JP2007217633A - 成形体及びその製造方法 - Google Patents

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孝司 住友
Takeshi Minoda
武 美濃田
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Abstract

【課題】ポリプロピレン樹脂組成物の高い成形性、機械物性を損なうことなく、安定した高い導電性を備えた成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(A)ポリプロピレン系樹脂45〜65質量%、(B)エラストマー15〜35質量%、(C)タルク10〜30質量%、及び(D)繊維径が100nm以下の微細炭素繊維0.3〜4質量%を含む成形体であって、成形体中の(A)成分中の25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]が7.0dl/g以上であり、(D)成分の平均繊維長が2.5μm以上であることを特徴とする成形体及びその製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)エラストマー、(C)タルク及び(D)微細炭素繊維を含む成形体及びその製造方法に関するものである。
詳しくは、高い導電性と機械物性のバランスに優れた成形体及びその製造方法に関するものである。
従来より、ポリプロピレン樹脂に特定の密度のポリエチレン樹脂及び特定のDBP吸油量、比表面積を有するカーボンブラックを配合した導電性樹脂組成物が知られており(例えば、特許文献1)、衝撃強度と表面抵抗は改善されているが、流動性、剛性についての記載がなく、これらの物性は低下しているものと考えられる。
また、特定の結晶化度のエチレン単位を含むプロピレン重合体、特定の引張伸びを有するエチレン単位を含むプロピレンランダム共重合体及び導電性充填物からなる導電性樹脂組成物が知られており(例えば、特許文献2)、曲げ弾性率、熱変形温度、メルトインデックス、抵抗率は比較的良好であるものの、伸びは良好とは言えず、又衝撃強度についての記載がなく、衝撃強度は低いものと考えられる。
更に、特定のポリプロピレン系樹脂組成物に、特定の変性ポリプロピレン及び導電性カーボンを配合した導電性、衝撃強度等のバランスに優れた樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献3)が、導電性を付与するためにカーボンブラックが配合された結果、組成物の剛性(曲げ弾性率)及び成形性(メルトインデックス)が低下している。
以上のように、ポリプロピレン系樹脂に導電性カーボン(カーボンブラック)を配合した場合には、該組成物の流動性、剛性、衝撃強度等のバランスを著しく低下させる。
炭素フィブリルを含有し、特定の衝撃強さ及び体積抵抗率を有するポリマー組成物が知られている(例えば、特許文献4)が、炭素フィブリルを配合することにより衝撃強さが低下しており、衝撃強さを保持又は向上させる観点からは好ましい組成物ではない。そして、同一組成の組成物であるにもかかわらず、抵抗率が大きく異なることがあり、安定した導電性を常に与える明確な手法が開示されているとは言えない。
また、カーボンナノチューブと樹脂とを含有し、特定の表面抵抗値を有する導電性材料が知られている(例えば、特許文献5)。その実施例によれば、ポリスチレンを成形する際の成形温度として250〜310℃が例示されており、導電性は比較的良好であるが、衝撃強さ等他の性能については述べられていないうえ、通常、このような温度でポリスチレンが成形されると分子量低下を起こし、衝撃強さ等の性能が低下することは公知である。
以上のように、いずれの場合も、再現性のある安定した導電性と衝撃強さの保持又は向上の両立には成功していない。
特開平8−279310号公報 特開平10−53677号公報 特開2004−83889号公報書 特表平08−508534号公報 特開2003−100147号公報
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物の高い成形性、機械物性を損なうことなく、安定した高い導電性を備えた成形体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、一定の割合で成形体材料を配合し、該材料にできる限りせん断力を加えないように混練し、微細炭素繊維の破断による繊維の長さの低下をできる限り抑制することにより、高い機械性能と安定した導電性能を兼ね備えた成形体が得られ、ポリプロピレン系樹脂が特定の構造を持つことにより、さらに導電性が向上することを見出した。
すなわち、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)エラストマー、(C)タルク、及び(D)繊維径が100nm以下の微細炭素繊維が一定の割合で混練してなるものを含む成形体であって、(A)成分中の25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]が7.0dl/g以上であり、(D)成分の平均繊維長が2.5μm以上であることを特徴とする成形体により、高い機械性能と安定した高い導電性能を兼ね備えた成形体が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、
1.(A)ポリプロピレン系樹脂45〜65質量%、(B)エラストマー15〜35質量%、(C)タルク10〜30質量%、及び(D)繊維径が100nm以下の微細炭素繊維0.3〜4質量%を含む成形体であって、成形体中の(A)成分中の25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]が7.0dl/g以上であり、(D)成分の平均繊維長が2.5μm以上であることを特徴とする成形体、
2.下記工程1、工程2a、工程3aを含む上記1に記載の成形体の製造方法。
工程1:(A)成分の一部分と(D)成分を、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機又は二軸混練押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、(D)成分の含有量が2〜20質量%のマスターバッチペレットを製造する工程。
工程2a:(A)成分の残り、(B)成分及び(C)成分を、二軸混練押出機の混練要素が存在する帯域又は二軸混練部と単軸押出機部からなるタンデム型混練押出機の混練要素が存在する二軸混練帯域に供給して、溶融混練し、溶融した組成物前駆体を製造する工程。
工程3a:工程2aの二軸混練押出機の下流部の混練要素の存在しない帯域又はタンデム型混練押出機の下流部のフルフライトスクリューのみからなる単軸押出機帯域に存在する溶融した組成物前駆体に、工程1のマスターバッチペレットを投入して溶融混練後、冷却固化、造粒し、得られたペレットを射出成形する工程。
3.下記工程1、工程2b、工程3bを含む上記1に記載の成形体の製造方法。
工程1:(A)成分の一部分と(D)成分を、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機又は二軸混練押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、(D)成分の含有量が2〜20質量%のマスターバッチペレットを製造する工程。
工程2b:(A)成分の残り、(B)成分及び(C)成分を、二軸混練押出機の混練要素が存在する帯域又は二軸混練部と単軸押出機部からなるタンデム型混練押出機の混練要素が存在する二軸混練帯域に供給して、溶融混練後、冷却固化、造粒し、組成物前駆体ペレットを製造する工程。
工程3b:工程1のマスターバッチペレットと工程2bの組成物前駆体ペレットを混合し、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機または、二軸押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、得られたペレットを射出成形する工程。
4.下記工程1、工程2b、工程3cを含む上記1に記載の成形体の製造方法。
工程1:(A)成分の一部分と(D)成分を、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機又は二軸混練押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、(D)成分の含有量が2〜20質量%のマスターバッチペレットを製造する工程。
工程2b:(A)成分の残り、(B)成分及び(C)成分を、二軸混練押出機の混練要素が存在する帯域又は二軸混練部と単軸押出機部からなるタンデム型混練押出機の混練要素が存在する二軸混練帯域に供給して、溶融混練後、冷却固化、造粒し、組成物前駆体ペレットを製造する工程。
工程3c:工程1のマスターバッチペレットと工程2bの組成物前駆体ペレットを混合し、該混合物を直接射出成形する工程。
を提供するものである。
本発明の成形体によれば、ポリプロピレン系樹脂組成物の高い成形性、機械物性を損なうことなく、安定した高い導電性を備えた成形体を得ることができる。
本発明の成形体が安定した高い導電性を呈する機構は次のように推測される。
微細炭素繊維を均一に分散させるための強い混練により、微細炭素繊維が破断され、繊維の長さが低下することにより導電性が損なわれたことから、微細炭素繊維がある一定以上の長さを有することにより導電回路を形成し易くなるためと考えられる。
また、ポリプロピレン相とエラストマー相からなる成形体中で、微細炭素繊維は選択的にエラストマー相中へ取り込まれており、ポリプロピレン系樹脂中の25℃キシレン可溶部は、ポリプロピレン相とエラストマー相との相容化剤として働き、両相の界面に存在していると推定される。相容化剤として、分子量が大きい程、すなわち極限粘度[η]が大きい程、相構造を安定化させる能力に優れるため、共連続相を形成しやすいものと考えられ、ポリプロピレン系樹脂中の25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]を7.0dl/g以上とすることによって、ポリプロピレン相とエラストマー相からなる共連続相が安定化し、エラストマー相内に濃縮された炭素繊維が、エラストマーの連続相を介して、導電回路を形成し易くなるためと考えられる(図1及び図3参照)。
本発明に用いる(A)ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチック構造を有するプロピレン単独重合体、アイソタクチック構造を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体、アイソタクチック構造を有するプロピレン単独重合体からなるホモ部とエチレン−プロピレンランダム共重合体からなる共重合部を有するブロック共重合体から選ばれる一種以上の重合体が挙げられる。
(A)成分中の25℃におけるキシレン可溶成分含有量は、3〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。
また、キシレン可溶成分量中のエチレン単位含有量は、20〜35質量%であることが好ましく、25〜35質量%であることがより好ましい。
更に、前記25℃キシレン可溶成分の極限粘度[η]は、7.0dl/g以上である必要がある。
なお、複数の(A)成分を用いる場合には、キシレン可溶成分含有量、キシレン可溶成分量中のエチレン単位含有量及びキシレン可溶成分の極限粘度[η]は、質量平均値を用いて表される。
(A)成分のメルトインデクス(MI)の値は、30〜200g/10分であることが好ましく、50〜150g/10分であることがより好ましい。
本発明の成形体中の(A)成分の含有量としては、45〜65質量%、好ましくは50〜60質量%、より好ましくは52〜58質量%である。
(A)成分の含有量が45〜65質量%であると、組成物(射出成形用ペレット、あるいはマスターバッチペレットと組成物前駆体ペレットの混合溶融物)の成形性が良好で、剛性、引張り破断伸び、耐衝撃性、外観などがバランスした成形体を得ることができる。
本発明に用いる(B)エラストマーとしては、エチレン及び/又は炭素数3以上のαオレフィンを主成分とし、スチレン単位を0〜40質量%含有する共重合体が挙げられる。
具体的には、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−オクテンランダム共重合体、エチレン−ヘキセンランダム共重合体等が挙げられる。
また、スチレン単位を含有するものとしては、スチレン(S)、ブタジエン(B)を複数回逐次重合し、S−B、S−B−S、S−B−S−B又はそれらを末端同士をカップリング反応させたS−B−B−S、S−B−S−B等のブロック共重合体を水素添加し、ブタジエン(B)ブロックをエチレン−ブテン共重合体にした一般的にSEBSと呼ばれるものが挙げら、上記ブタジエン(B)の部分をイソプレン(I)に置き換え、これを水素添加しエチレン−プロピレン共重合体にした一般的にSEP、SEPSと呼ばれるものも挙げることができる。
本発明に用いる(B)成分は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の成形体中の(B)成分の含有量としては、15〜35質量%、好ましくは17〜33質量%、より好ましくは20〜30質量%である。
(B)成分の含有量が15〜35質量%であると、成形体の耐衝撃性、引張り破断伸びの向上が十分であり、組成物(射出成形用ペレット、あるいはマスターバッチペレットと組成物前駆体ペレットの混合溶融物)の流動性が上昇すると共に、成形体の剛性が向上する。
本発明に用いる(C)タルクの粒径については特に制限はないが、耐衝撃性の面から0.5〜3μmの範囲が好ましく、更には0.5〜2μmの範囲がより好ましい。
本発明の成形体中の(C)成分の含有量としては、10〜30質量%、好ましくは15〜25質量%、より好ましくは17〜23質量%である。
(C)成分の含有量が10〜30質量%であると、成形体の剛性が十分であり、組成物(射出成形用ペレット、あるいはマスターバッチペレットと組成物前駆体ペレットの混合溶融物)の成形性が向上し、成形体の外観が良好である。
本発明に用いる(D)微細炭素繊維は、中空構造をした分岐が少なく直線性の高い炭素系繊維であり、その繊維径は100nm以下、好ましくは20〜100nm、より好ましくは20〜80nmである。
(D)成分の繊維径が上記範囲内であると、成形体中での微細炭素繊維の分散が良好となり、外観、剛性が向上し、かつ少量で導電性を発現し、成形体の衝撃強度も向上する。
また、その平均繊維径は、40〜80nm、好ましくは50〜80nmである。
本発明に用いる(D)成分の繊維長は、1〜100μm、好ましくは1〜60μm、より好ましくは1〜40μmである。
また、(D)成分の平均繊維長は、2.5μm以上である必要があり、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上である。
更に、本発明の成形体中の(D)成分の平均繊維長は、2.5μm以上に保つ必要があり、好ましくは2.6μm以上、より好ましくは2.7μm以上である。
成形体中の(D)成分の平均繊維長を2.5μm以上に保つと、少量で導電性を発現する。
本発明に用いることができる微細炭素繊維としては、特開昭62−500943号公報、米国特許4663230号明細書、米国特許4663230号明細書、米国特許5165909号明細書、米国特許5171560号明細書、米国特許5578543号明細書、米国特許5589152号明細書、米国特許5650370号明細書、米国特許第5707916号公報、米国特許6235674号明細書等に記載されている炭素系繊維が挙げられる。
また、市販品としては、商品名MWNT(株式会社物産ナノテク研究所製)の微細炭素繊維が挙げられる。
本発明の成形体中の(D)成分の含有量としては、0.3〜4質量%、好ましくは0.4〜2質量%である。
(D)成分の含有量が0.3〜4質量%であると、導電性が上昇し、組成物(射出成形用ペレット、あるいはマスターバッチペレットと組成物前駆体ペレットの混合溶融物)の流動性が向上し、成形体の外観が良好である。
本発明の成形体中の(D)成分の平均繊維長を2.5μm以上に保つには、成形体を製造する微細炭素繊維を加えた後の工程において、微細炭素繊維が破断しないようにできる限りせん断力を加えないことが必要である。
このためには、混練・押出機内部のスクリュー形状が重要であり、中でも混練が強度である混練要素が存在しないことが必要である。
ここで、混練要素とは、フルフライトスクリュー以外の全てのせん断作用を加える要素を意味する。
これらの混練要素としては、例えば、単軸押出機では、バリヤフライトスクリュー、ダルメージスクリュー、マドックタイプスクリュー、パイナップルタイプスクリュー、BMスクリューが挙げられ、二軸混練押出機では、逆送りスクリュー、ニーディングブロック、ロータセグメント、ブリスターセグメント等が挙げられる。
また、混練要素が存在する混練機としては、例えば、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等が挙げられる
上記のような混練要素が存在する単軸押出機、二軸混練押出機、混練機等を用いると、強いせん断力により微細炭素繊維が破断する。
できる限りせん断力を加えない成形体の製造方法としては、具体的には以下の方法が挙げられる。
成形体の製造方法の発明1は、下記工程1、工程2a、工程3aを含む成形体の製造方法である。
工程1:(A)成分の一部分と(D)成分を、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機又は二軸混練押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、(D)成分の含有量が2〜20質量%のマスターバッチペレットを製造する工程。
工程2a:(A)成分の残り、(B)成分及び(C)成分を、二軸混練押出機の混練要素が存在する帯域又は二軸混練部と単軸押出機部からなるタンデム型混練押出機の混練要素が存在する二軸混練帯域に供給して、溶融混練し、溶融した組成物前駆体を製造する工程。
工程3a:工程2aの二軸混練押出機の下流部の混練要素の存在しない帯域又はタンデム型混練押出機の下流部のフルフライトスクリューのみからなる単軸押出機帯域に存在する溶融した組成物前駆体に、工程1のマスターバッチペレットを投入して溶融混練後、冷却固化、造粒し、得られたペレットを射出成形する工程。
成形体の製造方法の発明2は、下記工程1、工程2b、工程3bを含む成形体の製造方法である。
工程1:(A)成分の一部分と(D)成分を、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機又は二軸混練押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、(D)成分の含有量が2〜20質量%のマスターバッチペレットを製造する工程。
工程2b:(A)成分の残り、(B)成分及び(C)成分を、二軸混練押出機の混練要素が存在する帯域又は二軸混練部と単軸押出機部からなるタンデム型混練押出機の混練要素が存在する二軸混練帯域に供給して、溶融混練後、冷却固化、造粒し、組成物前駆体ペレットを製造する工程。
工程3b:工程1のマスターバッチペレットと工程2bの組成物前駆体ペレットを混合し、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機または二軸押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、得られたペレットを射出成形する工程。
成形体の製造方法の発明3は、下記工程1、工程2b、工程3cを含む成形体の製造方法である。
工程1:(A)成分の一部分と(D)成分を、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機又は二軸混練押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、(D)成分の含有量が2〜20質量%のマスターバッチペレットを製造する工程。
工程2b:(A)成分の残り、(B)成分及び(C)成分を、二軸混練押出機の混練要素が存在する帯域又は二軸混練部と単軸押出機部からなるタンデム型混練押出機の混練要素が存在する二軸混練帯域に供給して、溶融混練後、冷却固化、造粒し、組成物前駆体ペレットを製造する工程。
工程3c:工程1のマスターバッチペレットと工程2bの組成物前駆体ペレットを混合し、該混合物を直接射出成形する工程。
上記成形体の製造方法の発明1〜3において、工程1では、(A)成分であるポリプロピレン系樹脂の一部分と(D)成分の微細炭素繊維を含むマスターバッチペレットを製造する。
マスターバッチペレット中に含まれる(D)成分の含有量は、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。
即ち、マスターバッチペレットは、(A)成分及び(D)成分を混合、更には溶融混練することにより製造される。
具体的には、マスターバッチペレットペレットは、各成分を配合し、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機、又はフルフライトスクリューのみからなる二軸混練押出機を用いて製造される。
溶融混練温度としては、せん断力を小さくするためできる限り高温にすることが有効であり、通常240〜300℃、好ましくは260〜280℃である。
スクリュー回転数としては、せん断力を小さくするためできる回転数を小さくすることが有効であり、通常300rpm以下、好ましくは200rpm以下、より好ましくは100rpm以下である。
押出機内の滞留時間は、スクリュー回転数に依存するが、通常60〜120秒である。
滞留時間が上記を範囲内であると、微細炭素繊維の分散が良好で、ポリプロピレン系樹脂の劣化、微細炭素繊維の破断がない。
このようなマスターバッチペレットの製造方法としては、マスターバッチペレット中に微細炭素繊維を効率良く分散できると同時に微細炭素繊維の破断を防止できる方法であれば、特に制限はなく、例えば、特開2004−338327号公報に記載された方法を挙げることができる。
上記成形体の製造方法の発明1〜3において、工程2a及び2bでの溶融混練には、二軸混練押出機の混練要素が存在する帯域又は二軸混練部と単軸押出機部からなるタンデム型混練押出機の混練要素が存在する二軸混練帯域が用いられる。
この混練要素が存在する混練押出機を用いることにより、(A)、(B)、(C)の各成分を均一に分散させることが可能となり、成形体の機械物性、外観等が向上する。
また、工程2a及び2bにおける溶融混練条件は、以下のとおりである。
溶融混練温度としては、通常180〜210℃である。
スクリュー回転数としては、通常200rpm以上、好ましくは300rpm以上、より好ましくは500rpm以上である。
滞留時間は、スクリュー回転数に依存するが、通常60〜180秒である。
上記条件範囲内であると、微細炭素繊維が破断せず、成形体の機械物性が上昇し、導電性も良好である。
上記成形体の製造方法の発明1〜3において、工程3aでの溶融混練には、混練要素の存在しない帯域又はタンデム型混練押出機の下流部のフルフライトスクリューのみからなる単軸押出機帯域が用いられる。
工程3bでの溶融混練には、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機が用いられる。
また、工程3a及び3bにおける溶融混練条件は、以下のとおりである。
溶融混練温度としては、通常240〜280℃以下である。
スクリュー回転数としては、通常400rpm以下、好ましくは300rpm以下である。
滞留時間は、スクリュー回転数に依存するが、通常60〜120秒である。
上記条件範囲内であると、微細炭素繊維の分散が良好で、成形体の機械物性が上昇し、又外観も良好である。
上記成形体の製造方法の発明1〜3において、工程3a、3b及び3cでの射出成形条件は、成形温度としては、通常180〜300℃、金型温度としては、通常10〜80℃、成形時間としては、通常25〜30秒である。
上記条件の範囲内であると、成形体の機械物性、導電性が向上し、又外観も良好である。
上記成形体の製造方法の発明1〜3において、工程3a、3b及び3cを採用することにより、(D)成分の微細炭素繊維の破断が少なく、ポリプロピレン系樹脂組成物の高い成形性、機械物性を損なうことなく、安定した導電性を備えた成形体を得ることができる。
次に、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
用いた配合成分、物性測定法及び性能評価法を次に示す。
(配合成分)
〔(A)ポリプロピレン系樹脂〕
PP1:MI=45g/10分、25℃キシレン可溶部量=24質量%、25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]=2.5dl/g、25℃キシレン可溶部のエチレン含有量=30質量%のブロックPP〔(株)プライムポリマー社製、商品名X850〕
PP2:MI=60g/10分、25℃キシレン可溶部量=24質量%、25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]=2.5dl/g、25℃キシレン可溶部のエチレン含有量=30質量%のブロックPP〔(株)プライムポリマー社製、商品名X860〕
PP3:MI=15g/10分、25℃キシレン可溶部量=23質量%、25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]=7.4dl/g、25℃キシレン可溶部のエチレン含有量=30質量%のブロックPP〔(株)プライムポリマー社製、商品名X855〕
PP4:MI=90g/10分、25℃キシレン可溶部量=9質量%、25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]=7.7dl/g、25℃キシレン可溶部のエチレン含有量=30質量%のブロックPP〔(株)プライムポリマー社製、商品名J639〕
PP5:MI=50g/10分、25℃キシレン可溶部量=11質量%、25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]=7.5dl/g、25℃キシレン可溶部のエチレン含有量=30質量%のブロックPP〔(株)プライムポリマー社製、商品名J739EA〕
PP6:MI=50g/10分、25℃キシレン可溶部量=5質量%、25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]=2.7dl/g、25℃キシレン可溶部のエチレン含有量=30質量%のブロックPP〔(株)プライムポリマー社製、商品名J―5085H〕
PP7:MI=26g/10分、25℃キシレン可溶部量=8質量%、25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]=8.9dl/g、25℃キシレン可溶部のエチレン含有量=42質量%のブロックPP〔(株)プライムポリマー社製、商品名A836P〕
PP8:MI=250g/10分のホモPP〔(株)プライムポリマー社製、J13B〕
〔(B)エラストマー〕
エラストマー1:MI=2g/10分、密度=0.857g/cm3のエチレン/オクテン共重合体(ダウケミカル社製、商品名エンゲ−ジ8842)
エラストマー2:MI=2g/10分、密度=0.870g/cm3のエチレン/オクテン共重合体(ダウケミカル社製、商品名エンゲ−ジ8100)
エラストマー3:MI=4.5g/10分、スチレン含有量=18質量%のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水添物(旭化成社製、商品名H1062)
〔(C)タルク〕
タルク:(浅田製粉社製、商品名TP−A25)
〔マスターバッチペレット〕
(1)マスターバッチペレット1の製造
PP8〔MI=250g/10分のホモポリプロピレン、(株)プライムポリマー社製、商品名プライムポリプロJ13B〕と繊維の直径が20〜80nmの分布を持ち、平均繊維径が60nmであり、繊維長が1〜40μmの分布を持ち、平均繊維長が15μmの中空の微細炭素繊維(株式会社物産ナノテク研究所製、商品名MWNT)とを常温で質量比80:20の比率で混合した後、この混合物を二軸混練押出機(テクノベル社製、KZW31)のフルフライトスクリューのみからなる帯域に供給し、280℃、100rpm、滞留時間約120秒でマスターバッチペレット1を得た。
〔物性測定法及び性能評価法〕
(1)25℃キシレン可溶成分量の測定
25℃キシレン可溶成分及び不溶成分は、次のようにして取得した。
(a)試料を5±0.05g精秤して1000ミリリットルナス型フラスコに入れ、さらにBHT(酸化防止剤)1±0.05gを添加した後、回転子及びパラキシレン700±10ミリリットルを投入する。
(b)次いで、ナス型フラスコに冷却器を取り付け、回転子を作動させながら、140±5℃のオイルバスでフラスコを120±30分間加熱して、試料をパラキシレンに溶解させる。
(c)次に、1000ミリリットルビーカーにフラスコの内容物を注いだ後、ビーカー内の溶液をスターラーで攪拌しながら、25℃になるまで放冷(8時間以上)後、析出物を金網でろ取する。
(d)ろ液は、更にろ紙にてろ過した後、このろ液を3000ミリリットルビーカーに収容されたメタノール2000±100ミリリットル中に注ぎ、この液を25℃にてスターラーで攪拌しながら、2時間以上放置する。
(e)次いで、析出物を金網でろ取したのち、5時間以上風乾後、真空乾燥機にて100±5℃で240〜270分間乾燥して、25℃キシレン可溶成分を回収する。
(f)一方、上記(c)において金網でろ取した析出物を、再度上記(a)及び(b)の方法に準じてパラキシレンに溶解した後、3000ミリリットルビーカーに収容されたメタノール2000±100ミリリットル中に素早く熱いまま移し、2時間以上スターラーで攪拌後、一晩25℃にて放置する。
(g)次いで、析出物を金網でろ取した後、5時間以上風乾後、真空乾燥機にて100±5℃で240〜270分間乾燥して、23℃キシレン不溶成分を回収する。
23℃キシレンに対する可溶成分の含有量(w)は、試料重量をAg、前記(e)で回収した可溶成分の重量をCgとすれば、
w(重量%)=100×C/A
で表される。
(2)25℃キシレン可溶成分の13C−NMRによるエチレン単位含有量の測定
13C−NMRの測定は下記の方法によった。
すなわち、NMR試料管に試料220mgを採取し、これに1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン混合溶媒(容量比90/10)3ミリリットルを加えた後、キャップをして130℃で均一に溶解後、13C−NMRの測定を次に示す測定条件で行う。
装置: 日本電子(株)製JNM−EX400
パルス幅: 9μs(45°)
パルス繰り返し時間:4秒
スペクトル幅: 20000Hz
測定温度: 130℃
積算回数: 1000〜10000回
また、25℃キシレンに対する可溶成分のエチレン単位含有量(z)及び不溶成分のエチレン単位含有量(y)は、下記の方法により求めた値である。
すなわち、試料の13C−NMRを測定し、そのスペクトルにおける35〜21ppm〔テトラメチルシラン(TMS)化学シフト基準〕領域の7本のピーク強度から、先ず、エチレン(E)、プロピレン(P)のtriad連鎖分率(モル%)を次式により計算する。
EPE=〔K(Tδδ)/T〕×100
PPE=〔K(Tβδ)/T〕×100
EEE=〔K(Sγδ)/4T+K(Sδδ)/2T〕×100
PPP=〔K(Tββ)/T〕×100
PEE=〔K(Sβδ)/T〕×100
PEP=〔K(Sββ)/T〕×100
ただし、T=K(Tδδ)+K(Tβδ)+K(Sγδ)/4+K(Sδδ)/2+K(Tββ)+K(Sβδ)+K(Sββ)
ここで、例えば、fEPEはEPEtriad連鎖分率(モル%)を、K(Tδδ)はTδδ炭素に帰属されるピークの積分強度を示す。
次に、エチレン単位含有量(質量%)を上記triad連鎖分率を用いて次式により計算する。
エチレン単位含有量(質量%)=28{3fEEE+2(fPEE+fEPE)+fPPE+fPEP}×100/〔28{3fEEE+2(fPEE+fEPE)+fPPE+fPEP}+42{3fPPP+2(fPPE+fPEP)+fEPE+fPEE}〕
(3)25℃キシレン可溶成分の極限粘度〔η〕の測定
(株)離合社製VMR−053型自動粘度計を用い、デカリン溶媒中、温度135℃において測定した。
(4)微細炭素繊維の繊維長の測定法
〔原料の微細炭素繊維〕
(株)キーエンス製レーザー顕微鏡VK−9500を用い、試料ステージ上に、微細炭素繊維を置き、倍率2000倍で写真撮影して、繊維数50本の長さを計測し、その数平均長を平均長とした。
〔成形体中の微細炭素繊維〕
本発明の組成物(射出成形用ペレット、あるいはマスターバッチペレットと組成物前駆体ペレットの混合溶融物)を射出成形し、130mm×12.5mm×3.2mmの直方体の形状をした射出成形体を得る。
射出成形体の中心部分エッジビューに透過型電子顕微鏡用の超薄切片サンプルを切り出した。
ここで、エッジビューとは、130mmの長さ軸をMD、12.5mmの幅軸をTD、3.2mmの厚さ軸をNDとしたとき、MDとNDにより形成される平面を超薄切片サンプル面として観察することを言う。
成形体から切り出したサンプルをエポキシ樹脂により包埋した。
次に、下記装置を用いて、クライオシステムによるダイヤモンドナイフ装着のウルトラミクロトームで、−150℃の温度でトリミング、面出しを行った後、引き続いて約100nmの厚さの超薄切片を作成した。
切削には、ライカ社製ウルトラミクロトーム(EM−ULTRACUT・UCT)、ライカ社製クライオシステム(REICHERT−EM−FCS)、DIATOME社製ダイヤモンドナイフ(DIATOME ULTRA CRYO DRY)を用いた。
得られた超薄切片を無染色のまま、透過型顕微鏡(日立製作所製、H−7100FA)で加速電圧100kVにて、2000倍で観察し写真撮影を行った。
得られたネガフィルムを6000倍に引き伸ばし、画像処理用の写真を得た。
40μm×33μmの視野に相当する写真を準備し、観察される微細炭素繊維全ての長さを計測した。
微細炭素繊維の平均長を算出するためには、少なくとも200本以上の繊維長を計測することが必要であるので、成形体中の微細炭素繊維の含有量が少ない場合には、必要に応じて、写真枚数を増やし、計測した。
微細炭素繊維の平均長さは、次の式により算出した。
平均長さ=ΣLn 3/ΣLn 2(Ln:繊維一本一本の長さ、n:200以上)
導電性に効果のあるのは、特に長い繊維長を持つ繊維であるので、長い繊維の存在をより高く反映するように平均長さの式を、単純な数平均式を採用しないで、上式のように定義した。
(5)メルトインデックス(MI)
ISO 1133.97に準拠して測定した(230℃、荷重21.18N)。
なお、複数の(A)成分を用いる場合には、次式によりメルトインデクス(MI)の平均値を求めた。
log(MIの平均値)=〔Σ(ΦnlogMIn)/ΣΦn
Φは(A)成分の構成要素の各質量、MIは(A)成分の構成要素のメルトインデックス、nは(A)成分の構成要素の数を示す。
MIの数値が高い程、組成物(射出成形用ペレット又は、あるいはマスターバッチペレットと組成物前駆体ペレットの混合溶融物)の流動性が高く、成型品として成形加工が容易であることを示す。
(6)密度の測定
JIS K7112に準拠して測定した。
(7)曲げ弾性率
ISO 178.93に準拠して測定した。
(8)アイゾッド衝撃強度
ISO180に準拠して測定したノッチ付アイゾッド衝撃強度。
(9)体積固有抵抗率
射出成形体を用いて、ISO−3915に準拠して測定した。
なお、体積固有抵抗率の数値が小さい程、成形体の導電性が優れていることを示す。
実施例1
PP3、PP8をそれぞれ15質量部、32質量部、エラストマー1、エラストマー2、エラストマー3をそれぞれ13質量部、5質量部、5質量部、タルクを20質量部量り取り、ポリエチレン袋に入れ、良く振り、均一に混合した。
この混合物を、二軸混練押出機(テクノベル社製、KZW31)のニーディングブロック4個と逆送りスクリュー1個からなる混練帯域を4つ有する帯域に供給し、200℃、300PRM、滞留時間約90秒で溶融混練した後、ストランドを水槽中で冷却固化させ、カッターで造粒した(工程2b)。
得られた造粒物90質量部とマスターバッチペレット1 10質量部とをポリエチレン袋に入れ、よく振り、均一に混合した。この混合物をそのまま、射出成形機(東芝機械製、IS100FB)を用い、210℃、成形サイクル約45秒で成形し、成形体を得た(工程3c)。
得られた成形体を用いて、機械物性、導電性を測定した。その結果を表1に示す。
表1中の体積抵抗率において、例えば、4.10E+06は4.10×106のことである。
実施例2〜8、比較例1〜8
PP1〜PP8、エラストマー1、エラストマー2、エラストマー3、タルク、マスターバッチペレット1の配合量を表1及び表2のように変えた他は、実施例1と同様にして成形体を製造し、得られた成形体を用いて、機械物性、導電性を測定した。その結果を表1及び表2に示す。
図2は、実施例1〜8、比較例1〜8についての体積抵抗率と(A)成分中の25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]dl/gとの関係を表す図である。図から明らかのように、(A)成分中の25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]が7.0dl/g以上において、体積抵抗率が低下していることが認められる。図2中の体積抵抗率において、例えば、1.00E+06は1.00×106のことである。
表1および表2の結果から明らかのように、全ての実施例1〜8、全ての比較例1〜8ともに機械物性は優れているが、(A)成分中の25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]が7.0dl/g以上である実施例1〜8の体積抵抗率は低い(導電性が良好)のに対し、(A)成分中の25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]が7.0dl/g未満である比較例1〜8の体積抵抗率は高い(導電性が不良)ことが分かる。
図3は、実施例8で作成した成形体の導電性測定に用いた試験片の透過型電子顕微鏡観察写真である。図中の黒い領域がエラストマー相、淡い領域がポリプロピレン相であり、矢印で示した部分が、微細炭素繊維である。ポリプロピレン相、エラストマー相がともに連続相を呈し、かつ、微細炭素繊維が選択的にエラストマー相の内部に包含されることが認められる。
Figure 2007217633
Figure 2007217633
本発明の成形体は、ポリプロピレン系樹脂組成物の高い成形性、機械物性を損なうことなく、安定した高い導電性を備えているため、自動車内外装材、各種家庭用電気器具等の材料として有用である。
本発明の成形体のエラストマー相中に微細炭素繊維が取り込まれている様子を模式化した図である。 (A)成分中の25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]と体積抵抗率との関係を表した図である。 実施例8で作成した成形体の導電性測定に用いた試験片の透過型電子顕微鏡観察写真である。
符号の説明
1 ポリプロピレン相
2 エラストマー相
3 微細炭素繊維

Claims (4)

  1. (A)ポリプロピレン系樹脂45〜65質量%、(B)エラストマー15〜35質量%、(C)タルク10〜30質量%、及び(D)繊維径が100nm以下の微細炭素繊維0.3〜4質量%を含む成形体であって、成形体中の(A)成分中の25℃キシレン可溶部の極限粘度[η]が7.0dl/g以上であり、(D)成分の平均繊維長が2.5μm以上であることを特徴とする成形体。
  2. 下記工程1、工程2a、工程3aを含む請求項1に記載の成形体の製造方法。
    工程1:(A)成分の一部分と(D)成分を、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機又は二軸混練押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、(D)成分の含有量が2〜20質量%のマスターバッチペレットを製造する工程。
    工程2a:(A)成分の残り、(B)成分及び(C)成分を、二軸混練押出機の混練要素が存在する帯域又は二軸混練部と単軸押出機部からなるタンデム型混練押出機の混練要素が存在する二軸混練帯域に供給して、溶融混練し、溶融した組成物前駆体を製造する工程。
    工程3a:工程2aの二軸混練押出機の下流部の混練要素の存在しない帯域又はタンデム型混練押出機の下流部のフルフライトスクリューのみからなる単軸押出機帯域に存在する溶融した組成物前駆体に、工程1のマスターバッチペレットを投入して溶融混練後、冷却固化、造粒し、得られたペレットを射出成形する工程。
  3. 下記工程1、工程2b、工程3bを含む請求項1に記載の成形体の製造方法。
    工程1:(A)成分の一部分と(D)成分を、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機又は二軸混練押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、(D)成分の含有量が2〜20質量%のマスターバッチペレットを製造する工程。
    工程2b:(A)成分の残り、(B)成分及び(C)成分を、二軸混練押出機の混練要素が存在する帯域又は二軸混練部と単軸押出機部からなるタンデム型混練押出機の混練要素が存在する二軸混練帯域に供給して、溶融混練後、冷却固化、造粒し、組成物前駆体ペレットを製造する工程。
    工程3b:工程1のマスターバッチペレットと工程2bの組成物前駆体ペレットを混合し、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機または、二軸押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、得られたペレットを射出成形する工程。
  4. 下記工程1、工程2b、工程3cを含む請求項1に記載の成形体の製造方法。
    工程1:(A)成分の一部分と(D)成分を、フルフライトスクリューのみからなる単軸押出機又は二軸混練押出機を用いて溶融混練後、冷却固化、造粒し、(D)成分の含有量が2〜20質量%のマスターバッチペレットを製造する工程。
    工程2b:(A)成分の残り、(B)成分及び(C)成分を、二軸混練押出機の混練要素が存在する帯域又は二軸混練部と単軸押出機部からなるタンデム型混練押出機の混練要素が存在する二軸混練帯域に供給して、溶融混練後、冷却固化、造粒し、組成物前駆体ペレットを製造する工程。
    工程3c:工程1のマスターバッチペレットと工程2bの組成物前駆体ペレットを混合し、該混合物を直接射出成形する工程。
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