JP2007224382A - 水素供給システム - Google Patents
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Abstract
【課題】水素製造、水素回収、及び二酸化炭素回収を効率的に行うことが可能な水素供給システムを提供する。
【解決手段】水素供給システムは、メタノール水溶液を電気分解して水素と二酸化炭素を分離して生成させる電解装置2と、電解装置2で分離して生成させた二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置13と、二酸化炭素回収装置13で回収された二酸化炭素を二酸化炭素処理装置39に供給する二酸化炭素供給装置38と、電解装置2で分離して生成させた水素を回収する水素回収装置12と、水素回収装置12で回収された水素を水素消費機器31に供給する水素供給装置30,41,34と、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】水素供給システムは、メタノール水溶液を電気分解して水素と二酸化炭素を分離して生成させる電解装置2と、電解装置2で分離して生成させた二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収装置13と、二酸化炭素回収装置13で回収された二酸化炭素を二酸化炭素処理装置39に供給する二酸化炭素供給装置38と、電解装置2で分離して生成させた水素を回収する水素回収装置12と、水素回収装置12で回収された水素を水素消費機器31に供給する水素供給装置30,41,34と、を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、水溶性有機化合物と水とから水素を製造して供給する水素供給システムに関し、特に、効率的な水素製造、水素回収、及び二酸化炭素回収を行うことが可能な水素供給システムに関する。
近年、水素を燃料とする燃料電池やコジェネレーションシステムについての開発が進んでいる。例えば、水素を燃料とする燃料電池を用いる電気自動車(水素燃料電池自動車)が公道を走行するようになってきている。水素燃料電池自動車の普及のためには、現在のガソリン自動車やディーゼル自動車に対して燃料を供給するガソリンスタンドのように、水素燃料電池自動車に対して水素を供給する水素供給ステーション、すなわち、水素供給システムを各地に設置する必要がある。そこで、水素燃料電池自動車あるいは水素を燃料とするコジェネレーションシステムに代表される水素消費機器に対して水素を供給する水素供給システムについての検討が進められている。
水素供給システムの一形態として、オフサイトで水素を製造し、すなわち、水素供給システム以外の場所で水素を製造し、製造された水素を高圧水素(気体)または液体水素の形で水素の消費サイトまで輸送して貯蔵設備に貯蔵した後に水素消費機器に供給する水素供給システムが、非特許文献1、2に開示されている。この形態の水素供給システムは、化学プラントなどで発生する副生水素を利用することを念頭に置いているので、水素製造時に発生する地球温暖化排出ガスである二酸化炭素を水素の製造サイトで一括回収できるという利点を有する。しかしながら、水素の製造サイトから水素の消費サイトまでパイプラインを敷設して水素を輸送する場合を除いて、特に気体の場合にエネルギー密度の低い燃料である水素をタンクローリーで水素の製造サイトから水素の消費サイトまで輸送する必要があり、輸送に伴うエネルギー損失が大きいという問題点を有する。液体水素は、高圧水素よりもエネルギー密度は高いものの、輸送や取り扱いに極低温を必要とし、極めて取り扱いが煩雑であり、輸送及び貯蔵コストが高くなる。なお、水素輸送のためのパイプラインの敷設には莫大なコストがかかるため、水素消費量があまり多くない現状では、オフサイトで水素を製造しパイプラインで水素の消費サイトまで輸送する水素供給システムは、経済性の面で現実的ではない。
また、従来の水素供給システムの他の一形態として、水素の消費サイト、すなわちオンサイトで、脱硫ガソリン、液化石油ガス(LPガス)、天然ガス(都市ガス)、メタノール、ナフサ等の燃料を改質することによって水素を製造し、製造された水素を貯蔵または加圧・貯蔵した後に水素消費機器に供給する水素供給システムが、非特許文献3〜7にそれぞれ開示されている。これらの燃料のうち、天然ガスは、メタンを主成分とするものであって都市ガスとして広く用いられており、このため天然ガスを輸送するパイプラインも普及しているので、容易にパイプラインで供給可能である。液化石油ガスは、常温においてせいぜい0.8MPaの圧力程度で液体となり、また、その他の燃料は、常温、常圧で液体であり、これらはいずれも水素と比較してエネルギー密度が高いため、タンクローリーで輸送してもエネルギー損失を小さく抑えることが可能である。オンサイトで燃料を改質して水素を製造するこれらの水素供給システムでは、水素の消費サイトで効率的に水素を製造することが可能であるが、燃料を改質することによって生成する二酸化炭素、水蒸気等を含む改質ガスからの水素の分離と加圧が必要であり、多くのエネルギーを消費するという問題点を有する。また、改質ガスから水素を分離した後の二酸化炭素、水蒸気、水素等を含む排ガスを空気と燃焼させて燃料の改質に必要な熱を得るため、二酸化炭素を含む燃焼排出ガス中には多量の窒素が含まれており、地球温暖化防止の観点から二酸化炭素を分離回収しようとすると、大規模な二酸化炭素の分離回収装置が必要で、二酸化炭素の分離回収に多くのエネルギーを消費するという問題点もある。
以下、前述した従来の水素供給システムの現状と問題点の詳細について、非特許文献5に開示された天然ガスを燃料とする水素供給システムを例に取り上げて説明する。
図6は、天然ガスを燃料とする従来の水素供給システムの構成を示している。この水素供給システムは、主な構成要素として、燃料改質装置59と、流量制御弁43〜46、57,65と、ブロワ47,58と、水素精製装置25と、水素加圧装置27と、水素貯蔵部28,40と、水素供給装置30,41と、ポンプ48とを備えている。燃料改質装置59は、脱硫器49と、改質器50と、改質器50を加熱する燃焼バーナ51と、CO(一酸化炭素)変成器52と、ボイラ53と、ボイラ53を加熱する燃焼バーナ54と、を備えている。
燃料である天然ガス42は、流量制御弁43を介して脱硫器48に供給され、流量制御弁44を介して燃焼バーナ54に供給され、流量制御弁45を介して燃焼バーナ51に供給される。ボイラ53の燃焼バーナ54には、天然ガス42のほかに、ブロワ47及び流量制御弁46を介して空気67が供給される。改質器50の燃焼バーナには、天然ガス42のほかに、後述する水素精製装置25からの排出ガス(水素精製装置排出ガス29)が供給され、ブロワ58及び流量制御弁57を介して空気56が供給される。燃焼バーナ51,54は、それぞれ、燃焼に伴って燃焼バーナ排出ガス69,70を排出する。ボイラ53には、ポンプ48を介して補給水55が供給される。
脱硫器49には、天然ガスのほかに、CO変成器52の出口ガス(CO変成器出口ガス64)からリサイクルされる脱硫器リサイクルガス66が、流量制御弁65を介して供給される。脱硫器49からの脱硫された(硫黄成分が除去された)天然ガス62とボイラ53からの水蒸気61は改質器50に供給され、改質器50で後述するメタン等の炭化水素水蒸気改質反応が起こる。改質器50からの出口ガス(改質器出口ガス60)は、次にCO変成器52に供給される。CO変成器出口ガス64は、前述したように、一部が脱硫器49にリサイクルされるほかは、燃料改質装置出口ガス63として水素精製装置25に供給される。
水素精製装置25は、燃料改質装置出口ガス63に含まれる水素を精製するものであり、精製された水素(高純度水素26)は、水素加圧装置27及び水素貯蔵部40に供給される。水素精製装置25での水素精製に伴って発生する排出ガス29は、上述したように、燃焼バーナ51に供給される。水素加圧装置27で加圧された水素(加圧高純度水素71)は、水素貯蔵部28に供給される。水素貯蔵部28,40は、いずれも高純度水素を一時的に貯蔵するものであり、それぞれ、外部の水素消費機器31に対して水素貯蔵部28,40内の高純度水素を供給するための水素供給装置30,41を備えている。
次に、図6に示した水素供給システムの動作を説明する。
パイプラインなどを介して都市ガスとして供給された天然ガス42は、脱硫器49、改質器50、CO変成器52などを備える燃料改質装置59に供給されて改質され、燃料改質装置59からは、水素、二酸化炭素、水蒸気、メタン、及び一酸化炭素からなる水素リッチな改質ガス(主成分は、水素、二酸化炭素、及び水蒸気)である燃料改質装置出口ガス63が生成する。以下、燃料改質装置59における反応工程を具体的に説明する。
天然ガス42には、メルカプタン等の腐臭剤が含まれており、この腐臭剤は、改質器50に充填された改質触媒の劣化原因となる硫黄成分を含んでいる。そこで、この燃料改質装置59では、天然ガス42はまず脱硫器49に供給される。脱硫器49では、充填された脱硫触媒のコバルト−モリブデン系触媒と酸化亜鉛吸着剤の働きにより、天然ガス42中の硫黄成分が水添脱硫により吸着除去される。すなわち、コバルト−モリブデン系触媒により、最初に硫黄と水素を反応させて硫化水素を生成させ、次にこの硫化水素と酸化亜鉛を反応させることによって硫化亜鉛を生成させて、硫黄成分を除去する。硫化水素の生成に必要な水素を脱硫器49に供給するために、一酸化炭素濃度を低減させた水素リッチな改質ガスであるCO変成器出口ガス64の一部が、前述したように、脱硫器リサイクルガス66として脱硫器49にリサイクルされる。脱硫器49への脱硫器リサイクルガス66の供給量は、流量制御弁65の開度を調節することによって制御する。また、硫化水素の生成反応と硫化亜鉛の生成反応はともに吸熱反応であり、これらの反応に必要な反応熱は、後述する発熱反応であるCO変成器52でのCO変成反応によって発生する熱をCO変成器52から脱硫器49に供給することによってまかなう。この熱の移動を効率的に行うために、脱硫器49とCO変成器52は、一体化することが望ましい。脱硫器49への天然ガス42の供給量は、流量制御弁43の開度を調節することによって制御する。
脱硫器49において硫黄成分が除去された天然ガス62は、水蒸気61とともに、ニッケル系触媒やルテニウム系触媒が改質触媒として充填された改質器50に供給される。改質器50に供給される水蒸気61は、ボイラ53の燃焼バーナ54に天然ガス42と空気67を供給し、天然ガス42を空気67中の酸素とともに燃焼させることによって発生した熱を利用して、ポンプ48によってボイラ53に供給された補給水55を気化させて生成させる。空気67は、ブロワ47によってボイラ53の燃焼バーナ54に供給される。燃焼バーナ54への天然ガス42の供給量は、流量制御弁44の開度を調節することによって制御し、空気67の供給量は、流量制御弁46の開度を調節することによって制御する。
改質器50では、充填された改質触媒の働きにより、天然ガス42に含まれるメタン等の炭化水素の水蒸気改質反応が行われ、水素リッチな改質ガスである改質器出口ガス60がつくられる。
天然ガスの主成分であるメタンの水蒸気改質反応は(1)式で表される。
(メタンの水蒸気改質反応)
CH4+H2O → CO+3H2 (1)
(1)式で示したメタンの水蒸気改質反応等の炭化水素の水蒸気改質反応は、一般に大きな吸熱反応であるので、改質器50で効率的に水素を生成させるためには、水蒸気改質反応に必要な反応熱を外部から改質器50に供給し、改質器50の温度を例えば700〜750℃に維持しなければならない。このため、後述する水素と、不純物である二酸化炭素、水蒸気、メタン、及び一酸化炭素とからなる水素精製装置排出ガス29と空気56を改質器50の燃焼バーナ51に供給し、水素精製装置排出ガス29中の水素もしくはメタンを空気56中の酸素と燃焼反応させることによって、水蒸気改質反応に必要な反応熱を改質器50に供給し、改質器50の温度を700〜750℃に維持する。その結果、改質器50では、炭化水素の水蒸気改質反応による効率的な水素生成が行われる。空気56は、ブロワ58を用いて改質器50の燃焼バーナ51に供給される。改質器50の燃焼バーナ51への空気56の供給量は、流量制御弁57の開度を調節することによって制御する。
CH4+H2O → CO+3H2 (1)
(1)式で示したメタンの水蒸気改質反応等の炭化水素の水蒸気改質反応は、一般に大きな吸熱反応であるので、改質器50で効率的に水素を生成させるためには、水蒸気改質反応に必要な反応熱を外部から改質器50に供給し、改質器50の温度を例えば700〜750℃に維持しなければならない。このため、後述する水素と、不純物である二酸化炭素、水蒸気、メタン、及び一酸化炭素とからなる水素精製装置排出ガス29と空気56を改質器50の燃焼バーナ51に供給し、水素精製装置排出ガス29中の水素もしくはメタンを空気56中の酸素と燃焼反応させることによって、水蒸気改質反応に必要な反応熱を改質器50に供給し、改質器50の温度を700〜750℃に維持する。その結果、改質器50では、炭化水素の水蒸気改質反応による効率的な水素生成が行われる。空気56は、ブロワ58を用いて改質器50の燃焼バーナ51に供給される。改質器50の燃焼バーナ51への空気56の供給量は、流量制御弁57の開度を調節することによって制御する。
水素リッチな改質ガスである改質器出口ガス60には、10体積%程度の一酸化炭素が含まれているので、改質器出口ガス60は、銅−亜鉛系触媒等のCO変成触媒が充填されたCO変成器52に供給され、CO変成触媒の働きにより(2)式に示すCO変成反応を行わせることによって、改質器出口ガス60中の一酸化炭素濃度を1体積%以下まで低減させる。
(CO変成反応)
CO+H2O → CO2+H2 (2)
ここでのCO変成反応は発熱反応であるので、発生した熱を脱硫器49に供給し、前述したように、吸熱反応である脱硫器49での硫化水素の生成反応と硫化亜鉛の生成反応のための反応熱として利用する。一酸化炭素濃度を1体積%以下に低減させた水素リッチな改質ガスであるCO変成器出口ガス64の一部は、前述したように、脱硫器リサイクルガス66として脱硫器49に供給され、残りは、燃料改質装置出口ガス63として水素精製装置25に供給される。
CO+H2O → CO2+H2 (2)
ここでのCO変成反応は発熱反応であるので、発生した熱を脱硫器49に供給し、前述したように、吸熱反応である脱硫器49での硫化水素の生成反応と硫化亜鉛の生成反応のための反応熱として利用する。一酸化炭素濃度を1体積%以下に低減させた水素リッチな改質ガスであるCO変成器出口ガス64の一部は、前述したように、脱硫器リサイクルガス66として脱硫器49に供給され、残りは、燃料改質装置出口ガス63として水素精製装置25に供給される。
燃料改質装置59で生成された、一酸化炭素濃度を1体積%以下に低減させた水素リッチな改質ガスである燃料改質装置出口ガス63の水素濃度は約70体積%であり、燃料改質装置出口ガス63は、前述したように、不純物として二酸化炭素、水蒸気、メタン、及び一酸化炭素を含んでいる。そこで、水素精製装置25で燃料改質装置出口ガス63中の不純物を除去する。水素精製装置25としては、例えば、PSA(Pressure Swing Adsorption:圧力スウィング吸着)による精製装置が用いられるが、他の形式の精製装置を用いてもよい。水素精製装置25で不純物が除去された高純度水素26(たとえば水素純度99.999体積%以上)は、水素貯蔵部28,40に供給されて貯蔵される。
図6に示した水素貯蔵部40は、高圧ガス保安法の規制を受けない1MPa未満の圧力で高純度水素26を貯蔵する水素吸蔵合金タンクであり、水素吸蔵合金タンクへの水素吸蔵時は冷却水(32℃以下)で合金を冷却し、水素吸蔵合金タンクからの水素放出時は温水(70℃以上)を用いて合金を加温する。また、水素貯蔵部28は高圧タンクで、例えば高純度水素26を水素加圧装置27で40MPaに加圧した後に貯蔵する。水素貯蔵部28,40にそれぞれ貯蔵された加圧高純度水素71及び高純度水素26は、それぞれ水素供給装置30,41を用いて、水素燃料電池自動車、戸建て住宅の家庭用燃料電池コージェネレーションシステム、集合住宅の家庭用燃料電池コージェネレーションシステム、商店や工場の業務用燃料電池コージェネレーションシステム等の水素消費機器31に対して、直接あるいはパイプラインを用いて供給される。なお、水素供給装置30,41では、水素消費機器31の定格等に合わせ、必要に応じて、加圧高純度水素71の減圧及び高純度水素26の加圧を行う。
このような水素供給システムにおいて、水素精製装置25で生成した水素と不純物である二酸化炭素、水蒸気、メタン、及び一酸化炭素とからなる水素精製装置排出ガス29は、前述したように、改質器50の燃焼バーナ51に供給され、天然ガス42中の炭化水素の改質反応に必要な反応熱を改質器50に供給するために利用される。なお、水素精製装置排出ガス29を改質器50の燃焼バーナ51で燃焼させるだけでは熱が不足し、改質器50に供給された天然ガス42中の炭化水素を改質反応により反応させるのに必要な量の反応熱を改質器50に供給することができない場合には、天然ガス42を改質器50の燃焼バーナ51に追加供給し、天然ガス42を空気56と燃焼させることによって改質器50に供給する熱量を増加させ、改質器50で天然ガス42中の炭化水素の水蒸気改質反応を行わせる。その場合、改質器50の燃焼バーナ51への天然ガス42の供給量は、流量制御弁45の開度を調節することによって制御する。
図7は、図6に示した水素供給システムにおいて水素を製造し供給するプロセスを示すフロー図である。図7に示すように、水素を製造し供給するプロセスは、天然ガス中の腐臭剤に含まれる硫黄成分を燃料改質装置59の脱硫器49において除去する脱硫工程101、水蒸気改質工程103に必要な水蒸気を燃料改質装置59のボイラ53において生成させる水蒸気生成工程102、燃料改質装置59の改質器50において燃料である天然ガスと水蒸気とを反応させて水素リッチな改質ガスを生成させる水蒸気改質工程103、及び燃料改質装置59のCO変成器52において水素リッチな改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気と反応させることによって水素と二酸化炭素を生成させるCO変成工程104からなる燃料改質工程100と、燃料改質工程100で生成され一酸化炭素濃度を低減させた水素リッチな改質ガス中の水素以外の不純物を水素精製装置25で除去し高純度水素26を生成させる水素精製工程111と、水素精製工程111で生成された高純度水素26を水素加圧装置27で加圧する水素加圧工程112と、水素加圧工程112で生成された加圧高純度水素72を水素貯蔵部28に貯蔵する水素貯蔵工程113と、水素貯蔵部28に貯蔵された水素を水素供給装置30を用いて水素消費機器31に供給する水素供給工程114と、から構成される。なお、水素吸蔵合金などに常圧の水素を貯蔵する場合には、水素加圧工程は不要である。
次に、図6や図7に示したような改質による水素供給システムの問題点について述べる。このような従来の水素供給システムでは、燃料である天然ガスから水素を生成させる燃料改質工程100を備えており、燃料改質工程100には、天然ガスと水蒸気とを反応させて水素リッチな改質ガスを生成させる水蒸気改質工程103が設けられる。この水蒸気改質工程103において燃料改質装置59の改質器50内で天然ガス42中の炭化水素の水蒸気改質反応を行わせ水素を生成させるのに必要な反応熱は、水素と不純物である二酸化炭素、水蒸気、メタン、及び一酸化炭素とからなる水素精製装置排出ガス29を空気56とともに改質器50の燃焼バーナ51に供給して燃焼させることにより、あるいは、水素精製装置排出ガス29と天然ガス42とを空気56とともに改質器50の燃焼バーナ51に供給して燃焼させることにより、改質器50に供給される。また、改質器50内で炭化水素の水蒸気改質反応を行わせ水素を生成させるのに必要な水蒸気をつくるために、水蒸気生成工程102において、天然ガス42を空気67とともにボイラ53の燃焼バーナ54に供給して燃焼させる。その結果、改質器50の燃焼バーナ51からの燃焼バーナ排出ガス69とボイラ53の燃焼バーナ54からの燃焼バーナ排出ガス70には、水素精製装置排出ガス29及び天然ガス42の燃焼により生成した二酸化炭素と水蒸気の他に、空気中の窒素が多量に含まれることになり、地球温暖化ガスである二酸化炭素の分離回収のためには、高価で大規模な二酸化炭素の分離回収装置が必要となる。例えば、予め定められた温度になると二酸化炭素を吸収し予め定められた高温度になると吸収していた二酸化炭素を放出する性質を有するリチウム化合物等のガス吸収放出剤を充填した二酸化炭素吸収放出器に燃焼バーナ排出ガス69,70を供給すれば、これら燃焼バーナ排出ガス69,70中の二酸化炭素を回収することは可能であるが、連続的に水素生成を行うためには、最低2組の二酸化炭素吸収放出器を新たに設けて二酸化炭素の連続的な吸収放出を行わせることが必要であり、システムコストが上昇するといった問題点がある。また、ガス吸収放出剤の交換等のために保守コストが上昇するといった問題点や、二酸化炭素吸収放出器では温度により二酸化炭素の吸収放出を行わせるので、エネルギー消費が増大するといったの問題点もある。
さらに、天然ガスから水素を生成させる燃料改質工程100で生成させた燃料改質装置出口ガス63は、一酸化炭素濃度を低減させた水素リッチな改質ガスではあるが、このガス中における水素濃度は約70体積%と低い。そのため、高純度水素26を生成させるために水素精製装置25での処理が必要であり、水素精製装置25での水素の損失や水素精製のためのエネルギー損失が大きいという問題点もある。
広谷 龍一、"オフサイト方式水素供給ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第8号、25〜29頁(2004)、日本工業出版 橋本 辰彦、"液体水素貯蔵水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第8号、30〜34頁(2004)、日本工業出版 服部 禎之、"脱硫ガソリン改質水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第8号、20〜24頁(2004)、日本工業出版 吉田 博貴、"千住水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、22〜26頁(2004)、日本工業出版 森 哲哉 他、"天然ガス改質水素ステーション(WE−NET)"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、27〜31頁(2004)、日本工業出版 真鍋 岳史、"メタノール改質水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、32〜36頁(2004)、日本工業出版 池松 正樹、"ナフサ改質水素供給ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、37〜40頁(2004)、日本工業出版
広谷 龍一、"オフサイト方式水素供給ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第8号、25〜29頁(2004)、日本工業出版 橋本 辰彦、"液体水素貯蔵水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第8号、30〜34頁(2004)、日本工業出版 服部 禎之、"脱硫ガソリン改質水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第8号、20〜24頁(2004)、日本工業出版 吉田 博貴、"千住水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、22〜26頁(2004)、日本工業出版 森 哲哉 他、"天然ガス改質水素ステーション(WE−NET)"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、27〜31頁(2004)、日本工業出版 真鍋 岳史、"メタノール改質水素ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、32〜36頁(2004)、日本工業出版 池松 正樹、"ナフサ改質水素供給ステーション"、クリーンエネルギー、第13巻第9号、37〜40頁(2004)、日本工業出版
前述したように、ガソリン、液化石油ガス、天然ガス、メタノール、ナフサなどの炭化水素系燃料あるいはアルコール系燃料を改質して水素を製造する水素供給システムには、水素製造、水素回収、及び二酸化炭素回収を効率的に行うことが難しいという問題点がある。
そこで、本発明の目的は、水素製造、水素回収、及び二酸化炭素回収を効率的に行うことが可能な水素供給システムを提供することにある。
本発明の水素供給システムは、水溶性有機化合物と水とから水素を製造して供給する水素供給システムにおいて、水溶性有機化合物の水溶液を電気分解して水素と二酸化炭素を分離して生成させる電解手段と、電解手段で分離して生成させた二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収手段と、二酸化炭素回収手段で回収された二酸化炭素を二酸化炭素の供給先に供給する二酸化炭素供給手段と、電解手段で分離して生成させた水素を回収する水素回収手段と、水素回収手段で回収された水素を水素の供給先に供給する水素供給手段と、を有することを特徴とする。
本発明において、水素の供給先とは、典型的には水素を消費する機器、例えば、水素燃料電池自動車、水素を燃料とする燃料電池を有する各種の携帯機器、さらには、水素を燃料とするコジェネレーションシステムである。また、二酸化炭素の供給先とは、例えば、各種の二酸化炭素処理装置であり、このような二酸化炭素処理装置の中には、環境中に二酸化炭素を放出することなくこの二酸化炭素を処理する装置も含まれる。
本発明の水素供給システムにおいて、水素回収手段で回収された水素を精製する水素精製手段を設けてもよい。
本発明の水素供給システムでは、水素精製手段で精製された水素を貯蔵する水素貯蔵手段や、水素精製手段で精製された水素を加圧する水素加圧手段を設けてもよい。また、水素回収手段で回収された水素を加圧する水素加圧手段や、水素加圧手段で加圧された水素を貯蔵する水素貯蔵手段を設けてもよく、さらには、水素回収手段で回収された水素を貯蔵する水素貯蔵手段を設けてもよい。
また、本発明の水素供給システムでは、二酸化炭素回収手段で回収された二酸化炭素を加圧する二酸化炭素加圧手段を設けてもよく、二酸化炭素加圧手段で加圧された二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素貯蔵手段を設けてもよく、二酸化炭素回収手段で回収された二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素貯蔵手段を設けてもよい。
本発明において用いられる水溶性有機化合物は、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
本発明によれば、水素供給システムの電解装置(電解手段)を構成する電解セルで水溶性有機化合物の水溶液を電気分解することによって、水の電気分解と比較して少ない電解電力で、電解セルのアノードで選択的に高濃度の二酸化炭素を含むアノード室出口ガスを生成させることができ、また、対極のカソードで選択的に高濃度の水素を含むカソード室出口ガスを生成させることができる。したがって、電解装置に隣接して設けられる水素回収装置(水素回収手段)での水素の分離回収と二酸化炭素回収装置(二酸化炭素回収手段)での二酸化炭素の分離回収を容易に行うことができる。
また、本発明によれば、回収されたカソード室出口ガスの水素濃度が高いので、水素精製装置(水素精製手段)でのエネルギー消費を抑制するとともに、水素を分離して回収したり精製したりするための装置をコンパクト化することができ、水素供給システムのコンパクト化が実現できる。したがって、本発明によれば、水溶性有機化合物と水からの効率的な水素製造、水素回収、及び二酸化炭素回収が可能であり、経済的に水素を水素消費機器に供給することができるという利点がある。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態の水素供給システムの構成を示している。図1に示した水素供給システムは、主な構成要素として、燃料であるメタノール水溶液3を貯蔵するメタノール水溶液貯蔵部1と、メタノール水溶液3の電気分解反応を行わせる電解装置2と、ポンプ4,19と、メタノール水溶液3の電気分解反応に必要な直流電流を出力する直流電源11と、電解装置2で生成させた水素をカソード室出口ガス24として回収する水素回収装置(図では「H2回収」と表記)12と、電解装置2で生成させた二酸化炭素をアノード室出口ガス17として回収する二酸化炭素回収装置図では「CO2回収」と表記)13と、流量制御弁20〜23と、水素回収装置で回収されたカソード室出口ガス24を精製し高純度水素26をつくる水素精製装置25と、水素精製装置25でつくられた高純度水素26を加圧し加圧高純度水素71をつくるる水素加圧装置27と、水素回収装置12で回収されたカソード室出口ガス24を加圧し加圧カソード室出口ガス68をつくる水素加圧装置32と、水素加圧装置27でつくられた加圧高純度水素71を貯蔵する水素貯蔵部28と、水素精製装置25でつくられた高純度水素26を貯蔵する水素貯蔵部40と、水素加圧装置32でつくられた加圧カソード室出口ガス68を貯蔵する水素貯蔵部33と、水素貯蔵部28,40から水素消費機器31に対して貯蔵されている高純度水素を供給する水素供給装置30,41と、水素貯蔵部33から水素消費機器31に対して貯蔵されているカソード室出口ガスを供給する水素供給装置34と、二酸化炭素回収装置13で回収されたアノード室出口ガス17を加圧し加圧アノード室出口ガス37をつくる二酸化炭素加圧装置35と、二酸化炭素加圧装置35でつくられた加圧アノード室出口ガス37を貯蔵する二酸化炭素貯蔵部36と、二酸化炭素貯蔵部36から二酸化炭素処理装置39に対してアノード室出口ガスを供給する二酸化炭素供給装置38と、を備えている。二酸化炭素処理装置39は、例えば、環境中に二酸化炭素を放出することなく二酸化炭素を回収して処理する装置である。図1に示した水素供給システムは、図6に示した従来の水素供給システムとは、燃料改質装置59の代わりに電解装置2、水素回収装置12、及び二酸化炭素回収装置13を設けるとともに、新たに二酸化炭素加圧装置35、二酸化炭素貯蔵部36、及び二酸化炭素供給装置38を設けた点で大きく異なっている。図1において、前述した図6におけるものと同一の構成要素には同一の参照符号を付し、これらのものについては重複する説明は省略する。
メタノール水溶液貯蔵部1は、一般には液体を収容するタンクとして設けられる。メタノール水溶液貯蔵部1には、パイプラインあるいはタンクローリーにより、燃料である水溶性有機化合物の水溶液のひとつであるメタノール水溶液3が供給される。メタノール水溶液3の代わりに、水溶性有機化合物の水溶液としてエタノール水溶液、2−プロバノール水溶液等を用いてもよい。メタノール水溶液3におけるメタノールと水のモル比は、後述するように、メタノールと水が等モル反応して水素が生成することから、1:1が望ましいが、必ずしも1:1に限定されるものではない。また、メタノール水溶液をメタノール水溶液貯蔵部1に直接供給する代わりに、メタノールをメタノール貯蔵部(不図示)に貯蔵し精製水を水貯蔵部(不図示)に供給し、これらの貯蔵部に貯蔵されたメタノールと精製水とを混合して所定濃度のメタノール水溶液を調製してメタノール水溶液貯蔵部1に供給してもよいし、あるいはこのように調製されたメタノール水溶液をメタノール水溶液貯蔵部を介することなく電解装置2に直接供給してもよい。
メタノール水溶液貯蔵部1に貯蔵したメタノール水溶液3は、ポンプ4によって、電解装置2の電解セル10のアノード室5に供給される。図2は電解装置2の構成を示している。電解セル10は、アノード6と、アノード6を備えるアノード室5と、電解質膜7と、カソード8と、カソード8を備えるカソード室9と、から構成されている。電解質膜7は、アノード室5とカソード室9とを分離しており、アノード6とカソード8は、電解質膜7を挟むように電解質膜7に接して設けられている。アノード6で発生した水素イオン(プロトン)は、電解質膜7中を移動してカソード8にまで到達するようになっている。なお、図2では、電解装置2が一組の電解セル10から構成されているが、必ずしも一組に限定されるわけではなく、複数組の電解セル10から電解装置2を構成してもよい。
直流電源11には、太陽電池、風力発電機、燃料電池、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン等の自家発電機や商用電源などの所定のエネルギー源から得た電力14が供給される。直流電源11に供給された電力14は、直流電源11で所定の変換が行われ直流電力15の形で電解セル10に供給され、電解セル10のアノード室5に供給されたメタノール水溶液3の電気分解に使用される。すなわち、直流電源11から電解セル10に供給された直流電力15により、電解セル10のアノード6とカソード8との間には電解電圧が印加され、電解電流が流れることによってメタノール水溶液3の電気分解が起こる。アノード6では、(3)式に示すメタノール(CH3OH)と水(H2O)の電気化学反応が起こり、二酸化炭素(CO2)とプロトン(H+)と電子(e-)が生成する。
CH3OH+H2O → CO2 +6H++6e- (3)
アノード6でのメタノールと水の電気化学反応を進行させるためには触媒が必要であり、カーボン担体等に白金や白金−ルテニウム合金を担持した白金触媒や白金−ルテニウム合金触媒が一般的に用いられている。(3)式に示したメタノールと水の電気化学反応によりアノード6で生成したプロトン(H+)は、プロトン伝導性を有する電解質膜7中を移動し、カソード室9内のカソード8に到達する。このプロトン伝導性を有する電解質膜7には、一般的に、ガス気密性が高い、スルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸膜がよく用いられている。また、(3)式に示したメタノールと水の電気化学反応によりアノード6で生成した電子は、直流電源11を含む外部回路を移動し、カソード8に到達する。カソード8では、(4)式に示すように、電解質膜7中をアノード6から移動してきたプロトンと外部回路をアノード6から移動してきた電子との電気化学反応が起こり、水素が生成する。
アノード6でのメタノールと水の電気化学反応を進行させるためには触媒が必要であり、カーボン担体等に白金や白金−ルテニウム合金を担持した白金触媒や白金−ルテニウム合金触媒が一般的に用いられている。(3)式に示したメタノールと水の電気化学反応によりアノード6で生成したプロトン(H+)は、プロトン伝導性を有する電解質膜7中を移動し、カソード室9内のカソード8に到達する。このプロトン伝導性を有する電解質膜7には、一般的に、ガス気密性が高い、スルホン酸基を有するパーフルオロスルホン酸膜がよく用いられている。また、(3)式に示したメタノールと水の電気化学反応によりアノード6で生成した電子は、直流電源11を含む外部回路を移動し、カソード8に到達する。カソード8では、(4)式に示すように、電解質膜7中をアノード6から移動してきたプロトンと外部回路をアノード6から移動してきた電子との電気化学反応が起こり、水素が生成する。
6H++6e- → 3H2 (4)
メタノール水溶液3の電気分解反応は、全体として、(3)式に示したアノード6での反応と、(4)式に示したカソード8での反応を組み合わせたものであって、(5)式に示すような、メタノールと水が反応して二酸化炭素と水素が生成する反応となる。
メタノール水溶液3の電気分解反応は、全体として、(3)式に示したアノード6での反応と、(4)式に示したカソード8での反応を組み合わせたものであって、(5)式に示すような、メタノールと水が反応して二酸化炭素と水素が生成する反応となる。
CH3OH+H2O → CO2+3H2 (5)
前述したように、電解装置2の電解セル10のアノード6で二酸化炭素が生成し、カソード8で水素が生成する。電解セル10の電解質膜7は、ガス気密性が高いのでアノード6で生成した二酸化炭素とカソード8で生成した水素とが混合する可能性は低い。したがって、このような電解装置2を用いることにより、電解セル10から水素と二酸化炭素を分離して回収することができる。アノード6で生成した二酸化炭素は、アノード室5に隣接して設けられた二酸化炭素回収装置13において、未反応メタノール水溶液16と分離されて、アノード室出口ガス17として回収される。電解セル10のアノード室5に供給されたメタノール水溶液の一部は、電解質膜7を透過してカソード室9に移動するおそれがあるが、その場合は、カソード8で生成した水素は、カソード室9に隣接して設けられた水素回収装置12において、電解質膜7を透過したメタノール水溶液18から分離されて、カソード室出口ガス24として回収される。二酸化炭素回収装置13でアノード室出口ガス17と分離された未反応メタノール水溶液16のメタノール濃度と、水素回収装置12でカソード室出口ガス24と分離された電解質膜7を透過したメタノール水溶液18のメタノール濃度は、電解セル10のアノード室5に供給されたメタノール水溶液3のメタノール濃度にほぼ等しいので、二酸化炭素回収装置13で分離された未反応メタノール水溶液16と水素回収装置12で分離された電解質膜7を透過したメタノール水溶液18は、必要に応じて、メタノール水溶液貯蔵部1あるいは電解セル10のアノード室5にリサイクルされる。水素回収装置12で分離された電解質膜7を透過したメタノール水溶液18は、ポンプ19に送られる。ポンプ19の出口は2分岐し、一方は流量制御弁20を介してメタノール水溶液貯蔵部1に通じ、他方は流量制御弁23を介してポンプ4と電解装置2を結ぶ供給管路に接続している。同様に、二酸化炭素回収装置13の未反応メタノール水溶液16を排出する出口は2分岐し、一方は流量制御弁21を介してメタノール水溶液貯蔵部1に通じ、他方は流量制御弁22を介してポンプ4と電解装置2を結ぶ供給管路に接続している。したがって、二酸化炭素回収装置13で分離された未反応メタノール水溶液16のメタノール水溶液貯蔵部1及びアノード室5へのリサイクル量は、それぞれ、流量制御弁21,22の開度を調節することによって制御される。同様に、水素回収装置12で分離された電解質膜7を透過したメタノール水溶液18のメタノール水溶液貯蔵部1及びアノード室5へのリサイクル量は、それぞれ、流量制御弁20,23の開度を調節することによって制御される。
前述したように、電解装置2の電解セル10のアノード6で二酸化炭素が生成し、カソード8で水素が生成する。電解セル10の電解質膜7は、ガス気密性が高いのでアノード6で生成した二酸化炭素とカソード8で生成した水素とが混合する可能性は低い。したがって、このような電解装置2を用いることにより、電解セル10から水素と二酸化炭素を分離して回収することができる。アノード6で生成した二酸化炭素は、アノード室5に隣接して設けられた二酸化炭素回収装置13において、未反応メタノール水溶液16と分離されて、アノード室出口ガス17として回収される。電解セル10のアノード室5に供給されたメタノール水溶液の一部は、電解質膜7を透過してカソード室9に移動するおそれがあるが、その場合は、カソード8で生成した水素は、カソード室9に隣接して設けられた水素回収装置12において、電解質膜7を透過したメタノール水溶液18から分離されて、カソード室出口ガス24として回収される。二酸化炭素回収装置13でアノード室出口ガス17と分離された未反応メタノール水溶液16のメタノール濃度と、水素回収装置12でカソード室出口ガス24と分離された電解質膜7を透過したメタノール水溶液18のメタノール濃度は、電解セル10のアノード室5に供給されたメタノール水溶液3のメタノール濃度にほぼ等しいので、二酸化炭素回収装置13で分離された未反応メタノール水溶液16と水素回収装置12で分離された電解質膜7を透過したメタノール水溶液18は、必要に応じて、メタノール水溶液貯蔵部1あるいは電解セル10のアノード室5にリサイクルされる。水素回収装置12で分離された電解質膜7を透過したメタノール水溶液18は、ポンプ19に送られる。ポンプ19の出口は2分岐し、一方は流量制御弁20を介してメタノール水溶液貯蔵部1に通じ、他方は流量制御弁23を介してポンプ4と電解装置2を結ぶ供給管路に接続している。同様に、二酸化炭素回収装置13の未反応メタノール水溶液16を排出する出口は2分岐し、一方は流量制御弁21を介してメタノール水溶液貯蔵部1に通じ、他方は流量制御弁22を介してポンプ4と電解装置2を結ぶ供給管路に接続している。したがって、二酸化炭素回収装置13で分離された未反応メタノール水溶液16のメタノール水溶液貯蔵部1及びアノード室5へのリサイクル量は、それぞれ、流量制御弁21,22の開度を調節することによって制御される。同様に、水素回収装置12で分離された電解質膜7を透過したメタノール水溶液18のメタノール水溶液貯蔵部1及びアノード室5へのリサイクル量は、それぞれ、流量制御弁20,23の開度を調節することによって制御される。
本実施形態の水素供給システムでは、電気分解反応を利用しているため、電解装置2の電解セル10のカソード8で純度が95体積%以上の水素が生成し、この水素がむカソード室出口ガス24として電解装置2から取り出される。95体積%以上の水素を含むカソード室出口ガス24は、必要に応じて、例えば、パラジウム膜で代表される水素分離膜を有する水素分離器などの水素精製装置25に供給され、高純度水素26がつくられる。水素精製装置25でつくられ高純度水素26は、必要に応じて、水素加圧装置27に供給して加圧された後に加圧高純度水素71として高圧タンク等の水素貯蔵部28に供給され貯蔵される。一方、水素精製装置25で分離除去された不純物を含むガスは、水素精製装置排出ガス29として、水素精製装置25から排出される。水素貯蔵部28に貯蔵された加圧高純度水素71は、水素供給装置30を用いて、必要に応じて、水素燃料電池自動車、戸建て住宅の家庭用燃料電池コージェネレーションシステム、集合住宅の家庭用燃料電池コージェネレーションシステム、商店や工場の業務用燃料電池コージェネレーションシステム等の水素消費機器31に供給される。なお、水素供給装置30では、水素消費機器31の定格等に応じて、加圧高純度水素71の減圧を行う。
また、水素精製装置25でつくられた高純度水素26は、水素加圧装置27で加圧することなく、水素吸蔵合金タンク等の水素貯蔵部40に常圧で貯蔵してもよい。この場合も、水素貯蔵部40に貯蔵された高純度水素26は、水素供給装置41を用いて、必要に応じて、水素燃料電池自動車、戸建て住宅の家庭用燃料電池コージェネレーションシステム、集合住宅の家庭用燃料電池コージェネレーションシステム、商店や工場の業務用燃料電池コージェネレーションシステム等の水素消費機器31に供給される。なお、水素供給装置30では、水素消費機器31の定格等に応じて。高純度水素26の加圧を行う。
燃料電池コージェネレーションシステムのような必ずしも高純度水素を必要としない用途では、カソード室出口ガス24をそのまま水素加圧装置32に供給して加圧した後に加圧カソード室出口ガス68として水素貯蔵部33に供給してもよい。この場合は、水素貯蔵部33に貯蔵された加圧カソード室出口ガス68は、水素供給装置34を用いて、必要に応じて、水素燃料電池自動車、戸建て住宅の家庭用燃料電池コージェネレーションシステム、集合住宅の家庭用燃料電池コージェネレーションシステム、商店や工場の業務用燃料電池コージェネレーションシステム等の水素消費機器31に供給される。なお、水素供給装置34は、水素消費機器31の定格等に応じて、加圧カソード室出口ガス71の減圧を行う。
電解装置2の電解セル10のアノード6で生成した二酸化炭素を含むアノード室出口ガス17の二酸化炭素濃度は90体積%以上と高い。そのため、本実施形態の水素供給システムでは、二酸化炭素を分離回収するために二酸化炭素を吸収放出させる二酸化炭素吸収放出器を新たに設ける必要はなく、また、二酸化炭素を分離回収するためにエネルギーを消費する必要もない。アノード室出口ガス17をそのまま回収することによって、二酸化炭素の効率的な回収が可能である。
本実施形態の水素供給システムでは、二酸化炭素回収装置13で回収された高濃度の二酸化炭素を含有するアノード室出口ガス17は、必要に応じて、二酸化炭素加圧装置35によって加圧された後、二酸化炭素貯蔵部36に供給されて貯蔵される。二酸化炭素貯蔵部36に貯蔵され高濃度の二酸化炭素を含有する加圧アノード室出口ガス37は、二酸化炭素供給装置38を介してタンクローリーで定期的に回収され、二酸化炭素処理装置39に供給される。アノード室出口ガス17は、電解装置2での電解工程によって数気圧程度(数百kPa)程度まで加圧できるので、二酸化炭素加圧装置35を設けてアノード室出口ガス17を加圧することなく、そのまま二酸化炭素を含むアノード室出口ガス17を二酸化炭素供給装置38を用いてパイプラインにより二酸化炭素処理装置39に供給することも可能である。
なお、図1に示した水素供給システムにおいて、水素精製装置25、水素加圧装置27、水素貯蔵部28,40,33、二酸化炭素加圧装置35、及び二酸化炭素貯蔵部36については、これらのうちの一部または全部は必ずしも設けられる必要はなく、水素供給システムの使用目的にあわせて、それぞれ、適宜設ければよい。
図3は、図1に示した水素供給システムにおいて水素を製造し供給するプロセスを示すフロー図である。図3に示すように、水素を製造し供給するプロセスは、所定のエネルギー源から得た電力14を直流電源11で所定の変換を行って得た直流電力15によって、水溶性有機化合物の水溶液であるメタノール水溶液3を電解装置2によって電気分解して水素と二酸化炭素とを分離して生成させる電解工程121と、電解工程121で生成させた二酸化炭素を含むアノード室出口ガス17を二酸化炭素回収装置13で回収する二酸化炭素回収工程122と、二酸化炭素回収工程で回収されたアノード室出口ガス17を二酸化炭素加圧装置35で加圧する二酸化炭素加圧工程123と、二酸化炭素加圧工程123で加圧された加圧アノード室出口ガス37をを二酸化炭素貯蔵部36に貯蔵する二酸化炭素貯蔵工程124と、二酸化炭素貯蔵工程124で貯蔵された加圧アノード室出口ガス37を二酸化炭素供給装置38を用いて二酸化炭素処理装置39に供給する二酸化炭素供給工程125と、電解工程121で生成させた水素を含むカソード室出口ガス24を水素回収装置12で回収する水素回収工程126と、水素回収工程126で回収されたカソード室出口ガス24を水素精製装置25で精製する水素精製工程127と、水素精製工程127で精製された水素(高純度水素26)を水素加圧装置27で加圧する水素加圧工程128と、水素加圧工程128で加圧された水素(加圧高純度水素71)を水素貯蔵部28に貯蔵する水素貯蔵工程129と、水素貯蔵部28に貯蔵された水素(加圧高純度水素71)を水素供給装置34を用いて水素消費機器31に供給する水素供給工程130と、を備えている。なお、二酸化炭素加圧工程123、二酸化炭素貯蔵工程124、水素精製工程127、水素加圧工程128、及び水素貯蔵工程129については、必要に応じて設ければよく、必ずしも必須というわけではない。これらの工程を1以上省略する場合には、省略した工程の直前の工程のガスを、省略した工程の直後の工程でそのまま処理すればよい。
本実施形態の水素供給システムでは、二酸化炭素回収工程122において、電解装置2の電解セル10のアノード室5に隣接した二酸化炭素回収装置13は、アノード室出口ガス17と未反応メタノール水溶液16とを分離しており、この二酸化炭素回収装置13で二酸化炭素濃度が90体積%以上である高濃度二酸化炭素をアノード室出口ガス17として回収できる。したがって、本実施形態によれば、二酸化炭素供給工程125において二酸化炭素処理装置39に二酸化炭素を供給するために、二酸化炭素を分離回収するための二酸化炭素吸収放出器を設けたり、二酸化炭素を吸収放出させる工程を設けたりする必要がなくなる。そのため、二酸化炭素吸収放出器を設置するために必要なシステムコスト、及びメンテナンスコスト、エネルギーコスト等のランニングコストの削減が可能で、経済的に二酸化炭素の回収が可能な水素供給システムが実現できる。
また、本実施形態の水素供給システムでは、水素回収工程126において、電解装置2の電解セル10のカソード室9に隣接した水素回収装置12でカソード室出口ガス24と電解質膜7を透過したメタノール水溶液18とを分離しており、この水素回収装置12で水素濃度が95体積%以上の高濃度水素をカソード室出口ガス24として回収できる。したがって、水素消費機器31がこれ以上の純度を有する高純度水素26を必要としないものである場合には、水素精製装置25を設けて水素精製工程127を実行する必要がなくなる。また、高純度水素26を必要とする水素消費機器31に水素を供給する場合であっても、電解セル10での電気分解を利用してカソード室出口ガス24を数気圧(数百kPa)まで加圧することが可能であるので、膜分離を用いた水素精製装置25による水素精製工程127において必要な圧力とするためにカソード室出口ガス24を加圧する個別の加圧装置や加圧工程を不要にすることができる。したがって、水素供給システムのシステムコストとエネルギーコストの削減が可能である。
なお、本実施形態の水素供給システムでは、電解装置2において電解セル10によりメタノール水溶液3の電気分解を行うために、所定のエネルギー源から得た電力14を直流電源11で所定の直流電力15に変換して電解セル10に供給する必要があるが、図4に示すように、メタノール水溶液の電気分解の電解電圧は、水の電気分解の電解電圧の30〜42%である。電解電力は電解電圧によって決まるので、同じモル数の水素を得るために必要な電解電力を考えると、メタノール水溶液の電気分解の場合の電解電力は、水の電気分解の場合の電解電力の30〜42%である。したがって、本実施形態の水素供給システムでは、従来の水の電気分解を用いた水素供給システムと比較して、消費エネルギーの増加に伴うエネルギーコストの上昇を招くことはない。なお、図4は、電解セル10のアノード6の触媒に白金−ルテニウム触媒(メタノール水溶液3の電気分解)または白金触媒(水の電気分解)を、カソード8の触媒に白金触媒を、電解質膜7にパーフルオロスルホン酸膜をそれぞれ用いてメタノール水溶液の電気分解及び水の電気分解を行った場合の電解電圧と電解電流の関係を表したものである。電解セル10のアノード室5に供給したメタノール水溶液の濃度は17mol/l(メタノールと水のモル比が1:1)とし、メタノール水溶液3の供給量は5ml/分とした。また、電解セル10のアノード6及びカソード8の有効電極表面積は、23cm2とした。なお、メタノール水溶液の電気分解の電解電圧は、水の電気分解の電解電圧と比較して30〜42%に低下したが、図5に示すように、メタノール水溶液の電気分解において、電解電流に見合った理論生成速度で水素が生成することを確認した。
以上、本発明の好ましい実施形態の水素供給システムについて説明したが、本発明に係る水素供給システムにおいては、水素を生成させるための燃料として、メタノール水溶液の代わりに、他の水溶液有機化合物の水溶液を用いることもできる。本発明に用いられる水溶性有機化合物としては、水溶性を有する有機化合物であれば特に限定されるものではないが、中でも水に対して任意の割合で溶解する有機化合物が好ましい。また、構成元素が、水素、炭素、及び所望により酸素である有機化合物が好ましい。具体的に本発明で用いることができる水溶性有機化合物としては、水溶性を有するアルコール、有機酸、ケトン、アミン、ニトロアルカン、エーテル(環状エーテルを含む)、もしくはアルデヒド、またはそれらの誘導体などが挙げられる。アルコール、有機酸、ケトン、アミン、ニトロアルカン、エーテル、及びアルデヒドの炭素原子数は1〜20程度が好ましい。また、環状エーテルは、4〜6員環骨格であることが好ましく、環状エーテルの炭素原子数は5〜10程度が好ましい。
水溶性を有するアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソブロパノール(2−プロパノール)、ノルマルブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−へキサノール、2−へキサノール、3−へキサノール、5−メチル−1−へキサノール、イソアミルアルコール(3−メチル−1−ブタノール)、sec−イソアミルアルコール(3−メチル−2−ブタノール)、イソウンデシレンアルコール、イソオクタノール、イソペンタノール、イソゲランオール、イソへキサノール、2,4−ジメチル−1−ペンタノール、2,4,4−トリメチル−1−ペンタノール等の炭素原子数1〜20の一価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール,1,2−ペンタンジオール等の二価アルコール類、または、ブタントリオール、グリセリン、ジグリセリン等の炭素原子数3〜10の多価アルコール等が挙げられる。
水溶性を有する有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。水溶性を有するケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノン、シクロオクタノン、シクロデカノン、イソホロン等が挙げられる。水溶性を有するアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン等が挙げられる。水溶性を有するニトロアルカンとしては、例えば、ニトロエタン等が挙げられる。水溶性を有するエーテルとしては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等が挙げられる。水溶性を有する環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン等が挙げられる。水溶性を有するアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。
その他、本発明で用いることができる水溶性有機化合物としては、酢酸エチル等のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート類、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のジエチレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート類、プロピレングリコールアルキルエーテル類及びそのアセテート類、炭素原子数4〜30の一価アルコール、炭素原子数6〜30のフェノール系化合物、炭素原子数6〜30のアルキレングリコール、炭素原子数6〜30の多価アルコール、エチレンジアミン、ジエチレンポリアミン等の炭素原子数2〜6のポリアミン(窒素原子数2〜4)等からなる活性水素含有化合物にエチレンオキシド及び/またはプロピレンオキシドを付加した水溶性液状アルキレンオキシド付加物(エチレンオキシドのモル数が1〜10)、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、サッカロース、グルコース等の各種糖類、メチルセルロース、水溶性でんぷん等の水溶性多糖類もしくはその誘導体等も挙げられる。
なかでも、本発明で用いる水溶性有機化合物としては、炭素原子数3〜10の多価アルコール、炭素原子数1〜20の一価アルコール、及び炭素原子数3〜20のケトンが好ましく、さらに、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコールがより好ましい。なお、本発明で用いる水溶性有機化合物は、前述したような化合物1種類のみを単独に用いてもよいし、前述したような化合物を2種類以上組み合わせて用いてもよい。また、本発明では、水溶性有機化合物水溶液には、前述したような水溶性有機化合物が含まれていれば、それ以外の他の成分を含んでいてもよい。
なお、本発明は、前述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることは勿論である。
1 メタノール水溶液貯蔵部
2 電解装置
3 メタノール水溶液
4,19,48 ポンプ
5 アノード室
6 アノード
7 電解質膜
8 カソード
9 カソード室
10 電解セル
11 直流電源
12 水素回収装置(H2回収)
13 二酸化炭素回収装置(CO2回収)
14 電力
15 直流電力
16 未反応メタノール水溶液
17 アノード室出口ガス
18 電解質膜を透過したメタノール水溶液
20〜23,43〜46,57,65 流量制御弁
24 カソード室出口ガス
25 水素精製装置
26 高純度水素
27,32 水素加圧装置
28,33,40 水素貯蔵部
29 水素精製装置排出ガス
30,34,41 水素供給装置
31 水素消費機器
35 二酸化炭素加圧装置
36 二酸化炭素貯蔵部
37 加圧アノード室出口ガス
38 二酸化炭素供給装置
39 二酸化炭素処理装置
42 天然ガス
47,58 ブロワ
49 脱硫器
50 改質器
51,54 燃焼バーナ
52 CO変成器
53 ボイラ
55 補給水
56,67 空気
59 燃料改質装置
60 改質器出口ガス
61 水蒸気
62 硫黄成分が除去された天然ガス
63 燃料改質装置出口ガス
64 CO変成器出口ガス
66 脱硫器リサイクルガス
68 加圧カソード室出口ガス
69,70 燃焼バーナ排出ガス
71 加圧高純度水素
101 燃料改質工程
101 脱硫工程
102 水蒸気生成工程
103 水蒸気改質工程
104 CO変成工程
111,127 水素精製工程
112,128 水素加圧工程
113,129 水素貯蔵工程
114,130 水素供給工程
121 電解工程
122 二酸化炭素回収工程
123 二酸化炭素加圧工程
124 二酸化炭素貯蔵工程
125 二酸化炭素供給工程
2 電解装置
3 メタノール水溶液
4,19,48 ポンプ
5 アノード室
6 アノード
7 電解質膜
8 カソード
9 カソード室
10 電解セル
11 直流電源
12 水素回収装置(H2回収)
13 二酸化炭素回収装置(CO2回収)
14 電力
15 直流電力
16 未反応メタノール水溶液
17 アノード室出口ガス
18 電解質膜を透過したメタノール水溶液
20〜23,43〜46,57,65 流量制御弁
24 カソード室出口ガス
25 水素精製装置
26 高純度水素
27,32 水素加圧装置
28,33,40 水素貯蔵部
29 水素精製装置排出ガス
30,34,41 水素供給装置
31 水素消費機器
35 二酸化炭素加圧装置
36 二酸化炭素貯蔵部
37 加圧アノード室出口ガス
38 二酸化炭素供給装置
39 二酸化炭素処理装置
42 天然ガス
47,58 ブロワ
49 脱硫器
50 改質器
51,54 燃焼バーナ
52 CO変成器
53 ボイラ
55 補給水
56,67 空気
59 燃料改質装置
60 改質器出口ガス
61 水蒸気
62 硫黄成分が除去された天然ガス
63 燃料改質装置出口ガス
64 CO変成器出口ガス
66 脱硫器リサイクルガス
68 加圧カソード室出口ガス
69,70 燃焼バーナ排出ガス
71 加圧高純度水素
101 燃料改質工程
101 脱硫工程
102 水蒸気生成工程
103 水蒸気改質工程
104 CO変成工程
111,127 水素精製工程
112,128 水素加圧工程
113,129 水素貯蔵工程
114,130 水素供給工程
121 電解工程
122 二酸化炭素回収工程
123 二酸化炭素加圧工程
124 二酸化炭素貯蔵工程
125 二酸化炭素供給工程
Claims (11)
- 水溶性有機化合物と水とから水素を製造して供給する水素供給システムにおいて、
前記水溶性有機化合物の水溶液を電気分解して水素と二酸化炭素を分離して生成させる電解手段と、
前記電解手段で分離して生成させた前記二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収手段と、
前記二酸化炭素回収手段で回収された前記二酸化炭素を二酸化炭素の供給先に供給する二酸化炭素供給手段と、
前記電解手段で分離して生成させた前記水素を回収する水素回収手段と、
前記水素回収手段で回収された前記水素を水素の供給先に供給する水素供給手段と、
を有することを特徴とする水素供給システム。 - 前記水素回収手段で回収された前記水素を精製する水素精製手段を有する、請求項1に記載の水素供給システム。
- 前記水素精製手段で精製された前記水素を貯蔵する水素貯蔵手段を有する、請求項2に記載の水素供給システム。
- 前記水素精製手段で精製された前記水素を加圧する水素加圧手段を有する、請求項2または3に記載の水素供給システム。
- 前記水素回収手段で回収された前記水素を加圧する水素加圧手段を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水素供給システム。
- 前記水素加圧手段で加圧された前記水素を貯蔵する水素貯蔵手段を有する、請求項4または5に記載の水素供給システム。
- 前記水素回収手段で回収された前記水素を貯蔵する水素貯蔵手段を有する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の水素供給システム。
- 前記二酸化炭素回収手段で回収された前記二酸化炭素を加圧する二酸化炭素加圧手段を有する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の水素供給システム。
- 前記二酸化炭素加圧手段で加圧された前記二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素貯蔵手段を有する、請求項8に記載の水素供給システム。
- 前記二酸化炭素回収手段で回収された前記二酸化炭素を貯蔵する二酸化炭素貯蔵手段を有する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の水素供給システム。
- 前記水溶性有機化合物が、メタノール、エタノール、2−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の水素供給システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006048263A JP2007224382A (ja) | 2006-02-24 | 2006-02-24 | 水素供給システム |
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JP2006048263A JP2007224382A (ja) | 2006-02-24 | 2006-02-24 | 水素供給システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007224382A true JP2007224382A (ja) | 2007-09-06 |
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JP2006048263A Pending JP2007224382A (ja) | 2006-02-24 | 2006-02-24 | 水素供給システム |
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Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63219593A (ja) * | 1987-03-09 | 1988-09-13 | Hitachi Ltd | 水素製造方法 |
JPH06321501A (ja) * | 1993-05-10 | 1994-11-22 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 電気化学装置および水素発生方法 |
JPH11229167A (ja) * | 1998-02-16 | 1999-08-24 | Permelec Electrode Ltd | 電解水素発生装置 |
JP2006502957A (ja) * | 2002-10-17 | 2006-01-26 | マイクロリス・コーポレイシヨン | 二酸化炭素を精製する方法。 |
-
2006
- 2006-02-24 JP JP2006048263A patent/JP2007224382A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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JP2006502957A (ja) * | 2002-10-17 | 2006-01-26 | マイクロリス・コーポレイシヨン | 二酸化炭素を精製する方法。 |
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