常値でない場合、すなわち、異物によるフィルターの目詰まりなどに起因したファン自体の回転速度の低下もしくはファンの停止を検出した場合に(ステップS202でN)、「クリーン度悪化の兆候」と判断する。
そして、搬送機構制御系18は、ファンの回転速度を検出(ステップS203)した後、その回転速度の範囲を特定する(ステップS204)。搬送機構制御系18は、ファンの回転速度が範囲1なら兆候レベル1としてワーニング(警告)の設定を行い(ステップS205)、範囲2(範囲1よりも正常値から遠い値)なら兆候レベル2としてワーニングの設定を行い(ステップS206)、完全停止なら兆候レベル3としてエラーの設定を行い(ステップS207)、そして、その兆候情報をコンピュータ17のCRTに表示することでその旨をユーザに通知する(ステップS208)。
これにより、ユーザは、段階的なきめ細かいクリーン度悪化の兆候情報を入手することができる。
次に、ファン回転速度が正常値であれば(ステップS202でY)、第2段階の評価として、搬送機構制御系18は、防塵カバー14の内外に取り付けられた微差圧センサー(第二の検出手段)15の監視、すなわち出力判定を行う(ステップS209)。これは、防塵カバー14内部が陽圧に保たれているか否かを監視するもので、ある一定以上の圧力差が保たれているか否かを判断するものである。一定以上の圧力差が保たれていない場合(ステップS209で異常)、搬送機構制御系18は、不測の空気漏れに起因する外部異物の巻き込みが発生することによる「クリーン度悪化の兆候」と判断し、兆候レベル3としてエラーの設定を行い(ステップS210)、そして、その兆候情報をコンピュータ17のCRTに表示することでその旨をユーザに通知する(ステップS211)。
そして、ステップS212では、たとえば1秒未満の時間がディレイ時間として設定されており、その設定時間が経過するたびにステップS202以下の処理が行われることになる(ステップS201)。
なお、この微差圧センサー15による監視は最終段階(第1段階よりも後)の評価でもあり、第1段階において各監視機能による兆候の特定が失敗していた場合でも、必ず圧力差異常という結果が発生することで、間違いなく「クリーン度悪化の兆候」を特定することができる。
続いて、図3を参照しながら、防塵カバーの内部における気流について説明する(適宜図1参照)。図3は、防塵カバーおよびその内部の構造と気流の様子を表わした図である。なお、図3は、図1におけるA−A断面図を図1の右側から見たもののうち、防塵カバー14およびその内部だけを抜き出したものである。
原則として、防塵カバー14の内部のクリーン度は、ファンフィルターユニット16が正常に動作することによって図3に示すような気流、具体的にはダウンフロー(上方から下方に向かって流れる気流)を実現することによって維持される。ダウンフローであれば、塵埃などの異物を空中に舞い上げる可能性が低いからである。なお、図3の右方に並べた数字は気流の速さを示すものであり、単位はm/sである。
そして、前記したファンフィルターユニット16のファンの回転速度や微差圧センサー15の出力などのモニタリングという間接的な特定手法に加えて、ファンフィルターユニット16によって防塵カバー14の内部に生成される気流が、設計仕様時に想定したとおりのフローを維持しているかをモニタリングすることで、さらに「クリーン度悪化の兆候」を特定する精度は高くなる。
そこで、サーマル式もしくはベーンフォイール式の風量センサー(第三の検出手段)を防塵カバー14の内部に取り付け、その出力を搬送機構制御系18が監視することによって、気流の健全性をモニタリングする。
図4は、風量センサーの取り付け位置の一例である(適宜図1参照)。図4に示すように、風量センサー41、42は防塵カバー14の内部の比較的上方部に取り付けられ、上方からのダウンフロー流量が維持できていることをモニタリングする役目を果たす。
また、風量センサー43は排出フロー(図の左方から右方への流れ)の流量をモニタリングする。風量センサー44は、気流の渦が発生するようなクリティカルな部位のモニタリングのために配置されている。
このように配置された風量センサー(風量センサー45については後記)を用いて、搬送機構制御系18は、図4に示すように与えられた健全条件(0.400などの数字の単位はm/s)を用いて、ダウンフロー流量、排出フロー流量、気流渦が想定範囲内であるかを判定する。その想定範囲を逸脱する場合、搬送機構制御系18は、「クリーン度悪化の兆候」と判断することになる。なお、風量センサーは、ここでは二次元的な配置として説明したが、奥行き方向にも配備され、三次元空間観測を行えば、さらにその精度を増すことが可能となる。
そこで問題となるのは、防塵カバー14の内部は搬送機構9のような駆動系の装置が存在するため、その動作と干渉する領域への風量センサーの取り付けが困難であるという点である。
その結果、防塵カバー14の内部の周囲流量の取得のみが可能となり、実際に最も重要な、試料13が直接さらされている気流の確認が困難となる。そこで、この問題を解決するために、搬送機構9の試料搬送アーム(図1の長方形の部分)上に風量センサー45を取り付ける。
これによって、風量センサー45は搬送機構9と連動し、それらの衝突の可能性を免れるばかりでなく、駆動系の動作範囲内で広く風量測定を行うことができることから、より精密な気流解析を行うことが可能となる。また、風量センサー45は、試料13に物理的に近い位置での測定であることから、最も重要である「クリーン度悪化の兆候」の特定パラメータとして有益なデータを提供してくれることとなる。
そして、「クリーン度悪化の兆候」はコンピュータ17に通知され、コンピュータ17はこれを受けて試料13の搬送制御を直ちに変更(詳細は後記)する。
以上の2つの特定アルゴリズムで特定されるのは「クリーン度悪化の兆候」であるが、そのまま試料13を放置しておくと、試料13が汚染されてしまう可能性がある。そこでさらに安全を期すための手段として、防塵カバー14の内部の機構に関するモニタリングとは別の管理方法について、以下説明する(図1参照)。
まず、一般に、ファンフィルターユニット16はその寿命(保証期間)が予め設定されている。また、寿命は、フィルターが明らかにその機能を失うよりもはるかに短く設定されており、それ以内であればフィルターの性能は保証されるものである。そこで、コンピュータ17にはフィルターを最後に交換した日付と公証寿命(メーカなどの保証期間)を入力し、それを記録媒体(管理手段)21に保存しておく機能を持たせることとする。
さらに、同様にして、搬送機構9のダウンタイム(使用不可状態の時間長)を計測し保存する機能を持つこととする。これらの機能を持つことでコンピュータ17はファンフィルターユニット16を、有寿命品として管理することが可能となり、最後に交換した日時から現在までの累積時間からダウンタイムを引くことで、実質の稼働時間を算出することができる。そして、その実質の稼働時間と公証寿命との比較を行うことで、実際に物理的な障害を検出する以前に、段階的に「クリーン度悪化の兆候」を特定することが可能となる。
次に、図5を参照しながら、以上示した手法における「クリーン度悪化の兆候」現象をユーザにワーニング及びエラーとしてコンピュータ17のCRTを用いてアナウンスする場合の分類について説明する。図5は、その分類について説明した図である。
悪化兆候501のうち、計画内502のものとしては、寿命管理(管理手段による管理)503により判断できるものがある。これは、前記したように、ファンフィルターユニット16の寿命に基づくものである。この場合、ここでは、1週間前ワーニング504、2日前ワーニング505、期限切れエラー506の3種類を用意しているが、1日前ワーニングなど別のアナウンスを用意してもかまわないことは言うまでもない。
同様にして、悪化兆候501のうち、計画外507のものとしては、ファン回転速度508、微差圧センサー512および気流ベクトルモニター(第三の検出手段による検出)514により判断できるものがある。
ファン回転速度508の場合、図2で説明したように、範囲1ワーニング509(図2のステップS205に対応、以下同様)、範囲2ワーニング510、停止エラーを用意している。
微差圧センサー512の場合、図2で説明したように、しきい値エラー513(図2のステップS210に対応)が表示されることになる。
気流ベクトルモニター514の場合、たとえば風量センサー41,42,43(図4参照)がワーニングとなり(符号515〜517)、風量センサー44,45(図4参照)がエラーとなった(符号518,519)ときを表示しているが、その他、風量センサー41,42,43が3つともワーニングになったときは風量センサーの複合エラー520、と判断するようにすることもできる。
このように、段階的なワーニングやエラーを表示することで、ユーザは容易に要因特定をすることが可能となる。また、このようなワーニング、エラーの情報を半導体製造工場内のCIMS(Computer Integrated Manufacturing System:コンピュータ統合生産システム)にオンライン通知する機能を併せ持つことで、ユーザへの顕現性を向上することも可能である。
そして、動作状態モニタリング(ファン回転速度508、微差圧センサー512および気流ベクトルモニター514のモニタリング)と寿命管理503の両面から得られた「クリーン度悪化の兆候」が特定されれば、コンピュータ17はその時点での試料13の位置状況を確認し、試料13の退避と搬送の制限を実現することができ、以下、詳細に説明する(図1参照)。
試料13の位置状況は、1)キャリア12内、2)大気系(防塵カバー14)内、3)真空系(試料室1、試料交換室2)内、に大別することができる。キャリア12内とは、試料13がキャリア12内に存在する状態である。キャリア12は、密閉可能のケースとなっており、試料13の取り出しや収納を実施する場合に前面ドアを開く機構となっている。つまり、前面ドアを閉じることで、防塵カバー14の内部のクリーン度悪化の影響を回避することが可能となる。
大気系(防塵カバー14)内では、クリーン度悪化は試料13に直接悪影響を与える。真空系(試料室1、試料交換室2)内では、真空を保つためのゲートバルブ7、8が閉じていれば、防塵カバー14の内部におけるクリーン度悪化の影響を回避できる。
以下、図6を参照しながら、試料の搬送制御について説明する(適宜図1参照)。図6は、試料の搬送制御の処理を示したフローチャートである。
まず、悪化状態がセットした、すなわち、防塵カバー14の内部のクリーン度が悪化した場合(ステップS601)、コンピュータ17は、各ロードポート11に載置されたキャリア12から搬出された試料13が、装置内、すなわち、防塵カバー14内、試料交換室2または試料室1のいずれかにあるかどうかの判断を行う(ステップS602)。
装置内に試料13がない場合(ステップS602でN)、処理は終了し、装置内に試料13がある場合(ステップS602でY)、ロードポート11の数の分だけステップS604の処理を繰り返す(ステップS603)。
ステップS604ではキャリア12から搬出された試料13が装置内にあるか否かの判定を行い、そのキャリア12から搬出された試料13が1枚も装置内にない場合(ステップS604でN)、コンピュータ17は、直ちにそのキャリア12の前面ドアをクローズする(閉じる)処理をおこなう(ステップS605)。
これにより、防塵カバー14の内部のクリーン度悪化がキャリア12内の試料13に影響を与えることを回避できる。
キャリア12から搬出された試料13がある場合(ステップS604でY)、コンピュータ17は、装置内の試料13の追跡処理を行う、すなわち、装置内のどこに試料13が存在するのかを検索する(ステップS606)。
ステップS603の後、コンピュータ17は、試料13の枚数の分、ステップS608の処理を繰り返す(ステップS607)。
ステップS608では試料13の位置を判定し、コンピュータ17は、試料13がキャリア12内にあるときは、装置への搬送制御の指示を取り消し(ステップS609)、試料13が大気系内にあるときは、キャリア12への収納制御を起動し(ステップS610)、試料13が真空系内にあるときは、そのまま何も制御を行わない(ステップS611)。
つまり、コンピュータ17は、試料13を大気系(防塵カバー14)内に滞留しないように処理しており、これにより、試料13が大気系内のクリーン度悪化の影響を受ける可能性をより低減することができる。
次に、コンピュータ17は、ゲートバルブ8のオープン(開放)を禁止する処置を行う(ステップS612)。これは、防塵カバー14の内部のクリーン度悪化による影響で試料交換室2内の試料13が汚染されることを防止するためである。
このように、「クリーン度悪化の兆候」があると判断されている時間中は、コンピュータ17によってゲートバルブ8の開放が禁止されるため、ユーザやエンジニアが誤って真空系内の試料13を大気系内に排出する指示をコンピュータ17に行った場合であっても、試料13は真空系内に留まり汚染されることがない。
続いて、コンピュータ17は、退避可能な試料13の防塵カバー14の内部からの退避が完了したかを判断する(ステップS613)。ここでは、試料13の退避は比較的短い時間内に終わるはずなので、試料13の退避が完了していない場合(ステップS613でN)、試料13の退避が完了するまでステップS613の判断を繰り返すものとする。
試料13の退避が完了した場合(ステップS613でY)、コンピュータ17は、キャリア12の前面ドアをクローズし(ステップS614)、それ以降の前面ドアオープンを禁止する(ステップS615)。
これにより、防塵カバー14の内部のクリーン度悪化がキャリア12内の試料13に影響を与えることを回避できる。
こうして、真空系内に滞留せざるを得ない試料13を除いて、自動的にそれ以外の試料13をキャリア12に回収し、ユーザに返却することができる。
その後、コンピュータ17は、引き続き「クリーン度悪化の兆候」があると判断されている状態であるか否かの監視を継続する、すなわち、エンジニアによる修復作業などによって「クリーン度悪化の兆候」の原因となるすべての要因が排除されたか否かを判断する(ステップS616で繰り返すステップS617)。
「クリーン度悪化の兆候」があると判断されている時間中であれば、コンピュータ17は、キャリア12の前面ドアの開放処理を禁止する。これもまた、防塵カバー14の内部のクリーン度悪化が新たな別のキャリア12内の試料13に影響を与えることを回避するための処置である。
このように、動作状態モニタリングと寿命管理の両面から「クリーン度悪化の兆候」があると判断されたとき、コンピュータ17は、自動的にその時点での試料13の状態を確認し、試料13の退避と搬送の制限が実現されるので、ユーザは試料13の安全が十分確保された後にエンジニアによる修復作業を行うことが可能となる。
コンピュータ17は、エンジニアによる修復作業などによって「クリーン度悪化の兆候」の原因となるすべての要因が排除されたことを検知すると(ステップS617でY)、悪化状態をクリア、すなわち搬送制御に与えられた制限などを解除し(ステップS618)、その後、Break、すなわち、このフローチャートの処理は終了する(ステップS619)。
そして、これ以降に、真空系内に滞留していた試料13は、ユーザがコンピュータ17に指示を入力することによって試料13をキャリア12に回収することが可能となる。
以上説明したように、本発明に係る試料搬送システムSによれば、専門技術を有するエンジニアの緊急の処置を必要とせず、コンピュータで自動的に動作状態モニタリングと寿命管理の両面から得られたクリーン度悪化の兆候にしたがって、搬送機能の制御を変更し、試料13の異物付着汚染を避けることができる安全な位置での停止および退避や、キャリア12内の試料13への汚染拡散の防止を自動的に行うことが可能となる。
また、エンジニアによる復旧処置完了までの間、試料13の搬送やキャリア12の制御に制限をかけ、ユーザの操作ミスなどによる試料13への異物付着汚染の拡散を防止することが可能となる。
さらに、これらにより、エンジニアやユーザの負担及びコストが軽減され、各装置の稼働率を向上することができる。また、作業の手違いによる試料13への異物の付着などを未然に防ぐことができる。さらに、手動による試料13の搬送作業が減少するため、異物の付着する可能性が減り、歩留まり低下を最小限に抑えることが可能となる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
たとえば、風量センサーの個数は5個でなくても別の個数であってもよい。その他、ハードウェアやフローチャートなどの具体的な構成について、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
試料搬送システムの全体構成図である。 防塵カバーの内部におけるクリーン度の悪化の兆候を知るためのアルゴリズムを示すフローチャートである。 防塵カバーの内部の構造と気流の様子を表わした図である。 風量センサーの取り付け位置の一例である。 「クリーン度悪化の兆候」現象をユーザにアナウンスする場合の分類について説明した図である。 試料の搬送制御の処理を示したフローチャートである。
符号の説明
1 試料室
2 試料交換室
11 ロードポート
12 キャリア
13 試料
14 防塵カバー
16 ファンフィルターユニット
17 コンピュータ
21 記録媒体

Claims (5)

  1. 半導体用走査電子顕微鏡によって観察される試料を搬送する試料搬送システムであって、
    試料室と、前記試料室と隣接する試料交換室と、前記試料を収納するキャリアを載置するロードポートと、前記ロードポートから前記試料交換室まで設けられた試料搬送経路と、前記試料を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する制御装置と、を備え、
    前記試料搬送経路は、除塵用のファンフィルター機構を有し、防塵カバーに覆われ、
    前記制御装置は、
    前記ファンフィルター機構の動作状態を認識する第一の検出手段、前記防塵カバーの内部と外部の気圧差を検出する第二の検出手段、前記防塵カバーの内部の気流を検出する第三の検出手段、および、前記ファンフィルター機構の寿命を認識する管理手段、のうち少なくとも1つの手段からの検出値に応じて、前記防塵カバー内部のクリーン度が悪化したと判断する
    ことを特徴とする試料搬送システム。
  2. 前記制御装置は、
    前記防塵カバー内部のクリーン度が悪化したと判断したとき、前記少なくとも1つの手段からの検出値に応じて、前記試料の搬送の制御を変更することを特徴とする請求項1に記載の試料搬送システム。
  3. 半導体用走査電子顕微鏡によって観察される試料を搬送する試料搬送システムによる試料搬送方法であって、
    前記試料搬送システムは、
    試料室と、前記試料室と隣接する試料交換室と、前記試料を収納するキャリアを設置するロードポートと、前記ロードポートから前記試料交換室まで設けられた試料搬送経路と、前記試料を搬送する搬送手段と、前記搬送手段を制御する制御装置と、を備え、
    前記試料搬送経路は、除塵用のファンフィルター機構を有し、防塵カバーに覆われ、
    前記制御装置は、
    前記ファンフィルター機構の動作状態を認識する第一の検出手段、前記防塵カバーの内部と外部の気圧差を検出する第二の検出手段、前記防塵カバーの内部の気流を検出する第三の検出手段、および、前記ファンフィルター機構の寿命を認識する管理手段、のうち少なくとも1つの手段からの検出値に応じて、前記防塵カバー内部のクリーン度が悪化したと判断する
    ことを特徴とする試料搬送方法。
  4. 請求項3に記載の試料搬送方法をコンピュータに実行させるプログラム。
  5. 請求項3に記載の試料搬送方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
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