JP2007216519A - バルブ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定したバルブ特性を有する安価なバルブ及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】基材221に形成された複数の凹部224に接合封止するフィルム材222の前記各凹部の境界にスリット229を設ける。これにより、単にフィルム材を基材の接合封止面上に載置するのみで、接合封止時には各スリットが開いて基材に形成された複数の凹部内に対するフィルム材の弛み込みの量を適正且つ均一にすることができるので、安定したバルブ特性を有する安価なバルブを提供することができる。
【選択図】図8
【解決手段】基材221に形成された複数の凹部224に接合封止するフィルム材222の前記各凹部の境界にスリット229を設ける。これにより、単にフィルム材を基材の接合封止面上に載置するのみで、接合封止時には各スリットが開いて基材に形成された複数の凹部内に対するフィルム材の弛み込みの量を適正且つ均一にすることができるので、安定したバルブ特性を有する安価なバルブを提供することができる。
【選択図】図8
Description
本発明は、基材に形成された複数の凹部にフィルム材を接合封止した構造のバルブ及びその製造方法に関する。
液体噴射装置の1つであるインクジェット式記録装置は、非記録時において記録ヘッドのノズル開口から水蒸気等のインクの溶媒が蒸発し易く、ノズル開口に残留しているインクの粘度が上昇してインクが固化してしまうおそれがある。そこで、記録ヘッドのノズル形成面をキャップにより封止して溶媒の蒸発を防止すると共に、キャップの内部を吸引ポンプにより減圧してノズル開口から粘度の上昇したインクや塵埃等を吸引除去することにより、ノズルの性能を最適な状態に保つようにしている。
また、インクに混入している気泡や不純物がインクカートリッジから記録ヘッドまでのインク流路中に滞留することがあり、インク流路内におけるインクの充填性が低下して記録ヘッドへのインクの供給性が低下したり、記録中にノズル開口から気泡や不純物が流れ出したりして、記録品質が低下するおそれがある。そこで、インク流路中におけるインクの充填性を高めるために、インクの流路の途中にはチョーククリーニング用バルブ(以下、チョークバルブという)が配置されている。
先ず、このチョークバルブを閉弁状態にし、キャップによって記録ヘッドのノズル形成面を覆い、吸引ポンプによってキャップの内部を減圧することにより、チョークバルブよりも下流におけるインク流路内に負圧を蓄積する。その後、負圧が蓄積された状態でチョークバルブを開弁状態にすることにより、インク流路内のインクの流速を瞬間的に高めて滞留していた気泡や不純物を一気にノズル開口から排出する、いわゆるチョーククリーニングを行う。この結果、インク流路内におけるインクの充填性を高めることができる。
このチョークバルブは、バルブ本体の接合封止面に凹部が複数設けられ、これらの凹部の開口部が可撓性のあるフィルム材によって接合封止された構成となっている。そして、フィルム材が各凹部内に変位することにより、各凹部の中央部に設けられた流出穴を閉じるようになっている。このようなチョークバルブを精度良く動作させるためには、フィルム材が適正且つ均一な量だけ各凹部内に変位できるように製造する必要がある。
そこで、バルブ本体を予め加熱膨張させておく。そして、このバルブ本体の接合封止面上にフィルム材を所定の張力を掛けた状態で載置し加熱加圧して溶着する。その後、バルブ本体及びフィルム材を冷却する。これにより、凹部を覆っているフィルム材に所定量の弛み込みを持たせることができ、フィルム材を適正且つ均一な量だけ各凹部内に変位させることができる(特許文献1参照)。
上述したチョークバルブの製造方法では、加熱膨張によるバルブ本体の反り等の変形が各凹部における溶着品質の変動要因となり、安定したバルブ特性を有するバルブを製造することが困難となる。また、バルブ本体を安定的且つ迅速に加熱膨張させるための装置が複雑で高価なものとなるため、製造コストの上昇を招いてバルブ自体が高価になる。
本発明は、上記のような種々の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、安定したバルブ特性を有する安価なバルブ及びその製造方法を提供することにある。
上記目的達成のため、本発明のバルブでは、基材に形成された複数の凹部にフィルム材を接合封止した構造のバルブであって、前記フィルム材の前記各凹部の境界にスリットが設けられていることを特徴としている。これにより、単にフィルム材を基材の接合封止面上に載置するのみで、接合封止時には各スリットが開いて基材に形成された複数の凹部内に対するフィルム材の弛み込みの量を適正且つ均一にすることができるので、安定したバルブ特性を有する安価なバルブを提供することができる。また、液体噴射装置の装置本体に取り付けられた液体供給手段から液体噴射手段に向かう液体が流れる流路の所定箇所に配置されているチョーククリーニング用バルブであることを特徴としている。これにより、液体を常に高精度に噴射させることができる。
上記目的達成のため、本発明のバルブの製造方法では、基材の接合封止面に形成された複数の凹部を覆う1枚のフィルム材の前記各凹部の境界にスリットを設け、当該フィルム材を前記基材の接合封止面上に載置し、当該フィルム材を前記接合封止面に対し接合封止することを特徴としている。これにより、単にフィルム材を基材の接合封止面上に載置するのみで、接合封止時には各スリットが開いて基材に形成された複数の凹部内に対するフィルム材の弛み込みの量を適正且つ均一にすることができるので、安定したバルブ特性を有する安価なバルブを製造することができる。前記接合封止は、前記各凹部の周囲に対し同時に行われることを特徴としている。これにより、製造効率を向上させることができる。
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係る記録装置の1つであるインクジェット式プリンタの外観構成の全体を斜め前方及び後方から見た斜視図、図3は、その内部構成の概略を示す斜視図、図4は、その内部構成の概略を示す断面側面図である。このインクジェット式プリンタ100は、例えばL判/2L判、ハガキ、JIS規格のA4判、A3判ノビ、A2判等のサイズの単票紙(以下、単に用紙(被記録媒体)という)にインクにより記録することができる機能を備えている。
このインクジェット式プリンタ100は、図1及び図2に示すように、全体が略直方体状のハウジング101で覆われている。そして、ハウジング101の図1に示す上面右前側には操作部110が配設され、図1に示す上面左前側にはカートリッジ収納部120が配設されている。更に、図1に示す上面後側には第1リア給紙部130が配設され、図2に示す背面側には第2リア給紙部140が配設されている。そして、図1に示す前面側には排紙部150とフロント給紙部160が配設され、図1に示す前面右側には廃インク回収部170が配設されている。また、このインクジェット式プリンタ100の内部には、図3及び図4に示す用紙搬送部180、図2及び図4に示す制御部190、図3及び図4に示す記録部200が配設されている。そして、カートリッジ収納部120と記録部200の間には、本発明の特徴的な部分であるチョークバルブ220が配設されている。尚、このチョークバルブ220の詳細については後述する。
そして、図1及び図2に示すように、ハウジング101の上面における操作部110及びカートリッジ収納部120と第1リア給紙部130との間には、矩形状の開口部103が形成されている。この開口部103は、略矩形平板状のプリンタカバー210によって覆われている。プリンタカバー210は、後端の回動軸を中心に図示矢印a方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、プリンタカバー210を持ち上げて開口部103を開放することにより、開口部103を通して用紙搬送部180や記録部200等の内部機構のメンテナンス作業等を簡易に行うことができる。
操作部110は、図1及び図2に示すように、略矩形状の操作パネル111を備え、この操作パネル111の略中央部に操作状態等を表示する液晶パネル112が配設され、この液晶パネル112の両側にパワーをオン・オフするパワー系、用紙の頭出し等を操作したりインクのフラッシング等を操作する操作系、画像処理等を行う処理系等のボタン113が配設されている。ユーザは、液晶パネル112を見て確認しながらボタン113を操作することができるので、誤操作を防止することができる。
カートリッジ収納部120は、図1及び図2に示すように、印刷用の各色(本例では9色)のインクを貯留している図3及び図4に示すインクカートリッジ121が抜き差し可能に収納されている。このカートリッジ収納部120は、断面がL字状のカートリッジカバー122によって覆われている。カートリッジカバー122は、後端の回動軸を中心に図示矢印b方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、カートリッジカバー122を持ち上げてカートリッジ収納部120を開放することにより、インクカートリッジ121を簡易に交換等することができるので、作業効率を向上させることができる。
第1リア給紙部130は、自動給紙(ASF)用であり、図1及び図2に示すように、上方に向かって矩形状に開口した第1給紙口131を開閉する機能と、給紙する用紙を1枚もしくは複数枚サポートする機能を併せ持った4段構造の第1ペーパーサポート132を備えている。この第1ペーパーサポート132は、後端の回動軸を中心に図示矢印c方向に回動可能に取り付けられている。この第1リア給紙部130で給紙される用紙は、比較的薄手の用紙(例えば、厚さ0.08mm〜0.27mm程度の普通紙や写真用紙等)が使用される。
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、第1ペーパーサポート132の図示手前中央に設けられた穴132aに指を掛けて第1ペーパーサポート132を持ち上げて多段部分を引き出すことによりセッティングが完了するので、着脱式のペーパーサポートの場合に必要な保管や管理等が不要となる。更に、多段構造の第1ペーパーサポート132であるので、種々のサイズの給紙する用紙を確実にサポートすることができる。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、第1ペーパーサポート132を多段部分を押し込んで閉じることにより第1給紙口131を塞ぐことができるので、プリンタ本体内への埃の侵入を防止することができると共に、第1ペーパーサポート132をコンパクトに格納しておくことができる。
第2リア給紙部140は、手差し給紙用であり、図2に示すように、後方に向かって矩形状に開口した第2給紙口141を開閉する機能と、給紙する用紙を1枚サポートする機能を併せ持った2段構造の第2ペーパーサポート142を備えている。この第2ペーパーサポート142は、下端の回動軸を中心に図示矢印d方向に回動可能に取り付けられている。この第2リア給紙部140で給紙される用紙は、第1リア給紙部130における搬送角度で給紙できない厚さの用紙(例えば、厚さ0.29mm〜0.48mm程度の画材用紙や専用紙等)が使用される。更に、第1リア給紙部130は自動給紙(ASF)用であることから給紙ローラ82で用紙をピックアップするので、この給紙ローラ82に紙粉が付着して蓄積されると、給紙ローラ82に滑りが生じて給紙不良を引き起こすおそれがある。そのため、紙粉が発生し易い用紙(例えば、厚さ0.48mm程度のVelvet Fine Art Paperや厚さ0.46mm程度のUltra Smooth Fine Art Paper)についても、第2リア給紙部140で手差し給紙させる必要がある。
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、第2ペーパーサポート142の図示上部に指を掛けて第2ペーパーサポート142を押し下げて多段部分を引き出すことによりセッティングが完了するので、着脱式のペーパーサポートの場合に必要な保管や管理等が不要となる。更に、多段構造の第2ペーパーサポート142であるので、種々のサイズの給紙する用紙を確実にサポートすることができる。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、第2ペーパーサポート142を多段部分を押し込んで閉じることにより第2給紙口141を塞ぐことができるので、プリンタ本体内への埃の侵入を防止することができると共に、第2ペーパーサポート142をコンパクトに格納しておくことができる。
排紙部150は、図1に示すように、前方に向かって矩形状に開口した排紙口151を開閉する機能と、排紙される用紙を1枚もしくは複数枚スタックする機能を併せ持った図3に示す第1スタッカ51と第2スタッカ52の2段構造のスタッカ152を備えている。第1スタッカ51は、第2スタッカ52の先端側で回動軸を中心に図示矢印e方向に回動可能に取り付けられている。第2スタッカ52は、排紙口151に対して斜め上下に平行移動して突出・格納可能なように取り付けられている。
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、第1スタッカ51の上部に指を掛け第1スタッカ51を手前に回動させて排紙口151を開け、第1スタッカ51の先端を指で摘んで引き出し第2スタッカ52を斜め上方へ平行移動させて突出させることによりセッティングが完了するので、着脱式のスタッカの場合に必要な保管や管理等が不要となる。更に、多段構造のスタッカ152であるので、種々のサイズの排紙される用紙を確実に積層載置することができ、また、記録後の用紙は常に前面側から排紙されるので、ユーザは用紙を容易に取り出すことができる。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、第1スタッカ51の先端を手で押し込むことにより第2スタッカ52を斜め下方へ平行移動させて格納すると共に、第1スタッカ51に手を添えて第1スタッカ51を後方へ回動させて排紙口151を塞ぐことができるので、プリンタ本体内への埃の侵入を防止することができると共に、スタッカ152をコンパクトに格納しておくことができる。
フロント給紙部160は、手差し給紙用であり、図3に示すように、排紙口151におけるスタッカ152の上方に配設された給紙トレイ161を備えている。この給紙トレイ161は、排紙口151に対して水平に移動可能に設けられている。このフロント給紙部160で給紙される用紙は、搬送時に折り曲げることが不可能な比較的厚手の用紙(例えば、厚さ1.2mm程度のマットボード紙等)が使用される。
ユーザは、インクジェット式プリンタ100の使用前においては、給紙トレイ161の先端を軽く押し込むことにより、給紙トレイ161のストッパが外れて給紙トレイ161が排紙口151から突出する。また、インクジェット式プリンタ100の使用後においては、給紙トレイ161の先端を軽く押し込むことにより、給紙トレイ161のストッパが掛かって給紙トレイ161が排紙口151内に格納される。従って、給紙トレイ161の配設スペース効率を高めることができる。
廃インク回収部170は、図1〜図3に示すように、廃インク等を貯留する廃インクタンク171が抜き差し可能に収納されている。この廃インクタンク171は、記録ヘッド202のクリーニング処理時やインクカートリッジの交換時に廃棄される廃インク等を貯留する。ユーザは、廃インクタンク171に廃インク等が一杯に溜まったときは、その廃インクタンク171を引き出して新しい廃インクタンク171を差し込むのみで良いので、廃インクタンク171の交換作業を簡易に行うことができる。
用紙搬送部180は、図3及び図4に示すように、第1リア給紙部130及び第2リア給紙部140から排紙部150に掛けて配設されており、自動給紙機構181、搬送機構182、排紙機構183を備えている。自動給紙機構181は、図4に示すように、第1ペーパーサポート132にサポートされている用紙を給送するために持ち上げるホッパ81、このホッパ81により持ち上げられた用紙を取り出す給紙ローラ82、この給紙ローラ82により重送された用紙を1枚のみに分離するリタードローラ83、このリタードローラ83により分離された残りの用紙をホッパ81へ戻す紙戻しレバー84等を備えている。
ホッパ81は、用紙が載置可能な平板状に形成されて後壁と略平行に配設されており、下端が給紙ローラ82の近傍に位置し、上端が後壁頂部に近接して位置するように配設されている。そして、ホッパ81は、後壁に一端が取り付けられた図示しない圧縮バネの他端が下端側の裏面に取り付けられており、この圧縮バネの伸縮により上端側を中心に下端側が旋回するように配設されている。
給紙ローラ82は、断面の一部が切り欠かれたD字状に形成されてホッパ81の下端近傍に配設されており、間欠的に回転してホッパ81により持ち上げられた用紙を摩擦給送するようになっている。リタードローラ83は、給紙ローラ82と当接可能に配設されており、給紙ローラ82により用紙が重送されたときに最上層の用紙のみを下層の用紙から摩擦分離するようになっている。紙戻しレバー84は、爪状に形成されて給紙ローラ82の近傍に配設されており、リタードローラ83により分離された下層の用紙を爪に掛けてホッパ81へ戻すようになっている。
搬送機構182は、図4に示すように、記録動作に同期して副走査方向に用紙を送る紙送りローラ85とその従動ローラ86等が配設されている。紙送りローラ85は、プラテン203の搬送上流側に配設されており、給紙ローラ82により給送される用紙を従動ローラ86と共に挟持してプラテン203へ送り出すようになっている。
排紙機構183は、図4に示すように、排紙ローラ87と第1ギザローラ88a及び第2ギザローラ88b等を備えている。第1ギザローラ88aは、プラテン203の搬送下流側に配設され、第2ギザローラ88bと排紙ローラ87は、第1ギザローラ88aの搬送下流側に対向配設されており、プラテン203を通過してくる用紙を先ず第1ギザローラ88aで排送し、続いて第2ギザローラ88bと排紙ローラ87で挟持してスタッカ152上へ排紙するようになっている。尚、第1ギザローラ88a及び第2ギザローラ88bは、図示しない同一の保持部材により保持されている。
制御部190は、図4に示すように、プリンタコントローラを構成するメイン基板191を備えている。このメイン基板191は、図示しないCPU、ROM、RAM、ASIC等の制御素子や記憶素子、及びその他の各種回路素子が装着されている。そして、プリントエンジンを構成する用紙搬送部180や記録部200等を制御するようになっている。
記録部200には、図4に示すように、記録動作に同期して主走査方向に移動するキャリッジ201、記録動作に同期してインクを吐出する記録ヘッド202、記録時の用紙を平坦に保持するプラテン203、キャリッジ201の移動を案内するキャリッジガイド軸204等が配設されている。キャリッジ201は、図3に示すように、プラテン203の上方でキャリッジガイド軸204に貫装されてキャリッジベルト205に連結されており、図示しないキャリッジモータによってキャリッジベルト205が作動すると、キャリッジベルト205の動きに連行され、キャリッジガイド軸204に案内されて往復移動するようになっている。
記録ヘッド202は、図4に示すように、プラテン203と所定の間隔が空くようにしてキャリッジ201に搭載されており、2種類のブラック、例えばフォトブラックとマットブラックのインクと、イエロー、シアン、ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、グレー、レッドの7色のインクをそれぞれ吐出することができる。即ち、記録ヘッド202は、圧力発生室とそれに繋がるノズル開口がノズルプレートに設けられており、圧力発生室内にインクを貯留して所定圧で加圧することにより、ノズル開口から用紙に向けてコントロールされた大きさのインク滴を吐出するようになっている。プラテン203は、矩形平板状に形成され、紙送りローラ85と排紙ローラ87の間であって記録ヘッド202と対向するように配設されており、搬送されてくる用紙を面支持するようになっている。
図5は、上記チョークバルブ220とその周辺部をプリンタ前面側から見た分解斜視図、図6〜図8は、上記チョークバルブ220の斜視図、断面図及び分解斜視図である。チョークバルブ220は、図5に示すように、カートリッジ収納部120に収納されるインクカートリッジ121の奥側であって、インクカートリッジ121からキャリッジ201に搭載されている記録ヘッド202までのインク流路の途中に配設されている。このチョークバルブ220は、図6〜図8に示すように、矩形平板状に形成された合成樹脂材料で成るバルブ本体(基材)221と、このバルブ本体221の表裏面に対しそれぞれ接合封止する可撓性の合成樹脂材料で成るフィルム材222、223を備えている。
バルブ本体221は、ポリプロピレン等の合成樹脂材料で成り、図6(A)に示す表面(接合封止面)221a側に各色のバルブ(凹部)224、インク供給口225及びインク排出口226が形成され、図6(B)に示す裏面221b側にインク供給口225からバルブ224を通ってインク排出口226に繋がるインク流路227が形成されている。各色のバルブ224及びインク供給口225は、カートリッジ収納部120に収納されている各色のインクカートリッジ121に対応してそれぞれ並設されている。各色のインク排出口226は、1つのコネクタ228にそれぞれ並設されて表面221a側の右端部に配設されている。
バルブ224は、図7に示すように、円形の開口部224aから環状の傾斜面224bを経て、表面221aと平行であって開口部224aと同心状の底面224cに連なった凹形状に形成されている。そして、円形の底面224cの中央部にはテーパ状の隆起部224dが設けられ、その上端面224eの中心部には流出穴224fが設けられている。この流出穴224fの周囲の上端面224eが弁座面として機能するものであり、この弁座面(上端面)224eは、表面221aと平行であって表面221aよりも低くなるように設けられている。
フィルム材222、223は、図7に示すように、ポリプロピレン等が積層された合成樹脂材料で成り、溶着等によりバルブ本体221の表面221a及び裏面221bに接合され、バルブ224及びインク流路227を封止している。そして、バルブ224を覆っているフィルム材222の部分(以下、バルブ用フィルム材222aという)は、バルブ224内に向かって所定量dの弛み込みを持って接合されている。
バルブ本体221の裏面221bに接合されてインク流路227を封止するフィルム材223は、図8に示すように、バルブ本体221の裏面221bを覆う矩形状に形成されている。一方、バルブ本体221の表面221aに接合されてバルブ224を封止するフィルム材222は、図8に示すように、全バルブ224を覆う矩形状に形成されていると共に、図示点線で示す各バルブ224の封止位置の境界にスリット229が形成されている。このスリット229は、フィルム材222の幅方向の両端部222bを所定長さ残すようにして溝状に形成されている。
このような構成のチョークバルブ220は、図5に示すように、各色のインク供給口225が、カートリッジ収納部120に収納される各色のインクカートリッジ121とそれぞれ接続され、各色のインク排出口226を有するコネクタ228は、インク供給チューブ206の一端に設けられているコネクタ206aと接続されている。このインク供給チューブ206は、他端が記録ヘッド202に繋がるヘッド側バルブ230に接続されている。
チョーククリーニングを行う場合は、チョークバルブ220を閉弁状態にし、キャップによって記録ヘッド202のノズル形成面を覆い、吸引ポンプによってキャップの内部を減圧することにより、チョークバルブ220よりも下流におけるインク流路内に負圧を蓄積する。その後、負圧が蓄積された状態でチョークバルブ220を開弁状態にすることにより、インク流路内のインクの流速を瞬間的に高めて滞留していた気泡や不純物を一気にノズル開口から排出する。これにより、インク流路内におけるインクの充填性を高めることができる。
このような構成のチョークバルブ220を製造する際は、先ず、各色のバルブ224、インク供給口225及びインク排出口226並びにインク流路227等を備えたバルブ本体221を、インジェクション成形等により製作すると共に、スリット229を備えたフィルム材222及びフィルム材223を、プレス成形等により製作する。そして、フィルム材222をバルブ本体221の表面221a上に載置し、フィルム材222の各スリット229がバルブ本体221の各バルブ224の境界に来るように位置決めする。
次に、フィルム材222を加熱加圧手段により加熱加圧してバルブ本体221の表面221aに溶着する。この加熱加圧手段は、フィルム材222が載置されたバルブ本体221に対し上下動可能であり、加熱されない状態で加圧する第1プレス部と、加熱された状態で加圧する第2プレス部を備えている。第1プレス部は、各バルブ224の内側に位置するバルブ用フィルム材222a(図7参照)のみを上方から押圧する円形状のプレス部である。第2プレス部は、各第1プレス部の外側に断熱材を介して配設されていると共に、各第1プレス部の下端面よりもバルブ用フィルム材222aの弛み込み量dだけ上昇した下端面を有し、各バルブ224の外縁に位置する封止用フィルム材222c(図7参照)を上方から押圧するプレス部である。
このような加熱加圧手段によれば、先ず、第1プレス部が各バルブ224の内側に位置するバルブ用フィルム材222aのみに当接し、各バルブ用フィルム材222aを弛み込み量dだけ押し下げる。このとき、各バルブ用フィルム材222aの周囲が引っ張られるが、各スリット229が開いて当該引張力を吸収するので、各バルブ用フィルム材222aの周囲に皺が寄ることは無く、各バルブ用フィルム材222aに所定量dの弛み込みを持たせることができる。続いて、第2プレス部が各バルブ224の外縁に位置する封止用フィルム材222cに当接し、各封止用フィルム材222cをバルブ本体221の表面221aに溶着する。各バルブ224の外縁に位置する封止用フィルム材222cは、同時に溶着されるので、製造効率を向上させることができる。
次に、フィルム材223をバルブ本体221の裏面221b上に載置し、フィルム材223を先程の加熱加圧手段とは異なる1つのプレス部のみを有する加圧加熱手段により加熱加圧してバルブ本体221の裏面221bに溶着する。以上により、従来のバルブ製造方法により発生していたバルブ本体の加熱膨張による反り等の変形を無くすことができ、また、バルブ本体を安定的且つ迅速に加熱膨張させるための装置が不要となるので、安定したバルブ特性を有する安価なチョークバルブ220を製造することができる。
尚、スリット229の形状は、第1プレス部が各バルブ用フィルム材222aを弛み込み量dだけ押し下げたときに発生する引張力を吸収することができる形状であれば良い。従って、図9(a)に示すフィルム材222の幅方向の両端部222bを所定長さ残すようにして溝状に形成されたものに限定されるものではなく、図9(b)に示す断続した溝状に形成されたもの、図9(c)に示す線状に形成されたもの、図9(d)に示す破線状に形成されたもの等でも良い。また、バルブがマトリックス状に配列されたチョークバルブの場合は、バルブの四方にスリット229を形成することにより同様の効果を奏する。
チョークバルブを備えた記録装置としてインクジェット式プリンタを例に説明したが、チョークバルブを備えた記録装置であれば、例えばファクシミリ装置、コピー装置等であっても適用可能である。また、記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を液体噴射ヘッドから被噴射媒体に噴射して液体を被噴射媒体に付着させる液体噴射装置の意味として、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等を備えた装置にも適用可能である。
100 インクジェット式プリンタ、110 操作部、120 カートリッジ収納部、130 第1リア給紙部、140 第2リア給紙部、150 排紙部、160 フロント給紙部、170 廃インク回収部、180 用紙搬送部、190 制御部、200 記録部、210 プリンタカバー、220 チョークバルブ、221 バルブ本体、221a 接合封止面、222、223 フィルム材、224 バルブ、225 インク供給口、226 インク排出口、227 インク流路、228 コネクタ、229 スリット
Claims (4)
- 基材に形成された複数の凹部にフィルム材を接合封止した構造のバルブであって、
前記フィルム材の前記各凹部の境界にスリットが設けられていることを特徴とするバルブ。 - 液体噴射装置の装置本体に取り付けられた液体供給手段から液体噴射手段に向かう液体が流れる流路の所定箇所に配置されているチョーククリーニング用バルブであることを特徴とする請求項1に記載のバルブ。
- 基材の接合封止面に形成された複数の凹部を覆う1枚のフィルム材の前記各凹部の境界にスリットを設け、
当該フィルム材を前記基材の接合封止面上に載置し、
当該フィルム材を前記接合封止面に対し接合封止することを特徴とするバルブの製造方法。 - 前記接合封止は、前記各凹部の周囲に対し同時に行われることを特徴とする請求項3に記載のバルブの製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2006040026A JP2007216519A (ja) | 2006-02-16 | 2006-02-16 | バルブ及びその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012061624A (ja) * | 2010-09-14 | 2012-03-29 | Seiko Epson Corp | インク供給装置およびインクジェット記録装置 |
-
2006
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