JP2007223916A - 抗菌剤 - Google Patents

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Shigeyuki Yokoyama
茂之 横山
Kenichi Yasumuro
憲一 安室
Hiroyuki Onuki
裕之 大貫
Mizue Yamazaki
瑞枝 山崎
Kazuhito Sato
万仁 佐藤
Kenji Onodera
賢司 小野寺
Mikako Shiromizu
美香子 白水
Hiroshi Hirota
洋 廣田
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Abstract

【課題】様々な菌に対して優れた抗菌効果を発揮し得る新規抗菌剤の提供。
【解決手段】下記一般式(I)で表される化合物および/もしくは下記一般式(II)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗菌剤。
Figure 2007223916

[一般式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立に水素原子または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基等を表す。]
Figure 2007223916

[一般式(II)において、X2およびX12はそれぞれ独立にハロゲン原子であり、X1、X3、X4、X11、X13およびX14は、それぞれ独立にハロゲン原子または水素原子であり、Yは、所定のアミノ基である]
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた抗菌効果を示す抗菌剤に関する。
近年、感染症、院内感染、食中毒などの菌による汚染の問題が深刻化している。このような汚染を防止するために、例えば、ペニシリン系、セフェロスポリン系、ペネム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、アミノグリコシド系などの抗生物質や、ピリドンカルボン酸系の合成抗菌剤が使用されている(非特許文献1参照)。
抗生物質大要−化学と生物活性[第4版] 東京大学出版会 (1992)
しかし、上記抗生物質や合成抗菌剤の長期にわたる使用や大量使用は、薬剤耐性菌の出現を引き起こし、細菌汚染の防止を一層困難とするおそれがある。そのため、耐性菌の出現および耐性菌による細菌汚染を防止するために、新たな抗菌剤を開発することが求められていた。
かかる状況下、本発明の目的は、様々な菌に対して優れた抗菌効果を発揮し得る新規抗菌剤を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、一般式(I)で表される化合物および一般式(II)で表される化合物が、グラム陽性菌、グラム陰性菌などの各種菌に対する優れた抗菌活性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成するための手段は、以下の通りである。
[1] 下記一般式(I)で表される化合物および/もしくは下記一般式(II)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗菌剤。
Figure 2007223916
[一般式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基を表す。]
Figure 2007223916
[一般式(II)において、X2およびX12はそれぞれ独立にハロゲン原子であり、X1、X3、X4、X11、X13およびX14は、それぞれ独立にハロゲン原子または水素原子であり、Yは、下記一般式(III)で表されるアミノ基または置換もしくは無置換のモルホリノ基、ピペラジノ基もしくはピペリジノ基であり、但し、Yがモルホリノ基である場合、X2およびX12はそれぞれ独立にフッ素原子または塩素原子であり、前記モルホリノ基、ピペラジノ基およびピペリジノ基が置換基を有する場合、該置換基は、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、前記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基が置換基を有する場合、該置換基は、水酸基、アミノ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも一種である。]
Figure 2007223916
[一般式(III)において、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表し、R3およびR4の炭素数の合計は、1〜5の範囲であり、前記アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基が置換基を有する場合、該置換基は、水酸基、アミノ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも一種である。]
[2] 一般式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立に、メチル基またはエチル基を表す、[1]に記載の抗菌剤。
[3] 前記一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(IV)で表される、[1]または[2]に記載の抗菌剤。
Figure 2007223916
[一般式(IV)において、R1およびR2は、一般式(I)における定義と同義である。]
[4] 一般式(II)において、X2およびX12は、それぞれ独立に塩素原子または臭素原子である、[1]〜[3]のいずれかに記載の抗菌剤。
[5] 一般式(II)において、Yは、モルホリノ基、ピペラジノ基、ピペリジノ基、4−メチルピペリジノ基、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、または2−ヒドロキシエチルメチルアミノ基である、[1]〜[4]のいずれかに記載の抗菌剤。
[6] グラム陽性菌、グラム陰性菌、糸状菌、および/または酵母に対する抗菌剤である、[1]〜[5]のいずれかに記載の抗菌剤。
本発明によれば、感染症、院内感染、食中毒などを引き起こす各種原因菌を効果的に殺菌することができる。
以下、本発明について更に詳細に説明する。

本発明の抗菌剤は、一般式(I)で表される化合物(以下、「化合物A」ともいう)および/もしくは一般式(II)で表される化合物(以下、「化合物B」ともいう)またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する。以下に、一般式(I)で表される化合物および一般式(II)で表される化合物の詳細について説明する。
化合物A
化合物Aは、下記一般式(I)で表される。
Figure 2007223916
一般式(I)において、R1およびR2は、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基を表す。前記炭素数が6を超えると、良好な抗菌活性を得ることが困難となる。これらの基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。一般式(I)において、R1およびR2は、同一の基であっても異なる基であってもよいが、合成および入手の容易性の観点からは、同一の基であることが好ましい。また、前記炭素数は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。前記アルケニル基の具体例としては、2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等を挙げることができる。前記アルキニル基の具体例としては、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
前記の各基は、それぞれ置換されていてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、低級アルキル基(例えば炭素数1〜6)、水酸基、アミノ基等が挙げられる。R1およびR2が置換基を有する場合、置換基の数は、例えば1〜3個、好ましくは1〜2個である。
化合物Aにおいて、アントラキノン骨格への下記基:
Figure 2007223916
の置換位置は、1位または2位のいずれであってもよいが、好ましくは、下記一般式(IV)で表されるように、1位である。
Figure 2007223916
[一般式(IV)において、R1およびR2は、一般式(I)における定義と同義である。]
また、化合物Aは、少なくとも1つの不斉中心を有するため、種々の光学異性体または配置のものが存在し得る。本発明の抗菌剤に含まれる化合物Aは、(+)または(−)の光学活性体のいずれか一方であってもよく、ラセミ体または(±)混合物であってもよい。また、不斉中心を2つ以上有する場合には、更にそれぞれの光学異性によるジアステレオマーが存在し得るが、本発明の抗菌剤に含まれる化合物Aは、単一の異性体であっても複数の異性体の混合物であってもよい。
高い抗菌効果を得るためには、一般式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基、または3−ブチニル基であることが好ましく、メチル基またはエチル基であることが更に好ましい。
化合物Aは、公知の方法で合成可能であり、例えば、1−クロロアントラキノンまたは2−クロロアントラキノンと1−アミノ−3−(N,N−二置換アミノ)−2−プロパノールの混合物をトルエン中加熱還流することで合成することができる。但し、本発明において使用される化合物Aは、上記方法によって合成されたものに限定されるものではない。また、化合物Aとしては、市販品として入手可能なものもある。
化合物B
化合物Bは、下記一般式(II)で表される。
Figure 2007223916
一般式(II)において、X2およびX12はそれぞれ独立にハロゲン原子である。具体的には、X2およびX12はそれぞれ独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子であることができ、好ましくは塩素原子または臭素原子である。なお、X2およびX12は同一であっても異なっていてもよいが、合成および入手の容易性の観点からは、同一であることが好ましい。
一般式(II)において、X1、X3、X4、X11、X13およびX14は、それぞれ独立にハロゲン原子または水素原子である。特に、一般式(II)においてYで表されるアミノ基が環状アミノ基、即ち、モルホリノ基、ピペラジノ基またはピペリジノ基である場合、X1、X3、X4、X11、X13およびX14のいずれか1つ以上がハロゲン原子である場合には、X4にハロゲン原子を有することが好ましい。前記ハロゲン原子としては、塩素原子または臭素原子が好ましく、特に、X2およびX12と同種のハロゲン原子であることが好ましい。
一般式(II)において、Yは、下記一般式(III)で表されるアミノ基または置換もしくは無置換のモルホリノ基、ピペラジノ基もしくはピペリジノ基である。但し、Yがモルホリノ基である場合、X2およびX12はそれぞれ独立にフッ素原子または塩素原子であり、好ましくは塩素原子である。
前記モルホリノ基、ピペラジノ基およびピペリジノ基が置換基を有する場合、該置換基は、置換または無置換の、例えば炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基)、アルケニル基(例えば2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2-ブテニル基、3−ブテニル基)またはアルキニル基(例えば2-プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基)である。前記モルホリノ基、ピペラジノ基およびピペリジノ基が置換基を有する場合、置換基の数は、例えば1〜3個、好ましくは1〜2個、より好ましくは1個である。特に、ピペリジノ基が置換基を有する場合は、4位の炭素原子に置換基が結合していることが好ましく、ピペラジノ基が置換基を有する場合は、4位の窒素原子に置換基が結合していることが好ましい。また、前記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基が置換基を有する場合、該置換基は、水酸基、アミノ基およびハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、置換基の数は、例えば1〜3個、好ましくは1〜2個である。
Figure 2007223916
一般式(III)において、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表し、R3およびR4の炭素数の合計は、1〜5の範囲である。前記炭素数の合計が5を超えると、良好な抗菌活性を得ることが困難となる。これらの基は、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。一般式(II)において、R3およびR4は、同一の基であっても異なる基であってもよい。また、前記炭素数の合計は、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2である。
前記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。前記アルケニル基の具体例としては、2−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等を挙げることができる。前記アルキニル基の具体例としては、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
前記の各基は、それぞれ置換されていてもよい。前記の各基が置換されている場合の置換基は、水酸基、アミノ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、置換基の数は、例えば1〜4個、好ましくは1〜2個である。
高い抗菌効果を得るためには、一般式(II)において、Yは、モルホリノ基、ピペラジノ基、ピペリジノ基、4−メチルピペリジノ基、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、または2−ヒドロキシエチルメチルアミノ基であることが好ましい。
化合物Bは、少なくとも1つの不斉中心を有するため、種々の光学異性体または配置のものが存在し得る。本発明の抗菌剤に含まれる化合物Bは、(+)または(−)の光学活性体のいずれか一方であってもよく、ラセミ体または(±)混合物であってもよい。また、不斉中心を2つ以上有する場合には、更にそれぞれの光学異性によるジアステレオマーが存在し得るが、本発明の抗菌剤に含まれる化合物Bは、単一の異性体であっても複数の異性体の混合物であってもよい。
化合物Bは、公知の方法で合成可能である。化合物Bの合成方法としては、以下の方法を例示できる。
(第一段階)炭酸カリウムと二置換アミンのアセトニトリル溶液の混合物にエピブロモヒドリンのアセトニトリル溶液を滴下する。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧下留去する。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、N−メチルオキシランを得る。
(第二段階)水素化ナトリウムを3,6−ジハロゲン化カルバゾールのテトラヒドロフラン溶液に添加し、例えば室温で30分程度撹拌後、上記のN−メチルオキシラン誘導体のテトラヒドロフラン溶液を滴下する。例えば室温で撹拌した後、飽和炭酸カリウム水溶液で反応を停止させる。反応混合物を、例えばジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。ろ過後、溶媒を減圧下留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物Bを得る。
但し、本発明において使用される化合物Bは、上記方法によって合成されたものに限定されるものではない。また、化合物Bとしては、市販品として入手可能なものもある。
本発明の抗菌剤において、化合物AおよびBは、薬学上許容される塩として含まれていてもよい。「薬学的に許容される塩」としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような鉱酸塩;メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなスルホン酸塩;シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、マンデル酸塩、アスコルビン酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩、リンゴ酸塩のような有機酸塩等の酸付加塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができる。これらの中で好ましい塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩を挙げることができ、更に好ましい塩としては、塩酸塩または硫酸塩を挙げることができる。化合物AおよびBは、水溶液から凍結乾燥したり、または再結晶をすることにより、水分を吸収していてもよく、または吸着水がついて水和物となっていてもよい。
本発明の抗菌剤は、ヒトまたは家畜等の対象に応じて、従来使用されている抗菌剤と同様の投与量、剤型、投与方法により投与することができる。本発明の抗菌剤は、種々の病原菌に起因するヒトおよび他の動物の病気を予防または治療するため、経口、非経口、局所その他の適当な経路で投与することができる。またその投与は1回または数回に分けて行うことができる。一般に前記有効成分の投与量(化合物AおよびBを併用する場合は合計量)は、1日あたり約30mg〜約3gであることが好ましく、より好ましくは約300mg〜約3gである。好適な投与量は、患者の体重および症状、個々の投与経路によって当然変動するが、体重1kgにつき1日に約5mg〜約50mgの投与量が最も望ましい。また動物に投与する場合、治療する動物の種類およびその動物の本発明の抗菌剤に対する感受性の差異、さらに抗菌剤の処方の仕方、投与期間および投与間隔によっても好適な投与量は異なる。場合によっては前記範囲の下限より低い投与量が適当なこともあるし、前記範囲より投与量を多くしてもそれを1日に何回にも分けて少量ずつ投与すれば有害な副作用を生じない場合もある。
本発明の抗菌剤は、前記化合物AおよびBの一方のみを有効成分として含むことができ、または化合物AおよびBの両方を有効成分として含んでもよい。また、本発明の抗菌剤は、前記化合物Aおよび/または化合物Bのみからなることもできるが、通常抗菌剤に使用される他の成分を含んでもよい。そのような成分としては、薬学的に許容される担体および希釈剤、具体的には、固体希釈剤および賦形剤、無菌水性媒体、各種の非毒性有機溶媒等を挙げることができる。
本発明の抗菌剤は、例えば、前記有効成分と薬学的に許容される不活性担体または希釈剤を混合して、錠剤、カプセル、薬用ドロップ、トローチ、硬質キャンディ、粉末剤、噴霧剤、クリーム、膏薬、坐薬、ゼリー、ジェル、ペースト、ローション、軟膏、水性懸濁液、注射液、エリキシル、シロップ等の形態とすることができる。
また、本発明の抗菌剤が経口投与用の薬剤の場合、適宜に甘味付けおよび/または香味付けを行ってもよい。本発明の抗菌剤における前記有効成分の濃度は、例えば約30mg〜約3g、好ましくは約300mg〜約3gとすることができる。経口投与の場合、微晶質セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸ジカリウム、グリシンのような種々の賦形剤を、澱粉、好適にはとうもろこし、じゃがいもまたはタピオカの澱粉、およびアルギン酸やある種のケイ酸複塩のような種々の崩壊剤、およびポリビニルピロリドン、蔗糖、ゼラチン、アラビアゴムのような顆粒形成結合剤と共に使用することができる。また、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク等の滑沢剤も錠剤形成に非常に有効であることが多い。同種の固体組成物をゼラチンカプセルに充填して使用することもできる。好適な固体組成物としては、ラクトース、乳糖、高分子量のポリエチレングリコール等を挙げることができる。本発明の抗菌剤を経口投与用として水性懸濁液および/またはエリキシルにしたい場合には、活性成分を各種の甘味料または香味料、着色料または染料と併用することができる。また、必要であれば乳化剤および/または懸濁化剤も併用し、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等、およびそれらを組み合わせた希釈剤と共に使用することもできる。
本発明の抗菌剤が非経口投与用製剤である場合には、前記有効成分をゴマ油もしくは落花生油のいずれかに溶解するか、またはプロピレングリコール水溶液等に溶解することにより調製することができる。水溶液は必要に応じて適宜に緩衝し、液体希釈剤をまず等張にする必要がある。このような水溶液は静脈内注射に適し、油性溶液は関節内注射、筋肉注射および皮下注射に適する。これらの溶液は、標準的な製薬技術により、容易に無菌状態で製造することができる。また、本発明の抗菌剤を皮膚など局所的に投与する場合は、標準的な医薬慣行によりクリーム、ゼリー、ペースト、軟膏の形で局所投与することが望ましい。
本発明の抗菌剤は、グラム陰性菌、グラム陽性菌、糸状菌、酵母菌に対して高い抗菌効果を発揮し得るため、これらの菌に対する抗菌剤として使用することができる。具体的には、本発明の抗菌剤は、上記菌を原因菌とするヒト、家畜、魚類等における各種感染症の予防または治療薬として用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。

(1)供試菌
東京大学大学院農学生命科学研究科・伏谷研究室から分譲を受けた以下の3菌株を用いた。
(グラム陰性細菌)
大腸菌(Escherichia coli)
(グラム陽性細菌)
バチルス・サブティリス(Batillus subtilis) PCI219
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus) 209P
(2)試験化合物
表1に示す化合物a−1〜a−4、およびa−6を以下の方法によって調製した。化合物A−1はSPECS社(オランダ)より市販品を入手した。表2に示す化合物B−1〜B−18およびb−1〜b−25は、MDL社(アメリカ)Screening Compounds Directory に収載のある販売会社より市販品を入手した。化合物a−5は、東京化成株式会社より市販品を入手した。
化合物a−1の合成:1−アミノアントラキノン(2.50g)をベンゼン(100mL)に溶解し、室温で塩化アセチル(1.58mL)を滴下した。22時間加熱還流し、室温に冷却した。5%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、溶媒を減圧下留去した。残渣をベンゼンから再結晶し、化合物a−1を得た(2.45g、収率85%)。
化合物a−2の合成:1−アミノアントラキノン(2.50g)をベンゼン(100mL)に溶解し、室温で塩化ベンゾイル(0.89mL)を滴下した。80℃で3時間加熱し、溶媒を減圧下留去した。残渣をベンゼン−クロロホルムから再結晶し、化合物a−2を得た(3.17g、収率87%)。
化合物a−3の合成:1−アミノアントラキノン(2.50g)をピリジン(50mL)に溶解し、室温で塩化トルエンスルホニル(2.56g)を加えた。70℃で1日加熱し、さらに原料が消失するまで塩化トルエンスルホニル(0.85g)を2回加えた。反応混合物を水に投入し、得られた沈殿を10%塩酸、10%水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。沈殿をクロロホルムに溶解し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去後、酢酸エチルから再結晶し、化合物a−3を得た(2.78g、収率66%)。
化合物a−4の合成:1−クロロアントラキノン(5.0g)を1−ブタノール(100mL)に溶解し、3−アミノプロパノール(6.3g)を加えた。4時間加熱還流し、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−ジクロロメタン、メタノール−ジクロロメタン)で精製し、化合物a−4を得た(3.3g、収率55%)。
化合物a−6の合成:1−クロロアントラキノン(3.3g)をトルエン(120mL)に溶解し、1−(3−アミノプロピル)イミダゾールを加えた。24時間加熱還流し、室温まで冷却した。酢酸エチルを加えて、有機層を2%アンモニア水、飽和食塩水で順次洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧下留去した。残渣を酢酸エチルから再結晶し、化合物a−6を得た(1.0g、収率23%)。
Figure 2007223916
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(3)試験法
液体培地に被検菌を接種し、37℃で16〜20時間液体振とう培養を行った。培地にブイヨン(1Lあたり18g)を用いた。これらの培地で調製した寒天プレート(上記培地1Lあたり寒天15−20gを加える)に、前培養した菌を塗布し、37℃で24−48時間静置培養を行い、ペーパーディスク法による阻止円の直径を以て抗菌力とした。表1および表2に示す各化合物2.5mMのジメチルスルホキシド溶液を20μLずつ直径8mmのペーパーディスクに吸収させて試料として用いた。結果を表3および4に示す。表3および4中、11.5半(半阻止円の直径11.5mm)以上の値を示す場合、抗菌活性ありと判断した。表3および表4に示すように、本発明の抗菌剤の有効成分である一般式(I)で表される化合物A−1および一般式(II)で表される化合物B−1〜B−18は、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して優れた抗菌活性を示した。
Figure 2007223916
Figure 2007223916
Figure 2007223916
本発明の抗菌剤は、感染症の予防および治療のために好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物および/もしくは下記一般式(II)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する抗菌剤。
    Figure 2007223916
    [一般式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基もしくはアルキニル基を表す。]
    Figure 2007223916
    [一般式(II)において、X2およびX12はそれぞれ独立にハロゲン原子であり、X1、X3、X4、X11、X13およびX14は、それぞれ独立にハロゲン原子または水素原子であり、Yは、下記一般式(III)で表されるアミノ基または置換もしくは無置換のモルホリノ基、ピペラジノ基もしくはピペリジノ基であり、但し、Yがモルホリノ基である場合、X2およびX12はそれぞれ独立にフッ素原子または塩素原子であり、前記モルホリノ基、ピペラジノ基およびピペリジノ基が置換基を有する場合、該置換基は、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり、前記アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基が置換基を有する場合、該置換基は、水酸基、アミノ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも一種である。]
    Figure 2007223916
    [一般式(III)において、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基を表し、R3およびR4の炭素数の合計は、1〜5の範囲であり、前記アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基が置換基を有する場合、該置換基は、水酸基、アミノ基およびハロゲン原子からなる群から選ばれる少なくとも一種である。]
  2. 一般式(I)において、R1およびR2は、それぞれ独立に、メチル基またはエチル基を表す、請求項1に記載の抗菌剤。
  3. 前記一般式(I)で表される化合物は、下記一般式(IV)で表される、請求項1または2に記載の抗菌剤。
    Figure 2007223916
    [一般式(IV)において、R1およびR2は、一般式(I)における定義と同義である。]
  4. 一般式(II)において、X2およびX12は、それぞれ独立に塩素原子または臭素原子である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌剤。
  5. 一般式(II)において、Yは、モルホリノ基、ピペラジノ基、ピペリジノ基、4−メチルピペリジノ基、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ基、または2−ヒドロキシエチルメチルアミノ基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗菌剤。
  6. グラム陽性菌、グラム陰性菌、糸状菌、および/または酵母に対する抗菌剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗菌剤。
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