JP5077846B2 - 合成樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、各種の合成樹脂に添加剤として包接化合物を添加した合成樹脂組成物に関する。詳しくは、本発明の合成樹脂組成物は、合成樹脂に、添加剤としてシクロデキストリンとポリオレフィンとを含む包接化合物を添加した合成樹脂組成物であり、少量で且つ少ない種類の包接化合物を添加することにより、従来にない高性能な材料を実現できる合成樹脂組成物に関する。
汎用合成樹脂として代表的なポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンは、家庭用品等に大量に利用されている。また、プロピレンーエチレン共重合体(EPR)等のオレフィン系エラストマーは、自動車バンパー、包装フィルム、工業用部品などに利用されている。
さらに、ナイロン、ナイロン66などのポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、およびポリ乳酸などのポリエステル、並びにポリオキシメチレン等のエンジニアリングプラスチックスは、工業用部品、包装材、容器などに利用されている。
これらの合成樹脂には、通常、製品に必要性能を付与するために添加剤が添加されている。例えば、造核効果や帯電防止効果を発揮させるために、低分子化合物の添加剤が多く用いられている。これらの添加剤は、低分子に起因する揮散による配合・造粒・使用時の悪臭、および着色の発生、添加剤の移行による容器内容物の味の変化、並びに揮散に伴う製品使用時における添加剤の効果の低減などの問題があった。また、製品使用時の種々の要求に応えるためには、多くの種類の添加剤を添加する必要があるという問題があった。
これらの問題点を解決するために、特殊構造を有するポリマーからなるポリマー型造核剤が検討されている(例えば、特許文献1及び2等)。この造核剤は高分子であることにより、前述した従来の低分子添加剤の種々の欠点を防止することが期待される。しかしながら、これらの提案も、その効果は十分とはいえないのが現状である。
一方、シクロデキストリンは、ポリプロピレンやポリブテンと包接化合物をつくることは知られている(非特許文献1)。しかしながら、シクロデキストリンとポリオレフィンとの包接化合物が、合成樹脂の造核効果を示すという報告はなされていない。
なお、シクロデキストリン(以降CDと称す)とは、模式的には中空の円錐台形をした環状オリゴ糖であり、その水酸基がすべて環の外側を向いており、外側は親水性、内側は疎水性という異なる性質を示す。このため親水性雰囲気下においては、疎水性分子が環内に入り込むようになっている。このように、環状分子等が他分子を環内に取り込むことを包接という。
また、変性CDと変性ポリオレフィン、およびCDと変性ポリオレフィンとの反応物を添加物として、ポリオレフィン樹脂に添加する合成樹脂組成物も報告されている。これらは、CDないしは変性CDの外側において、これらCDと変性ポリオレフィンとを結合させた反応物であり、この反応物を合成樹脂に添加した合成樹脂組成物は、これを用いた成形容器などにおいて、外部から侵入する浸透物や共雑物を、これらCDの環内に補足することにより容器を通過することを防いでいる(非特許文献2)。
したがって、これらCDは、変性ポリオレフィンを環内に取り込んだ包接化合物の形で添加剤に利用するものではない。
すなわち、CDを用いる前記いずれの技術においても、ポリオレフィンとCDとの包接化合物と、合成樹脂との組成物、およびこの組成物の効果についての報告はない。
特開平09−249753号公報 特開2005−314622号公報 C. C. Rusa et al., Macromolecules 2004, 37, 7992 Cellresin Tech LLC, US7166671 B2
本発明は、前述の実情に鑑みなされたものであり、その目的は、添加剤として、造核効果、帯電防止効果、相溶効果などを示す包接化合物を、少量で且つ種類少なく利用して、従来にない高性能な樹脂組成物の製造を可能にすることにある。
本発明の合成樹脂組成物は、シクロデキストリンとポリオレフィンとを含む包接化合物と、合成樹脂としてポリオレフィン、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリエステルのそれぞれの群から選ばれる1種または2種以上とを含有してなることを特徴とする。
本合成樹脂組成物は、該包接化合物を利用しているので、従来の添加剤に比べて、少量で且つ種類少ない添加で、高性能な樹脂組成物を製造することができる。
本発明の合成樹脂組成物の好ましい実施形態においては、前記合成樹脂がポリオレフィンである。
本発明の合成樹脂組成物の好ましい実施形態においては、前記包接化合物に含まれるポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、ブテン、へキセン、オクテン、4−メチルペンテン−1、ノルボルネンから選ばれる1種または2種以上を主成分として重合して形成され、前記包接化合物は、該ポリオレフィンから選ばれる1種または2種以上を含有してなる。
これにより、これらのポリオレフィンが、CDに内包された包接化合物を形成する。
本発明の他の好ましい実施形態においては、前記包接化合物が、前記シクロデキストリンを0.1〜95重量%含有する。
前記CDが、この範囲であれば、この包接化合物を用いることによる効果が認められる。
本発明の他の好ましい実施形態においては、前記合成樹脂組成物が、前記包接化合物を0.01〜10重量%含有する。
前記包接化合物が、この範囲であれば、前記合成樹脂組成物への添加剤としての効果が認められる。
本発明の他の好ましい実施形態においては、前記シクロデキストリンが、γ−シクロデキストリンである。
γ−CDは、繰り返し単位となるCDの数が、α−CDおよびβ−CDに比べて多いので、CDとしての有効性が高い。
本発明によれば、添加剤として、造核効果、帯電防止効果、相溶効果などを示す包接化合物を、少量で且つ少ない種類の利用で、従来にない高性能な樹脂組成物を製造することができる。この包接化合物は、CDという親水性基とポリオレフィンという親油性グループとを併せ持ち、CDの環内にポリオレフィンを弱い結合力で包接するいわゆる超分子を形成することにより、CD環の外側に存する水酸基に基づく親水性と、疎水性の環内に包接したポリオレフィンに基づく親油性とを併せ持つ一種の「界面活性剤」となっている。このため、この包接化合物は、造核効果だけでなく、ポリオレフィンの持つ帯電防止性・塗装性・接着性・防曇性が良好でない点や、極性基含有樹脂との混和性が良好でない点を改良する改良剤などとして作用する。その結果、本発明の樹脂組成物が、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリエステル等の樹脂をそれぞれ主成分とする場合は、これらの樹脂にポリオレフィンを混和するに際して、ポリオレフィンが良好に混和する。
以下、本発明を、実施例を含む実施の形態に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態の樹脂組成物は、シクロデキストリンとポリオレフィンとを含む包接化合物と、合成樹脂とを含有してなる。
前記ポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、ブテン、へキセン、オクテン、4−メチルペンテン−1、ノルボルネンから選ばれる1種または2種以上を主成分として重合して形成され、前記包接化合物は、該ポリオレフィンから選ばれる1種または2種以上を含有してなることが好ましい。
前記包接化合物を構成するポリオレフィン樹脂を、該樹脂の所定の性質に基づいて分類した群として区分し、その群から利用目的に応じて選択することは好ましい。
この樹脂の群の具体例について説明する。
前記樹脂の群は、一部に官能基を有するもの、結晶化度が相違するもの、配置構造が異なるもの、共重合体を形成するもの等を含んでいる。
すなわち、前記樹脂の群には、前述したモノマーをそれぞれ重合してなるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4メチルペンテン−1、ポリノルボルネン、ポリスチレンに属する一群が挙げられるとともに、種々のモノマーが共重合してなるエチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−環状オレフィン共重合体、環状オレフィンのメタセシス開環重合体の水素化物、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの樹脂が挙げられる。
そして、それぞれの樹脂の群においては、例えば、エチレンを主成分としたポリエチレン樹脂では、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等を含み、 ポリブテン樹脂では、ポリイソブテン、ポリ1-ブテン、およびポリ2-ブテンの配置構造が異なるもの等を含んでいる。
また、ポリオレフィンは、それらのいずれかの樹脂を50重量%以上含む共重合体であっても、あるいは2種以上の混合樹脂などであっても、さらに、分子間が金属イオンを介して接合されたアイオノマーであってもよい。
そして、これらのポリオレフィンの分子量は、1000〜500万程度のものが使用可能である。
前記CDについて、さらに詳述する。
CDは、数分子のD−グルコースがα(1→4)グルコシド結合によって結合し環状構造をとった環状オリゴ糖の一種であり、グルコースが5個以上結合したものが知られている。一般的なものはグルコースが6〜8個結合したものであるが、それ以上結合したものであっても良い。繰り返し単位となるデキストリンの数によって、その単位が6個のα-CD、7個のβ-CD、8個のγ-CD等がある。また、CDは光学異性体を有し、一対の鏡像異性体に対しては、それぞれ包接しやすさが異なる。
本実施の形態では、包接化合物におけるCDとしては、γ-CDが好ましい。
CDの環状構造の内部は比較的小さな他の分子を包接できる程度の大きさの空孔となっている。空孔の内径はα体で0.45〜0.6nm、β体で0.6〜0.8nm、γ体で0.8〜0.95nm程度とされている。またCDのヒドロキシ基はこの環体の外側にあるため、親水性基と接合しやすく、空孔内部は疎水性となっており、疎水性の分子を包接しやすい。
前記包接化合物におけるポリオレフィンとしては、前記のポリオレフィンから選ばれる1種または2種以上である。
前記包接化合物は、例えば、次の様にして得ることが出来る。
即ち、ポリオレフィンを溶解したヘキサン、デカン、トルエン、キシレンやジクロロベンゼン等のそれぞれの溶液にシクロデキストリンの水溶液やジメチルスルホキシド溶液などをそれぞれ添加し、シクロデキストリン-ポリオレフィン包接化合物を合成・回収することにより製造することが一般的である。
包接化合物中のCDの割合は、特に限定はないが、通常、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%の範囲である。前記のポリオレフィンと包接化合物におけるポリオレフィンとは、同一でも異なっていてもよく、目的に応じ選択される。
本実施の形態の樹脂組成物は、前記の包接化合物と合成樹脂とを含有するが、その製造方法は、通常の樹脂組成物の成形方法と同様に、合成樹脂に包接化合物を添加して樹脂組成物を成形する。樹脂組成物の製造においては、ヘンセルミキー、スーパーミキサー、リボンブレンダー、バンバリミキサーなどを用いて合成樹脂と包接化合物とを混合し、通常の単軸押出機、2軸押出機、ブラベンダー、またはロールなどで、樹脂の種類に応じた溶融混錬温度、例えば100℃〜300℃、あるいは150℃〜270℃といった温度で溶融混錬し、ペレタイズすることによりペレットとして得ることができる。
得られたペレット状の組成物は、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法などの各種成形法により目的の成形品の製造に供される。なお、合成樹脂に通常添加される、酸化防止剤、光安定剤、重金属不活性剤、滑剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、顔料等の添加剤を配合してもかまわない。また、タルク、マイカ等の無機添加物を配合するこことも可能である。
配合割合は、限定されるものではないが、経済的効果を考え、樹脂組成物に包接化合物0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%含まれる。
本実施の形態の樹脂組成物は、例えばポリプロピレンのような結晶性樹脂を主要樹脂として用いた場合は、添加する前記包接化合物の効果により、それが無添加の樹脂組成物に比べて、微細な結晶とすることができる。
なお、実験室規模では、本実施の形態の樹脂組成物は、前記の包接化合物と合成樹脂とを溶媒に溶融ないしは分散して均一に形成することができる。
前記包接化合物と、合成樹脂とを含有する合成樹脂組成物に用いられる前記合成樹脂が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリエステルのそれぞれの群から選ばれる1種または2種以上を含んでいる。また、これらの樹脂とポリオレフィンとを併用したアロイ樹脂とすることもできる。
これらの樹脂を主要樹脂として前記包接化合物を添加する場合は、CDに包接されるポリオレフィンを、結晶性ポリオレフィンや非晶性ポリオレフィン(エラストマー、高耐熱性環状ポリオレフィン)等の種々のポリオレフィンから適切に選択し、かつその分子量を適切に調整することで、従来では出来なかったポリオレフィンと他の合成樹脂とのアロイ樹脂組成物を形成することができ、耐熱性、機械物性、光学特性に優れた材料を創出できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、融点などの熱的測定は、示差走査熱量測定機(Differntial Scanning Calorimetry:以降DSCと称す((株)理学製Rigaku Thermo Plus DSC8230))を用いて測定した。
また、合成樹脂組成物を形成する合成樹脂として、メタロセン触媒で製造したポリプロピレン(以降PPと称す。物性:MFR25g/10min、融点162.7℃、結晶化温度116.7℃、融解熱102.2J/g)を用いた。
(実施例1)
〔包接化合物の作製〕
CDとしてγ-CDを、ポリオレフィンとしてポリノルボルネンの水素化物(以降PNBHと称す:Mn=140、000、Mw/Mn=3.2、融点140.2℃、融解熱30.3J/g)を用いて、次のようにして、γ-CDとPNBHとの包接化合物を作製した。
なお、Mnは数平均分子量を、Mwは重量平均分子量を表す。
先ず、0.1gのPNBHを70mLの1,2,4−トリクロロベンゼン中に添加し、120℃に加熱することにより溶解させた。次いで、別途調製したγ-CDのジメチルスルホキシド溶液7mL(γ−CDを3.1g含む)を溶解系中に滴下した。
滴下後、120℃で4時間攪拌した後、さらに室温で24時間攪拌した。この攪拌した液を吸引ろ過してロ物を得た。ロ物は、120℃の1,2,4−トリクロロベンゼン70mLで洗浄後、さらに、室温のアセトン200mLおよび1000mLで洗浄した。得られた白色固形物を40℃で24時間減圧下乾燥することにより、γ-CDとPNBHとの包接化合物を得た。
得られた包接化合物のDSC解析によると、融点は140.1℃、融解熱は4.61J/gであった。また広角X線回折および示差熱熱重量同時測定(以降TG-DTA(Thermogravimetry Differential Thermal Analysis)測定と称す)の結果よりγ-CDとPNBHとの包接化合物が確認できた。
〔合成樹脂組成物の作製〕
容器に前記PP1gを取り、得られた前記包接化合物1.0mg(0.1wt%)を添加して混合し、溶媒としてオルトジクロロベンゼン30mLを注入し、180℃、2時間加熱した。2時間後、溶液を大量のメタノール中に加えて固体を析出させた。固体部をロ別後、60℃で6時間減圧乾燥して、樹脂組成物を得た。
(比較例1)
包接化合物を添加しないことを除いては、実施例1と同様にして合成樹脂組成物を作製した。
(比較例2)
包接化合物に代えてPNBHを0.1wt%を混合添加することを除いては、実施例1と同様にして合成樹脂組成物を作製した。
実施例1、比較例1、及び比較例2の合成樹脂組成物のDSC測定結果を表1に示す。なお、Tm:融点、Hm:融解熱量、Tc:結晶化温度、Hc:結晶化熱量を表す。
表1から明らかなように、実施例1は、比較例1および2に比べて融解熱量および結晶化熱量が著しく高く、結晶化が促進されていることが分かる。
実施例1、及び比較例1の樹脂組成物の偏光顕微鏡写真を、比較例1を図1に、実施例1を図2に示す。実施例1では、結晶サイズが大幅に微細化しており、本発明が大きな造核効果を示したことがわかる。
なお、偏光顕微鏡による評価は、以下の処理を行った試料を観察するとともに写真撮影をすることにより行った。
ホットステージ(METTLER TOLEDO社製)を用い、その上に載置したスライドグラス上に少量の試料を載せてカバーグラスで覆い、昇温速度20℃/minで試料を200℃まで加熱し、5分間保持して熱履歴を取り除いた。次に、その試料を、10℃/minで室温まで冷却し、偏光顕微鏡(商品名:BX51。オリンパス社製)を用いて倍率500倍で観察し、試料の結晶を確認し、その結晶状態をデジタルカメラ(商品名:DP70。オリンパス社製)を用いて撮影した。
(実施例2)
〔包接化合物の作製〕
CDとしてγ-CDを、ポリオレフィンとしてPP(商品名: J104、プライムポリマー社製、MFR9g/10min。)を用いて実施例1と同様にしてγ-CDとPPとの包接化合物を得た。
得られた包接化合物を、実施例1と同様に解析した結果、γ-CDとPPとの包接化合物であることが確認できた。
〔合成樹脂組成物の作製〕
得られた前記包接化合物を、混合材料の0.1重量%になるようにPPに添加し、小型成形射出装置(Custom Seientific Instruments社製)を用いて、185℃で5分溶融後、5分混練して成形し、合成樹脂組成物を作製した。
(実施例3)
実施例1で用いた包接化合物を、混合材料の0.05重量%になるようにPPに添加し、実施例2と同様に成形して合成樹脂組成物を作製した。
(比較例3)
包接化合物を添加しないことを除いては、実施例2と同様にして合成樹脂組成物を作製した。
〔結晶の観察〕
実施例2、実施例3、および比較例3で作製したそれぞれの合成樹脂組成物に対して、Hv光散乱装置を用いて結晶化開始時間を測定するとともに、実施例1と同様にして偏光顕微鏡で結晶を観察した。
実施例2の合成樹脂組成物を、125℃等温結晶化条件下で、その結晶化開始時間を測定したところ24秒であった。
実施例3の合成樹脂組成物の結晶化開始時間を、実施例2と同様に測定したところ21秒であった。
比較例3の合成樹脂組成物の結晶化開始時間を、実施例2と同様に測定したところ140秒であった。
また、実施例2、実施例3、および比較例3それぞれの樹脂組成物を実施例1と同様に偏光顕微鏡で観察したところ、実施例2および実施例3では、図2に示す実施例1の結晶と同様な微細結晶が観察された。
これに対して、比較例3のその結晶は、図1に示す比較例1の結晶と同様に明らかに大きい結晶であった。
実施例2、実施例3、および比較例3の合成樹脂組成物についての前記結晶の観察結果を表2に示す。
(実施例4)
〔包接化合物の作製〕
CDとしてβ-CDを、ポリオレフィンとして高密度ポリエチレン(商品名:2200J、プライムポリマー社製。以降HDPEと称す)を用いて、溶媒への溶解温度、反応温度、および洗浄温度を90℃に変更したことを除いては実施例1と同様な方法で、β-CDとHDPEとの包接化合物を得た。
得られた包接化合物を、実施例1と同様に解析した結果、β-CDとHDPEとの包接化合物であることが確認できた。
〔合成樹脂組成物の作製〕
得られた前記包接化合物を、混合材料の0.2重量%になるようにPPに添加し、実施例2と同様にして合成樹脂組成物を作製した。
(比較例4)
包接化合物を添加しないことを除いては、実施例4と同様にして合成樹脂組成物を作製した。
〔結晶の観察〕
実施例4、および比較例4で作製したそれぞれの合成樹脂組成物に対して、等温結晶化条件を130℃に変更したことを除いては、実施例2と同様にして結晶化開始時間を測定するとともに実施例1と同様に偏光顕微鏡で結晶を観察した。
実施例4の合成樹脂組成物を、130℃等温結晶化条件下で、その結晶化開始時間を測定したところ100秒であった。
比較例4の合成樹脂組成物の結晶化開始時間を、実施例4と同様に測定したところ525秒であった。
また、実施例4、および比較例4それぞれの樹脂組成物を実施例1と同様に偏光顕微鏡で観察したところ、実施例4では、図2に示す実施例1の結晶と同様な微細結晶が観察された。
これに対して、比較例4のその結晶は、図1に示す比較例1の結晶と同様に明らかに大きい結晶であった。
実施例4、および比較例4の合成樹脂組成物についての前記結晶の前記測定結果、および観察結果を表3に示す。
上述した結果から、包接化合物はPPの大幅な結晶化促進効果、および高い結晶化加速効果を示すことが判明した。
本発明を構成する添加剤の包接化合物が、前述のように超分子「界面活性剤」であるため、親油性ユニットであるポリオレフィンを結晶性ポリオレフィンや非晶性ポリオレフィン(エラストマー、高耐熱性環状ポリオレフィン)の適切な選択、および分子量の調整を行うことで、従来では出来なかったポリオレフィンと他の合成樹脂とのアロイ高次構造をナノレベルで制御可能となり、耐熱性、機械物性、光学特性に優れた材料の創出につながる。
また、ポリエチレンテレフタラートや、生分解性樹脂として注目を集めているポリ乳酸は、結晶化速度が遅く実使用時に問題となり、種々検討がなされているが、CDとポリオレフィンとの包接化合物を含む本発明の樹脂組成物は、斯かる問題を解決した樹脂製品に広く利用される可能性がある。
比較例1の偏光顕微鏡写真である。 実施例1の偏光顕微鏡写真である。

Claims (6)

  1. シクロデキストリンとポリオレフィンとを含む包接化合物と、合成樹脂としてポリオレフィン、ポリアミド、ポリオキシメチレン、ポリエステルのそれぞれの群から選ばれる1種または2種以上とを含有してなる、
    ことを特徴とする合成樹脂組成物。
  2. 前記合成樹脂がポリオレフィンである、
    ことを特徴とする請求項1記載の合成樹脂組成物。
  3. 前記包接化合物に含まれるポリオレフィンが、エチレン、プロピレン、ブテン、へキセン、オクテン、4−メチルペンテン−1、ノルボルネンから選ばれる1種または2種以上を主成分として重合して形成され、
    前記包接化合物は、該ポリオレフィンから選ばれる1種または2種以上を含有してなる、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の合成樹脂組成物。
  4. 前記包接化合物が、前記シクロデキストリンを0.1〜95重量%含有する、
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の合成樹脂組成物。
  5. 前記合成樹脂組成物が、前記包接化合物を0.01〜10重量%含有する、
    ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の合成樹脂組成物。
  6. 前記シクロデキストリンが、γ−シクロデキストリンである、
    ことを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の合成樹脂組成物。
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