JP2007211679A - 円周流ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料に含まれるアルコールやトルエンに対する膨潤量を抑制し、インペラのロックを防止した円周流ポンプを提供する。
【解決手段】燃料を燃料タンクから導入し内燃機関に向けて送出する円周流ポンプにおいて、インペラは繊維強化PPSからなり、モータ回転子と勘合する基部と、この基部の外周に設けられた羽根部と、この羽根部の外周に設けられた外輪部とから構成され、羽根部は、基部から直線的に放射状に配設された複数の羽根から構成されるとともに屈曲部を有し、インペラをモータ回転子のモータ軸の方向に沿って見たときに、羽根部全体の投影面積S1と基部の投影面積S3との比をS3:S1=9〜15:1とし、羽根部全体の投影面積S1と外輪部の投影面積S2との比をS2:S1=0.10〜0.13:1とした。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば自動車の燃料タンク内に収納されて、所定の圧力で内燃機関に燃料を供給する円周流ポンプに関する。
円周流ポンプに装着されるインペラは、モータ回転子と勘合する基部と、この基部の外周に設けられた羽根部と、さらに羽根部の外周に設けられた外輪部を有する。従来の円周流ポンプにおいては、高効率化や低騒音化を目的としたインペラの開発が進められている。このようなインペラとして、羽根部を薄肉化することが知られており、成形性や寸法安定性にすぐれた繊維強化ポリフェニレンサルファイド(PPS)が使用されている。また、羽根部に屈曲部を形成することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−336558号公報(図18、図19)
しかしながら、従来の円周流ポンプでは、インペラの羽根部に屈曲部があるために、射出成形時の樹脂流動が阻害されやすくなる。成形樹脂として繊維強化PPSを使用した場合、羽根部は屈曲部において強化材である繊維の配向が揃いやすくなる。また、射出成形時には羽根部を介して外輪部に成形樹脂が注入されるが、羽根部の影響を受けて外輪部においても繊維の配向が揃いやすくなる。繊維強化PPSは、燃料に含まれるアルコールやトルエンに対する膨潤を抑制するために、繊維配向のランダム性を高めたり、PPSの結晶性を高めたりすることが有効である。基部については、射出成形時の保圧によってPPSの結晶性を高めることができるが、羽根部と外輪部については、PPSの結晶性を高めるほどの保圧が伝達されない。そのため、羽根部と外輪部は、繊維配向のランダム性が低いことから、基部と比較してアルコールやトルエンの膨潤量が多くなる。インペラがポンプハウジングに接触するほど膨潤した場合、インペラのロックが発生するという問題がある。
膨潤量を抑えるために、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することも考えられるが、バリ取りなどの後工程が必要となる。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、繊維強化PPSからなるインペラを装着した円周流ポンプにおいて、燃料に含まれるアルコールやトルエンに対する膨潤量を抑制し、インペラのロックを防止した円周流ポンプを提供する。
この発明における円周流ポンプは、モータ回転子に勘合された円板状のインペラと、このインペラを収納するポンプハウジングとを有し、燃料を燃料タンクから導入し内燃機関に向けて送出する円周流ポンプにおいて、インペラは繊維強化PPSからなり、モータ回転子と勘合する基部と、この基部の外周に設けられた羽根部と、この羽根部の外周に設けられた外輪部とから構成され、羽根部は、基部から直線的に放射状に配設された複数の羽根から構成されるとともに屈曲部を有し、インペラをモータ回転子のモータ軸の方向に沿って見たときに、羽根部全体の投影面積S1と基部の投影面積S3との比をS3:S1=9〜15:1とし、羽根部全体の投影面積S1と外輪部の投影面積S2との比をS2:S1=0.10〜0.13:1としたものである。
この発明によれば、繊維強化PPSからなるインペラを装着した円周流ポンプにおいて、燃料に含まれるアルコールやトルエンに対する膨潤量を抑制できるので、インペラのロックを防止した円周流ポンプを提供できる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における円周流ポンプを示す一部破断正面図である。円周流ポンプ1は、モータ回転子3に勘合された円板状のインペラ2と、このインペラ2を収納しポンプカバー5及びポンプベース6とで構成するポンプハウジング7とを有する。ポンプカバー5には、中心部においてモータ回転子3のモータ軸のスラスト方向移動を支えるスラスト軸受5aが配設され、また、底部において燃料タンクから燃料をインペラ2に導入する吸込口5bが配設されている。ポンプベース6の中心部には、モータ回転子3のモータ軸の回転を支えるメタル6aが配設されている。
円周流ポンプ1を燃料タンクに浸漬した状態で、モータ回転子3を駆動させるとインペラ2が回転によって、燃料は吸込口5bからポンプ室内に導入される。さらに燃料は、ポンプ室の排出口6e及びモータ室を経由して、吐出口4から内燃機関に向けて送出される。ここで、インペラ2とポンプハウジング7との間には、インペラ2の回転を阻害しないようにクリアランス7aが設けられている。
図2はインペラ2の斜視図であり、図2(a)は全体図、図2(b)は一部断面図である。インペラ2は、モータ回転子3と勘合する基部2aと、この基部2aの外周に設けられた羽根部2bと、さらに羽根部2bの外周に設けられた外輪部2cとから構成される。基部2aの中心部には、モータ回転子3のモータ軸を勘合するためにD形状に形成された勘合部2fが配設されている。羽根部2bは、基部2aから直線的に放射状に配設された複数の羽根から構成されている。羽根部2bの羽根は、厚さ0.5mm以下の薄肉に成形されており、図2(b)に示すように屈曲部2eを有している。
インペラ2の形状は、円周流ポンプの仕様によって異なるが、ここでは直径20〜30mm、厚さ3〜4mmとして説明する。また、インペラ2は、強化材として例えばガラス繊維を用いたガラス繊維強化PPSを使用して、射出成形によって成形される。射出成形において、高温で溶融状態となったガラス繊維強化PPSは、金型内の基部2aに注入された後に羽根部2bを介して外輪部2cに充填される。
この実施の形態では、インペラ2をモータ回転子3のモータ軸の方向に沿って見たときに、羽根部2b全体の投影面積S1と基部2aの投影面積S3との比を、S3:S1=9〜15:1とする。さらに、羽根部2b全体の投影面積S1と外輪部2cの投影面積S2との比を、S2:S1=0.10〜0.13:1とする。
このように構成されたインペラ2では、射出成形時に金型内の基部2aに注入されたガラス繊維強化PPSは、基部2a内に均一に充填された後、一定の高圧力で羽根部2bを通過するので、屈曲部においても繊維配向のランダム性が比較的高い。さらに、羽根部2bから外輪部2cに流入したガラス繊維強化PPSは、ガラス繊維が圧力から開放されることで、繊維配向のランダム性が比較的高いものとなる。
図3は、羽根部2b全体の投影面積S1と基部2aの投影面積S3との比S3/S1、羽根部2b全体の投影面積S1と外輪部2cの投影面積S2との比S2/S1をパラメータとして、インペラ2の燃料に含まれるアルコールやトルエンに対する膨潤量の特性図である。これより、S3/S1=9〜15かつS2/S1=0.10〜0.13の範囲において、膨潤量が抑制されている。これは、羽根部2b及び外輪部2cの繊維配向のランダム性が比較的高まったために、羽根部2b及び外輪部2cの膨潤量を抑制できたことを示す。さらに好ましくは、S3/S1=12〜14かつS2/S1=0.10〜0.13の範囲で、膨潤量が最も抑制されている。
したがって、この実施の形態のインペラ2を用いた円周流ポンプ1は、インペラ2の羽根部2b及び外輪部2cの燃料に含まれるアルコールやトルエンに対する膨潤量を抑制できたので、インペラ2とポンプハウジング7との間のクリアランス7aを広げることなく、インペラ2のロックを防止できる。
実施の形態1における円周流ポンプを示す一部破断正面図である。 実施の形態1におけるインペラの斜視図である。 実施の形態1におけるインペラのアルコールやトルエンに対する膨潤量の特性図である。
符号の説明
1 円周流ポンプ、2 インペラ、2a 基部、2b 羽根部、2c 外輪部、2e 屈曲部、2f 勘合部、3 モータ回転子、4 吐出口、5 ポンプカバー、5a スラスト軸受、5b 吸込口、6 ポンプベース、6a メタル、6e:排出口、7 ポンプハウジング、7a クリアランス。

Claims (1)

  1. モータ回転子に勘合された円板状のインペラと、前記インペラを収納するポンプハウジングとを有し、燃料を燃料タンクから導入し内燃機関に向けて送出する円周流ポンプにおいて、前記インペラは繊維強化ポリフェニレンサルファイドからなり、前記モータ回転子と勘合する基部と、前記基部の外周に設けられた羽根部と、前記羽根部の外周に設けられた外輪部とから構成され、前記羽根部は、前記基部から直線的に放射状に配設された複数の羽根から構成されるとともに屈曲部を有し、前記インペラを前記モータ回転子のモータ軸の方向に沿って見たときに、前記羽根部全体の投影面積S1と前記基部の投影面積S3との比をS3:S1=9〜15:1とし、前記羽根部全体の投影面積S1と前記外輪部の投影面積S2との比をS2:S1=0.10〜0.13:1とすることを特徴とする円周流ポンプ。
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