JP2007218154A - 渦流ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】渦流ポンプ内での流体の漏れが少なくてポンプ効率が高い、小型の渦流ポンプを提供する。
【解決手段】複数の羽根21を外周に有する円盤形状の羽根部24、及び軸受けを内周に有する筒形状の軸受け部25を備えた羽根車20と、羽根車20をスラスト方向に移動可能に支承する軸40と、羽根車20が有する軸受け部25の周りに配置されて羽根車20を回転駆動させる駆動装置50とがケース部材1に収納されてなる渦流ポンプ10であって、ケース部材1は、羽根部24を収容する流体移送部2と、駆動装置50を収容する駆動装置収容部3とを備え、羽根車20の両面7a,7b、又は、羽根車20の両面それぞれに対向するケース部材1の面6a,6bには、羽根21の内側にあたる位置に羽根車20の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝22a,22bが形成されている。
【選択図】図1
【解決手段】複数の羽根21を外周に有する円盤形状の羽根部24、及び軸受けを内周に有する筒形状の軸受け部25を備えた羽根車20と、羽根車20をスラスト方向に移動可能に支承する軸40と、羽根車20が有する軸受け部25の周りに配置されて羽根車20を回転駆動させる駆動装置50とがケース部材1に収納されてなる渦流ポンプ10であって、ケース部材1は、羽根部24を収容する流体移送部2と、駆動装置50を収容する駆動装置収容部3とを備え、羽根車20の両面7a,7b、又は、羽根車20の両面それぞれに対向するケース部材1の面6a,6bには、羽根21の内側にあたる位置に羽根車20の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝22a,22bが形成されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、羽根車の回転により、吸込口から吸い込まれた流体が流体通路を経て排出口から送り出される渦流ポンプに関し、更に詳しくは、小型で効率のよい渦流ポンプに関するものである。
例えばCPU等の電子部品を効率よく冷却するための方法として、冷媒循環用のポンプを用いて冷媒を循環させるシステムが注目されている。ここで用いられる冷媒循環用のポンプは、その搭載スペースに制約が多いことから、小型化が要求されている。また、例えば燃料電池に燃料(酸素、空気、水等)を送るための燃料供給装置にも小型のポンプが用いられている。特に燃料電池用のポンプは、ポンプ自体の電力消費を極力抑えるために、消費電力の小さいものが要求され、また、一定の発電量を得るために、ダイヤグラムポンプのような脈動が生じない一定供給可能なものが要求されている。
従来の小型ポンプとして、例えば下記特許文献1に記載の渦流ポンプは、外周に多数の羽根が形成され、内周にローターマグネットが設けられた羽根車と、その羽根車が回転するための軸と、ローターマグネットの内周側に設けられたモーターステーターと、羽根車とモーターステーターとを気密に仕切ると共に、吸込口と吐出口とを有するポンプケーシングとから構成されている。この渦流ポンプは、モータ構造がアウターロータ構造になっており、羽根車とモーターステーターとを一体にし且つ気密に仕切ることによって、小型化と薄型化を実現している。
特開2003−161284号公報
上記特許文献1,2に記載の従来の渦流ポンプは、脈動がないという利点があるが、例えばダイヤグラムポンプに比べてポンプ効率は高くない。渦流ポンプのポンプ効率を向上させるためには、渦流ポンプ内での流体の漏れを少なくすると共に、羽根車を高速回転させる必要がある。さらに、上述したように、例えばノートパソコン内のCPU冷却用のポンプや燃料電池用のポンプとして用いる場合には、かなりの小型化を実現しなければならない。
上記のうち渦流ポンプ内での流体の漏れを少なくするためには、羽根車とケース部材との隙間を狭く設定しなければならないが、特許文献1に記載の渦流ポンプでは、軸受け構造によって羽根車のスラスト方向の位置決め精度や羽根車の傾き誤差を管理しなければならず、軸受け構造のみで解決するには限界があり、特に高速回転では難しい。さらに、特許文献1に記載の渦流ポンプは、羽根車の周辺付近にマグネットが設けられたアウターロータ構造であるので、高速回転での振れが生じ易く、また、小型化し難いという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、渦流ポンプ内での流体の漏れが少なくてポンプ効率が高い、小型の渦流ポンプを提供することにある。また、本発明の目的は、さらに、羽根車を高速回転させることができる高効率で小型の渦流ポンプを提供する。
上記課題を解決するための本発明の渦流ポンプは、複数の羽根を外周に有する円盤形状の羽根部、及び軸受けを内周に有する筒形状の軸受け部を備えた羽根車と、前記羽根車をスラスト方向に移動可能に支承する軸と、前記羽根車が有する軸受け部の周りに配置されて前記羽根車を回転駆動させる駆動装置とがケース部材に収納されてなる渦流ポンプであって、前記ケース部材は、前記羽根部を収容する流体移送部と、前記駆動装置を収容する駆動装置収容部とを備え、前記流体移送部は、流体を吸い込む吸込口、前記羽根車の回転により渦流となった前記流体を移送する流体通路、及び当該流体を排出する排出口を有し、前記羽根車の両面、又は、前記羽根車の両面それぞれに対向する前記ケース部材の面には、前記羽根の内側にあたる位置に前記羽根車の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、筒形状の軸受け部を備えた羽根車が軸に支承されて当該羽根車がスラスト方向に移動可能になっており、さらに羽根の内側にあたる位置に羽根車の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝が形成されているので、羽根車とケース部材との隙間を狭く設定することができる。その結果、流体通路内での流体にある程度の圧力を持たせることができると共に、流体の効率的な移送を行うことができるので、ポンプ効率を向上させることができる。また、羽根車が有する軸受け部の周りに駆動装置が配置されているので、小型の渦流ポンプとすることができ、さらに、ケース部材内に羽根車と軸と駆動装置とが収納されているので、一体化した渦流ポンプとすることができる。こうした本発明の渦流ポンプは、ポンプ効率がよく、小型で一体構造とすることができるので、取り扱いが容易であり、例えばノートパソコン等のCPU冷却用のポンプや燃料電池用のポンプとして好ましく用いることができる。
本発明の渦流ポンプにおいて、前記軸の外周面又は前記軸受け部の内周面には、前記羽根車の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝が形成されていることを特徴とする。
この発明によれば、軸の外周面又は軸受け部の内周面に動圧溝が形成されているので、羽根車の回転に基づいて軸の外周面と軸受け部の内周面との間に動圧を発生させることができる。こうした動圧軸受け構造は軸ロスが無いので、消費電力が少なく、消費電力に対するポンプ効率を高めることができる。また、軸構造から発するノイズが小さいので、羽根車を高速回転させることができる高効率で小型のポンプとして、さらには、特にノートパソコン等のCPU冷却用のポンプや燃料電池用のポンプとして好ましく用いることができる。
本発明の渦流ポンプにおいて、前記駆動装置は、前記羽根車の軸受け部に設けられたマグネットを利用して回転駆動させるインナーロータ構造であることを特徴とする。
この発明によれば、駆動装置が、羽根車の軸受け部に設けられたマグネットを利用して回転駆動させるインナーロータ構造であるので、羽根車の小径化を実現できる。さらに、ポンプ効率を高めるために羽根車を高速回転させた場合であっても、軸ぶれを小さくすることができる。その結果、羽根車を高速回転させることができる高効率で小型の渦流ポンプを提供することができる。
本発明の渦流ポンプによれば、ポンプ効率を向上させることができると共に、小型で一体化した渦流ポンプとすることができる。こうした本発明の渦流ポンプは、取り扱いが容易であり、例えばノートパソコン等のCPU冷却用のポンプや燃料電池用のポンプとして好ましく用いることができる。
また、本発明の渦流ポンプによれば、消費電力が少なく、消費電力に対するポンプ効率を高めることができると共に、羽根車を高速回転させることができる高効率で小型のポンプとして好ましく用いることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。なお、本発明の渦流ポンプはその技術的特徴を有する範囲において、以下の実施形態の例に限定されないことは言うまでもない。
図1は、本発明に係る渦流ポンプの一例を示す分解斜視図である。図2は、図1に示す渦流ポンプ10の正面断面図である。また、図3は、図2に示す上ケース部材を取り外したときの流体移送部の上平面図であり、図4は、流体移送部の下平面図である。また、図5は、羽根車を斜め上方からみた斜視図であり、図6は、羽根車を斜め下方からみた斜視図である。
本発明の渦流ポンプ10は、図1〜図4に示すように、気体や液体の流体を吸込口12から導入して排出口14から排出するポンプであり、複数の羽根21を外周に有する円盤形状の羽根部24、及び軸受け25a(図1及び図2を参照)を内周に有する筒形状の軸受け部25を備えた羽根車20と、羽根車20をスラスト方向に移動可能に支承する軸40と、羽根車20が有する軸受け部25の周りに配置されて羽根車20を回転駆動させる駆動装置50とを有し、それらがケース部材1に収納されてなるものである。また、羽根車20が有する軸受け部25の外周には、マグネット27がヨーク26を介して設けられている。
ケース部材1は、図1及び図2に示すように、上ケース部材11と中ケース部材31と下ケース部材41とで組み合わされてなるものであり、上ケース部材11と中ケース部材31とで構成された流体移送部2と、中ケース部材31と下ケース部材41とで構成された駆動装置収容部3とを備えている。流体移送部2は羽根部24を収容し、駆動装置収容部3は、羽根車20を回転駆動するための駆動装置50を収容する。各ケース部材間にはOリング(図示しない)が設けられ、各ケース部材間の密閉性を確保している。図2においては、各ケース部材をボルト・ナット54により一体的に固定するための貫通穴が形成されているが、各ケース部材の固定手段は、そうした方法に限定されない。なお、各ケース部材の材質は特に限定されないが、小型軽量化の観点からは、アルミニウム又はその合金等の軽金属を用いることが好ましい。なお、下ケース部材41の周縁に形成された切り込み55は、駆動装置50を構成する複数のコイル51に電力を与えるリード線を通すためのものである。
羽根車20は、図3〜図6に示すように、複数の羽根21を外周に有する円盤形状の回転体であり、その回転により、流体の渦流を発生させることができる。羽根21は、羽根車20の外周に円周方向に沿って複数の溝8が形成された形態を成している。その溝8は、羽根車20の側面と外周面とが交わる両角部に対して形成されており、羽根車20の角部を扇状に切り欠くようにして形成されている。羽根21の数は特に限定されず、通常、羽根車20の大きさに応じて任意のピッチで設けられている。
羽根21の内側(内周側)にあたる位置の上下面には、羽根部24の両面に円周方向に沿った壁17,19が形成されている。この壁17,19は、シール部として作用し、流体が流体通路13から軸方向に漏れるのを効果的に防ぐことができる。壁17,19の高さは特に限定されないが、例えば10μm以上200μm以下程度であればよい。なお、図2中の符号16,18は、壁17,19にそれぞれ対応する溝である。
さらに、その壁17,19の内側(内周側)にあたる位置の上下面には、羽根車20の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝22a,22bが形成されている。また、羽根車20の中心には貫通孔23を設けてもよい。この貫通孔23は、羽根部24の上面側の圧力と、軸受け部25の側の圧力とが異なる場合に、両方の圧力を一致させることができ、圧力変動により生じる可能性のある上下振動を防ぐことができる。
羽根部24の両面7a,7b、又は、その両面7a,7bそれぞれに対向するケース部材11,31の面6a,6bには、羽根21の内側にあたる位置に羽根車20の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝22a,22bが形成されている。すなわち、羽根部24の上面7a及びその上面7aに対向するケース部材11の面6aのうちの何れか一方の面には、羽根21の内側にあたる位置に羽根車20の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝22aが形成されている。また、羽根部24の下面7b及びその下面7bに対向するケース部材31の面6bのうちの何れか一方の面には、羽根21の内側にあたる位置に羽根車20の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝22bが形成されている。具体的には、図2に示す渦流ポンプ10は、動圧溝22aが羽根部24の上面7aに形成され、動圧溝22bが羽根部24の下面7bに形成された形態の一例であり、図7に示す渦流ポンプ10Aは、動圧溝22aが羽根部24の上面7aに対向するケース部材11の面6aに形成され、動圧溝22bが羽根部24の下面7bに対向するケース部材31の面6bに形成された形態の一例である。
羽根部24の上面7a又はその上面7aに対向するケース部材11の面6aに形成される動圧溝22aは、図3及び図5に示すように、軸側から外周側に向かって形成された螺旋状の溝であり、通常、同じ形状からなる溝が羽根車の周方向に形成されている。一方、羽根部24の下面7b又はその下面7bに対向するケース部材31の面6bに形成される動圧溝22bは、図4及び図6に示すように、軸受け部25の縁に沿って形成された凹溝(図4中のハッチング部を参照)であり、通常、その凹溝は、軸受け部25の外周壁と突起部との間に一定ピッチで形成される。これらの動圧溝22a、22bは、羽根車20が回転することにより動圧を発生させ、羽根部24の上下面で発生する動圧により羽根車20がスラスト方向に変位し、その結果、羽根車20が上下の動圧がつり合った位置に移動する。なお、動圧溝22aが形成される上側の対向面6a,7aの隙間、及び、動圧溝22bが形成される下側の対向面6b,7bの隙間は、特に限定されないが、通常、動圧が発生する程度の隙間で形成されていることが好ましく、一例としては、3μm以上30μm以下程度とすることができる。
また、組立を考慮すれば、上記隙間を200μm以下程度としてもよい。この場合、羽根車20は、ケース部材11,31に近づいて動圧が発生する位置で止まるので、羽根車20がケース部材11,31に接触するのを防ぐことができる。
壁17と動圧溝22aとの間には、図1〜図3及び図5に示すように、円周方向に沿った溝15が形成されている。この溝15は、羽根車20のバランス調整に使用される溝であり、その溝の所定の部位におもりを載せることにより羽根車の回転バランスが調整される。羽根車20のバランス調整として、例えば羽根車20をバランス測定機(以下、バランサーともいう。)に取り付けてバランス測定を行い、回転時の振動成分をセンサーで検知してアナライザーで解析し、解析結果に沿って所定の部位におもりを載せる作業を複数回繰り返す方法を挙げることができる。おもりは特に限定されないが、としては例えばUV樹脂を挙げることができ、そのUV樹脂を所定の部位に滴下した後にUV照射して硬化させる方法を挙げることができる。
また、本願にはバランス調整用の溝15を設けた例を挙げたが、バランス調整としては、こうした形態に限定されない。例えば、図8に示す渦流ポンプ10Bのように、溝15を設けない形態であってもよい。この場合には、バランサーの指示により所定の部位を削ってバランス調整される。
また、図2中の符号33は、動圧溝22aの外周側に位置する羽根部24の上面の平面部(シール部33という)である。このシール部33は、流体通路13内の流体が羽根車20の中心側に入り込むのを防ぐように作用する。
図9は、本発明の渦流ポンプ10Cのさらに他の一例を示す部分正面断面図である。本発明の渦流ポンプ10Cは、壁17,19が形成されていないものであってもよく、その場合であっても、上述した動圧溝22aの作用により、流体が流体通路13から軸方向に漏れるのが防止できる。また、図8で説明したように、バランス調整用の溝15を設けない形態にすれば、動圧溝22a以外の平面部での圧力が上昇することにより、流体が流体通路13から軸方向に漏れるのが防止できる。
流体移送部2は、図3及び図4に示すように、流体を吸い込む吸込口12、羽根車20の回転により渦流となった流体を移送する流体通路13、及び流体を排出する排出口14を有している。この流体移送部2には、羽根車20を構成する羽根部24が収納され、その羽根部24の回転により、吸込口12から吸い込んだ流体が流体通路13を移送され、その後、排出口14から排出される。
流体通路13は、溝8が形成された形態からなる羽根21の周辺を囲むように広い幅で形成されており、その流体通路13の断面は、その羽根21の外方を広く囲む大きさで形成されている。流体通路13の上下方向の空間高さは、図2に示すように、羽根21の内側に形成された壁17までの領域は、羽根部24の厚さよりもやや大きい寸法で形成され、その壁17を超えた領域は、その壁17部の厚さよりもやや大きい寸法で形成されている。また、流体通路13の外周方向の空間幅は、羽根車20の外方に広く拡張する寸法で形成されている。この流体通路13は、羽根車20の全周の7〜8割程度の範囲で設けられており、その流体通路13の両端には、吸込口12と排出口14とが設けられている。羽根車20を回転させると、羽根21の溝8部に存在する流体は遠心作用により流体通路13内に押し出されるように流れ、逆に、流体通路13内に存在する流体は羽根21内に吸い込まれるように流れ、渦を形成しながら吸込口12から排出口14に向かって移送される。
次に、本発明の渦流ポンプの駆動機構について説明する。上述したように、羽根車20は、軸受けを内周に有する筒形状の軸受け部25を備え、図2、図4及び図6に示すように、その軸受け部25の外周には、マグネット27がヨーク26を介して設けられている。ヨークと26とマグネット27は、通常、接着剤等を用いて軸受け部25上にその順で接着される。なお、軸受け部25としては例えばセラミック(アルミナセラミック等)等のスリーブを用いることができ、また、マグネットとしてはネオジボンドマグネット等を用いることができ、また、ヨークとしては磁性材料を用いることができるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
さらに、この羽根車20において、軸受け部25の下端面には、図2に示すように、円周方向に沿った溝28が形成されている。この溝28は、上述した溝15と同じ役割を有するもので、羽根車20のバランス調整に使用される溝であり、その溝28の所定の部位におもりを載せることにより羽根車の回転バランスが調整される。羽根車20のバランス調整については、上記溝15の場合と同じであるのでここでは省略するが、上記同様、解析結果に沿って所定の部位におもりを載せる作業を複数回繰り返す方法を挙げることができる。おもりは特に限定されないが、としては例えばUV樹脂を挙げることができ、そのUV樹脂を所定の部位に滴下した後にUV照射して硬化させる方法を挙げることができる。
本発明の渦流ポンプにおいては、羽根車20が軸40に支承されている。具体的には、羽根車20の筒形状の軸受け部25が、下ケース部材41に固定された円柱形状の軸40に嵌るように載せられて支承されている。ここで「支承」とは、軸40が羽根車20を支えることをいう。軸40と軸受け部25とは僅かな隙間を有するように設計され、羽根車20がスラスト方向に移動可能になっている。この移動は、上述した動圧溝22a,22bの作用により、羽根部24が上ケース部材11と中ケース部材31との間の隙間を一定となるように生じる移動である。軸40と羽根車20の軸受け部25との隙間は特に限定されないが、一例としては約5μm程度である。なお、図2中、符号32は、羽根車20を軸40に支承したときの、羽根部24と軸40との間の空間部である。
軸40の材質は特に限定されないが、セラミック(アルミナセラミック等)等が好ましく用いられ、例えば接着剤等により下ケース部材41に固定されている。軸40の外周面又は軸受け部25の内周面には、羽根車20の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝が形成されていることが好ましい。
図10は、軸40の外周面に動圧溝42,43が形成されている一例を示したものである。図10に示すように、軸40の上方には、右上がりに傾斜する動圧溝42が一定ピッチで全周に形成されており、軸40の中ごろには、左上がりに傾斜する動圧溝43が一定ピッチで全周に形成されている。動圧溝42,43の深さは特に限定されないが、一例としては約10μmで形成することができる。この動圧溝42,43は、図2に示すように、軸受け部25の内周面に対向する位置であって、動圧溝が形成されていない領域44を挟んで、上下対称となる位置に設けられていることが好ましい。
このように、軸40の外周面又は軸受け部25の内周面に動圧溝42,43が形成されているので、羽根車20の回転に基づいて軸40の外周面と軸受け部25の内周面(軸受け25a)との間に動圧を発生させることができる。こうした動圧軸受け構造は軸ロスが無いので、消費電力が少なく、消費電力に対するポンプ効率を高めることができる。また、軸構造から発するノイズないので、羽根車20を高速回転させることができる高効率で小型のポンプとして、さらには、特にノートパソコン等のCPU冷却用のポンプや燃料電池用のポンプとして好ましく用いることができる。
なお、軸受け部25の上下方向の長さLと内径Dとの比(L/D)は、一般的には2以上であるが、本発明の渦流ポンプは、動圧作用により羽根車20の回転を安定化させることができ、しかも小型軽量化することができたので、L/Dを2.0未満にすることも可能であり(もちろん2.0以上でも良い)、1.5以下にすることも可能である。
駆動装置50は、図1に示すように、羽根車20が有する軸受け部25の周りに配置されて羽根車20を回転駆動させる装置であり、図1及び図2に示すように、羽根車20の軸受け部25に設けられたマグネット27を利用して回転駆動させるインナーロータ構造で構成されている。
インナーロータ構造の駆動装置50は、図1に示すように、軸40の周囲に等角度で配置された複数のコイル51(図1においては6個)と、コア52とで構成されている。この駆動装置50においては、羽根車20に設けられたマグネット27の上下方向の中心位置Pと、駆動装置50を構成するマグネット52の上下方向の中心位置Qとが一致するように、羽根車20がスラスト方向に自動調心して回転する。特に、図10に示すように、軸40に動圧溝42,43が形成された場合は、羽根車20の回転により動圧が発生し、羽根車20がスラスト方向に自在に変位して自動調心される。
なお、上述したように、本発明の渦流ポンプ10は、羽根部24の上下面又はその対向面に形成された動圧溝22a、22bの作用によりその上下面で動圧が発生し、羽根車20がケース部材内のスラスト方向の中心に移動するので、その場合には、中心位置Pと中心位置Qとが上下方向に僅かにずれて保持される。
このように、駆動装置50が羽根車20の軸受け部25に設けられたマグネット27を利用して回転駆動させるインナーロータ構造であるので、アウターロータ構造と比べて羽根車20の小径化と軽量化を実現でき、さらにポンプ効率を高めるために羽根車20を高速回転させた場合であっても、軸ぶれを小さくすることができる。その結果、羽根車20を高速回転させることができる高効率で小型で軽量な渦流ポンプを提供することができる。
以上のように、筒形状の軸受け部25を備えた羽根車20が軸40に支承されて羽根車20がスラスト方向に移動可能になっており、さらに羽根21の内側にあたる位置に羽根車20の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝22a,22bが形成されているので、羽根車20とケース部材11,31との隙間を狭く設定することができる。その結果、流体通路13内での流体にある程度の圧力を持たせることができると共に、流体の効率的な移送を行うことができるので、ポンプ効率を向上させることができる。また、羽根車20が有する軸受け部25の周りに駆動装置50が配置されているので、小型の渦流ポンプとすることができ、さらに、ケース部材内に羽根車20と軸40と駆動装置50とが収納されているので、シール性に優れた一体型の渦流ポンプとすることができる。こうした本発明の渦流ポンプは、ポンプ効率がよく、小型で一体構造とすることができるので、取り扱いが容易であり、例えばノートパソコン等のCPU冷却用のポンプや燃料電池用のポンプとして好ましく用いることができる。
10,10A,10B,10C 渦流ポンプ
1 ケース部材
2 流体移送部
3 駆動装置収容部
6a,6b 羽根車の面に対向するケース部材の面
7a,7b 羽根部の面
8 溝
11 上ケース部材
12 吸込口
13 流体通路
14 排気口
15,16,18 溝
17,19 壁
20 羽根車
21 羽根
22a,22b 動圧溝
23 貫通孔
24 羽根部
25 軸受け部
25a 軸受け
26 ヨーク
27 マグネット
28 溝
31 中ケース部材
32 空間
33 シール平面
40 軸
41 下ケース部材
42,43 動圧溝
44 動圧溝が形成されていない領域
50 駆動装置
51 コイル
52 コア
54 ボルト・ナット
55 切り込み
P 羽根車に設けられたマグネットの上下方向の中心位置
Q 駆動装置を構成するマグネットの上下方向の中心位置
L 軸受け部の上下方向の長さ
D 軸受け部の上下方向の内径
1 ケース部材
2 流体移送部
3 駆動装置収容部
6a,6b 羽根車の面に対向するケース部材の面
7a,7b 羽根部の面
8 溝
11 上ケース部材
12 吸込口
13 流体通路
14 排気口
15,16,18 溝
17,19 壁
20 羽根車
21 羽根
22a,22b 動圧溝
23 貫通孔
24 羽根部
25 軸受け部
25a 軸受け
26 ヨーク
27 マグネット
28 溝
31 中ケース部材
32 空間
33 シール平面
40 軸
41 下ケース部材
42,43 動圧溝
44 動圧溝が形成されていない領域
50 駆動装置
51 コイル
52 コア
54 ボルト・ナット
55 切り込み
P 羽根車に設けられたマグネットの上下方向の中心位置
Q 駆動装置を構成するマグネットの上下方向の中心位置
L 軸受け部の上下方向の長さ
D 軸受け部の上下方向の内径
Claims (3)
- 複数の羽根を外周に有する円盤形状の羽根部、及び軸受けを内周に有する筒形状の軸受け部を備えた羽根車と、前記羽根車をスラスト方向に移動可能に支承する軸と、前記羽根車が有する軸受け部の周りに配置されて前記羽根車を回転駆動させる駆動装置とがケース部材に収納されてなる渦流ポンプであって、
前記ケース部材は、前記羽根部を収容する流体移送部と、前記駆動装置を収容する駆動装置収容部とを備え、前記流体移送部は、流体を吸い込む吸込口、前記羽根車の回転により渦流となった前記流体を移送する流体通路、及び当該流体を排出する排出口を有し、
前記羽根車の両面、又は、前記羽根車の両面それぞれに対向する前記ケース部材の面には、前記羽根の内側にあたる位置に前記羽根車の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝が形成されていることを特徴とする渦流ポンプ。 - 前記軸の外周面又は前記軸受け部の内周面には、前記羽根車の回転に基づいて動圧を発生させる動圧溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の渦流ポンプ。
- 前記駆動装置は、前記羽根車の軸受け部に設けられたマグネットを利用して回転駆動させるインナーロータ構造であることを特徴とする請求項1又は2に記載の渦流ポンプ。
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2006
- 2006-02-16 JP JP2006038778A patent/JP2007218154A/ja active Pending
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