JP2006294439A - イオン発生装置及びこれを備えた電気機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 大型化することなく、発生したイオンの中和・消滅を抑えて効率的でバランスの良いイオンの放出を行うことが可能なイオン発生装置を提供する。
【解決手段】 イオン発生装置は、放電部8を有するイオン発生素子と、放電部8に電圧印加を行う電圧印加回路とを備える。そして、前記電圧印加回路が、入力電圧をインパルス状の交番電圧に変換する電圧変換手段(抵抗2、ダイオード3及び5、コンデンサ4、スイッチング素子6、トランス7)と、前記インパルス状の交番電圧をプラスにバイアスした電圧を放電部8に印加して放電部8からプラスイオンのみを発生させる状態と前記インパルス状の交番電圧をマイナスにバイアスした電圧を放電部8に印加して放電部8からマイナスイオンのみを発生させる状態とを周期的に切り換える切り換え手段(ダイオード9及び10、スイッチ11及び12、マイコン13)とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】 イオン発生装置は、放電部8を有するイオン発生素子と、放電部8に電圧印加を行う電圧印加回路とを備える。そして、前記電圧印加回路が、入力電圧をインパルス状の交番電圧に変換する電圧変換手段(抵抗2、ダイオード3及び5、コンデンサ4、スイッチング素子6、トランス7)と、前記インパルス状の交番電圧をプラスにバイアスした電圧を放電部8に印加して放電部8からプラスイオンのみを発生させる状態と前記インパルス状の交番電圧をマイナスにバイアスした電圧を放電部8に印加して放電部8からマイナスイオンのみを発生させる状態とを周期的に切り換える切り換え手段(ダイオード9及び10、スイッチ11及び12、マイコン13)とを有する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、プラスイオンとマイナスイオンを空間に放出することで、空気中に浮遊する細菌やカビ菌、有害物質などを分解することが可能なイオン発生装置及びこれを備えた電気機器に関するものである。なお、上記の電気機器に該当する例としては、主に閉空間(家屋内、ビル内の一室、病院の病室や手術室、車内、飛行機内、船内、倉庫内、冷蔵庫の庫内等)にプラスイオンとマイナスイオンを放出する空気調和機、除湿器、加湿器、空気清浄機、冷蔵庫、ファンヒータ、電子レンジ、洗濯乾燥機、掃除機、殺菌装置等を挙げることができる。
プラスイオン、マイナスイオンの両極性のイオンを放出して、空気中にプラスイオンであるH+(H2O)mと、マイナスイオンであるO2 -(H2O)n(m、nは自然数)を略同等量発生させることにより、両イオンが空気中の浮遊カビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際に生成される活性種の水酸基ラジカル(・OH)の作用により、前記浮遊カビ菌等を不活化することが可能なイオン発生装置に関する発明が本願出願人によってすでに特許出願されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
なお、上記の発明については、本願出願人によって既に実用化され、実用機には、セラミックの誘電体を挟んで外側に放電電極、内側に誘導電極を配設した構造のイオン発生装置、及びこれを搭載した空気清浄機や空気調和機などがある。
しかしながら、前記浮遊カビ菌等を不活化することが可能なイオン発生装置には、プラスイオンとマイナスイオンを同時に発生させることで、発生とともに両極性のイオンの一部は中和して消滅してしまい、イオンを効率的に室内へ放出することができないという課題があった。この問題点に鑑み、イオンを効率的に室内へ放出することができるイオン発生装置に関する発明が本発明者等によってすでになされている(特許文献3及び特許文献4を参照)。
特許文献3で開示されているイオン発生装置は、例えば、誘電体を挟んで2つの電極を対向させて成るイオン発生素子と、該イオン発生素子に接続されたスイッチングトランスと入力交流電圧を整流する整流回路とこれに接続されるコンデンサと抵抗による時定数回路と、該時定数回路の充電電圧に応じてON/OFFする半導体式スイッチング素子を有して成る高圧インパルス電圧発生回路で、前記スイッチングトランスを該スイッチング素子で駆動することで、前記イオン発生素子に高圧インパルス電圧を印加するイオン発生装置であって、前記高圧インパルス電圧発生回路の入力電圧を全波整流する構成である。このような構成とすることにより、同じ電極形状であって前記入力交流電圧を半波整流する構成と比較して、前記イオン発生素子での放電頻度を理論上2倍とすることができ、同じ電極形状でありながら効率的にイオン放出量を増大させることが可能となる。
また、特許文献4で開示されているイオン発生装置は、単一の放電部でプラスイオンとマイナスイオンを所定周期で交互に発生させる方式ではなく、イオンを発生する放電部を複数有して成る単一のイオン発生素子でプラスイオンとマイナスイオンを個別に発生させることによって或いは複数のイオン発生素子でプラスイオンとマイナスイオンを個別に発生させることによって、両極性のイオン各々を独立して室内に放出する方式(以下、イオン独立放出方式という)を採用した構成としている。このような構成とすることにより、発生したプラスイオンとマイナスイオンがイオン発生素子の電極近傍で中和して消滅することを抑え、発生した両極性のイオンを効率的にバランス良く空間に放出することが可能となる。
ここで、上述した従来のイオン発生装置の電極間に印加される電圧の波形を図7〜図9に示す。図7は特許文献2で開示されているイオン発生装置の電極間に印加される電圧の波形であり、図8は特許文献3で開示されているイオン発生装置の電極間に印加される電圧の波形であり、図9は特許文献4で開示されているイオン発生装置の電極間に印加される電圧の波形である。なお、図9中の電圧波形E1はプラスイオンを発生する放電部の電極間に印加される電圧の波形であり、電圧波形E2はマイナスイオンを発生する放電部の電極間に印加される電圧の波形である。
特開2003−47651号公報
特開2002−319472号公報
特開2005−38616号公報
特開2004−363088号公報
特開2003−123939号公報
特許文献3で開示されているイオン発生装置は、入力交流電圧を全波整流する方式を採用しているので、入力交流電圧を半波整流する方式(例えば特許文献2を参照)に比べ効率的にイオン放出量を増大させることができるが、入力交流電圧を全波整流する方式を採用したことによって放電回数が増加し、オゾン発生量や放電による騒音が増加してしまうという問題(第一の問題)を有していた。
また、特許文献4で開示されているイオン独立放出方式のイオン発生装置は、発生したプラスイオンとマイナスイオンを送風ファンなどの送出手段で空気中に送出する場合、図10に示すように風向きW1が互いに異なる極性のイオンを発生する放電部D1及びD2の並びに対して垂直であれば問題ないが、図11に示すように風向きW1が互いに異なる極性のイオンを発生する放電部D1及びD2の並びに対して水平であると、放電部D1がプラスイオンを発生する放電部である場合、風上側の放電部D1で発生するプラスイオンが風下側の放電部D2のマイナス電位で中和されプラスイオンの量が減衰してしまい、逆に放電部D1がマイナスイオンを発生する放電部である場合、風上側の放電部D1で発生するマイナスイオンが風下側の放電部D2のプラス電位で中和されマイナスイオンの量が減衰してしまい、イオン発生装置から放出されるプラスイオンとマイナスイオンのバランスが大きく崩れてしまうという問題を有していた。この問題を解決するために、図12に示すように互いに異なる極性のイオンを発生する放電部D1及びD2を基材の対角線上に並べることも考えられるが、両極性のイオンの放出効率を考えると、図13に示すように互いに異なる極性のイオンを発生する放電部D1及びD2をX方向、Y方向ともに離して設置する必要があり、イオン発生素子の大型化という新たな問題(第二の問題)が生じてしまう(特許文献4の第0046段落を参照)。
さらに、特許文献4で開示されているイオン独立放出方式のイオン発生装置は、イオンを発生する放電部を複数有して成る単一のイオン発生素子で或いは複数のイオン発生素子でプラスイオンとマイナスイオンを個別に発生させるため、いずれかの放電部或いはイオン発生素子に生産ばらつきなどの不具合が生じた場合にプラスイオンとマイナスイオンのバランスが崩れてしまうという問題(第三の問題)も有していた。
一方、電極を有するイオン発生素子に電圧を印加してプラスイオンとしてH+(H2O)n(nは自然数)と、マイナスイオンとしてO2 -(H2O)m(mは自然数)を発生させる構成を備えたイオン発生装置において、前記イオン発生素子を加熱するための加熱手段を設けることで、前記電極の近傍の相対湿度を低下させて、使用環境での湿度に影響されずに、マイナスイオンおよびプラスイオンを安定して発生させるイオン発生装置が提案されている(例えば、特許文献5を参照)。しかしながら、当該技術を特許文献4で開示されているイオン独立放出方式のイオン発生装置に適用する場合、プラスイオンを発生する放電部とマイナスイオンを発生する放電部の両方或いはプラスイオンを発生するイオン発生素子とマイナスイオンを発生するイオン発生素子の両方に過熱手段を設ける必要があり、イオン発生装置の大型化を招くという問題(第四の問題)があった。
本発明は、上記第二の問題及び上記第三の問題に鑑み、大型化することなく、発生したイオンの中和・消滅を抑えて効率的でバランスの良いイオンの放出を行うことが可能なイオン発生装置及びこれを備えた電気機器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係るイオン発生装置は、放電部を少なくとも一つ有するイオン発生素子と、前記放電部に電圧印加を行う電圧印加回路とを備え、前記電圧印加回路が、入力電圧をインパルス状の交番電圧に変換する電圧変換手段と、前記インパルス状の交番電圧をプラスにバイアスした電圧を前記放電部に印加して前記放電部からプラスイオンのみを発生させる状態(第1の状態)と前記インパルス状の交番電圧をマイナスにバイアスした電圧を前記放電部に印加して前記放電部からマイナスイオンのみを発生させる状態(第2の状態)とを周期的に切り換える切り換え手段とを有する構成とする。
このような構成によると、前記インパルス状の交番電圧にバイアスがかかっていない場合(図7を参照)の前記インパルス状の交番電圧の正負切り換わり周期よりも長い周期で前記放電部から放出されるイオンの極性が切り換わるので、発生したイオンの中和・消滅を抑えることができる。
また、発生したプラスイオンとマイナスイオンを送風ファンなどの送出手段で空気中に送出する場合、上述したように前記放電部から放出されるイオンの極性切り換わり周期が長いため、風向きにかかわらず、風上側で発生したイオンが中和により減衰し、イオン発生装置から放出されるプラスイオンとマイナスイオンのバランスが大きく崩れてしまうという不具合は起こらない。したがって、図13に示したようなイオン発生素子の大型化が不要となる。
また、上記第1の状態の期間と上記第2の状態の期間を等しくすることで、プラスイオンとマイナスイオンを略略同等量発生させることができる。さらに、一つの放電部からプラスイオンとマイナスイオンを交互に放出するため、前記放電部に生産のばらつきなどの不具合が生じた場合でも、個々のイオン発生装置においてプラスイオンとマイナスイオンのバランスを良好に保つことができる。
したがって、上記構成のイオン発生装置は、大型化することなく、発生したイオンの中和・消滅を抑えて効率的でバランスの良いイオンの放出を行うことができる。なお、前記切り換え手段の切り換え周期が可変することが望ましい。
また、上記各構成のイオン発生装置において、前記入力電圧が交流電圧であって、前記電圧変換手段が、前記入力電圧を半波整流した電圧から前記インパルス状の交番電圧を生成するようにしてもよい。このような構成によると、交流電圧である入力電圧を全波整流する方式のイオン発生装置に比べオゾン発生量や放電による騒音を低減することができる。
また、上記各構成のイオン発生装置において、前記イオン発生素子を加熱するための加熱手段を備えるようにしてもよい。このような構成によると、前記イオン発生素子の放電面に付着した硝酸アンモニウムを主成分とする付着物を分解除去するともに、前記イオン発生素子の放電面近傍の湿度を低下させることができるので、使用環境での湿度に影響されずにイオンを安定して発生させることができる。また、一つの放電部からプラスイオンとマイナスイオンが交互に発生するので、イオン独立放出方式のイオン発生装置に比べイオン発生素子を加熱する加熱手段の設置に伴う装置の大型化を抑えることができる。
また、前記プラスイオンがH+(H2O)mであり、前記マイナスイオンがO2 -(H2O)n(m、nは自然数であり、H2O分子が複数個付いていることを意味する)であれば、空気中に両イオンを放出することにより、両イオンを空気中の浮遊細菌等に付着させ、その際に生成される活性種の水酸基ラジカル(・OH)の作用により、前記浮遊細菌等を不活性化することができる。
また、本発明に係る電気機器は、上記いずれかの構成のイオン発生装置と、前記イオン発生装置で発生したイオンを空気中に送出する送出手段(例えば送風ファンなど)とを備える構成とする。このような構成により、機器本来の機能に加えて、搭載したイオン発生装置で空気中のイオン量やイオンバランスを変化させ、室内等の環境を所望の雰囲気状態とすることが可能となる。
本発明に係るイオン発生装置及びこれを備えた電気機器によると、大型化することなく、発生したイオンの中和・消滅を抑えて効率的でバランスの良いイオンの放出を行うことができる。
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明の第1実施形態に係るイオン発生装置の電気的構成を図1に示す。また、図1に示すイオン発生装置の電極間に印加される電圧の波形を図2に示す。
図1に示すイオン発生装置は、放電部8を備えたイオン発生素子と、前記イオン発生素子に対して所定の電圧印加を行う電圧印加回路とから成る。前記電圧印加回路は、入力電源1から出力される電圧を所定の電圧に変換する回路であって、入力抵抗2と、整流ダイオード3と、コンデンサ4と、フライホイールダイオード5と、トランス駆動用スイッチング素子(無ゲート2端子サイリスタ:サイダック[新電元工業の製品名])6と、昇圧トランス7と、ダイオード9及び10と、スイッチ11及び12と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)13とを有する。
入力電源1が交流商用電源である場合、入力電源1から出力される交流電圧により、入力抵抗2、整流ダイオード3、フライホイールダイオード5を介してコンデンサ4が充電される。そして、コンデンサ4の両端電圧が規定電圧以上になればトランス駆動用スイッチング素子6がオンして、昇圧トランス7の1次側巻線7aに電圧が印加される。その直後、コンデンサ4に充電されたエネルギーは、昇圧トランス7の1次側巻線7aと、トランス駆動用スイッチング素子6とを通じて放電され、コンデンサ4の両端電圧はゼロに戻り、再び充電がされ、規定周期で充放電を繰り返す。
続いて昇圧トランス7の2次側回路について説明する。1次側回路のトランス駆動用スイッチング素子6がオンすることにより、1次側のエネルギーが昇圧トランス7の2次巻線7bに伝達され、昇圧トランス7の2次巻線7bの両端にインパルス状の交番電圧が発生する。
また、昇圧トランス7の2次巻線7bが放電部8の放電電極8a、誘導電極8bに接続されている。放電電極8aには、昇圧トランス7の2次巻線7bだけでなく、ダイオード9のカソードとダイオード10のアノードが接続されている。そして、ダイオード9のアノードがスイッチ11を介して接地または入力電源1の片側(ラインAC1)に接続され、ダイオード10のカソードがスイッチ12を介して接地または入力電源1の片側(ラインAC1)に接続される。入力電源1が交流商用電源であるとき、日本国内では入力交流商用電源の片方が接地されているため、接地端子がない電気機器などは入力電源1の片側につなげば同じ機能を得ることができる。なお、イオン発生装置の電源プラグがコンセントに逆に挿入されても、100Vが重畳されるだけであり、接地されるのは同じである。
放電部8の放電電極8aにダイオード9が接続されているので、昇圧トランス7の2次側巻線7bにインパルス状の交番電圧が発生しており且つスイッチ11がオンであるとき(図2中の期間T1)、接地端子、場合によっては入力電源1の片側(ラインAC1)を基準にみた放電電極8a、誘導電極8bの電圧は2次巻線7bに発生するインパルス状の交番電圧を正にバイアスしたものとなり、接地端子、場合によっては入力電源1の片側(ラインAC1)を基準にみた放電電極8a、誘導電極8bの電位は共にプラスであり、放電部8から発生したマイナスイオンは放電電極8a上で中和し、プラスイオンは反発し放出される。また、放電部8の放電電極8aにダイオード10が接続されているので、昇圧トランス7の2次側巻線7bにインパルス状の交番電圧が発生しており且つスイッチ12がオンであるとき(図2中の期間T2)、接地端子、場合によっては入力電源1の片側(ラインAC1)を基準にみた放電電極8a、誘導電極8bの電圧は2次巻線7bに発生するインパルス状の交番電圧を負にバイアスしたものとなり、接地端子、場合によっては入力電源1の片側(ラインAC1)を基準にみた放電電極8a、誘導電極8bの電位は共にマイナスであり、放電部8から発生したプラスイオンは放電電極8a上で中和し、マイナスイオンは反発し放出される。ここで、放電部8から発生するプラスイオンはH+(H2O)mであり、放電部8から発生するマイナスイオンはO2 -(H2O)n(m、nは自然数でH2O分子が複数個付いていることを意味する)である。
また、スイッチ11、12は、マイコン13の切換制御によって相補的にオン/オフされる。即ち、スイッチ11がオンであるときはスイッチ12がオフになり、スイッチ11がオフであるときはスイッチ12がオンになる。したがって、接地端子、場合によっては入力電源1の片側(ラインAC1)は、ダイオード9及び10のいずれか一方を介して放電電極8aに電気的に接続される。
このような構成により、昇圧トランス7の2次巻線7bに発生するインパルス状の交番電圧にバイアスがかかっていない場合(図7を参照)の前記インパルス状の交番電圧の正負切り換わり周期よりも長い周期で放電部8から放出されるイオンの極性が切り換わるので、発生したイオンの中和・消滅を抑えることができる。
また、発生したプラスイオンとマイナスイオンを送風ファンなどの送出手段で空気中に送出する場合、上述したように放電部8から放出されるイオンの極性切り換わり周期が長いため、図3に示すような風向きW1でも図4に示すような風向きW2でも、風上側で発生したイオンが中和により減衰し、イオン発生装置から放出されるプラスイオンとマイナスイオンのバランスが大きく崩れてしまうという不具合は起こらない。したがって、図13に示したようなイオン発生素子の大型化が不要となる。
また、スイッチ11のオン期間とオフ期間を等しくすることで、プラスイオンとマイナスイオンを略略同等量発生させることができる。さらに、一つの放電部(放電部8)からプラスイオンとマイナスイオンを交互に放出するため、放電部に生産のばらつきなどの不具合が生じた場合でも、個々のイオン発生装置においてプラスイオンとマイナスイオンのバランスを良好に保つことができる。
したがって、図1に示すイオン発生装置は、大型化することなく、発生したイオンの中和・消滅を抑えて効率的でバランスの良いイオンの放出を行うことができる。さらに、図1に示すイオン発生装置は、入力電源1から出力される交流電圧を整流ダイオード3により半波整流しているので、入力交流電圧を全波整流する方式に比べオゾン発生量や放電による騒音を低減することができる。また、放電部8を備えたイオン発生素子の近傍に入力抵抗2を設置することにより、入力抵抗2が前記イオン発生素子を加熱する加熱手段として機能する。前記イオン発生素子を加熱する加熱手段を設けることにより、前記イオン発生素子の放電面に付着した硝酸アンモニウムを主成分とする付着物を分解除去するともに、前記イオン発生素子の放電面近傍の湿度を低下させることができる。図1に示すイオン発生装置は、一つの放電部(放電部8)からプラスイオンとマイナスイオンが交互に発生するので、イオン独立放出方式のイオン発生装置に比べイオン発生素子を加熱する加熱手段の設置に伴う装置の大型化を抑えることができる。
なお、マイコン13は、スイッチ11及び12の切換周期(スイッチ11がオフからオンに切り換わった時点から再度スイッチ11がオフからオンに切り換わる迄の期間)を変更することができる。例えば、マイコン13が、送風ファンから風量に関する情報を受け取り、送風ファンの風量に応じてスイッチ11及び12の切換周期を変更する構成が考えられる。
上述したようにスイッチ11がオンであってスイッチ12がオフであるときは放電部8から放出されるイオンはプラスイオンとなり、スイッチ12がオンであってスイッチ11がオフであるときは放電部8から放出されるイオンはマイナスイオンとなるので、プラスイオンとマイナスイオンが放電部8から交互に放出される。そして、空気中にH+(H2O)mとO2 -(H2O)nの両方を放出させることにより、これらのイオンが空気中の浮遊カビ菌やウィルスの周りを取り囲み、その際生成される活性種の水酸基ラジカル(・OH)の作用により浮遊カビ菌等を不活化することが可能となる。
上記記載について詳細に述べる。放電部8を構成する電極間に交流電圧を印加することにより、空気中の酸素分子ないしは水分子が放電によって生成された電子からエネルギーを受けてイオン化し、H+(H2O)m(mは任意の自然数)とO2 -(H2O)n(nは任意の自然数)のイオンを生成し、これらをファン等により空間に放出させる。これらH+(H2O)m及びO2 -(H2O)nは、浮遊菌の表面に付着し、化学反応して活性種であるH2O2または(・OH)を生成する。H2O2または(・OH)は、極めて強力な活性を示すため、これらにより、空気中の浮遊細菌を取り囲んで不活化することができる。ここで、(・OH)は活性種の一種であり、ラジカルのOHを示している。
活性種である過酸化水素H2O2または水酸基ラジカル(・OH)は、有害物質を酸化若しくは分解して、ホルムアルデヒドやアンモニアなどの化学物質を、二酸化炭素や、水、窒素などの無害な物質に変換することにより、実質的に無害化することが可能である。
したがって、図1に示すイオン発生装置と送風ファンを電気機器に搭載し、前記送風ファンを駆動することにより、図1に示すイオン発生装置によって発生させたプラスイオンとマイナスイオンを本体外に送り出すことができる。そして、これらのプラスイオンとマイナスイオンの作用により、空気中のカビや菌を不活化してその増殖を抑制することができるとともに、有害物質を実質的に無害化することができる。
その他、プラスイオンとマイナスイオンには、コクサッキーウィルス、ポリオウィルス、などのウィルス類も不活化する働きがあり、これらウィルスの混入による汚染が防止できる。また、プラスイオンとマイナスイオンには、臭いの元となる分子を分解する働きがあることも確かめられており、空間の脱臭にも利用できる。
次に、図1に示すイオン発生装置が具備するイオン発生素子の構成について説明する。図1に示すイオン発生素子の上面図を図5(a)に示し、A−A線断面図を図5(b)に示す。イオン発生素子は、誘電体14(上部誘電体14aと下部誘電体14b)と、放電部8(放電電極8a、誘導電極8b、放電電極接点8c、誘導電極接点8d、接続端子8e及び8f、並びに接続経路8g及び8h)と、コーティング層15とを有して成る。
誘電体14は、略直方体状の上部誘電体14aと下部誘電体14bを貼り合わせて成る(例えば縦15[mm]×横37[mm]×厚み0.45[mm])。誘電体14の材料として無機物を選択するのであれば、高純度アルミナ、結晶化ガラス、フォルステライト、ステアタイト等のセラミックを使用することができる。また、誘電体14の材料として有機物を選択するのであれば、耐酸化性に優れたポリイミドやガラスエポキシなどの樹脂が好適である。ただし、耐食性の面を考えれば、誘電体14の材料として無機物を選択する方が望ましく、さらに、成形性や後述する電極形成の容易性を考えれば、セラミックを用いて成形するのが好適である。また、放電電極8aと誘導電極8bとの間の絶縁抵抗は均一であることが望ましいため、誘電体14の材料としては、密度ばらつきが少なく、その絶縁率が均一であるものほど好適である。なお、誘電体14の形状は、略直方体状以外(円板状や楕円板状、多角形板状等)であってもよく、さらには円柱状であってもよいが、生産性を考えると、本実施形態のように平板状(円板状及び直方体状を含む)とするのが好適である。
放電電極8aは、上部誘電体14aの表面に該上部誘電体14aと一体的に形成されている。放電電極8aの材料としては、例えばタングステンのように、導電性を有するものであれば、特に制限なく使用することができるが、放電によって溶融等の変形を起こさないことが条件となる。
また、誘導電極8bは、上部誘電体14aを挟んで、放電電極8aと平行に設けられている。このような配置とすることにより、放電電極8aと誘導電極8bの距離(以下、電極間距離と呼ぶ)を一定とすることができるので、両電極間の絶縁抵抗を均一化して放電状態を安定させ、プラスイオン及びマイナスイオンを好適に発生させることが可能となる。なお、誘電体14を円柱状とした場合には、放電電極8aを円柱の外周表面に設けるとともに、誘導電極8bを軸状に設けることによって、前記電極間距離を一定とすることができる。誘導電極8bの材料としては、放電電極8aと同様、例えばタングステンのように、導電性を有するものであれば、特に制限なく使用することができるが、放電によって溶融等の変形を起こさないことが条件となる。
放電電極接点8cは、放電電極8aと同一形成面(すなわち上部誘電体14aの表面)に設けられた接続端子8e、及び接続経路8gを介して、放電電極8aと電気的に導通されている。従って、放電電極接点8cにリード線(銅線やアルミ線など)の一端を接続し、該リード線の他端を昇圧トランス7の2次巻線7b、ダイオード9のカソード、及びダイオード10のアノードに接続すれば、放電電極8aと昇圧トランス7の2次巻線7b、ダイオード9、及びダイオード10とを電気的に導通させることができる。
誘導電極接点8dは、誘導電極8bと同一形成面(すなわち下部誘電体14bの表面)に設けられた接続端子8f、及び接続経路8hを介して、誘導電極8bと電気的に導通されている。従って、誘導電極接点8dにリード線(銅線やアルミ線など)の一端を接続し、該リード線の他端を昇圧トランス7の2次巻線7bに接続すれば、誘電電極8bと昇圧トランス7の2次巻線7bとを電気的に導通させることができる。
さらに、放電電極接点8cと誘導電極接点8dは、誘電体14の表面であって放電電極8aが設けられた面以外の面に設けることが望ましい。このような構成であれば、誘電体14の上面に不要なリード線などが配設されないので、図1に示すイオン発生装置とそのイオン発生装置で発生したイオンを空気中に送出する送風ファンを搭載した電気機器において、前記送風ファン(不図示)からの空気流が乱れにくくなり、プラスイオンとマイナスイオンの中和を低減することができる。以上のことを考慮して、図2に示すイオン発生素子では、放電電極接点8c及び誘導電極接点8dが、誘電体14の上面に相対する面に設けられている。
なお、図2に示すイオン発生素子において、放電電極8aは鋭角部を持ち、その部分で電界を集中させ、局部的に放電を起こす構成としている。
次に、本発明の第2実施形態に係るイオン発生装置について説明する。本発明の第2実施形態に係るイオン発生装置の電気的構成を図6に示す。なお、図6において図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
図6に示すイオン発生装置は、図1に示すイオン発生装置のマイコン13をスイッチング制御信号発生回路16に置換した構成である。
スイッチング制御信号発生回路16は、スイッチ11及び12を相補的にオン/オフする切換制御のためのスイッチング制御信号を発生させ、そのスイッチング制御信号をスイッチ11及び12に供給する。スイッチング制御信号発生回路16の切換制御により、スイッチ11がオンであるときはスイッチ12がオフになり、スイッチ11がオフであるときはスイッチ12がオンになる。したがって、接地端子、場合によっては入力電源1の片側(ラインAC1)は、ダイオード9及び10のいずれか一方を介して放電電極8aに電気的に接続される。
なお、スイッチング制御信号発生回路16は、ダイオード3のカソード電位を監視しているので、スイッチ11及び12の切換周期(スイッチ11がオフからオンに切り換わった時点から再度スイッチ11がオフからオンに切り換わる迄の期間)を入力電源1から出力される電圧の周期単位で変更することができる。
図6に示すイオン発生装置は、図1に示すイオン発生装置と同様に、大型化することなく、発生したイオンの中和・消滅を抑えて効率的でバランスの良いイオンの放出を行うことができる。さらに、図6に示すイオン発生装置は、入力電源1から出力される交流電圧を整流ダイオード3により半波整流しているので、入力交流電圧を全波整流する方式のイオン発生装置に比べオゾン発生量や放電による騒音を低減することができる。また、放電部8を備えたイオン発生素子の近傍に入力抵抗2を設置することにより、入力抵抗2が前記イオン発生素子を加熱する加熱手段として機能する。前記イオン発生素子を加熱する加熱手段を設けることにより、前記イオン発生素子の放電面に付着した硝酸アンモニウムを主成分とする付着物を分解除去するともに、前記イオン発生素子の放電面近傍の湿度を低下させることができる。図6に示すイオン発生装置は、一つの放電部(放電部8)からプラスイオンとマイナスイオンが交互に発生するので、イオン独立放出方式のイオン発生装置に比べイオン発生素子を加熱する加熱手段の設置に伴う装置の大型化を抑えることができる。
なお、図1、図6に示すイオン発生装置において、トランス駆動用スイッチング素子6は、上述の説明では無ゲート2端子サイリスタ(サイダック[新電元工業の製品名])を採用した説明となっているが、若干異なる回路を用いて、サイリスタ(SCR)を用いてもよい。また、入力電源1は直流電源の場合であっても、上記と同様の動作が得られる回路とすれば、これを問わない。即ち、電圧印加回路の1次側回路としては、特に限定するものではなく、同様の動作が得られる回路であればよい。
上述した本発明に係るイオン発生装置は、空気調和機、除湿器、加湿器、空気清浄機、冷蔵庫、ファンヒータ、電子レンジ、洗濯乾燥機、掃除機、殺菌装置などの電気機器に搭載するとよい。そして、かかる電気機器にはイオン発生装置で発生したプラスイオン、マイナスイオンの両方のイオンを空気中に送出する送出手段(例えば、送風ファン)を搭載するとよい。このような電気機器であれば、機器本来の機能に加えて、搭載したイオン発生装置から放出されたプラスイオン、マイナスイオンの作用により空気中のカビや菌を不活化してその増殖を抑制すること等ができ、室内環境を所望の雰囲気状態とすることが可能となる。
また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各部の構成等を適宜に変更して実施することも可能である。
1 入力電源
2 入力抵抗
3 整流ダイオード
4 コンデンサ
5 フライホイールダイオード
6 トランス駆動用スイッチング素子
7 昇圧トランス
8 放電部
8a 放電電極
8b 誘電電極
9、10 ダイオード
11、12 スイッチ
13 マイクロコンピュータ
14 誘電体
15 コーティング層
16 スイッチング制御信号発生回路
2 入力抵抗
3 整流ダイオード
4 コンデンサ
5 フライホイールダイオード
6 トランス駆動用スイッチング素子
7 昇圧トランス
8 放電部
8a 放電電極
8b 誘電電極
9、10 ダイオード
11、12 スイッチ
13 マイクロコンピュータ
14 誘電体
15 コーティング層
16 スイッチング制御信号発生回路
Claims (4)
- 放電部を少なくとも一つ有するイオン発生素子と、前記放電部に電圧印加を行う電圧印加回路とを備え、
前記電圧印加回路が、入力電圧をインパルス状の交番電圧に変換する電圧変換手段と、前記インパルス状の交番電圧をプラスにバイアスした電圧を前記放電部に印加して前記放電部からプラスイオンのみを発生させる状態と前記インパルス状の交番電圧をマイナスにバイアスした電圧を前記放電部に印加して前記放電部からマイナスイオンのみを発生させる状態とを周期的に切り換える切り換え手段とを有することを特徴するイオン発生装置。 - 前記切り換え手段の切り換え周期が可変する請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記入力電圧が交流電圧であって、
前記電圧変換手段が、前記入力電圧を半波整流した電圧から前記インパルス状の交番電圧を生成する請求項1又は請求項2に記載のイオン発生装置。 - 請求1〜3のいずれかに記載のイオン発生装置と、前記イオン発生装置で発生したイオンを空気中に送出する送出手段とを備えることを特徴とする電気機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005114167A JP2006294439A (ja) | 2005-04-12 | 2005-04-12 | イオン発生装置及びこれを備えた電気機器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005114167A JP2006294439A (ja) | 2005-04-12 | 2005-04-12 | イオン発生装置及びこれを備えた電気機器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006294439A true JP2006294439A (ja) | 2006-10-26 |
Family
ID=37414774
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005114167A Pending JP2006294439A (ja) | 2005-04-12 | 2005-04-12 | イオン発生装置及びこれを備えた電気機器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006294439A (ja) |
-
2005
- 2005-04-12 JP JP2005114167A patent/JP2006294439A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20071018 |