JP2007222062A - スーパーオキサイド発生剤およびその製造方法 - Google Patents

スーパーオキサイド発生剤およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】取り扱いやすく、副産物を生じず、スーパーオキサイドだけを発生でき、しかも培地中においても、長時間スーパーオキサイドを発生できるスーパーオキサイド発生デバイスを提供する。
【解決手段】スーパーオキサイド発生剤の製造方法は特定の配列を有し、ヒト由来蛋白質Rac変異体のアミノ酸配列よりなる第1のタンパク質と、特定の配列を有し、ヒト由来酵素p67phoxとp47phoxの融合体蛋白質のアミノ酸配列よりなる第2のタンパク質と、シトクロムb558を含む溶液に1−メチル3−(3ジメチルラミノプロピル)カルボジイミド(EDC)とN−ヒドロキシスルホスクシイミド(NHS)を加えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、スーパーオキサイドの作用を調査する試験のための、スーパーオキサイドを発生させる技術に関する。
スーパーオキサイド(O2 -)が細胞に与える酸化ストレスは、様々な疾病の原因として近年注目されている。その疾病には、動脈硬化、高血圧、ガン、脳神経疾患などを始め、広く胃潰瘍、白内障なども含まれており、いずれも現代社会において大きな問題となっているものである。したがって、スーパーオキサイドの各々の細胞、組織におよぼす影響を調べることは、治療や診断の基礎として重要な課題である。しかし、これまでスーパーオキサイドを温和な条件下で発生させる適切な方法がなかったため、細胞ないしは組織レベルで調べることが困難であった。
従来スーパーオキサイド発生デバイスとして使用されていたのはキサンチンオキシダーゼであった(例えば非特許文献1)。一方、非特許文献2には、温和な条件で使用できるスーパーオキサイド発生デバイスが記載されている。
Barnes, K.A., Samson,S.E., and Grover, A.K. (2000) Molecular and Cellular Biochemistry, 203, 17-21 Minoru Tamura, etal. (2004)第77回日本生化学会大会発表抄録集987頁、日本生化学会
非特許文献1に記載されたキサンチンオキシダーゼによる方法においては、1)基質のキサンチンが溶けにくい、2)スーパーオキサイド以外に過酸化水素も発生する、3)副産物として尿酸を生じる、4)冷凍保存により別の酵素に変換する、などの問題点がある。中でも、副産物として生じる尿酸はスーパーオキサイドから生じる活性酸素OHラジカルと反応して無害化してしまうため、スーパーオキサイド発生デバイスとしては致命的である。
一方、白血球酵素NADPHオキシダーゼにはこのような欠点がなく強力なスーパーオキサイド発生能をもつが、反面、そのままでは活性がなく、活性化するためには多くの因子が要ること、活性化の手順が煩雑であること、そして酵素が不安定であること、などの問題があり、スーパーオキサイド発生デバイスとして用いることは考えられなかった。非特許文献2に記載されたスーパーオキサイド発生デバイスは、冷凍保存が可能であり、しかもバッファー液中で長時間スーパーオキサイドを発生することができる。しかし、培地中においても、長時間スーパーオキサイドを発生できることが望まれる。
この発明は、取り扱いやすく、副産物を生じず、スーパーオキサイドだけを発生でき、しかも培地中においても、長時間スーパーオキサイドを発生できるスーパーオキサイド発生デバイスを提供することを目的とする。
上記の目的を解決するために、本発明のスーパーオキサイド発生剤の製造方法は配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列よりなる第1のタンパク質と、配列番号2に示すアミノ酸配列よりなる第2のタンパク質と、シトクロムb558を含む溶液に1−メチル3−(3ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)とN−ヒドロキシスルホスクシイミド(NHS)を加えることを特徴とする。
これに加えて、EDCとNHSを加えた後、実質的に25℃で25分以上35分以下保つ工程を有することにより、スーパーオキサイド発生剤の安定性はさらに向上する。
上述の製造方法によって製造されるスーパーオキサイド発生剤は、新規な物質である。使用時において、副産物を生じず、スーパーオキサイドだけを発生でき、しかも培地中でも長時間にわたってスーパーオキサイドを発生させることができる。
この発明を実施するための最良の形態について説明する。図1はこの発明のスーパーオキサイド発生剤の構成と作用を示す概念図である。なお、図1においてタンパクの架橋は表示されていない。
スーパーオキサイド発生剤は、第1のタンパク質(図1の符号1、以下単に「タンパク質1」と表示する)、第2のタンパク質(図1の符号2、以下単に「タンパク質2」と表示する)と、シトクロムb558(図1の符号3)を含む。ここで、タンパク質1はヒトRacの変異体であり、RacQ61Lと表示される。タンパク質2は、ヒトp67phoxとp47phoxの融合タンパク質であり、p67N−p47Nと表示される。タンパク質1(ヒトRac変異体)のアミノ酸配列は、配列表の配列番号2に示される。また、タンパク質2のアミノ酸配列は配列番号1に示される。
タンパク質1とタンパク質2の製造方法の例を説明する。
タンパク質1(Racの変異体)は以下のように製造した。
配列表の配列番号3はヒトRacのcDNA配列を示す。61番目のアミノ酸残基グルタミンのコドン(CAA)をロイシンのコドン(CTA)に置換した。遺伝子変異はRacのcDNAを含むpGEX-2Tベクター(商品名、アマシャム社)上でQuik Change (商品名:ストラタジーン社)を用いて行った。変異導入には次の2本のプライマーを用いた。すなわち、
5' GGATACAGCTGGACTAGAAGATTATGACAG 3' とその相補的配列である
5' CTGTCATAATCTTCTAGTCCAGCTGTATCC 3'
(配列中の下線部が変異部分)
タンパク質2(p67Nとp47Nの融合の融合タンパク)は以下のように製造した。
配列表の配列番号4はp67のcDNA配列を、配列番号5はp47のcDNA配列をそれぞれ示す。 pGEX-2Tに組み込まれていたp67からp67N (1-210) にあたる塩基配列を下記のプライマーを使って増幅した。
5'-プライマー 5'-CGTggatccATGTCCCTGGTGGAGGCC-3'
3'-プライマー 5'-GATgaattcACTATCCACCACAGATGC-3'
ここで下線部はそれぞれ開始コドンを示す。5'側にはBam HIサイト(小文字)をまた3'側にはEcoRIサイト(小文字)をリンカーとしてつけた。 増幅したp67NのcDNAをゲル電気泳動で分離したのち、EcoRIで両端のリンカーを刈り込んだのち、同じくEcoRIで切断したpGEX-2Tベクターと混ぜて対合させ、DNA ligaseで結合させた。
p47Nの遺伝子はpVL1393ベクターに組み込まれていたものを次のプライマーを使ってPCR増幅した。
5'-プライマー 5'-GATgaattcATGGGGGACACCTTCATCC-3'
3'-プライマー 5'-GATgaattcTCAGACGGCAGACGCCAGC-3'
ここで下線部はそれぞれ開始コドンおよび終止コドンである。両端には
EcoRIサイト(小文字)のリンカーをつけた。 増幅したcDNAをゲル電気泳動で分離したのち、EcoRIで処理して両端のリンカーを刈り込んだ。これを上述のp67N cDNAを組み込んだpGEX-2Tベクターと混ぜ、DNA-ligaseでつないだ。
目的タンパク質 を発現する組み換えベクターを含む大腸菌BL-21のグリセロールストックから、滅菌した楊枝で5本の試験管中のLB-Amp培地(各4ml)に植菌。37℃で一晩、振盪培養した。次に2リットルのLB-Amp培地へ移し、37℃でインキュベートしながら、エアーポンプで大量の空気を培養液に送った。この際、培養液の泡立ちを抑えるため、アンチフォーム(商品名、シグマ社) を少量加えた。菌体の培養を3.5時間行い、終濃度0.1 mM のIPTGを加え、さらに2.5時間培養して菌体内に目的タンパクを発現させた。なお、p67N-p47N融合タンパク質の場合、不溶化を防ぐためIPTGの終濃度を0.05 mMに下げ、誘導時の温度を25℃で行った。
培養終了後ただちに培養液を遠心ボトルに移し、氷冷する。完全に氷冷された培養液を6,200×g、4℃で10 分間遠心した。沈殿に適量のSTE Bufferを加え、よくほぐし、同様に遠心を行った。このSTE Bufferによる洗浄を2回行い、菌体を集菌した後、ひとまず80℃に凍結した。
凍結させた菌体に氷冷されたLysis Buffer 50 ml(使用直前に各種プロテアーゼインヒビターを添加)を加え,激しくシェイクして沈殿をほぐし、ミニディスクローターを用いて室温で30分間穏やかに混ぜた。溶菌後、DNase I処理により、DNAを切断した。ライゼート50 mlに対し、10 mg/ml DNaseIを36μl、0.1M MgCl2 を2.64 ml、Brij を50 mg加え、激しくシェイクして、氷上で15 分間インキュベートした。その後、35,000×g、4℃で10 分間遠心し、上澄みを回収後、あらかじめ平衡化しておいたG-Sepharose (商品名、アマシャム社)2mlを回収した上澄み液に加え、ミニディスクローターにセットし4℃で一晩穏やかに混ぜ、目的タンパク質を吸着させた。
その後、500×g、4℃で5 分間遠心しG-Sepharose ビーズを沈殿させた。上澄みを除去しPBSを加え、ミニディスクローターで10 分間穏やかに撹拌後、500×g、4℃で5 分間遠心し、上澄みを除去した。この操作をPBSで2回、0.5% Triton X-100で2回、BufferIで2回行い、不純タンパクを除去した。その後、ペレット化したビーズにBufferIを等量加え、静かにほぐした。スラリー化したG-Sepharoseを4本のエッペンチューブに移した。
次に部位特異的プロテアーゼのスロンビンでG-Sepharose ビーズに結合したGST結合タンパク質間の切断を行った。室温で20 ユニットのスロンビンを加え、ディスクローターで穏やかに撹拌し、30 分間反応させ、さらにスロンビンを20 units追加し同様に室温で30 分間反応させた。
その後、500×g、4℃で10 分間遠心し、ビーズを沈殿させた。上澄みには目的タンパク質が溶出されており、回収後、BufferIでスラリーにし、15 ml培養チューブへ移したのちBufferIを入れ、ディスクローターで穏やかに10 分間撹拌後、500×g、4℃で5 分間遠心し、上澄みを回収した。この操作を2回繰り返しG-Sepharoseに残っている目的タンパク質を取り出した 。混入したビーズを除去するために溶出液をウルトラフリーMC(0.22μm, ミリポア社) にかけ、得られた目的タンパク質のスロンビンによる切断を防ぐためDIFP2μlを加え、20 mM リン酸緩衝液 (pH 7.0) で4℃、2 時間×2回、透析を行った後、アミコンウルトラ (ミリポア社) で濃縮した。
なお、上述の各成分について、以下に説明を示す。
IPTG: イソプロピル−β−D−チオガラクトース
・LB-Amp
LB培地を滅菌後、アンピシリンを50μl/mlに加えたもの
・STE Buffer
10 mM Tris-HCl (pH 8.0)
1 mM EDTA (pH 8.0)
150 mM NaCl

・Lysis Buffer
50 mM Tris-HCl (pH 7.5)
5 mM DTT
1 mM EDTA (pH 7.5)
0.25 mg/ml デオキシコール酸ナトリウム
400μg/ml Lysozyme
[インヒビター]
0.2 mM PMSF
10μg/ml Aprotinin (p67N-p47N では 1 mM DIFPを使用。)

・PBS Buffer
50 mM NaCl
50 mM KCl
8m M Na2HPO4
1.5 mM KH2PO4

・BufferI
50 mM Tris-HCl (pH 7.5)
50 mM NaCl
2.5 mM CaCl2
ついで、シトクロムb558の製造方法の例について説明する。
ブタの血液3リットルをガーゼでこしたのち、3%(w/v) ポリビニルピロリドン(K-90)水溶液を670 ml加える。良く撹拌し室温で45分間静置して赤血球を沈ませた後、上層を採取し、750 x g、20分間遠心する。上清を捨てて遠心ボトルの底をたたいて沈澱をほぐし、低張液0.2%(w/v)NaCl溶液100 mlを加え30秒間手で震盪し、赤血球を破裂させる。素早く1.6%(w/v)NaCl溶液を100mlを加えて等張にもどす。750 x g、15 分間遠心して上清を捨て、沈澱を0.9 %(w/v)NaCl溶液200 mlに懸濁して750 x g、20 分間遠心する。沈澱を再び生理食塩水に懸濁したのち、50 ml培養チューブにリンパ球分離液を25 ml入れた上に乗せる。800 x g、30 分間遠心後、沈澱以外の層は除去する。沈澱をPBSに懸濁し、450 x g、10分間遠心して洗浄したのち、再懸濁する。DIFPを終濃度2 mMになるように加え、0℃で20 分置いたのち、400 x g20分間遠心し、沈澱をBuffer Aに5 x 108個/mlの濃度で懸濁する。-80 ℃に保存する。
好中球を1 X 108 個/mlの濃度になるようにBuffer Aで希釈し、細胞破砕器中で窒素圧34気圧を20分かけたのち、終濃度2.5 mMになるようにEGTAを加えたビーカー中にノズルより放出させる。800×g、4℃、10 分間遠心後、上澄みを回収する。その後、ショ糖密度勾配遠心分離により、サイトソルと形質膜を分離する。下から順に50 %(w/v) そして 30 %(w/v)スクロースを含むBuffer A (1mM EGTA入り)の上にサンプルを上層し、150,000×g、4℃、1時間で遠心後 50%と30%層の間にある部分(形質膜)を回収し、Buffer Sで倍量に希釈後、NaCl水溶液を終濃度1Mになるように加え懸濁したあと、150,000×g、4℃、1時間で再び遠心して、余分な膜タンパクを除くと共に形質膜を沈澱させる。沈澱にBuffer Kを加え超音波をかけて懸濁させる。
20 %(w/v) n-ヘプチル−β−D−チオグルコシド(終濃度1.5%)で可溶化し、ただちに100,000×gで1時間遠心する。上澄みを回収し、16 %(v/v)グリセロールを含むBuffer Hで平衡化した3層カラム (DEAE-Sepharose、ω-aminooctyl-agarose、CM-Sepharose(いずれも商品名、アマシャム社))へ流す。素通り画分を回収し、8 %(v/v)グリセロールを含むBuffer Hで平衡化したHeparin-Sepharoseカラムに吸着させた後、NaCl勾配 (0.05−1.5M) により溶出させる。ピークを回収後、遠心濃縮器Amicon ultra (分画 50kD, ミリポア社)で濃縮したのち、再脂質化する。再脂質化は、リン脂質濃度1mg/ml buffer Aになるように調製されたリン脂質混合液 (PC : PE : PI : SM : cholesterol = 31 : 3 : 29 : 25 : 12 wt%)を精製シトクロムb558液に等量加え、かるく混ぜる。これを適当に小分けし−80℃で保存する。
以上、使用された各成分について以下に説明する。
DIFP: diisopropyl fluorophosphate
・Buffer A
200 mM PIPES (pH 7.4 )
180 mM NaCl
600 mM KCl
23m M MgCl2・6H2O
1 mM PMSF
1 μg/ml TLCK
1 mM ATP
6 %(w/v) スクロース

・Buffer S
50 mM PIPES (pH 7.4)
140 mM NaCl
1 mM EGTA
1 mM PMSF

・Buffer K
50 mM PIPES (pH 6.5 )
50 mM NaCl
1 mM EGTA
16 %(v/v) グリセロール 1 mM PMSF
0.5 mM DTT

・Buffer H
50 mM PIPES (pH 6.5)
50 mM NaCl
1 mM PMSF
0.2 mM DTT
1μg/ml TLCK
0.5 % (w/v) n-ヘプチル-・-D-チオグルコシド
本発明のスーパーオキサイド発生剤は、酵素成分である第2のタンパク質2を高濃度に含むことが好ましい。一般的には、酵素成分を使用する際に、EC50(最大反応速度の50%の反応速度を達成する濃度)を基準に選択され、例えば、EC50の5倍もの濃度にすれば最大反応速度になると考えるのが通常である。しかし、本実施形態では、この通常選択される濃度よりも高い濃度で第2のタンパク質2を混入する。p67N-p47Nの酵素活性化におけるEC50 は0.1μMである。しかし、本実施形態においてはEC50の30倍以上の濃度で調製した。このような濃度にすることによって、凍結保存後も活性が残るようになり、125倍以上にすることで殆ど失活なしに凍結保存できるようになる。本例においてEC50の125倍以上とは、12.5μM以上の濃度に対応する。また、第1のタンパク質もEC50(0.06μM)の50倍以上の濃度で凍結保存後も活性が残るようになり、200倍以上にすることで殆ど失活なしに凍結保存できるようになる。すなわち、第1のタンパク質の濃度は12μM以上で調製することが好ましい。
このような高濃度は常識とは全く異なるものであるが、これによって全体のタンパク量を一定以上にして凍結に耐えうるようにできるということが判明した。
以上のようにして調製された混合物は、そのままでもバッファー液中でスーパーオキサイド発生剤として使用可能であるが、本発明においては、培地中での安定性を向上させるために、1−メチル3−(3ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)とN−ヒドロキシスルホスクシイミド(NHS)を加える処理を行う。この処理の例について、以下、詳細に説明する。
まず、0027段落までに示した手順で調製した混合液を90μl使用する。この混合液中には、第1のタンパク質が25μM、第2のタンパク質が25μM、シトクロムb558が1.0μMの濃度でそれぞれ含まれている。これに、pH7.0のPIPESが50mMとMgCl2が8mMの溶液を800μl、1mMのFADを9μl加えて900μlの溶液とする。この溶液を5分間25℃に保った。
この900μlの溶液を450μlずつに分けて2つのサンプルとする。第1のサンプルに200mMのEDC25μlと100mMのNHS25μlを加えて、500μlの溶液とする。この溶液中で、EDCは10mM、NHSは5mMの濃度である。第2のサンプルにはEDCのみを加え、NHSは加えない。
こうして得られたそれぞれのサンプルを実質的に25℃で25分以上35分以下保った。このように、温度処理することによって、製造されるスーパーオキサイド発生剤の質が向上する。その中でも30分保持するのが特に好ましい。
こうして得られた溶液中には、不要なEDCが残存しているので、透析によってこれを除去する。外液として、50mMのPIPES、10μlのFAD、20%のグリセロールを使用する。得られた第1のサンプルを透析チューブに入れ、外液500ml中に2時間置く。この間、外液を5℃に保ちながら撹拌する。その後、外液を交換し、さらに2時間撹拌する。このようにして、過剰なEDCは取り除かれる。外液中には内液と同程度の濃度のFADが含まれているので、内液からFADが消失することが防止される。以上で、この発明のスーパーオキサイド発生剤の一例が製造される。なお、第2のサンプルも同様に透析し、比較用のスーパーオキサイド発生剤とする。
このようにして製造されたスーパーオキサイド発生剤は、これまでにない新規な物質である。架橋剤であるEDCによって、スーパーオキサイド発生剤内のタンパク質成分に架橋が形成されたと推定されるが、EDCとNHSによる処理によって、スーパーオキサイド発生剤はより安定になる。バッファー液中はもとより、培地中でも安定であり、長時間にわたってスーパーオキサイドの発生が継続する。
つぎに、この発明の実施例について説明する。サンプル1(EDCとNHSによる処理)より得られたスーパーオキサイド発生剤を実施例として使用する。一方、サンプル2(EDCのみによる処理)より得られたスーパーオキサイド発生剤を第1の比較例として使用する。また、EDCやNHSによる処理を全く行っていないものを第2の比較例として使用する。
276μlの培地に実施例のスーパーオキサイド発生剤、第1の比較例、第2の比較例をそれぞれ12.6μl加え、37℃に保ちながら、スーパーオキサイドの発生量の時間変化を測定する。
スーパーオキサイドの発生量の測定方法について説明する。試験開始時点、および所定時間経過後に、一定量のサンプルを採取し、シトクロムCを含む溶液中に加える。加えたサンプルがO2 -を発生すると、シトクロムCが発色する。この発色の度合いを測定し、スーパーオキサイドの発生能力を比較する。測定は、試験開始時点および15分、30分、60分、120分、240分、300分経過時に行った。
図2は、スーパーオキサイドの発生能力の時間変化を示すグラフである。EDCやNHSによる処理を全く行っていない第2の比較例では、15分後にはスーパーオキサイドの発生能力が著しく低下する。EDCのみによる処理を行った第1の比較例では、スーパーオキサイドの発生の持続力はやや向上し、半減期は約20分であった。EDCとNHSにより処理された実施例では、安定性が著しく向上しており、半減期は約200分になった。5時間経過後でもなお40%以上のスーパーオキサイドの発生能力が維持されていた。
以上、第1のタンパク質、第2のタンパク質およびシトクロムb558を含む溶液にEDCとNHSによる処理を行うことによって、培地中でも長時間スーパーオキサイドを発生できる安定なスーパーオキサイド発生剤が製造できる。
本発明は、細胞や組織に対するスーパーオキサイドの作用を調べるためのスーパーオキサイドの発生剤として利用することができる。また、酸化ストレス実験ツール、スーパーオキシドジムスターゼ(SOD)アッセイキット、さらにSODを共存させれば過酸化水素発生デバイスとしても利用できる。
スーパーオキサイド発生剤の構成と作用を示す概念図である。 スーパーオキサイドの発生能力の時間変化を示すグラフである。
符号の説明
1.第1のタンパク質(タンパク質1)
2.第2のタンパク質(タンパク質2)
3.シトクロムb558

Claims (3)

  1. 配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列よりなる第1のタンパク質と、配列番号2に示すアミノ酸配列よりなる第2のタンパク質と、シトクロムb558を含む溶液に1−メチル3−(3ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)とN−ヒドロキシスルホスクシイミド(NHS)を加えることを特徴とするスーパーオキサイド発生剤の製造方法。
  2. 1−メチル3−(3ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)とN−ヒドロキシスルホスクシイミド(NHS)を加えた後、実質的に25℃で25分以上35分以下保つ工程を有する請求項1に記載のスーパーオキサイド発生剤の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の製造方法により製造されるスーパーオキサイド発生剤。




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