JP2007225216A - 遠赤外線乾燥装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】遠赤外線ヒータによる乾燥物の内部からの水分の発散及びその表面からの蒸発という特質を最大限に活かすため、外気の温度が低い或いは湿度が高いという条件が悪い状態でも、確実に乾燥物を乾燥する。
【解決手段】遠赤外線乾燥装置は、乾燥する乾燥物を収納する乾燥室2と、この乾燥室2に収納された乾燥物を伝導加熱する遠赤外線ヒーター10と、乾燥室2内の空気を循環する循環ファン12と、乾燥室2内に外気を給気するよう乾燥室2の壁に設けられた給気ユニット8と、乾燥室2の外に水蒸気と共に乾燥室2内の空気を排気する排気ユニット9とを有する。そして、給気ユニット8は、乾燥室2に導入する外気を加熱し、乾燥するヒータユニット23を有し、このヒータユニット23に乾燥室2に導入する外気を通してこれを加熱、乾燥し、乾燥室内2内に給気する。
【選択図】図1

Description

本発明は、干し芋の原料となる蒸した甘藷、野菜や建築素材となる木材等を遠赤外線ヒータにより乾燥する遠赤外線乾燥装置に関し、特に遠赤外線ヒータを設置した乾燥室内を換気しながら遠赤外線の照射により乾燥物から内部発散した蒸気を絶えず乾燥室から排出しながら乾燥する方式の遠赤外線乾燥装置に関する。
乾燥室内の換気をしながら、同乾燥室内に設置した遠赤外線ヒータを使用して乾燥物を乾燥する装置としては、例えば特開2002−67007号公報に記載されたものが知られている。この乾燥装置は、乾燥室内に遠赤外線ヒータを設置し、この遠赤外線ヒータで乾燥室内に搬入した乾燥物を加熱し、乾燥する。乾燥室内は、天井に設けた循環ファンにより内部の空気を循環すると共に、乾燥室に設けた給気ファン、排気ファンまたは搬入室の外気吸気口とにより、内部の空気を強制換気する。
遠赤外線ヒータにより乾燥物に遠赤外線を照射すると、乾燥物の内部から水分が発散され、この水分が乾燥物の表面に移動し蒸発する。このため、乾燥中に乾燥物の内部と表面との水分含有量の差が小さく、いわゆる水分傾斜(水分勾配)が小さく、乾燥物の表面のみが乾燥されてしまうことなく、内部から表面まで満遍なく乾燥出来る利点がある。
乾燥物の平衡含水率、すなわち乾燥物から水分が蒸発せず、なお且つ乾燥物が吸湿もしない状態の乾燥物の含水率は、乾燥物の温度とその周囲の湿度に依存する。乾燥物から水分を蒸発させ、乾燥するには、乾燥物をその平衡含水率以上の温度あるいはその湿度以下にすることが必要である。
前述の遠赤外線ヒータにより乾燥物に遠赤外線を照射した行う乾燥は、安定した乾燥を行えるものの、乾燥物の乾燥速度は乾燥室内の温度と湿度に大きく依存する。乾燥物の加熱は遠赤外線ヒータによりによりなされるが、乾燥室内の湿度の抑制は、乾燥室内の空気を外気と置換することにより行う。このため、乾燥室内の温度と湿度は外気の温度や湿度に大きな影響を受ける。
このような理由から、例えば干し芋の材料のような含水率の高い乾燥物を乾燥する場合にあって、外気温度が低いときや外気湿度が高いときは、乾燥室内の温度が容易に上がらなかったり、乾燥室内の湿度が容易に下がらなかったりし、乾燥時間が長くかかることがある。
特表2002−67007号公報 特開平11−148777号公報
本発明は、前記従来の遠赤外線乾燥装置における課題に鑑み、遠赤外線ヒータによる乾燥物の内部からの水分の発散及びその表面からの蒸発という特質を最大限に活かすため、外気の温度が低い或いは湿度が高いという条件が悪い状態でも、乾燥室内の温度の下降、湿度の上昇を有効に抑え、どのような外気環境の状態でも確実に乾燥物を乾燥できる遠赤外線乾燥装置を提供することを目的とする。
本発明では、前記の目的を達成するため、乾燥室2内に遠赤外線ヒータ10を設置し、この遠赤外線ヒータ10で乾燥物を加熱し、乾燥物の内部から水分を発散させて蒸発する。このとき、乾燥室2に給気ユニット8と排気ユニット9を設け、給気ユニット8により乾燥室2内に搬入室3の吸気口14より外気を導入すると共に、排気ユニット9で排気することにより、乾燥室2内の換気を可能とする。そして、給気ユニット8からは予め外気を加熱して乾燥室2内に導入するように、その給気ユニット8にはヒータユニット23を設け、このヒータユニット23を通して外気を乾燥室2内に導入するようにした。
すなわち、本発明による遠赤外線乾燥装置は、乾燥する乾燥物を収納する乾燥室2と、この乾燥室2に収納された乾燥物を伝導加熱する遠赤外線ヒーター10と、乾燥室2内の空気を循環する循環ファン12と、乾燥室2内に外気を給気するよう乾燥室2の壁に設けられた給気ユニット8と、乾燥室2の外に水蒸気と共に乾燥室2内の空気を排気する排気ユニット9とを有する。そして、給気ユニット8は、乾燥室2に導入する外気を加熱し、乾燥するヒータユニット23を有し、このヒータユニット23に乾燥室2に導入する外気を通してこれを加熱、乾燥し、乾燥室内2内に給気するものである。
後に具体的な数値で説明するが、ヒータユニット23に外気を通して加熱し、これを乾燥室2内に導入すると、乾燥室2内に導入される空気は乾燥された空気となる。例えば、雨天の日には、外気の相対湿度は90%にも達する。また、晴天の日の外気の相対湿度は一般に20%前後である。これを100℃程度の温度に加熱して乾燥室2内に導入すると、その導入空気の湿度は外気の1/10前後となる。このため、排気ユニット9で乾燥室2の空気を排気し、前記のように乾燥室2内に乾燥された空気を導入して置換することにより、乾燥室2内の湿度の上昇を有効に抑えることが出来る。また、外気をヒータユニット23に通して加熱し、乾燥室2内に導入するため、外気温度が低く湿度が高い日でも、乾燥室2内の温度の下降が有効に防止することが出来る。これにらにより、乾燥物の乾燥が安定して短時間に行える。
給気ユニット8による乾燥室2への外気の導入量と排気ユニット9による乾燥室2空気の排気量は均衡が図られ、常時同じ量とする。これにより、乾燥室2の空気を効率的に換気することが出来る。
また、給気ユニット8のヒータユニット23として、乾燥物を加熱するための加熱蒸気を導入して加熱されるスチームヒータを使用すると、例えば干し芋の原料となる甘藷を蒸す蒸気を熱源として使用出来るので、熱源の有効利用することが出来る。
以上説明した通り、本発明による遠赤外線乾燥装置では、天候による外気の温度、湿度の違いに強く依存せずに、安定した乾燥が行えるので、干し芋の乾燥や木材の乾燥等、食品やその他の製造過程の中で、乾燥工程を効率的且つ安定的に行える。また、短時間に乾燥物を乾燥出来るので、乾燥工程を含む生産物の生産性を大きく向上することが出来る。
本発明では、給気ユニット8を通して乾燥室2内に導入する空気をヒータユニット23に通して予め加熱し、乾燥した空気として乾燥室2に導入することで、外気の温度、湿度の違いに大きく依存することなく、乾燥物を乾燥出来るようにするものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例をあげて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明による遠赤外線乾燥装置装置の一例である。
この乾燥装置は、幅3,600mm、奥行き7,200mm、高さ3,000mm程度の平屋の建屋1の中に乾燥室2と搬入室3とを設けている。建屋1の正面中央に間口幅1,800mmで高さが建屋1の2/3程の入口4が設けられており、この入口4から入った奥行き1,800mmの部屋が搬入室3である。入口4はシャッタ5により開閉される。この搬入室3の両側上部には、外気を搬入室3に導入する外気給気口14が設けられている。
この入口4から奥に1,800mm入ったところに仕切り壁13が設けれられており、この仕切り壁13の中央に間口幅1,800mmで高さが建屋1の2/3程の第二の入口6が設けられている。この第二の入口6から入った奥の部屋が乾燥室2である。図3は、この乾燥室2の部分を断面し、正面から乾燥室2の奥側を見た図面である。この第二の入口6もシャッタ7により開閉される。
仕切り壁13の両側の上部には、加熱された蒸気により加熱するタイプのフィン付のヒータユニットを備えた給気ユニット8が取り付けられている。図5は、この給気ユニット8の一例を示している。この給気ユニット8のハウジング27の前面に開閉可能なルーバ26を有し、その奥にヒータユニット23を有している。このヒータユニット23は、フィン25を有するコイルユニット24を有し、蒸気供給配管28、29により、このコイルユニット24に加熱された蒸気を送り、フィン25を加熱するものである。さらにその背後にはファン22を有し、このファン22をモータ21で回転することにより、図5において左側から右側へ、つまりモータ21側からルーバ26側へと空気を送る。
例えばこのヒータユニット23は、蒸気圧0.1Kg/cmG〜2.0Kg/cmG、温度101.76℃〜132.87℃ 程度の加熱蒸気をフィン25を有するコイルユニット24に送り、加熱するものである。モータ21でファン22を回転することにより、搬入室3にある外気吸気口14から搬入室3に導入した外気をヒータユニット23を通して乾燥室2へと空気送り込む。すなわち、乾燥室2の外部からその内部に給気する。このとき、給気される空気は、ヒータユニット23で加熱される。
乾燥室2の壁には、壁取り付け型の遠赤外線ヒータ10が設けられている。この遠赤外線ヒータ10を乾燥室の壁に適当な間隔で設置する。
乾燥室2の中央部の天井近く、具体的には乾燥室2の2/3程の高さの位置に、入口6側から奥に向かって2本の梁が架設され、この梁の上に並んで3つの循環ファン12が設けられている。この循環ファン12は乾燥室2の天井側から床に向かって送風し、乾燥室2の中の空気を循環する。
さらに乾燥室2の奥の壁の両側の上部には、排気ユニット9が設けられている。この排気ユニット9は、乾燥室2の中の空気を強制排気する。
例えば乾燥物が干し芋の原料である蒸してスライスした甘藷の場合、それらを簀の子等の上に並べ、この簀の子を上下に間隔をおいて図1、図2及び図4に示したような台車11に載せる。搬入室3のシャッタ4を開けて台車11を入口4から搬入室3に導入し、その後、図3に示す乾燥室2のシャッタ6を開けて、台車11を入口6から乾燥室2に導入する。乾燥室2内の雰囲気が加熱状態になっているときは、熱を逃がさないように、第一の入口4のシャッタ5と第二の入口6のシャッタ7を開く時間をずらしてそれら第一の入口4と第二の入口6の開閉を行う。その後、人が乾燥室2から出た後、第二の入口6をシャッタ7で閉じ、乾燥運転を開始する。図示はしてないが、制御操作盤や過熱蒸気配管設備等は搬入室3の壁に設けられており、搬入室3には第一の入口4をシャッタ5で開閉し、人が随時入退室して運転操作や乾燥運転状態の確認等をする。
乾燥室2内では、給気ユニット8によりヒータユニット23を通して外気を加熱しながら、その加熱空気を乾燥室2に導入する。他方、排気ユニット9により乾燥室2内の空気を排気する。給気ユニット8による乾燥室2内への外気の導入と排気ユニット9による乾燥室2内からの空気の排気は均衡させるため、給気ユニット8と排気ユニット9とは連動制御する。
また、遠赤外線ヒータ10より乾燥室2内の温度を加熱する。これにより、台車11に載せた乾燥物に含まれる水分を蒸発させ、この蒸気を前記給気ユニット8と排気ユニット9とによる乾燥室2内の換気により、乾燥室2内で発生した蒸気を絶えず排出し、その代わり給気ユニット8により加熱した空気を導入し、換気を行う。遠赤外線ヒータ10および給気ユニット8のオン・オフ制御により、乾燥室2内の温度は30℃〜80℃に維持する。
このような乾燥装置を用い、台車に積んだ簀の子に並べた乾燥物を乾燥する。乾燥物は、前記遠赤外線ヒータ10及び給気ユニット8により、乾燥室2内を30〜80℃程度の温度に維持すると共に、給気ユニット8と排気ユニット9の作動により乾燥室2内を換気しながら乾燥する。給気ユニット8においては、ヒータユニット23を通して外気を加熱しながら、その加熱外気を乾燥室2に導入することは前述の通りである。
表1〜表3は、ヒータユニット23に130.54℃の温度の蒸気を送り、加熱しながら、このヒータユニット23を通して給気ユニット8から風量1300m/h(表1)、風量1800m/h(表2)、風量2300m/h(表3)で乾燥室2内に外気をそれぞれ給気すると共に、排気ユニット9からこれらに見合った風量の排気を行いながら乾燥をしたときの、給気の放熱量、給気ユニット8の給気吹き出し温度と湿度20%時の晴天時と湿度90%時の雨天時の乾燥室2内の湿度を示したものである。これらの表では、入口温度、すなわち給気ユニット8に導入される外気温度を−5℃〜35℃の範囲で運転試験を行っている。
Figure 2007225216
Figure 2007225216
Figure 2007225216
この表1〜3から明らかな通り、何れのものでも、給気ユニット8の入口温度が低い程乾燥室2内の湿度は低くなる。湿度20%の晴天時では、乾燥室2内の湿度は1〜4%であり、湿度90%の雨天時でも、乾燥室2内の湿度は5〜19%に抑えられる。従って、外気の気温及び湿度の影響を大きく受けることなく、乾燥室2内で乾燥物の乾燥が行えるので、季節、天気のいかんに係わらず安定した乾燥を行うことが出来る。
図6に実線で示したグラフは、前記のようなヒータユニット23を備える給気ユニット8を使用し、遠赤外線ヒータ10のオン・オフ制御により、乾燥室2内の温度を44.1℃〜45.1℃に維持しながら、干し芋の原料として含水率61.9%の蒸したタマユタカ種の甘藷をスライスしたものを乾燥したときの乾燥時間と乾燥物の重量との関係を示したものである。ヒータユニット23には130.54℃の温度の蒸気を送りながら、このヒータユニット23を通して給気ユニット8から乾燥室2内に風量1300m/hの給気をすると共に、排気ユニット9からこの給気量に見合った量の排気を行いながら乾燥した。また同図の波線で示したグラフは、ヒータユニット23に蒸気を供給せず、外気をそのまま乾燥室2内に給気して乾燥した比較例である。
この結果から、ヒータユニット23に蒸気を通して外気を加熱して乾燥室2に給気した本発明の実施例では、乾燥時間8時間で乾燥物の重量は乾燥開始当初の約半分となった。その分水分が乾燥されたことを意味する。他方、ヒータユニット23を使用しない比較例では、24時間の乾燥時間でも重量が乾燥開始当初の半分にはならなかった。
表4は、参考資料として示すもので、乾燥室内温度を25〜50℃の範囲で6段階に変えると共に、乾燥室内湿度を5〜90%の範囲で6段階に変えた時の時間当たりの排気中の水蒸気を水容積に換算したものである。排気風量1740m/hと排気風量1980m/hの2通りで試験を行っている。
Figure 2007225216
表4は、やはり参考資料として示すもので、乾燥室内温度を25〜50℃の範囲で6段階に変えると共に、乾燥室内湿度を5〜90%の範囲で6段階に変えた時の乾燥室内の単位容積当たりの飽和水蒸気量である。
なお前述の実施例では、給気ユニット8のヒータユニット23として、フィンコイルに加熱蒸気を通して加熱するスチームヒータを使用したが、電気ヒータやガスヒータ等を使用してもよいことはもちろんである。
Figure 2007225216
本発明の一実施例による遠赤外線乾燥装置の横断平面図である。 本発明の一実施例による遠赤外線乾燥装置の縦断側面図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のB−B線断面図である。 本発明の一実施例による遠赤外線乾燥装置に使用する給気ユニットの例を示す縦断側面図である。 本発明の一実施例による遠赤外線乾燥装置を使用して干し芋の原料を乾燥したときの乾燥時間と乾燥物の重量との関係を比較例と共に示したグラフである。
符号の説明
2 乾燥室
8 給気ユニット
9 排気ユニット
10 遠赤外線ヒーター
12 循環ファン
23 給気ユニットのヒータユニット

Claims (3)

  1. 乾燥する乾燥物を収納する乾燥室(2)と、この乾燥室(2)に収納された乾燥物を加熱する遠赤外線ヒーター(10)と、乾燥室(2)内の空気を循環する循環ファン(12)と、乾燥室(2)内に外気を給気するよう乾燥室(2)の壁に設けられた給気ユニット(8)と、乾燥室(2)の外に水蒸気と共に乾燥室(2)内の空気を排気する排気ユニット(9)とを有する遠赤外線乾燥装置において、給気ユニット(8)は、乾燥室(2)に導入する外気を加熱し、乾燥するヒータユニット(23)を有し、このヒータユニット(23)に乾燥室(2)に導入する外気を通してこれを加熱、乾燥し、乾燥室内(2)内に給気することを特徴とする遠赤外線乾燥装置。
  2. 給気ユニット(8)による乾燥室(2)への外気の導入量と排気ユニット(9)による乾燥室(2)空気の排気量は均衡が図られ、常時同じ量とされることを特徴とする請求項1に記載の遠赤外線乾燥装置。
  3. 給気ユニット(8)のヒータユニット(23)は、乾燥物を加熱するための加熱蒸気を導入して加熱されるスチームヒータであることを特徴とする請求項1または2に記載の遠赤外線乾燥装置。
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