JP2007223443A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電動パワーステアリング装置の高出力化に伴うハンドル戻り性能とハンドル中立位置における操舵フィーリングの悪化を防止する。
【解決手段】 操舵角θに対する操舵トルクMTを、予め設定したリサージュ波形に沿うように制御する。このリサージュ波形においては、ハンドル戻し操作時における操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配dMT/dθが小さく設定される(制御ラインA1またはB1)ため、残留角θ1が少なくなりハンドル戻り性能が向上する。また、戻り操作から切り込み操作に変わる中立位置近傍領域においては、操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配dMT/dθが大きく設定される(制御ラインA2またはB2)ため、中立位置近傍における切り込み操作手ごたえが向上して良好な切り込み操作フィーリングが得られる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、操舵ハンドルの操作に対して、電動アクチュエータにより操舵補助力(アシストトルク)を付与する電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、操舵ハンドルの操舵操作を電動モータなどの電動アクチュエータで補助する電動パワーステアリング装置が知られている。この電動パワーステアリング装置においては、マイクロコンピュータを主要部に備えた電子制御ユニットを備え、この電子制御ユニットにより電動モータへの通電量を制御して、操舵アシストトルクをステアリング機構に付与して操舵反力を低減する。
操舵反力は、操舵ハンドルから操舵輪までの操舵機構による反力(主に操舵機構の摩擦力)と、操舵輪と路面との間に作用する力(主にセルフアライニングトルクおよび操舵輪と路面との間の摩擦力)との和である。従って、電動パワーステアリング装置を備えた車両においては、電動モータによって付与される操舵アシストトルクと運転者が加える操舵トルクとの和で操舵反力に対向することで操舵ハンドルが回動される。
そして、電子制御ユニットは、運転者にとって快適な操舵フィーリングが得られるように、ハンドル操作に対して適切な反力が作用するように操舵アシストトルクを設定する。
例えば、特許文献1に示される電動パワーステアリング装置においては、車速と操舵トルクとから電動モータの電流指令値を導き出すアシストマップを記憶し、車両の運転中に車速センサおよび操舵トルクセンサで検出した検出信号に基づいて電流指令値を算出し、この電流指令値に基づいて電動モータを駆動制御して所望の操舵アシストトルクを得るようにしている。
また、この特許文献1に示される電動パワーステアリング装置では、操舵トルクセンサが故障したときのために、別のアシストマップ(第2アシストマップ)を記憶している。この第2アシストマップは、操舵方向が正方向のマップと操舵方向が負方向のマップとで構成され、操舵方向に応じていずれか一方が選択される。そして、選択されたマップに基づいて、操舵角と車速とに対応した電流指令値が算出され電動モータが駆動制御される。つまり、この第2アシストマップを用いた制御では、操舵トルクセンサが故障した場合であっても、操舵方向に応じてヒステリシス特性をもった電流指令値にて電動モータを駆動することにより自然な操舵フィーリングを得ようとしている。
特開2004−338562号
ところで、最近においては電動パワーステアリング装置の高出力化が望まれている。しかしながら、電動パワーステアリング装置の高出力化を図った場合には、操舵機構における摩擦力が増大し、操舵ハンドルの戻り性能や中立位置付近での操舵フィーリングが悪化してしまう。
操舵ハンドルの戻り性能向上や中立位置付近での操舵フィーリング向上を図るためには、主に、次の2つの手法が考えられる。
(1)操舵ハンドルから操舵輪までのステアリング系における摩擦力削減
(2)サスペンション形式またはサスペンションジオメトリーの変更
ここで、車両の代表特性である操舵角−操舵トルク特性を使ってハンドル戻り性能について説明する。図5は、操舵角−操舵トルク特性を示すリサージュ波形を表し、横軸は操舵ハンドルの操舵角θを、縦軸は運転者が操舵ハンドルに与える操舵トルクMTを表す。この操舵トルクMTは、運転者がハンドル操作に対して感じる操舵反力トルクとも言える。
ハンドル戻り性能は、ハンドル戻し操作時に操舵トルクがゼロ(MT=0)になるときの操舵角(残留角)が小さいほど良好となる。つまり、図5に実線にて示すリサージュ波形のA点で表される残留角が小さいほどハンドル戻り性能が良好といえる。そこで、手法(1)にて挙げたようにステアリング系おける摩擦力を低減すれば、図5に破線にて示すようなヒステリシスを低減した(HA→HB)リサージュ波形が得られ、残留角をA点からB点にまで低減することができる。
また、手法(2)にて挙げたようにサスペンション形式またはサスペンションジオメトリーの変更を行えば、図5に一点鎖線にて示すように、リサージュ波形の傾きを大きくして残留角をA点からB点にまで低減することができる。
しかしながら、こうした手法(1)、(2)では、サスペンションを含めたステアリング系の大幅な変更を伴うことになり、コストアップを招いてしまう。また、他の性能にも悪影響を及ぼす場合もある。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、高出力化に対して生じる操舵フィーリングの悪化を抑制することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、操舵ハンドルの操舵操作により発生する操舵力を車輪に伝達する操舵力伝達機構と、操舵ハンドルの操舵操作を補助するための操舵補助力を上記操舵力伝達機構に付与する電動アクチュエータとを有する電動パワーステアリング装置において、運転者により上記操舵ハンドルに付与される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、上記操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、上記操舵ハンドルの切り込み操作と戻し操作とを区別して検出するハンドル操作検出手段と、上記操舵ハンドルの操舵角に対する操舵トルクが、予め設定した操舵角−操舵トルク特性を表すリサージュ波形に沿うように上記電動アクチュエータから出力される操舵補助力を制御する操舵補助力制御手段とを備え、上記操舵角−操舵トルク特性は、上記操舵ハンドルの切り込み操作時での操舵角に対する操舵トルクの変化勾配に対して、上記操舵ハンドルの戻し操作時での操舵角に対する操舵トルクの変化勾配が小さく設定されていることにある。
上記構成を有する本発明によれば、操舵トルク検出手段により運転者が操舵ハンドルに付与する操舵トルクを検出し、操舵角検出手段により操舵ハンドルの操舵角を検出し、ハンドル操作検出手段により操舵ハンドルの切り込み操作と戻し操作とを区別して検出する。そして、操舵補助力制御手段は、これらの検出手段により検出した結果に基づいて、操舵角に対する操舵トルクが、予め設定した操舵角−操舵トルク特性を表すリサージュ波形に沿うように電動アクチュエータから出力される操舵補助力を制御する。
この操舵角−操舵トルク特性は、例えば、図3に示すように、ヒステリシスを有し、切り込み操作時と戻し操作時とで操舵トルク特性の異なるリサージュ波形で表される。そして本発明における操舵角−操舵トルク特性においては、操舵ハンドルの切り込み操作時での操舵角に対する操舵トルクの変化勾配に対して、操舵ハンドルの戻し操作時での操舵角に対する操舵トルクの変化勾配が小さく設定されている。
従って、本発明によれば、運転者が切り込み位置から中立位置(操舵角ゼロ)側へ戻し操作を行った場合、操舵角の変化に対する操舵トルクの変化が少ないため、操舵トルクがゼロになるときの操舵角、つまり残留角が小さくなる。このため、ハンドル戻し性能が向上する。
一般に、運転手は、戻し操作を行う場合、操舵ハンドルを握る力をゆるめ、セルフアライニングトルクなどの操舵反力を利用する。こうした戻し操作を行う場合、操舵角−操舵トルク特性における残留角が大きいと、中立位置よりもかなり手前で操舵反力がなくなってしまい、運転者自身が操舵ハンドルを中立位置にまでもっていく必要がある。つまり、ハンドル戻り性能が悪い。
これに対して、本発明によれば、操舵ハンドルの切り込み操作時での操舵角に対する操舵トルクの変化勾配に対して、操舵ハンドルの戻し操作時での操舵角に対する操舵トルクの変化勾配が小さく設定されているため、切り込み操作フィーリング(切り込み時の適度な手ごたえ)を良好に維持したまま、戻し操作の残留角を小さくすることができる。
従って、切り込み操作フィーリングを犠牲にすることなく、ハンドル戻り性能を向上させることができる。
この結果、電動パワーステアリング装置の高出力化と良好なハンドル戻り性能との両立を図ることができる。
尚、本発明における「操舵ハンドルの切り込み操作」とは、車両を右あるいは左方向に旋回させるために操舵ハンドルを操舵反力に逆らって回転させる操作を意味し、「操舵ハンドルの戻し操作」とは、旋回中の車両を直進方向に戻すために切り込み操作とは反対方向に操舵ハンドルを回転させる操作を意味する。
本発明の他の特徴は、上記操舵角−操舵トルク特性は、上記操舵ハンドルの戻し操作により操舵トルクが略ゼロとなる操舵位置から所定角度切り込んだ操舵位置までの中立位置近傍領域は、その中立位置近傍領域の外側の操舵領域よりも操舵角に対する操舵トルクの変化勾配が大きく設定されていることにある。
この発明によれば、操舵ハンドルの戻し操作により操舵トルクが略ゼロになるまでは、操舵角に対する操舵トルクの変化が少ないため残留角を小さくでき、戻し操作から切り込み操作に変わると、所定の操舵角度のあいだ操舵トルクの変化勾配が大きく設定される。従って、中立位置付近において行う切り込み操作時での手ごたえが良好となる。つまり、中立位置付近におけるハンドル操作の剛性が向上し、切り込み操作フィーリングが向上する。
この結果、操舵ハンドルの戻し性能向上と、中立位置における切り込み操作フィーリング向上とを両立することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係り、運転者による操舵操作に対してアシスト機能を有する電動パワーステアリング装置の全体概略図である。
この電動パワーステアリング装置1は、操舵ハンドル11に上端を一体回転するように接続したステアリングシャフト12を備え、同シャフト12の下端にはピニオンギヤ13が一体回転するように接続されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合ってラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には左右前輪FW1,FW2が操舵可能に接続されており、左右前輪FW1,FW2は、ステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向の変位に応じて左右に操舵される。ラックバー14には、操舵アシスト用の電動モータ15が組み付けられている。電動モータ15は、操舵ハンドル11の操舵操作を補助するためのアシストトルク(操舵補助力)を発生する。このアシストトルクは、減速器を構成するボールねじ機構16によって減速(高出力化)されるとともに直線駆動力に変換される。そして、変換された直線駆動力がラックバー14に付与される。なお、ステアリングシャフト12、ピニオンギヤ13、ラックバー14で、操舵ハンドル11の操舵操作により発生する操舵力を車輪FW1,FW2に伝達する操舵力伝達機構を構成する。
電動モータ15は、アシスト制御装置20によってその作動が制御される。アシスト制御装置20は、操舵トルクセンサ21、操舵角センサ22および車速センサ23を備えている。操舵トルクセンサ21は、ステアリングシャフト12に組み付けられていて、運転者が操舵ハンドル11を操舵操作することにより入力される入力トルクを操舵トルクMTxとして検出する。なお、操舵トルクMTxは、操舵ハンドル11が右方向に回動されているときに検出される操舵トルクを正の値で表し、左方向に回動されているときに検出される操舵トルクを負の値で表す。
操舵角センサ22もステアリングシャフト12に組み付けられていて、操舵ハンドル11の操舵操作によって生じるステアリングシャフト12の回転角度に基づいて操舵ハンドル11の操舵角θを検出する。なお、操舵角θは、中立位置を「0」とし、右方向の回転角を正の値で表すとともに、左方向の回転角を負の値でそれぞれ表す。車速センサ23は、車速Vを検出して出力する。
また、アシスト制御装置20は、操舵トルクセンサ21、操舵角センサ22および車速センサ23に接続された電子制御ユニット24を備えている。電子制御ユニット24は、CPU,ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とし、図2のアシスト制御プログラムを実行することにより、駆動回路25を介して電動モータ15を駆動制御する。駆動回路25は、例えば、複数のスイッチング素子から構成されるインバータ回路を備え、電子制御ユニット24からのモータ制御指令値に応じてスイッチング素子のデューティ比を制御することにより所定の電圧を電動モータ15に印加して電動モータ15を駆動制御する。
次に、アシスト制御装置20が実行するアシスト制御処理について説明する。図2は、アシスト制御装置20の電子制御ユニット24が実行するアシスト制御ルーチンを表し、電子制御ユニット24のROM内に制御プログラムとして記憶されている。
このアシスト制御ルーチンは、図示しないイグニッションスイッチの投入により起動し、所定の短い周期で繰り返し実行される。
本制御ルーチンが起動すると、電子制御ユニット24は、ステップS11において、操舵トルクセンサ21にて検出される操舵トルクMTxと、操舵角センサ22により検出される操舵ハンドル11の操舵角θと、車速センサ23により検出される車速Vとを読み込む。
続いて、ステップS12の処理に進み、車速Vに応じた操舵角−操舵トルク特性を決定する。この操舵角−操舵トルク特性は、図4に示すように、操舵角θに対する最適操舵トルクMTを設定したもので、横軸に操舵角θを、縦軸に最適操舵トルクMTを表わしたリサージュ波形となっている。そして、この操舵角−操舵トルク特性は、車速Vごとにそれぞれ設定されており、操舵角−操舵トルク特性算出マップMPとして電子制御ユニット24の記憶回路内に記憶されている。操舵角−操舵トルク特性は、車速Vが大きいほどリサージュ波形の傾斜(右上がり傾斜)が急になるように設定される。
この操舵角−操舵トルク特性は、操舵ハンドル11の操舵角、操舵方向に応じた最適な運転者の操舵トルクMTを予め設定したものである。運転者の操舵トルクは、ハンドル操作に対する反力となる操舵反力トルクと等しいため、電動モータ15により付与するアシストトルクを調整することで制御できる。つまり、電動モータ15によるアシストトルクを大きくすることによりハンドル操作に対する反力を減らし、アシストトルクを小さくすることによりハンドル操作に対する反力を大きくすることができる。
従って、後述するように、この操舵角−操舵トルク特性に沿って操舵トルクを制御する場合には、電動モータ15のアシストトルクを調整して、操舵反力トルクを制御すればよい。この場合、操舵反力トルクは、操舵トルクセンサ21で検出される操舵トルクMTxと等しいことから、この検出される操舵トルクMTxが、操舵角−操舵トルク特性で決まる最適操舵トルクMTと等しくなるように電動モータ15を制御することになる。
ここで、操舵角−操舵トルク特性を表すリサージュ波形について説明する。
一般的な操舵角−操舵トルク特性を表すリサージュ波形は、例えば、図5に示すような右上がり傾斜した平行四辺形となる。この平行四辺形の高さ方向の幅がヒステリシスを表す。
こうしたリサージュ波形においては、電動パワーステアリング装置1の高出力化を図ると操舵機構における摩擦力が大きくなってヒステリシス幅が増大する。そして、残留角が大きくなってハンドル戻り性能が悪化する。
一般に、ハンドル戻し操作を行う場合、運転者は操舵ハンドルを握る力をゆるめ、セルフアライニングトルクなどの操舵反力を利用することが多い。こうした場合、残留角が大きいと中立位置よりもかなり手前で操舵反力がなくなってしまい、操舵反力だけでは操舵ハンドルが中立位置にまで戻り切らない。従って、ハンドル戻り性能が悪化するのである。
そこで、本実施形態においては、リサージュ波形を以下のように設定することでハンドル戻し性能を向上させている。
図3の実線波形は、本実施形態におけるリサージュ波形である。
このリサージュ波形は、操舵ハンドル11の左操舵位置から右方向への戻し操作領域における操舵トルクMTを設定する制御ラインA1と、左操舵位置からの戻し操作が終了した位置(操舵トルクがゼロとなる操舵角−θ1となる位置)から所定角度右方向に切り込んだ操舵角θ2までの中立位置近傍領域における操舵トルクMTを設定する制御ラインA2と、中立位置近傍領域を過ぎてさらに右方向への切り込み操作領域における操舵トルクMTを設定する制御ラインA3と、操舵ハンドルの右操舵位置から左方向への戻し操作領域における操舵トルクMTを設定する制御ラインB1と、右操舵位置からの戻し操作が終了した位置(操舵トルクがゼロとなる操舵角θ1となる位置)から所定角度左方向に切り込んだ操舵角−θ2までの中立位置近傍領域における操舵トルクMTを設定する制御ラインB2と、中立位置近傍領域を過ぎてさらに左方向への切り込み操作領域における操舵トルクMTを設定する制御ラインB3とを有する。
このリサージュ波形では、操舵ハンドル11の戻し操作領域となる制御ラインA1,B1の操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配dMT/dθが、図3に破線にて示す平行四辺形のリサージュ波形(以下、基本リサージュ波形と呼ぶ)に比べて小さく設定されている。本実施形態においては、中立位置に近づくほど操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配dMT/dθが小さく設定される。
従って、基本リサージュ波形に比べて残留角を小さく設定することができる。この例における残留角の大きさは、基本リサージュ波形における残留角θAに比べて小さな角度θ1に設定される。
従って、基本リサージュ波形に比べて、ハンドル戻し性能が向上する。
ところで、このように戻し操作時における操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配を小さくした場合には戻し性能が向上するが、そのままの変化勾配で中立位置近傍領域の特性を設定してしまうと、中立位置近傍における切り込み操作フィーリングが悪化してしまう。
つまり、運転者は、操舵反力の向きが反転するポイントを中立位置として認識するが、中立位置近傍領域においても操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配を小さくしてしまうと、操舵ハンドル11から運転者に伝わる手ごたえが小さくなってしまい、操舵反力の向きが反転するポイントを感じにくくなってしまう。このため、運転者にとっては、操舵ハンドル11の中立位置を感覚的に認識しにくく、切り込み操作をしているのか、戻し操作をしているのか感覚的に分かりにくい状況になることがある。
そこで、本実施形態においては、制御ラインA2,B2に示すように、中立位置近傍領域においては、操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配を基本リサージュ波形に比べて大きく設定している。
このため、制御ラインA1,A2に示すように、左操舵位置から戻し操作をした場合には、操舵角−θ1を越えた位置で運転者の感じる操舵反力トルクが急に増加し始めるため、この位置を中立位置として認識できる。また、制御ラインB1,B2に示すように、右操舵位置から戻し操作をした場合には、操舵角θ1を越えた位置で運転者の感じる操舵反力トルクが急に増加し始めるため、この位置を中立位置として認識できる。
この場合、残留角|θ1|が小さな値に設定されているため、運転者の認識する中立位置と、操舵角がゼロとなる中立位置との差が少なく、運転者に違和感を与えない。
また、制御ラインA2,B2に示すように、中立位置近傍領域においては、操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配が大きいため、切り込み操作時における手ごたえが向上して切り込み操作フィーリングが良好となる。
そして、中立位置近傍領域を超えて切り込み操作されると、今度は、操舵角−操舵トルク特性が制御ラインA3,B3上に移る。この制御ラインA3,B3は、基本リサージュ波形と同様な変化勾配に設定されているため、従来からの良好な特性を維持することができる。つまり、中立位置近傍領域(制御ラインA2,B2)で設定した操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配をそのまま切り込み操舵角が大きくなる領域にまで延長してしまうと、操舵トルクMTが大きくなりすぎてしまう。そこで、切り込み操舵角θの大きな領域においては、中立近傍領域に比べて変化勾配を小さく設定している。
この場合、制御ラインA2から制御ラインA3に滑らかに繋がるように、また、制御ラインB2から制御ラインB3に滑らかに繋がるように変化勾配を設定するとよい。
図2のアシスト制御ルーチンの説明に戻り、ステップS12において車速Vに応じた操舵角−操舵トルク特性が決定すると、続いて、ステップS13の処理に移行し、ハンドル操作の回転方向が右方向か否かを判断する。
例えば、操舵角センサ22にて検出した操舵角θを時間で微分し、その値(dθ/dt)が正であれば、右方向に操舵中であると判断する。本制御ルーチンは所定の周期で繰り返し実施されることから、今回検出した操舵角θnと直前回に検出した操舵角θn-1との差(θn−θn-1)に基づいて、その差が正の値であればハンドル操作の回転方向が右方向であると判断できる。
右方向の回転操作であると判断された場合には(S13:YES)、更に、ステップS14において、操舵角θが−θ1よりも小さいか否かを判断する。θ<−θ1であると判断された場合には、左操舵位置からの戻し操作であるとして、操舵角−操舵トルク特性を決める制御ラインとして制御ラインA1を設定する(S15)。
ステップS14における判断が「NO」、つまり、θ≧−θ1であると判断された場合には、更に、ステップS16において、操舵角θが−θ1以上かつθ2以下であるか否かを判断する。−θ1≦θ≦θ2であると判断された場合には、中立位置近傍領域での右方向への切り込み操作であるとして、操舵角−操舵トルク特性を決める制御ラインとして制御ラインA2を設定する(S17)。
また、ステップS16における判断が「NO」、つまりθ>θ2であると判断された場合には、中立位置近傍領域を超えた右方向への切り込み操作であるとして、操舵角−操舵トルク特性を決める制御ラインとして制御ラインA3を設定する(S18)。
一方、ステップS13における判断が「NO」、つまり、右方向の回転操作では無いと判断された場合には、ステップS19に進み、ハンドル操作の回転方向が左方向か否かを判断する。例えば、操舵角センサ22にて検出した操舵角θを時間で微分し、その値(dθ/dt)が負であれば、左方向に操舵中であると判断する。
左方向の回転操作であると判断された場合には(S19:YES)、更に、ステップS20において、操舵角θがθ1よりも大きいか否かを判断する。θ>θ1であると判断された場合には、右操舵位置からの戻し操作であるとして、操舵角−操舵トルク特性を決める制御ラインとして制御ラインB1を設定する(S21)。
ステップS20における判断が「NO」、つまり、θ≦θ1であると判断された場合には、更に、ステップS22において、操舵角θが−θ2以上かつθ1以下であるか否かを判断する。−θ2≦θ≦θ1であると判断された場合には、中立位置近傍領域での左方向への切り込み操作であるとして、操舵角−操舵トルク特性を決める制御ラインとして制御ラインB2を設定する(S23)。
また、ステップS22における判断が「NO」、つまりθ≦−θ2であると判断された場合には、中立息近傍領域を超えた左方向への切り込み操作であるとして、操舵角−操舵トルク特性を決める制御ラインとして制御ラインB3を設定する(S24)。
ステップS19における判断が「NO」、つまり、操舵ハンドル11が右方向にも左方向にも回転操作されていない保舵状態にあると判断された場合には、ステップS25に処理を進めて、操舵角−操舵トルク特性を決める制御ラインとして保舵制御ラインを設定する。
この保舵制御ラインは、切り込み操作時に設定された操舵トルクMTを減らすように制御するもので、例えば、制御ラインA3上で切り込み操作されている状態から保舵された場合には、戻し操作用の制御ラインB1に近づくように徐々に操舵角θに対する操舵トルクMTを減らす制御ライン(図3における縦方向の制御ライン)となる。また、制御ラインB3上で切り込み操作されている状態から保舵された場合には、戻し操作用の制御ラインA1に近づくように徐々に操舵角θに対する操舵トルクMTを減らす縦方向の制御ラインとなる。
また、中立位置近傍領域において保舵された場合においても、操舵角θに対する操舵トルクMTを減らように設定する縦方向の制御ラインとなる。
こうして、ステップS15,S17,S18,S21,S23,S24,S25により制御ラインが設定されると、次に、ステップS26に処理を進め、この設定された制御ラインに基づいて、操舵角センサ22により検出された操舵角θに対する最適操舵トルクMTを算出する。
続いて、操舵トルクセンサ21により検出した操舵トルクMTxと、リサージュ波形(制御ライン)から算出された最適操舵トルクMTとの偏差ΔMT(=MT−MTx)を求め(S27)、この偏差ΔMTに基づいて電動モータ15をフィードバック制御する(S28)。つまり、検出した操舵トルクMTxが最適操舵トルクMTに一致するように、例えば、PID制御やPD制御等によりモータ制御指令値を演算し、この制御指令値に応じた駆動電圧で電動モータ15を駆動制御する。そして、本制御ルーチンを一旦抜ける。
こうした処理は所定の短い周期で繰り返し実施され、車両の速度、操舵状態に応じて逐次最適操舵トルクMTが算出され、運転者が感じる操舵反力が最適操舵反力(=最適操舵トルクMT)になるように、電動モータ15のアシストトルクが調整される。
以上説明した本実施形態の電動パワーステアリング装置1によれば、操舵角−操舵トルク特性を表すリサージュ波形に沿って操舵トルクを制御することが可能となる。そして、このリサージュ波形を、操舵ハンドル11の切り込み操作時での操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配に対して、操舵ハンドル11の戻し操作時での操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配を小さく設定しているため、残留角が小さくなる。
このため、ハンドル戻し性能が向上する。
しかも、中立位置近傍領域は、その外側の操舵領域よりも操舵角θに対する操舵トルクMTの変化勾配が大きく設定されているため、中立位置付近において行う切り込み操作時での手ごたえが良好となる。つまり、中立位置付近におけるハンドル操作の剛性が向上し、切り込み操作フィーリングが向上する。
従って、切り込み操作フィーリングを良好に維持したまま、戻し操作の残留角を小さくしてハンドル戻り性能を向上させることができる。
この結果、操舵フィーリングを犠牲にすることなく電動パワーステアリング装置1の高出力化を図ることができる。しかも、電動モータ15のアシスト制御の変更により実施できるため、サスペンションも含めた操舵機構の大きな変更は不要であり、コストアップを招かない。
以上、本実施形態の電動パワーステアリング装置1について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態では、戻し操作領域と、中立位置近傍の切り込み操作領域と、その外側の切り込み操作領域との3つに分けて制御ラインを設定しているが、さらに細かい領域に分けて制御ラインを設定してもよい。この場合においても、操舵ハンドルの切り込み操作時での操舵角に対する操舵トルクの変化勾配に対して、操舵ハンドルの戻し操作時での操舵角に対する操舵トルクの変化勾配が小さく設定されていればよい。
また、本実施形態においては、車速ごとに操舵角−操舵トルク特性を表すリサージュ波形をマップとして記憶し、車速に応じたマップを選択するように構成しているが、演算により車速に応じた操舵角−操舵トルク特性を算出するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、ラックバー14を電動モータ15で駆動してアシストトルクを付与するようにしたラック式電動パワーステアリング装置について説明したが、ステアリングシャフトに減速ギヤ付モータでトルクを付与するコラムシャフト方式の電動パワーステアリング装置に適用してもよい。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。 アシスト制御ルーチンを表すフローチャートである。 本実施形態における操舵角−操舵トルク特性を表すリサージュ波形である。 操舵角−操舵トルク特性算出マップである。 従来の操舵角−操舵トルク特性を表すリサージュ波形である。
符号の説明
1…電動パワーステアリング装置、11…操舵ハンドル、12…ステアリングシャフト、15…電動モータ、21…操舵トルクセンサ、22…操舵角センサ、23…車速センサ、20…アシスト制御装置、24…電子制御ユニット、25…駆動回路、FW1,FW2…左右前輪、MP…操舵角−操舵トルク特性算出マップ。

Claims (2)

  1. 操舵ハンドルの操舵操作により発生する操舵力を車輪に伝達する操舵力伝達機構と、操舵ハンドルの操舵操作を補助するための操舵補助力を上記操舵力伝達機構に付与する電動アクチュエータとを有する電動パワーステアリング装置において、
    運転者により上記操舵ハンドルに付与される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    上記操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
    上記操舵ハンドルの切り込み操作と戻し操作とを区別して検出するハンドル操作検出手段と、
    上記操舵ハンドルの操舵角に対する操舵トルクが、予め設定した操舵角−操舵トルク特性を表すリサージュ波形に沿うように上記電動アクチュエータから出力される操舵補助力を制御する操舵補助力制御手段と
    を備え、
    上記操舵角−操舵トルク特性は、上記操舵ハンドルの切り込み操作時での操舵角に対する操舵トルクの変化勾配に対して、上記操舵ハンドルの戻し操作時での操舵角に対する操舵トルクの変化勾配が小さく設定されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 上記操舵角−操舵トルク特性は、上記操舵ハンドルの戻し操作により操舵トルクが略ゼロとなる操舵位置から所定角度切り込んだ操舵位置までの中立位置近傍領域は、その中立位置近傍領域の外側の操舵領域よりも操舵角に対する操舵トルクの変化勾配が大きく設定されていることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009029399A (ja) * 2007-06-26 2009-02-12 Toyota Central R&D Labs Inc 操舵装置、操舵反力模擬装置、及び操舵反力設定方法
JP2009107492A (ja) * 2007-10-30 2009-05-21 Jtekt Corp 電動パワーステアリング装置

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