JP2007224267A - 三成分よりなるプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

三成分よりなるプロピレン系樹脂組成物 Download PDF

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【課題】プロピレン系樹脂組成物の三成分系材料において、剛性や耐熱性及び耐衝撃性をバランスよく向上させ、低温(−30℃程度)での耐衝撃性をも改良する。
【解決手段】結晶性プロピレン重合体成分(a)60〜95重量%と、プロピレン−エチレン共重合体成分(b)40〜5重量%とからなり、各成分はメタロセン系触媒を用いて重合され、下記の特性i)〜iv)を満たすプロピレン系樹脂組成物。
i)DSCによる融点が156℃以上である
ii)TREFによる共重合体成分(b)の割合が、5〜40wt%である
iii)TREFによる共重合体成分(b)のエチレン含量が、30〜50wt%である
iv)共重合体成分(b)がエチレン含量の異なる少なくとも二種類のプロピレン−エチレン共重合体成分(b−1)及び(b−2)からなり、成分(b−1)のエチレン含量が15〜30wt%、成分(b−2)のエチレン含量が40〜55wt%であり、更に成分(b−1)及び成分(b−2)の量比が1:99〜40:60の範囲にある

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物に関し、詳しくは、特定の結晶性プロピレン重合体成分と二種類の特定のプロピレン−エチレン共重合体成分からなる三成分樹脂組成物に係わり、具体的には、均一性の高い共重合が可能なメタロセン系触媒を用いて多段階の逐次重合を行うことによって得られた、或いは各成分のブレンドにより得られた、結晶性プロピレン重合体成分と二種類のプロピレン−エチレン共重合体からなる組成物であって、剛性と耐熱性及び耐衝撃性がバランスよく優れ、さらに低温における耐衝撃性も向上された特徴を有するものである。
プロピレン系樹脂は、成形性や各種の物性及び経済性や環境問題適応性などの卓越した性能により、汎用樹脂材料として産業界において重用されているが、さらにその性能を高めるために、エチレンなどの他のオレフィンとの共重合体やオレフィン系樹脂などの他の樹脂材料との組成物として改良することも、以前から広汎になされている。
プロピレン系樹脂は剛性や耐熱性などに非常に優れているが、物性として重要な耐衝撃性が比較的に低いので、プロピレンとエチレンのランダム共重合体或いはポリプロピレンとその共重合体とのブレンドによる組成物として、耐衝撃性を向上させる手法が以前からよく知られている。
なかでも、そのような組成物が一連の重合工程によって得られたものは、代表的には、第1工程で結晶性ポリプロピレンを第2工程でプロピレン−エチレン共重合体を製造することで得られたものは、通常、プロピレン−エチレンブロック共重合体と称されて、剛性と耐衝撃性のバランスにおいて優れた性能を発揮することから、自動車の内外装をはじめとする多くの産業分野で利用されてきた。
かかるプロピレン−エチレンブロック共重合体は、工業的には殆どチーグラー系の触媒を用いて製造されているが、チーグラー系触媒は、一般に多種の活性点を有し(いわゆるマルチサイト)、分子量分布やプロピレン−エチレン共重合体部のコモノマー組成分布が広いことが知られている。
そのような組成分布の広いプロピレン−エチレン共重合体の場合には、共重合の均一性が低く、また、共重合体中に結晶化可能な程度のプロピレン連鎖或いはエチレン連鎖が存在することとなり、これらはブロック共重合体の耐衝撃性に悪影響を及ぼすと考えられ、さらに、共重合体成分のうち低エチレン含量成分や低分子量成分が、結晶性ポリプロピレン成分に溶け込む結果として耐熱性が悪化することも指摘されている。(特許文献1を参照)
そこで、最近に工業的に重用されるようになってきたメタロセン系触媒によって、プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造して、剛性や耐熱性と耐衝撃性をバランスよく向上させようとする試みも多数なされており、専ら結晶性プロピレン単独重合体又は少量のエチレンとの共重合体及びプロピレン−エチレン共重合体を二段重合で製造している(特許文献1〜4を参照)。
メタロセン系触媒は、重合活性点が均一である(シングルサイト)ことが大きな特徴であり、チーグラー系触媒に比して、分子量やコモノマー組成分布が狭くなる。従って、より均質で軟質なゴム成分が生成されて耐衝撃性の向上がなされ、また、結晶性ポリプロピレン成分との相溶性も制御できることから、上記の耐熱性に関する問題点も改良されると考えられる。
しかしながら、組成分布が狭いことは半面において、結晶性ポリプロピレン成分とプロピレン−エチレン共重合体成分の親和性を減ずることとなり、これは共重合体成分(エラストマー成分)の粒径や界面強度に悪影響を与え、単にメタロセン系触媒を使用して、結晶性ポリプロピレンと共重合体成分の二成分を製造するだけの単純なブロック共重合体では、剛性と耐熱性及び耐衝撃性などにおいて全てにバランスよく満足する物性を与えるプロピレン系ブロック共重合体は得られ難い現状となっている。
ところで、かかるプロピレン系ブロック共重合体の剛性や耐熱性及び耐衝撃性などをバランスよく向上させるためには、共重合体成分により充分な耐衝撃性を保持しつつ、同時に結晶性ポリプロピレンと共重合体成分の相溶性を適度な範囲で制御することが必要であると考えられ、このポリプロピレン成分と共重合体成分との相溶性の問題は、程度の違いこそあれ従来のチーグラー系触媒で製造されたプロピレン−エチレンブロック共重合体においても見られてきたもので、ポリプロピレン成分と共重合体部の相溶化剤成分を付加することによって、これらの相溶性を高める手法が古くから知られている(特許文献5,6を参照)。この手法では、チーグラー系触媒を用いて三段重合により、ポリプロピレン成分とプロピレン−エチレン共重合体成分及びプロピレン−エチレン共重合体の相溶化剤成分を重合している。
かかる手法において最近では、さらに各成分の極限粘度やMFRを規定して、結晶性ポリプロピレン成分と相溶化剤としての比較的低エチレン含量の共重合体成分及び比較的高エチレン含量の共重合体成分からなる、低温での耐衝撃性にも優れるとされる共重合体も開示されているが(特許文献7,8を参照)、物性上のバランスを向上させるためには、各成分のエチレン含量のみの規定では不充分であり、極限粘度すなわち分子量やMFRまでもが特定の範囲に規定されなければならないことが示されているとしても、チーグラー系触媒を使用するので広い分子量分布や組成分布による、段落0004に前述した問題点は内在している。なお他にも、相溶化剤成分として、少なくとも80重量%以上のプロピレンを含むエチレン−プロピレン共重合体が、低温での耐衝撃性を向上させることも示されている(特許文献9を参照)。
さらに、最近においては、上記のチーグラー系触媒を用いる手法と同様に、メタロセン系触媒を用いて、プロピレン−エチレン共重合体の相溶化剤成分を含み、剛性と耐熱性及び耐衝撃性のバランスに優れたプロピレン系樹脂組成物を、少なくとも三段の重合により製造する試みがなされて提示されているが(特許文献10を参照)、先のチーグラー系触媒による三段重合法において、チーグラー系触媒の代わりにメタロセン系触媒を使用して組成物を製造し、各成分の幅広い成分比やエチレン含量と共に広汎な極限粘度やMFRなどが規定されているだけで、具体的に、剛性と耐熱性及び耐衝撃性のバランスに優れたプロピレン系樹脂組成物についての製法を開示しているとはいい難いものである。
なお、最近においては、ポリプロピレン系樹脂においても、さらなる高性能化ないしは高機能化のひとつとして、冷凍食品保存包装材料や低温下での工業材料などにおいて、常温での耐衝撃性に加えて低温(−30℃程度)の耐衝撃性(耐寒性)の向上の要請も強くなっているが、先の特許文献の3,7,9に低温での耐衝撃性の向上が示唆されているとしても、他の物性とのバランスが保たれているとは必ずしもいえず、かかる物性の向上も望まれているところである。
以上に概述したように、産業用樹脂資材として非常に重要であるプロピレン系樹脂材料においては、その製造に非常に汎用されかつ有用なチーグラー系触媒やメタロセン系触媒を用いて製造され、各種の改良手法がなされたプロピレン系共重合体においても、剛性や耐熱性及び耐衝撃性がバランスよく充分に改良され向上されているとは未だいえず、また、低温の耐衝撃性も必ずしも充分に満足できるものではなく、これらの向上がなお待たれている状況であるというべきである。
特開平8−67783号公報(要約、特許請求の範囲の請求項1,3,4及び段落0002〜0004) 特開平4−337308号公報(要約) 特開平5−202152号公報(要約) 特開平6−172414号公報(要約) 特開昭57−67611号公報(特許請求の範囲の請求項1) 特開昭61−152442号公報(特許請求の範囲(1)、第2頁右下欄1〜2行、第3頁右上欄下5行〜左下欄2行及び第4頁の実施例1) 特開2003−327642号公報(要約、特許請求の範囲の請求項1及び段落0021) 特開平9−48831号公報(要約) 特表2002−501555号公報(要約、特許請求の範囲の請求項1及び11頁の9〜10行) WO95/27741号公報(要約、請求の範囲の1、及び49頁の1〜3行)
背景技術として段落0002〜0009において概観したプロピレン系樹脂材料における技術改良の流れを鑑みて、剛性や耐熱性及び耐衝撃性をバランスよく向上させることが、さらには最近の強い要請である低温での耐衝撃性をも改良することが、未だ充分には達成されているとはいえない状況であるので、本発明は、プロピレン系樹脂組成物の三段重合製造法、あるいはブレンド工程を利用してプロピレン系樹脂材料におけるかかる向上改良をなすことを、発明が解決すべき課題とするものである。
本発明者らは、プロピレン系樹脂組成物の三段重合製造法などを利用してプロピレン系樹脂材料におけるかかる課題の解決をなすために、三段重合などにおける重合触媒の種類や重合条件及び組成物の各成分の配合比やエチレン含量、或いは相溶化剤成分における相溶性機能、さらには分子量やガラス転移温度などの各種の特性値、これらの特性値の組み合わせによる組成物の物性の変化などについて、多観点から詳細に考察し勘案して実験による比較と実証を試行し積み重ねて、それらの過程において、上記の課題を解決するには、プロピレン系重合体とプロピレン−エチレン共重合体からなるプロピレン系樹脂組成物の三段重合或いは三成分組成物において、メタロセン系触媒の特性を利用し、組成物の各成分の配合比やエチレン含量の特定による相溶化性の向上、TREF手法(温度昇温溶解度分別測定法)による各成分の特定、各成分の配合比やエチレン含量の工夫による耐衝撃性の物性の高揚などが、本質的に重要であるとの認識を得ることができ、その認識を具現化することにより本発明を創作するに至った。
その具現化は、メタロセン系触媒の特性を利用する三段重合法又は三成分ブレンドなどによるプロピレン系樹脂組成物において、特定の物性を有する結晶性ポリプロピレン、エチレンとの共重合体成分及びエチレン含量の比較的に低い特定の共重合体である相溶化剤成分(結晶性プロピレン重合体とプロピレン−エチレン共重合体〔エラストマーと称されることがある〕との溶解性を向上させる成分)の特定の量比での組み合わせ、TREF手法を利用する各成分の規定などによってなすことができ、プロピレン系樹脂材料における、剛性や耐熱性及び耐衝撃性をバランスよく向上させ、低温での耐衝撃性をも改良することを、ようやく充分に達成するにことを実現できた。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、基本的には、プロピレン単独重合体成分或いはプロピレンと3wt%までのエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体からなる結晶性プロピレン重合体成分(a)60〜95重量%と、プロピレン−エチレン共重合体成分(b)40〜5重量%とからなり、各成分はメタロセン系触媒を用いて重合され、(b)成分はさらに二成分から構成されて二成分の量比とエチレン含量が規定され、示差走査熱量測定(DSC)によって得られる融点及びTREFから求められる共重合体成分の割合が特定される樹脂組成物である。
かかる発明構成の基本的な要件は、後述する各実施例と各比較例との対照によって、その合理性と有意性が実証されているものである。
本発明はさらに付加的な要件として、固体粘弾性測定によって得られる、プロピレン−エチレン共重合体成分(b)由来のtanδのピーク温度、各成分の重量平均分子量、重合に使用されるメタロセン系触媒の選定或いは他成分としてのエラストマー(ゴム成分)の採用などにより特定化されるものでもある。
本発明は、プロピレン系樹脂材料における、剛性や耐熱性及び耐衝撃性をバランスよく向上させ、低温(−30℃程度)での耐衝撃性をも改良することを充分に達成できたことを特徴とするものであるが、さらには、各実施例と各比較例との対照から明らかにされているように、特定のプロピレン−エチレン共重合体の二成分の配合比の特性化により、耐衝撃性が相乗して増加されることを顕著な特徴とするものである。
チーグラー系触媒の三段重合によるプロピレン系樹脂組成物においては、プロピレン−エチレン共重合体の配合比の増加に伴い耐衝撃性が増加するが、エチレン含量に対してはその中間的な組成に対応した衝撃強度を示すのに対し、本発明では、特定の二成分のプロピレン−エチレン共重合体の組み合わせを使用するので、その二成分のプロピレン−エチレン共重合体の配合に伴い耐衝撃性が特異的に増加する特性を見い出すことができる。この特性は、いわゆるゴム状(エラストマー)の共重合体二成分の双方の相溶性が非常に高く、その界面での親和性が良好であることに因ると推測される。
ところで、本発明が基本的な要件のひとつとする、メタロセン系触媒を使用する三段重合などによる、相溶化剤を含有するプロピレン系樹脂組成物について、先の背景技術における段落0010に記載した各特許文献及びその他の従来技術の特許文献を精査すると、本発明に具体的に関連する記載の見られる文献では、特許文献1(特開平8−67783号公報)は、メタロセン系触媒を使用する二段重合によるプロピレン系樹脂組成物の発明に関するものであるが、その段落0013に、メタロセン系触媒による分散促進剤(第三成分の相溶化剤)のエチレン系共重合体は多段重合で加えることもできると記載されているけれども、単にこの記載がなされているだけで、メタロセン系触媒による三段重合については具体的な記述や実施例などは何も見い出せない。なお、この程度の記載は、特許文献9の11頁16〜27行にも見られる。
特許文献10(WO95−27741号公報)には、具体的に、メタロセン系触媒を使用する三段重合による、相溶化剤を含有するプロピレン系樹脂組成物について記載されており、「メタロセン系触媒の存在下に、少なくとも三段の重合を行い、融点が100℃以上で、MFR(230℃・荷重2.16kg)が0.01〜1000g/10分である、プロピレンを少なくとも80モル%以上含むプロピレン(共)重合体成分20〜90重量%、プロピレンを50モル%以上含み極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあるプロピレン・オレフィン共重合体成分5〜75重量%、エチレンを50モル%以上含み極限粘度が0.1〜20dl/gの範囲にあるエチレン・オレフィン共重合体成分5〜75重量%からなり、MFRが0.01〜500g/10分である、プロピレン系樹脂組成物の製造方法。」が記載され(97〜98頁の請求の範囲1の要約)、相溶化剤による耐衝撃性の向上(49頁1〜3行)及び二成分のガラス転移温度(51頁1行、53頁7行)にも触れられているが、文献記載の内容が大略において触媒成分や周知事項などの縷々とした記載ばかりであり発明の本質記載は殆ど見い出せないので、背景技術における段落0007に記載したように、発明の実体は、先のチーグラー系触媒による三段重合法にお
いて、チーグラー系触媒の代わりにメタロセン系触媒を使用して組成物を製造し、各成分の幅広い成分比やエチレン含量と共に広汎な極限粘度やMFRなどが規定されているだけで、具体的に、剛性と耐熱性及び耐衝撃性のバランスに優れたプロピレン系樹脂組成物についての製法を明確に開示しているとはいい難いものである。
一方、本発明は、段落0013〜0015に前述したとおりの、プロピレン系樹脂組成物における特定の構成の具体的な要件を備え、剛性と耐熱性及び耐衝撃性のバランスに優れたプロピレン系樹脂組成物において更に低温耐衝撃性の特有の向上などの格別な効果を奏するものであるから、結局、かかる先行文献の記載は、本発明を示唆するものではなく窺わせるものでもないということができる。
以上において、本発明の創作の経緯及び発明の特定の構成や主たる特徴さらには関連した従来技術との対比などについて概括的に記述したので、ここで本発明の全体の構成について俯瞰して総括すると、本発明は以下の発明の単位群から成るものであり、[1]に記載のものが基本発明であり[2]以下の発明は基本発明に付加的な要件を加え、或いは実施の態様化をするものである。
[1]プロピレン単独重合体成分、或いはプロピレンと3wt%までのエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体からなる結晶性プロピレン重合体成分(a)60〜95wt%と、プロピレン−エチレン共重合体成分(b)40〜5wt%とからなり、各成分はメタロセン系触媒を用いて重合され、下記の特性i)〜iv)を満たすことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
i)示差走査熱量測定(DSC)によって得られる融点が、156℃以上であること。
ii)40℃,100℃,140℃の三水準の温度で分別する温度昇温溶解度分別測定(TREF)から求められる共重合体成分(b)の割合が、5〜40wt%であること。
iii) 40℃,100℃,140℃の三水準の温度で分別する温度昇温溶解度分別測定(TREF)から求められる共重合体成分(b)のエチレン含量が、30〜50wt%であり、40〜100℃で溶出する成分中の平均エチレン含量が10wt%以下であること。
iv)プロピレン−エチレン共重合体成分(b)がエチレン含量の異なる少なくとも二種類のプロピレン−エチレン共重合体成分(b−1)及び成分(b−2)からなり、成分(b−1)のエチレン含量が15〜30wt%、成分(b−2)のエチレン含量が40〜55wt%であり、更に成分(b−1)及び成分(b−2)の量比(b−1):(b−2)が、1:99〜40:60の範囲にあること。
[2]下記の特性v)を満たすことを特徴とする、[1]におけるプロピレン系樹脂組成物。
v)−80〜150℃の範囲で周波数1Hzの条件による固体粘弾性測定によって得られる、プロピレン−エチレン共重合体成分(b)由来のtanδのピーク温度が−47℃以下にあること。
[3]プロピレン−エチレン共重合体の成分(b−1)及び成分(b−2)の重量平均分子量が共に250,000〜1,000,000であり、成分(a)の重量平均分子量が60,000〜250,000であることを特徴とする、[1]又は[2]におけるプロピレン系樹脂組成物。
[4]プロピレン−エチレン共重合体の成分(b−1)の重量平均分子量が成分(b−2)の重量平均分子量以上であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかにおけるプロピレン系樹脂組成物。
[5]各成分が逐次多段重合により製造される、又は個別に重合された各成分が混合される、或いはこれらの工程を組み合わされて製造されることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるプロピレン系樹脂組成物。
[6]成分(a)及び(b)が、(A)下記一般式[I]で示される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(B−2)遷移金属化合物と反応してカチオンを形成可能な化合物、(B−3)イオン交換性層状化合物(珪酸塩を含む)におけるいずれか一種類以上からなる活性化剤を必須成分とし、(C)有機アルミニウム化合物を任意成分とする、メタロセン系触媒の存在下に製造されることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかにおけるプロピレン系樹脂組成物。
Figure 2007224267
(一般式[I]中において、A 及びAは、共役五員環配位子〔同一化合物内ではA 及びA は同一でも異なっていてもよい〕を示し、結合性基Qに結合していない共役五員環の炭素は置換基を有してもよく、Qは、2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基、Mは、周期律表4〜6族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは、それぞれ独立して、Mと結合した、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。)
[7]プロピレン−エチレン共重合体成分(b−1)及び成分(b−2)の配合比により、低温耐衝撃性が相乗して増加されることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかにおけるプロピレン系樹脂組成物。
[8][1]〜[7]いずれかにおけるプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、エチレン・α−オレフィン系エラストマー又はスチレン系エラストマー1〜70重量部を含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
本発明は、プロピレン系樹脂材料における、剛性や耐熱性及び耐衝撃性をバランスよく充分に向上させ、低温(−30℃程度)での耐衝撃性をも改良することができ、さらには、プロピレン−エチレン共重合体の二成分の配合比の特定化により、耐衝撃性が相乗して増加される顕著な効果を奏するものである。
以上においては本発明に関わる概略及び発明の構成の骨格について概述したので、以下においては、本発明における各発明群を詳細に説明するために、発明の実施の形態を具体的に詳しく記述する。
1.プロピレン系樹脂組成物について
(1)樹脂組成物の基本規定
i)成分
本発明の樹脂組成物の基本的な規定は、プロピレン単独重合体成分、或いはプロピレンと3wt%までのエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体からなる結晶性プロピレン重合体成分(a)60〜95wt%と、プロピレン−エチレン共重合体成分(b)40〜5wt%とからなり、各成分はメタロセン系触媒を用いて重合されるプロピレン系樹脂組成物である。なお、他の成分の配合を排除するものではない。
ii)融点
組成物の剛性と耐熱性の観点から、プロピレン系樹脂組成物の融点はより高いことが好ましく、156℃以上であることを特徴とし、好ましくは157℃以上、さらに好ましくは158℃以上である。
プロピレン系樹脂組成物の融点を高めるためには、一般に高い立体規則性を有するプロピレン系樹脂が得られるような触媒成分や重合条件の選択をする必要がある。特に触媒成分の選択が重要であるが、その好ましい例については段落0048以降に後述する。
なお、本発明においては融点は示差走査熱量(DSC)測定によって得られるものとし、サンプル5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/minの降温速度で結晶化させてその熱履歴を消去し、更に10℃/minの昇温速度で融解させた時の融解曲線のピーク温度を融点とする。樹脂組成物に複数の融点が観測される場合には最も高い温度で観測されるものを樹脂組成物の融点とする。
融点の上限を規定する必要は特に無いが、180℃を上回るものは事実上製造が困難である。
(2)結晶性プロピレン重合体成分(a)
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、剛性と耐熱性に優れることを特徴とし、そのためには、結晶性プロピレン重合体成分(a)(多段重合によって製造する場合には、例えば、一段階目の重合で製造されるもの)は、プロピレンを97重量%以上含む必要があり、99重量%以上含む重合体であることが好ましく、最も好ましくはプロピレン単独重合体である。
(3)プロピレン−エチレン共重合体成分(b)
i)配合比
本発明のプロピレン系樹脂組成物に耐衝撃性を付与するため、プロピレン−エチレン共重合体成分(b)の組成物全体に対する割合(多段重合によって製造する場合には、例えば、二段階以降の重合で製造される成分の重量の和)は、40〜5重量%に規定される。好ましくは39〜6重量%、さらに好ましくは38〜7重量%である。従って、結晶性ポリプロピレン成分の割合は60〜95重量%の範囲、好ましくは61〜94重量%、さらに好ましくは62〜93重量%となる。共重合体成分の含量がこの範囲を上回る場合は、剛性と耐熱性に劣り、下回る場合は耐衝撃性に劣る。
ii)配合比及びエチレン含量の測定(TREF測定)
イ.TREF手法
共重合体成分(b)の割合は、重合時におけるマテリアルバランスから計算することも可能であるが、より詳細には、温度昇温溶解度分別測定法(TREF)によって求めることができる。
ブロック共重合体の結晶性分布をTREFにより評価する手法は、当該業者によく知られるものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Po
lym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild ,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,
8,1639−1654(1995)
TREF測定では、結晶性が低いものほど低温で溶出し、結晶性の高いものほど高温で溶出するため、ポリプロピレン系樹脂の結晶性がどのような分布を持っているかを正確に把握することができる。
ロ.TREFによる測定
本発明におけるTREFの手法では、具体的には下記に記すように、分別されたフラクションをGPCとFT−IRを組み合わせた装置によって分析することにより、各々の分子量とエチレン含量測定を同時に行い、プロピレン系樹脂組成物の種々の特性値(インデックス)を決定することができる。この手法の詳細は特開2003−147035号公報に記載されているが、以下に具体的な手順を簡便に記述する。
a.使用する分析装置
[クロス分別装置]
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
[フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析]
FT−IR パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。
CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)]
CFC後段のGPCカラムは、昭和電工製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
b.CFCの測定条件
溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB) サンプル濃度:4mg/mL
注入量:0.4mL 結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。 分別方法:昇温溶出分別時の分別温度は40,100,140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40,W100,W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。 溶出時溶媒流速:1mL/min
c.FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
検出器:MCT 分解能:8cm−1 測定間隔:0.2分(12秒) 一測定当たりの積算回数:15回
d.測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2,945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
分子量への換算は、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
[標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時]
K=1.38×10−4 α=0.70
[プロピレン−エチレンブロック共重合体のサンプル測定時]
K=1.03×10−4 α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、GPC−IRによって得られる2,956cm−1の吸光度と2,927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定などによりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレン−ラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
ハ.共重合体含有量の理論計算
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物中の共重合体成分(b)の含有量は、下記式(I)で定義され、以下のような手順で求められる。
共重合体成分含有量(重量%) =
40×A40/B40+W100×A100/B100 (I)
40,W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40,A100は、W40,W100に対応する各フラククションにおける平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40,B100は、各フラクションに含まれる共重合体成分のエチレン含有量(単位:重量%)である。A40,A100,B40,B100の求め方は後述する。
(I)式の意味は以下の通りである。(I)式右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれる共重合体の量を算出する項である。フラクション1が共重合体のみを含み、PP(プロピレン重合体)を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来の共重合体含有量に寄与するが、フラクション1には共重合体由来の成分の他に少量のPP由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、共重合体成分由来の量を算出する。例えばフラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれる共重合体のエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)は共重合体由来、残りの1/4はPP由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)から共重合体の寄与を算出することを意味する。右辺第二項も同様であり、各々のフラクションについて、共重合体の寄与を算出して加え合わせたものが共重合体含有量となる。
ニ.共重合体含有量の実測
フラクション1〜3の平均エチレン含有量A40,A100は、2,945cm−1の吸光度のクロマトグラムにおける各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量(2,956cm−1の吸光度と2,927cm−1の吸光度との比から得られる)の積の総和によって得られる。
フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2及び3については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明ではB100=100と定義する。B40,B100は各フラクションに含まれる共重合体のエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由はフラクションに混在するPPとEPを完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果を合理的に説明することができることが分かった。また、B100はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、及びこれらのフラクションに含まれる共重合体の量がフラクション1に含まれる共重合体の量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=100として解析を行うこととしている。
従って、以下の式に従い共重合体成分(b)含有量を求めることができる。
共重合体成分含有量(重量%)
=W40×A40/B40+W100×A100/100 (II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は結晶性を持たない共重合体成分含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は結晶性を持つ共重合体成分含有量(重量%)を示す。
共重合体成分中のエチレン含量は、(II)式で求めた共重合体成分の含有量を用いて、下式で求められる。
共重合体成分中のエチレン含量(重量%)
=(W40×A40+W100×A100)/[共重合体成分含有量] (III)
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は次の通りである。本発明のCFC分析においては、40℃とは結晶性を持たないポリマー(例えば共重合体成分の大部分、もしくはプロピレン重合体成分(PP)の中でも極端に分子量の低い成分及びアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えば共重合体成分中、エチレン及び/又はプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、及び結晶性の低いPP)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えばPP中特に結晶性の高い成分、及び共重合体成分中の極端に分子量が高くかつエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系樹脂組成物の全量を回収するのに必要十分な温度である。
iii)エチレン含量
共重合体成分(b)中のエチレン含量は重合時のマテリアルバランスから求めることもできるが、やはり上記の手法によって求めることが好ましく、ブロック共重合体に低温衝撃性を付与する観点から、その範囲は30〜50wt%であることが必要であり、好ましくは32〜47wt%、さらに好ましくは35〜43wt%の範囲である。この範囲を下回る場合には低温での耐衝撃性に劣り、上回る場合にはPP成分と共重合体成分の相溶性が低下し過ぎて、やはり耐衝撃性に劣るものとなる。
(4)共重合体二成分におけるエチレン含量比及び配合比の特性
i)基本的な特性
本発明のプロピレン系樹脂組成物の本質的な特徴は、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(b)がエチレン含量の異なる少なくとも二成分のプロピレン−エチレンランダム共重合体からなり、共重合体二成分におけるエチレン含量比及び配合比が特定されることである。この特徴により、すなわち、段落0015においても強調したが、特定のエチレン含量のプロピレン−エチレン共重合体二成分における配合比の特性化により、耐衝撃性が相乗して増加されることを顕著な効果とするものである。
共重合体成分(b)としては、比較的エチレン含量の高いプロピレン−エチレン共重合体からなる共重合体成分(b−2)と、比較的エチレン含量の低いプロピレン−エチレン共重合体からなる相溶化剤成分(b−1)の二成分が必須の成分である。他の各種条件を満足する限り、成分(b−1)及び成分(b−2)がそれぞれ複数の成分からなる組成物であっても構わないが、製造コストの観点からは、結晶性ポリプロピレン成分、低エチレン含量の相溶化剤成分、高エチレン含量の共重合体成分の三成分であることが好ましい。
プロピレン系樹脂組成物の全体的な物性バランスの向上を目指すために、共重合体成分中の成分(b−1)と(b−2)についてエチレン含量と量比をさらに詳細に規定する。成分(b−2)はプロピレン系樹脂組成物に低温での耐衝撃性を付与するために必要な共重合体成分であり、成分(b−1)はプロピレン重合体成分と高エチレン含量成分の相溶化剤成分である。特に本発明のようにメタロセン系触媒を用いる場合は、分子量分布や共重合体の組成分布がチーグラー系触媒による場合に比べて狭いために、相溶化剤成分がより重要となり、特に相溶化剤成分においてより精密な特性値(インデックス)の規定が必要となる。
ii)エチレン含量の規定
以上の考察から、本発明のプロピレン系樹脂組成物において、相溶化剤成分である成分(b−1)のエチレン含量は、15〜30wt%であることを特徴とする。好ましくは15〜25wt%の範囲である。エチレン含量がこの範囲を下回る場合は成分(b−2)との相溶性が悪くなり、上回る場合には成分(a)との相溶性が悪くなり、どちらにおいても相溶化剤としての性能を充分に発揮することができない。
なお、先行文献の特表2002−501555号公報(段落0010に引用した特許文献9)には、相溶化剤成分として、少くとも80重量%のプロピレン含有率を有するエチレン−プロピレンコポリマーが開示されているが、その内容を精査すると、相溶化剤成分のエチレン含量は8.5〜13wt%の範囲の比較的低い数値の範囲となっている。その明細書23ページ及び図3においては、相溶化剤成分を加えた場合の衝撃試験における破壊の形態がキャビテーションの兆候を伴わない伸ばされたゴム粒子と説明されている。これらの結果から推察されることは、相溶化剤成分は主にマトリックスであるホモポリプロピレン中に含まれ、その物性をより塑性的に改質しているものと考えられる。しかしながら、そのような低すぎるエチレン含量を有する相溶化剤成分では、マトリックスであるポリプロピレンに相溶することで剛性を低下させてしまう悪影響が顕著となり、また、エチレン含量が低すぎるために相溶化剤成分のガラス転移温度が高く、結果的に組成物全体の、特に低温における衝撃強度改良が達成されなくなってしまう。
即ち、相溶化剤成分としては、マトリックスである結晶性プロピレン重合体(本発明では成分(a))と高エチレン含量の共重合体(本発明では成分(b−2))の両成分に対して、ある程度の親和性を有しつつも、完全には相溶しない成分が好ましい。この観点からも、本発明においては、相溶化剤成分としての成分(b−1)のエチレン含量の下限は15wt%であることが必要である。
また、溶化剤成分がマトリックスである結晶性プロピレン重合体成分に優先的に相溶しているか否かは、組成物全体のガラス転移温度を測定することで判断することが可能である。本発明で規定するような相溶化剤成分のエチレン含量の範囲では、相溶化剤成分は結晶性プロピレン重合体成分には僅かに相溶するのみであるから、結晶性プロピレン重合体のガラス転移温度は、相溶化剤成分を入れない場合に比べて大きく変化しない。一方で、相溶化剤成分のエチレン含量が本発明の範囲を下回る場合には、その殆どが結晶性プロピレン重合体に相溶してしまうために結晶性プロピレン重合体のガラス転移温度が上記の場合に比べて数度(℃)低い値として検出される。なお、結晶性プロピレン重合体のガラス転移温度は、固体粘弾性測定(DMA)から得られる損失正接−温度のプロファイルにおいて、温度−10〜10℃程度の範囲で検出されるピークの位置として定義する。以上の現象は、後述する表6における、各実施例と各比較例の対照に顕現されている。
成分(b−2)のエチレン含量は40〜55wt%であることを特徴とする。好ましくは41〜53wt%、より好ましくは42〜50wt%の範囲である。エチレン含量がこの範囲を外れる場合、共重合体成分のガラス転移温度が高くなり、充分な低温耐衝撃性を得ることができない。
なお、エチレン含量の制御は、重合反応におけるエチレンの供給量の調整によって、或いはブレンド成分の選択により行う。
iii)二成分の量比の規定 成分(b−1)と成分(b−2)の量比は、(b−1):(b−2)=1:99〜40:60であることが物性バランス上好ましい。好ましくは5:95〜35:65、さらに好ましくは10:90〜30:70の範囲である。成分(b−1)の量比がこの範囲を下回ると相溶化剤としての効果が小さくなり、常温と低温において共に充分な耐衝撃性が得られず、この範囲を上回ると(b−2)の含量が少なくなりすぎて低温耐衝撃性を損ねるため好ましくない。
成分(b−1)と(b−2)のエチレン含量及び量比は、成分(a)と(b−1)及び(b−2)の各成分を別個に製造し混練によって樹脂組成物とする場合には、予め各成分のエチレン含量を決定しておき、混練量比によって量比の制御ができる。多段重合によって製造する場合には、重合工程のマテリアルバランス又は重合途中での抜き出しサンプルの分析或いは前記したTREF−IRによる測定によって決定できる。
(5)重合触媒の特定 本発明のブロック共重合体は、共重合体二成分のエチレン含量や配合比その他の規定において精密なインデックスの制御が必要であり、そのためには、重合体の分子量分布や共重合体組成が狭く均一となるなメタロセン系触媒によって製造されることが必要となる。 メタロセン系触媒を用いてブロック共重合体を製造した場合に物性上得られる利点は、既に詳述したように、TREFによるポリマーの構造の観点からも、従来のチーグラー系触媒によるブロック共重合体からも明らかである。すなわち、メタロセン系触媒によってブロック共重合体を製造する場合、耐衝撃性に悪影響を及ぼす成分(b)中のポリエチレンの結晶性に由来する構造が殆ど無い。従って、本発明のブロック共重合体は前記した手法のTREFにおいて、40〜100℃での溶解成分中の平均エチレン含量A100が、10wt%以下であることを特徴とし、好ましくは5wt%以下、さらに好ましくは1wt%以下である。
(6)ガラス転移温度(tanδピーク温度) 通常には、プロピレン系樹脂組成物の低温での耐衝撃性の観点からは、プロピレン系樹脂組成物の全体として、ガラス転移温度が充分に低くなることが必要であり、共重合体の平均のエチレン含量の規定に加えて、ガラス転移温度の規定が必要である。 本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、−80〜150℃の範囲で周波数1Hzの条件で、短冊状の試料片に正弦歪を与え発生する応力を検知する、固体粘弾性測定によって得られる共重合体成分のガラス転移温度(いわゆるtanδピーク温度)が−47℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは−49℃以下である。ガラス転移温度がこれより高い場合には低温での耐衝撃性において劣る。ガラス転移温度の下限については特に規定する必要は無いが、事実上−70℃以下のものは製造困難であろう。
なお、ブロック共重合体の固体粘弾性測定においては、一般的には結晶性PPの非晶部に由来するガラス転移温度が、−10〜10℃付近に、共重合体成分に由来するガラス転移温度がそれより低温(一般に−10℃以下)に観察されるが、ここでのガラス転移温度は、このうち共重合体成分由来のものである。共重合体成分由来のガラス転移が複数観察される場合には、より低温で観察されるガラス転移温度であるとする。
(7)分子量の規定
i)各成分の分子量の特定
成分(b−1)及び成分(b−2)の重量平均分子量(Mw)としては、250,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。より好ましくは270,000〜900,000、さらに好ましくは300,000〜800,000の範囲である。分子量がこの範囲を下回ると耐衝撃性や剛性に劣り、上回るものではブツや輝点の発生の問題が生じる。
また、成分(b−1)の重量平均分子量は、成分(b−2)の重量平均分子量以上であることが耐衝撃性の観点から好ましい。この理由については明らかではないが、成分(b−1)は相溶化剤成分として成分(a)と成分(b−2)の界面を補強する役割を担うことから、より高分子量であるほうが成分(a)と(b−2)間により多くの絡み合いが形成され、界面の強度をより強くすることができるためであると考えられる。 成分(a)の重量平均分子量の範囲については、ブロック共重合体に成形時に必要な流動性を付与する観点から、成分(b)より低分子量であることが好ましく、250,000以下であることが好ましい。分子量が低過ぎると脆化が起こるために、60,000以上であることが好ましい。より好ましい範囲は220,000〜70,000、さらに好ましい範囲は200,000〜80,000である。
ii)分子量の測定
本発明においては、重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるものとし、溶媒にオルトジクロロベンゼンを使用し、温度140℃にて測定して得られたものとする。分子量への換算は、標準ポリスチレン試料を用いた換算によって行う。
各成分の分子量については、混練によって製造する場合には各成分の分子量測定から決定することができ、多段重合によって製造する場合には重合途中での抜き出しサンプルのGPCによる分析から計算によって求めるか、或いは前記したTREF−GPC−IR測定における分子量のデータから決定することもできる。
TREF−GPC−IR測定では重合体を40,100,140℃溶出成分に分別し、それぞれの平均分子量及び分子量分布が算出可能である。共重合体の分子量を正確に定義するためには、エチレン含量の算出の際に行ったように、本来は40℃可溶部に存在する低分子量又は低規則性のポリプロピレン成分や、40℃を超える温度で溶解する共重合体成分に関する計算補正を行う必要があるが、既に記述しているように、メタロセン系触媒を用いてブロック共重合体を重合する場合には、共重合体成分はその殆どが40℃可溶成分中に存在しており、また、低分子量又は低規則性のポリプロピレン成分の生成量も極めて少ないため計算補正をしなくてもよい。従って本発明においては、TERF−GPC測定によって共重合体の分子量を決定する場合は、40℃可溶部の重量平均分子量をそのまま共重合体成分の重量平均分子量であると定義する。
プロピレン重合体成分の重量平均分子量については、40℃と100℃におけるポリプロピレン重合体成分の溶出分を計算補正する必要があり、これは組成物全体の重量平均分子量と共重合体成分の重量平均分子量及びプロピレン樹脂成分の含有量が解れば、加成則にて求めることができる。
2.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
(1)メタロセン触媒
本発明の樹脂組成物はその全ての成分をメタロセン系触媒によって製造されることが好ましいことは既に記述した通りであるが、より高融点で耐熱性と剛性に優れたメタロセン系共重合体を、工業的に取り扱いが容易で安価に製造するためには、下記に開示する、[A]下記一般式[I]で示される遷移金属化合物、及び[B](B−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(B−2)遷移金属化合物と反応してカチオンを形成可能な化合物、(B−3)イオン交換性層状化合物(珪酸塩を含む)のいずれか一種類以上からなる活性化剤を必須成分とし、[C]有機アルミニウム化合物を任意成分とする触媒を用いることが好ましく、その中でも上記[A]と(B−3)及び任意成分としての有機アルミニウム化合物からなる触媒を用いるのが最も好ましい。
イ.[A]遷移金属化合物
本発明において主として使用される遷移金属化合物は、次式で示されるメタロセン錯体である。
Figure 2007224267
一般式[I]中、A 及びAは、共役五員環配位子(同一化合物内においてA 及びA は同一でも異なっていてもよい)を示し、そして、A及びA の共役五員環配位子は、結合性基Qに結合していない炭素に置換基を有していてもよい。
上記の共役五員環配位子の典型例としては、例えば、シクロペンタジエニル基を挙げることができる。このシクロペンタジエニル基は、水素原子を4個有するものであってもよく、また、上記した通り、その水素原子の幾つかが置換基で置換されているものであってもよい。上記の置換基の1つの具体例は、炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜15の炭化水素基である。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基、トリフェニルカルビル基などが挙げられる。
上記の炭化水素基は、一価の基としてシクロペンタジエニル基と結合していてもよく、その置換基の末端で2種が結合して縮合環を形成してもよい。縮合環を形成したシクロペンタジエニル基の典型例としては、インデン、フルオレン、アズレンなどの化合物やその誘導体である。これらの中でも、インデン、アズレンやその誘導体が更に好ましく、その中でもアズレンが最も好ましい。
上記の炭化水素基以外の置換基としては、珪素、酸素、窒素、燐、硼素、硫黄などの原子を含有する炭化水素基が挙げられる。その典型例としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、フリル基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニル硼素基、ジメトキシ硼素基、チエニル基などが挙げられる。
その他の置換基としては、ハロゲン原子又はハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。その典型的例としては、塩素、臭素、沃素、フッ素、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
ところで、本発明で使用する遷移金属化合物の特徴は、A及びA のうち少なくとも一方が、共役五員環配位子上の隣接した置換基に結合し五員環の2原子を含めて7〜10員の縮合環を有する点にある。すなわち、A及びA のどちらか一方は、少なくとも共役五員環の隣接する炭素2原子を含めた7〜10の縮合環を形成することができる。縮合環の炭素は、共役五員環の2原子以外は飽和されていても不飽和であってもよい。
例えば、A 及びAを構成する上記の様な配位子としては、ヒドロアズレニル基、メチルヒドロアズレニル基、エチルヒドロアズレニル基、ジメチルヒドロアズレニル基、メチルエチルヒドロアズレニル基、メチルイソプロピルヒドロアズレニル基、メチルフェニルイソプロピルヒドロアズレニル基、各種アズレニル基の水添体、ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、エチル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、フェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、エチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチルジフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカニル基、メチル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、メチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、エチルフェニル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、メチルイソプロピル−ビシクロ−[6.3.0]−ウンデカジエニル基、ビシクロ−[7.3.0]−ドデカニル基及びその誘導体、ビシクロ−[7.3.0]−ドデカジエニル基及びその誘導体、ビシクロ−[8.3.0]−トリデカニル基及びその誘導体、ビシクロ−[8.3.0]−トリデカジエニル基及びその誘導体などが例示される。
上記の各基の置換基としては、前述した炭化水素基、珪素、酸素、窒素、燐、硼素、硫黄などの原子を含有する炭化水素基、ハロゲン原子又はハロゲン含有炭化水素基などが挙げられる。
Qは、2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示す。すなわち、Qは、2価の結合性基であり、A及びA とを架橋する。
Qの種類は特に制限されないが、その具体例としては、(a)炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の2価の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、具体的には、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレンなどの不飽和炭化水素基、ハロアルキレン基、ハロシクロアルキレン基、(b)シリレン基又はオリゴシリレン基、(c)炭素数が通常1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を置換基として有するシリレン基又はオリゴシリレン基、(d)ゲルミレン基、(e)炭素数が通常1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基などが挙げられる。
これらの中では、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基又はゲルミレン基が好ましい。
Mは、周期律表(短周期型)4〜6族から選ばれる遷移金属原子を示し、好ましくは、チタン、ジルコニウム又はハフニウムの4族遷移金属、更に好ましくは、ジルコニウム又はハフニウムである。特に好ましくは、ハフニウムである。
X及びYは、それぞれ独立して、Mと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。
上記の各炭化水素基における炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜12である。これらの中では、水素原子、塩素原子、メチル基、イソブチル基、フェニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基が好ましい。
本発明における遷移金属化合物の具体例としては、本発明のブロック共重合体が剛性と耐熱性に優れることを特徴とすることから、特に以下の化合物であることが好ましい。なお、化合物の記載は単に化学的名称のみで指称されているが、その立体構造は本発明でいう非対称性を持つ化合物と対称性を持つ化合物の双方を意味する。
(1)ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム、(2)ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム、(3)ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ハフニウム、(4)ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4H−5,6,7,8−テトラヒドロアズレニル}]ハフニウム、(5) ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム、(6)ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−5,6,7,8−テトラヒドロアズレニル}]ハフニウム、(7)ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム、(8)ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム、(9)ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3−メチル−フェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム、(10)ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロ−フェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム、(11)ジクロロ[1,1´−シラフルオレニルビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム、(12)ジクロロ[1,1´−シラフルオレニルビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウムなどが例示できる。
上記のような化合物におけるX及びY部分をなすジクロリドの一方又は双方が、水素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、イソブチル基、フェニル基、フルオロフェニル基、ベンジル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などに代わった化合物も例示することができる。また、先に例示した化合物の中心金属がジルコニウムやハフニウムの代わりに、チタン、タンタル、ニオブ、バナジウム、タングステン、モリブデンなどに代わった化合物も例示することができる。
これらの中では、ジルコニウム、チタン、ハフニウムの4族遷移金属化合物が好ましく、その中でも、ハフニウムが特に好ましい。
これら[A]成分は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、重合の第一段階終了時や第二段階の重合開始前に、新たに[A]成分を追加してもよい。
ロ.[B]助触媒(活性化剤成分)
本発明において[B]成分としては、(B−1)有機アルミニウムオキシ化合物、
(B−2)遷移金属化合物と反応して、カチオンを形成可能な化合物、(B−3)イオン交換性層状化合物(珪酸塩を含む)、のいずれか一種類以上からなる活性化剤が用いられる。
本発明において、(B−1)有機アルミニウムオキシ化合物としては、具体的には次の各一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007224267

上記各一般式中、Rは水素原子又は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式のうち、一番目及び二番目の式で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内及び各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
一般式の三番目で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。
一般式中、R及びRは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
本発明において、(B−2)の遷移金属化合物と反応して、カチオンを形成可能な化合物としては、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸が用いられる。このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などの有機ホウ素化合物との錯化物などが挙げられる。
上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。或いは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化合物が例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分[A]と反応して成分[A]をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。
上記の成分[A]と(B−1)の反応生成物又は成分[A]と(B−2)の反応生成物は、シリカなどの微粒子状担体に担持された触媒として、使用されることが最も好ましい。
本発明において、(B−3)イオン交換性層状化合物(珪酸塩を含む)は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。イオン交換性層状化合物は、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl型、CdI 型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような結晶構造を有するイオン交換性層状化合物の具体例としては、α−Zr(HAsO ・H O、α−Zr(HPO 、α−Zr(KPO ・3H O、α−Ti(HPO 、α−Ti(HAsO ・H O、α−Sn(HPO ・HO、y−Zr(HPO、y−Ti(HPO 、y−Ti(NHPO ・H Oなどの多価金属の結晶性酸性塩が挙げられる。
無機珪酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土などが挙げられる。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェンなどのアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイトなどのカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイトなどのハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母鉱物、その他、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、緑泥石などが挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトなどが挙げられる。
これら具体例のうち好ましくは、デイッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイトなどのカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイトなどのハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライトなどの蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト族、バーミキュライトなどのバーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられる。
これらのイオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよいが、塩酸、硝酸、硫酸などによる酸処理及び/又は、LiCl、NaCl、KCl、CaCl、MgCl 、MgSO 、ZnSO 、Ti(SO、Zr(SO 、Al (SO などの塩類処理を行ったほうが好ましい。また、粉砕や造粒などの形状制御を行ってもよく、粒子性状に優れたブロック共重合体を得るためには、造粒することが好ましい。また、上記成分は、通常は脱水乾燥してから用いる。
ハ.[C]有機アルミニウム化合物
本発明の[C]成分として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、次式
AlR3−m
で表される(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、Xは水素、ハロゲン、アルコキシ基、アリールオキシ基、mは0<m≦3の数)化合物であり、具体的にはトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム又はジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。この他、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサンも使用できる。
これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。これら[C]成分は2種以上組み合わせて用いてもよい。また、重合の第一段階終了時や第二段階の重合開始前に、新たに[C]成分を追加してもよい。
ニ.接触及び担体
上記の[A]成分、[B]成分、[C]成分を接触させて触媒とするが、その接触方法は特に限定されない。この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時、又は、オレフィンの重合時に行ってもよい。触媒各成分の接触時、又は接触後にポリエチレンやポリプロピレンなどの重合体、シリカやアルミナなどの無機酸化物の固体を共存させるか、接触させてもよい。
接触は窒素などの不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触温度は、−20℃〜溶媒沸点の間で行い、特には、室温から溶媒沸点の間で行うのが好ましい。
ホ.触媒成分の使用量
触媒各成分の使用量は、例えば、(B−3)成分1gあたり[A]成分が0.0001〜10mmol、好ましくは0.001〜5mmolであり、[C]成分が0.001〜10,000mmol、好ましくは0.01〜100mmolである。また、[A]成分中の遷移金属と[C]成分中のアルミニウムの原子比が1:0.01〜1,000,000、好ましくは、0.1〜100,000である。この様にして得られた触媒は、そのまま洗浄せずに用いてもよく、洗浄した後に用いてもよい。
必要に応じて新たに[C]成分を組合せて用いてもよい。この際に用いられる[C]成分の量は、[A]成分中の遷移金属に対する[C]成分中のアルミニウムの原子比で1:0〜10,000になるように選ばれる。
ヘ.予備重合
重合の前に、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどのオレフィンを予備的に重合し、必要に応じて洗浄したものを触媒として用いることができる。この予備重合は窒素などの不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。
(2)製造法の態様
本発明のブロック共重合体は最低三つの成分からなるものであるが、その製造法としては溶融混練によるもの、又は三段階以上の多段重合法によるものを採用することができる。
ブロック共重合体の耐衝撃性の向上の観点からは、三段階以上の多段重合法によって製造することが好ましい。
多段重合の重合条件の調整や、ブレンド成分の選択により、各成分の量比の制御を行うことができる。
(2−1)溶融混練(ブレンド)法
溶融混練によって製造する場合には、例えば三成分の場合は成分(a)、(b−1)、(b−2)そのものを別々に重合し、所定の割合で混合した後に溶融混練して製造する手法、又は成分(a)と成分(b−1)を多段重合で製造したブロック共重合体及び成分(a)と成分(b−2)を多段重合で製造したブロック共重合体を所定の割合で混合した後に溶融混練して製造する手法、或いは成分(b−1)と成分(b−2)を多段重合して製造したランダムブロック共重合体に成分(a)を所定の割合で混合した後に溶融混練して製造する手法などを採用することができる。
溶融混練によって製造する場合は、単軸又は二軸押出機やブラベンダ−によって溶融混練する手法が採用される。
上記の(a)、(b−1)、(b−2)各成分そのものを別々に重合する場合、各成分を製造するための重合プロセスは、それぞれの成分について、スラリー法、バルク法、気相法、溶液法などを任意に用いることができるが、成分(a)の製造に際しては、バルク法、もしくは気相法が最も好ましく用いられ、成分(b−1)及び(b−2)の製造に関しては、これらの成分がいわゆるエラストマーであることから、最終的に得られる重合体の回収のし易さの観点から溶液法が最も好ましく用いられる。また、重合方式については、バッチ重合法、連続重合法のいずれを採用することも可能である。
重合温度は、通常用いられている温度範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、好ましくは、40℃〜100℃の範囲を用いることができる。重合圧力は、選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば、特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPa、好ましくは、0.1〜50MPaの範囲を用いることができる。この際に、窒素などの不活性ガスを共存させることも可能である。
また、成分(a)と成分(b−1)を多段重合で製造したブロック共重合体及び成分(a)と成分(b−2)を多段重合で製造したブロック共重合体を所定の割合で混合して溶融混練する場合、それぞれのブロック共重合体の製造は、1段目で成分(a)を製造し、2段目で、成分(b−1)或いは成分(b−2)を製造する多段重合を行うことによって製造することができる。その場合の重合プロセスは、スラリー法、バルク法、気相法、溶液法などを任意に用いることができるが、さらには、1段目と2段目のそれぞれについて別々の重合プロセスを採用してもよい。その中でも、1段目の成分(a)の製造をバルク法又は気相法、2段目の成分(b−1)或いは成分(b−2)の製造を気相法で行うことが最も好ましい。重合方式については、バッチ重合法、連続重合法のいずれを採用することも可能である。
重合温度は、通常用いられている温度範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、好ましくは、40℃〜100℃の範囲を用いることができる。重合圧力は、選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば、特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPa、好ましくは、0.1〜50MPaの範囲を用いることができる。この際に、窒素などの不活性ガスを共存させることも可能である。
(2−2)三段重合(多段重合)法
i)三段重合
本発明の組成物を製造する方法としては、1段目で成分(a)を製造し、2段目で成分(b−1)を製造、3段目で成分(b−2)を製造する三段重合法を採用することも可能である。この場合の重合プロセスは、スラリー法、バルク法、気相法、溶液法などを任意に用いることができるが、その中でも、1段目の成分(a)の製造を、バルク法又は気相法で行い、2段目の成分(b−1)及び3段目の成分(b−2)の製造を気相法で行うことが最も好ましい。重合方式については、バッチ重合法、連続重合法のいずれを採用することも可能である。
重合温度は、通常用いられている温度範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、好ましくは、40℃〜100℃の範囲を用いることができる。重合圧力は、選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば、特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPa、好ましくは、0.1〜50MPaの範囲を用いることができる。この際に、窒素などの不活性ガスを共存させることも可能である。また、各成分(a)、(b−1)、(b−2)の成分比については、各成分の製造量比を制御することで調整できる。
ii)特性値(インデックス)の測定
三段階以上の多段重合によって製造した場合の各成分のエチレン含量や分子量のインデックスは、重合の各段階終了後のサンプルを逐次TREF−GPC−IR法によって分析することで、各段で重合された重合体のエチレン含量や分子量を決定できる。この場合、三段目以降で製造される共重合体のインデックスは、それ以前の段階で製造された共重合体のインデックスを加味し、計算によって求めるものとする。
例えば、成分(a)、(b−1)、(b−2)の順に重合する三段重合の場合の共重合体成分の分析は、成分(a)の重合終了時及び成分(b−1)までの重合終了時、さらに(b−2)までの重合を行った試料について各々重合量とエチレン含量、分子量の測定を行い、各成分のインデックスを決定する。
特に、成分(b−2)に関しては、下記式(IV)、(V)に従って計算可能である。
Mw(b)=W(b−1)×Mw(b−1)+W(b−2)×Mw(b−2)・・・(IV)
[E](b)=W(b−1)×[E](b−1)+W(b−2)×[E](b−2)・・・(V)
ここで、Mw(b)と[E](b)はそれぞれ三段目重合終了時の分析から求められる共重合体成分(成分(b−1)と成分(b−2)の混合物)の重量平均分子量とエチレン含量であり、Mw(b−1)と[E](b−1)はそれぞれ二段目重合終了時の分析から求められる成分(b−1)の重量平均分子量とエチレン含量である。
重合量の求め方としては、各段終了時に反応器を重合系から切り離し、その中の重合体の量をそのまま反応器ごと直接測定することで求めることができる。または多段重合と同じ条件で成分(a)のみの重合、成分(a)と成分(b−1)の二段重合を別個に行っておき、重合量を求める手法がある。四段以上の重合の場合にはこれらの式の拡張によって計算可能である。
抜き出しサンプルによって分析する場合にはTREFによる分別を行わずに、各段での重合量と平均の分子量及び平均のエチレン含量を測定し、やはり上記の計算式を使用して各成分のインデックスを求めることもできる。その場合は下記式(VI)〜(IX)を使用する。
Mw〔(a)+(b−1)〕=〔W(a)×Mw(a)+W(b−1)×Mw(b−1)〕/〔W(a)+W(b−1)〕 ・・・(VI)
Mw(total)=〔W(a)+W(b−1)〕×〔Mw(a)+Mw(b−1)〕+〔W(b−2)×Mw(b−2)〕 ・・・(VII)
[E]〔(a)+(b−1)〕=〔W(a)×[E](a)+W(b−1)×[E](b−1)〕/〔W(a)+W(b−1)〕 ・・・(VIII)
[E](total)=〔W(a)+W(b−1)〕×[E]〔(a)+(b−1)〕+〔W(b−2)×[E](b−2)〕 ・・・(IX)
ここでMw(a),Mw(b−1),Mw(b−2)はそれぞれ成分(a)、成分(b−1)、成分(b−2)の重量平均分子量である。Mw〔(a)+(b−1)〕は成分(b−1)までの重合を行った試料の重量平均分子量、Mw(total)は成分(b−2)までの重合を行った試料の重量平均分子量であり、抜き出しサンプルのGPC測定によって評価できる。同様に[E](a),[E](b−1),[E](b−2)はそれぞれ成分(a)、成分(b−1)、成分(b−2)のエチレン含量である。[E]〔(a)+(b−1)〕は成分(b−1)までの重合を行った試料のエチレン含量、[E](total)は成分(b−2)までの重合を行った試料のエチレン含量であり、抜き出しサンプルのIR測定で評価できる。W(a)、W(b−1)、W(b−2)はそれぞれ成分(a)、成分(b−1)、成分(b−2)の重量分率である。四段以上の重合の場合にはこれらの式の拡張によって計算可能である。
3.その他
(1)添加剤の使用
本発明の樹脂組成物には、本発明の組成物の性能をより高めるために、或いは他の性能を付与するために、本発明の機能を損なわない範囲内で添加剤を配合することもできる。
この付加的成分としては、ポリオレフィン樹脂用配合剤として汎用される核剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌剤、防黴剤、蛍光増白剤、着色剤といった各種添加剤を加えることができる。また、更なる耐衝撃性改良のためにゴム材料を加えることもできる。
これら添加剤の配合量は、一般に組成物100重量部に対して0.0001〜3重量部、好ましくは0.001〜1重量部である。また、耐衝撃性改良のための各種ゴムは一般に組成物100重量部に対して1〜70重量部好ましくは1〜50重量部添加される。
ここで、耐衝撃性改良のためのゴムの例としては、エチレン・α−オレフィン系エラストマー及びスチレン系エラストマーが好ましく使用される。エチレン・α−オレフィン系エラストマーにおいて、エチレンと共重合されるコモノマーには、炭素数4〜20のα−オレフィン、具体的には1−オクテン、1−ブテンなどが挙げられ、1種類である必要はなく2種類以上のエチレン・α−オレフィン系エラストマー又はスチレン系エラストマーの混合物であってもよい。エチレン・α−オレフィン系エラストマー中のα−オレフィンの含量は、10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、密度で0.85〜0.90g/cm、好ましくは0.86〜0.88g/cmである。
また、スチレン系エラストマーは、スチレンとエチレン、プロピレン、1−ブテン、ブタジエン、イソプレンなどとのブロックないしはランダム共重合体もしくはその水添物であり、スチレン系エラストマー中の結合スチレン量が、5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%のもの、密度では0.88〜0.95g/cm、好ましくは0.89〜0.92g/cmである。
MFRは、0.1〜20g/10分 、好ましくは0.5〜10g/10分 である。MFRが0.1g/分 未満であると、成形性や塗装性に劣り、MFRが20g/10分を越えると耐衝撃性に劣る。ここで、MFRは230℃・2.160kg荷重でダイ形状直径2.095mm 長さ8.00mmの条件で測定された値とする。
エチレン・α−オレフィン系エラストマーの製造は、公知のチタン系触媒又はメタロセン触媒を用いて重合して得ることができる。スチレン系エラストマーの場合は、通常のアニオン重合法及びそのポリマー水添技術により得ることができる。
(2)用途
本発明の樹脂組成物は、剛性や耐熱性及び耐衝撃性をバランスよく充分に向上されているので、自動車などの車両の内装材や電気製品などの包装梱包材をはじめ、各種の産業用資材として有用である。特に、低温(−30℃程度)での耐衝撃性が改良されているので、冷凍食品保存用などの包装材及びその容器や低温用工業材料としても有効に利用される。
本発明をさらに具体的に説明するために、以下において好適な実施例及びそれらに対応する比較例を記載する。各実施例と各比較例との対照により、本発明の構成の要件の合理性と有意性を実証し、さらに本発明の従来技術に対する卓越性をも明らかにするものである。
以下の実施例及び比較例における諸物性の測定方法、組成物の製造方法、組成物の評価方法、使用した成分の製造方法は、以下のとおりである。
1)TREF
段落0025〜0028おいて記述されている。 2)GPC
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C) 検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm) カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本) 移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB) 測定温度:140℃ 流速:1.0ml/min 注入量:0.2ml 試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。 F380,F288,F128,F80,F40,F20,F10,F4,F1,A5000,A2500,A1000 各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。その他の詳細は段落0030に記載されている。 3)DSC
セイコー社製DSCを用いて測定した。その他の詳細は段落0022に記載されている。
4)DMA
試料は射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。(射出成形については段落0094を参照。以下の試験項目においても同様である。)
装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用い、周波数は1Hzである。測定温度は−80℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
5)MFR
JIS K7210A法・条件Mに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃ 公称加重:2.16kg ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.000mm
6)エチレン含量の定量
共重合体中の平均エチレン含量を赤外分光光度計を用いて行った。測定条件を以下に示す。 装置:島津FTIR−8300 分解能:4.0cm−1 測定範囲:4,000〜400cm−1 サンプルの調整:ポリマーパウダー又はペレットを加熱加圧プレスにて厚さ500μのフィルムに調整(温度190℃ 予熱2分後に100MPaに加圧) データ処理:i)760,700cm−1をベースポイントとして、その範囲での吸光度ピーク面積を算出する。(エチレン含量に対応) ii)ピーク面積/サンプル厚みを算出する。iii)予めNMRでエチレン含量を定量してあるサンプルによって検量線を作成しておき、[エチレン含量∝ピーク面積/サンプル厚み]の式によりエチレン含量を定量する。
7)曲げ特性
曲げ弾性 得られた組成物の曲げ弾性率を以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K−7171(ISO178)準拠 試験機:精密万能試験機オートグラフAG−20kNG(島津製作所製) 試験片の採取方向:流れ方向 試験片の形状:厚さ4mm 幅10mm 長さ80mm 試験片の作成方法:射出成形 状態の調節:室温23℃・湿度50%に調節された恒温室内に24時間以上放置 試験室:室温23℃・湿度50%に調節された恒温室 試験片の数:5 支点間距離:32.0mm 試験速度:1.0mm/min
8)衝撃強度
耐衝撃性をシャルピー衝撃試験により評価した。
規格番号:JIS K−7111(ISO 179/1eA)準拠 試験機:東洋精機社製 全自動シャルピー衝撃試験機(恒温槽付き) 試験片の形状:シングルノッチ付き試験片(厚さ4mm 幅10mm 長さ80mm) ノッチ形状:タイプAノッチ(ノッチ半径0.25mm) 衝撃速度:2.9m/s 公称振り子エネルギー:4J 試験片の作成方法:射出成型試験片にノッチを切削(ISO 2818準拠) 状態の調節:室温23℃・湿度50%に調節された恒温室内に24時間以上 試験室:室温23℃・湿度50%に調節された恒温室 試験片の数:n=5 試験温度:23℃,0℃,−30℃(0℃及び−30℃の場合には、恒温槽が試験温度の±1℃以内になった状態で40分以上状態調節を加えてから試験を行った) 評価項目:吸収エネルギー
9)耐熱性
耐熱性は熱変形温度(HDT)にて評価した。HDTは厚さ4mmの射出成形片を用いてJIS K7191−1に準拠して、0.45MPaの条件でフラットワイズで測定した。ただし、測定前の試験片状態調整として、射出成形後、100℃で30分間アニールし、室温まで冷却する操作を行っている。
[製造例1]三段重合実施例
1)成分[A]の調製
(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ハフニウムの合成(ラセミ・メソ混合物の合成);
2−フルオロ−4−ブロモビフェニル(6.35g、25.3mmol)をジエチルエーテル(50mL)とヘキサン(50mL)の混合溶媒に溶かし、t−ブチルリチウムのペンタン溶液(33mL、50.6mmol、1.54N)を−78℃で滴下した。−10℃で2時間撹拌し、この溶液に2−エチルアズレン(3.55g、22.8mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。ヘキサン(30mL×2)を加え、上澄みをデカントした。得られた黄色沈殿に0℃でヘキサン(30mL)とテトラヒドロフラン(40mL)を加えた。N−メチルイミダゾール(50μL)とジメチルジクロロシラン(1.4mL、11.4mmol)を加え、室温まで昇温し室温で1時間撹拌した。この後、希塩酸を加え、分液した後、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去すると、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−1,4−ジヒドロアズレン}の粗精製物(8.3g)が得られた。
次に、上記で得られた粗精製物をジエチルエーテル(30mL)に溶かし、−70℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(14.9mL、22.8mmol、1.53N)を滴下し、徐々に昇温して室温で一夜撹拌した。さらに、トルエン(200mL)を加え、−70℃に冷却し、四塩化ハフニウム(3.6g,11.4mmol)を加え、徐々に昇温し室温で4時間撹拌した。得られたスラリー溶液から減圧下大部分の溶媒を留去し、ジエチルエーテル(50mL)を加え、得られたスラリーを濾過した。ジエチルエーテル(5mL×2)、エタノール(15mL×2)、ヘキサン(10mL×2)で洗浄すると、ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウムのラセミ・メソ混合物(4.53g、収率42%)が得られた。
ラセミ体の精製;上記で得られたラセミ・メソ混合物(4.5g)をジクロロメタン(35mL)に懸濁し、高圧水銀灯(100W)を用いて1時間光照射した。この溶液を減圧下溶媒を留去した。得られた固体にトルエン(25mL)とジクロロメタン(11mL)を加え60℃に加熱すると均一溶液となった。これを減圧下ジクロロメタンを留去すると結晶が析出し、濾過した。ヘキサン(5mL×2)で洗浄し、減圧下乾燥するとラセミ体(1.79g、37%)が得られた。
1H−NMR(300MHz,CDCl);δ1.02(s,6H,SiMe),1.08(t,J=8Hz,6H,CHCH),2.54(sept,J=8Hz,2H,CHCH),2.70(sept,J=8Hz,2H,CHCH),5.07(brs,2H,4−H),5.85−6.10(m,8H),6.83(d,J=12Hz,2H),7.30−7.6(m,16H,arom)
2)成分[B]の調製
〔化学処理〕撹拌翼と還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、イオン交換水
500gを投入し、更に水酸化リチウム1水和物249g(5.93mol)を投入して撹拌する。別に、硫酸581g(5.93mol)をイオン交換水500gで希釈し、滴下ロートを用いて上記水酸化リチウム水溶液に滴下する。このとき硫酸の一部は中和反応に消費され系中で硫酸リチウム塩が生成し、さらに硫酸過剰になることにより酸性溶液となる。そこへ更に市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製 ベンクレイSL 平均粒径:28.0μm)を350g添加し撹拌する。その後30分かけて108℃まで昇温し150分維持する。その後、1時間かけて50℃まで冷却した。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、減圧濾過を実施した。ケーキを回収し、純水を5.0L加え再スラリー化し、濾過を行った。この操作をさらに4回繰り返した。
濾過は、いずれも数分かからずに終了した。最終の洗浄液(濾液)のpHは5であった。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。その結果、275gの化学処理体を得た。蛍光X線により組成分析を行ったところ、主成分であるケイ素に対する構成元素のモル比は、Al/Si=0.21、Mg/Si=0.046、Fe/Si=0.022であった。
〔化学処理モンモリロナイトの有機アルミニウム処理〕内容積1Lのフラスコに上記で得た化学処理モンモリロナイト10.0gを秤量し、ヘプタン64.6ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液35.4ml(25mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで洗浄し、最後にスラリー量を100mlに調製した。
3)プロピレンによる予備重合
上記で調製した、トリイソブチルアルミニウム処理したモンモリロナイトのヘプタンスラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2.13ml(1504μmol)を加えて10分間、室温で撹拌した。また、別のフラスコ(容積200mL)中で、上記で合成した(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ハフニウム(299μmol)にトルエン(60ml)を加えてスラリーとした後、上記の1Lフラスコに加えて、室温で60分間撹拌した。
錯体のトルエンスラリーを分析し、錯体の溶解成分及び不溶解成分を求めたところ、錯体の溶解成分は60μmol、不溶解成分は239μmolであり、溶解成分はモンモリロナイトに対しては6μmol/g−担体であった。
次に、上記のモンモリロナイトのヘプタンスラリーに、更にヘプタン340mlを追加して内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、60分間撹拌した。オートクレーブ内の温度が40℃で安定した後、プロピレンを238.1mmol/hr(10g/hr)の一定速度で120分間で供給した。プロピレンの供給終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持し、その後に残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。予備重合に要した全所要時間は4時間であった。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5ml(6.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒を31.8g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.09であった。
4)重合
以下に示す第1工程〜第3工程からなる重合を行い、プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造した。
(第1工程の重合)内容積3Lの撹拌機付オートクレーブ内をプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、水素700ml、続いて液体プロピレン1,500mlを導入し、65℃に昇温した。上記の3)で得られた予備重合触媒をヘプタンでスラリー化し、固体触媒として40mg(予備重合ポリマーを除く正味の固体触媒の量)圧入して重合を開始した。槽内温度を65℃に維持した。触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、精製した窒素で完全に置換した。生成したポリマーを一部サンプリングし、90℃窒素気流下で30分間乾燥後に測定した結果、抜き出し量は15gであった。
(第2工程の重合)それと並行して、プロピレン及びエチレンの混合ガス槽(内容積14Lの撹拌機付オートクレーブ)に、プロピレン72.49vol%、エチレン27.49vol%、水素0.02vol%の混合ガスを80℃で2.7MPaゲージ圧にて調製した。重合槽の撹拌を再開し、重合槽内をプロピレン43vol%、エチレン57vol%のガス組成で内圧1.5MPaゲージ圧に調製した後、先に調製した混合ガスを重合槽の圧力が1.5MPaゲージ圧になるように供給し、プロピレン・エチレンの気相共重合を65℃で5分間行った。その後、残モノマーのパージを行い、生成したポリマーを一部サンプリングし、90℃窒素気流下で30分間乾燥後に測定した結果、抜き出し量は15gであった。
(第3工程の重合)それと並行して、プロピレン及びエチレンの混合ガス槽(内容積14Lの撹拌機付オートクレーブ)に、プロピレン44.99vol%、エチレン54.98vol%、水素0.03vol%の混合ガスを80℃で2.7MPaゲージ圧にて調製した。重合槽の撹拌を再開し、重合槽内をプロピレン24vol%、エチレン76vol%のガス組成で2.0MPaゲージ圧になるように調製した後、先に調製した混合ガスを重合槽の圧力が2.0MPaゲージ圧になるように供給し、プロピレン・エチレンの気相共重合を80℃で20分間行った。重合終了後回収したポリマーは90℃窒素気流下で30分間乾燥した。
重合条件は表1aにまとめて記載し、重合のそれぞれの段階において少量のサンプルを抜き出し、エチレン含量及び分子量測定を行った結果を表1aに示す。表1bには抜き出しサンプルのTREF−GPC−IR法による分析結果を示す。
[製造例2]三段重合実施例
重合条件を表1a記載の様に変更した以外は、製造例1と同様にしてブロック共重合体を製造した。また、重合のそれぞれの段階において少量のサンプルを抜き出し、エチレン含量及び分子量測定を行った結果を合わせて表1aに示す。表1bには抜き出しサンプルのTREF−GPC−IR法による分析結果を示す。
[製造例3]混練用成分(a)と成分(b−1)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン82vol%、エチレン18vol%に、また、その他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
製造例3については二段目の重合におけるエチレン含量が低すぎ、TREFによる分別が不充分であったため、重合途中の抜き出しサンプルのエチレン含量と分子量の結果より、計算によって共重合体成分の量とエチレン含量を求めた。その結果、プロピレン重合体部Mwは1.20×10、共重合体部Mwは3.88×10、共重合体成分の含有量が20.0wt%、共重合体部エチレン含量は5.0wt%であった。
上記に示した各製造例を、必要であれば数回繰り返して必要量の重合体を製造し、以下の実施例に用いた。
[製造例4]混練用成分(a)と成分(b−1)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン54vol%、エチレン46vol%に、またその他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
また、これらの製造例で得られた試料をTREF−GPC−IR法によって分析した結果を合わせて表2に示す。上記に示した各製造例を、必要であれば数回繰り返して必要量の重合体を製造し、以下の実施例に用いた。
以下の各製造例でも同様に、得られた試料をTREF−GPC−IR法によって分析した結果を合わせて表2に示し、各製造例を、必要であれば数回繰り返して必要量の重合体を製造し、以下の実施例に用いた。
[製造例5]混練用成分(a)と成分(b−1)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン42vol%、エチレン58vol%に、またその他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
[製造例6]混練用成分(a)と成分(b−1)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン28vol%、エチレン72vol%に、またその他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
[製造例7]混練用成分(a)と成分(b−1)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン42vol%、エチレン58vol%に、またその他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
[製造例8]混練用成分(a)と成分(b−2)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン28vol%、エチレン72vol%に、またその他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
[製造例9]混練用成分(a)と成分(b−2)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン24vol%、エチレン76vol%に、またその他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
[製造例10]混練用成分(a)と成分(b−2)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン21vol%、エチレン79vol%に、またその他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
[製造例11]混練用成分(a)と成分(b−2)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン16vol%、エチレン84vol%に、またその他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
[製造例12]混練用成分(a)と成分(b−2)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン24vol%、エチレン76vol%に、またその他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
[製造例13]混練用成分(a)と成分(b−2)の組成物製造例
二段重合によって、ブロック共重合体を製造した。第2工程の重合槽内ガス組成をプロピレン24vol%、エチレン76vol%に、またその他の重合条件を表2に記載したとおりにした以外は、製造例1と同様にして製造した。
[製造例14]チーグラー系触媒による製造例
(固体触媒成分の調製)充分に窒素置換したフラスコに、脱水及び脱酸素したn−ヘプタン2,000mLを導入し、次いでMgCl2 を2.6mol、Ti(O−n−Cを5.2mol導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を320mL導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタンを4,000mL導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で1.46mol導入した。次いでn−ヘプタン25mLにSiCl4 2.62molを混合して30℃において30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでn−ヘプタン25mLにフタル酸クロライド0.15molを混合して、70℃において30分間でフラスコへ導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでTiCl4 11.4molを導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して固体成分(A1)を得た。この固体成分のチタン含有量は2.0wt%であった。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに上記と同様に精製したn−ヘプタンを200mL導入して上記で合成した固体成分(A1)を4グラム導入し、SiCl4 0.035molを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに(CH2 =CH)Si(CH0.006mol、(t−C)(CH)Si(OCH0.003mol及びAl(C0.016molを順次導入して30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分(A)を得た。一部をサンプリングして分析した所、このもののチタン含有量は、1.8wt%であった。
(以上の触媒調製は、特開平11−80235号公報の実施例1に記載された方法によった。)
(予備重合触媒の調製)上記の固体触媒成分(A)に精製したn−ヘプタンを導入して、固体触媒成分(A)の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを15℃に冷却した後、Al(Cのn−ヘプタン希釈液をAl(Cとして0.5g添加し、9gのプロピレンをゆっくりと供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に10分反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。その後、真空乾燥を行って予備重合触媒(B)を得た。この予備重合触媒(B)は、固体触媒成分(A)1gあたり2.0gのポリプロピレンを含んでいた。
(プロピレンエチレンブロックコポリマーの製造)第一工程の重合:撹拌及び温度制御装置を有する内容積3Lのオートクレーブをプロピレンで充分置換した後に、トリエチルアルミニウム4.82molをn−ヘプタンで希釈した上で加え、水素5,500ml、続いて液体プロピレン750gを導入し、70℃に昇温しその温度を維持した。上記の予備重合触媒(B)をn−ヘプタンでスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)7mgを圧入し重合を開始した。槽内温度を70℃に維持して40分重合を継続した。その後、常圧まで残モノマーをパージし、さらに精製した窒素で完全に置換した。生成したポリマーを一部サンプリングし、充分に乾燥の上分析に用いた。
第二工程の重合:別途、撹拌及び温度制御装置を有する内容積20Lのオートクレーブを用いて、第二工程で使用する混合ガスを調製した。調製温度は80℃、混合ガス組成はエチレン29.70vol%、プロピレン69.07vol%、水素1.23vol%であった。第一工程にてポリマーを一部サンプリングした後、この混合ガスを3Lのオートクレーブに供給し第二工程の重合を開始した。重合温度は80℃・圧力2.0MPaGにて17分重合を継続した。その後、エタノールを10ml導入して重合を停止した。回収したポリマーはオーブンで充分に乾燥した。
得られた試料をTREF−GPC−IR法によって分析した結果を表2に示す。
[実施例1]
製造例1によって得られた重合体パウダーに下記の酸化防止剤及び中和剤を添加し充分に撹拌混合した。 (添加剤配合)酸化防止剤:テトラキス{メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン500ppm トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト500ppm 中和剤:ステアリン酸カルシウム500ppm
下記の条件で造粒し成形したものについて物性評価を行った。造粒条件と成形条件を下記に示す。
(造粒)押出機:テクノベル社製KZW−15−45MG2軸押出機 スクリュ:口径15mm L/D=45 押出機設定温度:(ホッパ下から)40,80,160,200,200,200(ダイ℃) スクリュ回転数:400rpm 吐出量:スクリュフィーダーにて約1.5kg/hrに調整 ダイ:口径3mm ストランドダイ 穴数2個
(成型)得られた原料ペレットを、以下の条件により射出成型し、物性評価用平板試験片を得た。規格番号:JIS K−7152(ISO 294−1) 参考成型機:東芝機械社製EC20P射出成型機 成型機設定温度:(ホッパ下から)80,210,210,200,200℃ 金型温度:40℃ 射出速度:52mm/s(スクリュの速度) 保持圧力:30MPa 保圧時間:8秒 金型形状:平板(厚さ4mm 幅10mm 長さ80mm)2丁取り 樹脂組成物のインデックス、TREF−GPC−IRによる分析データ及び物性のデータを表3に示す。以下の各実施例も同様に表3に記載した。
[実施例2]
製造例2によって得られたパウダーを用いた以外は実施例1と同様に行った。 [実施例3] ブロック共重合体として、製造例5のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。この際、製造例5の共重合体成分が相溶化剤成分(b−1)に、製造例9の共重合体成分が共重合体成分(b−2)とみなせる。
[実施例4] ブロック共重合体として、製造例4のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
[実施例5] ブロック共重合体として、製造例5のブロック共重合体パウダーと製造例10のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
[実施例6] ブロック共重合体として、製造例5のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で35:65の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
[実施例7] ブロック共重合体として、製造例5のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で5:95の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。 [実施例8] ブロック共重合体として、製造例7のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例1] ブロック共重合体として、製造例9のブロック共重合体パウダーを単独で用いた以外は実施例1と同様に行った。樹脂組成物のインデックス、TREF−GPC−IRによる分析データ及び物性のデータを表4に示す。以下の各比較例も同様に表4に記載した。
[比較例2] ブロック共重合体として、製造例13のブロック共重合体パウダーを単独で用いた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例3] ブロック共重合体として、製造例5のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で50:50の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例4] ブロック共重合体として、製造例3のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例5] ブロック共重合体として、製造例6のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例6] ブロック共重合体として、製造例5のブロック共重合体パウダーと製造例8のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例7] ブロック共重合体として、製造例5のブロック共重合体パウダーと製造例11のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例8] ブロック共重合体として、製造例7のブロック共重合体パウダーと製造例12のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
[比較例9] ブロック共重合体として、製造例14のブロック共重合体パウダーを単独で用いた以外は実施例1と同様に行った。
[実施例9] ブロック共重合体として、製造例5のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを100重量部とし、さらにEOR−1:(エチレン・オクテンゴム:デュポン・ダウ社製−ENGAGE8100:MFR=2.0g/10分)を20重量部加えた以外は実施例1と同様に行った。物性の評価結果を表5に示す。
[実施例10] ブロック共重合体として、製造例5のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを100重量部とし、さらにSEBS−1(スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック重合体ゴム:シェル社製 クレイトンG2657:MFR=9.0g/10分)を20重量部加えた以外は実施例1と同様に行った。物性の評価結果を表5に示す。
[実施例11] ブロック共重合体として、製造例5のブロック共重合体パウダーと製造例9のブロック共重合体パウダーを重量比で20:80の割合で混合したものを100重量部とし、さらにEBM−1(エチレン・ブテンゴム:三井化学社製タフマーA1050S:MFR=2.4g/10分)を20重量部加えた以外は実施例1と同様に行った。物性の評価結果を表5に示す。
Figure 2007224267
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[実施例と比較例との対照による考察]
以上の各実施例と各比較例とを対照して考察すれば、プロピレン重合体(a)成分の配合量とエチレン含量、TREFによる共重合体成分(b)の配合量とエチレン含量、TREFによる共重合体成分(b−1)と(b−2)の量比と各々のエチレン含量、及び組成物の融点からなる、本発明の必須の構成要件における各規定を満たす、新規なプロピレン系樹脂組成物の各実施例においては、剛性の指標である曲げ弾性率と各温度での耐衝撃性とのバランスが非常に優れていることが明白となっている。
さらに、各実施例においては、低温(−30℃)での耐衝撃性も向上し、また、本発明の特徴であるところの、相溶化剤としての低エチレン含量の共重合体成分(b−1)を特定の条件で配合しているので、各温度での耐衝撃性も相乗的に増加していることが窺える。なお、耐熱性に関しても他の物性とバランスを保っており、本発明の各実施例は、チーグラー系触媒による比較例9と比較して、剛性見合いの耐熱性が優位である。特に、実施例9〜11ではエラストマー成分が付加的に含有されているので、剛性と耐衝撃性のバランスが良く、各温度での耐衝撃性も非常に良好である。
比較例1,2においては、相溶化剤成分となる低エチレン含量の成分(b−1)が含まれていないため、各温度での耐衝撃強性に劣り、特に比較例2では曲げ弾性率が良好であるのに、耐衝撃性が悪くバランスがとれていない。比較例3では相溶化剤成分となる(b−1)の配合量が多過ぎるため、成分(b)全体としてのエチレン含量がやや下がり、その結果として低温における衝撃強度が劣っている。比較例4では成分(b−1)のエチレン含量が低過ぎて成分(b−2)との相溶性が悪化し、その結果として各温度での耐衝撃性が劣っている。また、表6に見られるように、比較例4のプロピレン重合体由来のガラス転移温度は他の例と比較してやや低く、成分(b−1)が成分(a)に優先的に相溶してしまっていることが分る。そのため、剛性もやや劣る結果となっている。逆に比較例5では成分(b−1)のエチレン含量が高過ぎて成分(a)との相溶性が悪化して、やはり各温度での耐衝撃性が劣っている。比較例6では成分(b−2)のエチレン含量が低過ぎて、充分にガラス転移温度(tanδピーク温度)を下げることができず、低温での耐衝撃性が劣っている。比較例7では成分(b−2)のエチレン含量及び共重合体(b)のエチレン含量が高過ぎて、成分(b−1)のエチレン含量範囲は適切であるにもかかわらず、相溶性の悪化は避けられず各温度での耐衝撃性が劣っている。比較例8では成分(b−2)の重量平均分子量が低過ぎるために、各温度での耐衝撃性が劣っている。比較例9はチーグラー系触媒を用いて、従来の技術によって製造されたプロピレン系樹脂組成物であるので、各実施例と比較すると、ガラス転移温度が高くて、剛性と低温での耐衝撃性のバランスにおいて見劣りがしている。
以上における、各実施例と各比較例の結果及び考察からして、本発明の構成の各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する格別の卓越性も明らかにされている。

Claims (8)

  1. プロピレン単独重合体成分、或いはプロピレンと3wt%までのエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体からなる結晶性プロピレン重合体成分(a)60〜95wt%と、プロピレン−エチレン共重合体成分(b)40〜5wt%とからなり、各成分はメタロセン系触媒を用いて重合され、下記の特性i)〜iv)を満たすことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
    i)示差走査熱量測定(DSC)によって得られる融点が、156℃以上であること。
    ii)40℃,100℃,140℃の三水準の温度で分別する温度昇温溶解度分別測定(TREF)から求められる共重合体成分(b)の割合が、5〜40wt%であること。
    iii) 40℃,100℃,140℃の三水準の温度で分別する温度昇温溶解度分別測定(TREF)から求められる共重合体成分(b)のエチレン含量が、30〜50wt%であり、40〜100℃で溶出する成分中の平均エチレン含量が10wt%以下であること。
    iv)プロピレン−エチレン共重合体成分(b)がエチレン含量の異なる少なくとも二種類のプロピレン−エチレン共重合体成分(b−1)及び成分(b−2)からなり、成分(b−1)のエチレン含量が15〜30wt%、成分(b−2)のエチレン含量が40〜55wt%であり、更に成分(b−1)及び成分(b−2)の量比(b−1):(b−2)が、1:99〜40:60の範囲にあること。
  2. 下記の特性v)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載されたプロピレン系樹脂組成物。
    v)−80〜150℃の範囲で周波数1Hzの条件による固体粘弾性測定によって得られる、プロピレン−エチレン共重合体成分(b)由来のtanδのピーク温度が−47℃以下にあること。
  3. プロピレン−エチレン共重合体の成分(b−1)及び成分(b−2)の重量平均分子量が共に250,000〜1,000,000であり、成分(a)の重量平均分子量が60,000〜250,000であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたプロピレン系樹脂組成物。
  4. プロピレン−エチレン共重合体の成分(b−1)の重量平均分子量が成分(b−2)の重量平均分子量以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載されたプロピレン系樹脂組成物。
  5. 各成分が逐次多段重合により製造される、又は個別に重合された各成分が混合される、或いはこれらの工程を組み合わされて製造されることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたプロピレン系樹脂組成物。
  6. 成分(a)及び(b)が、(A)下記一般式[I]で示される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)有機アルミニウムオキシ化合物、(B−2)遷移金属化合物と反応してカチオンを形成可能な化合物、(B−3)イオン交換性層状化合物(珪酸塩を含む)におけるいずれか一種類以上からなる活性化剤を必須成分とし、(C)有機アルミニウム化合物を任意成分とする、メタロセン系触媒の存在下に製造されることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたプロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2007224267
    (一般式[I]中において、A 及びA は、共役五員環配位子〔同一化合物内ではA 及びAは同一でも異なっていてもよい〕を示し、結合性基Qに結合していない共役五員環の炭素は置換基を有してもよく、Qは、2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基、Mは、周期律表4〜6族から選ばれる金属原子を示し、X及びYは、それぞれ独立して、Mと結合した、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アミノ基、ハロゲン化炭化水素基、酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。)
  7. プロピレン−エチレン共重合体成分(b−1)及び成分(b−2)の配合比により、耐衝撃性が相乗して増加されることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載されたプロピレン系樹脂組成物。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載されたプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、エチレン・α−オレフィン系エラストマー又はスチレン系エラストマー1〜70重量部を含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
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