JP2007222599A - X線ct装置、コンピュータプログラム及びファントム保持具 - Google Patents

X線ct装置、コンピュータプログラム及びファントム保持具 Download PDF

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Abstract

【課題】作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントムの位置合わせを行うことが可能なX線CT装置を提供する。
【解決手段】円筒形のファントム100が設置される天板31と、X線ビームを発生するX線管22と、天板31に設置されたファントム100を透過したX線ビームを検出するX線検出器23と、X線管22及びX線検出器23を回転させる支持体駆動部25と、X線検出器23により検出されたX線ビームに基づいてファントム100の断層像データを生成する断層像データ生成部60と、その断層像データに基づいて、支持体駆動部25による回転の中心(スキャン中心)に対するファントム100の円筒軸Jの変位と、当該回転の回転面の法線方向(スライス方向)に対する円筒軸Jの傾斜角度とを算出する算出処理部80と、その算出結果を表示するモニタ5とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、X線CT装置、コンピュータプログラム及びファントム保持具に関し、より詳細には、X線CT装置用のファントムの位置合わせを行うための技術に関するものである。
X線CT装置は、X線源にてX線ビームを発生し、寝台上の被検体を透過したX線ビームをX線検出器により検出してX線投影データとし、このX線投影データに対して再構成処理を施すことにより被検体の内部形態を表す2次元の断層像データを生成する装置である。また、いわゆるヘリカルスキャンが可能なX線CT装置においては、被検体の体軸方向(スライス方向)に寝台を移動させながら回転架台(ガントリ)内のX線源及びX線検出器を回転させてスキャンを行うことにより、1度のスキャンで複数の断層像データを再構成することができる。
高精度の断層像データを取得するためには、X線CT装置のキャリブレーションを行って装置性能を維持する必要がある。そのため、装置出荷時や搬入時、更には、装置の稼動開始後においてもたとえば定期的に、装置の性能評価を行って装置の調整を実施する必要がある。なお、評価項目としては、ノイズ、コントラストスケール、空間分解能、スライス厚、高コントラスト分解能、低コントラスト分解能などがある。
X線CT装置の性能評価は、実際の人体の代わりに、人体を模したファントムと呼ばれる疑似的な物体を用いて行われる。図16はファントムの一例を表す。図16(A)は、ファントム100の外観を表す。ファントム100は円筒状のケース101を備えている。このケース101の円筒軸を符号Jで表す。ここで、円筒軸とは、円筒状の物体(ケース101)の回転対称軸を意味する。
図16(B)は、任意のスライス位置(両端部近傍は除く。)におけるファントム100の断面110を表す。ファントム100のケース101は中空に形成されている。その中空部には、たとえば水などの充填物102が充填されている。
このような円筒状のファントム100を用いた性能評価の精度を確保するには、ファントム100を好適な設置位置に配置させなければならない。そのためには、ファントム100の円筒軸Jをスライス方向に一致させる必要がある。また、円筒軸Jをスキャン中心(X線源及びX線検出器の回転中心)上に配置させ、ファントム100を検査領域の中心に配置させてやる必要がある。
このファントム100の設置作業は、従来は次のようにして行われていた。まず、ファントム100を寝台に設置して断層像データを再構成する。作業者は、この断層像データの表示画像(断層像)を観察しつつ、ファントム100の輪郭、つまりケース101が明瞭に表示されるようにウィンドウ幅やウィンドウレベルを調整する。次に、十字スケール(表示画面の中心の十字の交差位置がスキャン中心を示す。)を断層像に重ねて表示させる。作業者は、この断層像に示すケース101の中心位置が、十字スケールの交差位置からどの方向にどれだけ変位しているか目分量で特定する。そして、ファントム100の設置位置を移動させるとともに、再度断層像を観察して移動後の位置を確認する。このような一連の作業を繰り返して、ファントム100を目的の位置に設置する。
特許文献1には、ファントムが好適に設置されているか確認するために、その取り付け姿勢を検出する方法が開示されている。当該文献に記載の検出方法は、X線撮像系の回転中心(スキャン中心)軸上に取り付けたファントムを水平方向のビュー角で体軸方向にスキャンし、それにより得られた各投影データと所定閾値とを比較して2次元投影画像領域におけるファントムの輪郭形状を抽出し、その抽出した輪郭形状に基づきファントムの垂直方向からの傾きを検出するものである。すなわち、ファントムの側面像(スキャノ像)の傾きを検出することにより、その取り付け姿勢を検出するものである。
特開2001−314397号公報
従来のファントム設置方法では、ファントムの移動量の特定を作業者の目視によって行っていたために、上述の一連の作業を一回行っただけでファントムを目的の位置に設置させることは困難であり、この一連の作業を何度も繰り返していたのが通常であった。そのため、ファントム設置作業が長時間化し、作業者に対する負担も大きかった。
また、ファントムを目的の位置に設置させるには、ファントムの位置を2次元的に移動させる必要があるため、熟練した作業者であれば比較的速やかに移動方向及び移動量を把握できるが、そうでない作業者にとっては当該作業は困難なものであった。なお、このような作業は作業者のセンスにも依存するため、経験を積んでもなかなか上達しない作業者もいた。
一方、特許文献1に開示された発明では、ファントム(の円筒軸)がスキャン中心上に配置されていることを前提として姿勢検出を行っている。したがって、当該方法を用いる場合には、ファントムの円筒軸をスキャン中心に一致させる作業を事前に手作業で行わなければならず、それには時間も労力も必要となる。また、この従来の発明では、ファントムがスキャン中心上に配置されているか否か確認することができないという問題もある。
更に、特許文献1の発明では、ファントムを側面からスキャンした結果のみを用いていることから、垂直方向に対する傾きしか検出できない。実際の取り付け作業においてはファントムが水平方向に傾く場合もあるが、この従来の発明では対処することができない。
本発明は、以上のような問題を解決するためのもので、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントムの位置合わせを行うことが可能な技術を提供することを目的としている。
また、本発明は、ファントムの位置合わせを高い精度で行うことが可能であり、かつ、位置合わせの操作の容易化を図ることが可能な技術を提供することを他の目的とするものである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する算出手段と、前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記ファントムの位置合わせのための情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とするX線CT装置である。
また、請求項2に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する算出手段と、前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記天板を移動させる天板駆動手段と、を備えることを特徴とするX線CT装置である。
また、請求項3に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムを天板上に保持するファントム保持手段と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記保持されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する算出手段と、前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記保持されたファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記ファントムを移動させるファントム駆動手段と、を備えることを特徴とするX線CT装置である。
また、請求項8に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する算出手段と、前記算出された傾斜角度に基づいて、前記ファントムの位置合わせのための情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とするX線CT装置である。
また、請求項9に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する算出手段と、前記算出された傾斜角度に基づいて、前記回転面の法線方向を前記ファントムの円筒軸に合わせるように、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を一体的に傾斜させる傾斜駆動手段と、を備えることを特徴とするX線CT装置。
また、請求項10に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムを天板に保持するファントム保持手段と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記保持されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する算出手段と、前記算出された傾斜角度に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転面の法線方向に合わせるように、前記ファントムを傾斜させるファントム傾斜駆動手段と、を備えることを特徴とするX線CT装置である。
また、請求項16に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、前記回転駆動手段による前記回転の中心の座標をあらかじめ記憶する記憶手段と、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、前記生成された断層像データから、前記ファントムの前記筐体に相当する部分断層像データを抽出する抽出手段と、前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる3点を通過する円の中心の座標を算出する円中心算出手段と、前記算出された前記円の中心の座標と、前記記憶された前記回転の中心の座標とに基づいて、前記回転の中心に対する前記ファントムの円筒軸の変位を算出する第1の変位算出手段と、前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる複数の点の円に対する誤差を算出する誤差算出手段と、前記算出された誤差が所定値を超えるか否か判断する判断手段と、前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる4点を通過する楕円の中心の座標を算出する楕円中心算出手段と、前記算出された前記楕円の中心の座標と、前記記憶された前記回転の中心の座標とに基づいて、前記回転の中心に対する前記ファントムの円筒軸の変位を算出する第2の変位算出手段と、前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記楕円の水平方向の半径及び垂直方向の半径をそれぞれ算出する半径算出手段と、前記算出された前記水平方向及び垂直方向の半径に基づいて、前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する傾斜角度算出手段と、前記判断手段により前記誤差が前記所定値を超えないと判断されたときに、前記第1の変位算出手段により算出された前記変位を表示し、前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記第2の変位算出手段により算出された前記変位と、前記傾斜角度算出手段により算出された前記傾斜角度とを表示する表示手段と、を有することを特徴とするX線CT装置である。
また、請求項17に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、前記回転駆動手段による前記回転の中心の座標をあらかじめ記憶する記憶手段と、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、前記生成された断層像データから、前記ファントムの前記筐体に相当する部分断層像データを抽出する抽出手段と、前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる3点を通過する円の中心の座標を算出する円中心算出手段と、前記算出された前記円の中心の座標と、前記記憶された前記回転の中心の座標とに基づいて、前記回転の中心に対する前記ファントムの円筒軸の変位を算出する第1の変位算出手段と、前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる複数の点の円に対する誤差を算出する誤差算出手段と、前記算出された誤差が所定値を超えるか否か判断する判断手段と、前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる4点を通過する楕円の中心の座標を算出する楕円中心算出手段と、前記算出された前記楕円の中心の座標と、前記記憶された前記回転の中心の座標とに基づいて、前記回転の中心に対する前記ファントムの円筒軸の変位を算出する第2の変位算出手段と、前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記楕円の水平方向の半径及び垂直方向の半径をそれぞれ算出する半径算出手段と、前記算出された前記水平方向及び垂直方向の半径に基づいて、前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する傾斜角度算出手段と、前記算出された傾斜角度に基づいて、前記回転面の法線方向を前記ファントムの円筒軸に合わせるように、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を一体的に傾斜させる傾斜駆動手段と、前記判断手段により前記誤差が前記所定値を超えないと判断されたときに、前記第1の変位算出手段により算出された前記変位に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記天板を移動させ、前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記第2の変位算出手段により算出された前記変位に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記天板を移動させる天板駆動手段と、を備えることを特徴とするX線CT装置である。
また、請求項20に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、表示手段とを備えるX線CT装置に、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する機能と、前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記ファントムの位置合わせのための情報を前記表示手段に表示させる機能と、を実行させるコンピュータプログラムである。
また、請求項21に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段とを備えるX線CT装置に、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する機能と、前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記天板を移動させる機能と、を実行させるコンピュータプログラムである。
また、請求項22に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムを天板上に保持するファントム保持手段と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記保持されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段とを備えるX線CT装置に、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する機能と、前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記保持されたファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記ファントムを移動させる機能と、を実行させるプログラムである。
また、請求項23に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、表示手段とを備えるX線CT装置に、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する機能と、前記算出された傾斜角度に基づいて、前記ファントムの位置合わせのための情報を前記表示手段に表示させる機能と、を実行させるコンピュータプログラムである。
また、請求項24に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段とを備えるX線CT装置に、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する機能と、前記算出された傾斜角度に基づいて、前記回転面の法線方向を前記ファントムの円筒軸に合わせるように前記X線発生手段及び前記X線検出手段を一体的に傾斜させる機能と、を実行させるコンピュータプログラムである。
また、請求項25に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムを天板に保持するファントム保持手段と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記保持されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段とを備えるX線CT装置に、前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する機能と、前記算出された傾斜角度に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転面の法線方向に合わせるように、前記ファントムを傾斜させる機能と、を実行させるプログラムである。
また、請求項26に記載の発明は、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムをX線CT装置の寝台装置の天板上に保持するファントム保持具であって、前記X線CT装置の制御手段により制御され、前記天板上に保持された状態の前記ファントムを、鉛直方向及び/又は水平方向に移動させるファントム駆動手段を備える、ことを特徴とする。
また、請求項27に記載の発明は、X線ビームを発生するX線発生手段と前記発生されたX線ビームを検出するX線検出手段とを回転させつつデータを収集し、前記収集されたデータに基づいて断層像データを生成するX線CT装置の寝台装置の天板上に、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムを保持するファントム保持具であって、前記X線CT装置の制御手段により制御され、前記天板上に保持された前記ファントムを、前記X線発生手段及び前記X線検出手段の回転面の法線方向を基準とする傾斜方向に傾斜させるファントム傾斜駆動手段を備える、ことを特徴とするファントム保持具である。
請求項1又は請求項20に記載の発明によれば、寝台の天板に設置されたファントムの位置合わせを行うときに、X線検出手段により検出されたX線ビームに基づいて、ファントムの断層像データを生成し、生成された断層像データに基づいて、回転駆動手段によるX線発生手段及びX線検出手段の回転の中心(スキャン中心)に対するファントムの変位に関する情報を算出し、算出された変位に関する情報に基づいてファントムの位置合わせのための情報を表示手段に表示させるように機能するX線CT装置を提供できるので、作業者は、スキャン中心に対するファントムの円筒軸の変位(ズレ)に基づく位置合わせのための情報を容易に取得することができる。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントムの円筒軸をスキャン中心に位置合わせすることが可能となる。
請求項2又は請求項21に記載の発明によれば、寝台の天板に設置されたファントムの位置合わせを行うときに、X線検出手段により検出されたX線ビームに基づいて、ファントムの断層像データを生成し、生成された断層像データに基づいて、回転駆動手段によるX線発生手段及びX線検出手段の回転の中心(スキャン中心)に対するファントムの変位に関する情報を算出し、算出された変位に関する情報に基づいて、ファントムの円筒軸をスキャン中心に合わせるように天板を移動させるように機能するX線CT装置を提供できるので、ファントムの円筒軸をスキャン中心に合わせる作業を手作業で行う必要がなくなる。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントムの位置合わせを行うことが可能となる。
請求項3又は請求項22に記載の発明によれば、寝台の天板に設置されたファントムの位置合わせを行うときに、X線検出手段により検出されたX線ビームに基づいて、ファントムの断層像データを生成し、生成された断層像データに基づいて、回転駆動手段による回転の中心(スキャン中心)に対するファントムの変位に関する情報を算出し、算出された変位に関する情報に基づいて、ファントムの円筒軸をスキャン中心に合わせるようにファントムを移動させるように機能するX線CT装置を提供できるので、ファントムの円筒軸をスキャン中心に合わせる作業を手作業で行う必要がなくなる。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントムの位置合わせを行うことが可能となる。
請求項8又は請求項23に記載の発明によれば、寝台の天板に設置されたファントムの位置合わせを行うときに、X線検出手段により検出されたX線ビームに基づいて、ファントムの断層像データを生成し、生成された断層像データに基づいて、回転駆動手段によるX線発生手段及びX線検出手段の回転の回転面の法線方向(スライス方向)に対するファントムの円筒軸の傾斜角度を算出し、算出された傾斜角度に基づいてファントムの位置合わせのための情報を表示手段に表示させるように機能するX線CT装置を提供できるので、作業者は、スライス方向に対するファントムの傾斜状態に基づく位置合わせのための情報を容易に取得することができる。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントムの傾斜状態の修正を行うことが可能となる。
請求項9又は請求項24に記載の発明によれば、寝台の天板に設置されたファントムの位置合わせを行うときに、X線検出手段により検出されたX線ビームに基づいて、ファントムの断層像データを生成し、生成された断層像データに基づいて、回転駆動手段によるX線発生手段及びX線検出手段の回転の回転面の法線方向(スライス方向)に対するファントムの円筒軸の傾斜角度を算出し、算出された傾斜角度に基づいて、スライス方向をファントムの円筒軸に合わせるようにX線発生手段及びX線検出手段を一体的に傾斜させるように機能するX線CT装置を提供できるので、ファントムの傾斜状態の修正を手作業で行う必要がなくなる。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントムの位置合わせを行うことが可能となる。
請求項10又は請求項25に記載の発明によれば、寝台の天板に設置されたファントムの位置合わせを行うときに、X線検出手段により検出されたX線ビームに基づいて、ファントムの断層像データを生成し、生成された断層像データに基づいて、回転駆動手段による回転の回転面の法線方向(スライス方向)に対するファントムの円筒軸の傾斜角度を算出し、算出された傾斜角度に基づいて、ファントムの円筒軸をスライス方向に合わせるようにファントムを傾斜させるように機能するX線CT装置を提供できるので、ファントムの傾斜状態の修正を手作業で行う必要がなくなる。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントムの位置合わせを行うことが可能となる。
請求項16に記載の発明によれば、寝台の天板に設置されたファントムの位置合わせを行うときに、X線検出手段により検出されたX線ビームに基づいて、ファントムの断層像データを生成し、生成された断層像データから、ファントムの筐体に相当する部分断層像データを抽出し、抽出された部分断層像データにおける異なる2以上の点を通過する円の中心の座標を算出し、算出された円の中心の座標と、記憶手段にあらかじめ記憶されたX線発生手段及びX線検出手段の回転の中心(スキャン中心)の座標とに基づいて、スキャン中心に対するファントムの円筒軸の変位を算出するとともに、抽出された部分断層像データにおける異なる複数の点の円に対する誤差を算出し、算出された誤差が所定値を超えるか否か判断し、誤差が所定値を超えないと判断されたときには、上記算出されたスキャン中心に対するファントムの円筒軸の変位を表示するように機能するX線CT装置を提供することができる。更に、このX線CT装置は、誤差が所定値を超えると判断されたときには、上記抽出された部分断層像データにおける異なる2以上の点を通過する楕円の中心の座標を算出し、算出された楕円の中心の座標と、上記記憶されたスキャン中心の座標とに基づいて、スキャン中心に対するファントムの円筒軸の変位を算出するとともに、楕円の水平方向の半径及び垂直方向の半径をそれぞれ算出し、算出された水平方向及び垂直方向の半径に基づいて、上記回転の回転面の法線方向(スライス方向)に対するファントムの円筒軸の傾斜角度を算出し、算出されたファントムの円筒軸の変位と傾斜角度とを表示手段に表示させるように機能する。それにより、上記誤差が所定値を超えないと判断された場合、すなわち、ファントムのスライス方向に対する傾斜角度が小さい場合には、前段の処理にて精度よく取得されたスキャン中心に対するファントムの円筒軸の変位が表示され、ファントムの傾斜角度が大きい場合には、後段の処理を実行してファントム傾斜角度及び円筒軸の変位が算出され表示されることとなる。したがって、いずれの場合においても、作業者は、ファントムの配置状態を高精度で取得することができるので、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントムの位置合わせを行うことが可能となる。
請求項17に記載の発明によれば、寝台の天板に設置されたファントムの位置合わせを行うときに、X線検出手段により検出されたX線ビームに基づいて、ファントムの断層像データを生成し、生成された断層像データから、ファントムの筐体に相当する部分断層像データを抽出し、抽出された部分断層像データにおける異なる2以上の点を通過する円の中心の座標を算出し、算出された円の中心の座標と、記憶手段にあらかじめ記憶されたX線発生手段及びX線検出手段の回転の中心(スキャン中心)の座標とに基づいて、スキャン中心に対するファントムの円筒軸の変位を算出するとともに、抽出された部分断層像データにおける異なる複数の点の円に対する誤差を算出し、算出された誤差が所定値を超えるか否か判断し、誤差が所定値を超えないと判断されたときには、上記算出されたスキャン中心に対するファントムの円筒軸の変位に基づいて、ファントムの円筒軸をスキャン中心に合わせるように天板を移動させるよう機能するX線CT装置を提供することができる。更に、このX線CT装置は、誤差が所定値を超えると判断されたときには、上記抽出された部分断層像データにおける異なる2以上の点を通過する楕円の中心の座標を算出し、算出された楕円の中心の座標と、上記記憶されたスキャン中心の座標とに基づいて、スキャン中心に対するファントムの円筒軸の変位を算出するとともに、楕円の水平方向の半径及び垂直方向の半径をそれぞれ算出し、算出された水平方向及び垂直方向の半径に基づいて、上記回転の回転面の法線方向(スライス方向)に対するファントムの円筒軸の傾斜角度を算出し、算出された傾斜角度に基づいて、スライス方向をファントムの円筒軸に合わせるようにX線発生手段及びX線検出手段を一体的に傾斜させるとともに、上記算出されたスキャン中心に対するファントムの円筒軸の変位に基づいて、ファントムの円筒軸をスキャン中心に合わせるように天板を移動させるように機能する。それにより、上記誤差が所定値を超えないと判断された場合、すなわち、ファントムのスライス方向に対する傾斜角度が小さい場合には、前段の処理により、スキャン中心に対するファントムの円筒軸の位置合わせを精度よく自動的に行うことができ、ファントムの傾斜角度が大きい場合においても、後段の処理により、スキャン中心に対するファントムの円筒軸の位置合わせ及び傾斜角度の修正を精度よく自動的に行うことができる。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントムの位置合わせを行うことが可能となる。
請求項26に記載の発明によれば、X線CT装置の制御手段により制御され、寝台の天板上に保持されたファントムを鉛直方向及び/又は水平方向に移動させるファントム保持具を提供することができる。このようなファントム保持具によれば、天板を移動させる場合と比較してファントムの位置合わせを高い精度で行うことができる。また、制御手段による制御によってファントムの位置合わせを行うようになっているので、位置合わせのための操作を容易化することが可能である。
請求項27に記載の発明によれば、X線CT装置の制御手段により制御され、天板上に保持されたファントムを、X線発生手段及びX線検出手段の回転面の法線方向を基準とする傾斜方向に傾斜させるファントム保持具を提供することができる。このようなファントム保持具によれば、X線発生手段及びX線検出手段(ガントリ)を傾斜させる場合と比較してファントムの位置合わせを高い精度で行うことができる。また、制御手段による制御によってファントムの位置合わせを行うようになっているので、位置合わせのための操作を容易化することが可能である。
本発明に係るX線CT装置、コンピュータプログラム及びファントム保持具の好適な実施形態の一例について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。
以下、本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態〜第3の実施形態についてそれぞれ説明する。第1の実施形態においては、ファントムの設置状態を算出し、その算出結果を表示するよう構成されたX線CT装置について説明する。また、第2の実施形態においては、ファントムの設置状態を算出し、その算出結果に基づいて寝台やガントリを制御してファントムの設置状態を自動修正するよう構成されたX線CT装置について説明する。また、第3の実施形態においては、ファントムの設置状態を算出し、その算出結果に基づいてファントムを移動させるよう構成されたX線CT装置及びファントム保持具について説明する。その後、このような処理をX線CT装置に実行させるコンピュータプログラムに関する説明を行う。
〈第1の実施形態〉
[装置の全体構成]
図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係るX線CT装置の全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係るX線CT装置1の外観構成を表している。また、図2は、このX線CT装置1の内部構成を表している。本実施形態に係るX線CT装置1は、従来と同様に、ガントリ2、寝台3、コンピュータ装置4、モニタ5及び入力デバイス6を含んで構成される。
モニタ5及び入力デバイス6は、X線CT装置1のコンソール7として使用される(図2参照)。モニタ5は、本発明の「表示手段」の一例に相当し、LCDやCRT等の任意のディスプレイ機器により構成される。入力デバイス6は、キーボード、マウス、トラックボール、コントロールパネル、タッチパネル等の任意の入力機器によって構成される。
ガントリ2は、図2に示すように回動可能な支持体21を内蔵している。この支持体21には、本発明の「X線発生手段」の一例に相当するX線管22と、本発明の「X線検出手段」の一例に相当するX線検出器23とが支持されている。X線管22は、高電圧発生部24によって印加される所定の管電圧と管電流に基づいてX線を発生し、ガントリ2の開口部2A内に配置される被検体Pに向けてこのX線のファンビームやコーンビームを照射する。X線検出器23は、X線管22に対向する位置に支持されており、被検体Pを透過したX線ビームの線量を検出する複数のX線検出素子をアレイ状に配列した構成とされている。
支持体21は、支持体駆動部25により開口部2A周りに回転される。X線管22とX線検出器23は、支持体21の回転に伴って回転されて被検体Pをスキャンし、それにより、被検体Pを透過したX線ビームのX線量を様々な方向から検出するようになっている。X線検出器23によって検出された透過X線量のデータ(検出信号)は、データ収集部26に送られる。
データ収集部26は、いわゆるDAS(Data Acquisition System)と呼ばれるもので、X線検出器23の各X線検出素子と同様にアレイ状に配列されたデータ収集素子を有しており、X線検出器23が検出した透過X線量のデータ(検出信号)を収集する。データ収集部26は、収集したデータに対し増幅処理やA/D変換処理などを施してコンピュータ装置4に伝送する。
支持体駆動部25は、上述のように支持体21を回転させるだけでなく、支持体21を被検体Pに対して傾斜(チルト)させるようにも動作するようになっている。このように、支持体駆動部25は、本発明の「回転駆動手段」及び「傾斜駆動手段」のそれぞれの一例に相当するものである。なお、回転駆動手段と傾斜駆動手段とを個別に設けるようにしてもよい。
寝台3は、図1に示すように、被検体Pが載置される天板31と、この天板31を支持する寝台基部32とを備えている。寝台基部32には、天板31を前後方向(図1中の矢印方向;水平方向)、左右方向(前後方向に直交する水平方向)、上下方向(垂直方向)にそれぞれ移動させる天板駆動部33(図2参照)が設けられている。なお、上記の前後方向は、天板31上の被検体Pの体軸方向である。
コンピュータ装置4は、たとえば汎用のコンピュータによって構成され、CPUやMPU等のマイクロプロセッサ、RAMやROM等のメモリ、ハードディスクドライブ等の大容量記憶装置、他の機器(ガントリ2、寝台3、コンソール7、図示しないネットワーク上の他のコンピュータ装置など)との間でデータや信号の送受を行うためのインターフェイスなどを内蔵している。
このコンピュータ装置4には、X線CT装置1の各部の動作制御を行う装置制御部41と、ガントリ2により収集されたデータに基づく画像データの生成処理や各種の画像処理を施す画像処理部42とが設けられている。装置制御部41は、支持体駆動部25による支持体21の回転動作やチルト動作の制御、高電圧発生部24によるX線管22の動作制御、X線検出器23の動作制御、データ収集部26の動作制御、天板駆動部33による天板31の移動動作の制御などを実行する。画像処理部42の構成及び動作については以下に詳しく説明する。
[制御系の構成]
図3は、本実施形態に係るX線CT装置1の内部構成を表す。以下、同図を参照しつつ、X線CT装置1の制御系の構成、特にコンピュータ装置4の構成について詳細に説明する。なお、図3においては、図面の煩雑化を回避するために、コンピュータ装置4を示すブロックの描画を省略した。
〔装置制御部〕
コンピュータ装置4の装置制御部41は、コンピュータ装置4内蔵のCPU等のマイクロプロセッサにより構成される。このマイクロプロセッサは、コンピュータ装置4に内蔵のROMやハードディスクドライブ等の記憶装置に格納されたコンピュータプログラムをRAM上に展開して実行することにより、以下のような制御処理を行う。
この装置制御部41には、ガントリ2を制御するガントリ制御部51と、寝台3を制御する寝台制御部52と、モニタ5及び入力デバイス6(コンソール7)を制御するコンソール制御部53とが設けられている。
(ガントリ制御部)
ガントリ制御部51は、ガントリ2の各部の制御を司るものである。たとえば、ガントリ制御部51は、支持体駆動部25に対して制御信号を送信し、支持体21の回転動作やチルト動作の制御を行う。また、ガントリ制御部51は、高電圧発生部24に対して制御信号を送信し、X線管22によるX線ビーム発生動作の制御を行う。また、ガントリ制御部51は、X線検出器23の動作制御や、データ収集部26の動作制御なども行う。
(寝台制御部)
寝台制御部52は、寝台3の天板駆動部33に対して制御信号を送信し、天板31を前後方向、左右方向、上下方向にそれぞれ移動させる。
(コンソール制御部)
コンソール制御部53は、モニタ5に対して画像信号(たとえばカラー画像であればR、G、Bのビデオ信号)を送信し、目的の画像をモニタ5に表示させる。
また、コンソール制御部53は、入力デバイス6からの操作信号の入力を受けて、その操作信号が要求する動作を実行する。たとえば、ガントリ2をチルトさせるための操作がなされた場合、このチルト要求操作に対応する操作信号が入力デバイス6からコンソール制御部53に入力される。コンソール制御部53はこの操作信号をガントリ制御部51に送り、ガントリ制御部51はこの操作信号に基づいてガントリ2を要求された角度だけチルトさせる。また、寝台3の天板31を移動させるための操作がなされた場合、この天板移動要求操作に対応する操作信号が入力デバイス6からコンソール制御部53に入力される。コンソール制御部53はこの操作信号を寝台制御部52に送り、寝台制御部52はこの操作信号に基づいて天板31を移動させる。
〔画像処理部〕
コンピュータ装置4の画像処理部42は、装置制御部41と同様に、CPU等のマイクロプロセッサを含んで構成され、このマイクロプロセッサは、コンピュータ装置4内蔵の記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、以下のような処理を行う。また、画像処理部42は、処理に関わる各種データや再構成画像の画像データ(断層像データ)などを記憶するための記憶装置を含んでいる。
なお、コンピュータ装置4がLAN等のネットワークに接続されている場合には、このネットワーク上のサーバ等にコンピュータプログラムを格納しておくとともに、コンピュータ装置4は、このコンピュータプログラムをネットワーク経由で読み込んで実行するように構成することができる(つまり、クライアントサーバシステムとして構成することができる。)。
さて、画像処理部42には、断層像データ生成部60、画像記憶部71、データ記憶部72、算出処理部80及び誤差処理部90が設けられている。以下、これらについてそれぞれ説明する。
(断層像データ生成部)
断層像データ生成部60は、本発明の「断層像データ生成手段」の一例に相当するものであり、従来のX線CT装置と同様に、CPU等のマイクロプロセッサが実装された回路基板(再構成基板などと呼ばれる。)からなる前処理部61と画像再構成部62とを含んで構成されている。
前処理部61は、画像再構成処理に供される投影データの生成処理を行うものである。具体的には、ガントリ2のデータ収集部26から送られるデータに対して、データの対数計算、リファレンス補正、水補正、ビームハードニング補正、体動補正などの前処理と呼ばれる一連の処理を施す。
画像再構成部62は、前処理部61により生成された投影データに対して画像再構成法による処理を行って、被検体Pの断層像データを生成する。なお、使用される画像再構成法としては、コンボリューション・バックプロジェクション法、ファンビーム・コンボリューション・バックプロジェクション法、2次元フーリエ変換法などの公知の方法がある。
(画像記憶部)
画像記憶部71は、断層像データ生成部60により生成された断層像データを記憶するものであり、ハードディスクドライブ等の大容量の記憶装置を含んで構成される。
(データ記憶部)
データ記憶部72は、画像処理部42が行う処理において使用される各種のデータを記憶するものであり、ROMやハードディスクドライブ等の不揮発性の記憶装置を含んで構成される。データ記憶部72には、特に、回転中心情報73と誤差情報74とがあらかじめ記憶されている。このデータ記憶部72は、本発明の「記憶手段」の一例に相当するものである。
回転中心情報73は、ガントリ2によるX線ビームのスキャン中心の座標、すなわち、支持体駆動部25によるX線管22及びX線検出器23の回転の中心の座標を表す情報である。この回転中心情報73は、たとえばモニタ5における再構成画像の表示領域が512×512ピクセルであるとすると、スキャン中心の座標として(255、255)を含む情報である。このスキャン中心の座標は、あらかじめ設定されたものである。なお、再構成画像は、表示領域の中心位置にスキャン中心(O)が配置するようにしてモニタ5に表示される(図4〜図6参照。)。
誤差情報74は、誤差処理部90による処理において参照される情報であり、後述の誤差判断部92による判断の基準となる誤差の閾値を表す情報である。この誤差情報74については、誤差処理部90の説明にて詳述する。
なお、上述のクライアントサーバシステムを採用する場合、データ記憶部72の記憶内容をサーバ側に格納しておき、ネットワーク経由で適宜に読み出して参照するように構成してもよい。
(算出処理部)
算出処理部80は、本発明の「算出手段」の一例に相当するものであり、X線CT装置1の性能評価を行うためのプログラムを実行するCPU等のマイクロプロセッサを含んで構成される。X線CT装置1の性能評価には、前述したようなファントム100(図16参照)が使用される。ファントム100は、所定の取り付け器具を用いて、その円筒軸Jがスライス方向に沿うように姿勢を調整されて寝台3の天板31に取り付けられる。
算出処理部80は、筐体抽出部81、円中心算出部82、楕円中心算出部83、変位算出部84、半径算出部85及び傾斜角度算出部86を含んで構成される。
(筐体算出部)
筐体抽出部81は、本発明の「抽出手段」の一例に相当し、断層像データ生成部60により生成されたファントム100の再構成画像の画像データ(断層像データ)を解析して、ファントム100のケース101(筐体)に相当する部分の断層像データ(部分断層像データ)を抽出する処理を行う。筐体抽出部81は、たとえばファントム100の断層像データにおける各ピクセルのCT値を解析することによりケース101に相当する部分を抽出するようになっている。
図4は、筐体抽出部81による部分断層像データ抽出処理の一例を示している。なお、この図4及び後述の図5においては、スライス方向(Z方向)に沿ってファントム100が配置されているものと仮定して、その断層像を円形で示してある。なお、ファントム100がスライス方向に対して傾斜して配置されている場合については、図6を参照して後述する。
ファントム100の断層像データに基づく画像(断層像100A)は、図4(A)に示すように、ファントム100のケース101に相当する部分の断層像101Aと、ケース101内の充填物102に相当する部分の断層像102Aとを含んでいる。なお、ケース101の断層像101Aの周囲の背景領域は、天板31に設置されたファントム100の周囲の空気(Air)に相当する。
ファントム100(特にケース101)は、既知の素材により形成されている。ファントム100の断層像データにおけるケース101に相当する部分のCT値は、事前測定などによりあらかじめ取得することが可能である。また、充填物102に相当する部分のCT値についても、同様に事前取得が可能である。ここでは、ケース101に相当する断層像101AのCT値、つまり、断層像データのうちケース101に相当する部分断層像データのCT値を500とする。また、充填物102に相当する断層像102AのCT値を300とする。これらのCT値のデータは、たとえばデータ記憶部72にあらかじめ記憶されている。なお、充填物102の断層像102AのCT値については記憶しておかなくてもよい。
筐体抽出部81は、図4(A)のような断層像の断層像データの各ピクセルのCT値を参照して、ケース101に相当するCT値(=500)を有するピクセルを抽出する。それにより、図4(B)に示すように、ファントム100の断層像100A(断層像データ)から、ケース101に相当する部分の断層像(部分断層像データ)が抽出される。
なお、筐体抽出部81による処理結果をモニタ5に表示させる場合、抽出された部分断層像データに相当するピクセル以外のピクセルのCT値を0にして表示させる。このとき、たとえば、部分断層像データのうち、ケース101の外周面に相当する部分以外のピクセルのCT値を0にするようにしてもよい。それにより、ケース101(の外周面)に相当する部分の断層像が黒色の背景上に表示されることとなる。
(円中心算出部)
円中心算出部82は、本発明の「円中心算出手段」の一例に相当し、筐体抽出部81が抽出した部分断層像データ(ファントム100のケース101に相当する部分)における異なる3点を通過する円の中心の座標を算出する処理を行う。
円の中心座標算出に用いられる3点は、たとえばケース101の外周面に相当する部分から選択される。なお、ケース101の内周面に相当する部分などから選択してもよい。この3点の選択態様の一例を図5に示す。同図においては、ケース101の外周面の断層像101a上において、X座標が最小の点P1(x、y)と、X座標が最大の点P2(x、y)と、Y座標が最大の点P3(x、y)とが選択されている。なお、X座標はスライス方向(Z方向)に直交する水平方向の座標であり、Y座標は垂直方向の座標である。
点P1の探索処理は、たとえば、CT値=500(ケース101に対応するCT値)のピクセルのうちX座標が最小であるピクセルの座標を探索することで行うことができる。同様に、点P2の探索処理は、CT値=500のピクセルのうちX座標が最大であるピクセルの座標を探索することで行うことができ、点P3の探索処理は、CT値=500のピクセルのうちY座標が最大であるピクセルの座標を探索することで行うことができる。
なお、たとえばCT値=500のピクセルのうちY座標が最大のピクセルが複数ある場合は、ファントム100が+Y方向に大きくずれた位置に配置されていると思われるので、CT値=500でY座標が最小のピクセルを探索するように切り換えることができる。また、X座標が最大(最小)のピクセルが複数ある場合には、ファントム100がX方向に大きくずれていると考えられるので、X方向が最小(最大)のピクセルと、Y座標が最大のピクセル及び最小のピクセルとを探索するように切り換えることができる。
さて、ケース101の断層像101A上から選択された(つまり部分断層像データから選択された)3点P1、P2、P3が同一の円周上に存在するためには、次の条件を満たしている必要がある。
Figure 2007222599
また、この円の式を次の〔数2〕のように表すと、その中心Cの座標(x、y)及び半径rは〔数3〕のように表される。また、〔数3〕の計算式に用いられる〔数2〕の式の係数a、d、e、fは〔数4〕の各式により与えられる。
Figure 2007222599
Figure 2007222599
Figure 2007222599
円中心算出部82は、筐体抽出部81が抽出した部分断層像データから3点P1(x、y)、P2(x、y)、P3(x、y)を選択する。そして、これら3点P1(x、y)、P2(x、y)、P3(x、y)の座標値を〔数4〕の各式に適用して〔数2〕の式の係数a、d、e、fの値をそれぞれ算出し、その係数の値を〔数3〕の第1の式及び第2の式に代入して中心Cの座標(x、y)を算出する。
(楕円中心算出部)
楕円中心算出部83は、本発明の「楕円中心算出手段」の一例に相当するもので、後述の[動作]の項にて説明するようにファントム100がスライス方向(Z方向)に対し傾斜して配置されている場合に動作して、筐体抽出部81が抽出した部分断層像データにおける異なる4点を通過する楕円の中心の座標を算出する処理を行う。ここで、楕円の中心とは、楕円の2つの焦点の中点、換言すると、楕円の長軸と短軸との交点を意味する。
ファントム100がスライス方向に対して傾斜して配置されていると、ケース101に相当する部分(部分断層像データ)の断面像は楕円形状になる(図6の断面像101b参照)。なお、ファントム100が傾斜しているか否かの判断は、後述の誤差処理部90が行う。
楕円の中心座標算出に用いられる4点は、たとえばケース101の外周面に相当する部分から選択される(内周面に相当する部分などでもよい。)。この4点の選択態様の一例を図6に示す。同図は、スライス方向(Z方向)に対して垂直方向(Y方向)に傾斜して配置されたファントム100の断層像100Bにおける、ケース101の外周面の楕円形状の断層像101bが示されている。本実施形態では、この外周面の断層像101b上におけるX座標が最小の点Q1(ξ、η)と、X座標が最大の点Q2(ξ、η)と、Y座標が最小の点Q3(ξ、η)と、Y座標が最大の点Q4(ξ、η)とを選択するものとする。
これらの4点Q1、Q2、Q3、Q4が同一の楕円上に存在するためには、次の条件を満たしている必要がある。
Figure 2007222599
また、この楕円の式を次の〔数6〕のように表すと、その式の係数は〔数7〕の各式により与えられる。また、この楕円の中心Kの座標(ξ、η)、X方向の半径r、Y方向の半径rは、それぞれ〔数8〕のように表される。
Figure 2007222599
Figure 2007222599
Figure 2007222599
楕円中心算出部83は、筐体抽出部81が抽出した部分断層像データから4点Q1(ξ、η)、Q2(ξ、η)、Q3(ξ、η)、Q4(ξ、η)を選択する。そして、これら4点Q1(ξ、η)、Q2(ξ、η)、Q3(ξ、η)、Q4(ξ、η)の座標値を〔数7〕の各式に適用して〔数6〕の式の係数A、C、D、E、Fの値をそれぞれ算出し、その係数の値を〔数8〕の第2の式及び第3の式に代入して中心Kの座標(ξ、η)を算出する。
(変位算出部)
変位算出部84は、本発明の「変位算出手段」、「第1の変位算出手段」及び「第2の変位算出手段」の一例に相当する。変位算出部84は、円中心算出部82による算出結果又は楕円中心算出部83による算出結果に基づいて、スキャン中心O(X線管22及びX線検出器23の回転中心)に対するファントム100の円筒軸Jの変位を算出する処理を行う。
円中心算出部82による算出結果に基づく変位算出処理について説明する。円算出部82は、前述のように、筐体抽出部81が抽出した部分断層像データから3点P1、P2、P3を選択し、これら3点P1、P2、P3を通過する円の中心Cの座標を算出する(図4及び図5参照。)。変位算出部84は、この算出された円の中心Cの座標と、データ記憶部72に記憶された回転中心情報73とに基づいて、スキャン中心Oに対するファントム100の円筒軸Jの変位(Δx、Δy)を算出する。
具体的には、算出された円の中心Cの座標を(x、y)とし、回転中心情報73に示すスキャン中心Oの座標を(255、255)とすると、変位算出部84は、スキャン中心Oに対する中心CのX方向の変位x−255とY方向の変位y−255とを求める。スライス方向(Z方向)に対するファントム100の円筒軸Jの傾斜が無視できる程度に微小であれば、ケース101の断層像101Aはほぼ円形となり、したがって、スキャン中心Oに対するファントム100の円筒軸Jの変位(Δx、Δy)は、上記算出結果(x−255、y−255)にほぼ等しくなる。なお、ファントム100の傾斜が無視できる程度であるか否かは、ファントム100の傾斜が無視できる程度であるか否かと同義であり、後述の誤差処理部90によって判断される。
楕円中心算出部83による算出結果に基づく変位算出処理について説明する。楕円算出部83は、前述のように、筐体抽出部81が抽出した部分断層像データから4点Q1、Q2、Q3、Q4を選択し、これら4点Q1、Q2、Q3、Q4を通過する楕円の中心Kの座標を算出する(図6参照。)。変位算出部84は、この算出された楕円の中心Kの座標と、回転中心情報73とに基づいて、スキャン中心Oに対するファントム100の円筒軸Jの変位(Δξ、Δη)を算出する。
具体的には、算出された楕円の中心Kの座標を(ξ、η)とし、回転中心情報73に示すスキャン中心Oの座標を(255、255)とすると、変位算出部84は、スキャン中心Oに対する中心KのX方向の変位ξ−255とY方向の変位ξ−255とを求める。
(半径算出部)
半径算出部85は、本発明の「半径算出手段」の一例に相当し、楕円中心算出部83と同様にファントム100がスライス方向(Z方向)に対し傾斜して配置されている場合に動作して、筐体抽出部81が抽出した部分断層像データにおける異なる4点を通過する楕円の水平方向(X方向)の半径及び垂直方向(Y方向)の半径をそれぞれ算出する処理を行う。なお、ファントム100が傾斜しているか否かの判断は、後述の誤差処理部90により行われる。
この半径算出部85は、前述の〔数7〕の各式により得られる係数A、C、D、E、Fを〔数8〕の第4の式に代入することにより、上記楕円のX方向の半径rを算出する。また、これら係数A、C、D、E、Fを〔式8〕の第5の式に代入することにより、上記楕円のY方向の半径rを算出する。
(傾斜角度算出部)
傾斜角度算出部86は、本発明の「傾斜角度算出手段」の一例に相当し、半径算出部85により算出された楕円の水平方向(X方向)の半径r及び垂直方向(Y方向)の半径rに基づいて、スライス方向(Z方向)に対するファントム100の円筒軸Jの傾斜角度を算出する処理を行う。
なお、スライス方向(Z方向)は、支持体駆動部25により支持体21とともに回転されるX線管22及びX線検出器23の回転面(スキャン面)の法線方向に一致する。すなわち、支持体21は、支持体駆動部25により所定の平面(回転面)内において回転するように駆動されるが、スライス方向は、この所定の平面の法線方向、つまり支持体21の回転軸方向に平行な方向とされる。
スライス方向に対するファントム100の円筒軸Jの傾斜角度Δθは、次式によって求められる。
Figure 2007222599
傾斜角度算出部86は、半径算出部85が算出した楕円の半径r、rを、この〔数9〕に代入することにより、スライス方向に対するファントム100の円筒軸Jの傾斜角度Δθを求める。
(誤差処理部)
誤差処理部90は、円中心算出部82により考慮されるケース101の断層像101A(外周面の断層像101a)の円に対する誤差に関する処理、及び、楕円中心算出部83により考慮されるケース101の断層像(外周面の断層像101b)の楕円に対する誤差に関する処理を行う。この誤差処理部90には、以下のような誤差算出部91と誤差判断部92が設けられている。
(誤差算出部)
誤差算出部91は、本発明の「誤差算出手段」の一例に相当する。誤差算出部91は、その第1の処理として、筐体抽出部81により抽出された部分断層像データ(ファントム100のケース101の断層像101Aの画像データ)上の複数の点を選択し、円中心算出部82の処理にて考慮された円(〔数2〕参照)に対する、当該複数の点の誤差を算出する処理を行う。この誤差としては、たとえば次式に示す誤差平均を用いる。
Figure 2007222599
ここで、xは円の中心CのX座標、yは中心CのY座標、rは円の半径を示す(〔数3〕参照)。また、Nは、誤差平均の算出における部分断層像データ上のサンプル数(つまり、上記の複数の点)であり、たとえば10〜100個程度とされる。
誤差平均の算出に供されるサンプル(複数の点)の選択は、適宜に実行される。たとえば、部分断層像データを形成する全てのピクセル(全ての点)を用いて誤差平均を算出してもよい。また、部分断層像を形成するピクセルをたとえば5ピクセルおきに選択し、選択された複数のピクセルを誤差平均の算出に供するようにしてもよい。一般に、誤差平均の算出精度などを重視する場合にはなるべく多数のサンプルを選択するようにし、算出処理の処理時間やCPUリソースなどを重視する場合には比較的に少ない数のサンプルを選択するようにする。
図4、5に示したケース101の断層像101A(外周面の断層像101a)は、たとえばファントム100が傾斜配置されている場合などには、円にはならない。〔数10〕の誤差平均は、この断層像101A(101a)が、円からどれだけずれているかを表す指標である。
一方、誤差算出部91は、その第2の処理として、筐体抽出部81により抽出された部分断層像データ上の複数の点を選択し、楕円中心算出部83の処理にて考慮された楕円(〔数8〕参照)に対する、当該複数の点の誤差を算出する処理を行う。この誤差としては、たとえば次式に示す誤差平均を用いる。
Figure 2007222599
ここで、ξは楕円の中心KのX座標、ηは中心KのY座標、rは楕円のX方向の半径、rは楕円のY方向の半径を示す(〔数8〕参照)。また、Nは、〔数10〕の場合と同様に、誤差平均の算出における部分断層像データ上のサンプル数(つまり、上記の複数の点)である。
〔数11〕の誤差平均は、図6に示したケース101の外周面の断層像101bが、楕円中心算出部83の処理にて考慮された楕円からどれだけずれているかを表す指標である。
(誤差判断部)
誤差判断部92は、本発明の「判断手段」の一例に相当し、誤差算出部91が算出した誤差(誤差平均)が所定値を超えるか否か判断する処理を行う。本実施形態における「所定値」は、〔数10〕、〔数11〕に示す誤差平均の閾値であり、たとえば「閾値=1.0」とされている。この閾値は、データ記憶部72の誤差情報74に含まれるデータである。誤差判断部92は、誤差算出部91により算出された誤差平均の値と誤差情報74に示す閾値(=1.0)とを比較して、閾値に対する誤差平均の大小を判断する。
[動作]
以上のような構成の本実施形態に係るX線CT装置1の動作について、図7のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、同図におけるX線CT装置1の各部の動作は、装置制御部41の制御に基づいて実行される。
最初に、作業者は、ファントム100を寝台3の天板31に取り付ける(S1)。このファントム100の取り付け作業は、ファントム100の円筒軸Jをスキャン中心に合わせるように、かつ、円筒軸Jをスライス方向(Z方向)に合わせるように配慮しながら行うことが望ましい。
次に、X線CT装置1を動作させてファントム100の断層像データを生成する(S2)。具体的には、ガントリ2が、ファントム100を透過したX線量のデータを収集してコンピュータ装置4に送り、コンピュータ装置4の断層像データ生成部60が通常の要領でファントム100の断層像データを生成する。生成された断層像データは、画像記憶部71に格納される。なお、この断層像データに基づく画像(再構成画像)は、図4(A)に示すようなファントム100の断層像である。
算出処理部80による処理に移行する。まず、筐体抽出部81が、画像記憶部71から断層像データを読み出してそれを解析し、ファントム100のケース101に相当する部分の断層像データ(部分断層像データ)を抽出する(S3)。抽出された部分断層像データに基づく画像は、図4(B)に示すようなファントム100のケースの断層像である。
次に、装置制御部41は、円中心算出部82を選択的に動作させて、抽出された部分断層像データから3点P1(x、y)、P2(x、y)、P3(x、y)を選択し、これら3点P1、P2、P3を通過する円の中心Cの座標(x、y)を算出する(S4)。
続いて、変位算出部84が、算出された円の中心Cの座標(x、y)と、データ記憶部72に記憶された回転中心情報73に示すスキャン中心Oの座標(255、255)とに基づいて、スキャン中心Oに対するファントム100の円筒軸Jの変位(Δx、Δy)=(x−255、y−255)を算出する(S5)。
ここで、装置制御部41は、誤差処理部90を動作させる。誤差算出部91は、ステップS3にて抽出された部分断層像データ上の複数の点を選択し、ステップS4の処理にて考慮された円(3点P1、P2、P3を通過する円)に対する、当該複数の点の誤差平均を算出する(S6)。
更に、誤差判断部92が、データ記憶部72に記憶された誤差情報74を参照し、ステップS6で算出された誤差平均の値が誤差情報74に示す閾値(=1.0)を超えるか否か判断する(S7)。
(誤差平均が閾値を超えない場合)
誤差平均の値が閾値を超えない場合(S7;N)、装置制御部41は、ステップS5にて算出されたファントム100の変位(Δx、Δy)をモニタ5の画面に表示させる(S8)。この表示処理は、コンソール制御部53が行う。
ここで、ファントム100の変位の表示態様の一例について説明する。まず、「上下方向の誤差:10mm、左右方向の誤差:−5mm」のように、変位の値をそのまま表示させることができる(図5の座標軸参照)。また、図5のように、スキャン中心Oに対する中心Cの位置をグラフィック表示させることもできる。
また、変位の方向を明示した表示態様を採用してもよい。すなわち、図5に示すX座標軸の向きの定義に基づき、X方向の変位Δxが正(+)の場合にはファントム100が右方向にずれている旨を表示させ、負(−)の場合には左方向にずれている旨を表示させる。また、図5に示すY座標軸の向きの定義に基づき、Y方向の変位Δyが正(+)の場合にはファントム100が下方向にずれている旨を表示させ、負(−)の場合には上方向にずれている旨を表示させる。一例として、メッセージ「上下方向の誤差:下に10mm、左右方向の誤差:左に5mm」を含むダイアログボックスを表示させることができる。
また、以上のようにファントム100の変位方向を表示させる代わりに、ファントム100を移動させるべき方向を表示させてもよい。つまり、X方向の変位Δxが正(+)の場合にはファントム100を図5中左方向に移動させるべき旨を表示させ、負(−)の場合には右方向に移動させるべき旨を表示させるとともに、Y方向の変位Δyが正(+)の場合にはファントム100を上方向に移動させるべき旨を表示させ、負(−)の場合には下方向に移動させるべき旨を表示させるようにしてもよい。一例として、メッセージ「上下方向の移動:上に10mm、左右方向の移動:右に5mm」を含むダイアログボックスを表示させることができる。このように、ファントム100の移動方向を表示する場合についても「変位の表示」に含まれるものとする。
図7のフローチャートに戻る。作業者は、モニタ5に表示されたファントム100の変位を参照し、入力デバイス6を操作して寝台3の天板31の位置を調整することで、ファントム100の円筒軸Jをスキャン中心O上に配置させる(S9)。
これで、ファントム100の位置合わせ作業は終了となる。作業者は、X線CT装置1の性能評価の作業に移行する。
(誤差平均が閾値を超える場合)
ステップS6で算出された誤差平均の値が閾値を超える場合(S7;Y)、装置制御部41は、楕円中心算出部83と半径算出部85をそれぞれ動作させる。なお、以下に説明する楕円中心算出部83及び半径算出部85の処理(更に、それらに続く変位算出部84及び傾斜角度算出部86の処理)は、任意の順序で行うことができ、また並行処理を行うこともできる。
楕円中心算出部83は、ステップS3で抽出された部分断層像データから4点Q1(ξ、η)、Q2(ξ、η)、Q3(ξ、η)、Q4(ξ、η)を選択し、これら4点Q1、Q2、Q3、Q4を通過する楕円の中心Kの座標(ξ、η)を算出する(S10)。
続いて、変位算出部84が、算出された楕円の中心Kの座標(ξ、η)と、回転中心情報73に示すスキャン中心Oの座標(255、255)とに基づいて、スキャン中心Oに対するファントム100の円筒軸Jの変位(Δξ、Δη)=(ξ−255、η−255)を算出する(S11)。
一方、半径算出部85は、上記4点Q1、Q2、Q3、Q4を通過する楕円の水平方向(X方向)の半径r及び垂直方向(Y方向)の半径rをそれぞれ算出する(S12)。
更に、傾斜角度算出部86が、算出された楕円の水平方向(X方向)の半径r及び垂直方向(Y方向)の半径rに基づいて、スライス方向(Z方向)に対するファントム100の円筒軸Jの傾斜角度Δθを算出する(S13)。
ここで、装置制御部41は、誤差処理部90を再び動作させる。誤差算出部91は、ステップS3にて抽出された部分断層像データ上の複数の点を選択し、ステップS10の処理にて考慮された楕円(4点Q1、Q2、Q3、Q4を通過する楕円)に対する、当該複数の点の誤差平均を算出する(S14)。
更に、誤差判断部92が、データ記憶部72に記憶された誤差情報74を参照し、ステップS14で算出された誤差平均の値が誤差情報74に示す閾値(=1.0)を超えるか否か判断する(S15)。
誤差平均の値が閾値を超えない場合(S15;N)、装置制御部41は、ステップS11で算出されたファントム100の変位(Δξ、Δη)と、ステップS13で算出された傾斜角度Δθとをモニタ5の画面に表示させる(S16)。
ファントム100の変位(Δξ、Δη)の表示態様は、ステップS8の説明における変位(Δx、Δy)と同様である。また、傾斜角度Δθについては、「傾き方向の誤差:3度」、といったメッセージが表示される。
作業者は、モニタ5に表示されたファントム100の変位を参照し、入力デバイス6を操作して寝台3の天板31の位置とガントリ2のチルト角度とを調整することで、ファントム100の円筒軸Jをスキャン中心O上に配置させる(S17)。
これで、ファントム100の位置合わせ作業は終了となる。作業者は、X線CT装置1の性能評価の作業に移行する。
一方、誤差平均の値が閾値を超える場合(S15;Y)、装置制御部41は、モニタ5に警告メッセージを表示させる(S18)。この警告メッセージは、ファントム100の変位や傾斜角度を有効に得られなかった旨や、ファントムの再度の取り付けを要求する旨を含むメッセージとされる。作業者は、この警告メッセージに応じて作業を行う。
以上で、本実施形態に係るX線CT装置1によるファントムの位置合わせの動作は終了となる。なお、ファントム位置合わせ動作の変形例については後述するものとする。
[作用・効果]
以上のような本実施形態のX線CT装置1によれば、次のような作用及び効果が奏される。
まず、このX線CT装置1によれば、寝台3の天板31に取り付けられたファントム100について、その円筒軸Jのスキャン中心Oからの変位を自動的に求め、それを表示するように作用するので、作業者は、スキャン中心Oに対する円筒軸Jの変位を容易に把握できる。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速に円筒軸Jをスキャン中心Oに位置合わせすることができる。ここで、求めた変位をそのまま表示させる代わりに、その変位に基づくファントム100の位置合わせのための情報(たとえば、「ファントムを・・・方向に・・・センチメートルだけ移動させてください」などのメッセージ)を表示させるようにしてもよい。
また、スライス方向に対するファントム100の傾斜角度についても自動的に求めて表示するように作用するので、作業者は、スライス方向に対する円筒軸Jの傾斜角度を容易に把握できる。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速に円筒軸Jがスライス方向に沿うように位置合わせすることができる。ここで、求めた傾斜角度をそのまま表示させる代わりに、その傾斜角度に基づくファントム100の位置合わせのための情報(たとえば、「ファントムを・・・方向に・・・センチメートルだけ傾斜させてください」などのメッセージ)を表示させるようにしてもよい。
X線CT装置1は、ファントム100の円筒軸Jがスライス方向に対して無視できない程度に傾斜しているか否かを判断し(図7のフローチャートのステップS7参照。)、その判断結果に応じて処理内容を変更するようになっている。
すなわち、ファントム100の傾きが無視できる程度である場合(S7;N)には、円筒状のファントム100の断面像は略円形となることから、ケース101部分の3点を通過する円の中心位置は、ファントム100の円筒軸Jの位置を近似していると考えられる。X線CT装置1は、既知のスキャン中心Oに対する円筒軸Jの近似位置(円の中心位置)の変位を求めるようになっている。したがって、ファントム100の傾きが無視できる程度である場合において、スキャン中心Oに対する実際の円筒軸Jの変位を高い精度で求めることができる。
一方、ファントム100の傾きが無視できない程度である場合(S7;Y)には、円筒状のファントム100の断面像は楕円形となることから、ケース101部分の4点を通過する楕円の中心位置が、ファントム100の円筒軸Jの位置を近似していると考えられる。X線CT装置1は、既知のスキャン中心Oに対する円筒軸Jの近似位置(楕円の中心位置)の変位を求めるようになっている。また、上記楕円のX方向及びY方向の半径に基づいて、この近似の円筒軸の傾斜角度を求めるようになっている。したがって、ファントム100の傾きが無視できない程度である場合においては、スキャン中心Oに対する実際の円筒軸Jの変位と、スライス方向に対する実際の円筒軸Jの傾斜角度との双方を、高い精度で求めることができる。
また、ファントム100の傾きが無視できない程度である場合において、何らかの理由により楕円形の断層像が得られないことがある。たとえば、ファントム100の円筒軸Jがスライス方向に対して大きな傾斜角度を成している場合、ファントム100の両端部がX線管22等の回転面に交差するように配置されるため、その断層像は長方形のような形状となる(円筒軸Jとスライス方向とが直交する場合、長方形の断層像が得られる。また、円筒軸Jとスライス方向との角度が直角に近い場合には、中央が膨張した形状の略長方形状の断層像が得られる。)X線CT装置1では、そのような場合に対処するために、断層像を楕円形とみなすことができるか否かの判断を行うようになっている(S15)。楕円形とみなせる場合(S15;N)には、上記4点を通過する楕円に基づいて算出される変位及び傾斜角度が表示される。一方、楕円形とみなせない場合(S15;Y)には、警告メッセージを表示して、注意や再度の作業を促すようになっている。それにより、表示内容の精度を担保することが可能となる。
[変形例]
本実施形態に係るX線CT装置1に関する各種の変形例について説明する。なお、本実施形態に関する変形例は、後述の第2の実施形態においても適宜に採用することができる。また、以下の変形例のうちの2つ以上を任意に組み合わせた構成を採用することも可能である。
〔変形例1〕
ファントム100の傾きが無視できない程度である場合に(S7;Y)、ファントム100が傾いている旨や、その傾きを修正するように促す旨の警告メッセージをモニタ5に表示させることができる。作業者は、この警告メッセージを確認することにより、ファントム100が少なからず傾いていることを認識でき、また、それを修正する必要性を認識することができる。それにより、作業の容易化、迅速化を支援することが可能となる。
なお、ファントム100の傾きが無視できない程度である場合(S7;Y)や、ファントム100の断層像を楕円形とみなせない場合(S15;Y)に表示される警告メッセージは、本発明の「報知情報」の一例に相当する。この報知情報は、このような警告メッセージに限定されるものではなく、たとえば警告ランプの点灯(点滅)等による視覚情報、警告ブザー等の聴覚情報、作業者が携帯する装置の振動等による触覚情報など、作業者に対して上記の判断結果を報知可能な情報であれば、その形態は任意である。
このような報知情報は、装置制御部41のコンソール制御部53の制御によって出力される。このコンソール制御部53は、本発明の「報知情報出力手段」の一例に相当するものである。
〔変形例2〕
本実施形態において、ファントム100の傾斜方向を算出する構成を適用することも可能である。ファントム100の断層像は、その傾斜方向を長軸とする楕円形状となる。たとえば図6に示した断層像100BにおいてはY方向が長軸であり、したがってファントム100は上下方向に傾斜している。
そこで、楕円形の断層像が得られたときに、その画像を解析するなどしてその長軸の方向(たとえばX座標やY座標に対する角度)を求める。この方向がファントム100の傾斜方向となる。また、その傾斜角度については、この傾斜方向の半径(長軸方向の半径)と、傾斜方向に直交する方向の半径(短軸の半径)とに基づいて、〔数9〕の式と同様に求めることができる。求められた傾斜方向はモニタ5に表示される。その表示態様としては、傾斜方向の文字表示(たとえば「上下方向に10度の方向」)や、グラフィック表示などが適用される。
〔変形例3〕
本変形例は、上記変形例2とは異なる手法でファントム100の傾斜方向を求めるものである。本変形例では次のような処理を行う:(1)ファントム100の異なるスライス位置における複数の断層像データを生成する;(2)その複数の断層像データに基づいて、ファントム100の円筒軸Jの傾斜方向を特定する;(3)特定された傾斜方向をモニタ5に表示させる。以下、工程(1)〜(3)の処理内容の一具体例について説明し、スライス位置が2つの場合の具体例について説明する。
(1)ガントリ2によりファントム100をX線ビームでスキャンする。このとき、天板31を移動させてファントム100を異なる複数のスライス位置にてスキャンする。スキャンを行うスライス位置(Z座標値)の個数は任意である。スキャン態様としては、天板31の移動とスキャンとを交互に繰り返すことにより複数のスライス位置を断続的にスキャンしてもよいし、ヘリカルスキャンのように複数のスライス位置を連続的にスキャンしてもよい。断層像データ生成部60は、各スライス位置でのスキャン結果に基づき、各スライス位置に対応する断層像データをそれぞれ生成する。
(2)算出処理部80の筐体抽出部81は、生成された複数の断層像データをそれぞれ解析し、ファントム100のケース101に相当する部分断層像データをそれぞれ抽出する。次に、楕円中心算出部83は、抽出された複数の部分断層像データのそれぞれについて、異なる4点を通過する楕円の中心の座標を算出する。続いて、算出処理部80は、これら複数のスライス位置における楕円の中心の座標と、当該複数のスライス位置の座標とに基づいて、ファントム100の傾斜方向を特定する。このとき、複数のスライス位置の間隔(距離)を考慮することにより、ファントム100の傾斜角度についても算出することができる(後述)。
なお、この工程(2)は、複数の断層像データのうちから少なくとも2つを選択し、選択された断層像データのみを用いて実行するようにしてもよい。すなわち、ファントム100の円筒軸Jは直線であるから、各断層像データに基づく楕円の中心は略一直線上に配置されることとなる。したがって、複数の断層像データのうちから2つを選択すれば、それらを結ぶ直線は、円筒軸Jの方向を良好に近似するものとなる。なお、3つ以上の断層像データを選択する場合、最小二乗法等により、各楕円中心に対する誤差が最小となる最適な直線を求め、それを円筒軸J方向とみなして処理を実行することができる。
(3)コンソール制御部53は、特定された傾斜方向(及び傾斜角度)をモニタ5に表示させる。ファントム100の傾斜方向は、たとえば「ファントムの前端部(+Z方向の端部)が上向き」などとメッセージ表示することもできるし、グラフィック表示することもできる。
(具体例)2つのスライス位置の断層像データを生成する場合について、図8、図9を参照して説明する。図8に示すファントム100は、+Z方向の端部(前端部)が上方に傾斜した状態で(−Z方向の端部(後端部)が下方に傾斜した状態で)配置されている。Z座標軸(スライス方向)に対する円筒軸Jの傾斜角度はΔθである。なお、説明簡略化のため、水平方向への傾斜は無いものとする。
断層像データを生成する2つのスライス位置をZ=z1、z2とする(z1<z2)。各スライス位置Z=z1、z2におけるファントム100の断面110、120は、上下方向(Y方向)を長軸とし、水平方向(X方向)を短軸とする楕円形となる。
図9(A)は、スライス位置Z=z1における断面110を示す断層像110Bを表し、図9(B)は、スライス位置Z=z2における断面120を示す断層像120Bを表している。また、図8、9中の符号K1、K2は、それぞれ、楕円中心算出部83により算出される、楕円形の断層像110B、120Bの中心を示している。
更に、図9中の符号Oは、スキャン中心を示す。このスキャン中心Oの座標は、前述のように、(X、Y)=(255、255)である。また、スキャン中心Oは、前述のように、Z座標軸に一致されている。図9(A)のスキャン中心Oは、断面110BとZ座標軸との交点(図8中のz1)と同一視され、図9(B)のスキャン中心Oは、断面120BとZ座標軸との交点(図8中のz2)と同一視される。
さて、第1のスライス位置Z=z1における断層像110Bの中心K1の座標を(X、Y)=(255、y1)とし、第2のスライス位置Z=z2における断層像120Bの中心K2の座標を(X、Y)=(255、y2)とすると、ファントム100が傾斜配置されていることから、y1≠y2となる。
第1、2のスライス位置Z=z1、z2が、z2>z1の関係を有することを考慮すると、ファントム100の傾斜方向は次のように特定される:(A)y2>y1の場合、ファントム100の傾斜方向は、その前端部が上方に傾斜し後端部が下方に傾斜した状態と判断される;(b)y1>y2の場合、ファントム100の傾斜方向は、その前端部が下方に傾斜し後端部が上方に傾斜した状態と判断される。
図8及び図9に示すケースでは、断層像110Bの中心K1のY座標y1は、断層像120Bの中心K2のY座標y2よりも小さい(y1<y2)であるから、上記(A)の場合に相当する。
上記具体例では、ファントム100が上下方向にのみ傾斜している場合について考慮したが、たとえば水平方向にのみ傾斜している場合には、複数のスライス位置における楕円形の断層像の中心のX座標を考慮することにより、スライス方向(Z座標)に対する水平方向における傾斜方向(たとえば+Z方向に向かって右方向/左方向)を特定することができる。また、ファントム100の傾斜が、上下方向成分(Y方向成分)と水平方向成分(X方向成分)とを含んでいる場合には、各方向成分をそれぞれ考慮することによりファントム100の傾斜方向を特定することができる。
(傾斜角度の算出)上記の工程(2)にて言及したファントム100の傾斜角度Δθの算出処理について説明する。傾斜角度算出処理の基になる情報は、複数のスライス位置における断層像の楕円の中心の座標と、当該複数のスライス位置の座標である。なお、これら複数のスライス位置のうちの2つを選択して処理を行うようにしてもよい。
図8、図9を参照して具体的に説明する。算出処理部80は、2つのスライス位置Z=z1、z2の間隔(距離)δz=|z1−z2|を算出する。また、2つのスライス位置Z=z1、z2における断層像110B、120Bの楕円の中心K1(255、y1)、K2(255、y2)の間隔(距離)δ=|y1−y2|を算出する。以上より、傾斜角度Δθは次式から求まる。
Figure 2007222599
一般に、楕円の中心K1、K2の座標を(x1、y1)、(x2、y2)とすると、K1とK2との距離はδ=√{(x1−x2)^2+(y1−y2)^2}となる。
上記実施形態における〔数9〕を用いた算出処理に代えて、ここで説明した傾斜角度算出処理を行うことができる。
〔変形例4〕
本実施形態では、ファントム100のケース101に相当する3点を通る円の中心座標を算出し(S4)、それに基づくファントム100の変位を算出(S5)した後に、誤差平均の判断(S7)を行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。
たとえば、ステップS3にて抽出された部分断層像データに基づいてまず誤差平均を算出して閾値と比較し、誤差平均が閾値以下である場合にのみ、円の中心座標の算出及びファントム100の変位の算出を行うように構成することが可能である。それにより、誤差平均が閾値を超える場合には、円の中心座標算出等の処理を省略することができ、処理の迅速化を図ることが可能となる。
〔変形例5〕
本実施形態は、ファントム100の変位や傾斜角度をモニタ表示して作業者に認識させるものである。そこで、その表示内容を認識した作業者に対し、入力デバイス6のどの部分を操作すべきか報知する手段を設けることができる。それにより、作業者が不慣れな場合などであっても、誤った部分を操作してしまう事態を防止することができる。
入力デバイス6は、前述したように、寝台3の天板31を移動させるための操作や、ガントリ2をチルト(傾斜)させるための操作に使用されるものであり、本発明の「天板操作手段」及び「傾斜操作手段」に相当する。入力デバイス6には、天板31を移動させるための天板操作ボタンと、ガントリ2をチルトさせるためのチルト操作ボタンとがそれぞれ設けられている(ともに図示省略)。
本変形例では、天板操作ボタンとチルト操作ボタンの内部や下部にLED等の光源を設ける。コンソール制御部53は、ファントム100の変位のみをモニタ5に表示させるときに、入力デバイス6に電源を供給して天板ボタン内のLEDを点灯させる。また、ファントム100の変位と傾斜角度を表示させるときには、入力デバイス6に電源を供給して天板ボタン及びチルト操作ボタンの内部のLEDをそれぞれ点灯させる。それにより、入力デバイス6のどの部分を操作すればよいか一目瞭然となる。なお、操作ボタンの位置の報知は、光源を点滅させるなどの方法で行ってもよい。
天板操作手段や傾斜操作手段がモニタ5に表示されたソフトキーである場合には、そのソフトキーを点灯(点滅)させたり、その表示色を変更させたりすることによって、その位置を報知することができる。また、操作ボタンやソフトキーの位置を音声で報知するようにしてもよい。
〔変形例6〕
図7のフローチャートに示すように、本実施形態では、部分断層像データの3点を通過する円に基づいてスキャン中心に対するファントム100の変位を求め、当該部分断層像データの円に対する誤差が閾値を超える場合に、当該部分断層像データの4点を通過する楕円に基づいて、ファントム100のスキャン中心に対する変位と、スライス方向に対する傾斜角度とを求めるようになっている。本発明に係るX線CT装置による処理は、これに限定されるものではなく、たとえば次のような処理を行うように構成してもよい。
部分断層像データの3点を通過する円に基づく算出処理は行わず、部分断層像データの4点を通過する楕円に基づく算出処理のみを行うように構成することができる。すなわち、図7のステップS1〜S3に続いて、ステップS10以降の処理(少なくともステップS10〜S13、S16を含んでいればよい。)を行うように構成できる。「円」は「楕円」の一種であることを考慮すると、上記の円に基づく算出処理による算出結果は、上記の楕円に基づく算出処理によって得ることができるからである。
〔変形例7〕
本実施形態では、円に基づく算出処理(図7のステップS4〜S6)を行うときに、当該円として部分断層像データの3点を通過する円を用いているが、たとえば2点を通過する円を用いて同様の処理を行うことが可能である。
部分断層像データの2つの点を通過する円を用いる場合の一例について説明する。図5に示す3点P1〜P3のうち、X座標が最小の点P1及びX座標が最大の点P2の2点を用いる(Y座標が最大の点P3及びY座標が最小の点でもよい。)。円中心算出部82は、点P1と点P2との中点の座標を算出する。変位算出部84は、この中点のスキャン中心Oに対する変位を算出する。この中点の変位は、上記実施形態において算出された円の中心Cのスキャン中心Oに対する変位に等しい。
同様に、楕円に基づく算出処理(図7のステップS10〜S14)についても、楕円の中心Kを算出するためには、部分断層像データにおける2点のみ考慮すれば十分である。たとえば、図6に示す4点Q1〜Q4のうち、X座標が最小の点Q1及びX座標が最大の点Q2を選択し、それらの中点の座標を算出することにより、目的の中心Kの座標を取得することができる。
また、ファントム100の傾斜方向が水平方向又は垂直方向である場合には、部分断層像データの3点(たとえば点Q1〜Q3)を考慮することで、水平方向の半径及び垂直方向の半径を算出することができ、したがって傾斜角度を算出することができる。
〔変形例8〕
本実施形態のX線CT装置1は、スキャン中心Oに対するファントム100の円筒軸Jの変位と、スライス方向に対する円筒軸Jの傾斜角度(傾斜方向)との双方を算出し、それらを表示すように構成されているが、それらのうちの一方のみを算出し表示する構成としてもよい。また、断層像データに基づく円の中心座標のみ算出可能としてもよいし、楕円の中心座標のみを算出可能としてもよい。
〈第2の実施形態〉
上述した第1の実施形態では、ファントムの変位や傾斜角度の算出結果をモニタ表示する構成を備えるX線CT装置について説明した。一方、以下に述べる第2の実施形態においては、ファントムの変位や傾斜角度の算出結果に基づいてファントムの設置状態を自動修正する構成を備えるX線CT装置について説明を行う。
本実施形態のX線CT装置は、第1の実施形態と同様の外観構成(図1参照)、内部構成(図2参照)及び制御系の構成(図3参照)を有する。以下、これらの図を参照することにする。なお、本実施形態のX線CT装置を第1の実施形態と同様の符号1で表す。
ここで、複数の医療機関等に設置されたX線CT装置のメンテナンスを実施するシステムについて説明する。このメンテナンスシステムの概略構成を図10に示す。各医療機関等には、1台以上のX線CT装置が設置されている(図10では3台設置されている。)。
符号4A、4B、4Cは、各X線CT装置のコンピュータ装置4を示している。符号5A、5B、5Cは、各X線CT装置のモニタ5を表している。符号6A、6B、6Cは、各X線CT装置の入力デバイス6を表している。
各コンピュータ装置4A、4B、4Cは、医療機関内のLANを介してサーバ装置(院内サーバ)1000に接続されている。院内サーバ1000は、ファントム100の撮影画像の画像データを解析してCT値の平均値や標準偏差等を演算する。更に、院内サーバ1000は、その演算結果を適正値と比較するなどしてX線CT装置1の性能評価を行い、その評価結果を含むレポートを作成する。なお、これらの作業の一部又は全部を、コンピュータ装置4A〜4Cやサービスサーバ2000が実施するように構成することも可能である。
各医療機関等の院内サーバ1000は、WAN(Wide Area Network)を介してサービスサーバ2000に接続されている。サービスサーバ2000は、X線CT装置1のメンテナンスサービスを提供するサービスセンター等に設置されている。
各院内サーバ1000は、装置の故障、エラーの発生、装置性能の低下などの所定のイベントが発生したときに、そのイベントに関する情報やX線CT装置1の識別情報などをサービスサーバ2000に送信する。サービスサーバ2000は、院内サーバ1000からの情報を受信してサービス提供者等に報知する。また、サービスサーバ2000は、院内サーバ1000から送信された情報を蓄積して解析を行う。この解析結果は、たとえばバグの修正やX線CT装置の研究開発などに利用される。
X線CT装置1及びサービスシステムの動作の一例を図11に示す。なお、第1の実施形態と同様のステップには、図7のフローチャートのステップと同一の符号を付してある。
ステップS1〜ステップS7までは、第1の実施形態と同様である。ステップS7において誤差平均が閾値以下であると判断された場合(S7;N)、寝台制御部52は、ステップS5にて算出された変位に基づいて天板駆動部33を制御し、当該変位を打ち消すように、すなわち円筒軸Jをスライス中心O(Z座標軸)上に配置させるように、天板31の位置を移動させる(S21)。具体的には、スキャン中心Oに対するファントム100の円筒軸Jの変位(Δx、Δy)に対し、天板31を(−Δx、−Δy)だけ移動させる。
このとき、天板31の上下方向又は左右方向への移動を手入力で操作するようにしてもよい。その場合、図7のステップS8のように、手入力で操作する移動方向における変位量の算出結果(及び変位方向)をモニタ5に表示させることが望ましい。また、第1の実施形態の変形例5のように、手入力のための操作ボタンの位置を報知することが望ましい。
天板位置の調整が終了したら、X線CT装置1は、ファントム100にX線を照射して投影データの収集を行うとともに、ファントム100の画像を再構成する(S26)。再構成された画像データは、LANを介して院内サーバ1000に送信される。
院内サーバ1000は、ファントム100の再構成画像の画像データを解析し、X線CT装置1の性能評価を行ってレポートを作成する(S27)。院内サーバ1000は、作成したレポートをLANを介してX線CT装置1に送信する。ここで、評価結果が悪い場合などには、院内サーバ1000は、その評価結果等をWANを介してサービスサーバ2000に送信する。
X線CT装置1は、院内サーバ1000から受信したレポートを出力する(S28)。レポートの出力態様としては、モニタ5への表示出力、図示しないプリンタによる印刷出力などがある。以上で、ファントム100を用いたX線CT装置1の性能評価は終了となる。X線CT装置1のオペレータは、出力されたレポートを参照し、X線CT装置1の各種の設定変更などを行うことができる。
ステップS7において誤差平均が閾値以下であると判断された場合(S7;Y)、第1の実施形態と同様に、部分断層像データ上の4点を通過する楕円の中心Kの座標を算出し(S10)、その楕円の中心Kの座標とスキャン中心Oの座標とに基づいて、スキャン中心Oに対するファントム100の円筒軸Jの変位を算出する(S11)。
更に、たとえば第1の実施形態で説明した処理やその変形例3で説明した処理を行って、ファントム100の傾斜方向を特定するとともに(S22)、その傾斜角度を算出する(S23)。
次に、当該楕円に対する部分断層像データの誤差平均を算出し(S14)、その値が誤差情報74に示す閾値を超えるか否か判断する(S15)。
誤差平均の値が閾値を超える場合(S15;Y)、第1の実施形態と同様に警告メッセージを表示させる(S18)。
一方、誤差平均の値が閾値を超えない場合(S15;N)、寝台制御部52は、上記ステップS21と同様に、ステップS11にて算出された変位に基づいて天板駆動部33を制御し、当該変位を打ち消すように天板31の位置を移動させる(S24)。
更に、ガントリ制御部51は、ステップS22で特定された傾斜方向と、ステップS23で算出された傾斜角度とに基づいて支持体駆動部25を制御し、この傾斜方向及び傾斜角度を打ち消すように、すなわちX線管22及びX線検出器23の回転面(スキャン面)の法線方向をファントム100の円筒軸Jに合わせるように、支持体21をチルト(傾斜)させる(S25)。具体的には、傾斜角度をΔθとすると、特定された傾斜方向の逆方向に角度Δθだけ支持体21を傾斜させる。それにより、スキャン面が円筒軸Jに対して直交する状態に配置される。
天板位置、チルト角度の調整が終了したら、X線CT装置1は、ファントム100にX線を照射して投影データの収集を行うとともに、ファントム100の画像を再構成する(S26)。院内サーバ1000は、ファントム100の再構成画像の画像データを解析し、X線CT装置1の性能評価を行ってレポートを作成する(S27)。X線CT装置1は、院内サーバ1000により作成されたレポートを出力する(S28)。以上で、ファントム100を用いたX線CT装置1の性能評価は終了となる。
以上のような本実施形態によれば、寝台3の天板31に取り付けられたファントム100について、その円筒軸Jのスキャン中心Oからの変位を自動算出するとともに、その算出された変位に基づいて、円筒軸Jをスキャン中心O上に配置させるように天板31を自動的に移動させるように構成されているので、作業者は、スキャン中心Oに対するファントム100の円筒軸Jの位置合わせ作業を行う必要がない。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントム100の位置合わせを行うことができる。
また、スライス方向に対するファントム100の傾斜角度についても、それを自動算出するとともに、その傾斜角度に応じてガントリ2によるX線ビームのスキャン面がスライス方向に直交するように、X線管22及びX線検出器23の回転面を自動的にチルトさせるように構成されているので、作業者は、ファントム100の傾斜角度の調整作業を行う必要がない。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントム100の位置合わせを行うことが可能となる。
また、第1の実施形態と同様に、ファントム100の傾斜角度を無視できるか否か判断し、その判断結果に応じて処理内容を変更するようになっているので、スキャン中心Oに対する円筒軸Jの変位と、スライス方向に対する円筒軸Jの傾斜角度との双方を、高精度で求めることができる。それにより、天板31の位置及びチルト角度の自動調整を良好な精度で行うことが可能となる。
また、第1の実施形態と同様の警告メッセージを出力することが可能である。
〈第3の実施形態〉
上述した第2の実施形態では、ファントムの変位や傾斜角度の算出結果に基づいて寝台やガントリを制御してファントムの設置状態の調整を行うX線CT装置について説明した。以下に述べる第3の実施形態においては、ファントムの変位や傾斜角度の算出結果に基づいてファントムを移動させることによりファントムの設置状態を調整するX線CT装置について説明を行う。
[構成]
図12、図13及び図14を参照しつつ、本実施形態のX線CT装置1′の構成を説明する。X線CT装置1′は、第1の実施形態とほぼ同様の構成を備えている。
ファントム保持具200は、天板31上にファントム100を保持する器具であり、図12に示すようにX線CT装置1′の天板31上に取り付け可能とされている。天板31に対するファントム保持具200の取り付け形態は、従来と同様である。ファントム保持具200は、たとえば天板31のガントリ2側の端部、すなわち天板31の長手方向の一端に取り付けられる。ファントム保持具200は、本発明の「ファントム保持手段」の一例に相当している。
ファントム保持具200の筐体のガントリ2の反対側の面には、接続線200aの一端が接続されている。接続線200aの他端は、寝台基部32の側面に設けられたコネクタ部32aに接続されている。なお、ファントム保持具200を天板31から取り外す際には、接続線200aをコネクタ部32aから取り外すようになっている。
接続線200aは、コンピュータ装置4から送信される電気信号をファントム保持具200に入力するものであり、また、図示しない電源からの電流をファントム保持具200に供給するものである。本実施形態では、コンピュータ装置4から送信された電気信号は、ガントリ2と寝台基部32を経由し、接続線200aを通じてファントム保持具200に入力されるようになっている。
ファントム保持具200の構成について図13を参照しつつ説明する。ファントム100は、板状のファントム装着部223に装着される。円筒形状のファントム100は、その一端(すなわち円形状の二面の一方)がファントム装着部223の一面に接触するようにして装着される。
ファントム装着部223の他面側には、板状の支持部222の一面側が連結されている。ファントム装着部223と支持部222は、それぞれの上面が連結部材224によって連結されている。支持部222のファントム装着部223側の面は、Y方向(鉛直方向)に対して傾斜している。ファントム装着部223と支持部222のそれぞれの下端側は、後述のアクチュエータ203の駆動軸203によって連結されている。
支持部222の他面側には、支持軸221の一端が接続されている。支持軸221の他端側は、ファントム保持具200の筐体内に配置されている。
ファントム保持具200には、たとえばステッピングモータ等のアクチュエータ201、202、203が設けられている。アクチュエータ201、202、203は、コンピュータ装置4からの電気信号に基づいて、それぞれ独立に動作するようになっている。なお、各アクチュエータ201、202、203に電気信号を送る接続線については、図示を省略した。
アクチュエータ201の駆動軸(たとえばステッピングモータの回転軸)には、Y方向(鉛直方向)を長手方向とする形状の移動部材211が接触されている。アクチュエータ201の駆動軸と移動部材211の表面には、それぞれ螺旋状の溝が形成されている。アクチュエータ201の駆動軸と移動部材211とは、互いの溝の凹凸が嵌り合うように配置されている。移動部材211の一端側(図13では上端側)は、支持軸221に接続されている。このような構成により、アクチュエータ201の駆動軸の回転方向や回転角度に応じて、移動部材211と支持軸221とが一体的にY方向に移動する。それにより、ファントム装着部223に装着されたファントム100がY方向に移動するようになっている。
同様に、アクチュエータ202の駆動軸202a(たとえばステッピングモータの回転軸)には、X方向(Y方向及びZ方向に直交する方向;水平方向)を長手方向とする形状の移動部材212が接触されている。アクチュエータ202の駆動軸202aと移動部材212の表面には、それぞれ螺旋状の溝が形成されている。それにより、駆動軸202aの回転方向や回転角度に応じて、移動部材212と支持軸221とが一体的にX方向に移動し、ファントム装着部223に装着されたファントム100がX方向に移動するようになっている。
アクチュエータ203は、支持部222に固定されている。アクチュエータ203の駆動軸203a(たとえばステッピングモータの回転軸)は、支持部222の下端部近傍を貫通している。更に、駆動軸203aの先端部は、ファントム装着部223の孔部(図示せず)内に挿入されている。駆動軸203aの表面には、螺旋状の溝が形成されている。また、ファントム装着部223の孔部の内壁にも螺旋状の溝が形成されている。駆動軸203aの溝と孔部の溝とは、互いの溝の凹凸が嵌り合っている。
ファントム装着部223と支持部222は、前述のように、互いの上面が連結部材224によって連結されている。アクチュエータ203の駆動軸203aが回転すると、上記した溝の嵌り合いにより、ファントム装着部223が、駆動軸203aに対して連結部材224による連結位置を中心に移動する。それにより、ファントム100の円筒軸Jが、Z方向に対して鉛直方向(Y方向)に傾斜されることになる。この傾斜は、ガントリ2のチルトに対応するものである。
ここで、支持部222のファントム装着部223側の面は、前述のように傾斜している。それにより、アクチュエータ203の駆動軸203aを或る方向に回転させることにより、ファントム100の前方側(ファントム装着部223に装着されていない側;図13の紙面左側)を上方に向けるように傾斜させることができ、駆動軸203aを逆方向に回転させると、前方側を下方に向けるように傾斜させることができる。また、ファントム100は、駆動軸203aの回転角度に応じた角度だけ傾斜するようになっている。
なお、アクチュエータ203の駆動軸203aの回転方向は、コンピュータ装置4の制御によって切り替えられるようになっている。同様に、アクチュエータ201の駆動軸やアクチュエータ202の駆動軸202aの回転方向についても、コンピュータ装置4の制御によって切り替えられるようになっている。
また、各アクチュエータ201、202、203がステッピングモータである場合、コンピュータ装置4は、目的の回転角度に応じたパルス数の電気信号をアクチュエータ201〜203に送信する。ここで、一つのパルスに対応する駆動軸の回転角度は、あらかじめ設定されている。アクチュエータ201〜203は、コンピュータ装置4から送信された信号のパルス数に対応する回転角度だけ駆動軸を回転させる。それにより、目的の移動量だけファントム100をX方向やY方向に移動させることができるとともに、目的の傾斜角度だけファントム100を傾斜させることができる。
なお、ステッピングモータ以外のアクチュエータ201〜203を適用する場合、そのアクチュエータ201〜203の構成に応じた制御を行うことにより、ファントム100を目的の移動量だけ移動させ、目的の傾斜角度だけ傾斜させるように構成する。
次に、本実施形態のX線CT装置1′の制御系の構成について、図14を参照しながら説明する。X線CT装置1′の制御系は、第1の実施形態とほぼ同様に構成されている(図2、図3参照)。
X線CT装置1′のコンピュータ装置4の装置制御部41には、保持具制御部54が設けられている。保持具制御部54は、ファントム保持具200の動作を制御する。より具体的に説明すると、保持具制御部54は、各アクチュエータ201〜203に前述の信号を送信して駆動軸を回転させることにより、ファントム100を移動させたり傾斜させたりする。
なお、図14においては、保持具制御部54からの信号がファントム保持具200に直接に入力されるように記載されているが、実際には、図12に一例を示したように、信号はガントリ2や寝台3を経由してファントム保持具200に入力されるようになっている。
[動作]
本実施形態のX線CT装置1′の動作について、図15のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、以下においては、第1、第2の実施形態で説明したファントム100の変位や傾斜角度の算出処理の詳細については省略することにする。
まず、ファントム保持具200を天板31に取り付けるとともに、ファントム装着部223にファントム100を装着する(S31)。次に、ファントム100に対する投影データの収集及び画像再構成を行ってファントム100の断層像データを生成する(S32)。筐体抽出部81は、ケース101に相当する部分断層像データを断層像データから抽出する(S33)。算出処理部80及び誤差処理部90は、部分断層像データを解析して、ファントム100のX方向の変位、Y方向の変位及び傾斜角度を算出する(S34)。これらの算出結果は、装置制御部41の保持具制御部54に送られる。
保持具制御部54は、X方向の変位、Y方向の変位及び傾斜角度の算出結果に基づいて信号を生成し、ファントム保持具200に向けて送信する(S35)。
この処理の具体例を説明する。まず、保持具制御部54は、X方向の変位の算出結果と、一つのパルスに対するアクチュエータ202の駆動軸202aの回転角度とに基づいて、駆動軸202aの回転方向(X方向における移動方向)と、パルス数(移動量)とを求め、この結果に応じた信号を生成する。そして、保持具制御部54は、アクチュエータ202を識別する識別情報とともに、この信号を送信する。それにより、この信号は、アクチュエータ202に向けて送信される。
Y方向の変位の算出結果に基づく信号の生成処理、及び、アクチュエータ201に向けての信号の送信処理についても同様に実施することができる。
アクチュエータ203を制御する信号の生成処理及び送信処理について説明する。保持具制御部54は、傾斜方向の算出結果と、一つのパルスに対するアクチュエータ203の駆動軸203aの回転角度、つまり一つのパルスに対するファントム100の傾斜角度とに基づいて、駆動軸203aの回転方向とパルス数とを求め、この結果に応じた信号を生成する。そして、保持具制御部54は、アクチュエータ203の識別情報とともに、この信号を送信する。
各アクチュエータ201〜203は、保持具制御部54からの信号に基づいて動作し、各々の駆動軸を回転させる(S36)。それにより、ファントム100のX方向やY方向への位置ズレ、更にはファントム100の傾斜が調整される。
次に、X線CT装置1′は、ファントム100にX線を照射して投影データの収集を行うとともに、ファントム100の画像を再構成する(S37)。再構成された画像データは、LANを介して院内サーバ1000に送信される(図10参照)。
院内サーバ1000は、ファントム100の再構成画像の画像データを解析し、X線CT装置1′の性能評価を行ってレポートを作成する(S38)。院内サーバ1000は、作成したレポートをLANを介してX線CT装置1′に送信する。ここで、評価結果が悪い場合などには、院内サーバ1000は、その評価結果等をWANを介してサービスサーバ2000に送信する。
X線CT装置1′は、院内サーバ1000から受信したレポートを出力する(S39)。以上で、本実施形態に係る動作は終了となる。X線CT装置1′のオペレータは、出力されたレポートを参照し、必要に応じてX線CT装置1′の各種の設定変更などを行うことができる。
[作用・効果]
本実施形態のX線CT装置1′の作用、効果について説明する。
X線CT装置1′によれば、天板31上に配置されたファントム100のX方向への変位やY方向への変位、更には傾斜角度を算出し、その算出結果に基づいてファントム100をX方向やY方向に移動させたり、傾斜させたりするように構成されているので、作業者は、ファントム100の位置合わせ作業を手作業で行う必要がない。したがって、作業者の熟練度に関わらず、容易かつ迅速にファントム100の位置合わせを行うことが可能である。
また、X線CT装置1′によれば、ファントム100の位置合わせの高精度化を図ることが可能である。すなわち、前述の第2の実施形態は、天板31やガントリ2を駆動してファントム100の位置を調整するものであるため、天板31の単位移動距離以上の精度でのみ、かつ、ガントリ2の単位傾斜角度以上の精度でのみ、ファントム100の位置調整を行うことが可能である。一方、本実施形態においては、アクチュエータ201〜203の駆動軸の単位回転角度を小さく設定することにより、ファントム100の位置調整の高精度化を図ることが可能である。その具体例としては、一つのパルスに対応する駆動軸の回転角度が小さなステッピングモータをアクチュエータ201〜203として用いることができる。
[変形例]
本実施形態に係るX線CT装置1′に関する各種の変形例について説明する。
上記のX線CT装置1′は、X方向の変位、Y方向の変位及び傾斜角度の全てを自動的に調整可能に構成されているが、これら3つうちの少なくとも1つを自動的に調整できるように構成されていれば十分である。
また、上記のX線CT装置1′は、ガントリ2の回転面の法線方向に対して鉛直方向にファントム100の傾きを調整するものである(アクチュエータ203の動作による)。本発明においては、ガントリ2の回転面の法線方向に対して水平方向にファントム100の傾きを調整するなど、任意の方向への傾きを調整できるように構成することが可能である。このとき、ファントム100の傾きの調整方向に応じたアクチュエータを設ける必要がある。
また、上記のX線CT装置1′は、ファントム保持具200を自動的に動作させるように構成されているが、第1の実施形態のようにファントム100の変位や傾きをモニタ5に表示し、オペレータが入力デバイス6を操作することによってファントム保持具200を動作させるように構成することも可能である。
また、上記のX線CT装置1′の動作の説明においては省略したが、第1、第2の実施形態と同様に、ファントム100の位置の誤差が大きい場合などに警告メッセージを出力するように構成することも可能である。
[ファントム保持具]
X線CT装置1′のファントム保持具200は、本発明の「ファントム保持具」の一例に相当する。ファントム保持具200は、X線CT装置1′の装置制御部41により制御されて動作し、天板31上に保持された状態のファントム100を、鉛直方向や水平方向に移動させるアクチュエータ201〜203を備えている。
ここで、装置制御部41は、本発明の「制御手段」の一例に相当する。また、アクチュエータ201、202は、それぞれ、ファントム100を鉛直方向(Y方向)、水平方向(X方向)に移動させる「ファントム駆動手段」の一例に相当する。また、アクチュエータ203は、ガントリ2の回転面の法線方向を基準とする傾斜方向にファントム100を傾斜させる「ファントム傾斜駆動手段」として機能する。
なお、ガントリ2の回転面の法線方向は、X線管22とX線検出器23が鉛直面内に配置されている場合にはZ方向に一致する。X線管22とX線検出器23が鉛直面内に配置されていない場合、ガントリ2の回転面の法線方向は、X線管22とX線検出器23とを結んだ直線を含む面(回転面)に直交する方向となる。また、「法線方向を基準とする傾斜方向」とは、当該法線方向に対する傾斜角度を増減させる方向への傾斜方向を意味している。
このようなファントム保持具200を用いることにより、ファントム100の位置合わせの高精度化を図ることが可能である。また、従来のようにファントム保持具のノブ等の操作部を操作する代わりに、入力デバイス6を操作してファントム100の位置合わせを行うことができるので、容易かつ迅速にファントムの位置合わせを行うことが可能になる。
[コンピュータプログラム]
以上に説明した第1、第2、第3の実施形態による処理は、コンピュータ装置4のマイクロプロセッサが、そのハードディスクドライブ等に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて実行する。特に、装置制御部41及び画像処理部42は、このコンピュータプログラムにしたがって動作する。
このようなコンピュータプログラムを、任意の記憶媒体(メディア)に、コンピュータ読み取り可能に記憶させることができる。その記憶媒体としては、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、CD−R(W)、DVD−ROM、DVD−R(W)、DVD−RAM、MO、各種メモリカードなど、電気的方法、磁気的方法、光学的方法等の任意の物理的方法によってデータを記憶可能に構成されたものを使用することができる。
また、このコンピュータプログラムをインターネットやLAN等のネットワーク上のサーバや記憶装置に格納しておき、コンピュータ装置4からネットワーク経由でアクセスして利用するように構成することも可能である。
以上において詳述した構成は、本発明を好適に実施するための一具体例に過ぎないものである。したがって、本発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜施すことが可能である。
本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態の外観構成の一例を表す概略斜視図である。 本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態の内部構成の一例を表す概略ブロック図である。 本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態の制御系の構成の一例を表す概略ブロック図である。 本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態の筐体抽出部による部分断層像データ抽出処理を説明するための概略図である。図4(A)は、断層画像生成部により生成されたファントムの断層像データに基づく断層像の概略を表す。図4(B)は、筐体抽出部により抽出されたファントムのケースに相当する部分断層像データに基づく断層像の概略を表す。 本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態の円中心算出部による部分断層像データ上の異なる3点の選択態様の一例を説明するための概略図である。 本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態の楕円中心算出部による部分断層像データ上の異なる4点の選択態様の一例を説明するための概略図である。 本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態の動作の一例を表すフローチャートである。 本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態の変形例3において、傾斜配置されたファントムの状態を表す概略斜視図である。 本発明に係るX線CT装置の第1の実施形態の変形例3におけるファントムの断層像の一例を表す概略図である。図9(A)は、第1のスライス位置におけるファントムの断層像を表し、図9(B)は、第2のスライス位置における断層像を表している。 本発明に係るX線CT装置のメンテナンスを実施するメンテナンスシステムの構成の一例を表す概略図である。 本発明に係るX線CT装置の第2の実施形態の動作の一例を表すフローチャートである。 本発明に係るX線CT装置の第3の実施形態の外観構成の一例を表す概略斜視図である。 本発明に係るX線CT装置の第3の実施形態のファントム保持具の構成の一例を表す概略側面図である。 本発明に係るX線CT装置の第3の実施形態の制御系の構成の一例を表す概略ブロック図である。 本発明に係るX線CT装置の第3の実施形態の動作の一例を表すフローチャートである。 X線CT装置の性能評価用の円筒状のファントムの構成を表す概略図である。図16(A)は、ファントムの外観構成を表す概略斜視図である。図16(B)は、ファントムの断面の形態を表す概略断面図である。
符号の説明
1、1′ X線CT装置
2 ガントリ
21 支持体
22 X線管
23 X線検出器
25 支持体駆動部
3 寝台
31 天板
33 天板駆動部
4 コンピュータ装置
41 装置制御部
51 ガントリ制御部
52 寝台制御部
53 コンソール制御部
54 保持具制御部
42 画像処理部
60 断層像データ生成部
72 データ記憶部
80 算出処理部
81 筐体抽出部
82 円中心算出部
83 楕円中心算出部
84 変位算出部
85 半径算出部
86 傾斜角度算出部
90 誤差処理部
91 誤差算出部
92 誤差判断部
5 モニタ
6 入力デバイス
100 ファントム
101 ケース
J 円筒軸
200 ファントム保持具
201、202、203 アクチュエータ
1000 院内サーバ
2000 サービスサーバ
O スキャン中心
P1〜P3 部分断層像データ上の3点
C 円の中心
Q1〜Q4 部分断層像データ上の4点
K 楕円の中心

Claims (27)

  1. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、
    X線ビームを発生するX線発生手段と、
    前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、
    前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する算出手段と、
    前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記ファントムの位置合わせのための情報を表示する表示手段と、
    を備えることを特徴とするX線CT装置。
  2. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、
    X線ビームを発生するX線発生手段と、
    前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、
    前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する算出手段と、
    前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記天板を移動させる天板駆動手段と、
    を備えることを特徴とするX線CT装置。
  3. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムを天板上に保持するファントム保持手段と、
    X線ビームを発生するX線発生手段と、
    前記保持されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、
    前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する算出手段と、
    前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記保持されたファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記ファントムを移動させるファントム駆動手段と、
    を備えることを特徴とするX線CT装置。
  4. 前記回転駆動手段による前記回転の中心の座標をあらかじめ記憶する記憶手段を更に備え、
    前記算出手段は、
    前記断層像データ生成手段により生成された断層像データから、前記ファントムの前記筐体に相当する部分断層像データを抽出する抽出手段と、
    前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる3点を通過する円の中心の座標を算出する円中心算出手段と、
    前記算出された前記円の中心の座標と、前記記憶された前記回転の中心の座標とに基づいて、前記回転の中心に対する前記ファントムの円筒軸の変位を算出する変位算出手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  5. 前記回転駆動手段による前記回転の中心の座標をあらかじめ記憶する記憶手段を更に備え、
    前記算出手段は、
    前記断層像データ生成手段により生成された断層像データから、前記ファントムの前記筐体に相当する部分断層像データを抽出する抽出手段と、
    前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる4点を通過する楕円の中心の座標を算出する楕円中心算出手段と、
    前記算出された前記楕円の中心の座標と、前記記憶された前記回転の中心の座標とに基づいて、前記回転の中心に対する前記ファントムの円筒軸の変位を算出する変位算出手段とを備える、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  6. 前記抽出手段により抽出された前記部分断層像データにおける異なる複数の点の、前記円に対する誤差を算出する誤差算出手段と、
    前記算出された誤差が所定値を超えるか否か判断する判断手段と、
    前記誤差が所定値を超えると前記判断されたときに報知情報を出力する報知情報出力手段と、
    を備えることを特徴とする請求項5に記載のX線CT装置。
  7. 前記抽出手段により抽出された前記部分断層像データにおける異なる複数の点の、前記楕円に対する誤差を算出する誤差算出手段と、
    前記算出された誤差が所定値を超えるか否か判断する判断手段と、
    前記誤差が所定値を超えると前記判断されたときに報知情報を出力する報知情報出力手段と、
    を備えることを特徴とする請求項6に記載のX線CT装置。
  8. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、
    X線ビームを発生するX線発生手段と、
    前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、
    前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する算出手段と、
    前記算出された傾斜角度に基づいて、前記ファントムの位置合わせのための情報を表示する表示手段と、
    を備えることを特徴とするX線CT装置。
  9. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、
    X線ビームを発生するX線発生手段と、
    前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、
    前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する算出手段と、
    前記算出された傾斜角度に基づいて、前記回転面の法線方向を前記ファントムの円筒軸に合わせるように、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を一体的に傾斜させる傾斜駆動手段と、
    を備えることを特徴とするX線CT装置。
  10. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムを天板に保持するファントム保持手段と、
    X線ビームを発生するX線発生手段と、
    前記保持されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、
    前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する算出手段と、
    前記算出された傾斜角度に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転面の法線方向に合わせるように、前記ファントムを傾斜させるファントム傾斜駆動手段と、
    を備えることを特徴とするX線CT装置。
  11. 前記算出手段は、
    前記断層像データ生成手段により生成された断層像データから、前記ファントムの前記筐体に相当する部分断層像データを抽出する抽出手段と、
    前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる4点を通過する楕円の水平方向の半径及び垂直方向の半径をそれぞれ算出する半径算出手段と、
    前記算出された前記楕円の水平方向の半径及び垂直方向の半径に基づいて、前記傾斜角度を算出する傾斜角度算出手段と、
    を備えることを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  12. 前記断層像データ生成手段は、前記ファントムの異なるスライス位置における複数の断層像データを生成し、
    前記算出手段は、前記生成された前記複数の断層像データに基づいて、前記回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜方向を特定し、
    前記表示手段は、前記特定された傾斜方向を前記傾斜角度とともに表示する、
    ことを特徴とする請求項8に記載のX線CT装置。
  13. 前記断層像データ生成手段は、前記ファントムの異なるスライス位置における複数の断層像データを生成し、
    前記算出手段は、前記生成された前記複数の断層像データに基づいて、前記回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜方向を特定し、
    前記傾斜駆動手段は、前記特定された傾斜方向と前記傾斜角度とに基づいて前記一体的な傾斜を行う、
    ことを特徴とする請求項9に記載のX線CT装置。
  14. 前記断層像データ生成手段は、前記ファントムの異なるスライス位置における複数の断層像データを生成し、
    前記算出手段は、前記生成された前記複数の断層像データに基づいて、前記回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜方向を特定し、
    前記ファントム傾斜駆動手段は、前記特定された傾斜方向と前記傾斜角度とに基づいて前記ファントムを傾斜させる、
    ことを特徴とする請求項10に記載のX線CT装置。
  15. 前記算出手段は、
    前記断層像データ生成手段により生成された前記複数の断層像データのそれぞれから、前記ファントムの前記筐体に相当する部分断層像データを抽出する抽出手段と、
    前記抽出された前記複数の部分断層像データのそれぞれについて、異なる4点を通過する楕円の中心の座標を算出する楕円中心算出手段と、
    を備え、
    前記算出された前記複数の楕円の中心の座標と、前記複数の断層像データのスライス位置とに基づいて、前記傾斜方向を特定する、
    ことを特徴とする請求項12〜請求項14のいずれか一項に記載のX線CT装置。
  16. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、
    X線ビームを発生するX線発生手段と、
    前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、
    前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、
    前記回転駆動手段による前記回転の中心の座標をあらかじめ記憶する記憶手段と、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、
    前記生成された断層像データから、前記ファントムの前記筐体に相当する部分断層像データを抽出する抽出手段と、
    前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる3点を通過する円の中心の座標を算出する円中心算出手段と、
    前記算出された前記円の中心の座標と、前記記憶された前記回転の中心の座標とに基づいて、前記回転の中心に対する前記ファントムの円筒軸の変位を算出する第1の変位算出手段と、
    前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる複数の点の円に対する誤差を算出する誤差算出手段と、
    前記算出された誤差が所定値を超えるか否か判断する判断手段と、
    前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる4点を通過する楕円の中心の座標を算出する楕円中心算出手段と、
    前記算出された前記楕円の中心の座標と、前記記憶された前記回転の中心の座標とに基づいて、前記回転の中心に対する前記ファントムの円筒軸の変位を算出する第2の変位算出手段と、
    前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記楕円の水平方向の半径及び垂直方向の半径をそれぞれ算出する半径算出手段と、
    前記算出された前記水平方向及び垂直方向の半径に基づいて、前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する傾斜角度算出手段と、
    前記判断手段により前記誤差が前記所定値を超えないと判断されたときに、前記第1の変位算出手段により算出された前記変位を表示し、前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記第2の変位算出手段により算出された前記変位と、前記傾斜角度算出手段により算出された前記傾斜角度とを表示する表示手段と、
    を有することを特徴とするX線CT装置。
  17. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、
    X線ビームを発生するX線発生手段と、
    前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、
    前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、
    前記回転駆動手段による前記回転の中心の座標をあらかじめ記憶する記憶手段と、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する断層像データ生成手段と、
    前記生成された断層像データから、前記ファントムの前記筐体に相当する部分断層像データを抽出する抽出手段と、
    前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる3点を通過する円の中心の座標を算出する円中心算出手段と、
    前記算出された前記円の中心の座標と、前記記憶された前記回転の中心の座標とに基づいて、前記回転の中心に対する前記ファントムの円筒軸の変位を算出する第1の変位算出手段と、
    前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる複数の点の円に対する誤差を算出する誤差算出手段と、
    前記算出された誤差が所定値を超えるか否か判断する判断手段と、
    前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記抽出された前記部分断層像データにおける異なる4点を通過する楕円の中心の座標を算出する楕円中心算出手段と、
    前記算出された前記楕円の中心の座標と、前記記憶された前記回転の中心の座標とに基づいて、前記回転の中心に対する前記ファントムの円筒軸の変位を算出する第2の変位算出手段と、
    前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記楕円の水平方向の半径及び垂直方向の半径をそれぞれ算出する半径算出手段と、
    前記算出された前記水平方向及び垂直方向の半径に基づいて、前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する傾斜角度算出手段と、
    前記算出された傾斜角度に基づいて、前記回転面の法線方向を前記ファントムの円筒軸に合わせるように、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を一体的に傾斜させる傾斜駆動手段と、
    前記判断手段により前記誤差が前記所定値を超えないと判断されたときに、前記第1の変位算出手段により算出された前記変位に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記天板を移動させ、前記誤差が前記所定値を超えると判断されたときに、前記第2の変位算出手段により算出された前記変位に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記天板を移動させる天板駆動手段と、
    を備えることを特徴とするX線CT装置。
  18. 前記天板を移動させるための天板操作手段と、
    前記表示手段による前記表示に伴い、前記天板操作手段の位置を報知する手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項16に記載のX線CT装置。
  19. 前記X線発生手段及び前記X線検出手段を一体的に傾斜させるための傾斜操作手段と、
    前記表示手段による前記傾斜角度の表示に伴い、前記傾斜操作手段の位置を報知する手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項8又は請求項16に記載のX線CT装置。
  20. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、表示手段とを備えるX線CT装置に、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する機能と、
    前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記ファントムの位置合わせのための情報を前記表示手段に表示させる機能と、
    を実行させるコンピュータプログラム。
  21. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段とを備えるX線CT装置に、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する機能と、
    前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記天板を移動させる機能と、
    を実行させるコンピュータプログラム。
  22. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムを天板上に保持するファントム保持手段と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記保持されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段とを備えるX線CT装置に、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の中心に対する前記ファントムの変位に関する情報を算出する機能と、
    前記算出された前記変位に関する情報に基づいて、前記保持されたファントムの円筒軸を前記回転の中心に合わせるように前記ファントムを移動させる機能と、
    を実行させるコンピュータプログラム。
  23. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段と、表示手段とを備えるX線CT装置に、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する機能と、
    前記算出された傾斜角度に基づいて、前記ファントムの位置合わせのための情報を前記表示手段に表示させる機能と、
    を実行させるコンピュータプログラム。
  24. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムが設置される天板と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記天板に設置されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段とを備えるX線CT装置に、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する機能と、
    前記算出された傾斜角度に基づいて、前記回転面の法線方向を前記ファントムの円筒軸に合わせるように前記X線発生手段及び前記X線検出手段を一体的に傾斜させる機能と、
    を実行させるコンピュータプログラム。
  25. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムを天板に保持するファントム保持手段と、X線ビームを発生するX線発生手段と、前記保持されたファントムを透過した前記X線ビームを検出するX線検出手段と、前記X線発生手段及び前記X線検出手段を回転させる回転駆動手段とを備えるX線CT装置に、
    前記X線検出手段により検出された前記X線ビームに基づいて、前記ファントムの断層像データを生成する機能と、
    前記生成された断層像データに基づいて、前記回転駆動手段による前記回転の回転面の法線方向に対する前記ファントムの円筒軸の傾斜角度を算出する機能と、
    前記算出された傾斜角度に基づいて、前記ファントムの円筒軸を前記回転面の法線方向に合わせるように、前記ファントムを傾斜させる機能と、
    を実行させるコンピュータプログラム。
  26. 充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムをX線CT装置の寝台装置の天板上に保持するファントム保持具であって、
    前記X線CT装置の制御手段により制御され、前記天板上に保持された状態の前記ファントムを、鉛直方向及び/又は水平方向に移動させるファントム駆動手段を備える、
    ことを特徴とするファントム保持具。
  27. X線ビームを発生するX線発生手段と前記発生されたX線ビームを検出するX線検出手段とを回転させつつデータを収集し、前記収集されたデータに基づいて断層像データを生成するX線CT装置の寝台装置の天板上に、充填物が充填された円筒形の筐体を有するファントムを保持するファントム保持具であって、
    前記X線CT装置の制御手段により制御され、前記天板上に保持された前記ファントムを、前記X線発生手段及び前記X線検出手段の回転面の法線方向を基準とする傾斜方向に傾斜させるファントム傾斜駆動手段を備える、
    ことを特徴とするファントム保持具。
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