JP2007219201A - 光学素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 製造工程の単純化に好適な光学素子の構造を提供する。
【解決手段】 本発明の光学素子は、第1の基板レスフィルタ、第2の基板レスフィルタ、および光学プリズムを備える。第1の基板レスフィルタは、予め定められた波長λ1の光を反射し、予め定められた波長λ2の光を透過する。第2の基板レスフィルタは、波長λ1,λ2の光を透過し、波長λ3の波長を反射する。光学プリズムには、これら2種類の基板レスフィルタを挿入する2本の溝が直角に形成される。この光学プリズムの2本の溝によって、これら2種類の基板レスフィルタの面が直角に保持される。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の光学素子は、第1の基板レスフィルタ、第2の基板レスフィルタ、および光学プリズムを備える。第1の基板レスフィルタは、予め定められた波長λ1の光を反射し、予め定められた波長λ2の光を透過する。第2の基板レスフィルタは、波長λ1,λ2の光を透過し、波長λ3の波長を反射する。光学プリズムには、これら2種類の基板レスフィルタを挿入する2本の溝が直角に形成される。この光学プリズムの2本の溝によって、これら2種類の基板レスフィルタの面が直角に保持される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、光学素子およびその製造方法に関する。
FTTH(Fiber To The Home)などの光通信分野では、設備コストの低減が重要な課題となる。そこで、光信号の多重化によって光ファイバーの使用本数を削減し、光学素子を用いて光信号を簡易に分岐または合成するPON(Passive Optical Network)方式が普及している。
特に、B-PON方式では、データの上り(1310nm帯)および下り(1490nm帯)、並びに映像信号の下り(1550nm帯)からなる光信号を波長多重し、1本の光ファイバーを用いて3種類の光信号のやり取りを行っている。
特に、B-PON方式では、データの上り(1310nm帯)および下り(1490nm帯)、並びに映像信号の下り(1550nm帯)からなる光信号を波長多重し、1本の光ファイバーを用いて3種類の光信号のやり取りを行っている。
ところで、この種の光通信に使用するため、3種類以上の波長帯を光分岐または光合成する光学素子が従来提案されている。例えば、特許文献1には、2個の直角二等辺三角形プリズムの斜面間に、フィルタ膜を両面形成した板状プリズムを挟んで貼り合わせた光学素子が開示されている。また、特許文献2には、2個の光学プリズムの面にフィルタ膜を形成し、互いに貼り合わせた光学素子が開示されている。
特開平2−34808号公報(第1図,第2図)
特開2005−91907号公報(図1,図2,図3)
上述した従来例は、光学プリズムの面にフィルタ膜を逐一形成しなければならない。さらに、3波以上の分岐や合成には、これらの光学プリズムを精密に貼り合わせる必要がある。そのため、従来例では、光学素子の製造工程が複雑で大量生産に不向きであるという問題点があった。
特に、光通信用途に使用されるミリオーダー以下の微細な光学素子を、上述した従来の製造工程で作成することは非常に困難であり、光学素子の高コスト化を招いてしまうという問題点があった。
そこで、発明は、製造工程の単純化に適した光学素子を提供することを目的とする。
特に、光通信用途に使用されるミリオーダー以下の微細な光学素子を、上述した従来の製造工程で作成することは非常に困難であり、光学素子の高コスト化を招いてしまうという問題点があった。
そこで、発明は、製造工程の単純化に適した光学素子を提供することを目的とする。
《1》 本発明の光学素子は、第1の基板レスフィルタ、第2の基板レスフィルタ、および光学プリズムを備える。
第1の基板レスフィルタは、予め定められた波長λ1の光を反射し、予め定められた波長λ2の光を透過する。
第2の基板レスフィルタは、波長λ1,λ2の光を透過し、波長λ3の波長を反射する。
光学プリズムには、2種類の基板レスフィルタを挿入する2本の溝が直角に形成される。この光学プリズムの2本の溝によって、これら2種類の基板レスフィルタの面が直角する形態に保持される。
《2》 なお好ましくは、第1の基板レスフィルタは、波長λ3の光を透過する。さらに、光学プリズムは、2本の溝が十字状に交差して設けられる。この十字溝には、2種類の基板レスフィルタを十字状に交差した形態に配置される。
《3》 本発明の製造方法は、請求項2に記載の光学素子の製造方法であって、下記の工程を備える。
(1)透明板の面に、斜め格子状に溝を形成する工程。
(2)溝を形成した透明板を切断し、2本の溝が十字状に交差した光学プリズムを切り出す工程。
(3)光学プリズムの十字状の溝に2種類の基板レスフィルタを配置して、2種類の基板レスフィルタの面が十字状に交差した形態に組み立てる工程。
第1の基板レスフィルタは、予め定められた波長λ1の光を反射し、予め定められた波長λ2の光を透過する。
第2の基板レスフィルタは、波長λ1,λ2の光を透過し、波長λ3の波長を反射する。
光学プリズムには、2種類の基板レスフィルタを挿入する2本の溝が直角に形成される。この光学プリズムの2本の溝によって、これら2種類の基板レスフィルタの面が直角する形態に保持される。
《2》 なお好ましくは、第1の基板レスフィルタは、波長λ3の光を透過する。さらに、光学プリズムは、2本の溝が十字状に交差して設けられる。この十字溝には、2種類の基板レスフィルタを十字状に交差した形態に配置される。
《3》 本発明の製造方法は、請求項2に記載の光学素子の製造方法であって、下記の工程を備える。
(1)透明板の面に、斜め格子状に溝を形成する工程。
(2)溝を形成した透明板を切断し、2本の溝が十字状に交差した光学プリズムを切り出す工程。
(3)光学プリズムの十字状の溝に2種類の基板レスフィルタを配置して、2種類の基板レスフィルタの面が十字状に交差した形態に組み立てる工程。
本発明は、光学プリズムに設けた溝に、分光特性の異なる、少なくとも2種類の基板レスフィルタを配置して光学素子を構成する。この構成では、分光特性の比較的複雑な光学素子を、従来例よりも単純な製造工程で作成することが可能になる。
《第1実施形態》
[光学素子の構成説明]
図1は、光学素子11の構成を示す図である。
図1において、光学プリズム12は、正方形の底面を持つ柱状プリズムである。この正方形の対角線に合わせて、光学プリズム12には十字状に直交する溝が形成される。この十字状の溝には、2種類の基板レスフィルタ13a,13bが十字交差する形態に配置される。
[光学素子の構成説明]
図1は、光学素子11の構成を示す図である。
図1において、光学プリズム12は、正方形の底面を持つ柱状プリズムである。この正方形の対角線に合わせて、光学プリズム12には十字状に直交する溝が形成される。この十字状の溝には、2種類の基板レスフィルタ13a,13bが十字交差する形態に配置される。
図2は、45度入射に対する第1の基板レスフィルタ13aの分光特性を示す図である。図2に示すように、第1の基板レスフィルタ13aは、P偏光成分およびS偏光成分のいずれについても、波長λ1=1330nmの光を反射し、波長λ2=1490nmおよび波長λ3=1550nmの光を透過する。
図3は、45度入射に対する第2の基板レスフィルタ13bの分光特性を示す図である。図3に示すように、第2の基板レスフィルタ13bは、P偏光成分およびS偏光成分のいずれについても、波長λ1=1330nmおよび波長λ2=1490nmを透過し、波長λ3=1550nmの光を反射する。
[光学素子11の動作説明]
図4は、光学素子11を用いて、B-PON方式の光分岐および光合成を行う様子を示す図である。以下、B-PON方式に使用される信号別に、光学素子11の動作を説明する。
図4は、光学素子11を用いて、B-PON方式の光分岐および光合成を行う様子を示す図である。以下、B-PON方式に使用される信号別に、光学素子11の動作を説明する。
(1)上りデータ・・B-PON方式では、家庭から局への上りデータに、波長λ1=1330nmの光を使用する。この波長λ1の上りデータは、家庭内のデータ処理システムなどで作成され、図4[A]に示すように光学プリズム12の入射面15へ入射する。この上りデータは、斜め配置された第1の基板レスフィルタ13aに反射されることで進行方向を直角に曲げ、光学プリズム12の局側の面16へ導かれる。なお、この波長λ1の通過光路上には、第2の基板レスフィルタ13bも存在するが、波長λ1の光を透過するため、その影響は無視できる。局側の面16から出た波長λ1の上りデータは、不図示の光ファイバーなどを介して伝送され、局へ送信される。
(2)下りデータ・・B-PON方式では、局から家庭への下りデータに、波長λ2=1490nmの光を使用する。この波長λ2の下りデータは、局から光ファイバーを介して伝送されたのち、図4[B]に示すように、光学プリズム12の局側の面16へ入射する。この下りデータは、2種類の基板レスフィルタ13a,13bをいずれも透過するため、そのまま反対側の出射面17へ導かれる。この出射面17から出た波長λ2の下りデータは、家庭側のデータ処理システムなどへ供給される。
(3)下りの映像信号・・B-PON方式では、局から家庭へ伝送される映像信号に、波長λ3=1550nmの光を使用する。この波長λ3の映像信号は、局から光ファイバーを介して伝送されたのち、図4[C]に示すように、光学プリズム12の局側の面16へ入射する。この映像信号は、斜め配置された第2の基板レスフィルタ13bに反射されることで進行方向を直角に曲げ、光学プリズム12の出射面18へ導かれる。なお、この波長λ3の通過光路上には、第1の基板レスフィルタ13aも存在するが、波長λ3の光を透過するため、その影響は無視できる。出射面18から出た波長λ3の映像信号は、家庭側の映像処理システムなどへ供給される。
[光学素子11の製造方法]
図5は、光学プリズム12の製造工程を示す図である。
図6は、基板レスフィルタ13a,13bの製造工程を示す図である。
図7は、光学素子11の組み立て工程を示す図である。
以下、図5〜図7を用いて、光学素子11の製造工程を、光学プリズム12の製造、基板レスフィルタ13a,13bの製造、および光学素子11の組み立ての順番に説明する。
図5は、光学プリズム12の製造工程を示す図である。
図6は、基板レスフィルタ13a,13bの製造工程を示す図である。
図7は、光学素子11の組み立て工程を示す図である。
以下、図5〜図7を用いて、光学素子11の製造工程を、光学プリズム12の製造、基板レスフィルタ13a,13bの製造、および光学素子11の組み立ての順番に説明する。
***光学プリズム12の製造***
(1)溝形成工程・・まず、光学プリズム12の元となる2mm厚の透明板21(例えば、BK7のホウケイ酸クラウン光学ガラス)を用意する。この透明板21の面に対して、幅50μmかつ深さ1mmで垂直に切り込んだ溝を、45度および−45度方向に横2mm間隔でそれぞれ設ける。例えば、この種の溝形成には、下記の加工方法を選択することが好ましい。
a.ダイシング装置を用いた溝入れ加工
b.射出成形によって斜め格子状の溝を一度に形成
c.エッチングによる溝形成
d.光硬化樹脂に対し斜め格子部分をマスクした光を照射して部分的に硬化させ、非硬化部分を除去して斜め格子溝を形成
このような溝形成の工程によって、透明板21の表面には、図5[A]に示すように、溝が斜め格子状に形成される。
(2)切り出し工程・・続いて、溝を形成した透明板21を、ダイシング装置などを用いて、図5[B]に示すように縦横に切断し、十字溝の交点を中心にした2mm角のブロックを切り出す。この切り出し工程により、図5[C]に示すように、多数の光学プリズム12を一度に作成することができる。
(1)溝形成工程・・まず、光学プリズム12の元となる2mm厚の透明板21(例えば、BK7のホウケイ酸クラウン光学ガラス)を用意する。この透明板21の面に対して、幅50μmかつ深さ1mmで垂直に切り込んだ溝を、45度および−45度方向に横2mm間隔でそれぞれ設ける。例えば、この種の溝形成には、下記の加工方法を選択することが好ましい。
a.ダイシング装置を用いた溝入れ加工
b.射出成形によって斜め格子状の溝を一度に形成
c.エッチングによる溝形成
d.光硬化樹脂に対し斜め格子部分をマスクした光を照射して部分的に硬化させ、非硬化部分を除去して斜め格子溝を形成
このような溝形成の工程によって、透明板21の表面には、図5[A]に示すように、溝が斜め格子状に形成される。
(2)切り出し工程・・続いて、溝を形成した透明板21を、ダイシング装置などを用いて、図5[B]に示すように縦横に切断し、十字溝の交点を中心にした2mm角のブロックを切り出す。この切り出し工程により、図5[C]に示すように、多数の光学プリズム12を一度に作成することができる。
***基板レスフィルタ13a,13bの製造***
(3)フィルタ膜32の積層工程・・まず、図6[A]に示すように、土台とする基板30の上に、アルミ層などの剥離層31を形成する。この剥離層31の上に、屈折率の異なる無機誘電材料をスパッタリング法などで順次に積層し、例えば15μm以上のフィルタ膜32を形成する。このフィルタ膜32は、公知の光学薄膜技術により、図2や図3の分光特性となるように設計・作成できる。なお、剥離層31の上に、屈折率の異なる有機材料をスピンコートやスプレーコートにより順次に積層し、フィルタ膜32を形成してもよい。
(4)フィルタ膜32の裁断工程・・図6[B]に示すように、フィルタ膜32を基板レスフィルタ13a(13b)の縦横寸法ごとに区切るよう、裁断用の溝33を格子状に入れる。
(5)剥離層31の剥離工程・・図6[C]に示すように、剥離層31を剥離して、多数の基板レスフィルタ13a(13b)に分離する。なお、剥離層31がアルミ層の場合には、エッチングによってアルミ層を除去してもよい。また、接着強度の低い剥離層31の場合には、力によって剥離してもよい。
(3)フィルタ膜32の積層工程・・まず、図6[A]に示すように、土台とする基板30の上に、アルミ層などの剥離層31を形成する。この剥離層31の上に、屈折率の異なる無機誘電材料をスパッタリング法などで順次に積層し、例えば15μm以上のフィルタ膜32を形成する。このフィルタ膜32は、公知の光学薄膜技術により、図2や図3の分光特性となるように設計・作成できる。なお、剥離層31の上に、屈折率の異なる有機材料をスピンコートやスプレーコートにより順次に積層し、フィルタ膜32を形成してもよい。
(4)フィルタ膜32の裁断工程・・図6[B]に示すように、フィルタ膜32を基板レスフィルタ13a(13b)の縦横寸法ごとに区切るよう、裁断用の溝33を格子状に入れる。
(5)剥離層31の剥離工程・・図6[C]に示すように、剥離層31を剥離して、多数の基板レスフィルタ13a(13b)に分離する。なお、剥離層31がアルミ層の場合には、エッチングによってアルミ層を除去してもよい。また、接着強度の低い剥離層31の場合には、力によって剥離してもよい。
***光学素子11の組み立て***
(6)光学素子11の組み立て工程・・図7に示すように、光学プリズム12の対角溝の片方に対して、第1の基板レスフィルタ13aを2枚並べて挿入し、双方が中心で付き合わせるように調整する。さらに、対角溝のもう片方に対して、第2の基板レスフィルタ13bを2枚並べて挿入し、中心で付き合わせるように配置する。なお、最初に挿入する基板レスフィルタについては、2倍サイズの1枚フィルタにまとめてもよい。
(7)接着工程・・基板レスフィルタ13a,13bの挿入後、必要であれば、接着剤などを用いて、光学プリズム12と基板レスフィルタ13a,13bとを固定してもよい。この場合の接着剤には、余計な光学的影響を排するため、光学プリズム12の素材と同等程度の屈折率を有する接着剤を使用することが好ましい。
(6)光学素子11の組み立て工程・・図7に示すように、光学プリズム12の対角溝の片方に対して、第1の基板レスフィルタ13aを2枚並べて挿入し、双方が中心で付き合わせるように調整する。さらに、対角溝のもう片方に対して、第2の基板レスフィルタ13bを2枚並べて挿入し、中心で付き合わせるように配置する。なお、最初に挿入する基板レスフィルタについては、2倍サイズの1枚フィルタにまとめてもよい。
(7)接着工程・・基板レスフィルタ13a,13bの挿入後、必要であれば、接着剤などを用いて、光学プリズム12と基板レスフィルタ13a,13bとを固定してもよい。この場合の接着剤には、余計な光学的影響を排するため、光学プリズム12の素材と同等程度の屈折率を有する接着剤を使用することが好ましい。
[第1実施形態の効果など]
以上説明したように、第1実施形態では、正方底面を有する光学プリズム12に2種類の基板レスフィルタ13a,13bを十字配置する。そのため、従来例のような変則的な傾斜形態ではなく、また無駄な出っ張りもない微細な光学素子11が実現する。
以上説明したように、第1実施形態では、正方底面を有する光学プリズム12に2種類の基板レスフィルタ13a,13bを十字配置する。そのため、従来例のような変則的な傾斜形態ではなく、また無駄な出っ張りもない微細な光学素子11が実現する。
また、十字交差したフィルタ構造のため、光学素子11内の透過光路は、一直線か直角曲がりのいずれかとなる。そのため、この透過光路は、光学プリズム12の面に対して、垂直入射し、さらに最終的に垂直出射する。そのため、光学プリズム12の面は光路に対して直交するため、余計な光屈折などは生じない。したがって、光学素子11に光ファイバーなどを垂直向きに外付けすればよく(必要ならば集光レンズを介して)、光学素子11の外付け構造も非常に簡素化しやすくなる。
さらに、製造工程の特徴として、光学プリズム12と、基板レスフィルタ13a,13bとを別々に製造している。この内、光学プリズム12は、図5に示すような透明板21に対する形状加工または機械加工で簡単に済み、微細な光学プリズム12の大量生産が可能になる。一方、基板レスフィルタ13a,13bは、平坦な基板上に大きめに形成した後、細かく裁断する。そのため、一つ一つの細かな基板レスフィルタ13a,13bは、均一性に優れ、かつ大量生産が可能になる。したがって、プリズム面にフィルタを一つずつ膜形成する従来例とは異なり、光学素子11の製造工数および製造コストを大幅に低減することが可能になる。
《第2実施形態》
図8は、第2実施形態における光学素子41を示す図である。
図8において、光学プリズム42は、縦横比2の長方形の底面を持つ柱状プリズムである。この光学プリズム42には、くの字状(または八の字状)に直角する2本の溝が形成される。この種の光学プリズム42も、第1実施形態(図5)と同様に、透明板に溝入れ工程と切り出し工程を施すことによって大量生産することが可能である。
図8は、第2実施形態における光学素子41を示す図である。
図8において、光学プリズム42は、縦横比2の長方形の底面を持つ柱状プリズムである。この光学プリズム42には、くの字状(または八の字状)に直角する2本の溝が形成される。この種の光学プリズム42も、第1実施形態(図5)と同様に、透明板に溝入れ工程と切り出し工程を施すことによって大量生産することが可能である。
この2本の溝に、2種類の基板レスフィルタ43a、43bが挿入され、くの字状(または八の字状)に設置される。これらの基板レスフィルタ43a,43bは、第1実施形態の基板レスフィルタ13a,13bと同一の分光特性(図2,図3参照)を有する。なお、第1の基板レスフィルタ43aについては、波長λ3の光を透過しても反射してもどちらでもかまわない。この種の基板レスフィルタ43a,43bも、第1実施形態(図6)と同様の工程を経て、大量生産することができる。
このように完成した光学素子41では、波長λ1=1330nmの上りデータが、入射面45から入射し、斜め配置された第1の基板レスフィルタ43aに反射される。反射後の上りデータは、光学プリズム42の局側の面46から出射される。なお、この光路上には、第2の基板レスフィルタ43bも存在するが、波長λ1の光を透過するため、その影響は無視できる。局側の面46から出射した波長λ1の上りデータは、不図示の光ファイバーなどを介して伝送され、局へ送信される。
一方、波長λ2=1490nmの下りデータは、局側の面46から入射する。この下りデータは、2種類の基板レスフィルタ43b,43aをいずれも通過して、反対側の出射面47へ導かれる。出射面47から出射した波長λ2の下りデータは、家庭側のデータ処理システムなどへ供給される。
また一方、波長λ3=1550nmの映像信号は、局側の面46から入射する。この映像信号は、斜め配置された第2の基板レスフィルタ43bに反射される。反射後の映像信号は、光学プリズム42の出射面48から出射される。なお、この波長λ3の光路上には、第1の基板レスフィルタ43aが存在しないため、その影響は無視できる。出射面48から得られる波長λ3の映像信号は、家庭側の映像処理システムなどへ供給される。
[第2実施形態の効果など]
第2実施形態においても、光学プリズム42と、基板レスフィルタ43a,43bとを別々に製造する。この内、光学プリズム42は溝入れ工程と切り出し工程によって大量生産が可能である。一方、基板レスフィルタ13a,13bも、基板上のフィルタ膜を裁断後に剥離するだけで大量生産が可能である。したがって、プリズム面にフィルタを一つずつ膜形成する従来例とは異なり、製造工数および製造コストを大幅に低減することが可能になる。
第2実施形態においても、光学プリズム42と、基板レスフィルタ43a,43bとを別々に製造する。この内、光学プリズム42は溝入れ工程と切り出し工程によって大量生産が可能である。一方、基板レスフィルタ13a,13bも、基板上のフィルタ膜を裁断後に剥離するだけで大量生産が可能である。したがって、プリズム面にフィルタを一つずつ膜形成する従来例とは異なり、製造工数および製造コストを大幅に低減することが可能になる。
なお、第1実施形態の光学素子11に比べ、光学素子41は体積が2倍になる点で劣る。しかしながら、従来例のような変則的に傾斜した形態ではなく、また無駄な出っ張りもない点から、光通信路に配置する上で好適である。また、λ1〜λ3のいずれの光についても、光学プリズム42の面に対して垂直入射し、かつ垂直出射する。そのため、光学プリズム42の面において光路に余計な屈折は生じず、光学素子41の外付け構造も簡素化できる。
《実施形態の補足事項》
なお、上述した実施形態では、B-PON方式の光分岐または光合成に使用する光学素子について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、光学多層膜の公知の設計技術により波長λ1〜λ3の値を変更することにより、別用途の光通信に使用することも可能である。
なお、上述した実施形態では、B-PON方式の光分岐または光合成に使用する光学素子について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、光学多層膜の公知の設計技術により波長λ1〜λ3の値を変更することにより、別用途の光通信に使用することも可能である。
また、上述した実施形態では、波長光の進行方向を逆に設定することで、光分岐を光合成に変更したり、光合成を光分岐に変更することが可能になる。例えば、図4[A]に示す波長λ1の光の進行方向を逆に設定することにより、局側の面16から入射した波長λ1,λ2,λ3の合成光を、波長単位に三方向に分岐することが可能になる。
また、上述した実施形態では、光通信用途に適した微細サイズの光学素子について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の光学素子を、液晶プロジェクタ用の光合成プリズム、電子カメラ用のダイクロイックプリズムなど、比較的大きなサイズの光学素子として作成することも可能である。
さらに、上述した実施形態を拡張して、光学プリズム単体に3本以上の溝を設け、分光特性の異なる基板レスフィルタを溝ごとに配置してもよい。この構成により、4波長以上の光を分岐または合成する光学素子を実現することができる。
なお、上述した実施形態において、光学プリズムの外面(出射面や入射面)については、反射防止膜や、不要波長の遮断膜などを適宜に形成してもよい。特に、本実施形態の光学プリズムは、これら外面が略直交する面からなるので、多数の光学プリズムを隙間なく並べることで、外面を一方向に揃えることができる。この状態で、反射防止膜を一度に形成することにより、低コストに反射防止膜などを形成することも可能になる。
また、上述した光学素子の製造方法は、一例であり、本実施形態はこれに限定されるものではない。単体の光学プリズムであれば、研磨工程や射出成形などで形成してもよい。
以上説明したように、本発明は、光学素子などに利用可能な技術である。
11…光学素子,12…光学プリズム,13a…第1の基板レスフィルタ,13b…基板レスフィルタ,16…局側の面,21…透明板,30…基板,31…剥離層,32…フィルタ膜,41…光学素子,42…光学プリズム,43a…第1の基板レスフィルタ,43b…第2の基板レスフィルタ
Claims (3)
- 予め定められた波長λ1の光を反射し、予め定められた波長λ2の光を透過する第1の基板レスフィルタと、
前記波長λ1,λ2の光を透過し、予め定められた波長λ3の波長を反射する第2の基板レスフィルタと、
前記2種類の基板レスフィルタを挿入する2本の溝を直角に形成した光学プリズムとを備え、
前記光学プリズムは、前記2本の溝によって、前記2種類の基板レスフィルタの面を直角する形態に保持する
ことを特徴とする光学素子。 - 請求項1に記載の光学素子において、
前記第1の基板レスフィルタは、前記波長λ3の光を透過し、
前記光学プリズムは、前記2本の溝が十字状に交差し、前記2種類の基板レスフィルタを十字状に交差した形態に保持する
ことを特徴とする光学素子。 - 請求項2に記載の光学素子の製造方法であって、
透明板の面に、斜め格子状に溝を形成する工程と、
前記溝を形成した前記透明板を切断し、2本の溝が十字状に交差した光学プリズムを切り出す工程と、
前記光学プリズムの十字状の前記溝に前記2種類の基板レスフィルタを配置して、前記2種類の基板レスフィルタの面が十字状に交差した形態に組み立てる工程と
を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006040369A JP2007219201A (ja) | 2006-02-17 | 2006-02-17 | 光学素子およびその製造方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP (1) | JP2007219201A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011128108A (ja) * | 2009-12-21 | 2011-06-30 | Olympus Corp | 分光器、及び、それを備えた光学装置 |
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2006
- 2006-02-17 JP JP2006040369A patent/JP2007219201A/ja not_active Withdrawn
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