以下、この発明の各実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図6は第1の実施形態を示し、本実施形態のクリップ装置は、図1に示されるクリップユニット1と図2に示されるクリップ操作装置5で構成されている。クリップユニット1はクリップ2、連結部材としての連結材3及びクリップ締付リングとしての押え管4を有している。
クリップ2は、例えば、板バネ材等の金属製板材を中央部で折り曲げ、更に、図1(B)に示されるように折り曲げ部の近傍位置を交差させたのちに、拡開習性をもつ腕部2a,2bをそれぞれ先端部を離間させる状態で延出させて設けたものであり、基端部側に略楕円形状の基端側端部2cが形成されている。
連結材3は、例えば、液晶ポリマーやナイロンなどの樹脂を射出成形することにより製作されており、この連結材3の先端部には、図1(C)に示すように鉤状の鉤フック3aが形成されている。そして、この鉤フック3aをクリップ2の基端側端部2cに引っ掛けてクリップ2を係合するようになっている。
さらに、連結材3の他端にはクリップ操作装置5との連結用に矢尻フック3bが形成されている。矢尻フック3bの基端側は傾斜面3fを持つ円錐形状をしている。矢尻フック3bの最大外径は後述するフック部12の弾性アーム12a,12bの変形量を考慮してφ1.0mm〜φ1.4mmとしている。
また、傾斜面3fは、フック部12への取付けをスムーズに行うため、30°以下にすることが望ましい。鉤フック3aと矢尻フック3bの間には矢尻フック3aの先端側端部よりも小さい径をもつ円柱形状の円柱部3cが設けられている。従って、円柱部3cと矢尻フック3bとの境界には段差が形成され、フック部12と確実に係合する。円柱部3cの外径は、フック部12との係合力量に影響する段差高さと円柱部3c自体の引張り強度を考慮して、φ0.7mm〜φ1.0mmとしている。
さらに、円柱部3cの先端側にはφ0.4mm〜φ0.6mmの径を持つ破断部3dが設けられており、連結材3に3kgf〜5kgf程度の引張り力量が加えられると、破断部3dにて破断するようになっている。また、鉤フック3aの基端側には、後述する押え管4の内径よりも若手大きな径を持ち、押え管4に内面に圧接して連結材3と押え管4を位置固定するための円弧状の突起部3eが設けられている。なお、連結材3は、より破断強度を出すために、金属を射出成形して製作してもよい。
押え管4は、例えば、PBT(ポリブチテレフタラート)などの強度があり、かつ、適度な弾性を持つ樹脂を射出成形することにより製作される。押え管4は、図1(E)に示すように、クリップ2の腕部2a,2bに嵌着して装着することによりクリップ2の腕部2a,2bを閉成するものであり、内径φ1.2〜φ1.3mm、外径φ1.9〜φ2.1mmの略管状をしている。
クリップ2を閉成する動作を行う前の待機状態では図1(A)に示すように連結材3の先端部に外嵌された状態で保持されている。また、押え管4には弾性的に変形し、押え管4の外周方向に突没自在に設置され、後述するコイルパイプ8(図2(A)参照)に係合するための一対の突起部4aが設けられている。突起部4aの突出時外径は、コイルパイプ8との係合を考慮して、φ2.2mm以上としている。
また、突起部4aの形状は、先端側が30°以下の角度を持つ傾斜面、基端側は垂直な面、さらにこの傾斜面と垂直な面との間をR形状で構成しており、後述のシース部6内から先端に突出する時には少ない力量で押出し、かつ、突出後には確実にコイルパイプ8と係合するようになっている。また、先端側を傾斜面とすることで、コイルパイプ8との係合時に突起部4aの垂直な面に加わる力を効果的に受けることができるようになっている。なお、前記突起部4aは後述のコイルパイプ8(図2(A)参照)との係合をより安定させるために、3個ないし4個以上設けてもよい。
次に、図2に示すクリップ操作装置5の構成について説明する。図2(A)に示されているように、クリップ操作装置5には可撓性を有するシース部6と、このシース部6内に進退自在に挿入された操作部材としての操作ワイヤ7とが設けられている。
シース部6には、押え管4の外径よりも大きく、突起部4aの突出時外径よりも小さいコイルパイプ8と、コイルパイプ8に接続され前述の押え管4の外径よりも大きな内径を持つコイルシース9が設けられている。また、コイルシース9の手元側には操作部本体10が連結されている。操作ワイヤ7の手元側延出端部にはスライダー11が接続されている。スライダー11は操作部本体10に進退自在に設置されており、操作ワイヤ7をシース部6に対し進退操作することができる。
また、操作ワイヤ7の先端にはフック部12が接続されている。フック部12は、バネ性のある金属材料で作られており、図2(B),(C)に示されているように、閉塞習性を持つ2本の弾性アーム12a,12bと、前記連結材3の円柱部3cを挟持することにより、前記矢尻フック3bと係合する把持部12c,12dが設けられている。弾性アーム12a,12bは、厚さ0.2mm〜0.4mm、幅0.5mm〜1mmで、外表面が直径φ1.8mm〜2mmの円弧状の形状をしており、長さを4mm〜8mmとしている。
また、把持部12c、12dの内側には、前記円柱部3cの外径と同じ径を持つ半円状の溝12fが設けられており、弾性アーム12a,12bの閉塞力により、前記連結材3の円柱部3cに圧接保持しやすくなっている。
また、フック部12の弾性アーム12a,12bの基端部には、図2(B),(C)に示されるように、傾斜面12eが設けられている。傾斜面12eの角度は、連結材3をフック部12からスムーズに取り外すために、30°以下にするのが望ましい。また、フック部12の弾性アーム12a,12bと把持部12c,12dは、より強度を出すために一体のバネ部材で構成するのが望ましい。また、フック部12は、例えばナイロンなどの強度が高く、かつ、バネ性を有する樹脂を成形することにより製作してもよい。
次に、第1の実施形態の作用を説明する。クリップユニット1をクリップ操作装置5に取り付けるには、まず図3(A)に示したように、スライダー11を先端側に押し出す操作により、フック部12をコイルパイプ8から突き出した状態で、フック部12に先端側から連結材3の矢尻フック3bを押し込む。すると、連結材3の矢尻フック3b上の傾斜面3fに、フック部12の把持部12c,12dの先端側内面が突き当たり、傾斜面3fに沿って把持部12c,12dが外側に押し広げられる。
この時、弾性アーム12a,12bは弾性的に変形する。その後さらに連結部材3をフック部12に押し込むと、把持部12c,12dが矢尻フック3bを通り過ぎたところで、弾性アーム12a,12bの閉塞力により閉塞し、円柱部3cは把持部12c,12dに挟持される。この時、連結材3の矢尻フック3bの先端側端面と把持部12c,12dの基端側端面が当接するため、矢尻フック3cはフック部12cから抜けなくなり、クリップユニット1はフック部12に把持固定される。
その後、図3(B)に示したように、押え管4の突出部4aをすべて押え管4内に押し込みながら、スライダー11を基端側へ引き込むと、操作ワイヤ7とフック部12がコイルシース9内に引き込まれる。この時、押え管4の突出部4aは押え管4内に押し込まれているため、コイルパイプ8の端面に引っ掛けることなくクリップユニット1がコイルシース9内に引き込まれる。
この時、クリップユニット1のクリップ2の腕部2a,2bは、コイルシース9の内径に合わせて閉成され、図3(C)に示したように、クリップユニット1がコイルシース9内に収納される。またこの時、押え管4の突出部4aはコイルシース9の内面に接触しているため、弾性的に変形し、押え管4内に収納された状態を保つ。この状態で、予め体腔内に挿入された内視鏡の鉗子チャンネルを介してシース部6を体腔内に導入し、内視鏡により体腔内を観察しながらシース部6の先端を対象部位まで導く。
次に、スライダー11を再び先端側に押し出す操作により、図4(A)に示されるように、クリップユニット1をコイルパイプ8から突き出す。この時、押え管4の突起部4aの先端側が傾斜面になっているため、クリップユニット1はスムーズにかつ抵抗なく押出される。すると、押え管4の突出部4aはコイルシース9の内面との接触状態から開放され、押え管4から外周方向に突出する。この時、クリップユニット1はフック部12の把持部12c,12dに把持固定されているため、フック部12から脱落しないようになっている。
その後、スライダー11を再び基端側に引き込むことにより、図4(B)に示したように、操作ワイヤ7が基端側へ引かれ、押え管4の突出部4aの基端側端面がコイルパイプ8の端面に係合する。その後さらにスライダー11を基端側に引くと、クリップ2の基端側端部2cの楕円部寸法Wは押え管4の内径寸法より大きいのでクリップ2の基端側端部2cの楕円部が押え管4に引き込まれることによりつぶされる。すると、図4(C)に示されるように腕部2a,2bが外側方向に大きく拡開する。
この状態で、目的の生体組織を挟むようにクリップ2を誘導する。そして、さらにスライダー11を基端側に引くことにより、操作ワイヤ7を後退させるとクリップ2の腕部2a,2bが押え管4内に引きこまれ、図1(E)に示されるようにクリップ2の腕部2a,2bが閉じられる。生体組織をクリップ2の腕部2a,2b間に確実に挟み込んだ状態で、さらにスライダー11を基端側に引き、操作ワイヤ7を後退させると、クリップ2の連結材3の破断部3dが図5に示されるように破断し、クリップ2は連結材3との係合を解かれ、クリップユニット1はクリップ操作装置5から離脱して生体組織を把持したまま体腔内に留置される。
例えば、体腔内の出血部位の組織をクリップ2の腕部2a,2b間で挟み込んで圧迫し、その状態のままクリップユニット1を留置することによって、出血部位の血管を圧迫し出血を止めることができる。クリップユニット1の留置後、クリップ操作装置5を鉗子チャンネル内から抜去する。
クリップ装置による生体組織の結紮は大抵の場合、複数のクリップ2の結紮を連続的に行うことが多く、抜去後すぐに次のクリップユニット1をつけることが多い。本実施形態では、2発目以降のクリップユニット1を取り付ける場合には、クリップ操作装置5を内視鏡チャンネルから抜去後、まず、スライダー11を先端側に押し出すようにして、フック部12をコイルシース7から突き出す。この時、1発目のクリップユニット1の連結部材3がフック部12cに係合したまま残っている。
この状態で、2発目のクリップユニット1の連結部材3をそのままフック部12の先端側から押し込む。すると、フック部12に残されている1発目の連結材3が2発目の連結材3に押され、フック部12の基端側へ押し込まれる。すると、1発目の連結材3の基端側端部がフック部12の基端側の傾斜面12eに突き当たり、図6に示すように、傾斜面12eに沿って移動し、弾性アーム12a,12b間から押し出され、フック部12cから脱落し、1発目の連結材3の取り外しと、2発目のクリップユニット1の取付けが同時に完了する。その後は、同様にしてクリップ2の結紮と取付けを連続して行うことができる。
前述した第1の実施形態によれば、クリップユニット1のクリップ操作装置5のフック部12への取付けは、フック部12へクリップユニット1を押し込むだけで行え、その後、手を放してもフック部12の把持力により脱落しないため、取付けが簡便・確実である。
また、その後のクリップユニット1のシース部6内への収納や開放、クリップユニット1の結紮を行うには、スライダー11のみを進退操作すれば可能であり、また、クリップ2を再装填する際には、クリップ2の取付けと同時に連結材3の取り外しをすることができるため、操作が簡便であり、短時間で処置を完了することが可能である。
さらにクリップユニット1をシース部6から出す時はスライダー11を押す、クリップユニット1を結紮する時は、スライダー11を引く、というようにクリップユニット1の進退方向とスライダー11の進退方向が一致し、操作者に直感的に分かりやすい動作となるため、誤操作を起こす可能性が低くなる。
また、クリップ操作装置5の構成が単純であるため、加工及び組み立てが容易であり、安価に加工及び組み立てを行うことができる。
図7及び図8は第2の実施形態を示し、本実施形態は、第1の実施形態のクリップユニット1の押え管4とクリップ操作装置5のコイルパイプ8が異なるだけで、他の構成は同一である。
第2の実施形態のコイルパイプ13は、バネ性のある金属製のパイプを加工することにより成形される。コイルパイプ13は、図7(A),(B)に示されるように、略筒状をしており、先端側に内径の小さい小径部13a、基端側に大径部13bが設けられている。さらに小径部13aと大径部13bとの間には、傾斜部13cが設けられている。また、コイルパイプ13には、図7(A)に示されるように、先端側から4本のスリットが設けられており、スリットとスリットの間の腕部13dが弾性的に変形し小径部13aの径を自在に縮拡できるようになっている。
クリップユニット1の押え管14は、図8に示されるように、外径が、コイルパイプ13の小径部13aの内径よりも大きく、大径部13bの内径よりも小さい略パイプ状の形状をしている。また、基端側には、コイルパイプ13の小径部13aの内径よりも小さい、嵌合部14aが設けられている。
次に第2の実施形態の作用を説明する。クリップユニット1をクリップ操作装置5に取り付けるには、第1の実施形態と同様にして、スライダー11を先端側に押し出し、フック部12をコイルパイプ13から突き出し、クリップユニット1の連結材3をフック部12に押し込んで、把持固定する。その後、コイルパイプ13の腕部13dを弾性的に外周方向に変形させ、コイルパイプ13の小径部13aを押え管14の外径よりも大きい径まで拡開させながら、スライダー11を基端側に引き、フック部12とクリップユニット1をシース部6内に引込む。
この状態で、第1の実施形態と同様にて、内視鏡を介してシース部6を目的とする部位まで導く。次に、スライダー11を再び先端側に押し出す操作により、クリップユニット1をシース部6から突き出す。この時、コイルパイプ13の傾斜部13cがクリップユニット1より押され、コイルパイプ13の腕部13dが外周方向に変形し、小径部13aがクリップユニット1の押え管14の外径より大きくなるまで拡開するため、クリップユニット1をシース部6から外に突き出すことができる。
押え管14の嵌合部14aがコイルパイプ13の小径部13aを通過するまでクリップユニット1を突き出すと、コイルパイプ13の腕部13dが弾性的に復元し、コイルパイプ13の小径部13aが元の径まで縮塞する。
その後、スライダー11を再び基端側に引込むと、コイルパイプ13の小径部13aと押え管14の嵌合部14aが嵌合し、嵌合部14aの先端側端部の段差とコイルパイプ13の先端側端面が当接し、押え管14とコイルパイプ13が位置固定される。その後は、第1の実施形態と同様にしてクリップを結紮することができる。第2の実施形態の効果は、第1の実施形態の効果と同一であるため、記載を省略する。
図9及び図10は第3の実施形態を示し、本実施形態は、第1の実施形態のクリップユニット1とクリップ操作装置5との固定方法に関するものであり、クリップユニット1の連結材3とクリップ操作装置5のフック部12の形状が異なるのみで、他の構成は同一である。
第3の実施形態では、図9(A)に示されるように、金属製ワイヤーを折り曲げて連結材20を成形してある。連結材20の基端側は辺20a,20b,20c,20dと頂点20eを持つ五角形状に折り曲げられており、さらに、図9(B)に示したように、連結材20の基端側端部20fは上下にずらして曲げ成形されている。また、フック部21は、図10に示されるように、中空のパイプ形状をしており、図10(B)に示されるように、連結材20の五角形状の折り曲げ部の幅W(図9(A)参照)よりも大きな内径を持つ大径部21bと、この大径部21bよりも先端側に、前記幅Wよりも小さい内径を持つ小径部21aが設けられている。
次に、第3の実施形態の作用を説明する。連結材20をフック部21の先端側から押し込むと、連結材21の五角形状の折り曲げ部の辺20b,20cがフック部21の小径部21aの先端側端部に突き当たり、辺20a,20d間の幅Wが小径部21aの径よりも小さくなるまで五角形状の折り曲げ部の頂点20eを中心に弾性的に変形、縮小する。その後、さらに連結材20を押し込むと、五角形状の折り曲げ部は小径部21aを通り抜け、大径部21b内で復元し、小径部21aと大径部21bの段差に係合固定される。
その他、第3の実施形態の作用及び効果は第1の実施形態と同一であるので、記載を省略する。
図11及び図12は第4の実施形態を示し、本実施形態は、第1の実施形態のクリップユニット1とクリップ操作装置5との固定方法に関するものであり、クリップユニット1の連結材3とクリップ操作装置5のフック部12の形状が異なるのみで、他の構成は同一である。
第4の実施形態では、図11(A)に示されるように、連結材22は金属製の板材より加工された第1連結材23と、板バネ材等の金属製の板材を折り曲げ成形した第2連結材24とから構成されている。
図11(C)に示されるように、第1連結材23の先端側には鉤状をした鉤フック23aが設けられており、クリップ2と係合するようになっている。また、第1連結材23の基端側には第2連結材との固定用にT字状のTフック23bが設けられている。第2連結材24には、図11(B)に示されるように、第1連結材23との固定用のスリット部24aとフック部25との固定用の閉塞習性を持つ腕部24b,24cが設けられている。フック部25は、図12に示したように、先端側に傾斜面25aを持つ円錐形状をしている。
次に、第4の実施の形態の作用を説明する。連結材22をフック部25の先端側から押し込むと、フック部25の傾斜面25aに第2連結材24の腕部24b,24cの端部が突き当たり、腕部24b,24cが傾斜面25aに沿って弾性的に変形、拡開し、さらに押し込むと、腕部24b,24cが閉塞し、連結材22がフック部25に係合固定される。
その他、第4の実施形態の作用及び効果は第1の実施形態と同一であるので、記載を省略する。
図13は第5の実施形態を示し、本実施形態は、第1の実施形態のクリップユニット1とクリップ操作装置5との固定方法に関するものであり、クリップユニット1の連結材3が異なるのみで他の構成は同一である。
第5の実施形態では、図13に示されるように、連結材25は前述の第1連結材23と、板バネ等の金属製の板材を折り曲げ成形した第2連結材26とから構成されている。
第2連結材26は、板材の両端を鋭角に折り曲げ、さらに板材の中心を半円形状に折り曲げて腕部26b,26cが成形されている。また、第4の実施形態の連結材24と同様に第1連結材23との固定用のスリット部26aが設けられている。
次に第5の実施形態の作用を説明する。連結材25をフック部12の先端側から押し込むと、フック部12の傾斜面12eに第2連結材26の端部が突き当たり、フック部12の弾性アーム12a,12bが弾性的に拡開し、かつ、第2連結材26の腕部26b,26cが弾性的に閉縮する。その後、さらに連結材25を押し込むと、第2連結材26の端部がフック部12の把持部12c,12dを通過した所で、弾性アーム12a,12b及び腕部26b,26cが復元し、係合固定される。
本実施形態によれば、フック部12と第2連結材26の両方が弾性的に変形、復元する構造とすることにより、双方の部材の変形量を少なくすることができるため、弾性アーム部12a,12bの長さを短くでき、フック部12の進退力量を軽減することができる。また、弾性アーム12a,12bが短くなるため、強度が高くできる。
その他の第5の実施形態の作用及び効果は第1の実施形態と同一であるので、記載を省略する。
図14は第6の実施の形態を示し、本実施形態は、図14に示されるように、クリップユニット1とクリップケース30で構成されている。クリップケース30は、例えば、ポリアセタールなどの滑り性が良い樹脂を成形して製造される。クリップケース30には、クリップ操作装置5のコイルパイプ8の外径よりも大きい大径孔31が設けられており、クリップユニット1は、クリップユニット1の連結材3の矢尻フック3bが大径孔31に向くように、クリップケース30内に収納されている。
クリップケース30には、前記大径孔31のさらに奥に、コイルパイプ8の内径よりも小さく、押え管4の外形よりも大きい小径部32が設けられている。また、クリップユニット1が収納されている収納部33と小径部32との間には傾斜部34が設けられている。この傾斜部34は、クリップユニット1がクリップケース30から引き出される時に、前述の押え管4の突起部4aを縮小するために設けられている。この突出部4aをスムーズに縮小させるために、傾斜部34は30°以下の角度にすることが望ましい。
次に第6の実施形態の作用を示す。図14に示されるように、コイルパイプ8をクリップケース30の大径孔31に差し込んだ状態で、スライダー11を先端側に押し出す操作により、フック部12をクリップケース30内に突き出す。すると、連結材3の矢尻フック3bは、第1の実施形態と同様にして、フック部12に把持固定される。
この時、コイルパイプ8とクリップユニット1はクリップケース30により位置固定されているため、フック部12は連結材3に真っ直ぐに突き当たり、特に位置決めする必要なく、フック部12と連結材3の取付けが確実に行われる。その後、スライダー11を基端部側に引くと、フック部12に把持固定されているクリップユニット1も基端側に引かれ、クリップケース30の大径孔31の方に引かれる。この時、押え管4の突起部4bは、クリップケース30の傾斜面34に突き当たり、傾斜面34に沿って弾性的に変形し、押え管4内に押し込まれる。
その後、クリップユニット1はクリップケース30の小径孔32を通ってクリップ操作装置5のシース部6内に引き込まれる。この時、押え管4の突出部4aはクリップケース30の小径部32の内面に接触し、押え管4内に押し込まれているため、コイルパイプ8の端面に引っ掛ることなくクリップユニット1がコイルシース9内に引き込まれる。さらに、クリップユニット1の各腕部2a,2bも傾斜部34に沿って閉成されるため、図3(C)に示したように、クリップユニット1がシース部6内にスムーズに収納される。
本実施形態によれば、クリップユニット1とクリップ操作装置5との取付けは、クリップ操作装置5のシース部6をクリップケース30の大径孔31に差し込み、スライダー11を一回前後に進退させるだけで完了し、フック部12と連結部材3の位置決め作業と押え管4の突出部4aの押し込み作業がなくなるので、クリップ装置の準備がより一層、簡便・確実となる。その他の作用及び効果は第1の実施形態と同様であるので、記載を省略する。
図15〜図17は第7の実施形態を示し、本実施形態のクリップ装置は、図15に示されるようなクリップユニット40と、図16に示されるようなクリップ操作装置47で構成されている。
クリップユニット40は、図15(C)に示されるようにクリップ2、連結材41、一対のスライド板42、スライド棒43、連結パイプ44さらに締付リングとしての押え管45、クリップ2を収納するクリップカバー46を有している。クリップ2は第1の実施形態のクリップ2と全く同様の形状をしている。
連結材41は、金属製の板材をフォトエッチングやプレス加工することにより成形される。この連結材41の先端部には、図15(C)に示されるように鉤状の鉤フック41aが形成されている。この鉤フック41aをクリップ2の基端側端部2cに引っ掛けてクリップ2を係脱可能に係合するようになっている。さらに連結材41には、後述のスライド棒43を貫通するためのスリット部41bが設けられている。
スライド棒43は、樹脂などのある程度軟性があり、切断可能な素材を成形することにより作られる。スライド棒43は、前記スリット部41、後述するスライド板42の小孔42a、押え管45のスリット部45c、連結パイプ44のスリット部44a、クリップカバー46の小孔46aに貫通できる外径で、クリップカバー46の外径より若干大きい長さを持つ円筒形状をしている。
スライド板42は、連結材41と同様に金属製の板材をフォトエッチングやプレス加工することにより成形される。スライド板42には連結材41のスリット部41bと同様に、スライド棒43を貫通するための小孔42aと、クリップ操作装置47との連結用の大径孔42bと、大径孔42bに繋がるように配置された小径孔42cが設けられている。
押え管45は、略筒状をなし、押え管45の外径は先端側の大径部45aと基端側の小径部45bで構成されている。さらに押え管45には、連結材41のスリット部41bと同様に、スライド棒43が貫通するスリット部45cが設けられている。
押え管45とクリップ操作装置47との連結用の連結パイプ44は、略筒状をなし、連結材41のスリット部41bと同様にスライド棒43を貫通するためのスリット部44aが設けられている。スリット部44aの基端側端部にはスライド棒15を切断するための刃44bが設けられている。
クリップ2を収納するためのクリップカバー46は、例えば、テフロン(登録商標)やポリエチレンなどの適度な軟性を持つ素材を、クリップ2を収納できる内径を持つ筒状に成形することで作られる。クリップカバー46には、連結材41のスリット部41bと同様に、スライド棒43を貫通するための小孔46aが設けられている。
従って、図15(A)や図15(B)に示したようなクリップユニット1の状態に組み立てるには、まず、クリップ2の基端側端部2cに連結材41の鉤フック41aを係合した状態で、押え管45をクリップ2の基端側端部2cに当て付くまで連結材41に被嵌し、さらに連結材41のスリット部41aの先端側端部にスライド板42の小孔42aが一致する位置で連結材41を一対のスライド板42に挟持させた状態で、連結パイプ44のスリット部44aの先端側端部が押え管45のスリット部45cの先端側端部に一致するまで、連結パイプ44を連結材41、一対のスライド板42、押え管45の小径部45bに被嵌させる。
この状態でさらにクリップカバー46をクリップカバー46の小孔46aが連結パイプ44のスリット部44aの先端側端部に一致するまでクリップ2に被嵌させた状態で、スライド棒43をクリップカバー46の小孔46a、連結パイプ44のスリット部44a、押え管45のスリット部45c、スライド板42の小孔42a、さらに連結材41のスリット部41bに貫通させることにより、スライド板42とクリップカバー46が連結し、連結材41と連結パイプ44に対してスライド自在に取り付けられた状態になり、クリップユニット40を図15(A)や図15(B)に示したような状態に組み立てることができる。
クリップ操作装置47の構成は、前記第1の実施形態のクリップ操作装置5のフック部12が異なるだけで、他の要素の構成は同一である。本実施形態のクリップ操作装置47のフック部48は図16に示されているように、棒状体の先端部側に凹陥状の切り欠き部49が形成されている。この切り欠き部49の底面には操作ワイヤ7の進退方向に対して垂直にピン50が突設されている。このピン50には円形の頭部51と、この頭部51よりも小径の小径部52とが形成されている。ピン50の頭部51は図15(C)に示されるスライド板42の大径孔42bよりも小さく、かつ小径孔42cよりも大きくなっている。さらに、ピン50の小径部52はスライド板42の小径孔42cよりも小さい寸法となっている。
次に、第7の実施形態の作用を説明する。図17(A)に示されているように、クリップユニット40をクリップ操作装置47に取り付けるには、まず、スライダー11を先端側に押し出す操作により、フック部48をコイルパイプ8から突き出す。
そして、フック部48をクリップユニット40のスライド板42の大径孔42bを被嵌させたのち、クリップユニット40全体を先端側に引く。すると、ピン50の頭部51がスライド板42の小径部42cに係合する。この後、スライダー11を基端側へ引き込む操作により、フック部48がシース部6内に引き込まれ、連結パイプ44がコイルパイプ8に突き当たり、クリップユニット40の装着が完了する。
クリップユニット40のクリップ2はあらかじめ、クリップカバー46に収納されているため、このまま内視鏡の鉗子チャンネルを介してクリップユニット40を体腔内に導入し、対象部位まで導くことができる。
次にスライダー11を基端側に引くことにより操作ワイヤ7を基端側へ後退させるように引くと、スライド板42及びスライド板42の小孔42aに貫通されたスライド棒43が引かれる。スライド棒43はクリップカバー46の小孔46aにも貫通しているため、スライド棒43が引かれることによりクリップカバー46もまた基端側に引かれ、クリップ2がクリップカバー46から突出する。
この時、連結材41は、スライド棒43がスリット部41bをスライドするため、基端側に引かれることなくそのままの状態を保持する。その後、さらにスライダー11を基端側に引くと、スライド棒43は、連結材41のスリット部41bの基端側端部に突き当たり、連結材41もまた基端側に引かれる。すると、第1の実施形態の場合と同様に、クリップ2の基端側端部2cが押え管17内に引き込まれることによりつぶされ、図17(B)に示されるように、腕部2a,2bが外側方向に大きく拡開する。
この状態で、第1の実施形態の場合と同様に、目的の生体組織に誘導し、さらにスライダー11を基端側へ引く。すると、スライド棒43は連結パイプ44のスリット部44aの基端側端部に突き当たる。その後さらにスライダー11を基端側に引くと、スリット部44aの基端側端部に設けられた刃44bによりスライド棒43が切断され、スライド棒43からクリップカバー46から離れる。そのままスライダー11を引き続けると、クリップ2の腕部2a,2bが押え管45内に引き込まれ、腕部2a,2bが閉じられ、目的の組織を挟み込む。この状態でさらにスライダー11を基端側へ引くことにより、連結材41の鉤フック41aが変形して伸び、クリップ2は連結材41との係合を解かれクリップ操作装置47から離脱して生体組織を把持したまま体内に留置される。
第7の実施形態の効果は、クリップ2が予めクリップカバー46に収納されているため、スライダー11を進退してクリップユニット1の取付け後、すぐに内視鏡の鉗子チャンネルに挿入できるため、準備が簡便になることである。また、クリップユニット1を結紮する際も、スライダー11を引くだけで、クリップカバー46からクリップユニット1が突出し、そのまま結紮を行うことがでるため、操作が簡便になることである。
また、スライド棒43を切断する構造にすることにより、連結パイプ44のスリット部44aの長さがクリップカバー46の進退長のみになり、クリップユニット40の全体の長さを短くでき、鉗子チャンネルヘの挿通性を向上させている。
また、クリップ操作装置5の構成が単純であるため、加工及び組み立てが容易であり、安価に加工及び組み立てを行うことができる。
図18は第8の実施形態を示し、本実施形態のクリップ装置は、図18に示されているクリップユニット50と第7の実施形態と同じクリップ操作装置47で構成されている。クリップユニット50は第1の実施形態と全く同じ形状のクリップ2と、連結部材としての連結材51とクリップ締付リングの押え管52と、クリップカバー53で構成されている。
連結材51の先端部には、図18(B)に示されるように、鉤状の鉤フック51aが形成されており、クリップ2の基端側端部2cに係合するようになっている。一方、連結材51の基端側には第7の実施形態のスライド板42の基端側と同様に、大径孔51bと小径孔51cが設けられており、クリップ操作装置47と着脱自在に係合するようになっている。
クリップカバー53は、例えば紙などのように裂けやすい素材で成形されており、図18(A)に示されるように、クリップ2を閉成した状態であらかじめクリップユニット5に被嵌されている。クリップカバー53の側面には、ミシン目状の切り目53aが両側に設けられている。
クリップユニット50のクリップ操作装置47への取付け及び体腔内への導入は、第7の実施形態と同様にして行う。体腔内へ導入後、スライダー11を基端側に引くと、クリップ2の腕部2a,2bは大きく外方向に拡開する。このときクリップカバー53は、図18(C)に示されるように、切り目53aに沿って裂け、脱落し、クリップ2の腕部2a,2bにより目的部位を結紮できる状態になる。
その他の作用及び効果は第7の実施形態と同様であるため、記載を省略する。
図19は第9の実施の形態を示す。本実施形態のクリップ装置は、図19に示されているクリップユニット50とクリップカバー54と前述のクリップ操作装置47で構成されている。
クリップカバー54は、例えばシリコンなどの柔らかい樹脂を成形することにより製作されており、図19(A)に示されるように、クリップ2を閉成した状態で、クリップユニット50にあらかじめ被せられている。クリップカバー54は内視鏡の鉗子チャンネルよりも若干大きな外径を持つ略筒状をしており、先端側が塞がれている。また、先端側外表面は、内視鏡への挿入性を考えて、球状に成形されている。
クリップユニット50のクリップ操作装置47への取付け及び体腔内への導入は、第7の実施形態と同様にして行う。
内視鏡への導入後、クリップユニット50及びクリップカバー54は、図19(B)に示されるように、内視鏡の鉗子チャンネルから体腔内へ飛び出した状態になっている。この状態で、クリップ操作装置47全体を基端側に引く。すると、クリップユニット50は内視鏡の鉗子チャンネルに引込まれる。このときクリップカバー54は、図19(C)に示されるように、内視鏡の鉗子チャンネル先端端面に引っ掛り、クリップユニット50から外れ脱落する。この状態で、再びクリップ操作装置47全体を先端側に押し出すことにより、クリップユニット50を結紮することができる。
その他の作用及び効果は第7の実施形態と同一のため、記載を省略する。
図20は第10の実施形態を示し、本実施形態のクリップ装置は、図20に示されているように、クリップユニット50とクリップカバー55と前述のクリップ操作装置47で構成されている。
クリップカバー55は、例えばテフロン(登録商標)などの適度な軟性を持つ樹脂を成形することにより製作される。クリップカバー55は、図20(A)に示されるように、基端側にクリップユニット50の押え管52の外径よりも若干小さい外径をもつ筒状の固定部55aと半筒状の断面形状を持ち、先端側に大きく拡開したカバー部55bが設けられている。クリップカバー55は、図20(B)に示されるように、クリップユニット50の押え管52に被嵌した状態で圧入固定されている。
クリップユニット50のクリップ操作装置47への取付けは第7の実施形態と同様にして行う。取付け後、図20(C)に示したように、クリップユニット50のクリップ2の腕部2a,2bを被嵌するようにクリップカバー55のカバー部55bを閉成しながら、内視鏡の鉗子チャンネルに挿入し、体腔内へ導入する。導入後、クリップユニット50が鉗子チャンネルから突出した状態にさせると、クリップカバー55のカバー部55bは拡開形状に成形されているため、自動的に拡開し、クリップユニット50を結紮することができる。
その他の作用及び効果は第7の実施形態と同一のため、記載を省略する。
図21は第11の実施形態を示し、本実施形態のクリップ装置は、図21に示されているように、クリップユニット50とクリップカバー56と前述のクリップ操作装置47で構成されている。
クリップカバー56は、例えばオブラートなどの水分に接触すると溶解する材料を成形することにより製作される。クリップカバー56は、図21に示されるように、クリップ2を閉成した状態で、クリップユニット50にあらかじめ被嵌されており、内視鏡の鉗子チャンネルよりも小さな外径をもつ略筒状の形状をしている。
クリップユニット50のクリップ操作装置47への取付け及び体内への導入は第7の実施形態と同様にして行う。導入後、体腔内の水分に触れるとクリップカバー56は溶解し、クリップユニット50を結紮できるようになる。また、体腔内の水分が少ない場合には、鉗子チャンネルに水を送り、クリップカバー56を溶解させることができる。
その他の作用及び効果は第7の実施形態と同一のため、記載を省略する。
図22は第12の実施形態を示し、図22に示されるように、クリップユニット60は、クリップ61と、クリップ61に被嵌して装着することによりクリップ61を閉成する押え管62と、前述の連結材51で構成されている。
クリップ61は、第1の実施形態に示したクリップ2とほぼ同様の形状をしており、図22(A)に示されるように、腕部2a,2b、略楕円形状の基端部2c、さらに、前記腕部2a,2bと前記基端部2cの間に、母材の板面に平行に、高さ0.3mm〜0.5mmの突起部63,64が設けられている。突起部63,64は、図22(C)に示されるように、三角形状をしている。押え管62は、第2の実施形態の押え管14と同様の形状をしている。
次に第12の実施形態の作用を説明する。クリップユニット1を体腔内に導入後、連結材51を基端側に引くと、クリップ2の基端側端部2cが押え管62内に引込まれ、クリップ61が拡開する。このとき、図22(B)に示されるように、クリップ61の突起部63,64が互いに係合し、クリップ61は拡開状態で固定される。この状態で更に連結部材51を基端側に力強く引くと、突起部63,64は、互いの傾斜面63a,64aに沿ってスライドし、やがてお互いに突起部63,64を乗り越えて係合状態から開放され、さらに連結材51を基端側に引くことにより、クリップ61を閉成することができる。
本実施形態の効果は、クリップ61に設けられた突起部63,64が、クリップ61が最大開き状態で一旦係合固定されるため、操作者は、クリップ61の拡開状態を気にせず、クリップ61が係合固定するまで連結材51を基端側に引くだけで、クリップ61を最大開き状態にできるため、操作が簡便になる。
また、最大開き状態が安定して保たれるため、目的の組織を狙いやすく、安定して組織の結紮が行える。
図23は第13の実施形態を示し、図23に示されるように、クリップユニット65は、クリップ66と、前述の押え管62と、前述の連結材51で構成されている。
クリップ66は、第1の実施形態に示したクリップ2とほぼ同様の形状をしており、図23(A)に示されるように、腕部2a,2b、略楕円形状の基端部2c、さらに、前記腕部2a,2bと前記基端部2cの間に高さ約0.5mm〜1.5mm程度の段差部67が設けられている。
次に、第13の実施形態の作用を説明する。クリップユニット65を体腔内に導入後、連結材51を基端側に引くと、クリップ65の基端側端部2cが押え管61内に引込まれ、クリップ2が拡開する。このとき、図23(B)に示されるように、クリップ65の段差部67が押え管61の先端側端面に係合し、クリップは拡開状態で固定される。この状態で更に連結材51を基端側に力強く引くと、段差部67が変形し押え管61との係合状態から開放され、クリップ2を閉成することができる。本実施形態の効果は第12の実施形態と同一のため、記載を省略する。
図24は第14の実施形態を示し、クリップユニット67は、図24に示されるように、前述のクリップ2と、押え管68と、前述の連結材51で構成されている。
押え管68は、略筒状をしており、外面の形状は第2の実施形態の押え管14
と同一である。押え管68の内腔には、クリップ2の楕円部寸法Wよりも小さい大径部68bと、この大径部68bよりも小さい径を持つ小径部68aが設けられており、小径部68aと大径部68bの間には、段差部68cが設けられている。
次に第14の実施形態の作用を説明する。クリップユニット67を体腔内に導入後、連結材51を引くと、クリップ2の基端側端部2cが押え管68内に引込まれ、クリップ2が拡開する。このときクリップ2の基端側端部2cが段差部68cに当接し、クリップは拡開状態で固定される。この状態でさらに連結材51を基端側に力強く引くと、クリップ2の基端側端部2cが押え管68の段差部68cを乗り越えて引かれ、クリップ2を閉成することができる。本実施形態の効果は第12の実施形態と同一のため、記載を省略する。
図25は第15の実施形態を示し、本実施形態のクリップ装置は、図25に示されるように、前述のクリップ2と、前述の押え管68と連結材69で構成されている。
連結材69は、鉤状フック51aの基端側に円形もしくは楕円形の突起部69aが設けられている以外は、第9の実施形態の連結材51と同じ形状をしている。連結材69の突起部69aは、前述の押え管68の大径部68aよりも小さく、小径部68bの径よりも若干小さくなっている。
従って、クリップユニット67を拡開するために、連結材69を基端側に引くと、連結材69の突起部69aが押え管68の段差部68cに当接し、クリップ2が拡開状態で固定される。この状態でさらに連結材69を力強く引くと、連結材69の突起部69aが変形して押え管68の小径部68a内に引込まれ、クリップ2が閉成される。本実施形態の効果は第12の実施形態と同一のため、省略を記載する。
図26は第16の実施形態を示し、本実施形態のクリップ装置は、図26に示されるように、クリップ70と、前述の押え管68と前述の連結材51で構成されている。
クリップ70は、例えば、ニッケルチタンなどの、SEA合金(Super Elastic Arroy)の薄板を、プレス加工等により長さ4mm〜40mmのリボン状に加工し、さらに、リボンの長手方向の中心部を、図26に示されるように、くの字形状に曲げ加工することにより成形される。従って、クリップ70の腕の長さLは2mm〜20mmとなる。
また、この時、クリップ70の開き幅Hは、体腔内の組織を結紮するのに十分な開き幅Hは、3mm〜25mmに曲げ加工される。リボンの長さ(=クリップの腕の長さ)はクリップ70の開き幅Hによって変わり、例えば、開き幅H=3mmの時には、クリップ70の腕の長さLは2mm(=リボン長4mm)、開き幅10mmの時には、クリップ70の腕の長さLは6mm(リボン長12mm)、開き幅H=25mmの時には、クリップ70の腕の長さLは15mmとなる。
次に第16の実施形態の作用を説明する。体腔内に導入時に、クリップ70は、内視鏡の鉗子チャンネルに挿通可能な外径φ3mm以下まで閉成し、導入される。導入後、クリップ70は、体腔内の組織を結紮するのに十分な開き幅3mm〜25mmまで拡開する必要があるが、クリップ70は弾性域の広いSEA合金であるため、内視鏡の鉗子チャンネルに挿通可能な外形φ3mmの閉成状態から、弾性的に元の形状まで復元して十分な拡開状態となり、組織を結紮することができる。
内視鏡の湾曲がきつい場合には、クリップ70の腕部は、ある程度の硬さをもつ硬質部であるため、クリップ70の腕の長さLが20mmを超えると、体腔内への導入の際に、内視鏡の鉗子チャンネルに沿って進むことが難しくなり、挿入抵抗が大きくなってしまう。一方、クリップ70の腕の長さLが、2mmより短い場合には、深部の組織を結紮することができず、例えば止血の場合には、深部血管が結紮できないため、十分な止血効果を得ることができない。また、消化管出血における出血部位の血管径はφ1mm〜φ3mmである場合が多く、クリップ70の開き幅Hが3mmより小さい場合には、血管を結紮することが難しくなる。また逆に、開き幅Hが25mmを超えると、クリップ70の腕部の間に挟み込む組織の量が多くなりすぎて、結紮力量が少なくなり、やはり十分な止血効果を得ることができない。
次に本実施形態の効果を説明する。クリップ70がSEA合金であるため、内視鏡の鉗子チャンネルに挿通可能な閉成状態から、体腔内の組織を結紮するのに必要な拡開状態まで、弾性的に復元することができる。従って、体腔内へ導入後、クリップの結紮時に、クリップの開き幅を調整する必要が無くなり、操作が簡便になる。また、消化管出血の止血は緊急を要する場合が多く、クリップを内視鏡の鉗子チャンネルに挿入できる状態にしたまま保存しておき、いざと言う時にすぐに使えるようにあらかじめ準備しておくことが多い。このような場合には、クリップ70は長時間に渡って、φ3mm以下の閉成状態のまま保存される。
しかし、本実施形態のクリップ70はSEA合金であるため、長時間の閉成状態の後でも、体腔内の組織を結紮するのに必要な拡開状態まで、弾性的に確実に復元することができる。従って、いざ使用しようとした時に欲しい開き幅が得られないということがなくなる。また、クリップがくの字形状であることから、双方の腕が一直線上に配置されているため、結紮時に腕部先端がずれることなく確実に噛み合わせることができる。
図27は第17の実施形態を示し、図27に示すように、第1の実施形態のクリップユニット1とクリップ操作装置5との固定方法に関するものであり、クリップユニット1の連結材3とクリップ操作装置5のフック部12の形状が異なるのみで、他の構成は同一である。
第17の実施形態では、フック部80は、例えば、液晶ポリマーやポリイミドなどの高強度を有する樹脂を成形加工することにより製造される。フック部80は略円柱形状をしており、図27(A)に示されるように、先端側からスリット80aが設けられているため、スリット80aの両側には、弾性的に変形可能な腕部80b,80cが形成されている。
また、胸部80b,80cの先端側には先端が傾斜面80d,80eを持つ半円錐形状で、腕部80b,80cの外径よりも大きな外径を持つ矢尻フック80f,80gが設けられており、腕部80b,80cの弾性変形により、矢尻フック80f,80gの外径が縮拡可能な構造となっている。
また、連結材81は、図27(A)に示されるように、基端側が中空のパイプ形状をしており、前述の連結材80の矢尻フック80f,80gよりも大きな内径を持つ大径部81bと、この大径部よりも基端側に、前述の矢尻フック80f,80gよりも小さな内径を持ち、腕部80b,80cよりも大きな内径を持つ小径部81aが設けられている。また、連結材81の先端側には、第1の実施形態と同様の鉤フック81cが設けられており、クリップ2の基端側端部2cに引っ掛けてクリップ2を係合するようになっている。
次に、第17の実施形態の作用を説明する。連結材81をフック部80の先端側から押し込むと、図27(B)に示されるように、フック部80の矢尻フック80g,80fの傾斜面80d,80eが連結材81の小径部81aの内面に当接し、さらに押し込むことにより、矢尻フック80g,80fの外径が傾斜面80d,80eに沿って縮小する。このとき腕部80b,80cは弾性的に変形する。その後、矢尻フック80g,80fが連結材81の小径部81aを通過したところで、図27(C)に示されるように、腕部80b,80cが連結材81の大径部81b内で復元し、矢尻フック80g,80fは小径部81aと大径部81bとの段差に係合固定される。その他、第17の実施形態の作用及び効果は第1の実施形態と同一であるので、記載を省略する。
図29〜図34は第18の実施形態を示し、クリップユニットとクリップ操作装置に関する実施形態である。本実施形態のクリップユニット120は第1の実施形態のクリップユニット1の連結材3を変更し、押えパイプ122を追加したのみで他の構成は同一である。
本実施形態のクリップ操作装置130は、図33に示されるように第1の実施形態のクリップ操作装置5のコイルシース9を太径コイル135と細径コイル136及び接続部137で構成したものである。さらに、操作ワイヤ7上にはセンタリングチューブ131と矢尻フック132と固定用チップ133が付加されている。
クリップユニット120は、図29に示したように、クリップ2、押え管4、連結材121及び押えパイプ122で構成されている。連結材121の先端側には、図30及び図31に示すように、クリップ2と係合するフック部121aが設けられている。
さらに、連結材121の基端側には、弾性アーム部121b、10°〜90°の斜面部121d、後述する矢尻フック132の軸部132cよりも大きい内径を持つ細孔部121cが設けられている。従って、連結材121の基端側から矢尻フック132が押込まれることにより弾性アーム部121bが変形拡開し、さらに押込まれると細孔部121cが軸部132cを把持する状態になり係合固定できるようになっている。
また、連結材121には外径がΦ0.3〜Φ0.6の破断部121eが設けられており、図29に示したクリップユニット120の状態から、連結材121を基端側に牽引することにより、クリップ2が閉成され、さらに引くと破断部121eが2.5kg〜4kg程度で破断するようになっている。
また、連結材121には押え管4の内径よりも大きく突出した突起部121fが設けられており、クリップユニット120の状態では押え管4の内径に突起部121fが圧入されるため、押え管4と連結材121が軟固定されるようになっている。
また、連結材121には軸部121gが設けられており、図32に示すように、押え管4に設けられた突出部4aが押え管4の内部に突没する際に干渉しないように外径Φ0.6mm〜Φ1mm程度の円柱形状になっている。押えパイプ122は、押え管4の先端側外径よりも大きな内径を持っており、押え管4の先端側に被嵌するように設けらている。
図33及び図34に示したように、コイルシース9は、クリップユニット120を収納できる内径を持つ太径コイル135と操作ワイヤ7の外径よりも若干大きな内径を持つ細径コイル136、前記太径コイル135と細径コイル136を接続する接続部137で構成されている。接続部137は操作ワイヤ7の外径よりも大きく、固定用チップの外径よりも小さな内径を持っている。
コイルチップ8はコイルシース9の内径と同じ内径を持つ略管状形状をしている。また、コイルチップ8は硬質であるのに対しコイルシース9は可撓性を持っていることから、可撓性の変化をより少なくするため、コイルチップ8の長さをコイルシース9の素線幅に対し、0.5倍〜3倍程度の長さとしている。また、コイルチップ8の先端側外径は内視鏡への挿入性を考慮してテーパ状に縮径している。コイルチップ8とコイルシース9は特別な嵌合構造無しに、突き当てた状態でレーザー溶接などにより接続されている。
また、前記矢尻フック132は操作ワイヤ7の先端に固定されており、先端側には傾斜面132aを持つ円錐形状をしている。矢尻フック132の最大外径は連結材121の弾性アーム部の変形量を考慮してΦ1.0mm〜Φ1.4mmとしている。また、傾斜面132aは連結材121への係合をスムーズに行うため、30°以下が望ましい。
矢尻フック132の傾斜面132aより基端側には、傾斜面132aの最大外径よりも小さな外径を持つ軸部132cが設けられており、傾斜面132aと軸部132cの間に段差が形成され、連結材121の弾性アーム部121bと確実に係合するようになっている。
また、軸部132cのさらに後端側には、垂直面132dが設けられており、太径コイル135内に収納されたクリップユニット120を太径コイル135の前方に押し出す際に操作ワイヤ7に加えられた力を、連結材121に効率良く伝えることができるようになっている。
前記センタリングチューブ131は操作ワイヤ7よりも大きな内径、前記コイルパイプ8及び太径コイル135の内径よりも0.05mm〜0.3mm程度小さい外径を持っており、操作ワイヤ7の先端側0mm〜300mm程度に渡って、前記操作ワイヤ7に被覆するような状態で設けられており、前記矢尻フック132及び操作ワイヤ7上に設けられた固定用チップ133に接着や圧入などにより固定されている。
連結材121は液晶ポリマーやナイロンなどの強度が高く、適度な弾性を持つ樹脂を射出成形することで作られている。押えパイプ122は、ステンレス等の金属パイプを加工して作られている。
矢尻フック132及び固定用チップ133はステンレスなどの金属で作られている。センタリングチューブ131は、テフロン(登録商標)やポリエチレンなどの柔軟な素材で作られている。
前述した第18の実施形態によれば、第1の実施形態に比較して、1回の使用で使い捨てられるクリップユニット120の連結材121を樹脂製の弾性部材とし、繰り返し使用するクリップ装置本体のフック部を金属製の非弾性部材とすることで、クリップ操作装置130が繰り返し使用された場合に壊れにくくすることができる。
また、押え管4の先端側に押えパイプ122を被嵌することで、クリップ2を押え管4内に引き込んで組織を結紮する場合に押え管4の先端部の変形・破壊を防ぎ、確実に結紮できる。
本実施形態では、クリップユニット120を矢尻フック132に取付ける時には、スライダー11を操作し、操作ワイヤ7及び矢尻フック132をコイルシース9から突出させる。このとき太径コイル135の内径と操作ワイヤ7の外径との間の隙間は、センタリングチューブ131により埋められているため、太径コイル135がいかなる湾曲形状であっても、操作ワイヤ7は太径コイル135の軸中心に位置する。よって、太径コイル135の先端から突出した矢尻フック132も太径コイル135の軸中心に位置する。
従って、図14に示されるような、クリップユニット120がクリップケース30内に封入され、太径コイル135とクリップユニット120が軸を合わせて位置決めされている場合に、太径コイル135がいかなる形状の場合でも矢尻フック132を太径コイル135の先端から突出すだけで、矢尻フック132は太径コイル135の軸中心に位置するため、連結材121と確実に係合することができる。このように、いかなる太径コイル135の形状でも確実に軸中心に合わせるためには、矢尻フック132の極近傍の位置から、すくなくとも20mm以上、望ましくは50mm以上、センタリングチューブ121を操作ワイヤ7上に被覆する必要がある。
また、太径コイル135内に収納されたクリップユニット120を太径コイル135の前方に突出す際にも、操作ワイヤ7が太径コイル135内を蛇行しないで真っ直ぐにクリップユニット120を押せるため、より少ない力量で効率的にクリップユニット120を突出することができる。このようなコイルシース9と操作ワイヤ7の位置決めや突出力量の軽減は、クリップ操作装置だけでなく、スネア、バスケット、注射針、留置スネアなどのシース内から処置部を突出する処置具すべてに同様の効果がある。
また、固定用チップ133の外径よりも接続部137の内径が小さいため、操作ワイヤ7を引いて行くとやがて、接続部137と干渉し、操作ワイヤ7が必要以上にコイルシース134内に引き込まれるのを防止することができる。
また、コイルチップ8を嵌合構造ではなく、突き当てるのみで溶接固定する構造としたため、硬質部を短くでき、内視鏡への挿通が容易になる。また、コイルチップ8とコイルシース9の加工も簡略化され、安価に製造することができる。
図35は第19の実施形態を示し、本実施形態のクリップ操作装置は、第18の実施形態のセンタリングチューブ131を変更したのみで他の構成は同一である。
すなわち、図35に示したように、第18の実施形態に示すセンタリングチューブ131の代わりに、センタリングチップ140を矢尻フック132の基端側端部から、0mm〜10mmの位置に1つ、20〜50mmの位置に1つの計2つ設けられている。このようにセンタリングチップ140を複数個、ある程度の範囲にわたって設けることにより、安定して操作ワイヤ7の位置決めが行える。
センタリングチップ140は例えば、金属のような硬質な素材から作られており、操作ワイヤ7の外径よりも大きく、太径コイル135の内径よりも小さい外径を持つ略球状の形状をしている。
センタリングチップ140は、液晶ポリマーやナイロンなどの硬質な樹脂やシリコンやテフロン(登録商標)などの軟性な樹脂を操作ワイヤ7上にインサート成形などにより成形しても良い。
本実施形態の作用及び効果は、第18の実施形態と同様である。
図36及び図37は第20の実施形態を示し、第18の実施形態のクリップ操作装置130の操作部150に関するものである。
操作部150は操作部本体151、スライダー152、操作パイプ153、ロック154、ロックバネ155及びスライダバネ156で構成されている。操作部本体151には、先端側にコイルシース9が取着されている。スライダー152は操作部本体151に紙面左右方向にスライド自在に設けられている。スライダー152には操作パイプ153が取着されており、さらに操作パイプ153には操作ワイヤ7が取着されている。ロック154は操作部本体151に紙面の上下方向にスライド自在に設けられ、ロックバネ155により常に紙面上方に付勢されている。
スライダー152の先端側には鋭角な角度(10°〜90°程度の角度)を持つ斜面152aと鈍角な角度(斜面152aよりも大きな角度)を持つ斜面152bが設けられている。ロック154の内径は前記スライダー152の斜面152aの外径よりも大きくなっている。
次に、第20の実施形態の作用について説明する。
スライダー152を先端側にスライドさせると、スライダー152の斜面152aがロック154の内径の基端側端面154aに突当る。この状態でさらにスライダー152を先端側にスライドさせると、スライダー152の斜面152aによりロック154が押し下げられる。このとき斜面152aは鋭角な斜面であるため、ロック154を小さな力量で押し下げることができる。
スライダー152をさらに先端側にスライドさせると、やがてスライダー152の斜面152aはロック154を乗り越えて先端側に移動し、ロック154がロックバネ155の働きにより、スライダー152の細径部152cに当接した状態になる。このときスライダー152はスライダバネ156にて基端側に押されているが、斜面152bが鈍角となっているため、ロック154の先端側端面154bを乗り越える力量よりも、スライダバネ156の押し力量の方が小さくしてあるため、スライダー152が一時固定された状態になる。
この状態で、スライダー152を基端側に強く引くと、ロック154は斜面152bにより押し下げられ、スライダー152がロック154から抜けるため、スライダー152を固定状態から開放することができる。
本実施形態によれば、スライダー152の先端側に角度の異なる2つの斜面152a,152bを設けたことにより、ロック154を上下にスライドさせる力量に変化を付けることができ、スライダー152を先端側に押すだけで、軽い押込みでスライダー152を固定でき、かつ、強く引けば固定が外すことができる。従って、特別に固定のON・OFFボタンなどの機構を設けることなく、スライダー152の操作のみでスライダー152自体の固定・解除をすることができ、クリップユニット120の取付け・取外しを容易にかつスピーディーに行うことができる。
また、スライダー152を基端側に付勢するスライダバネ156を設けたことにより、図37に示したように、クリップユニット120をコイルシース9の先端に係合させ、目標とする生体組織へのアプローチを行っている間、クリップユニット120のコイルシース9への係合状態を自動的に保持することができ、安定して操作を行うことができる。
本実施形態の変形例1として、図38に示すように、ロック154に角度の異なる2つの斜面154a、154bを設けても良い。さらに変形例2として、図39に示すように、ロック154をスライダー152上に設け、操作部本体151に角度の異なる2つの斜面151a、151bを設けても良い。
また、本実施形態のスライダー固定機構は、クリップ操作装置だけでなく、スネア、バスケット、注射針、留置スネアなどのシース内から処置部を突出する処置具すべてに同様の効果がある。
図40〜図43は第21の実施形態を示し、本実施形態は第18の実施形態のクリップユニット120を封入するクリップケース160に関するものである。すなわち、クリップケース160は、図40に示すように、ケース本体161とケース蓋162の2つの部品で構成されている。ケース本体161とケース蓋162は、例えば、ABS、ポリスチレンなどの適度な硬さがあり、かつ透明な樹脂を射出成形して製造されている。図41に示すように、ケース本体161の内面には係合爪161aが全6箇所に設けられており、ケース蓋162に係合爪161aと対応して全6箇所に渡って設けられた係合孔162aに係合することにより、図40に示した状態に組み立てられる。従って、クリップユニット120をケース本体161及びケース蓋162の間に配置してから組み立てることにより、クリップユニット120をクリップケース160内に封入することができる。
ケース本体161及びケース蓋162には、紙面上右側半分の領域に、半円形の溝161b、162bが設けられており、端面にてテーパ状に拡径している。従って、図40のような組立状態では、図42に示すように、ケース本体161の半円溝161bとケース蓋162の半円溝162bにより、円形孔163が形成される。円形孔163は、前述のクリップ操作装置130のコイルシース9の外径よりも大きな内径を持っている。また、端面では円形孔163の内径より、1.5倍から3倍程度の径まで漏斗状に拡径した漏斗部163aを形成している。
ケース本体161及びケース蓋162の中心部には、図43に示すように、前述の円形孔163の紙面上左側に、コイルパイプ9の内径よりも小さく、押え管4の外径よりも大きい小径部164が設けられている。小径部164のさらに左側には斜面部165が設けられており、連結材格納部166に繋がっている。連結材格納部166には連結材121の弾性アーム部が矢尻フックの挿入により変形しても干渉しない十分な幅に形成されている。
連結材格納部166のさらに左側には、押え管4の外径よりも若干大きな内径を持つ、押え管格納部167が設けられている。押え管格納部167のさらに左側には、クリップ2を格納するクリップ格納部168が設けられている。
また、円形孔163上で、小径部164近傍には、コイル固定アーム169及び170が設けられている。コイル固定アームは図42に示すように、円形孔163内径方向に0.1mm〜0.5mm程度突出したコイル固定部169a、170aと、0.5mm〜3mm程度のアーム部169b、170bにより構成されている。
次に、第21の実施形態の作用について説明する。
まず、第18〜20の実施形態のクリップ操作装置150のスライダー152を先端側に押し出し、コイルシース9先端から矢尻フック131を突出す。このときスライダー152はロック154により固定される。その状態でコイルシース9の先端をクリップケース160の漏斗部163aから円形孔163へ挿入する。コイルシース9がコイル固定アーム169、170に達すると、コイルシース9の押込み力により、アーム部169b、170bが変形してコイル固定部169a、170aが広がる。
この状態で、コイルシース9の先端側端部が円形孔163と小径部164の段差に突当るまでコイルシース9を押込む。このときアーム部169b、170bは弾性的に変形しているため、復元力によりコイルシース9がコイル固定部169a、170aに挟まれるため、コイルシース9はクリップケース160に軟固定される。
コイルシース9がクリップケース160内に突当るまで押込むとき、矢尻フック131がコイルシース8の先端から突出しているため、矢尻フック131はクリップケース160の小径部164を通過して、連結材格納部166に押込まれる。このとき、円形孔163と押え管格納部167の軸中心が合わせてあるため、連結材格納部166に配置されている連結材121の基端側に、矢尻フック131が確実に押込まれ、連結材121と矢尻フック131が係合する。
このとき、連結材121には斜面部121dが設けられているため、もし矢尻フック131の位置が多少上下にずれた場合でも、斜面部121dに当接して中心方向に位置修正され、確実に係合する。
また、クリップケース160が透明な素材で製造されているため、クリップケース160内のクリップユニット120の有無や、連結材121と矢尻フック131の係合状態などを目視にて確認できる。
連結材121と矢尻フック131の係合を確認後、スライダー152を基端側に引くと、操作ワイヤ7が引かれ、矢尻フック131及びクリップユニット120がコイルシース9内に引き込まれる。このとき、押え管4の突出部4aがケース本体161及びケースフタ162の斜面部165に当接し、突出部4aが押え管4内部方向に押込まれ、コイルパイプ8の端面に係合することなく、コイルシース9内に引き込むことができる。その後、コイルシース9を強く引き、クリップケース160から引き抜く。
本実施形態によれば、クリップケース160を、ケース本体161にケース蓋162を押込むだけで組み立てることができ、組立が簡単であり製造コストが安価にできる。また、コイル固定アーム169、170を設けることにより、クリップケース160とコイルシース9の固定ができ、コイルシース9とクリップケース160の両方を持つ必要が無くなり、クリップユニット120の取付けが簡単に行える。さらに、クリップケース160を透明な素材で構成したことにより、クリップケース160内のクリップユニット120の有無や連結材121と矢尻フック131の係合を確認できるようにしたことにより、クリップユニット120を確実に取付けられる。
図44は第22の実施形態を示し、本実施形態は、第21の実施形態のコイル固定アーム169、170を無くし、円形孔163の内径側に直接コイル固定用の突起180、181を設けたものである。コイルシース9の固定はアーム部169b、170bの変形の代わりに、ケース本体161及びケース蓋162そのものの弾性変形により固定を行う。
本実施形態によれば、アーム部を設ける必要がなくなり、射出成形用の金型製作が簡便になる。他の効果は第21の実施形態に同じである。
図45は第23の実施形態を示し、本実施形態は、第21の実施形態のコイル固定アーム169、170のコイル固定部169a、170aを無くし、アーム部169b、170bを円形孔163の内径向きに突出する角度に設けたものである。コイルシース9の固定は、アーム部169b、170bが直接コイルシース9に当接、変形しコイルシース9の固定を行う。本実施形態の効果は、第21の実施形態に同じである。
図46は第24の実施形態を示し、本実施形態は、第21の実施形態のコイル固定アーム169、170を無くし、円形孔163の内径側にシリコンなどの柔らかい樹脂製のOリング182を設けたものである。コイルシース9の固定は、アーム部の変形の代わりに、Oリング182の弾性変形により行う。
本実施形態の効果は、突起部を設ける必要がなくなり、射出成形用の金型製作が簡便になるとともに、Oリング182によりコイルシース8の全周に渡り固定されるため、固定力量が安定する。
図47〜図51は第25の実施形態を示し、本実施形態は、第21〜24の実施形態に示したクリップケースを複数個並べて封入するフレーム170に関するものである。
フレーム170にはクリップケース160が挿入可能な片側が塞がっているケース挿入孔171を計12個設けられている。フレーム170の全体の大きさを考慮すると、ケース挿入孔171は3個〜24個程度が望ましい。またフレーム170の高さHは、クリップケース160の高さよりも大きく作られている。クリップケース160のケース挿入孔171には、図49に示すように、クリップケース160を固定する固定用突起171aが設けてあり、クリップケース160を挿入することにより圧入固定されるようになっている。クリップケース160の固定は、クリップケース160上のフレーム170の固定用突起171aに対応した位置に係合用の溝を設けることで、より強い固定を得ることができる。
フレーム170のケース挿入孔171に、クリップユニット120が封入されたクリップケース160を、クリップケース160の漏斗部164をケース挿入孔171の開口側に向けた状態で押込む。ケース挿入孔171の全てにクリップケース160を押込んだ後、図50及び図51に示すように、ケース挿入孔171を塞ぐように、シール紙172をヒートシールする。
このシール紙172は、各ケース挿入孔171のそれぞれを独立して密封するように碁盤の目状にヒートシールされる。シール紙172は滅菌ガス(エチレンオキサイドガス)を通過する素材でできており、またケース挿入孔171をひとつずつ開けられるように、碁盤の目状のシール部172bに沿うように、シール紙172上にミシン目が設けられており、またシール紙172の一部がフレーム170よりはみ出した状態でピール部172aが設けられている。この状態で、エチレンオキサイドガスなどにより滅菌を行う。フレーム170は、ポリプロピレンをブロー成形したり、ABSやポリスチレンを射出成形することにより作られる。
クリップユニット120をクリップ操作装置5に装着するには、前述のピール部172aを手でつまんで剥がす。このときシール紙172はミシン目に沿って切れながら剥がれるため、使用したいクリップユニット120が封入されたケース挿入孔171のみ開封することができる。その後は、第21の実施形態と同様にしてクリップユニット120をクリップ操作装置5に装填することができる。
本実施形態によれば、フレーム170にクリップケース120を封入することで、フレーム170を、例えば机などの作業台の上に安定して置くことができ、クリップケース120を持つことなく、クリップ操作装置5を持って操作するだけで、クリップユニット120をクリップ操作装置5に装填することができる。また、シール紙172にピール部172aとミシン目を設けることにより、シール紙172をケース挿入孔171に対応して一つ一つ確実に剥がすことができ、操作が簡便になる。
前述した実施の形態によれば、次のような構成が得られる。
(付記1)クリップと、このクリップに嵌着して装着することにより該クリップを閉成する締付リングと、この締付リング内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材と、前記クリップと締付リングとを収納可能な導入管と、この導入管内に進退自在に挿通された操作部材と、前記締付リングもしくは導入管の少なくとも一方に設けられ、前記クリップ及び締付リングが前記導入管の前方に突出した際に前記導入管と前記締付リングとを係合させ、該締付リングが導入管内に再度収納されることを禁止する係合手段とを具備することを特徴とする生体組織のクリップ装置。
(付記2)前記係合手段を前記締付リングに設けたことを特徴とする、付記項1に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記3)前記係合手段を前記導入管に設けたことを特徴とする、付記項1に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記4)前記係合手段は、前記締付リングが導入管より前方に突出した際に締付リングの径方向に突出し、前記導入管と係合する突起部であることを特徴とする、付記項2に記載の生体組織のクリップ装置。
前記構成によれば、クリップに連結部材を係合させ、さらに締付リングを被嵌した状態で操作ワイヤに取着する。その後、操作部材を操作しクリップと連結部材と締付リングをすべて導入管内に収納して、体腔内へ導入する。導入後、操作部材を操作し、クリップと連結部材と締付リングを導入管外に突出させ、導入管と締付リングを係合させる。その後、再び操作部材を操作し、締付リングをクリップに被嵌させ、クリップを結紮する。
従って、本クリップ装置は、操作ワイヤの進退操作だけで、クリップを導入管内に収納してクリップを生体腔内に挿入でき、さらに、操作部材としての操作ワイヤの進退操作だけで、収納したクリップを導入管から開放すると同時に係合し、クリップを結紮することができる。このように、操作ワイヤの進退のみでクリップ装置の取付け及び結紮操作が行えるため、簡便である。
(付記5)前記導入管を、軟性内視鏡を介して体腔内に導入可能な可撓性を有する部材で構成したことを特徴とする、付記項1に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記6)前記操作部材を、軟性内視鏡を介して体腔内に導入可能な可撓性を有するワイヤで構成したことを特徴とする、付記項1に記載の生体組織のクリップ装置。
前記構成によれば、体腔内への導入を軟性内視鏡で行なうことができる。
(付記7)前記クリップに更に前記連結部材が係合され、かつ前記締付リングが前記連結部材に嵌着された状態で、これらクリップ,締付リング,連結部材を封入するとともに、前記締付リングの前記導入管への収納を可能にした補助ケースを有することを特徴とする、付記項1に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記8)前記補助ケースに、前記係合手段を前記導入管内に収納可能な径まで縮径させる縮径手段を設けたことを特徴とする、付記項7に記載の生体組織のクリップ装置。
前記構成によれば、クリップに連結部材を係合させ、締付リングを被嵌した状態で、補助ケース内に封入する。その後、導入管を補助ケースに取着し、操作部材を操作することにより、クリップを操作部材に取着し、さらに導入管内に収納する。この時、締付リングに設けられた突出部が補助ケースによって締付リング内に格納され、導入管内に収納可能な径まで縮小され、締付リングが導入管に係合されることなく、導入管内に収納される。
(付記9)クリップと、このクリップに嵌着して装着することにより該クリップを閉成する締付リングと、この締付リング内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材と、前記クリップと締付リングとを先端に取付け可能な導入管と、この導入管内に進退自在に挿通された操作部材と、前記クリップを、内視鏡に挿入可能な閉成状態から生体組織を結紮するのに必要な拡開状態に移行させることが可能な前記クリップ上に設けられたカバーとを具備することを特徴とする生体組織のクリップ装置。
(付記10)前記カバーが基端側に後退することで、前記クリップが該カバーから開放されて拡開状態にされることを特徴とする、付記項9に記載の生体組織
のクリップ装置。
(付記11)前記カバーが先端側に前進して前記クリップから脱落することで、前記クリップが該カバーから開放されて拡開状態にされることを特徴とする、付記項9に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記12)前記カバーが破壊されることで、前記クリップが該カバーから開放されて拡開状態にされることを特徴とする、付記項9に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記13)前記カバーが拡開されることで、前記クリップが該カバーから開放されて拡開状態にされることを特徴とする、付記項9に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記14)前記カバーが溶解されることで、前記クリップが該カバーから開放されて拡開状態にされることを特徴とする、付記項9に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記15)前記導入管を、軟性内視鏡を介して体腔内に導入可能な可撓性を有する部材で構成したことを特徴とする、付記項9に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記16)前記操作部材を、軟性内視鏡を介して体腔内に導入可能な可撓性を有するワイヤで構成したことを特徴とする、付記項9に記載の生体組織のクリップ装置。
前記構成によれば、クリップを連結部材に係合させ、締付リングを被嵌させ、さらにクリップにカバーを被嵌させた状態で操作部材に取着し、体腔内へ導入する。導入後、生体内の水分の作用により、クリップが結紮できる拡開状態までカバーを移行させる。その後操作ワイヤの操作によりクリップを締め付けリング内に引込み、クリップを結紮することができる。
従って、本クリップ装置は、クリップに予め体腔内への導入用カバーが設けられているため、クリップを取り付けた後すぐに体腔内に挿入できる。その後、操作ワイヤを進退操作するだけで、クリップを収納状態から開放状態にすることができ、クリップを結紮することが可能である。このように、取付け後すぐに体腔内へ導入でき、結紮操作も、操作ワイヤの進退のみで行えるため、簡便である。
(付記17)クリップと、このクリップに嵌着して装着することにより該クリップを閉成する締付リングと、この締付リング内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材と、先端にフックを有する操作ワイヤと、前記連結部材が前記フックの軸方向に対して任意の周方向位置にある際に、前記連結部材もしくは前記フックの少なくとも一方を変形,復元させることにより、前記連結部材と前記フックとを係合させる変形手段とを具備することを特徴とする、生体組織のクリップ装置。
(付記18)前記変形手段を前記フックに設けたことを特徴とする、付記項17に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記19)前記変形手段を前記連結部材に設けたことを特徴とする、付記項17に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記20)前記変形手段を前記連結部材とフックとに設けたことを特徴とする、付記項17に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記21)前記フックに、閉塞習性を有する腕部と、前記連結部材の基端部を把持固定するための把持部とを設けたことを特徴とする、付記項17に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記22)前記連結部材に、閉塞習性を有する腕部と、前記フックの先端部を把持固定するための把持部とを設けたことを特徴とする、付記項17に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記23)前記フックに先端側が小径の内腔を設けると共に前記連結部材に外径が縮拡可能な基端部を設け、前記フックと連結部材とを係合固定するようにしたことを特徴とする、付記項17に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記24)前記連結部材に先端側が小径の内腔を設けるとともに、前記フックに外径が縮拡可能な先端部を設け、前記連結部材とフックとを係合固定可能にしたことを特徴とする、付記項17に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記25)前記変形手段は弾性部材であることを特徴とする、付記項17に記載の生体組織のクリップ装置。
前記構成によれば、クリップに連結部材を係合させ、締付リングを被嵌した状態で、連結部材を操作部材に取着されたフックに周方向の位置を合わせることなく押し込む、この時、連結部材かフックもしくはその両方が変形、復元することにより、連結部材とフックが係合する。その後、クリップを体腔内に導入し、結紮する。
(付記26)前記クリップに更に前記連結部材が係合され、かつ前記締付リングが前記連結部材に嵌着された状態で、これらクリップ,締付リング,連結部材を封入するとともに、前記連結部材と前記フックとの係合を可能にした補助ケースを有することを特徴とする、付記項17に記載の生体組織のクリップ装置。
前記構成によれば、クリップに連結部材を係合させ、締付リングを被嵌した状態で、補助ケース内に封入する。その後、操作管を補助ケースに取着し、操作部材を操作することにより、クリップを操作部材に取着する。
従って、本クリップ装置は、連結部材がフックの進退軸に対して任意の周方向位置において、連結部材をフックに押し込むことにより連結部材もしくはフックが弾性的に変形、復元することにより係合する。このように、連結部材とフックの向きを合わせることなく連結部材とフックを係合することができるため、連結部材のフックヘの取付けが容易に行える。
従って、クリップの取付けを容易にする補助ケースに、予めクリップを封入することにより、クリップのフックヘの取付けが容易になる。
(付記27)クリップと、このクリップに嵌着して装着することにより該クリップを閉成する締付リングと、この締付リング内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材と、前記クリップが最大に拡開した際に、該拡開状態を一旦保持する保持手段とを具備することを特徴とする生体組織のクリップ装置。
(付記28)前記保持手段を前記クリップに設けたことを特徴とする、付記項27に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記29)前記保持手段を前記締付リングに設けたことを特徴とする、付記項27に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記30)前記保持手段を前記連結部材に設けたことを特徴とする、付記項27に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記31)前記保持手段が、前記クリップのそれぞれの腕に設けられ互いに係合する段差であることを特徴とする、付記項27に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記32)前記保持手段が、前記クリップのそれぞれの腕に設けられ前記締付リングと係合する段差であることを特徴とする、付記項27に記載の生体組織のクリップ装置。
前記構成によれば、クリップに連結部材を係合し、締付リングを被嵌した状態で、クリップを体腔内導入する。この時、クリップは体腔内に挿入可能な状態に閉成される。体腔内へ導入後、組織を結紮できる状態までクリップを拡開する。
この拡開状態は、目的とする組織にねらいを定めるまでの間、保持手段により保持される。その後、クリップに締付リングを被嵌することにより、組織を結紮する。
従って、クリップ結紮時はクリップを一旦開き、結紮できる状態(最大開き状態)を保持する必要がある。本クリップは、この最大開き状態にて一旦係止するため、操作が簡便となる。
(付記33)超弾性合金からなるクリップと、このクリップに嵌着して装着することにより該クリップを閉成する締付リングと、この締付リング内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材とを具備することを特徴とする生体組織のクリップ装置。
(付記34)前記クリップの中央部分を曲折し、生体組織を結紮可能な開き幅を有する腕部を形成したことを特徴とする、付記項33に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記35)前記クリップの開き幅を3〜25mm、腕部の長さを2〜20mmとしたことを特徴とする、付記項33に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記36)前記クリップを、内視鏡の鉗子チャンネルに収納可能な閉塞状態から、生体組織を結紮可能な拡開状態まで、弾性的に変形・復元可能であることを特徴とする、付記項33に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記37)前記クリップを、内視鏡の鉗子チャンネルにおける内径φ3mm以下の管腔に収納可能な閉塞状態から、生体組織を結紮可能な、開き幅が3〜25mmの拡開状態まで、弾性的に変形可能であることを特徴とする、付記項33に記載の生体組織のクリップ装置。
(付記38)前記クリップを板状の超弾性合金にて構成したことを特徴とする、付記項33に記載の生体組織のクリップ装置。
前記構成によれば、クリップに連結部材を係合し、締付リングを被嵌した状態で、クリップを体腔内導入する。この時、クリップは体腔内に挿入可能な状態に閉成される。体腔内へ導入後、クリップは超弾性合金で構成されているため、弾性的に組織を結紮できる状態まで拡開する。その後、クリップに締め付けリングを被嵌することにより、組織を結紮する。
従って、クリップを超弾性合金で構成したため、内視鏡に挿通可能な閉成状態から、体腔内の組織を結紮するのに必要な拡開状態まで、弾性的に復元するため、クリップの拡開状態を調整することなく結紮ができるため、操作が簡便となる。
(付記39)軟性内視鏡に導入可能な可撓性を有する導入管と、この導入管内に進退自在に挿通された可撓性を有する操作部材と、可撓性を有する位置決め手段で、前記操作部材上に設けられ、前記操作部材を前記導入管の軸中心に位置させる位置決め手段とを具備する内視鏡用処置具。
(付記40)軟性内視鏡に導入可能な可撓性を有する導入管と、この導入管内に進退自在に挿通された可撓性を有する操作部材と、前記操作部材上に設けられ、前記操作部材を前記導入管の軸中心に位置させる複数の位置決め手段とを具備する内視鏡用処置具。
(付記41)軟性内視鏡に導入可能な可撓性を有する導入管と、この導入管内に進退自在に挿通された可撓性を有する操作部材と、可撓性を有する位置決め手段で、前記操作部材上に設けられ、前記操作部材を前記導入管の軸中心に位置させる位置決め手段とを具備する生体組織のクリップ装置。
(付記42)軟性内視鏡に導入可能な可撓性を有する導入管と、この導入管内に進退自在に挿通された可撓性を有する操作部材と、前記操作部材上に設けられ、前記操作部材を前記導入管の軸中心に位置させる複数の位置決め手段とを具備する生体組織のクリップ装置。
付記39〜42によれば、クリップユニット(クリップ、締付リング、連結部材の組立品)をクリップ操作装置に取付ける時、まず、スライダーを先端側に押して、矢尻フックを突出す。そして、クリップユニットの連結材を矢尻フックに押込む。このとき矢尻フックは位置決め手段(センタリングチューブ)により導入管(コイルシース)中心に位置固定されている。またこのとき連結材は弾性的に変形回復し、矢尻フックに係合する。係合後、締付リング(押え管)の突起部を締付リング(押え管)内に押込みながらスライダーを引き、クリップユニットを導入管(コイルシース)内に引き込む。
本クリップ装置では、クリップ取付け、取り外しの際に、コイルシースの形状がいかなる場合であっても、操作ワイヤがコイルシースの軸中心に位置するため、クリップ取付け、取外しが簡便である。また、操作ワイヤの不要な蛇行を無くすことができるため、ロスなく操作ワイヤの押し出し行える。
この効果は、クリップ装置のみならず、スネア、バスケット、注射針、留置スネアなどのシース内から操作部材を突出する処置具すべてに同様の効果がある。
(付記43)導入管と、この導入管内に進退自在に挿通された操作部材と、前記導入管に取着された操作部本体と、前記操作部材に取着され、該操作部材を前記導入管に対し進退操作するスライダーと、前記操作部本体もしくは前記スライダーの少なくとも一方に設けられた角度の異なる2つの斜面を持つ斜面部と、前記操作部本体もしくは前記スライダーの少なくとも一方に設けられ、前記スライダーを移動することにより前記斜面部と係合する係合部とを設けたことを特徴とする内視鏡用処置具。
付記43によれば、クリップユニット(クリップ、締付リング、連結部材の組立品)をクリップ操作装置に取付ける時、まず、スライダーを先端側に押して、矢尻フックを突出す。このとき、スライダーもしくは操作部本体のどちらかに設けられた斜面部にスライダーが係合し操作部本体と軟固定される。次に、クリップユニットを矢尻フックに係合させ、押え管の突起部を押え管内に押込みながらスライダーを強く引く。すると、スライダーの固定が斜面部により外れ、クリップユニットを導入管(コイルシース)内に引き込むことができる。
本クリップ装置では、スライダーの固定をスライダー自身の進退操作のみでスライダーの固定・解除が可能であるため、クリップの取付け、取外しが簡便かつスピーディーに行える。また特別に固定解除機構を設ける必要が無いため、製造コストを安価にすることができる。
(付記44)クリップと、このクリップに嵌着して装着することにより該クリップを閉成する締付リングと、この締付リング内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材と、前記クリップと締付リングとを先端に取付け可能な導入管と、前記クリップに前記連結部材が係合され、かつ前記締付リングが前記連結部材に嵌着された状態で、これらクリップ、締付リング、連結部材を封入するとともに、これらクリップ、締付リング、連結部材を前記導入管内に収納可能な位置に前記導入管を固定する固定手段を有することを特徴とする補助ケース。
(付記45)前記固定手段が弾性的に拡開可能なアームであることを特徴とする付記44に記載の補助ケース。
(付記46)前記固定手段が弾性的に拡開可能な突起であることを特徴とする付記44に記載の補助ケース。
(付記47)前記固定手段が弾性的に拡開可能な突起付アームであることを特徴とする付記44に記載の補助ケース。
(付記48)前記固定手段が軟性樹脂リングであることを特徴とする付記44に記載の補助ケース。
(付記49)前記補助ケースの少なくとも一部を透明もしくは半透明な素材で構成したことを特徴とする付記44〜47のいずれかに記載の補助ケース。
付記44〜49によれば、クリップユニット(クリップ、締付リング、連結部材の組立品)をクリップ操作装置に取付ける時、まず、スライダーを先端側に押して、矢尻フックを突出す。次に、導入管(コイルシース)をクリップケースの挿入孔に挿入する。挿入孔とクリップユニットは軸を合わせて位置決めされている
ため、矢尻フックとクリップユニットは導入管(コイルシース)を押込むだけで係合する。このとき、導入管(コイルシース)は補助ケース(クリップケース)に設けられた導入管固定手段により補助ケースに軟固定される。
補助ケースにコイルシース固定機構を設けることにより、クリップ取付け時に、クリップケースもしくはコイルシースのどちらか一方を保持すれば良く、クリップ取付けが簡便に行える。
補助ケースを透明もしくは半透明な素材とすることで、補助ケース内に封入されたクリップユニット有無、連結材とフックの係合状態を目視にて確認できるため、クリップユニットのクリップ装置への取付けを容易に行うことができる。
(付記50)クリップと、このクリップに嵌着して装着することにより該クリップを閉成する締付リングと、この締付リング内に挿入可能で、前記クリップと係合する連結部材と、前記クリップと締付リングとを先端に取付け可能な導入管と、前記クリップに前記連結部材が係合され、かつ前記締付リングが前記連結部材に嵌着された状態で、これらクリップ、締付リング、連結部材を封入するとともに、前記クリップと、前記締付リング上に設けられた係合手段とを前記導入管内に収納可能な閉成状態にする斜面部を有することを特徴とする補助ケース。
付記50によれば、クリップユニット(クリップ、締付リング、連結部材の組立品)をクリップ操作装置に取付ける時、まず、スライダーを先端側に押して、矢尻フックを突出す。次に、導入管(コイルシース)をクリップケースの挿入孔に挿入する。挿入孔とクリップユニットは軸を合わせて位置決めされているため、矢尻フックとクリップユニットは導入管(コイルシース)を押込むだけで係合する。この状態で、スライダーを引くと、クリップユニットが引かれ、補助ケースに設けられた斜面部により締付リング(押え管)の係合手段(突起部)が押込まれ、クリップユニットが導入管(コイルシース)内にスムーズに収納できる。
(付記51)前記連結部材を樹脂製の弾性部材とし、前記操作部材先端に設けられたフックを金属製の非弾性部材としたことを特徴とする付記1に記載の生体組織のクリップ装置。
1回の使用で使い捨てるクリップユニットの連結材を耐久性の低い樹脂製の弾性部品とし、繰り返し使用するクリップ装置のフックを耐久性のある金属性の非弾性部品とすることで、装置の耐久性を高くすることができる。