JP2007212740A - Oa機器用ベルトおよびそれを用いたoa機器 - Google Patents

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一秋 池田
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Abstract

【課題】充分な離トナー性を発揮し、しかも耐物理的、機械的ストレス性、耐電気的ストレス性が良好なOA機器用ベルト、特に転写ベルトや転写・定着ベルトを提供する。
【解決手段】表層の基材が連続的につながったPTFE、PFA、またはPTFEとPFAを有し、導電剤を除く基材に占めるPTFE、PFA、あるいはその混合物の重量が70%以上であることを特徴とするOA機器用ベルト。前記基材は、MRFが14g/10分以下のPTFEおよび/またはPFAを使用していることを特徴とするOA機器用ベルト。前記基材はPTFEとPFAを使用し、さらにPTFEとPFAの総重量に対しPFAが50重量%以上であることを特徴とするOA機器用ベルト。前記PFAはモロフォルジー改良品であり、融点は300℃以下であることを特徴とするOA機器用ベルト。
【選択図】なし。

Description

本発明はOA機器用ベルトに関し、特にカラー複写機、カラープリンター、カラー複合機等の電子写真方式を用いたカラー画像形成装置に用いられるベルトの表層に関する。
複写機、プリンター等のOA機器部材には、帯電、現像、転写、定着、紙送り等のために、主にベルト、ローラ等の部材が使用される。これらベルト、ローラ等の部材には、単層あるいは多層構造のものがある。
近年は画像のカラー化が進み、このためこれらの部材には軟らかさが要求され、このためゴム状弾性体やフォーム体が金属あるいは樹脂形成体と積層(あるいは複合)して用いられている。
更に、これらのゴム状弾性体やフォーム体の表面に、感光体等の相手部材に対する汚染防止、トナー付着防止、トナーの帯電制御、抵抗調整、トナー離型性向上等の種々の目的で、それらの性質に優れた樹脂からなる表層を形成するものが多くなっている。
OA用のベルト、具体的には、例えばエンドレスの転写ベルトや転写・定着ベルト、においても、ポリイミド、ポリアミドイミド、PVDF(ポリビニリデンフロライド)等の単層の樹脂ベルトから、その上面に柔軟性を持たせるための弾性層、さらにその上面に離トナー性を高めるための表層を設けた多層(3層)構造のベルトが市場に出回り始めている。
転写ベルトの表層には、以下の性質が求められている。
1)トナーの表層からの剥離性がよいこと。特に、近年のトナーは、機械的な粉砕法で製造されたトナーから化学的に製造されたケミカルトナーに変わって来ている。ケミカルトナーは、粒子径が小さく、球状となっているためベルト材に付着し易く、充分な離トナー性を有することが必要である。
2)繰返し加わる押圧、屈曲等の物理的、機械的劣化要因(以下、「ストレス」と記す)とトナーを移動させるための荷電による電気的ストレスが同時に加わるため、これら2つのストレスに対して長期の耐性を有していること。
そして、例えば1)の離トナー性の向上のために、従来技術ではウレタン塗料、アクリル塗料、エポキシ塗料、シリコン塗料中にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキビニルエーテル)等の微細なフッ素系の樹脂の粒子を混ぜ込んだり、ウレタン原料にそれらと結合し易い特別な官能基を持ったフッ素樹脂を予め混合し、その時に反応させておいたり、フッ素ゴムやPVDF等の低級フッ素化合物を表層に用いる等の方法が採られている(特許文献1、同2)。
特開2002−229345号公報 特許公報第3552868号
しかしながら、PTFE、PFAは優れた離トナー性を発揮するが、従来技術の基材(連続的につながって全体の形状、寸法、強度等の本来の役目を担う材料、ベース樹脂あるいはマトリックス樹脂)となるウレタン等の塗料の離トナー性が低く、ベルトとしての離トナー性はこの性能が低い材料が支配的に決めてしまうため、ベルトの離トナー性の改善効果は限定的である。
また、特別な官能基を持ったフッ素樹脂やフッ素ゴムやPVDF等の低級フッ素樹脂もある程度の離トナー性を発揮するが、最近使用されている離型の困難なケミカルトナーには対応できない。
更に、離トナー性を向上させるために、PTFE、PFA等のフッ素化合物の添加量を増す試みがなされているが、添加量を増すのに反比例してベルトの耐屈曲性が大きく低下し、使用中に表層に早期にクラック等の損傷が発生しがちとなり、今度は前記2)に挙げた耐物理的、機械的ストレス性、耐電気的ストレス性が低下する。
このため、ケミカルトナーを含めて充分な離トナー性を発揮し、しかも耐物理的、機械的ストレス性、耐電気的ストレス性が良好なOA機器用ベルト、特に転写ベルトや転写・定着ベルトの開発が望まれていた。
本発明は以上の課題を解決することを目的としてなされたものであり、OA用のベルト、特に転写ベルトの表層の基材をPTFE、PFAとしたものである。以下、各請求項の発明を説明する。
請求項1に記載の発明は、
表層の基材が連続的につながったPTFE、PFA、またはPTFEとPFAを有し、導電剤を除く基材に占めるPTFE、PFA、あるいはその混合物の重量が70%以上であることを特徴とするOA機器用ベルトである。
本請求項の発明においては、表層の基材がPTFE、PFA、またはPTFEとPFAを有し(材料として含有している)、導電剤を除く基材に占めるPTFE、PFAの重量が70%以上であるため離トナー性に優れ、さらにPTFE、PFA等が連続的につながっているため、塗料にフッ素樹脂を分散させた表層に比較して優れた屈曲性を発揮する。特に、PTFEとPFAを併用すれば、優れた離トナー性を維持しながら、更に耐久性を上げることができるため、ケミカルトナーを含めて優れた離トナー性を有し、また物理的、機械的ストレスや電気的ストレスに対して充分な耐久性を有するOA機器用ベルトとなる。
特に、PTFE、PFAが連続的につながっているため、表層全体にわたって優れた離トナー性と屈曲性が発揮される。
なおここに、「基材」とは、いわゆるベースポリマーであり、表層の全体形状、寸法を保持し、離トナー性等の表層の本来の役目を担う材料を指す。
また、離トナー性のより良好な発揮のためには、基材中のPTFE、PFAの重量が、導電剤を除く表層の基材の重量の90%以上であることがより好ましい。
また、「OA機器用ベルト」とは、トナーを使用し、離トナー性が必要なベルトである限り、用途は限定されない。
また、エンドレスベルト状であれば、非常に薄いエンドレスフィルムからなるベルトをも含む。
また、転写ローラ等に巻付けて使用するベルトも含める。
さらに、「OA機器」とは、複写機、プリンター、複合機等を問わず、カラーを使用しない単色(原則は、黒色)の機器をも含む。
請求項2に記載の発明は、前記のOA機器用ベルトであって、
前記基材は、メルトフローレイトが14g/10分(372℃、荷重5kg)以下のPTFEおよび/またはPFAを使用していることを特徴とするOA機器用ベルトである。
本請求項の発明においては、前記基材はMFR(メルトフローレイト)が14g/10分以下のPTFEおよび/またはPFAを用いているため、焼成時に流れ易く、また耐久性が向上する。
なお、MFRは7以下かつ1以上であることが好ましい。即ち、MFRは、溶融粘度の指標であり、必ずしも分子量に比例しないが、一般的にはMFRの値が小さいほど分子量が大きくなり、製品の耐久性が向上する。しかし、小さすぎると、具体的には1未満であると、製造の際の焼成時(溶融時)にレベリングが不十分となり、伸びのある連続膜が得られ難くなる。
請求項3に記載の発明は、前記のOA機器用ベルトであって、
前記基材はPTFEとPFAを使用し、さらにPTFEとPFAの総重量に対しPFAが50重量%以上であることを特徴とするOA機器用ベルトである。
本請求項の発明においては、前記基材は、PTFEとPFAを使用し、さらにPTFEとPFAの比率はPFAが50重量%以上であるため、屈曲性が向上する。PFAにはパーフルオロアルキル基が付加されているため分子同士が絡みつき易く、結晶量も少なくなるためと思われる。なお、PFAの比率は、80%以上が好ましく、90〜98%であるのがより好ましい。
なお、PFAの比率が90〜98%であるときのPTFEの役割は、PTFEをPFAに少量添加するとPTFEの微粉末が、製膜時(冷却時)の結晶発生の核となり、結晶が過度に大きくならないため、耐久性が向上すると考えられる。
請求項4に記載の発明は、前記のOA機器用ベルトであって、
前記PFAの融点は、300℃以下であることを特徴とするOA機器用ベルトである。
本請求項の発明におけるPFAは、パーフルオロアルキル基が短く、数多く付加されたモロフォルジー改良PFAと呼ばれており、その分子構造から、融点が一般的なPFAが305℃であるのに対し、285℃から295℃と低くなっており、一般的なPFAより更に分子同士が絡みつき易く、結晶量(結晶の部分と非結晶の部分の比率)も少ないことから耐久性が一層良好となる。
なおこのモロフォルジー改良品は、三井・デュポンフロロケミカル(社)よりテフロン PFA 920HP Plus、同940 HP Plus、同945HP Plus、同950 HP Plusという名称で市販されている。
請求項5に記載の発明は、前記のOA機器用ベルトであって、
前記表層の表面抵抗率は、1.0×1014Ω/□以下であることを特徴とするOA機器用ベルトである。
本請求項の発明においては、表層の表面抵抗率は、1.0×1014Ω/□以下であるため、電気的ストレスを受け難く、このため耐久性が向上する。
なお、表面抵抗率が下がるほど耐久性が向上するため、表面抵抗率は1.0×1014Ω/□以下であることが好ましい。しかし、あまり低いとトナーの移動のために付着した電流が横方向に逃げて画像に悪影響が出かねないため、1.0×10Ω/□以上が好ましく、1.0×1010Ω/□以上あることがより好ましい。
請求項6に記載の発明は、前記のOA機器用ベルトであって、
前記OA機器用ベルトは、転写ベルトまたは転写・定着ベルトであることを特徴とするOA機器用のベルトである。
請求項1から請求項5に記載のOA用ベルトは、転写ベルトまたは転写・定着ベルトに用いると最も効果が発揮できる。
請求項7に記載の発明は、
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のOA機器用ベルトを有していることを特徴とするOA機器である。
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のOA機器用ベルトを有しているOA機器、具体的には例えば画像形成装置であるため、優れた画像形成能力を有するOA機器となる。
本発明においては、OA機器用のベルト、特に転写ベルト、転写・定着ベルトの表層の基材を連続的につながったPTFE、PFAとしているため、離トナー性が格段に向上し、しかも物理的、機械的ストレスや荷電による電気的ストレスに対する耐久性も優れたOA用のベルトとなる。
また、表層の基材に用いるPFAのMRF、PTFEに対するPFAの比率、PFAの構造、表層の表面抵抗に工夫を凝らしているため、離トナー性と耐久性にますます優れたOA機器用ベルトとなる。
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
(表層の製造方法)
後の実施例の試験結果に示す様に、フッ素樹脂も各種の材料を使用し、また配合する導電剤も種々のものを使用する。このため、本発明の実施に共通する形態のOA用ベルト用の表層の基本的な製造方法について説明する。
内面を鏡面加工したステンレス(熱膨張率は、1.76×10−5/℃)製の外筒の内面に、基材の原料であるPTFE(融点327℃)やPFA等のフッ素樹脂の微粒子と、導電材料である酸化スズ等の導電剤の混合物ディスパージョンをディップ法により塗布し、恒温層内で例えば前記PTFE、PFAを380℃で焼成し、表層を得た。
表層の基材となるフッ素樹脂としては、PTFE、PFA共重合体以外に、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体を挙げられ、前記フッ素樹脂の微粉末を水に分散した分散液が用いられる。
導電剤としては、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、カーボン等が挙げられるが、抵抗制御の面から金属酸化物が好ましい。
基材中への分散方法としては、ビーズミル、ディスパー等が挙げられるが、ホモジナイザーが最適である。分散性が向上することにより、電気的な負荷集中あるいは物理的、機械的な応力集中が防止され、これにより耐久性が一層向上するものと思われる。
(ベース層と弾性層の製造方法)
本発明の主眼は表層にあるが、OA機器に用いられるときには、他の樹脂ベルト層と多層構造にして用いられることとなる。このため、他の樹脂ベルトであるベース層と弾性層の製造方法について、概略説明する。
ドラム状の金型を回転させながら、その外側にポリイミドワニスを塗布し、その後金型を加熱してイミド化反応を行い、金型の周囲に厚さ80μm程度のポリイミド層をベース層として形成した。次に、水性ウレタンに増粘剤を加え10Pa・s程度の粘度とし、さらに脱泡を行った後、前記ポリイミド層の上にディップにより塗布した。塗布後、常温にて水分を乾燥させ、厚さ250μm程度のウレタン層を弾性層(中間層)として形成した。
なお、ウレタンの融点は120℃、熱分解点は180℃程度である。
(多層構造のベルトの製造)
前記の様な方法で製造したベース層と弾性層とからなる半製品のベルトの上面に、前記の様な方法で製造した半製品の表層を接着して、完成品としてのOA用ベルトが製造されることとなる。
接着方法としては、基本的にはドラムからベース層と弾性層とからなる半製品のベルトを抜き取り、抜き取ったベルトの弾性層からなる外周面と前記外筒内面に焼成されて形成されている表層の内周面を、真空雰囲気、加熱下で押圧する方法が好ましい。
具体的な押圧方法としては、以下のような方法がある。
ウォータバック(シリコンゴム製の円筒形の袋)を使用する方法
この方法により、真空雰囲気、加熱下で押圧して接着する様子を図1に概念的に示す。図1において、11はベース層であり、12は弾性層であり、14はバインダー層であり、9は表層であり、8は外筒であり、50はウォーターバックであり、52は内圧で膨らんだウォーターバックの胴であり、55はウォーターバックのエンドプレートであり、59は加圧用ポンプであり、60は真空容器であり、61は真空容器の蓋であり、62は真空ポンプであり、70はヒータである。
なお、弾性層12との接着性を良好にするため、予め前記表層9の内周面に、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ビニリデンフロライドの共重合体(融点120℃)等からなるバインダー層14をディップ法により製膜後加熱して形成してある。
ドラムから抜き取った前記半製品のベース層11、弾性層12をウォーターバック50の外周に嵌めこみ、さらに嵌め込んだウォーターバック50ごと前記外筒8の内面に焼成されて形成されている表層9のさらに内面側にあるバインダー層14内へ挿入し、全体を真空容器60に入れて真空引き後、ヒータ70で150℃に加熱し、併せてウォーターバック50の内部に加圧用ポンプ59で加圧流体を充填して膨らませることによりバインダー層14の内周面と弾性層12の外周面を確実に接着させる。
なお、バインダー層は、必ずしも接着に必要ではなく、他の方法を採用してもよい。例えば、バインダー層の形成に換えて、表層の内周面にラジカル処理、プラズマ処理等の接着性改善処理を施していてもよい。
熱膨張率が大きい中子を使用する方法
本方法で接着している様子を、図2に概念的に示す。図2において、13は中子である。なお、ヒータや真空室は、図1と同様であるため図示は省略する。また、本図では、ベルトにバインダー層は設けていない。
本方法では、ドラムから抜き取った前記半製品のベルトを、熱膨張率が8.0×10−5/℃とステンレスよりはるかに大きいMCナイロン(日本ポリペンコ株式会社の商品名、主材料はナイロン6)製の中子13の外周に嵌めこみ、さらに嵌め込んだ中子ごと前記外筒内面に焼成されて形成されている表層9の内面側に挿入し、真空引き後150℃で加熱することにより、中子と外筒の熱膨張の差を利用して接着するものである。
柔軟な中子とプレスを使用する方法
本方法で接着している様子を、図3に概念的に示す。図3において、15は真空維持用のリング状の蓋であり、16は柔軟なシリコンゴム製のスペーサであり、17はMCナイロン製ブロックであり、Pは押圧力である。
本方法では、ドラムから抜き取った前記半製品のベルトを、シリコンゴム製のスペーサ16の外周に嵌めこみ、さらに嵌め込んだスペーサ16ごと前記外筒8内面に焼成されて形成されている表層9の内面側に挿入し、真空維持用のリング状の蓋15をかぶせ、シリコンゴム製のスペーサ16の上下両端にMCナイロン製ブロック17を当て、図示しない真空ポンプで外筒8の内部を真空引きした後、加熱下でMCナイロン製ブロック17を介してシリコンゴム製のスペーサ16の両端を真空維持用のリング状の蓋15で押圧することにより接着するものである。
以上の他、爆発力を使用する方法等もあるが、本発明の趣旨とは直接的には関係がないので、説明は省略する。
(試験の内容と試験装置)
以上の方法で製造した完成品としての転写ベルトに物理的、機械的ストレスと荷電ストレスを加え、それらに対する優れた耐久性を確認した。試験に用いた転写ベルトは、内径168φ、幅368mm、ベース層の厚さは80μm、弾性層の厚さは250μm、表層の厚さは7μmである。また、表層の表面抵抗率は、表4を除き、1.0×1011Ω/□である。
試験に用いた装置は、実際に用いられているゼロックス方式のカラープリンター(富士ゼロックス社製カラープリンターDocuprint C620)である。この装置の要部を図4に概念的に示す。図4において、31は感光ドラムであり、32は1次転写ローラであり。33は2次転写ローラであり、34は30φローラ(外形が30mm)であり、35は28φローラである。この装置を、実際に駆動して試験を行った。
図4において、ベルトは、φ30ローラ34とφ28ローラ35の外周面に沿って屈曲し、直線部で真っ直ぐに戻ることにより物理的、機械的ストレスを受けることとなる。
また、1次転写ローラ32と2次転写ローラ33間で数kボルトの電圧が印加されているため、電気的ストレスを受けることとなる。
このため、表層は通紙枚数に応じて劣化していくこととなる。
なお、このカラープリンターは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのトナーが順次転写ベルト上に形成されていくため、1枚印刷すればこれらのストレスを4回受けることとなる。
(試験結果)
以下、各種の試験結果を、表を参照しつつ説明する。
表1に、離トナー性試験の結果を示す。
表の耐久性欄は、表層にクラック、しわが発生するまでの通紙枚数であり、本欄のkは1000(キロ)を示し、mは1000,000(メガ)を示す。
なお、転写ベルトとして求められる耐久枚数は、少なくとも10万枚(100k枚)であり、好ましくは100万枚(1m枚)の通紙に耐えることとされる。
また、比較例および実施例の配合量は、「基材」100部に対する比(部数)である。
なお、離トナー性は、トナー掻き採り用ブレードでケミカルトナーが除去できているか否かで良否を判断した。また、離トナー性欄の○は合格を、△は不合格を、×は完全な不合格を示す。
表1から、試験例の1−1から同1−4を見ると、従来技術の試験例1−1と同1−3のベルトの離トナー性を改善するためにはPTFE粉末を配合せねばならないが、配合した試験例1−2と同1−4のベルトは、耐久性(耐屈曲性)が大幅に低下していることが判る。
一方、PFAを用いたベルト試験例1−6のベルトは、離トナー性、耐久性とも優れていることが判る。
また、PTFEを用いたベルト試験例1−5のベルトは耐久性はアクリル等に比較して優れ、離トナー性は優れていることが判る。
Figure 2007212740
表2にPFAの配合量と耐久性の関係を示す。表2から、PFAの配合量が多いほど耐久性が加速度的に向上しているのが判る。これは、PFAにはパーフルオロアルキル基が付加されているため分子同士が絡みつき易く、結晶量も少なくなるためと思われる。
また、試験例の2−1と試験例の2−2から、PTFEにPFAを添加すると耐久性が向上することが判る。特に、2−5、2−6および2−7から、PTFEにPFAを少量添加すると耐久性が飛躍的に向上することが判る。これは、前記のごとく、PTFEの微粉末が製膜時(冷却時)の結晶発生の核となり、結晶が過度に大きくならないように制御できたためと解釈できる。
Figure 2007212740
表3に、モロフォルジー改良品とMFRが耐久性に及ぼす影響を示す。表3より、試験例3−1の汎用PFAより、試験例3−5のモロフォルジー改良品の方が同じMFRでは耐久性が高い。これは、パーフルオロアルキル基が多く、結晶量も少ないためと考えられる。
また、特に試験例3−2から同3−5を見ると、MFRが小さいほど、耐久性が良好なことも判る。一方、表3には出ていないが、MFRが2未満であると、焼成時(溶融時)に流れないため、均一な膜とすることが困難となる。
Figure 2007212740
表4は、表面抵抗率が耐久性に及ぼす影響を示す。本表の試験例では、他の表の試験例と異なり、表面抵抗率を1011Ω/□に固定せず、種々変化させてある。そして、これにより、本表4では、表面抵抗率の変化に応じて耐久性がどの様に変化していくかを示してある。なお、本FS−10P欄の行の数字は、基材の950HP100重量部に配合した導電材の重量部を示す。
また、表面抵抗率の欄の「E+15」等の「E+」は、10の乗冪を示す。従って、「E+15」は15乗(単位は、Ω/□)である。
本表4から、表面抵抗率が下がるほど電気的ストレスを受け難くなるため、耐久性が向上していることが判る。一方、表面抵抗率がE+10以下では、トナーの移動のために付着した電流が横方向に逃げて画像に悪影響が出かねないため、それ以上の表面低効率が必要である。
Figure 2007212740
ベース層上に形成された弾性層と表層とを、ウォーターバックを使用して接着している様子を概念的に示す図である。 ベース層上に形成された弾性層と表層とを、ナイロン製中子を使用して接着している様子を概念的に示す図である。 ベース層上に形成された弾性層と表層とを、シリコンゴム製スペーサとプレスを使用して接着している様子を概念的に示す図である。 転写ベルトに物理的、機械的ストレスと荷電ストレスを加えて耐久性を試験する装置の概念図である。
符号の説明
8 外筒
9 表層
11 ベース層
12 弾性層
13 中子
14 バインダー層
15 真空維持用のリング状の蓋
16 スペーサ
17 MCナイロン製ブロック
31 感光ドラム
32 1次転写ローラ
33 2次転写ローラ
34 30φローラ
35 28φローラ
50 ウォーターバック
52 膨らんだウォーターバックの胴
55 ウォーターバックのエンドプレート
59 加圧用ポンプ
60 真空容器
61 真空容器の蓋
62 真空ポンプ
70 ヒータ

Claims (7)

  1. 表層の基材が連続的につながったPTFE、PFA、またはPTFEとPFAを有し、導電剤を除く基材に占めるPTFE、PFA、あるいはその混合物の重量が70%以上であることを特徴とするOA機器用ベルト。
  2. 前記基材は、メルトフローレイトが14g/10分(372℃、荷重5kg)以下のPTFEおよび/またはPFAを使用していることを特徴とする請求項1に記載のOA機器用ベルト。
  3. 前記基材はPTFEとPFAを使用し、さらにPTFEとPFAの総重量に対しPFAが50重量%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のOA機器用ベルト。
  4. 前記PFAの融点は、300℃以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のOA機器用ベルト。
  5. 前記表層の表面抵抗率は、1.0×1014Ω/□以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のOA機器用ベルト。
  6. 前記OA機器用ベルトは、転写ベルトまたは転写・定着ベルトであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のOA機器用ベルト。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のOA機器用ベルトを有していることを特徴とするOA機器。
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