JP2007222927A - 金属板のプレス成形装置およびプレス成形方法 - Google Patents

金属板のプレス成形装置およびプレス成形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】破断を生じずにプレス成形できる限界を向上できる、金属板のプレス成形装置およびプレス成形方法の提供。
【解決手段】プレス成形装置には、電熱ヒータの埋め込まれた加熱手段である加熱パッド51があり、パンチの頂部35と金属板との接触部分の裏側部分を加熱する。ただし、加熱パッド51は、パンチの角R部36に接触する金属板の部分は加熱しないような幅に調整する。ダイ2と金属板との接触部分Pd、しわ押さえ4と金属板との接触部分Pb、パンチ3の頂部と金属板との接触部分の裏側部分Phb、を加熱する加熱手段を有し、金属板のフランジ部およびパンチの頂部35と金属板との接触部分の裏側を加熱しながら金属板をプレス成形する。パンチの角R部と金属板との接触部分またはダイの角R部と金属板との接触部分の一方を冷却する冷却手段を備えてもよい。
【選択図】図9

Description

本発明は、金属板を用いて、自動車、家具、家電などの部品をプレス成形する際のプレス成形装置およびプレス成形方法に関する。
従来から、金属板をプレス成形するのに、破断を生じずにプレス成形できる限界を向上させる方法として、特許文献1や特許文献2に記載の温間プレスによる金属板のプレス成形方法が知られている。この方法について、図6を用いて説明する。1は金属板、2はダイ、3はパンチ、4はしわ押さえ(ホルダまたはバインダとも呼ばれる)である。ダイ2としわ押さえ4の内部には電熱ヒータ11、12が内蔵されており、ダイ2およびしわ押さえ4が加熱されるしくみとなっている。一方、パンチ3の内部には、冷却水13の通る水路が設けられており、パンチ3が冷却されるしくみになっている。
この方法の原理について、図7を用いて説明する。平板状の金属板1を円筒状に絞り成形する場合、絞り成形中の金属板1の変形はフランジ部201で顕著に発生する。フランジ部201が絞り成形されて側壁部203になり、側壁部203では変形は殆ど起こらず、後続のフランジ部を引き込むための張力を伝達するのみとなる。
このような原理からして、絞り成形が可能な条件は、図7中、金属板1の側壁部203の部分の破断応力がフランジ部201の絞り抵抗を上回ることである。ところが、絞り深さが深い部品ほどフランジ部201の面積を大きく必要とするため、絞り抵抗が増加する。一方、側壁部203の破断限界応力は変化しないため、絞り深さが深い部品ほど成形が困難になる。
ここで、一般に、金属は加熱すると柔らかく(低引張強度化)、冷却すると硬くなる(高引張強度化)性質がある。そこで、図7のフランジ部201を加熱して変形抵抗(引張強度TS)を下げる一方、既に成形の終わった側壁部203を冷却することで破断応力(引張強度TS)を上げれば、破断を生じずにプレス成形できる限界は大幅に向上する。
特開昭50−137861号公報 特開平11−309518号公報
ところが、特許文献1や特許文献2のような温間プレスによる金属板のプレス成形方法では、破断を生じずにプレス成形できる限界がどんな場合でも、十分向上するわけではない。例えば、特に、図8(a)に示すような2山や図8(b)の3山あるいはそれ以上を有する形状に絞り成形あるいは張り出し成形する場合である。
本発明は、以上の事情に鑑み、従来の温間プレスによる金属板のプレス成形方法よりも、さらに、破断を生じずにプレス成形できる限界を向上できる、金属板のプレス成形方法を提供することを目的とし、特に、2山や3山あるいはそれ以上の多数の山を有する形状に絞り成形する場合に、従来の温間プレスよりも、さらに、破断を生じずにプレス成形できる限界を向上できる金属板のプレス成形装置およびプレス成形方法を提供しようとするものである。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置であって、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの温度Tdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの温度Tbおよび、前記パンチの頂部(head)と前記金属板の接触部分Phの温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの温度Thbが、パンチの角R部と前記金属板の接触部分Pcpの温度Tcpおよびダイの角R部と前記金属板の接触部分Pcdの温度Tcdよりも高くなるように、前記金属板に温度差を付与する手段を備えた金属板のプレス成形装置。
(2)(1)において、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方を加熱する加熱手段と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phと、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方を加熱する加熱手段を備えた金属板のプレス成形装置。
(3)前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpを冷却する冷却手段を備えた(1)ないし(2)のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
(4)前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdを冷却する冷却手段を備えた(1)ないし(2)のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
(5)前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdと、を冷却する冷却手段を備えた(1)ないし(2)のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
(6)パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置であって、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方を加熱する加熱手段と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Ph、を加熱する加熱手段と、を備えたことを特徴とする金属板のプレス成形装置。
(7)パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置であって、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方を加熱する加熱手段と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbと、を加熱する加熱手段を備えたことを特徴とする金属板のプレス成形装置。
(8)パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置であって、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方を加熱する加熱手段と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phを加熱する加熱手段と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbと、を加熱する加熱手段を備えたことを特徴とする金属板のプレス成形装置。
(9)前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpを冷却する冷却手段を備えたことを特徴とする(6)ないし(8)のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
(10)前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdを冷却する冷却手段を備えたことを特徴とする(6)ないし(8)のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
(11)前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdと、を冷却する冷却手段を備えたことを特徴とする(6)ないし(8)のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
(12)パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板の接触部分Pdの温度Tdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板の接触部分Pbの温度Tbおよび、前記パンチ頂部と前記金属板の接触部分Phの温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの温度Thbが、パンチの角R部と前記金属板の接触部分Pcpの温度Tcpおよびダイの角R部と前記金属板の接触部分Pcdの温度Tcdよりも高くなるように、前記金属板に温度差を付与しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
(13)(12)において、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方を加熱しながら、さらに、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phと、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方を加熱しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
(14)前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpを冷却しながらプレス成形する(12)ないし(13)のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
(15)前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdを冷却しながらプレス成形する(12)ないし(13)のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
(16)前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdと、を冷却しながらプレス成形する(12)ないし(13)のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
(17)パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phと、を加熱しながらプレス成形することを特徴とする金属板のプレス成形方法。
(18)パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbと、を加熱しながらプレス成形することを特徴とする金属板のプレス成形方法。
(19)パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phと、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方、を加熱しながらプレス成形することを特徴とする金属板のプレス成形方法。
(20)前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpを冷却しながらプレス成形することを特徴とする(17)ないし(19)のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
(21)前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdを冷却しながらプレス成形することを特徴とする(17)ないし(19)のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
(22)前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdと、を冷却しながらプレス成形することを特徴とする(17)ないし(19)のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
(23)パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記金属板をあらかじめ加熱しておき、前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdのうち、少なくとも1つを冷却しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
(24)パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記金属板をあらかじめ加熱しておき、前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpを冷却しながらプレス成形することを特徴とする金属板のプレス成形方法。
(25)パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記金属板をあらかじめ加熱しておき、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdを冷却しながらプレス成形することを特徴とする金属板のプレス成形方法。
(26)パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記金属板をあらかじめ加熱しておき、前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdと、を冷却しながらプレス成形することを特徴とする金属板のプレス成形方法。
(27)パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方を加熱し、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方とを加熱し、および前記パンチの角R部と前記金属板が接触する部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板とが接触する部分Pcdとを常温のまま、もしくは冷却しながら、プレス成形するとともに、加工時の割れ発生位置を確認し、割れが前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phとその裏側Phbに挟まれた部分で発生するのであれば前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phの加熱温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの加熱温度Thbのうちの少なくとも1つを低くし、および/または前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpの冷却温度Tcpを高くし、割れが前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpで発生するのであれば前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phの加熱温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの加熱温度Thbのうちの少なくとも1つを高くし、および/または前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpの冷却温度Tcpを低くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出すことを特徴とする金属板のプレス成形方法。
(28)パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方を加熱し、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方とを加熱し、および前記パンチの角R部と前記金属板が接触する部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板とが接触する部分Pcdとを常温のまま、もしくは冷却しながら、プレス成形するとともに、加工時の割れ発生位置を確認し、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdで割れがで発生するのであればダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcdを低くし、および/または前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの加熱温度Tdあるいは前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの加熱温度Tbのうちの少なくとも一方を高くし、割れが前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbに挟まれた部分で発生するのであれば前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの加熱温度Tdあるいは前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの加熱温度Tbのうちの少なくとも一方を低くし、および/または前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcdを高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法。
(29)(12)において、プレス成形後に、加工時の割れ発生位置を確認し、割れが前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phとその裏側Phbに挟まれた部分で発生するのであれば前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phの加熱温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの加熱温度Thbのうちの少なくとも1つを低くし、および/または前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpの冷却温度Tcpを高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出すプレス成形方法。
(30)(12)において、プレス成形後に、加工時の割れ発生位置を確認し、割れが前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpで発生するのであれば前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phの加熱温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの加熱温度Thbのうちの少なくとも1つを高くし、および/または前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpの冷却温度Tcpを低くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法。
(31)(12)において、プレス成形後に、加工時の割れ発生位置を確認し、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdで割れがで発生するのであれば、ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcdを低くし、および/または前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの加熱温度Tdあるいは前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの加熱温度Tbのうちの少なくとも一方を高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法。
(32)(12)において、プレス成形後に、加工時の割れ発生位置を確認し、割れが前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbに挟まれた部分で発生するのであれば、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの加熱温度Tdあるいは前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの加熱温度Tbのうちの少なくとも一方を低くし、および/または前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcdを高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法。
本発明によれば、従来の温間プレスよりも、さらに、破断を生じずにプレス成形できる限界を向上できる。特に、図8(a)や図8(b)に示すような2山や3山、あるいはそれ以上の多数の山を有する形状に絞り成形する場合に、従来の温間プレスよりも、さらに、破断を生じずにプレス成形できる限界を向上できる金属板のプレス成形装置およびプレス成形方法を提供できる。
発明者らの研究により、次に述べるようなことがわかった。従来の温間プレスによる金属板のプレス成形方法、すなわち、図8(a)に示すフランジ部201を加熱し、側壁部202〜204を冷却する方法によっても、破断を生じずにプレス成形できる限界を向上するのに、ある一定の効果がある。
しかし、山と山の間のフランジ部206を加熱し、側壁部202等を冷却しても、成形性はむしろ低下する。この理由は、山と山の間のフランジ部206は絞り成形ではなく、延伸される成形が行われることに由来する。つまり、山と山の間では、両方の山を構成する側壁部203や205の方にどんどん金属板が取られていき、周囲からの金属板の流入がない。このため、山と山の間では金属板が延伸されるだけになる。このような状況で金属板が加熱されると、延伸がさらに大きくなる。一般に、鉄鋼のような金属は、加熱すると軟らかくなる(低引張強度化)が、延性は向上しない。よって、容易に破断してしまう。
従って図8(a)や図8(b)に示すような2山や3山を有する形状に絞り成形する場合、従来の温間プレスによる金属板の成形方法では効果が十分でない。これは3山以上の多数の山になっても同じことである。即ち、山と山の間のフランジ部206は周囲からの金属板の流入がなく、その部分の延性によってのみ変形するいわゆる張出し加工となるため、従来の温間プレスでは効果が十分でないのである。
以下、図1ないし図5を用いて、本発明の一つの実施の形態について説明する。ここで、図2は、図1のA−A図示であり、図3は、図1のB−B図示である。
1は金属板である。これをはさみ、上側にダイ2があるが、これはダイ本体21とダイ加熱板22、ダイ角R部冷却板23ならびに上板29からなる。上板29は図示しない金具により、プレス成形装置200の図示しない昇降機に固定される。
一方、金属板1の下部にはパンチ3があるが、これはパンチ本体31、パンチ冷却板32、下板39等からなり、下板39は図示しない金具にてプレス成形装置200の基礎に固定される。
同じく、金属板1の下部にはしわ押さえ4があるが、これはしわ押さえ本体41と、しわ押さえ加熱板42からなり、しわ押さえ本体41は、複数のクッションピン43を介し、図示しない圧力装置によって、ある一定の力で下から支えられている。44はガイドピンである。
次に、本発明の金属板のプレス成形装置200の作用を説明する。プレス成形時には、図4(a)に示すように、プレス成形装置200の図示しない昇降機の下降によって、ダイ2が下降し、パンチ3は固定されているため、金属板1は図示のごとく変形する。その際、しわ押さえ4がある一定の力にて下から支えられつつ下降するため、金属板1はダイ2としわ押さえ4の間、いわゆるダイフェースにてはさみつけられ、しわの発生が抑制される。ここまでは通常の金属板のプレス成形と同様である。
ここにおいて、金属板1には、図4(b)および図9に拡大して示すように、パンチの角R部36、パンチの頂部(以下、パンチの角R部を除いた部分をこう呼ぶ)35、ダイの角R部26、にそれぞれ接触する部分(それぞれPcp, Ph, Pcdと称す)(図8では、それぞれ207,210,208と符号を付したが、以下、同符号も用いる)、ならびに側壁部203(または202,204,205)、フランジ部(Pdあるいは, Pbとも称す)(以下、ダイの角R部に接触する部分Pcdを除いてこう呼ぶ)201が形成される。
ここで、本実施の形態の金属板のプレス成形装置200では、図1に示すように、ダイ加熱板22に、加熱手段である電熱ヒータ101が埋め込まれている。さらに、しわ押さえ加熱板42にも、加熱手段である電熱ヒータ101が埋め込まれている。これらにより、ダイ2としわ押さえ4の間のいわゆるダイフェース部にある金属板1の部分(フランジ部201)(Pdあるいは, Pbとも称す)が加熱される。また、本実施の形態の金属板のプレス成形装置200には、電熱ヒータ101の埋め込まれた加熱手段である加熱パッド51(これも加熱板の一種)があり、図4(b)および図9に示すように、パンチの頂部35と金属板1との接触部分の裏側部分Phbを加熱するようになっている。ただし、加熱パッド51は、パンチの角R部36に接触する金属板1の部分Pcp(207)は加熱しないような幅に調整されている。
また、加熱パッド51は、金属板1に接触していればよいだけなので、先述図1中に示す支柱52で、ダイ2に対し、上下動自在に装着されており、ばね53の力で金属板1に押し付けられる構造となっている。
このように、本実施の形態の金属板のプレス成形装置200では、ダイ2と金属板1との接触部分Pd、しわ押さえ4と金属板1との接触部分Pb、パンチ3の頂部と金属板1との接触部分の裏側部分Phb、を加熱する加熱手段を有し、金属板1のフランジ部201)(Pdあるいは, Pbとも称す)およびパンチの頂部35と金属板1との接触部分の裏側210(Phb)を加熱しながら金属板1をプレス成形することができる。
なお、本実施の形態の金属板のプレス成形装置200では、ダイ2と金属板1との接触部分Pd、しわ押さえ4と金属板1との接触部分Pb、パンチの頂部35と金属板1との接触部分の裏側部分Phb、を加熱する加熱手段を有しているが、前2者(Pdあるいは, Pb)については、どれか一つを省略しても、破断を生じずにプレス成形できる限界が向上する効果がある。
また、本実施の形態の金属板のプレス成形装置200では、パンチ3と対向する、ダイ2の側に、パンチ3とは別に、加熱パッド51を備えているが、パンチ3に加熱手段を内蔵するようにしてもよい。あるいは、パンチ3と対向する、ダイ2の側に、パンチ3とは別に、加熱パッド51を備えるとともに、パンチ3にも加熱手段を内蔵するようにしてもよい。
ゆえに、(6)の本発明では、パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置であって、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Ph、を加熱する加熱手段を備え、(7)の本発明では、同、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbと、を加熱する加熱手段を備える。(8)の本発明では、同、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phおよび、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbと、を加熱する加熱手段を備える。
次に、本実施の形態では、図1と図4(b)および図9に示すように、パンチ3にパンチ冷却板32を備えており、さらに、パンチ冷却板32には冷却液路33を備えており、図示しない循環装置によって冷却液を循環させるようにすることで、パンチの角R部36と金属板との接触部分Pcpを冷却することができる。すなわち、(3)、(9)の本発明のように、パンチの角R部36と金属板との接触部分Pcpを冷却する冷却手段を備えるようにしてもよい。ここで、さらに、パンチの頂部35と金属板との接触部分Phを加熱する場合は、パンチの頂部35にすきま34を設けるようにし、加熱したい金属板1の部分を逆に冷却してしまうのを抑制するようにしてもよい。
あるいは、図1と図4(b)および図9に示すように、本実施の形態のダイ冷却板23には、冷却液路24が設けられており、図示しない循環装置によって冷却液を循環させるようにすることで、ダイの角R部26と金属板との接触部分Pcdを冷却することができる。すなわち、(4)、(10)の本発明のように、ダイの角R部26と金属板との接触部分Pcdを冷却する冷却手段を備えるようにしてもよい。ここで、本実施の形態では、図1と図4(b)および図9に示すように、ダイ2と接触する金属板1の部分Pdを加熱する目的で、ダイ加熱板22も設けられているため、その間に断熱材25も設けられている。これにより、金属板1のフランジ部201を加熱し、一方、ダイの角R部26に接触する金属板1の部分Pcd(図8(a)に示す208)は冷却されるしくみになっている。
(5)、(11)の本発明のように、(3)、(9)の本発明と、(4)、(10)の本発明と、の両方、すなわち、本実施の形態のように、図1と図4(b)および図9に示すように、パンチの角R部36と金属板との接触部分Pcpを冷却する冷却手段、ダイの角R部26と金属板との接触部分Pcdを冷却する冷却手段、の両方を備えるようにしても、もちろんよく、破断を防止できる効果は一層大きくなる。
以上の通りであるが、本発明では、基本的に、金属板1のフランジ部201(Pdあるいは、Pbとも称す)と、金属板1のパンチの頂部35に接触する部分(Ph)210と、を相対的に高温に、また、パンチの角R部36に接触する金属板1の部分Pcp(図8(a)に示す207)およびダイの角R部26に接触する金属板1の部分Pcd(208)を相対的に低温にする。
従って、もし、金属板1をプレス成形するのに先立って、あらかじめ加熱しておくようにすれば、(23)、(24)、(25)、(26)の本発明のように、加熱手段を省略して、パンチの角R部36と金属板との接触部分Pcp、あるいはダイの角R部26と金属板との接触部分Pcd、あるいはそれらの両方に、冷却手段だけ備えるようにしてもよい。
また、本発明者らのさらなる研究により、上述の加熱および冷却の温度もしくは温度差には、成形限界を最大にする最適値が存在し、それは成形する形状の違いや金属板の材料特性により異なるものであることが判明した。
以下、本発明のプレス成形時の加熱温度T(heat)(Td, Tb, Th, Thb)、冷却温度T(cool)(Tcp, Tcd)および、これらの温度差の設定条件について、説明する。
加熱温度T(heat)(Td, Tb, Th, Thb)と冷却温度T(cool)(Tcp, Tcd)およびこれらの温度差:
本発明では、基本的に、金属板1のフランジ部201(Pdあるいは、Pbとも称す)と、金属板1のパンチの頂部35に接触する部分210(Phあるいは、Phbとも称す)と、を相対的に高温に、また、パンチの角R部36に接触する金属板1の部分Pcp(207)およびダイの角R部26に接触する金属板1の部分Pcd(208)を相対的に低温にすることで、金属板に引張強度TS差を生じさせることにより本発明の目的を達成することができる。本発明で用いる加熱温度T(heat)と冷却温度T(cool)およびこれらの温度差は、成形する形状の違いや金属板の材料特性により異なるものであるが、一応の目安として、1回目のプレス成形における加熱温度T(heat)は、その加熱温度T(heat)での引張強度TSが、常温(room temperature)での引張強度TSの50%〜70%になるように、常温を超える温度にするのが好ましい。また、1回目のプレス成形における冷却温度T(cool)は、その冷却温度T(cool)での引張強度TSが、常温での引張強度TSと同等か、それ以上の引張強度TSになるように、常温あるいは、常温以下の温度にするのが好ましい。すなわち、高温部と低温部(常温を含む)の金属板の引張強度TS差が、常温での引張強度TSの30%〜50%になるようにして、プレス成形を行うことが好ましい。2回目以降のプレス成形は、割れの状態を見ながら、後述する本発明(16)に従い、加熱温度T(heat)と冷却温度T(cool)を最適な値に調整し直して行えばよい。
なお、加熱温度T(heat)が200℃を超えると素材である金属板を圧延して製造する際に使用した潤滑剤が潤滑の機能を十分に果たせなくなるので、200℃以下とする。また、冷却温度T(cool)が−20℃未満になると、金属板が脆化するので、−20℃以上とする。
本発明の加熱温度T(heat)、冷却温度T(cool)および、これらの温度差について、これらの最適値を見出すことにより、前記2山以上の凸形状をもつ形状へのプレス成形において、その加工限界をさらに向上させることが可能になる。(27)〜(32)の本発明は、これらの最適値を効率的に見出す方法を提供するものである。
すなわち、パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方を加熱し、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方とを加熱し、および前記パンチの角R部と前記金属板が接触する部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板とが接触する部分Pcdとを常温のままもしくは冷却しながら、プレス成形するとともに、加工時の割れ発生位置を確認し、割れが前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phとその裏側Phbに挟まれた部分で発生するのであれば前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phの加熱温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの加熱温度Thbのうちの少なくとも1つを低くし、および/または前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpの冷却温度Tcpを高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法である。
また、割れが前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpで発生するのであれば前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phの加熱温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの加熱温度Thbのうちの少なくとも1つを高くし、および/または前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpの冷却温度Tcpを低くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法である。
また、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdで割れが発生するのであればダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcdを低くし、および/または前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの加熱温度Tdあるいは前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの加熱温度Tbのうちの少なくとも一方を高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法である。
また、割れが前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbに挟まれた部分で発生するのであれば、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの加熱温度Tdあるいは前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの加熱温度Tbのうちの少なくとも一方を低くし、および/または前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcdを高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法である。
なお、本発明の加熱手段は、1℃単位で、正確に温度制御できる加熱方法が要求される。例えば、しわ押え、ダイ、パンチの加熱手段やパンチと接触する金属板の裏側の加熱手段として、しわ押えやダイやパンチ等に電熱ヒーターを内蔵させたり、蒸気や、温水や、高温の油を循環させる配管を内蔵させてもよい。また、蒸気や温風を直接、金属板に吹き付けたり、インダクションヒーターで金属板を加熱しても良い。なお、正確な温度制御をする観点から、しわ押えやダイやパンチ等の表面温度を測定する熱電対を、これらに内蔵させるのが好ましい。但し、本願発明の加熱手段は、これに限るものではなく、加熱により金属板の引張強度TSを常温での引張強度TSの50%〜70%にする方法であれば、どのような加熱方法でも良い。
また、本発明の冷却手段は、1℃単位で、正確に温度制御できる冷却方法が要求される。例えば、パンチの角R部やダイの角R部の冷却手段には、冷却用不凍液を循環させる配管を内蔵させるのが好ましい。正確な温度制御をする観点からパンチの角R部やダイの角R部の表面温度を測定する熱電対を内蔵させるのが好ましい。但し、本願発明の冷却手段は、これに限るものではない。冷却により金属板の引張強度TSを常温での引張強度TS以上にする方法であれば、どのような冷却方法でも良い。なお、冷却用不凍液としては、エチレングリコール系のものが好適である。
また、本発明が適用可能な金属板は、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、高張力鋼等の鉄系金属板で、熱延鋼板や冷延鋼板のまま(熱延のまま、あるいは、冷延のまま)あるいは、これらの焼鈍材である。また、チタン等のプレスしにくい非鉄系金属板にも適用可能である。またこれらのメッキ鋼板やクラッド鋼にも適用可能である。
特に、本発明が適用可能なフェライト系ステンレス鋼の化学組成は、C:0.0001〜0.1mass%、Si:1.0mass%以下、Mn:2.0mass%以下、P:0.1mass%以下、Cr:10〜50mass%、N:0.10mass%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物とするのが好ましい。なお、Al:0.3mass%以下、Ni:1.0mass%以下、Mo:3.0mass%以下、Ti:1.0mass%以下、Nb:1.0mass%以下、Zr:1.0mass%以下、Cu:1.0mass%以下、W:0.30mass%以下、Co:0.001〜0.5mass%、B:0.01mass%以下のうち1種または2種以上を含有してもよい。
また、本発明が適用可能なマルテンサイト系ステンレス鋼の化学組成は、C:0.001〜1.0mass%、Si:1.0mass%以下、Mn:2.0mass%以下、P:0.1mass%以下、Cr:10〜19mass%、N:0.001〜0.1mass%を含み、残部Feおよび不可避的不純物とするのが好ましい。なお、Al:1.5mass%以下、Ti:1.0mass%以下、Nb:1.0mass%以下、W:0.3mass%以下、Zr:1.0mass%以下、Ni:3.0mass%以下、Mo:3.0mass%以下、Cu:1.0mass%以下、Co:0.001〜0.5mass%、B:0.01mass%以下のうち1種または2種以上を含有してもよい。
また、本発明が適用可能な高張力鋼の化学組成は、C:0.01〜0.3mass%、Si:1.5mass%以下、Mn:4.0mass%以下、P:1.2mass%以下、S:0.04mass%以下、Al:0.1mass%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物とするのが好ましい。なお、Ti:0.5mass%以下、Nb:0.5mass%以下のうち1種または2種以上を含有してもよい。
〈実施例1〉
図5(a)のような2山の形状を成形する場合を対象に、実験し、検証した。このような形状に金属板1をプレス成形すると、通常、図5(a)のK部がよく伸ばされ、それに伴って歪が集中し、割れが発生する。なお、金属板1として、ステンレス鋼の1種であるフェライト系ステンレス鋼、SUS430(JIS G 4305)(C:0.03mass%、Si:0.7mass%、Mn:1.0mass%以下、P:0.04mass%以下、Cr:17mass%、N:0.10mass%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物である)の0.6mm厚材を用いた。なお、プレス成形装置は、図1、図4(a)および、図4(b)および図9と同じ装置を用いた。
まず、何ら加熱も冷却も行わない通常の方法でプレス成形したところ、破断を生じずにプレス成形できる図5(b)中のhで示す寸法の限界(限界成形高さ)は表1(1)に示すように20mmであった(従来例1)。
次に、表1(2)に示すように、金属板1のフランジ部201、206を加熱する、従来の特許文献1あるいは特許文献2に記載の温間プレス成形を行った。これは、図1においてダイ加熱板22およびしわ押さえ加熱板42を、これらに内蔵された電熱ヒータを用いて150℃に加熱し、金属板1をプレス成形したものである。この場合の限界成形高さは21mmと向上したものの、改善代はわずかであり、ただ、ダイ2やしわ押さえ4を加熱しただけでは、このような2山の形状の成形には効果が十分でないことがわかる(従来例2)。
さらに、表1(3)に示すように、金属板1のフランジ部201、206は加熱せず、パンチの頂部35と金属板1との接触部分の裏側Phbを、電熱ヒータが内蔵された加熱パッド51を用いて150℃に加熱し、金属板1をプレス成形した結果を示すが、限界成形高さは22.5mmであった。これもやや向上してはいるものの、依然として効果が十分とは言えない(比較例)。
そこで、表1(4)に示すように、金属板1のフランジ部201、206に加え、パンチの頂部35も150℃に内蔵された電熱ヒータで加熱し、金属板1をプレス成形したところ、限界成形高さは27mmまで向上した(本発明例1)。
次に、本発明例1の改善例として、表1(5)に示すように、金属板1のフランジ部201、206に加え、パンチの頂部35もこれに内蔵された電熱ヒータで150℃に加熱するとともに、パンチの角R部36を、図1、図4のパンチ冷却板32中の冷却液路33に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して−20℃に冷却しながら、金属板1をプレス成形したところ、限界成形高さは31mmと大幅に向上した(本発明例2)。なお、この場合、破断は図5に示したK部ではなく、ダイの角R部に接触する金属板1の部分Pcdに近いL部に移行した。
また、本発明例1の改善例として、表1(6)に示すように、金属板1のフランジ部201、206に加え、パンチの頂部35もこれに内蔵された電熱ヒータで150℃に加熱するとともに、ダイの角R部26を、図1、図4のダイ冷却板23中の冷却液路24に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して−20℃に冷却しながら、金属板1をプレス成形したところ、これも、限界成形高さは28mmであった。(本発明例3)。
さらに、本発明例1のさらなる改善例として表1(7)に示すように、金属板1のフランジ部201、206に加え、パンチの頂部35もこれに内蔵された電熱ヒータで150℃に加熱するとともに、パンチの角R部36に加え、ダイの角R部もダイ冷却板23中の冷却液路24に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して、−20℃に冷却し、金属板1をプレス成形したところ、限界成形高さはさらに向上して33mmとなった(本発明例4)。この場合、割れ発生部は図5(a)に示したK部でもL部でもなく、山の頂部であるM部に移行した。
次に、金属板1をあらかじめ窒素の雰囲気の電気炉で、200℃に加熱しておき、加熱手段は用いず、冷却手段のみでパンチの角R部36をパンチ冷却板32中の冷却液路33に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して、−20℃に冷却しながら金属板1をプレス成形したところ、表1(8)に示す通り、限界成形高さは30mmとなった(本発明例5)。
また、金属板1をあらかじめ窒素の雰囲気の電気炉で、200℃に加熱しておき、加熱手段は用いず、冷却手段のみでダイの角R部26をダイ冷却板23中の冷却液路24に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して、−20℃に冷却しながら金属板1をプレス成形したところ、表1(9)に示す通り、限界成形高さは28mmとなった(本発明例6)。
また、金属板1をあらかじめ窒素の雰囲気の電気炉で、200℃に加熱しておき、加熱手段は用いず、冷却手段のみでパンチの角R部36とダイの角R部26をそれぞれ冷却板32、23、中の冷却液路33、24に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して、−20℃に冷却しながら金属板1をプレスしたところ、表1(10)に示す通り、限界成形高さは32mmとなった(本発明例7)。
Figure 2007222927
Figure 2007222927
〈実施例2〉
次に、本発明例4において、電熱ヒータが内蔵されたパンチの頂部35の加熱温度を変化させた場合の結果を表2に示す。表2(1)はパンチの頂部35の加熱温度が100℃、表2(2)は110℃、表2(3)は120℃、表2(4)は130℃、表2(5)は140℃である。このとき金属板1のフランジ部201,206の加熱温度は電熱ヒータの加熱で150℃で一定であり、それぞれ冷却板32、23、中の冷却液路33、24に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通し、パンチの角R部36とダイの角R部の冷却温度は−20℃で一定である。限界成形高さは表2中に示したとおりであるが、パンチの頂部35の加熱温度が120℃のときが最も高くて39mmであった。また、割れ発生部は表2(1)および(2)の場合は図5(a)中のKの位置であり、表2(4)および(5)の場合はMの位置であった。限界成形高さが最も高い表2(3)の場合は、割れ発生位置はKとMの中間の位置であった。
Figure 2007222927
上記より明らかなように、限界成形高さを最大にするための温度という観点で見ると、割れがパンチの頂部との接触部分M, Phで発生する場合(表2(4)、(5))はパンチの頂部の温度が高すぎてそこの材料強度が不足しているのであり、割れがパンチの角R部との接触部分K,Pcpで発生する場合はパンチの頂部の温度が十分高くないため、パンチの角R部との接触部分Pcpの材料強度が相対的に強度不足となって割れるのである。
ここにおいて、(27)の本発明に従い、加工時の割れ発生位置を確認し、割れがパンチの頂部との接触部分Phで発生するのであればパンチの頂部の加熱温度Thを低くし、割れがパンチの角R部との接触部分Pcpで発生するのであればパンチの頂部の加熱温度Thを高くし、またこれを繰り返すことによって、割れ位置がパンチの頂部との接触部分Phとパンチの角R部との接触部分Pcpの間を遷移する条件を探索すれば、加工限界を最も高くする温度条件を見出すことが可能である。
〈実施例3〉
(27)、(28)の本発明の方法は、パンチの角R部、ダイの角R部を冷却しない本発明例1の場合にも同様に適用できる。ちなみにこの場合に(27)の本発明の方法を適用して電熱ヒータが内蔵されたパンチの頂部の加熱温度の最適値を探索したところ、該最適値は130℃であり、限界成形高さは32mmであった。
〈実施例4〉
本発明例4のように、金属板1のフランジ部201,206に加え、パンチの頂部35も加熱するとともに、パンチの角R部を冷却しもする加工方法においては、(27)の本発明の1実施形態として、パンチの頂部の加熱温度を調整する代わりに、パンチの角R部の冷却温度調整によっても、前記と同様な効果が得られる。この場合、割れがパンチの頂部との接触部分で発生する場合はパンチの角R部の温度が低すぎるのであって、冷却温度を上げる必要があり、割れがパンチの角R部との接触部分で発生する場合は逆にパンチの角R部の冷却温度を下げる必要がある。
ちなみに、本発明例4の条件において、金属板1のフランジ部201,206とパンチの頂部35をこれらに内蔵された電熱ヒーターでの加熱温度を150℃とし、前記(27)の本発明の1実施形態として述べた方法によってパンチの角R部を冷却板32中の冷却液路33に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して、の冷却温度の最適値を探索したところ、該最適値は−10℃であって、限界成形高さは36mmであった。
あるいはこの原理を応用すれば(28)の本発明のように、加工時の割れ発生位置を確認し、割れがダイの角R部との接触部分Pcdで発生するのであればダイとしわ押さえの間の材料の加熱温度Tdまたは、Tbを高くし、および/またはダイ角R部と金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcpを低くし、また、割れがダイとしわ押さえの間の金属板の部分で発生するのであればダイとしわ押さえの間の金属板の加熱温度を低くし、および/またはダイ角R部の冷却温度Tcdを高くし、またこれを繰り返すことによって、割れ位置がダイ角R部との接触部分とダイとしわ押さえとの間部分の間を遷移する条件を探索すれば、加工限界を最も高くする温度条件を見出すことが可能であることは自明である。
〈実施例5〉
図5(c)のような1山の形状を成形する場合を対象に、実験した。1山の場合は、成形が単純絞り加工(simple drawing)であるが、本発明は、従来に比べてさらなる優位性を示すか検証した。なお、プレス成形装置は、図1、図4(a)および、図4(b)および図9とほぼ同じ装置を用いた。但し、加熱パッド51を使用せず、パンチ頂部に電熱ヒータを内蔵させた。
まず、何ら加熱も冷却も行わない通常の方法でプレス成形したところ、破断を生じずにプレス成形できる図5(d)中のhで示す寸法の限界(限界成形高さ)は表3(1)に示すように95mmであった(従来例1)。
次に、表3(2)に示すように、金属板1のフランジ部201を加熱する、従来の特許文献1あるいは特許文献2に記載の温間プレス成形を行った。これは、ダイ2およびしわ押さえ4を、これらに内蔵された電熱ヒータを用いて150℃に加熱し、金属板1をプレス成形したものである。この場合の限界成形高さは150mmと向上した(従来例2)。
さらに、表3(3)に示すように、金属板1のフランジ部201は加熱せず、パンチの頂部35を、これに内蔵された電熱ヒータで150℃に加熱し、金属板1をプレス成形した結果を示すが、限界成形高さは100mmであった(比較例)。
表3(4)に示すように、金属板1のフランジ部201に加え、パンチの頂部35もこれらに内蔵された電熱ヒータで150℃に加熱し、金属板1をプレス成形したところ、限界成形高さは155mmまで向上した(本発明例1)。
次に、本発明例1の改善例として、表3(5)に示すように、金属板1のフランジ部201に加え、パンチの頂部35もこれらに内蔵された電熱ヒータで150℃に加熱するとともに、パンチの角R部36を、冷却板32中の冷却液路33に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して、−20℃に冷却しながら、金属板1をプレス成形したところ、限界成形高さは180mmと大幅に向上した(本発明例2)。
また、本発明例1の改善例として、表3(6)に示すように、金属板1のフランジ部201に加え、パンチの頂部35もこれらに内蔵された電熱ヒータで150℃に加熱するとともに、ダイの角R部26を、ダイ冷却板23中の冷却液路24に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して、−20℃に冷却しながら、金属板1をプレス成形したところ、これも、限界成形高さは165mmであった(本発明例3)。
さらに、本発明例1のさらなる改善例として表3(7)に示すように、金属板1のフランジ部201に加え、パンチの頂部35もこれらに内蔵された電熱ヒータで150℃に加熱するとともに、パンチの角R部36に加え、ダイの角R部もそれぞれ冷却板32、23、中の冷却液路33、24に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通し、−20℃に冷却し、金属板1をプレス成形したところ、限界成形高さはさらに向上して185mmとなった(本発明例4)。
次に、金属板1をあらかじめ、窒素の雰囲気の電気炉で200℃に加熱しておき、加熱手段は用いず、冷却手段のみでパンチの角R部36を冷却板32中の冷却液路33に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して、−20℃に冷却しながら金属板1をプレス成形したところ、表3(8)に示す通り、限界成形高さは165mmとなった(本発明例5)。
また、金属板1をあらかじめ窒素の雰囲気の電気炉で200℃に加熱しておき、加熱手段は用いず、冷却手段のみでダイの角R部26をダイ冷却板23中の冷却液路24に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通して、−20℃に冷却しながら金属板1をプレス成形したところ、表3(9)に示す通り、限界成形高さは165mmとなった(本発明例6)。
また、金属板1をあらかじめ窒素の雰囲気の電気炉で200℃に加熱しておき、加熱手段は用いず、冷却手段のみでパンチの角R部36とダイの角R部26をそれぞれ冷却板32、23、中の冷却液路33、24に冷却用不凍液のエチレングリコール(丸善石油化学製)を通し、−20℃に冷却しながら金属板1をプレスしたところ、表3(10)に示す通り、限界成形高さは168mmとなった(本発明例7)。
本発明は、1山の場合にも、従来に比べてさらなる優位性を示すことがわかった。
Figure 2007222927
Figure 2007222927
以上のように、本発明によれば、限界成形高さが向上する。その原理について、従来の温間プレスと比較しつつ、以下に説明する。
従来の温間プレスは、図6に示したように、絞り加工が対象であった。絞り加工においては、側壁を形成するための金属板の流入は、ほとんどフランジ部からであり、金属板そのものが延びる必要性は小さい。成形限界を向上させるためには、フランジ部の変形抵抗は小さいほどよく、フランジ部を引き込むための張力に耐える側壁部の変形抵抗は大きいほどよい。したがって、従来の温間プレスでは、フランジ部を加熱し、パンチ全体を冷却することによって側壁部を冷却することで、成形限界の向上を図る、というものであった。
しかるに、図5(a)のような2山の形状に成形するに際しては、特に、山と山の間の部分においては、フランジからの金属板の流入はほとんどなく、側壁部を形成するための金属板を供給するためには、そこにある金属板が延びるしかない。これが絞り加工との決定的な違いである。実際にどの部分の金属板が延びるかとなると、場所によってかなりのムラがあり、パンチの頂部とフランジ部は、ダイとの摩擦があるためほとんど動くことがなく、延びない。そこで、金属板は、パンチの角R部からダイの角R部にかけての非摩擦部分で延びることになるが、とりわけ、ダイとの摩擦部と非摩擦部の境界にあるパンチの角R部との接触部分Pcp(図5(a)中のK部)やダイの角R部との接触部分Pcd(図5(a)中のL部)が延伸しやすく、よって、ここで破断が発生しやすい。
成形限界を向上させるためには、延伸に伴う歪をできるだけ1箇所に集中させず、広い範囲に分散させることが必要になる。そこで、本発明のように、延伸に伴う歪の集中しやすいパンチの角R部やダイの角R部に接触する金属板の部分(Pcp, Pcd)を、周囲に対して相対的に冷却して変形抵抗(引張強度TS)を高くし、パンチの頂部やフランジ部のような、摩擦によって延伸が抑制される部分(Ph, Phb, Pb, Pd)については、少しでも、周囲に対して相対的に温度を高めて変形抵抗(引張強度TS)を小さくすることにより、延伸に伴う歪が1箇所に集中するのを抑制すれば、成形限界が向上するのである。
例えば、図5(a)の例では、通常、パンチの角R部に接触する金属板の部分であるK部に延伸に伴う歪が集中する。これを緩和するには、先述の表1(2)のようにフランジ部を加熱するだけであったり、表1(3)のようにパンチの頂部を加熱するだけでは、それぞれもう一方のパンチの頂部あるいはフランジ部から強い拘束を受けてしまうために、結局、延伸に伴う歪が1箇所に集中するのを抑制する作用が不十分であるため、表1(4)の例のようにフランジ部とパンチの頂部を両方加熱して、延伸に伴う歪が1箇所に集中するのを抑制し、両方に分散させることが必要といえる。また、両方を加熱するだけでなく、加熱しない部分を積極的に冷却すれば、さらに効果が増すのである。
一方、表1(5)で示したように、パンチの角R部を冷却して同部に接触する金属板の部分Pcpの強度を上げれば成形限界は向上するが、一方で、破断が生ずる箇所がダイの角R部との接触部分Pcd(図5(a)中のL部)に移行したのは、フランジ部で加熱された金属板がダイの角R部から側壁部に流入し、本来、周囲に対して相対的に低温高強度であるべきダイの角R部から側壁部と接触する金属板の部分Pcdが高温低強度化し、引張りに耐えられず、破断が発生するに至ったものである。したがって、ダイの角R部も積極的に冷却すれば、このような問題は回避され、表1(7)で示したように、成形限界はさらに向上する。
また表1(8)、(9)、(10)に示したように、金属板の加熱をダイやしわ押さえあるいはパンチに埋め込みの電熱ヒータ等によらず、前もって金属板を加熱しておくことによって行い、プレス成形時に、必要な部分の冷却だけ行うようにしても、ほぼ同等の結果が得られることは自明である。
また、前述のように、加熱温度T(heat)および冷却温度T(cool)もしくは、これらの温度差には、成形限界を最大にする最適値が存在し、それは成形する形状の違いや金属板の材料特性により異なるものであるが、実施例2〜4で示したように、これらの最適値を効率的に見出して設定することにより、前記2山以上の凸形状をもつ形状への成形において、その加工限界をさらに向上させることが可能になる。
以上の通りであるが、上述の説明では、便宜上、2山の形状にプレス成形する場合について説明したが、さらに複雑な形状や、3つ以上の多数の山の形状の場合でも、成形限界の向上を図れることは言うまでもない。そのような場合でも、パンチの角R部やダイの角R部は、言い換えれば、「延伸に伴う歪の集中する部分」である。延伸に伴う歪の集中する金属板の部分を周囲に対して相対的に低温にして(冷やして)固くする(高引張強度化)か、それ以外の部分を周囲に対して相対的に高温にして(加熱して)軟らかくする(低引張強度化)ことで、本発明の作用効果を奏することができる。
〈実施例6〉
実施例1において、金属板の種類をSUS430の代わりに、高張力鋼((C:0.15mass%、Si:1.5mass%以下、Mn:2.0mass%以下、P:1.0mass%以下、S:0.01mass%以下、Al:0.1mass%以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物である。)TS=830MPa、YS=440MPa)の0.6mm厚材を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
まず、何ら加熱も冷却も行わない通常の方法でプレス成形したところ、破断を生じずにプレス成形できる図5B中のhで示す寸法の限界(限界成形高さ)は15mmであった(従来例1)。
次に、金属板1のフランジ部201、206を加熱する、従来の特許文献1あるいは特許文献2に記載の温間プレス成形を行った。これは、図1においてダイ加熱板22およびしわ押さえ加熱板42をこれらに内蔵された電熱ヒータを用いて150℃に加熱し、金属板1をプレス成形したものである。この場合の限界成形高さは17mmと向上したものの、改善代はわずかであり、ただ、ダイ2やしわ押さえ4を加熱しただけでは、このような2山の形状の成形には効果が十分でないことがわかる(従来例2)。
さらに、金属板1のフランジ部201、206は加熱せず、パンチの頂部35と金属板1との接触部分の裏側を、電熱ヒータが内蔵された加熱パッド51を用いて150℃に加熱し、金属板1をプレス成形した結果を示すが、限界成形高さは17.5mmであった。これもやや向上してはいるものの、依然として効果が十分とは言えない(比較例)。
そこで、表1(4)に示すように、金属板1のフランジ部201、206に加え、パンチの頂部35も150℃に内蔵された電熱ヒータで加熱し、金属板1をプレス成形したところ、限界成形高さは22mmまで向上した(本発明例1)。
以上のことから、高張力鋼においても、本発明の成形装置および成形方法の効果が確認された。
〈実施例7〉
実施例1において、金属板の種類をSUS430の代わりに、マルテンサイト系ステンレス鋼(SUS420J1 ,JIS G 4305)(C:0.2mass%、Si:0.8mass%、Mn:0.8mass%、P:0.04mass%以下、S:0.03mass%以下、Ni:0.5mass%、 Cr:13mass%を含み、残部Feおよび不可避的不純物である。)の0.6mm厚材を用いた以外は、実施例1と同様に実施した。
まず、何ら加熱も冷却も行わない通常の方法でプレス成形したところ、破断を生じずにプレス成形できる図5(b)中のhで示す寸法の限界(限界成形高さ)は16mmであった(従来例1)。
次に、金属板1のフランジ部201、206を加熱する、従来の特許文献1あるいは特許文献2に記載の温間プレス成形を行った。これは、図1においてダイ加熱板22およびしわ押さえ加熱板42をこれらに内蔵された電熱ヒータを用いて150℃に加熱し、金属板1をプレス成形したものである。この場合の限界成形高さは17.5mmと向上したものの、改善代はわずかであり、ただ、ダイ2やしわ押さえ4を加熱しただけでは、このような2山の形状の成形には効果が十分でないことがわかる(従来例2)。
さらに、金属板1のフランジ部201、206は加熱せず、パンチの頂部35と金属板1との接触部分の裏側を、電熱ヒータが内蔵された加熱パッド51を用いて150℃に加熱し、金属板1をプレス成形した結果を示すが、限界成形高さは17.5mmであった。これもやや向上してはいるものの、依然として効果が十分とは言えない(比較例)。
そこで、表1(4)に示すように、金属板1のフランジ部201、206に加え、パンチの頂部35も150℃に内蔵された電熱ヒータで加熱し、金属板1をプレス成形したところ、限界成形高さは23mmまで向上した(本発明例1)。
以上のことから、マルテンサイト系ステンレス鋼においても、本願発明の成形装置および成形方法の効果が確認された。
以上のことから、本発明が適用可能な金属板は、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、高張力鋼等の鉄系金属板で、熱延鋼板や冷延鋼板のまま(熱延のまま、あるいは、冷延のまま)あるいは、これらの焼鈍材である。また、チタン等のプレスしにくい非鉄系金属板にも適用可能である。またこれらのメッキ鋼板やクラッド鋼にも適用可能である。
本発明によれば、プレス成形する際の成形限界を向上できるので、成形の困難な部品のプレス成形に極めて有効であり、自動車、家具、家電などの部品をプレス成形する際に幅広く利用でき、工業的に価値の大きなものである。
本発明の一つの実施の形態について説明するための図である。 本発明の一つの実施の形態について説明するための図(図1のA−A視)である。 本発明の一つの実施の形態について説明するための図(図1のB−B視)である。 (a)本発明の一つの実施の形態について説明するための図である。(b)(a)の拡大図である。 (a)本発明の実施例1〜4について説明するための図である。(b)本発明の実施例1〜4について説明するための図である。(c)本発明の実施例5について説明するための図である。(d)本発明の実施例5について説明するための図である。 従来技術について説明するための図である。 従来技術について説明するための図である。 (a)本発明を特に適用したい形状について説明するための図である。(b)本発明を特に適用したい形状について説明するための図である。 本発明の加熱位置および冷却位置を説明するための図4(a)の拡大図である。
符号の説明
1 金属板
2 ダイ
3 パンチ
4 しわ押さえ
11,12 電熱ヒータ
13 冷却液
21 ダイ本体
22 ダイ加熱板、
23 ダイ角R部冷却板、
24,33 冷却液路
25 断熱材
26 ダイの角R部
29 上板
31 パンチ本体
32 パンチ冷却板
34 すきま
39 下板
41 しわ押さえ本体
42 しわ押さえ加熱板
43 クッションピン
44 ガイドピン
51 加熱パッド
52 支柱
53 ばね
101 電熱ヒータ
201 フランジ部
202〜204 側壁部
205 側壁部(内側)
206 フランジ部(山と山の間)
Pd ダイと金属板の接触部分
Td ダイと金属板の接触部分の加熱温度
Pb しわ押さえと金属板の接触部分
Tb しわ押さえと金属板の接触部分の加熱温度
207,Pcp パンチの角R部と金属板の接触部分
Tcp パンチの角R部と金属板の接触部分の加熱温度
208,Pcd ダイの角R部と金属板の接触部分
Tcd ダイの角R部と金属板の接触部分の加熱温度
210,Ph パンチの頂部と金属板の接触部分
Th パンチの頂部と金属板の接触部分の加熱温度
210,Phb パンチの頂部と金属板の接触部分の裏側
Thb パンチの頂部と金属板の接触部分の裏側の接触部分の加熱温度

Claims (32)

  1. パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置であって、前記ダイと前記金属板の接触部分Pdの温度Tdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板の接触部分Pbの温度Tbおよび、前記パンチの頂部と前記金属板の接触部分Phの温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの温度Thbが、パンチの角R部と前記金属板の接触部分Pcpの温度Tcpおよびダイの角R部と前記金属板の接触部分Pcdの温度Tcdよりも高くなるように、前記金属板に温度差を付与する手段を備えた金属板のプレス成形装置。
  2. 請求項1において、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方を加熱する加熱手段と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phと、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方を加熱する加熱手段を備えた金属板のプレス成形装置。
  3. 前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpを冷却する冷却手段を備えた請求項1ないし2のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
  4. 前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdを冷却する冷却手段を備えた請求項1ないし2のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
  5. 前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdと、を冷却する冷却手段を備えた請求項1ないし2のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
  6. パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置であって、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方を加熱する加熱手段と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Ph、を加熱する加熱手段と、を備えた金属板のプレス成形装置。
  7. パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置であって、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方を加熱する加熱手段と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbと、を加熱する加熱手段を備えた金属板のプレス成形装置。
  8. パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置であって、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方を加熱する加熱手段と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phを加熱する加熱手段と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbと、を加熱する加熱手段を備えた金属板のプレス成形装置。
  9. 前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpを冷却する冷却手段を備えた請求項6ないし8のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
  10. 前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdを冷却する冷却手段を備えた請求項6ないし8のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
  11. 前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdと、を冷却する冷却手段を備えた請求項6ないし8のいずれかに記載の金属板のプレス成形装置。
  12. パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板の接触部分Pdの温度Tdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板の接触部分Pbの温度Tbおよび、前記パンチの頂部と前記金属板の接触部分Phの温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの温度Thbが、パンチの角R部と前記金属板の接触部分Pcpの温度Tcpおよびダイの角R部と前記金属板の接触部分Pcdの温度Tcdよりも高くなるように、前記金属板に温度差を付与しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
  13. 請求項12において、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdと、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbと、のうちの少なくとも一方を加熱しながら、さらに、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phと、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方を加熱しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
  14. 前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpを冷却しながらプレス成形する請求項12ないし13のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
  15. 前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdを冷却しながらプレス成形する請求項12ないし13のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
  16. 前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部Pcdと前記金属板との接触部分と、を冷却しながらプレス成形する請求項12ないし13のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
  17. パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phと、を加熱しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
  18. パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbと、を加熱しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
  19. パンチ、ダイ、しわ押さえを備えた金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方と、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phと、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方、を加熱しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
  20. 前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpを冷却しながらプレス成形する請求項17ないし19のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
  21. 前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdを冷却しながらプレス成形する請求項17ないし19のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
  22. 前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdと、を冷却しながらプレス成形する請求項17ないし19のいずれかに記載の金属板のプレス成形方法。
  23. パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記金属板をあらかじめ加熱しておき、前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdのうち、少なくとも1つを冷却しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
  24. パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記金属板をあらかじめ加熱しておき、前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpを冷却しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
  25. パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記金属板をあらかじめ加熱しておき、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdを冷却しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
  26. パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記金属板をあらかじめ加熱しておき、前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdと、を冷却しながらプレス成形する金属板のプレス成形方法。
  27. パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方を加熱し、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方とを加熱し、および前記パンチの角R部と前記金属板が接触する部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板とが接触する部分Pcdとを常温のまま、もしくは冷却しながら、プレス成形するとともに、加工時の割れ発生位置を確認し、割れが前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phとその裏側Phbに挟まれた部分で発生するのであれば前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phの加熱温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの加熱温度Thbのうちの少なくとも1つを低くし、および/または前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpの冷却温度Tcpを高くし、割れが前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpで発生するのであれば前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phの加熱温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの加熱温度Thbのうちの少なくとも1つを高くし、および/または前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpの冷却温度Tcpを低くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法。
  28. パンチ、ダイ、しわ押さえを有する金属板のプレス成形装置を用いて、金属板をプレス成形するに際し、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbのうちの少なくとも一方を加熱し、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbのうちの少なくとも一方とを加熱し、および前記パンチの角R部と前記金属板が接触する部分Pcpと、前記ダイの角R部と前記金属板とが接触する部分Pcdとを常温のまま、もしくは冷却しながら、プレス成形するとともに、加工時の割れ発生位置を確認し、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdで割れがで発生するのであればダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcdを低くし、および/または前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの加熱温度Tdあるいは前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの加熱温度Tbのうちの少なくとも一方を高くし、割れが前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbに挟まれた部分で発生するのであれば前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの加熱温度Tdあるいは前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの加熱温度Tbのうちの少なくとも一方を低くし、および/または前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcdを高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法。
  29. 請求項12において、プレス成形後に、加工時の割れ発生位置を確認し、割れが前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phとその裏側Phbに挟まれた部分で発生するのであれば前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phの加熱温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの加熱温度Thbのうちの少なくとも1つを低くし、および/または前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpの冷却温度Tcpを高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出すのプレス成形方法。
  30. 請求項12において、プレス成形後に、加工時の割れ発生位置を確認し、割れが前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpで発生するのであれば前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分Phの加熱温度Thあるいは、前記パンチの頂部と前記金属板との接触部分の裏側Phbの加熱温度Thbのうちの少なくとも1つを高くし、および/または前記パンチの角R部と前記金属板との接触部分Pcpの冷却温度Tcpを低くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法。
  31. 請求項12において、プレス成形後に、加工時の割れ発生位置を確認し、前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdで割れがで発生するのであれば、ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcdを低くし、および/または前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの加熱温度Tdあるいは前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの加熱温度Tbのうちの少なくとも一方を高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法。
  32. 請求項12において、プレス成形後に、加工時の割れ発生位置を確認し、割れが前記ダイと前記金属板との接触部分Pdあるいは、前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbに挟まれた部分で発生するのであれば、前記ダイと前記金属板との接触部分Pdの加熱温度Tdあるいは前記しわ押さえと前記金属板との接触部分Pbの加熱温度Tbのうちの少なくとも一方を低くし、および/または前記ダイの角R部と前記金属板との接触部分Pcdの冷却温度Tcdを高くし、再度プレス成形を繰り返すことによって、加工限界を最も高くする温度差を見出す金属板のプレス成形方法。
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