JP2007213920A - イオン発生装置及びこれを備えた電気機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電によって生成されたイオンを再結合などの影響を受けにくくし、更に効率よくイオンを放出することができるイオン発生装置及びこれを備えた電気機器を提供する。
【解決手段】誘電体15を介して対向する放電電極21aと誘電電極21bとを備えた放電部21に交流電圧を印加してイオンを発生させるイオン発生装置において、放電電極21aに直流電圧を印加する直流電圧印加手段を設け、好ましくは直流電圧印加手段17、18は正の直流電圧及び負の直流電圧のいずれかを選択的に印加可能とし、印加電圧の極性を交互に切換えることにより、プラスイオンとマイナスイオンとを交互に放出させる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、プラスイオンとマイナスイオンを空間に放出することで、空気中に浮遊する細菌やカビ菌、有害物質等を分解することが可能なイオン発生装置及びこれを備えた電気機器に関するものである。
プラスイオン、マイナスイオンの両極性のイオンを放出して、空気中にプラスイオンであるH+(H2O)mと、マイナスイオンであるO2 -(H2O)n(m、nは自然数)を略同等量発生させることにより、両イオンが空気中の浮遊カビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸基ラジカル(・OH)の作用により、前記浮遊カビ菌等を不活化することが可能なイオン発生装置に関する発明が本発明者等によってすでになされている(例えば、特許文献1、2を参照)。
なお、上記の発明については、本願出願人によって既に実用化され、実用機には、セラミックの誘電体を挟んで外側に放電電極、内側に誘導電極を配設した構造のイオン発生装置、及びこれを搭載した空気清浄機や空気調和機などがある。
しかしながら、前記浮遊カビ菌等を不活化することが可能なイオン発生装置には、プラスイオンとマイナスイオンを同時に発生させることで、イオン発生とともに両極性のイオンの一部は中和して消滅するという課題があった。この問題点に鑑み、本発明者等はイオン発生装置に関する発明をなし、かかる発明に関する特許出願(特願2003−137098)が本出願人によってすでになされている。
前記特許出願に係るイオン発生装置は、発生したプラスイオンとマイナスイオンがイオン発生素子の電極近傍で中和して消滅することを抑え、発生した両極性のイオンを有効的に空間に放出するために、単一のイオン発生素子でプラスイオンとマイナスイオンを所定周期で交互に発生させる方式ではなく、複数のイオン発生素子または複数の放電部を備えたイオン発生素子でプラスイオンとマイナスイオンを個別に発生させ、各々を独立して室内に放出する方式(以下、イオン独立放出方式と呼ぶ)を採用した構成としている。
このような構成とすることにより、イオン独立放出方式の効果を活かし、複数のイオン発生素子または複数の放電部で発生したプラスイオン、マイナスイオンの減衰を抑えて効率的でバランスの良いイオン放出を行うことが可能となる。
特開2003−47651号公報 特開2002−319472号公報
前記特許出願に係るイオン発生装置は、発生したプラスイオンとマイナスイオンがイオン発生素子の電極近傍で中和して消滅することを抑え、発生した両極性のイオンを有効的に空間に放出するために、複数のイオン発生素子または複数の放電部を備えたイオン発生素子でプラスイオンとマイナスイオンを個別に発生させ、各々を独立して室内に放出するイオン独立放出方式を採用した構成とすることにより、複数のイオン発生素子または複数の放電部で発生したプラスイオン、マイナスイオンの減衰を抑えて効率的でバランスの良いイオン放出を行うことが可能となる。
前記イオン独立放出方式を採用して、更にイオン量を増加させようとする場合、印加電圧を増加する、もしくは放電の回数を増加するという手段が考えられる。しかしながら、前記手段では、ある領域から放電部周辺でのイオンの再結合の影響が大きくなるなどの理由によりほとんど増加しなくなり、期待されるイオン量を得ることができず、かつ、放電によって発生するオゾンや騒音は、放電の強さや回数に比例するので、前記手段ではこれらの大幅な増加を避けられないという問題があった(図1参照)。
本発明は、上記の問題点に鑑み、放電によって生成されたイオンを再結合などの影響を受けにくくし、更に効率よくイオンを放出することができるイオン発生装置及びこれを備えた電気機器を提供することを目的とする。
上記問題点を解決するため、本発明では、誘電体を介して対向する放電電極と誘電電極とを備えた放電部に交流電圧を印加してイオンを発生させるイオン発生装置において、前記放電電極に直流電圧を印加する直流電圧印加手段を設け、放電電極に対して交流電圧にさらに直流電圧を付加して印加するようにしたことを特徴とする。
上記構成によれば、放電電極の対地電圧を増加させることが可能となり、放電部周辺でのイオンの再結合によるイオン放出効率の低減を防止し、印加電圧や放電回数を増加させた場合においてもイオンを効率よく放出させることが可能となる(図2参照)。
直流電圧印加手段としては、正の直流電圧又は負の直流電圧を印加するもののいずれであってもよい。正の直流電圧を印加する場合は、放電部からプラスイオンが放出され、負の直流電圧を印加する場合は、放電部からマイナスイオンが放出される。
また、直流電圧印加手段として、正の直流電圧及び負の直流電圧のいずれかを選択的に印加可能とすることもできる。この場合、直流電圧印加手段の印加電圧を、正の直流電圧と負の直流電圧とに交互に切換えて印加することにより、プラスイオンと、マイナスイオンとを交互に放出させることができ、印加電圧切換えのタイミングを調整することでプラスイオンとマイナスイオンとを空気中に混在させることが可能となる。
上記構成のイオン発生装置では、1対の放電部に正の直流電圧又は負の直流電圧を印加してプラスイオン又はマイナスイオンを交互に放出させているが、電極部を複数対用いて各電極部からプラスイオン又はマイナスイオンを同時に放出させることも可能である。
具体的には、誘電体を介して対向する放電電極と誘電電極とを備えた放電部に交流電圧を印加してイオンを発生させるイオン発生装置において、放電部として、交流電圧をプラスにバイアスした電圧波形を印加することでプラスイオンを発生する第1の放電部と、交流電圧を負にバイアスした電圧波形を印加することでマイナスイオンを発生する第2の放電部とを少なくとも1つずつ有し、第1放電部の放電電極に正の直流電圧を印加する正の直流電圧印加手段を設け、第2放電部の放電電極に負の直流電圧を印加する負の直流電圧印加手段を設け、第1放電部の放電電極に対して正にバイアスした電圧波形にさらに正の直流電圧を付加して印加するようにし、第2放電部の放電電極に対して負にバイアスした電圧波形にさらに負の直流電圧を付加して印加する構成を採用可能とした。
上記構成によれば、正にバイアスした交流電圧を印加する第1放電部には正の直流電圧を付加的に印加し、負にバイアスした交流電圧を印加する第2放電部には負の直流電圧を付加的に印加することにより、それぞれの放電部における対地電位を高めることが可能となる。したがって、第1放電部からプラスイオンを、第2放電部からマイナスイオンを効率よく放出させることができる。
さらに、上記直流電圧を印加する直流電圧印加手段は、印加電圧を調節可能とすることで、すなわち、放電部の放電電極に印加する直流電圧を可変とすることで、放電部の放電電極への電圧印加量を変化させることによって、放出されるイオン量を調節することが可能となる。
本発明に係るイオン発生装置は、プラスイオンとしてH+(H2O)mを発生し、マイナスイオンとしてO2 -(H2O)n(m、nは自然数であり、H2O分子が複数個付いていることを意味する)を発生する。
空気中にH+(H2O)mとO2 -(H2O)nを同時に存在させることにより、両イオンを空気中の浮遊細菌等に付着させ、その際に生成される活性種の水酸基ラジカル(・OH)の作用により、前記浮遊細菌等を不活性化することができる。
また、本発明に係る電気機器は、上記いずれかの構成のイオン発生装置と、前記イオン発生装置で発生したイオンを空気中に送出する送出手段(例えば送風ファンなど)とを備える構成にするとよい。このような構成とすることにより、機器本来の機能に加えて、搭載したイオン発生装置で空気中のイオン量やイオンバランスを変化させ、室内等の環境を所望の雰囲気状態とすることが可能となる。
上記の電気機器に該当する例としては、主に閉空間(家屋内、ビル内の一室、病院の病室や手術室、車内、飛行機内、船内、倉庫内、冷蔵庫の庫内等)にプラスイオンとマイナスイオンを放出する空気調和機、除湿器、加湿器、空気清浄機、冷蔵庫、ファンヒータ、電子レンジ、洗濯乾燥機、掃除機、殺菌装置等を挙げることができる。
以上のように、本発明によれば、放電部の放電電極に直流電圧を印加する直流電圧印加手段を設けたため、放電電極における対地電位の絶対値を増加させることが可能となり、放電によって生成されたイオンを再結合などの影響を受けにくくし、更に効率よくイオンを放出することができる。
[第1実施形態]
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図3は、本発明の第1実施形態を示すイオン発生装置の電気回路図である。イオン発生装置は、放電部21を備えたイオン発生素子30と、イオン発生素子30に対して所定の交流電圧印加を行う交流電圧印加回路20aとから成り、交流電圧印加回路20aは、入力電源1の電圧を昇圧して放電部21に所定の電圧を印加する手段として昇圧トランス28を有する。
また、交流電圧印加回路20aは、入力電源1から電力を受け取るトランス28の1次側回路として、入力抵抗2、整流ダイオード3、コンデンサ4、フライホイールダイオード25、トランス駆動用スイッチング素子(無ゲート2端子サイリスタ:サイダック[新電元工業の製品名])7を有する。
入力電源1が交流商用電源である場合、入力電源1の電圧により、入力抵抗2、整流ダイオード3を介してコンデンサ4が充電される。そして、コンデンサ4の両端電圧が規定電圧以上になればトランス駆動用スイッチング素子7がオンして、昇圧トランス28の1次側巻線28aに電圧が印加される。
その直後、コンデンサ4に充電されたエネルギーは、1次側巻線28aと、トランス駆動用スイッチング素子7とを通じて放電され、コンデンサ4の両端電圧はゼロに戻り、再び充電がされ、規定周期で充放電を繰り返す。
入力電源1が交流商用電源であるとき、日本国内では入力交流商用電源の片方が接地されているため、接地端子がない電気機器などは入力電源1の片側につなげば同じ機能を得ることができる。なお、コンセントが逆に挿入されても、100Vが重たんされるだけであり、接地されるのは同じである。
続いてトランス28の2次側回路について説明する。1次側回路のトランス駆動用スイッチング素子7がオンすることにより、1次側のエネルギーが昇圧トランス28の2次巻線28bに伝達され、昇圧トランス28の2次巻線28bの両端に交番電圧のインパルス波形が印加される。
また、昇圧トランス28の2次巻線28bが放電部21の放電電極21a、誘導電極21bに接続されている。放電電極21aには、昇圧トランス28の2次巻線28bだけでなく、スイッチ22、正の直流電圧印加手段17及び負の直流電圧印加手段18が接続されている。正の直流電圧印加手段17及び負の直流電圧印加手段18は、印加電圧が調節可能とされている。
正の直流電圧印加手段17及び負の直流電圧印加手段18としては、入力電源1とは別に直流電圧電源を使用してもよいが、入力電源1から得られる交流電圧を整流し、平滑化した後、昇圧することによって放電電極に直流高電圧を印加する直流電圧印加回路を使用することも可能であり、この場合は交流商用電源から容易に直流電圧を得ることが可能となる。
スイッチ22は、マイクロコンピュータ(以後、マイコンという)23によって切換制御されており、スイッチ22が端子22aに接続されると、放電電極21aに正の直流高電圧が印加され、スイッチ22が端子22bに接続されると、放電電極21aに負の直流高電圧が印加される。なお、スイッチ22を切り換える周期は、マイコン23により可変自在に設定することが可能である。
スイッチ22が端子22aに接続されたときは、放電部21から放出されるイオンはプラスイオンとなり、スイッチ22が端子22bに接続されたときは、放電部21から放出されるイオンはマイナスイオンとなる。すなわち、プラス、マイナス両方のイオンが交互に放出される。そして、空気中にH+(H2O)mとO2 -(H2O)nの両方を放出することにより、これらのイオンが空気中の浮遊カビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際生成される活性種の水酸基ラジカル(・OH)の作用により不活化することが可能となる。
上記記載について詳細に述べる。放電部21を構成する放電電極21a及び誘導電極21b間に交流電圧を印加することにより、空気中の酸素分子ないしは水分子が、放電によって生成された電子からエネルギーを受けてイオン化し、H+(H2O)m(mは任意の自然数)とO2 -(H2O)n(nは任意の自然数)を主体としたイオンを生成し、これらをファン等により空間に放出させる。
これらH+(H2O)m及びO2 -(H2O)nは、浮遊菌の表面に付着し、化学反応して活性種であるH22または(・OH)を生成する。H22または(・OH)は、極めて強力な活性を示すため、これらにより、空気中の浮遊細菌を取り囲んで不活化することができる。ここで、(・OH)は活性種の1種であり、ラジカルのOHを示している。
活性種である過酸化水素H22または水酸基ラジカル(・OH)は、有害物質を酸化若しくは分解して、ホルムアルデヒドやアンモニアなどの化学物質を、二酸化炭素や、水、窒素などの無害な物質に変換することにより、実質的に無害化することが可能である。
したがって、図3に示すイオン発生装置と送風ファンとを電気機器に搭載し、送風ファンを駆動することにより、イオン発生装置によって発生させたプラスイオンとマイナスイオンを電気機器の本体外に送り出すことができる。そして、プラスイオンとマイナスイオンの作用により空気中のカビや菌を不活化し、その増殖を抑制することができる。
その他、プラスイオンとマイナスイオンには、コクサッキーウィルス、ポリオウィルスなどのウィルス類も不活化する働きがあり、これらウィルスの混入による汚染が防止できる。また、プラスイオンとマイナスイオンには、臭いの元となる分子を分解する働きがあることも確かめられており、空間の脱臭にも利用できる。
マイコン23は、スイッチ22を切換制御するほかに、正の直流電圧印加手段17及び負の直流電圧印加手段18の印加電圧を制御する。すなわち、マイコン23は、例えば、マイナスイオンの放出量を増加させるときは、負の直流電圧印加手段18の出力を増加させ、両方のイオン放出量を増加させるときには、両方の直流電圧印加手段17及び18の出力を増加させ、これによりプラスイオン及びマイナスイオンの発生量をコントロールすることができる。さらに、マイコン23は、イオン発生装置の運転スイッチのオン/オフ信号等を受けて、交流電圧印加回路20aへの電力の供給も制御している。
次に、イオン発生素子30の構成について説明する。図4は、イオン発生素子30の構成を示す側面断面図である。イオン発生素子30には、イオンを発生する放電部21が形成されている。放電部21は、誘電体15(上部誘電体15aと下部誘電体15b)、放電電極21a、誘導電極21b、放電電極接点21c、誘導電極接点21d、接続端子21e、21f、及び接続経路21g、21hから構成されており、放電電極21aの表面はコーティング層16で被覆されている。放電電極21aと、誘導電極21bとは、それぞれ形状を相似とし、大きさを略同一としている。
誘電体15は、略直方体状の上部誘電体15aと下部誘電体15bとを貼り合わせてなる(例えば縦15[mm]×横37[mm]×厚み0.45[mm])。誘電体15の材料として無機物を選択するのであれば、高純度アルミナ、結晶化ガラス、フォルステライト、ステアタイト等のセラミックを使用することができる。
また、誘電体15の材料として有機物を選択するのであれば、耐酸化性に優れたポリイミドやガラスエポキシなどの樹脂が好適である。ただし、耐食性の面を考えれば、誘電体15の材料として無機物を選択する方が望ましく、さらに、成形性や後述する電極形成の容易性を考えれば、セラミックを用いて成形するのが好適である。
また、放電電極21aと誘導電極21bとの間の絶縁抵抗は均一であることが望ましいため、誘電体15の材料としては、密度ばらつきが少なく、その絶縁率が均一であるものほど好適である。
なお、誘電体15の形状は、略直方体状以外(円板状や楕円板状、多角形板状等)であってもよく、さらには円柱状であってもよいが、生産性を考えると、本実施形態のように平板状(円板状及び直方体状を含む)とするのが好適である。
放電電極21aは、上部誘電体15aの表面に該上部誘電体15aと一体的に形成されている。放電電極21aの材料としては、例えばタングステンのように、導電性を有するものであれば、特に制限なく使用することができるが、放電によって溶融等の変形を起こさないことが条件となる。
また、誘導電極21bは、上部誘電体15aを挟んで、放電電極21aと平行に設けられている。このような配置とすることにより、放電電極21aと誘導電極21bとの距離(以下、電極間距離と呼ぶ)を一定とすることができるので、両電極間の絶縁抵抗を均一化して放電状態を安定させ、プラスイオン及びマイナスイオンを好適に発生させることが可能となる。なお、誘電体15を円柱状とした場合には、放電電極21aを円柱の外周表面に設けるとともに、誘導電極21bを軸状に設けることによって、前記電極間距離を一定とすることができる。
誘導電極21bの材料としては、放電電極21aと同様、例えば、タングステンのように、導電性を有するものであれば、特に制限なく使用することができるが、放電によって溶融等の変形を起こさないことが条件となる。
放電電極接点21cは、放電電極21aと同一形成面(すなわち上部誘電体15aの表面)に設けられた接続端子21e、及び接続経路21gを介して、放電電極21aと電気的に導通されている。従って、放電電極接点21cにリード線(銅線やアルミ線など)の一端を接続し、該リード線の他端をトランスの2次巻線に接続すれば、放電電極21aと昇圧トランス28の2次巻線28bとを電気的に導通させることができる。
誘導電極接点21dは、誘導電極21bと同一形成面(すなわち下部誘電体15bの表面)に設けられた接続端子21f、及び接続経路21hを介して、誘導電極21bと電気的に導通されている。従って、誘導電極接点21dにリード線(銅線やアルミ線など)の一端を接続し、該リード線の他端をトランスの2次巻線に接続すれば、誘電電極21bと昇圧トランス28の2次巻線28bとを電気的に導通させることができる。
さらに、放電電極接点21cと誘導電極接点21dは、誘電体15の表面であって放電電極21aが設けられた面以外の面に設けることが望ましい。このような構成であれば、誘電体15の上面に不要なリード線などが配設されないので、図3に示すイオン発生装置とそのイオン発生装置で発生したイオンを空気中に送出する送風ファンを搭載した電気機器において、送風ファンからの空気流が乱れにくくなり、プラスイオンとマイナスイオンの中和を低減することができる。
以上のことを考慮して、イオン発生素子30では、放電電極接点21c及び誘導電極接点21dが、誘電体15の上面に相対する面に設けられている。なお、図4に示すイオン発生素子30において、放電電極21aは鋭角部(不図示)を持ち、その部分で電界を集中させ、局部的に放電を起こす構成としている。
[第2実施形態]
図5は、本発明に係るイオン発生装置の第2実施形態を示す電気回路図である。本実施形態においては、プラスイオンとマイナスイオンとを同時に放出させるために一つのイオン発生素子10に2つの放電部11、12を形成し、各放電部にそれぞれ直流電圧を印加するようにした点にあり、その他、各放電部の構成等については第1実施形態と同様とされている。なお、説明の便宜上、図3に示すイオン発生装置と同一の部分には同一の符号を付している。
本実施形態のイオン発生装置は、図5に示すように、2つの放電部(第1放電部11及び第2放電部)が形成されたイオン発生素子10と、イオン発生素子10に対して所定の交流電圧印加を行う交流電圧印加回路20bとを備えている。交流電圧印加回路20bは、第1放電部11に所定の電圧を印加する昇圧トランス8と、第2放電部12に所定の電圧を印加する昇圧トランス9とを有する。昇圧トランス8、9は、変圧比等、全ての特性を略同等としたトランスである。
また、電圧印加回路20bは、入力電源1から電力を受け取るトランスの1次側回路として、入力抵抗2、整流ダイオード3、コンデンサ4、フライホイールダイオード5、6、トランス駆動用スイッチング素子(無ゲート2端子サイリスタ:サイダック[新電元工業の製品名])7を有する。
入力電源1が交流商用電源である場合、入力電源1の電圧により、入力抵抗2、整流ダイオード3を介してコンデンサ4が充電される。そして、コンデンサ4の両端電圧が規定電圧以上になればトランス駆動用スイッチング素子7がオンして、昇圧トランス8の1次側巻線8aに電圧が印加される。その直後、コンデンサ4に充電されたエネルギーは1次側巻線8aとトランス駆動用スイッチング素子7を通じて放電され、コンデンサ4の両端電圧はゼロに戻り、再び充電がされ、規定周期で充放電を繰り返す。
続いてトランスの2次側回路について説明する。昇圧トランス8の2次巻線8bが第1放電部11の放電電極11a、誘導電極11bに接続され、昇圧トランス9の2次巻線9bが第2放電部12の放電電極12a、誘導電極12bに並列に接続されている。なお、昇圧トランス8と各電極、及び昇圧トランス9と各電極とは、放電電極11aと誘導電極11b間に印加される電圧の極性と、放電電極12aと誘導電極12bとの間に印加される電圧の極性とが逆になるように接続されている。
1次側回路のトランス駆動用スイッチング素子7がオンすることにより、1次側のエネルギーが昇圧トランス8の2次巻線8b、及び昇圧トランス9の2次巻線9bに伝達され、昇圧トランス8の2次巻線8bの両端、及び昇圧トランス9の2次巻線9bの両端に交番電圧のインパルス波形が印加される。
放電電極11aには、昇圧トランス8の2次巻線8bだけでなく、ダイオード13のカソードおよび正の直流電圧印加手段17が接続されている。
第1放電部11の放電電極11aにダイオード13のカソードが接続されることで、放電電極11a、誘導電極11bの電圧を接地端子、場合によっては入力電源1の片側を基準にみた電圧波形は、2次巻線8bに印加されるインパルス波形がそれぞれ正にバイアスされた波形となり、第1の放電部11から発生したマイナスイオンは放電電極11a上で中和し、プラスイオンは反発し放出される。
上記第1放電部11の放電電極11aには、正の直流電圧印加手段17が接続されており、放電電極11aに正の直流電圧を印加することにより、図7に示すように、第1放電部11の放電電極11aの対地電圧がさらに正にバイアスされて増加する。なお、図7では、放電電極11aに1kVの直流電圧を印加した場合を示している。
放電電極12aには、昇圧トランス9の2次巻線9bだけでなく、ダイオード14のアノードおよび負の直流電圧印加手段18が接続されている。
第2放電部12の放電電極12aにダイオード14のアノードが接続されることで、放電電極12a、誘導電極12bの電圧を接地端子、場合によっては入力電源1の片側を基準にみた電圧波形は、2次巻線9bに印加されるインパルス波形がそれぞれ負にバイアスされた波形となり、第2放電部12から発生したプラスイオンは放電電極12a上で中和し、マイナスイオンは反発し放出される。
上記第2放電部12の放電電極12aには、負の直流電圧印加手段18が接続されており、放電電極12aに負の直流電圧を印加することにより、図8に示すように、第2放電部12の放電電極12aの対地電圧が負にバイアスされる。なお、図8では、放電電極12aに−1kVの直流電圧を印加した場合を示している。
例えば、直流電圧印加手段18によって放電電極12aに直流電圧−1700Vを印加して、マイナスイオンの放出量を確認すると、通常に比べ30〜40%増加した結果が得られた。
上記直流電圧印加手段17及び18は、第1実施形態と同様に、マイコン23によって印加電圧が調節可能とされている。すなわち、マイコン23は、例えば、マイナスイオンの放出量を増加させるときは、負の直流電圧印加手段18の出力を増加させ、プラスイオン及びマイナスイオンの両方のイオン放出量を増加させるときは、両方の直流電圧印加手段17及び18の出力を増加させることにより、イオン放出量をコントロールすることが可能である。
上記イオン発生装置において発生するプラスイオンとしてはH+(H2O)mであり、マイナスイオンとしてはO2 -(H2O)n(m、nは自然数でH2O分子が複数個付いていることを意味する)である。このようにプラス、マイナス両方のイオンを個別に放出させ、空気中にH+(H2O)mとO2 -(H2O)nの両方を放出させることによる効果は前述した通りである。
次に、イオン発生素子10の構成について説明する。図6は、イオン発生素子10の構成を示す側面断面図である。前述のごとく、イオン発生素子10には、2つの放電部として第1放電部11及び第2放電部12が形成されている。
本実施形態において、第1実施形態におけるイオン発生素子30と異なる点は、同一基板(上部誘電体15a及び下部誘電体15b)上にそれぞれ分離して2対の電極が形成され、各電極対の部分が第1放電部11及び第2放電部12とされている点である。
すなわち、誘導電極11b及び12bは、下部誘導体15bの同一表面上で互いに離れた位置に形成され、放電電極11a及び12aは、上部誘導体15aの同一表面上で互いに離れた位置に形成されている。各電極対(放電電極11aと誘電電極11b、放電電極12aと誘電電極12b)はそれぞれ上部誘電体15aを挟んで平行に対向配置されており、各電極対の部分が第1放電部11及び第2放電部12とされている。そして、放電電極11a及び12aを含む上部誘導体15aの表面は、コーティング層16で被覆されている。
なお、各電極に接続される電極接点11c、11d、12c、12d、接続端子11e、11f、12e、12f及び接続経路11g、11h、12g、12hは、それぞれ第1実施形態における電極接点21c、21d、接続端子21e、21f、接続経路21g、21hと同じ構成とされている。
放電電極11a、12a及び誘導電極11b、12bの材料としては、第1実施形態と同じように、例えばタングステンのように、導電性を有するものであれば、特に制限なく使用することができるが、放電によって溶融等の変形を起こさないことが条件となる。
放電電極接点11c、12cは、放電電極11a、12aと同一形成面(すなわち上部誘電体15aの表面)に設けられた接続端子11e、12e、及び接続経路11g、12gを介して、放電電極11a、12aと電気的に導通されている。従って、放電電極接点11c、12cにリード線(銅線やアルミ線など)の一端を接続し、該リード線の他端をトランスの2次巻線及びダイオードに接続すれば、放電電極11aと昇圧トランス8の2次巻線8b、ダイオード13とを電気的に導通させることができ、放電電極12aとトランス9の2次巻線9b、ダイオード14とを電気的に導通させることができる。
誘導電極接点11d、12dは、誘導電極11b、12bと同一形成面(すなわち下部誘電体15bの表面)に設けられた接続端子11f、12f、及び接続経路11h、12hを介して、誘導電極11b、12bと電気的に導通されている。従って、誘導電極接点11d、12dにリード線(銅線やアルミ線など)の一端を接続し、該リード線の他端をトランスの2次巻線及びダイオードに接続すれば、誘電電極11bと昇圧トランス8の2次巻線8bとを電気的に導通させることができ、誘電電極12bとトランス9の2次巻線9bとを電気的に導通させることができる。
また、放電電極11aと放電電極12a及び誘導電極11bと誘導電極12bとは、それぞれ形状を相似とし、大きさを略同一としている。そして、上述のように、放電電極11aと誘導電極11bとの間の絶縁抵抗と、放電電極12aと誘導電極12bとの間の絶縁抵抗とは略同一であるので、放電電極11aと誘導電極11bとの間、及び、放電電極11aと誘導電極11bとの間に絶対値が略同一の電圧を印加すれば、略同量のプラスイオン、マイナスイオンが第1の放電部11、第2放電部12のそれぞれから放出されることになる。
なお、図5に示すイオン発生装置は、昇圧トランス8の1次巻線8aと昇圧トランス9の1次巻線9aとが直列に接続される回路構成であるが、1次巻線8aと1次巻線9aとが並列に接続される回路構成にすることも可能である。
なお、図3及び図5に示すイオン発生装置において、トランス駆動用スイッチング素子7は、上述の説明では無ゲート2端子サイリスタ(サイダック:新電元工業製)を採用した説明となっているが、若干異なる回路を用いてサイリスタ(SCR)を用いてもよい。また、入力電源1は直流電源の場合であっても、上記と同様の動作が得られる回路とすれば、これを問わない。即ち、当回路の1次側駆動回路としては、特に限定するものではなく、同様の動作が得られる回路であればよい。
上述した本発明に係るイオン発生装置は、空気調和機、除湿器、加湿器、空気清浄機、冷蔵庫、ファンヒータ、電子レンジ、洗濯乾燥機、掃除機、殺菌装置などの電気機器に搭載することが可能である。
係る電気機器にはイオン発生装置で発生したプラスイオン、マイナスイオンの両方のイオンを空気中に送出する送出手段(例えば、送風ファン)を搭載すればよい。このような電気機器であれば、機器本来の機能に加えて、搭載したイオン発生装置から放出されたプラスイオン、マイナスイオンの作用により空気中のカビや菌を不活化してその増殖を抑制すること等ができ、室内環境を所望の雰囲気状態とすることが可能となる。
また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各部の構成等を適宜に変更して実施することも可能である。
イオン・オゾン・騒音量と放電強度(回数)との関係を示す模式図 本発明に係るイオン発生装置のイオン量と放電強度(回数)との関係を示す模式図 本発明に係るイオン発生装置の第1実施形態を示す回路図 図3におけるイオン発生素子の構成を示す側面断面図 本発明に係るイオン発生装置の第2実施形態を示す回路図 図5におけるイオン発生素子の構成を示す側面断面図 正の直流高電圧印加による放電電極の対地電圧の変化を示す模式図 負の直流高電圧印加による放電電極の対地電圧の変化を示す模式図
符号の説明
1 入力電源
2 入力抵抗
3 整流ダイオード
4 コンデンサ
5、6、25 フライホイールダイオード
7 トランス駆動用スイッチング素子
8、9、28 昇圧トランス
10 イオン発生素子
11 第1放電部
12 第2放電部
13、14 高圧ダイオード
15 誘電体
15a 上部誘電体
15b 下部誘電体
16 コーティング層
17 正の直流電圧印加手段
18 負の直流電圧印加手段
20a、20b 交流電圧印加回路
21 放電部
22 スイッチ
23 マイコン

Claims (6)

  1. 誘電体を介して対向する放電電極と誘電電極とを備えた放電部に交流電圧を印加してイオンを発生させるイオン発生装置において、前記放電電極に直流電圧を印加する直流電圧印加手段を設け、前記放電電極に対して交流電圧にさらに直流電圧を付加して印加するようにしたことを特徴とするイオン発生装置。
  2. 前記直流電圧印加手段が、正の直流電圧及び負の直流電圧のいずれかを選択的に印加可能であることを特徴とする請求項1記載のイオン発生装置。
  3. 前記直流電圧印加手段の印加電圧を、正の直流電圧と負の直流電圧とに交互に切換えることにより、プラスイオンとマイナスイオンとを交互に発生させることを特徴とすることを特徴とする請求項2記載のイオン発生装置。
  4. 誘電体を介して対向する放電電極と誘電電極とを備えた放電部に交流電圧を印加してイオンを発生させるイオン発生装置において、前記放電部として、交流電圧を正にバイアスした電圧波形を印加することでプラスイオンを発生する第1の放電部と、交流電圧を負にバイアスした電圧波形を印加することでマイナスイオンを発生する第2の放電部とを少なくとも1つずつ有し、前記第1放電部の放電電極に正の直流電圧を印加する正の直流電圧印加手段を設け、第2放電部の放電電極に負の直流電圧を印加する負の直流電圧印加手段を設け、第1放電部の放電電極に対して正にバイアスした電圧波形にさらに正の直流電圧を付加して印加するようにし、第2放電部の放電電極に対して負にバイアスした電圧波形にさらに負の直流電圧を付加して印加するようにしたことを特徴とするイオン発生装置。
  5. 前記放電部の放電電極に印加する直流電圧が可変であり、前記放電部の放電電極への電圧印加量を変化させることによって、放出されるイオン量を調節可能とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のイオン発生装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のイオン発生装置と、前記イオン発生装置で発生したイオンを空気中に送出する送出手段とを備えたことを特徴とする電気機器。
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