JP2007226083A - 電気光学装置の製造方法及び電気光学装置の製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】紫外線硬化性樹脂を用いて機能性部材を接着固定する際に、照射する紫外線の強度分布を均一化させることにより、位置ずれの発生を少なくすることができる電気光学装置の製造方法及び電気光学装置の製造装置を提供する。
【解決手段】電気光学装置と機能性部材との間に紫外線硬化性樹脂を介在させて電気光学装置に機能性部材を固定する工程を含む電気光学装置の製造方法であって、固定する工程は、紫外線硬化性樹脂の少なくとも一部の領域に紫外線照射して少なくとも一部を硬化する仮固定工程、及び紫外線硬化性樹脂の一部の領域及び他の領域に紫外線照射して一部の領域及び他の領域を硬化する本固定工程を含み、仮固定工程における、紫外線照射する光源と電気光学装置との間の距離をL1とし、本固定工程における、紫外線照射する光源と電気光学装置との間の距離をL2としたときに、L1をL2よりも短くする。
【選択図】図3

Description

本発明は、電気光学装置の製造方法及び電気光学装置の製造装置に関する。特に、電気光学装置と、機能性部材と、を紫外線硬化性樹脂を介して接着固定する際に、位置ずれの発生を少なくすることができる電気光学装置の製造方法及びそれに用いる電気光学装置の製造装置に関する。
従来、電気光学装置の一態様である液晶装置は、それぞれ電極を備えた一対の基板を対向配置するとともに、当該一対の基板間に液晶材料を配置して構成されている。この液晶装置は、対向する電極に電圧を印加して液晶材料を配向させ、通過する光を偏向させることにより、画像表示させるものである。
このような液晶装置は、その表面に所定の機能を付加させるための部材を別途取り付けることができる。このような機能性部材を付加することにより、その表示特性を変化させて表示装置としての用途を多様化させることができる。より具体的には、図17に示すように、紫外線硬化型接着剤504を介して、液晶パネル503の表面にマイクロレンズアレイ501及びカラーフィルタ502を接着固定させることにより、入射光の進行方向を変化させて表示特性を向上させることができる液晶表示素子500が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、図18に示すように、接着剤640を介して、表示用液晶パネル610の一方の表面に、2Dと3Dとを切り替え表示するためのパターン化位相差板620を接着固定させることにより、2D/3D切替表示が可能となる液晶表示パネル600が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
その一方で、これらの機能性部材を精度良く接着固定させる方法として、図19に示すように、紫外線硬化樹脂を介して、基板としての固体撮像素子701の表面に機能性部材としてのフィルタガラス703を接着固定するための紫外線硬化装置700が開示されている。より具体的には、部分的に仮工程するためのスポット照射機構710と、全面を硬化させるための一括露光照射機構713と、を含む紫外線硬化装置700と、これを用いた製造方法である(例えば、特許文献3参照)。
特開平6−18871号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2004−279946号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2004−281626号公報(特許請求の範囲、図1)
しかしながら、上述したような機能性部材を付加する際には、下地基板としての液晶装置との位置合わせに高い精度が要求されていた。そのため、特許文献1や特許文献2に記載されたような方法を用いた場合には、紫外線の照射強度分布の変化等の外的要因が加わると、部分的に硬化収縮率が変化して位置ずれが発生し、表示特性を低下させる場合が見られた。
また、このような位置ずれの問題を解決するために、特許文献3に記載されたような仮固定及び本固定の2段階の硬化方法を採用することにより、所定の位置合わせ精度を得ることができる。しかしながら、この特許文献3に記載された方法は、仮工程としてのスポット照射は、基板もしくは照射部を相対的に順次移動させながら硬化させる方法を採用していることから、その硬化時間や照射サイクルタイムによっては、照射強度分布が不均一となり、やはり硬化収縮時の位置ずれが発生する場合が見られた。
そこで、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、電気光学装置の表面に機能性部材を接着固定させる際に、仮固定工程と本固定工程とからなる段階的な硬化方法を採用するとともに、仮固定工程における光源と照射対象物との距離と、本固定工程における光源と照射対象物との距離と、の関係を規定することより、照射強度分布を所定範囲内に制御して、紫外線硬化性樹脂を面内均一に硬化させることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、紫外線硬化性樹脂を用いて機能性部材を接着固定する際に、照射する紫外線の強度分布を均一化させることにより、位置ずれの発生を少なくすることができる電気光学装置の製造方法及び電気光学装置の製造装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、電気光学装置と機能性部材との間に紫外線硬化性樹脂を介在させて電気光学装置に機能性部材を固定する工程を含む電気光学装置の製造方法であって、固定する工程は、紫外線硬化性樹脂の少なくとも一部の領域に紫外線照射して少なくとも一部を硬化する仮固定工程、及び紫外線硬化性樹脂の一部の領域及び他の領域に紫外線照射して一部の領域及び他の領域を硬化する本固定工程を含み、仮固定工程における、紫外線照射する光源と電気光学装置との間の距離をL1とし、本固定工程における、紫外線照射する光源と電気光学装置との間の距離をL2としたときに、L1をL2よりも短くすることを特徴とする電気光学装置の製造方法が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、このように実施することにより、仮固定工程における光源と紫外線硬化性樹脂との距離(L1)を、本固定工程における光源と紫外線硬化性樹脂との距離(L2)よりも短くして、光源からの光の拡散を比較的少なくして、仮固定工程を局所的かつ強固に硬化させるための硬化工程とすることができる。
一方、本固定工程においては、光源からの光の拡散を比較的緩和して、広範囲かつ均一に硬化させるための硬化工程とすることができる。
その結果、仮固定工程や本固定工程において、露光量や基板の水平性(傾斜角度)といった外的要因が変化した場合であっても、紫外線硬化性樹脂の硬化収縮に伴う機能性部材の位置ずれの発生を緩和させることができる。
したがって、電気光学装置と、機能性部材との位置関係が高精度に制御され、それらの間の位置ずれの発生を少なくすることができ、表示品位に優れた電気光学装置とすることができる。
また、本発明の電気光学装置の製造方法を実施するにあたり、仮固定工程での紫外線照射をスポット照射とし、本固定工程での紫外線照射を全面照射とすることが好ましい。
このように実施することにより、仮固定工程において照射位置精度を高めることができ、更には、本固定工程において照射強度分布を均一化させることができる。したがって、それぞれ目的に合った光源を用いることで、異なる2つの硬化作用を効果的に発揮することができる。
また、本発明の電気光学装置の製造方法を実施するにあたり、仮固定工程において、スポット照射を複数箇所に同時に実施し、当該複数箇所を同時に硬化させて仮固定することが好ましい。
このように実施することにより、スポット位置毎に、複数箇所に対して、順次照射した場合に生じる位置ずれについても有効に防止して、特に仮固定工程における位置合わせ精度を高めることができる。
また、本発明の電気光学装置の製造方法を実施するにあたり、仮固定工程において、複数のスポット照射領域の中心位置C1と、電気光学装置の中心位置Oと、を一致させた状態で、光源から紫外線を照射することが好ましい。
このように実施することにより、紫外線硬化性樹脂の硬化収縮により生じる応力の発生方向を、電気光学装置の中心から外側方向に沿って制御し、各硬化箇所で生じた応力を互いに相殺させることができる。
なお、この複数のスポット照射領域の中心位置C1とは、電気光学装置上において、紫外線照射された各スポット位置を、その面積が最も小さくなるように囲んだときの領域の中心位置として定義される。すなわち、この領域が矩形状であれば対角線同士の交点位置と定義することができ、また円形状であれば、円中心位置と定義することができる。
また、電気光学装置の中心位置Oは、例えば、電気光学装置が矩形状である場合には、対角線同士の交点位置と定義され、円形状である場合には、円中心位置と定義される。
また、本発明の電気光学装置の製造方法を実施するにあたり、本固定工程において、紫外線照射領域の中心位置C2と、電気光学装置の中心位置Oと、を一致させた状態で、光源から紫外線を照射することが好ましい。
このように実施することにより、紫外線硬化性樹脂の硬化収縮により生じる応力の発生方向を、電気光学装置の中心から外側方向に沿って制御し、各硬化箇所で生じた応力を互いに相殺させることができる。
なお、この紫外線照射領域の中心位置C2は、電気光学装置上における、紫外線が照射される領域の中心位置として定義される。すなわち、この領域が矩形状であれば対角線同士の交点位置と定義することができ、また円形状であれば、円中心位置と定義することができる。したがって、この中心位置は、紫外線照射領域内において照射強度の最も強い位置とほぼ一致することとなる。
また、本発明の電気光学装置の製造方法を実施するにあたり、仮固定工程における光源をLED光源とし、本固定工程における光源を紫外線ランプとすることが好ましい。
このように実施することにより、仮固定工程においてスポット径の小さい光源を用いて、照射位置精度を高めることができる一方、本固定工程において光分散性に優れた光源を用いて、照射強度分布を均一化させることができる。
また、本発明の電気光学装置の製造方法を実施するにあたり、本固定工程における光源の周囲に、当該光源からの光を反射させるための反射部材を設けることが好ましい。
このように実施することにより、本固定工程における光源からの光の進行方向を所定範囲内に制御して、より照射強度分布を均一化させることができる。
また、本発明の電気光学装置の製造方法を実施するにあたり、仮固定工程及び本固定工程における紫外線照射を、機能性部材を配置してある面側から行うことが好ましい。
このように実施することにより、機能性部材の紫外線に対する影響、例えば、吸収や拡散等を排除して、より照射強度分布の均一性を高めることができる。
また、本発明の別の態様は、電気光学装置と機能性部材との間に紫外線硬化性樹脂を介在させて電気光学装置に機能性部材を固定する手段を含む電気光学装置の製造装置であって、固定する手段は、紫外線硬化性樹脂の少なくとも一部の領域に紫外線照射して少なくとも一部を硬化する仮固定手段、及び紫外線硬化性樹脂の一部の領域及び他の領域に紫外線照射して一部の領域及び他の領域を硬化する本固定手段を含み、仮固定手段における、紫外線照射する光源と電気光学装置との間の距離をL1とし、本固定手段における、紫外線照射する光源と電気光学装置との間の距離をL2としたときに、L1をL2よりも短くすることを特徴とする電気光学装置の製造装置である。
すなわち、このような製造装置を用いて製造された電気光学装置であれば、機能性部材と電気光学装置との位置合わせ精度が高く、表示品位に優れた電気光学装置とすることができる。
また、本発明の電気光学装置の製造装置を構成するにあたり、仮固定手段における、光源と電気光学装置との間の距離(L1)と、本固定手段における、光源と電気光学装置との間の距離(L2)をそれぞれ調整するための制御手段を備えることが好ましい。
このように構成することにより、仮固定手段における、光源と電気光学装置との間の距離(L1)と、本固定手段における、光源と電気光学装置との間の距離(L2)の調整が容易となり、仮固定工程及び本固定工程における紫外線硬化性樹脂の硬化収縮の制御がそれぞれ精度良くできる。
[第1の実施形態]
本発明における第1の実施形態は、電気光学装置と機能性部材との間に紫外線硬化性樹脂を介在させて電気光学装置に機能性部材を固定する工程を含む電気光学装置の製造方法であって、固定する工程は、紫外線硬化性樹脂の少なくとも一部の領域に紫外線照射して少なくとも一部を硬化する仮固定工程、及び紫外線硬化性樹脂の一部の領域及び他の領域に紫外線照射して一部の領域及び他の領域を硬化する本固定工程を含み、仮固定工程における、紫外線照射する光源と電気光学装置との間の距離をL1とし、本固定工程における、紫外線照射する光源と電気光学装置との間の距離をL2としたときに、L1をL2よりも短くすることを特徴とする電気光学装置の製造方法である。
以下、本実施形態の電気光学装置の製造方法につき、TFT(Thin Film Transistor)素子構造を有する素子基板と、着色層を有する対向基板と、を備えた液晶装置の製造方法を例に採って説明する。ただし、かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであって、この発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することができる。
1.液晶装置
(1)基本構成
まず、本実施形態に係る液晶装置の製造方法で製造される液晶装置について説明する。ここで、図1に液晶装置10の断面図を示し、図2に、液晶装置10の外観を表す概略斜視図を示す。
これらの図に示されるように、液晶装置10は、対向基板30と、素子基板60とが、その周辺部においてシール材を介して貼り合わされ、それによって形成される間隙21a内に液晶材料21を配置して形成されている。
また、素子基板60あるいは対向基板30の外表面には、機能性部材180が、紫外線硬化性樹脂からなる接着層170を介して接着固定されている。
(2)対向基板
また、対向基板30は、ガラス等からなる基体31上に、着色層37r、37g、37bと、対向電極33と、リタデーションを最適化するための層厚調整層41と、配向膜45と、を主として備える基板である。
ここで、対向電極33とは、ITO(インジウムスズ酸化物)等によって表面全域に形成された面状電極である。また、この対向電極33の下層には、素子基板60側の画素電極63に対応するように、R(赤)、G(緑)、B(青)等のカラーフィルタエレメントとしての着色層37r、37g、37bが配置されている。そして、この着色層37r、37g、37bに隣接し、かつ画素電極63に対向しない位置に、隣接色間の混色防止領域としてのブラックマトリクスすなわち遮光膜39が設けられている。
(3)素子基板
また、素子基板60は、ガラス等からなる基体61上に、スイッチング素子としてのTFT素子69と、透明な有機絶縁膜81を挟んでTFT素子69の上層に形成された画素電極63と、を主として備える基板である。
ここで、画素電極63とは、反射領域Rにおいては、反射表示を行うための光反射膜79(63a)を兼ねて形成されるとともに、透過領域Tにおいては、ITOなどにより透明電極63bとして形成される。また、この画素電極63としての光反射膜79は、例えばAl(アルミニウム)、Ag(銀)等といった光反射性材料によって形成される。更に、この画素電極63の上には、ポリイミド系の高分子樹脂からなる配向膜85が形成されるとともに、この配向膜85に対して、配向処理としてのラビング処理が施される。
また、対向基板30の外側、すなわち、図1の上側表面には、位相差板47が形成され、さらにその上に偏光板49が形成されている。同様に、素子基板60の外側、すなわち、図1の下側表面には、位相差板87が形成され、さらにその下に偏光板89が形成されている。
そして、素子基板60の下方には、光源としてのバックライトユニット(図示せず)が通常、配置されている。
また、TFT素子69は、素子基板60上に形成されたゲート電極71と、このゲート電極71の上で素子基板60の全域に形成されたゲート絶縁膜72と、このゲート絶縁膜72を挟んでゲート電極71の上方位置に形成された半導体層70と、その半導体層70の一方の側にコンタクト電極77を介して形成されたソース電極73と、さらに半導体層70の他方の側にコンタクト電極77を介して形成されたドレイン電極66と、を備えている。
ここで、ゲート電極71は、ゲートバス配線(図示せず)から延びており、ソース電極73はソースバス配線(図示せず)から延びている。
また、ソースバス配線は、ゲート絶縁膜72を挟んでゲートバス配線と交差するように縦方向へ延びていて、横方向へ等間隔で平行に複数本形成されており、このソースバス配線と交差するゲートバス配線についても、素子基板60の横方向に延びていて、縦方向へ等間隔で平行に複数本形成されている。
そして、かかるゲートバス配線は、液晶駆動用の半導体素子(図示せず)に電気的に接続されており、例えば、走査線として作用し、他方、ソースバス配線は、他の半導体素子(図示せず)に電気的に接続されて、例えば、信号線としての機能を発揮する。
なお、液晶材料21に対して電圧を印加して、駆動させるための画素電極63は、互いに交差するゲートバス配線と、ソースバス配線と、によって区画形成される方形領域のうち、TFT素子69の占有部分を除いた領域に対応して、素子基板60上に形成されている。
また、有機絶縁膜81は、ゲートバス配線、ソースバス配線及びTFT素子を覆って素子基板60上の全域に形成されている。
但し、有機絶縁膜81のドレイン電極66に対応する部分にはコンタクトホール83が形成されており、このコンタクトホール83を介して、画素電極63と、TFT素子69のドレイン電極66と、電気的接続がとられている。
また、反射領域Rに対応する領域において、かかる有機絶縁膜81には、散乱形状として、山部と谷部との規則的な又は不規則的な繰り返しパターンから成る凹凸パターンを有する樹脂膜が形成されている。この結果、有機絶縁膜81の上に積層される光反射膜79(63a)も同様にして凹凸パターンから成る光反射パターンを有することになる。
但し、この凹凸パターンは、光透過量を低下させてしまうため、通常、透過領域Tには形成されていない。
2.製造方法
(1)TFT素子の形成工程
まず、図3中S1で示されるTFT素子の形成工程を実施する。かかるTFT素子の形成工程は、素子基板の基体上に金属膜および絶縁膜を形成し、パターニングすることによって、図4(a)に示すように、TFT素子69等のスイッチング素子を形成する工程である。
このようなスイッチング素子69を形成するにあたり、ガラス基板からなる基体61上に、ゲート電極71を形成する。このゲート電極71は、例えば、クロム、タンタル、モリブデン等の低抵抗材料から構成されており、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用いて形成することができる。
次いで、このゲート電極71上に、絶縁層としてのゲート絶縁膜72を形成する。このゲート絶縁膜72は、窒化シリコン(SiNx)や酸化シリコン(SiOx)等の半導体材料からなる電気絶縁材料を積層させて形成することができる。
次いで、このゲート絶縁膜72上に、アモルファスシリコン(a−Si)、多結晶シリコン、CdSe等の半導体材料を積層させて半導体層70を形成する。さらに、この半導体層70の両端部分に、ドープされたアモルファスシリコン等によりコンタクト電極77を形成する。
最後に、このコンタクト電極77と接触するように、ソース電極73及びそれと一体をなすソースバス配線並びにドレイン電極66を形成する。このとき、ソース電極73、ソースバス配線(図示せず)及びドレイン電極66は、例えばチタン、モリブデン、アルミニウム等の低抵抗材料を、スパッタリング法や電子ビーム蒸着法を用いることで形成することができる。
(2)画素電極等の形成工程
次いで、図3中S2で示される画素電極等の形成工程を実施する。かかる画素電極等の形成工程は、図4(b)〜(c)に示すように、TFT素子69が形成された基体61上に、有機絶縁膜からなる保護膜81と、透明導電膜からなる画素電極63と、を順次形成する工程である。
より具体的には、TFT素子69が形成してある基体61上に、光硬化性樹脂等の樹脂材料を塗布するとともに、この樹脂層に対して所定のパターニングを施すことにより有機絶縁膜からなる保護膜81を形成する。
次いで、この有機絶縁膜からなる保護膜81内に設けられたコンタクトホール83の周辺部であって、反射領域(R)に相当する領域に対して、アルミニウム等の金属を蒸着した後、この膜に対して、フォトリソグラフィ及びエッチング法を施すことで、表示領域にマトリクス状の光反射膜79を形成する。
一方、透過領域(T)に相当する領域に対して、スパッタリング法等により透明導電膜を形成することにより、画素電極63を形成し、素子基板60の基本形態とする。
次いで、このようにして得られた素子基板60に対して、ポリイミド樹脂等からなる配向膜85を形成するとともに、この配向膜85にラビング処理を施すことにより、配向制御機能を持たせることができる。
最後に、TFT素子や画素電極が形成された基体上に、フォトリソグラフィ法等を用いて、感光性樹脂材料からなる樹脂膜としての柱状スペーサを形成する。この柱状スペーサにより、素子基板60と対向基板30との間隙幅(セルギャップ)を正確に規定して、所望の表示特性を得ることができる。
(3)着色層の形成工程
次いで、対向基板の製造工程について説明する。まず、図3中S1´で示される着色層の形成工程を実施する。かかる着色層の形成工程は、図5(a)〜(b)に示すように、対向基板の基体31上に着色層37(37r、37g、37b)、遮光膜39及び層厚調整層41等を順次形成する工程である。
より具体的には、基体31上に、顔料や染料等の着色材を分散させた樹脂材料からなる感光性樹脂を塗布し、この感光性樹脂に対してパターン露光及び現像処理を順次施すことにより、着色層37(37r、37g、37b)を形成することができる。
なお、かかる露光及び現像処理は、R(赤)、G(緑)、B(青)それぞれの色毎に繰り返すことで、三色に対応した着色層37r、37g、37bをそれぞれ形成することができる。
次いで、それぞれの画素領域の境界領域に遮光膜39を形成する。この遮光膜39に用いられる材料としては、例えば、クロム(Cr)やモリブテン(Mo)等の金属膜を使用したり、あるいは、R、G、Bの3色の着色材を共に樹脂その他の基材中に分散させたものや、黒色の顔料や染料等の着色材を樹脂その他の基材中に分散させたものなどを用いたりすることができる。
したがって、かかる遮光膜39を金属膜から形成するに際しては、例えば、クロム(Cr)等の金属材料をスパッタリング法等により基体31上に積層した後、所定パターンに合わせて、エッチング処理を施すことによって形成することになる。
最後に、着色層37(37r、37g、37b)や、遮光膜39等が形成された対向基板の基体31上に、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等を用いて、全面的に層厚調整層41を形成する。
この層厚調整層41は、透過領域(T)と反射領域(R)とのリタデーション調整のための層であって、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等の樹脂材料に対して所定のパターニングを施すことにより形成される。
(4)対向電極等の形成工程
次いで、図3中S2´で示される対向電極の形成工程を実施する。かかる対向電極の形成工程は、図5(c)に示すように、対向基板に形成された着色層37(37r、37g、37b)、遮光膜39及び層厚調整層41に、透明導電材料等からなる対向電極33を形成する工程である。
より具体的には、着色層37(37r、37g、37b)及び遮光膜39が形成された対向基板の基体31上に、スパッタリング法等により透明導電膜を積層した後、フォトリソグラフィ法及びエッチング法により、表示領域全面に所定パターンを有する対向電極33を形成する。
さらに、この対向電極33の表面に、ポリイミド樹脂等からなる配向膜45を形成することで、対向基板30の基本形態とすることができる。
ここで、上述した素子基板60に用いられるスイッチング素子が、TFT素子(Thin Film Transistor)69の場合には、この対向電極33は、それぞれのセル領域に対応した面状電極としてパターニングされる。
(5)組立工程
次いで、図3中S3で示される組立工程は、図6(a)〜(b)に示すように、素子基板60と、対向基板30とを、シール材23を介して貼り合わせ、その間隙に液晶材料を注入する工程である。
より具体的には、対向基板30と、シール材23が形成された素子基板60と、をアライメントして貼り合わせ位置を確定する。その後、両基板を重ね合わせて接合させた後、加熱しながら加圧保持して、シール材23を硬化させながら対向基板30と、素子基板60とを貼合せることにより、液晶注入口21aを備えた一対の基板20が形成される。
次いで、液晶注入口21aから、従来公知の方法により基板間隙内に液晶材料を注入した後、その注入口を、エポキシ樹脂等の封止樹脂を用いて封止する。
最後に、素子基板60の外表面に位相差板87と偏光板89とを貼り付けるとともに、対向基板30の外表面に位相差板47と偏光板49とを貼り付けることにより、図6(b)に示すような一対の基板20を形成することができる。
(6)実装工程
次いで、図3中S4で示される実装工程は、図6(c)に示すように、素子基板60上の基板張り出し部60Tに液晶駆動用の半導体素子91やFPC93を実装する工程である。
例えば、ACF(Anisotropic Conductive Film)を用いて、電気光学装置用基板上の外部端子である配線と、半導体素子等を電気的に接続する工程である。ここで、液晶駆動用の半導体素子91を実装するに際して、ACFの圧着特性にもよるが、例えば、120〜200℃、5〜30秒、5〜100kgf/cm2の圧着条件とすることが好ましい。
(7)接着層を形成する工程
次いで、図3中S5で示される接着層を形成する工程を実施する。この接着層を形成する工程は、図7(a)に示すように、機能性部材と液晶装置10とを接着固定するための接着剤としての紫外線硬化性樹脂を用いて、接着層170を形成する工程である。
また、本発明において用いられる接着層170の材料は、紫外線硬化性樹脂を用いることを特徴とする。ここで用いられる紫外線硬化性樹脂の成分としては特に限定されるものではないが、汎用性の高さから、エポキシ樹脂あるいはアクリル樹脂を主成分とする紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。
また、この紫外線硬化性樹脂に紫外線を照射させた際の硬化収縮率の値としては、1〜30%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような範囲内の値となる材料を選択することにより、後の仮固定工程及び本固定工程において、硬化収縮に起因する機能性部材の位置ずれを所定範囲内に抑えて、位置合わせ精度の高い液晶装置とすることができるためである。
しかしながら、この硬化収縮率の値が過度に小さくなりすぎた場合には、樹脂が十分硬化されずに、接着剤としての機能を十分発揮できない場合がある。また逆に、硬化収縮率の値が過度に高すぎた場合には、接着剤層の体積変形が顕著となり、機能性部材と電気光学装置との位置ずれが生じやすくなる。
したがって、かかる数値の範囲としては、2〜20%の範囲内の値とすることが好ましく、3〜15%の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、この硬化収縮率とは、硬化前の樹脂の比重Mとし、硬化後の樹脂の比重Nとしたとき、((N−M)/N)×100%として定義される。
なお、この比重N及び比重Mの値は、それぞれJIS K−6835及びJIS K−6911に準拠した方法により測定することができる。
また、この接着層170は、電気光学装置10の全面に対して形成してあることが好ましい。この理由は、接着層170を簡易に構成できるとともに、電気光学装置10と機能性部材180とを全面で強固に固定することができるためである。
また、このように全面に接着層を形成した場合には、硬化収縮に伴う膜内応力の発生を助長する場合がある。しかしながら本発明のように仮固定工程と本固定工程とからなる2段階硬化方式を採用したような場合には、このような問題を発生させることなく、位置合わせ精度に優れた液晶装置を製造することができる。
(8)機能性部材を配置する工程
次いで、図3中S6で示される機能性部材を配置する工程を実施する。かかる機能性部材を配置する工程は、図7(b)〜(c)に示すように、機能性部材180を、電気光学装置10上の接着層(紫外線硬化性樹脂)170が形成してある箇所に対して配置する工程である。
このとき、機能性部材と電気光学装置との位置合わせは、CCDカメラ等の撮像手段50を用いて、液晶装置10上の所定位置に設けられたアライメントマークと、機能性部材180上の所定位置に設けられたアライメントマークと、が重なるように相対位置を調整しながら位置合わせすることができる。
また、本発明に用いられる機能性部材は、例えば、液晶材料等の偏光子を含む機能性部材とすることができる。すなわち、図8に示すように、液晶装置10に対して、偏光子を含む機能性部材180を所定の間隔を持って配置することより、観察者110の左右目にそれぞれ異なる画像を提供して三次元表示することができる三次元液晶装置11を構成することができる。
より具体的には、この三次元液晶装置11は、液晶装置10と、この液晶装置10に光を照射するための光源(バックライト)14と、この光源から出射し液晶装置10を通過してきた光を制御する偏光子を含む機能性部材180と、から構成される。
また、この機能性部材180と液晶装置10との間には、複数の偏光方向を持つ偏光膜を備えたバリア層19を配置することができる。このバリア層19を配置することで、左目110aに向かう第1の透過光A及び右目110bに向かう第2の透過光Bを細分化して位相制御することができ、より高精度の三次元画像を提供することができる。
このように構成される三次元液晶装置11において、まず光源14から出射された光は、液晶装置10を通過することにより、第1の透過領域16aを通過した第1の光Aと、第2の透過領域16bを通過した第2の光Bと、に分解される。
このように分離された第1の光A及び第2の光Bは、それぞれバリア層19を通過して、位相制御された後、偏光子を含む機能性部材180に照射される。
この機能性部材180は、照射された第1の光A及び第2の光Bを、それぞれ左目110a方向と、右目110b方向と、に更に分離して透過方向を制御する。その結果、観察者110の左目110a上では第1の透過領域16aからの光のみで画像化され、一方、右目110b上では第2の透過領域16bからの光のみで画像化されることとなる。
したがって、第1の透過領域16aから構成される画像と、第2の透過領域16bから構成される画像と、をそれぞれ独立に制御することにより、観察者110に対して三次元画像を提供したり、更には、異なる二次元画像を提供したりすることができる。
また、機能性部材180の別の態様として、接触式センサとしてのタッチキーが挙げられる。このタッチキーは、内部に複数の透明導電膜を有する積層構造を有しており、表面を指やペンで押圧した際に、この透明導電膜が互いに接触して接触抵抗の変化を検出する抵抗接触方式や、透明導電膜間の間隙幅が変化を静電容量として検出する静電容量方式等があり、いずれも好適に用いることができる。
また、このタッチキーを採用した場合には、指やペンによる押圧力によっては、液晶装置が変形して表示特性に影響を与える場合があるが、本発明のように、接着界面に紫外線硬化性樹脂からなる接着層を有する構造であれば、押圧による衝撃を吸収して、かかる問題を回避することができる。
また、機能性部材180の更に別の態様として、表面に幾何学模様をパターニングしてある幾何学模様基板が挙げられる。この幾何学模様基板の役割としては、例えば、視角コントロールのための妨害画像を表示する視野角調整機能が挙げられる。すなわち、従来の広視覚化とは逆に狭視覚の機能が必要とされる場合には、かかる幾何学模様が、特定の方向の光のみを選択的に通過させるとともに、それ以外の方向への光を遮断して、視角コントロールすることができる。
また、機能性部材180の更に別の態様として、防塵ガラスが挙げられる。この防塵ガラスは、所定の強度を有するガラス板であって、液晶装置10に直接的に塵や埃が付着することを防止するための保護膜としての機能を備えている。
かかる防塵ガラスの種類としては、塵埃の混入を防止できるものであれば特に限定されるものではなく、素子基板60や対向基板30に用いられる透明性ガラス基体61やガラス基体31と同様のものを用いることができる。
(9)仮固定工程
次いで、図3中S7で示される仮固定工程を実施する。かかる仮固定工程は、電気光学装置上に形成された接着層としての紫外線硬化性樹脂層に対して、紫外線を照射して硬化させる工程であって、後の本固定工程に先立って行われる仮止めとしての役割を果たす工程である。
また、本発明における仮固定工程は、図9に示すように、光源191と電気光学装置10との距離をL1として規定することを特徴とする。この距離L1は、後の本固定工程における光源と電気光学装置との距離L2との相対値として規定される値である。すなわち、距離L1は距離L2よりも短くなるように規定されている。
この理由は、このような関係を維持することにより、光源の露光量が変化した場合であっても、仮固定工程における硬化を、局所的かつ強固に行うとともに、本固定工程における硬化を、広範囲かつ均一に行うことができるためである。
また、かかる距離L1の具体的な値としては、距離L2との関係を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば、距離L1を10cm以下とすることが好ましい。
この理由は、このような範囲内の値であれば、光源の露光量が変動するといった外的要因が変化した場合であっても、それらの影響を少なくして、確実に仮固定することができるためである。しかしながら、距離L1を小さくしすぎた場合には、紫外線硬化性樹脂上で照射エネルギーが高くなりすぎて、所望の領域以上に樹脂が硬化してしまう場合がある。
したがって、かかる値の範囲としては、1〜10cmの範囲内の値とすることが好ましく、2〜7cmの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、この距離L1とは、図9(a)に示すように、光源191の先端部から接着層170の最表面までの距離を示している。また、この光源191の先端に光ファイバ等の光導線が接続されているような場合には、その光ファイバの先端部と接着層170の最表面との距離をL1と定義することができる。
また、この仮固定工程における紫外線照射をスポット照射とすることが好ましい。
この理由は、照射領域が狭く、照射強度を比較的高めに設定できるスポット照射とすることで、局所的かつ強固に樹脂を硬化させることができ、硬化収縮に伴う機能性部材と電気光学装置との位置ずれを抑えて、安定的に両者を仮止めすることができるためである。
また、このようなスポット照射とするための光源の具体例としては、例えば、LED光源とすることが好ましい。
この理由は、このような短波長領域の光源を用いることで、照射スポット径を狭く設定でき、より局所的に樹脂を硬化させることができるためである。
また、このLED光源の波長としては、所望のスポット径との関係において規定され、特に限定されるものではないが、過度に長波長のものを用いると、スポット径が広がりすぎて十分局所的に照射させることができない場合がある。また逆に、過度に短波長のものを用いた場合には、スポット径は小さくなるものの、エネルギーが高くなりすぎて、周囲の部材に悪影響を与える場合がある。したがって、かかる波長の範囲としては、300〜500(nm)の範囲内の値とすることが好ましく、350〜400(nm)の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、このようなスポット照射を行うにあたり、図10(a)〜(c)に示すように、複数箇所を照射することが好ましく、更には、これらを同時に照射することが好ましい。
この理由は、かかる紫外線硬化性樹脂を面内均一に硬化収縮させることができ、膜内応力の発生を効果的に防止することができるためである。
また、この照射箇所の配列としては、図10(a)に示すように、所定間隔で格子状に配列された位置170aに照射することが好ましい。この理由は、矩形状の電気光学装置及び機能性部材に対して、外周部及び内部の双方から固定することができ、安定的な仮止めができるためである。
また、図10(b)に示すように、外周部に沿って線状に配列された位置170bに対して照射することも好ましい。
この理由は、特に位置ずれが発生しやすい外周部分を選択的に固定して、硬化収縮による位置ずれの発生を効果的に抑制することができるためである。
また、図10(c)に示すように、電気光学装置を平面から眺めたときの中心位置Oに対して同心円状に配列された位置170cに対して照射することも好ましい。
この理由は、このように照射することで、硬化収縮に伴って発生する応力方向が、中心O方向を向かう方向に一様に規定されて、全体として樹脂に加わる応力を効果的に相殺することができるためである。したがって、電気光学装置と機能性部材とが特定の方向にずれることを、より効果的に防止することができる。
また、図10(a)〜(c)に示すような所定形状に配列された照射スポット位置において、複数のスポット照射領域Sの中心位置C1と、電気光学装置の中心位置Oと、を一致させておくことが好ましい。
この理由は、このように照射することで、硬化収縮する方向を、電気光学装置10の中心に向かう動径方向に制御することができるためである。したがって、硬化収縮に伴って発生する膜内応力が互いに相殺され、電気光学装置と、機能性部材とが特定の方向にずれることを有効に防止することができる。
なお、本発明において、複数のスポット照射領域Sとは、全てのスポット位置を含む領域であって、当該領域の面積が最小となるように囲んだときに描かれる領域を意味している。
また、この仮固定工程における紫外線照射は、図9(a)に示すように、機能性部材180を配置してある面側から実施することが好ましい。
この理由は、このように照射することで、光源と紫外線硬化性樹脂との間に、紫外線の障害となる基板を少なくすることができ、紫外線硬化性樹脂上での紫外線強度およびスポット径を、より正確に規定することができるためである。
(10)本固定工程
次いで、図3中S8として示される本固定工程を実施する。かかる本固定工程は、上述した仮固定工程に続いて実施される紫外線照射工程であって、仮止めされた機能性部材を完全に固定する、本硬化としての役割を果たす工程である。
また、本発明における本固定工程は、図9(b)に示すように、光源192と電気光学装置10との距離をL2として規定することを特徴とする。この距離L2は、上述した仮固定工程における距離L1との関係において相対的に規定される値であって、距離L1よりも長くなるように規定されている。
この理由は、このような関係を維持することで、光源の露光量が変化した場合であっても、仮固定工程における硬化を、局所的かつ強固に行うとともに、本固定工程における硬化を、広範囲かつ均一に行うことができるためである。
また、かかる距離L2の具体的な値としては、距離L1との関係を満たすものであれば特に限定されるものではないが、例えば、距離L2を20cm以上とすることが好ましい。
この理由は、このような範囲内の値であれば、光源の露光量が変動するといった外的要因が変化した場合であっても、それらの影響を少なくして、樹脂全面に対して一様に紫外線を照射することができるためである。しかしながら、距離L2を大きくしすぎた場合には、紫外線の強度が減衰して、十分な樹脂硬化作用が発揮できない場合がある。また、装置設計上、基板上方に広くスペースを設ける必要性が生じ、装置の小型化を阻害する場合も見られる。
したがって、かかる値の範囲としては、20〜40cmの範囲内の値とすることが好ましく、25〜35cmの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、この距離L2とは、図9(b)に示すように、光源192の先端部から接着層170の最表面までの距離を示している。また、この光源192の先端に光ファイバ等の光導線が接続されているような場合には、その光ファイバの先端部と接着層170の最表面との距離をL2と定義することができる。
また、この本固定工程における光源を、紫外線ランプとすることが好ましい。
この理由は、照射領域が広く、比較的広範囲で均一に照射できる紫外線ランプとすることで、広範囲かつ均一に樹脂を硬化させることができ、硬化収縮に伴う機能性部材と電気光学装置との位置ずれを抑えて、安定的に両者を固定することができるためである。
また、この光源192の周囲には、光源192からの光を反射させるための反射部材193を設けることが好ましい。
この理由は、この反射部材193を設けることにより、紫外線の進行方向を電気光学装置10の方向に制御して、より照射強度分布が均一化した照射を実施することができるためである。
また、この本固定工程における照射強度分布の値の範囲としては、10%とすることが好ましい。この理由は、このような範囲で分布させておくことで、光源が劣化したり、光源と電気光学装置との距離が変化してしまったような場合でも、紫外線硬化性樹脂を許容範囲内で均一に硬化させて、機能性部材と電気光学装置との位置ずれの発生を効果的に防止することができるためである。
しかしながら、この照射強度分布の値を過度に小さく設定した場合には、均一な効果作用を発揮することができるものの、長期に安定して制御することが困難となり、生産性を低下させてしまう場合がある。したがって、かかる値の範囲としては、0.1〜10%の範囲内の値とすることが好ましく、3〜8%の範囲内の値とすることがより好ましい。
ここで、図11(a)〜(b)において、距離L2の変化が照射強度分布に与える影響について詳細に説明する。この図11(a)〜(b)に示す特性グラフは、本固定工程における光源と電気光学装置との距離L2を20cm以下とした場合の照射強度分布を図11(a)として示しており、距離L2を20cm以上とした場合の照射強度分布を図11(b)として示している。
また、この図11(a)〜(b)に示す特性グラフは、横軸には、測定位置の座標を二次元座標(X、Y)として示しており、縦軸には、当該測定位置での紫外線照射強度を相対値として示している。
これらの特性グラフから照射強度分布を算出すると、測定領域を10×10cm2の正方領域とした場合に、図11(a)における照射強度分布の値は、27.2%であり、図11(b)における照射強度分布の値は、9.2%となる。
したがって、かかる特性グラフから理解できるように、距離L2を20cm以上とすることで、光源からの紫外線の広がりと電気光学装置までの距離とが最適され、照射強度分布を飛躍的に改善させることができる。
また、この本固定工程において、紫外線照射領域の中心位置C2と、電気光学装置の中心位置Oと、を一致させておくことが好ましい。
この理由は、紫外線硬化性樹脂が硬化収縮を相殺するとともに、硬化収縮方向を、電気光学装置10の中心に向かう動径方向に制御することができるためである。したがって、本固定工程においても、機能性部材と電気光学装置との位置ずれの発生を少なくすることができる。
なお、上述した機能性部材は、複数の機能性部材を積層した積層体として構成することもできる。すなわち、図12に示すように、機能性部材180の上方に、上述した紫外線硬化性樹脂を塗布して、第2の機能性部材180´を配置して固定することもできる。
このとき、第2の機能性部材180´は、上述した機能性部材180と同様に配置し固定することができる。
また、機能性部材の構成によっては、立体画像視覚可能な三次元液晶表示装置を製造することができる。例えば、図13及び図14に示す三次元液晶表示装置111が挙げられる。この場合、液晶装置等に代表される発光制御手段115を用いて、異なる観察位置における観察者110、120のそれぞれに立体画像(三次元画像)を提供するとともに、これらの複数の観察者に対して、異なる平面画像(二次元画像)を提供することが可能である。
すなわち、画像を表示するための表示パネル112と、表示パネル112に光を照射するための光源114と、この光源114と、表示パネル112との間に配置され、光源114から照射された光を透過させるための透過部116aと、遮光するための遮光部116bとが、観察者110の左右の目を結んだ第1の方向に対して交差する第2の方向に延びるように設けられている。
また、透過部116aと、遮光部116bとの第1の方向の長さを変化させることが可能な発光制御手段115と、光源114から発光制御手段115の透過部116aを介して照射される光を、所定の方向に進行させるとともに、第2の方向に延びるように形成された少なくとも1つのレンズ119とを備えている。
そして、発光制御手段115は、発光制御手段115の透過部116aおよび遮光部116bの第1の方向の長さを変化させることにより、光源114から発光制御手段115の透過部116aを介して照射される光の到達位置を制御することができる。
したがって、発光制御手段115の透過部116aおよび遮光部116bの第1の方向の長さを変化させることにより、観察者110、120の位置に集光する光到達領域の第1の方向の長さを変化させることができる。
このため、発光制御手段115の透過部116aおよび遮光部116bの第1の方向の長さを小さくするとともに、透過部116aおよび遮光部116bとからなる組を細分化することにより、観察者110、120の位置に集光する光到達領域の第1の方向の長さを小さくすることができるとともに、細分化することができる。
これにより、複数の観察者110、120がいる場合に、それぞれの目の近傍に光源からの光を集光させることができ、その結果、複数の観察者の左右の目に入射する光に、それぞれ、両眼視差を有する画像を付加することによって、複数の観察者に立体画像(三次元画像)を提供することができる。
また、発光制御手段115の透過部116aおよび遮光部116bの第1の方向の長さを大きくすることにより、同じ発光制御手段115を用いて、観察者110、120の位置に集光する光到達領域の第1の方向の長さを大きくすることができる。
これにより、同じ発光制御手段115を用いて、観察位置の異なる複数の観察者110、120がいる場合に、観察者のそれぞれの両目の近傍に光源からの光を集光させることができる。その結果、観察位置の異なる観察者に向かう光に、異なる画像を付加することによって、観察位置の異なる複数の観察者のそれぞれに異なる平面画像(二次元画像)を提供することができる。
このように、この画像表示装置111では、同じ発光制御手段115を用いて、複数の観察者に立体画像(三次元画像)を提供することができるとともに、異なる観察位置に位置する観察者のそれぞれに異なる平面画像(二次元画像)を提供することができる。
[第2の実施形態]
本発明における第2の実施形態は、電気光学装置と機能性部材との間に紫外線硬化性樹脂を介在させて電気光学装置に機能性部材を固定する手段を含む電気光学装置の製造装置であって、固定する手段は、紫外線硬化性樹脂の少なくとも一部の領域に紫外線照射して少なくとも一部を硬化する仮固定手段及び紫外線硬化性樹脂の一部の領域及び他の領域に紫外線照射して一部の領域及び他の領域を硬化する本固定手段を含み、仮固定手段における、紫外線照射する光源と電気光学装置との間の距離をL1とし、本固定手段における、紫外線照射する光源と電気光学装置との間の距離をL2としたときに、L1をL2よりも短くすることを特徴とする電気光学装置の製造装置である。
以下、電気光学装置の製造装置として、TFT(Thin Film Transistor)素子構造を有する素子基板と、着色層を有する対向基板と、からなる液晶装置の製造装置を例に採って、図15を参照しつつ説明する。なお、上述した第1の実施形態との共通部分については適宜省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
1.基本的構成
本実施形態における電気光学装置の製造装置は、電気光学装置に対して、紫外線硬化性樹脂からなる接着層を形成して硬化させることにより、表面に機能性部材を備えた電気光学装置を製造する製造装置である。
より具体的には、この製造装置100は、図15に示すように、紫外線硬化性樹脂からなる接着層170を、電気光学装置10の表面に形成する接着層形成手段Aと、この接着層形成手段Aに隣接して配置され、接着層の形成領域と重なる領域に機能性部材180を配置する配置手段Bと、この接着層170に対して、光源と電気光学装置との距離を所定値に維持した状態で、紫外線を照射して仮止めする仮固定手段Cと、この仮固定された機能性部材を本固定するために、光源と電気光学装置との距離を所定値に維持した状態で、紫外線を照射して本固定する本固定手段Dと、から構成されている。
2.接着層形成手段
図15にAとして示される接着層形成手段は、ノズル194を用いて、対象物としての電気光学装置10の表面に対して、紫外線硬化性樹脂を塗布あるいは滴下して接着層170する装置である。
このとき、ノズル194の態様としては、例えば、空気圧等で一定量の樹脂を一定間隔で押し出すエアディスペンサー方式としたり、先端部に圧電素子を備え、噴出する樹脂の量を精度良く規定することができるインクジェット方式とすることができる。
3.配置手段
図15にBとして示される配置手段は、接着層170が形成してある領域に対して、公知の位置合わせ方法を用いて機能性部材180を配置する手段である。このとき、機能性部材を支持するための治具としては、例えば図13に示すような真空チャック196を用いることができ、機能性部材に機械的損傷を与えることなく配置することができる。
4.仮固定手段及び本固定手段
図15にCとして示される仮固定手段、及びDとして示される本固定手段は、第1の実施形態で詳述したように、光源と電気光学装置との距離をそれぞれ所定値に規定して、機能性部材と電気光学装置との位置ずれを防止しながら、機能性部材を確実に固定するための紫外線照射装置である。
このような仮固定手段C及び本固定手段Dは、互いが隣接した位置に配置してあるとともに、電気光学装置を搬送させるためのベルトコンベアを備えていることが好ましい。更には、図15に示すように、各手段間を繋ぐ搬送手段としてのベルトコンベア195を用いることが好ましい。
この理由は、このような搬送方法を採用することで、手段間の装置輸送がスムーズになって生産効率を向上させることができるとともに、特に、仮工程手段と本固定手段においては、光源と電気光学装置との距離を高精度に制御することができ、機能性部材の位置合わせ精度をより向上させることができるためである。
このような各手段間を繋ぐベルトコンベアの態様としては、図16(a)に示すように、光源191及び192の先端位置が一致しているとともに、高さが段階的に変化しているベルトコンベア195aとすることが好ましい。
この理由は、光源の位置を固定して、距離L1及びL2の変動要因を減らすとともに、装置上方の空間を広げて、装置の小型化に資することができるためである。
また、図16(b)に示すように、光源の位置をそれぞれ変えるとともに、搬送面を平坦化させたベルトコンベア195bとすることも好ましい。
この理由は、ベルトコンベアの構成を簡略化できるとともに、段差を設けた場合に生じやすい、搬送対象物の搬送方向への位置ずれを防止することができるためである。
また、仮固定手段において、光源191は、複数の光源から構成され、更に、これら複数の光源は、同時に紫外線を照射させることができるように制御されていることが好ましい。この理由は、上述したように、順次照射した場合に生じる膜内応力の発生を効果的に防止して、硬化収縮による機能性部材の位置ずれを防止し、位置合わせ精度に優れた製造装置とすることができるためである。
5.制御手段
光源と、電気光学装置との間の距離(L1及びL2)の制御手段としては、特に制限されるものではないが、例えば、昇降機、プランジャー、ステップ、アーム等が挙げられる。
すなわち、このような制御手段を備えることにより、仮固定手段における、光源と電気光学装置との間の距離(L1)と、固定手段における、光源と電気光学装置との間の距離(L2)の調整が容易となる。したがって、仮固定工程及び本固定工程における紫外線硬化性樹脂の硬化収縮の制御をそれぞれ精度良く行なうことができる。
また、かかる制御手段には、光学的センサ、角速度センサ、あるいは加速度センサを備えることが好ましい。すなわち、これらのセンサによって、距離L1及びL2の変動を、常時あるいは任意時期にモニタし、変動したような場合には、所定位置に戻すことが好ましい。
本発明の電気光学装置の製造方法及び製造装置によれば、電気光学装置の表面に機能性部材等を接着固定させる際に、仮固定工程と本固定工程とからなる段階的な硬化方法を採用するとともに、仮固定工程における光源と照射対象物との距離と、本固定工程における光源と照射対象物との距離と、の関係を規定することより、照射強度分布を所定範囲内に制御して、紫外線硬化性樹脂を面内均一に硬化させることができるようになった。
したがって、紫外線硬化性樹脂を用いて機能性部材を接着固定する場合であっても、樹脂硬化に伴って不可避的に発生する硬化収縮の影響を抑制して、位置ずれの発生を少なくすることができる電気光学装置の製造方法及び電気光学装置の製造装置を提供することができる。
よって、本発明に係る三次元液晶表示装置等を用いた電子機器として、例えば、携帯電話機やパーソナルコンピュータ等をはじめとして、液晶テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電気泳動装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた電子機器や、電子放出素子を使用した装置(FED:Field Emission DisplayやSCEED:Surface-Conduction Electron-Emitter Display)、プラズマディスプレイ装置、有機エレクトロルミネッセンス装置及び無機エレクトロルミネッセンス装置が挙げられる。
本発明に係る電気光学装置を説明するために供する断面図である。 本発明に係る電気光学装置を説明するために供する斜視図である。 本発明における電気光学装置の製造方法を説明するためのフロー図である。 (a)〜(c)は、素子基板の製造工程を説明するために供する図である。 (a)〜(c)は、対向基板の製造工程を説明するために供する図である。 (a)〜(c)は、組立工程等を説明するために供する図である。 (a)〜(c)は、機能性部材を配置する工程を説明するために供する図である。 三次元液晶装置の動作原理を説明するために供する図である。 (a)〜(b)は、仮固定工程及び本固定工程を説明するために供する図である。 (a)〜(c)は、スポット照射位置の配列例を示す平面図である。 (a)〜(b)は、照射強度分布の変化の様子を示す特性グラフである。 複数の機能性部材を配置した構成例を説明するために供する図である。 三次元液晶表示装置の構成部品を説明するために供する図である。 三次元液晶表示装置の視覚原理を説明するために供する図である。 本発明に係る電気光学装置の製造装置を示す概略図である。 (a)〜(b)は、搬送手段の構成を説明するために供する図である。 従来の機能性部材付き液晶装置を説明するために供する図である。(その1) 従来の機能性部材付き液晶装置を説明するために供する図である。(その2) 従来の紫外線硬化性樹脂の硬化方法を説明するために供する図である。
符号の説明
10:液晶装置、21:電気光学物質(液晶材料)、23:シール部、23a:液晶注入口、30:対向基板(カラーフィルタ基板)、31:基体、33:画素電極、37:着色層、37r、37g、37b:カラーフィルタ、39:遮光膜、41:保護膜(層厚調整層)、45:配向膜、47:位相差板、49:偏光板、60:素子基板、61:基体、63:光反射膜、66:ドレイン電極、69:TFT素子、71:ゲート電極、72:ゲート絶縁膜、73:ソース電極、75:走査線、77:コンタクト層、81:有機絶縁膜、83:コンタクトホール、87:位相差板、89:偏光板、91:半導体素子、170:接着層(紫外線硬化性樹脂層)、180:機能性部材、191、192:光源、195:ベルトコンベア

Claims (10)

  1. 電気光学装置と機能性部材との間に紫外線硬化性樹脂を介在させて前記電気光学装置に前記機能性部材を固定する工程を含む電気光学装置の製造方法であって、
    前記固定する工程は、前記紫外線硬化性樹脂の少なくとも一部の領域に紫外線照射して少なくとも一部を硬化する仮固定工程、及び前記紫外線硬化性樹脂の前記一部の領域及び他の領域に紫外線照射して前記一部の領域及び他の領域を硬化する本固定工程を含み、
    前記仮固定工程における、前記紫外線照射する光源と前記電気光学装置との間の距離をL1とし、前記本固定工程における、前記紫外線照射する光源と前記電気光学装置との間の距離をL2としたときに、L1をL2よりも短くすることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  2. 前記仮固定工程での紫外線照射をスポット照射とし、前記本固定工程での紫外線照射を全面照射とすることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置の製造方法。
  3. 前記仮固定工程において、前記スポット照射を複数箇所に同時に実施し、当該複数箇所を同時に硬化させて仮固定することを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置の製造方法。
  4. 前記仮固定工程において、前記複数のスポット照射領域の中心位置C1と、前記電気光学装置の中心位置Oと、を一致させた状態で、前記光源から紫外線を照射することを特徴とする請求項2または3に記載の電気光学装置の製造方法。
  5. 前記本固定工程において、前記紫外線照射領域の中心位置C2と、前記電気光学装置の中心位置Oと、を一致させた状態で、前記光源から紫外線を照射することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
  6. 前記仮固定工程における光源をLED光源とし、前記本固定工程における光源を紫外線ランプとすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
  7. 前記本固定工程における光源の周囲に、当該光源からの光を反射させるための反射部材を設けることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
  8. 前記仮固定工程及び本固定工程における紫外線照射を、前記機能性部材を配置してある面側から行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法。
  9. 電気光学装置と機能性部材との間に紫外線硬化性樹脂を介在させて前記電気光学装置に前記機能性部材を固定する手段を含む電気光学装置の製造装置であって、
    前記固定する手段は、前記紫外線硬化性樹脂の少なくとも一部の領域に紫外線照射して少なくとも一部を硬化する仮固定手段、及び前記紫外線硬化性樹脂の前記一部の領域及び他の領域に紫外線照射して前記一部の領域及び他の領域を硬化する本固定手段を含み、
    前記仮固定手段における、前記紫外線照射する光源と前記電気光学装置との間の距離をL1とし、前記本固定手段における、前記紫外線照射する光源と前記電気光学装置との間の距離をL2としたときに、L1をL2よりも短くすることを特徴とする電気光学装置の製造装置。
  10. 前記仮固定手段における、光源と前記電気光学装置との間の距離(L1)と、前記本固定手段における、光源と前記電気光学装置との間の距離(L2)と、をそれぞれ調整するための制御手段を備えることを特徴とする請求項9に記載の電気光学装置の製造装置。
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