JP2007210907A - 消化管機能改善用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】静脈投与によることなく簡便に、経口ないしは経腸投与にて、消化管粘膜萎縮に対する予防・改善効果、消化管粘膜保護効果及び/又は消化管上皮杯細胞保護効果を発揮し、簡便で長期的に摂取又は投与できる組成物、医薬及び食品を提供する。
【解決手段】生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管粘膜萎縮予防・改善用、消化管粘膜保護用又は消化管上皮杯細胞保護用経口又は経腸組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、有効成分として生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物、特にロイシンを含有し、消化管粘膜の萎縮の予防・改善、消化管粘膜保護及び消化管上皮杯細胞保護のために使用する経口又は経腸組成物、特に医薬及び食品に関する。
消化器手術や長期栄養摂取不良時など経口摂取が不可能あるいは不十分な場合、消化管を使用しないことを原因とする消化管機能低下や消化管粘膜萎縮が認められる。また、炎症や抗がん剤の副作用(非特許文献1)により消化管粘膜萎縮が認められる。
一方、分岐鎖アミノ酸を多く含む経静脈栄養輸液を投与したラットにおいては、大腸の粘膜重量及びタンパク含量は栄養不良ラットに比べて高く、経静脈投与の分岐鎖アミノ酸が大腸の萎縮等に効果を及ぼすことが報告されている。而して、分岐鎖アミノ酸の中でもL−ロイシンなどが筋肉においてグルタミンに変換し、グルタミンが血中から腸管に供給され、大腸の粘膜重量及びタンパク含量を増加させ大腸上皮細胞を保護していると考えられている(非特許文献2)。またグルタミンが腸管上皮のタンパク合成を上げる(非特許文献3)が、グルタミンは不安定なため、経口で摂取しても効果がないことは知られている。ところが経静脈投与では、静脈にカテーテルが直接血管内に入っているために細菌感染を起こさないよう十分注意する必要があり管理が煩雑であり、通常長期間の投与は難しい。
従って、消化管機能低下や消化管粘膜萎縮に対して効果を有し、静脈投与によることなく簡便に投与ないしは摂取できる化合物ないしは組成物の開発が待望されている。
Cancer 100:2026−2046,2004 Aust.N.Z.J.Surg.61:49−53,1991 Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 285:G266−G273,2003
本発明の課題は、静脈投与によることなく簡便に、経口ないしは経腸投与にて、消化管粘膜萎縮に対する予防・改善効果を発揮し、簡便で長期的に摂取又は投与できる組成物、医薬及び食品を提供することである。さらには、本発明は、静脈投与によることなく簡便に、経口ないしは経腸投与にて、消化管粘膜保護効果及び消化管上皮杯細胞保護効果を発揮し、簡便で長期的に摂取又は投与できる組成物、特に医薬及び食品を提供することである。ここに、消化管粘膜萎縮に対する予防・改善効果、消化管粘膜保護、消化管上皮杯細胞保護効果は、いずれも、例えば経口摂取が不可能あるいは不十分な場合、消化管に炎症がある場合又は抗がん剤の副作用などにより消化管に生じる障害に対するものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ロイシンが直接消化管に作用して消化管粘膜萎縮に対して改善作用を有するという新しい知見を得た。その結果、ロイシンを経口又は経腸的に摂取又は投与することにより、消化管粘膜萎縮を効果的に改善し、さらには消化管粘膜及び消化管上皮杯細胞を保護することを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管粘膜萎縮予防・改善用経口又は経腸組成物。
(2)生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管粘膜保護用経口又は経腸組成物。
(3)生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管上皮杯細胞保護用経口又は経腸組成物。
(4)生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物がロイシン又はその塩である(1)〜(3)のいずれか1項に記載の組成物。
(5)消化管が小腸である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の組成物。
(6)医薬である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の組成物。
(7)食品である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の組成物。
(8)食品が保健機能食品又はダイエタリーサプリメントである(7)に記載の組成物。
(9)保健機能食品が特定保健用食品又は栄養機能食品である(8)に記載の組成物。
(10)生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管粘膜萎縮予防・改善用経口又は経腸組成物、及び該組成物の消化管粘膜の萎縮予防及び/又は改善用途への使用に関する説明を記載した記載物を含む商業的パッケージ。
(11)生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管粘膜保護用経口又は経腸組成物、及び該組成物の消化管粘膜の保護用途への使用に関する説明を記載した記載物を含む商業的パッケージ。
(12)生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管上皮杯細胞保護用経口又は経腸組成物、及び該組成物の消化管上皮杯細胞の保護用途への使用に関する説明を記載した記載物を含む商業的パッケージ。
(13)生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物がロイシン又はその塩である(10)〜(12)のいずれか1項に記載の商業的パッケージ。
(14)消化管が小腸である、(10)〜(13)のいずれか1項に記載の商業的パッケージ。
本発明により提供される、生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる経口又は経腸組成物は、消化管粘膜萎縮を予防・改善するために用いられる。また本発明の組成物は消化管粘膜及び消化管上皮杯細胞を保護するために効果的に用いられる。特に、本発明の組成物は、アミノ酸を有効成分とすることから、安全性が高く副作用がほとんどないため、長期間摂取可能で、医薬品及び食品として極めて有利である。さらに、本発明の組成物を摂取することで、消化管粘膜萎縮に起因する下痢及び感染症になるリスクが下がり、経腸栄養から通常食に戻る期間を通常より短期にすることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明において生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物としては、ロイシン、その塩、加水分解反応(生体内加水分解反応)によりロイシン又はその塩が得られる化合物、例えば、生体内で加水分解可能なエステル体、又はロイシンを含むペプチド類などが挙げられる。特にロイシン又はその塩が好ましい。
本発明において使用するロイシンは、L−体、D−体、これらの混合物(例えば、ラセミ体)の何れも使用可能であるが、好ましくは、L−体が用いられる。
生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物は、動物や植物に由来する天然のもの、あるいは化学合成法、発酵法、遺伝子組換法によって得られるもののいずれを使用してもよい。
本発明において使用するロイシンは、遊離体のみならず、塩の形態で使用することもできる。塩の形態には酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、医薬又は飲食品として薬理学的に許容される塩を選択することが好ましい。ロイシンにそれぞれ付加して医薬又は飲食品として許容される塩としては、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩が挙げられる。
本発明の生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる経口又は経腸組成物は、消化管粘膜萎縮予防・改善、消化管粘膜保護及び消化管上皮杯細胞保護のために使用される。
本発明における「経口組成物」とは、経口で摂取する形態の組成物を意味する。「経腸組成物」とは、通常、経口投与で十分な栄養摂取が出来ない場合に採られる投与形態であり、消化管内に留置したチューブ等から投与する形態の組成物を意味する。経腸投与には、チューブ等を鼻腔から消化管に挿入して組成物を注入する経鼻法と、胃や腸に小さな孔(瘻孔:ろうこう)を造り、これより組成物をチューブ等で注入する経瘻孔法などがあるがこれらに限定されない。以下「生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる経口又は経腸組成物」を「本発明の組成物」ということもある。
本発明における「消化管」とは、口腔から肛門までの一連の消化に携わる管腔臓器をいい、例えば、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)及び大腸が挙げられる。好ましくは、小腸及び大腸が挙げられる。
本発明における消化管粘膜萎縮とは、消化管粘膜上皮の構造・形態的変化、例えば絨毛高の低下、粘膜層の剥離の状態をいう。この時同時に、粘膜上皮の機能低下も認められ、腸管透過性の亢進による物理的バリアの破綻や刷子縁膜の酵素活性の低下を引き起こした状態をいう。消化管粘膜の萎縮は、主に小腸及び大腸に認められる。
例えば、経口摂取が不可能あるいは不十分な場合又は消化器の安静が必要な場合など、消化管を使用しないことを原因とする消化管粘膜の萎縮、消化管粘膜の炎症又は抗がん剤の副作用による消化管粘膜の萎縮が挙げられる。該萎縮によって、例えば、体重減少、栄養不良(血清総蛋白、血清アルブミンの低下など)、下痢、消化管から感染した感染症などが認められる。
経口摂取が不可能あるいは不十分な場合とは、例えば、消化管手術時、脳梗塞、脳出血などの脳血管障害やその他の神経疾患で嚥下機能障害をきたした場合、頭頸部や食道の手術を受け物理的に経口摂取が困難な場合、あるいは痴呆や消耗性疾患、抗がん剤の副作用(食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、腹部膨満感、下血、便秘、胸やけ等)で十分な経口摂取が行えないなど長期栄養摂取不良時などが挙げられる。また消化器の安静が必要な場合とは、消化管手術前後などが挙げられる。
消化管粘膜の炎症を原因とする消化管粘膜の萎縮は、小腸炎や大腸炎などに認められる。炎症の原因としては、細菌またはウイルスなど腸管への感染などの感染性によるもの;アルコールの暴飲によるもの、特定の食物によっておこるアレルギー性のもの、抗生物質や抗がん剤などの薬剤によるもの、放射線照射によるもの、かぜや一時的な体調不良、腸の血管の動脈硬化など非感染性によるものなどが挙げられる。
抗がん剤の副作用とは、抗がん剤により粘膜上皮細胞が障害を受け、粘膜上皮細胞の再生能を失うことをいい、それにより消化管粘膜の萎縮が起こる。副作用により消化管粘膜の萎縮を起す抗がん剤としては、5-フルオロウラシル、イリノテカン、メソトレキセート、シタラビンなどが挙げられる。
本発明における消化管粘膜保護とは消化管の粘膜を構成するタンパク質の合成を促進することをいう。かくして、消化管粘膜を正常状態に保つことができる。好ましくは小腸及び大腸の粘膜の保護が挙げられる。
杯細胞とは、腸管と気道の粘膜上皮に見られる粘液分泌性細胞であり、分子量約200万の糖タンパクを主成分とする粘液を分泌する。具体的には、杯細胞は小腸粘膜を構成するムチンを合成し、分泌する。
本発明における消化管上皮杯細胞保護とは、消化管上皮において異常時に杯細胞数が減少するのに対し杯細胞の減少を抑制することをいう。杯細胞の減少を抑制することにより杯細胞数減少に伴う粘液分泌減少を抑制し、消化管上皮粘膜を保護することができる。好ましくは小腸及び大腸に存在する杯細胞の保護が挙げられる。
本発明の組成物は、消化管粘膜萎縮に伴う下痢を抑制し、消化管粘膜萎縮に伴う感染症を予防する。すなわち、経口摂取が不可能あるいは不十分な場合など消化管を使用しない場合、消化管の炎症がある場合又は抗がん剤の副作用などにより、消化吸収の場である消化管粘膜、特に小腸粘膜が萎縮し、粘膜表面に存在する消化吸収に関与する酵素の活性が低下したり、吸収面積自体が減少して効率よく栄養素が取り込めなくなるため、下痢になりやすくなり、また腸管のバリア機構(消化管免疫)が低下して感染症にかかりやすくなる。本発明の組成物は、消化管粘膜萎縮を予防・改善することにより、消化管粘膜萎縮に起因する下痢及び感染症に罹患するリスクを下げる作用も有する。
本発明の組成物は、経口摂取が不可能あるいは不十分な場合に、あるいは経口摂取が可能な状態であったとしても、例えば経腸的に投与することで、消化管粘膜の萎縮を予防・治療し粘膜を保護し、経口摂取にスムーズにしかも短期間で移行できる。さらに通常食に戻った時にもサプリメント等として長期的に、経口的または経腸的に摂取することにより、下痢や感染症になるリスクを下げることが出来る。
本発明の組成物は、医薬及び食品などとして有用であり、その投与対象としては、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)が挙げられる。
本発明の組成物は医薬の形態として使用できる。経口投与用製剤としては、顆粒剤、細粒剤、粉剤、被覆錠剤、錠剤、坐剤、散剤、(マイクロ)カプセル剤、チュアブル剤、シロップ、ジュース、液剤、懸濁剤、乳濁液、ゼリー剤など、また経腸投与用製剤としては粉末、液状又は流動状製剤、経腸栄養剤、既存の栄養剤に追添加可能なキットが挙げられる。また使用時に本発明の組成物を溶剤に溶解もしくは懸濁して用いることもできる。また活性物質の放出を延長する製剤等の医薬製剤一般の剤型を採用することができる。
これらの医薬の調製は、常法により製剤化することによって行われる。製剤上の必要に応じて、薬理学的に許容し得る各種の製剤用物質を配合することができる。製剤用物質は製剤の剤型により適宜選択することができるが、例えば、賦形剤、希釈剤、添加剤、崩壊剤、結合剤、被覆剤、潤滑剤、滑走剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、可溶化剤等が挙げられる。
本発明の医薬は、経口投与の場合、投与量は投与する患者の症状、年齢、体重、剤形、投与方法等によって異なるが、成人1日当たり、ロイシンとして通常0.001g/kg体重から1g/kg体重程度、好ましくは0.05g/kg体重から0.2g/kg体重程度である。なおロイシンとは、ロイシンそのものを含有する場合はそのロイシンの重量自体をいい、生体内で加水分解によりロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有する場合には、その加水分解によりロイシンになり得る物質をすべてロイシンにしたときのロイシンを意味する。
経腸投与の場合、投与量は投与する患者の症状、年齢、体重、剤形、投与方法等によって異なるが、成人1日当たり、ロイシンとして通常0.001g/kg体重から1g/kg体重程度、好ましくは0.05g/kg体重 から0.2g/kg体重程度である。
本発明の医薬において、上記1日あたりの量を一度にもしくは数回に分けて投与することができる。食前、食後、食間を問わない。また投与期間は特に限定されない。
本発明の医薬は常法以外にも、将来開発される様々な医薬製剤の形態によっても製剤することができる。その製剤には将来開発される方法を適宜採用することができる。
本発明の医薬には、他の薬剤、例えば、グルタミン、アラニルグルタミン、スレオニン、ロイシン以外の分岐鎖アミノ酸などを配合してもよい。
本発明の医薬中のロイシン含有量は、通常30〜100重量%であり、好ましくは50〜97重量%である。
さらに、本発明の組成物は、食品の形態でも使用することができる。食品として用いる場合には、本発明の組成物を含む一般的な食品形態であれば如何なるものでも良い。例えば、適当な風味を加えてドリンク剤、例えば清涼飲料、粉末飲料とすることもできる。具体的には、例えば、ジュース、牛乳、菓子、ゼリー、ヨーグルト、飴等に混ぜて飲食することができる。
また、このような食品を、保健機能食品又はダイエタリーサプリメントとして提供することも可能である。この保健機能食品には、特定保健用食品及び栄養機能食品などが含まれる。特定保健用食品は、例えば、消化管粘膜萎縮の予防・改善、消化管粘膜保護用及び/又は消化管上皮杯細胞保護など、特定の保健の目的が期待できることを表示できる食品である。また栄養機能食品は、1日あたりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、国が定めた上・下限値の規格基準に適合している場合その栄養成分の機能の表示が出来る食品である。ダイエタリーサプリメントには、いわゆる栄養補助食品又は健康補助食品が含まれる。一般的な食事形態以外として使用する場合、例えば錠剤、カプセル、散剤、顆粒、懸濁剤、チュアブル剤、シロップ剤、経腸栄養剤、濃厚流動食、ゼリー剤、栄養剤・流動食に追添加可能なキット等の形態に調製することができる。また摂取時に溶剤に溶解もしくは懸濁して用いることもできる。
食品として経口摂取する場合、摂取量は摂取対象の症状、年齢、体重、剤形、摂取方法等によって異なるが、成人1日当たり、ロイシンとして通常0.001g/kg体重から1g/kg体重程度、好ましくは0.05g/kg体重から0.2g/kg体重程度である。
食品として経腸摂取する場合、摂取量は摂取対象の症状、年齢、体重、剤形、摂取方法等によって異なるが、成人1日当たり、ロイシンとして通常通常0.001g/kg体重から1g/kg体重程度、好ましくは0.05g/kg体重から0.2g/kg体重程度である。
本発明の食品において、上記1日あたりの量を一度にもしくは数回に分けて摂取することができる。また摂取期間は特に限定されない。
本発明の食品中のロイシンの含有量は、通常0.1〜100重量%であり、好ましくは10〜75重量%である。
本発明においては、ロイシン又はその塩を含有してなる経口又は経腸組成物には、消化管粘膜の萎縮予防及び/又は改善用途、消化管粘膜の保護用途又は消化管上皮杯細胞の保護用途への使用に関する説明を記載した記載物を含む商業的パッケージも含まれる。また、本発明の医薬又は食品と経腸用の投与器具からなるキットも本発明の態様に含められる。投与器具としては、上記で述べた経鼻法や経瘻孔において使用する器具が挙げられる。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に述べる。なお、以下の実施例は、本発明を説明するものであって、本発明をこれに限定するものではない。
(実施例1)経口栄養摂取不良ラットにおけるL‐ロイシンの小腸粘膜保護作用
Fischerラット雄9週齢(三協ラボサービス株式会社)に各群以下の食餌を与え、食餌、飲水(塩素添加水)を4日間自由摂取させた。飼育中の毎日の摂餌量を測定した。L‐ロイシン添加の対照として、L‐バリンを用いた。

経口栄養摂取不良群:10%グルコース水溶液(N=6)
経口栄養摂取不良+0.2%L-ロイシン添加群:10%グルコース+0.2%L-ロイシン水溶液(N=8)
経口栄養摂取不良+0.5%L-ロイシン添加群:10%グルコース+0.5%L-ロイシン水溶液(N=8)
経口栄養摂取不良+0.2%L-バリン添加群:10%グルコース+0.2%L-バリン水溶液(N=8)
4日間飼育後、上記ラットをジエチルエーテル麻酔下で開腹し、下大静脈より採血し、放血後、小腸を摘出した。小腸を10cm切り出し、湿重量を秤量後、粘膜細胞を採取し、粘膜細胞重量を秤量した。粘膜細胞中のタンパク質含量及びDNA含量を定量するため、以下の方法で細胞抽出液を作成した。粘膜細胞に1.5mlのリン酸緩衝液(pH7.4)を加え、ミキサーミルMM30(Retsch社製)で振動数30Hz(1/s)、30秒2回振とうし、細胞を破砕した。細胞を破砕した溶液を12000rpm、4℃、5分間遠心し、上清を回収し、細胞抽出液とした。細胞抽出液中のタンパク質は、標準物質として牛血清アルブミンを用い、プロテインアッセイCBB溶液(ナカライテスク社製)を用い、定量した。細胞抽出液中のDNAは、蛍光色素Vistra Green(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)で染色し、以下の方法で定量した。適宜希釈した細胞抽出液3μlにトリス-EDTA緩衝液で10,000倍に希釈したVistra Greenを100μl添加し、励起波長490nm、蛍光波長520nmで蛍光を測定した。標準物質には牛胸腺由来DNA(シグマアルドリッチ社製)を用いた。
経口栄養摂取不良状況下での摂取カロリー当たりの小腸重量(図1)、粘膜重量(図2)、粘膜細胞中のタンパク質含量(図3)、粘膜細胞中のDNA含量(図4)を示す。0.2%L‐ロイシン添加群では、経口栄養摂取不良群と比べて有意に小腸重量、粘膜重量が高く、粘膜保護効果が認められた。一方、この効果は0.2%L‐バリン添加群では認められなかった。また、粘膜細胞中のタンパク質含量も0.2%L‐ロイシン添加群では、経口栄養摂取不良群と比べて有意に高く、DNA含量は有意に低いことから、L‐ロイシンによる粘膜重量の増加効果は、細胞あたりのタンパク質含量が高くなったことによることが明らかになった。
(実施例2)経口栄養摂取不良ラットでのL‐ロイシンの杯細胞数維持作用
実施例1に記載の方法に従い、経口栄養摂取不良ラットより小腸を摘出し、10%ホルマリン溶液中で固定後、パラフィンで包埋し、組織切片を作成した。ヘマトキシリン・エオジン染色を行い、絨毛1本あたりの杯細胞数をカウントした。
小腸絨毛当たりの杯細胞数を図5に示す。
小腸絨毛当たりの杯細胞数は経口栄養摂取不良群と比べて0.5%L‐ロイシン添加群では有意に多く、0.2%L‐ロイシン添加群でも多い傾向が認められた。杯細胞は小腸粘膜を構成するムチンを合成する細胞であることから、L‐ロイシンによる粘膜重量の増加効果、細胞あたりのタンパク質含量の増加は、L‐ロイシンが直接小腸において杯細胞の数の減少を抑制したことによるということが明らかになった。
(実施例3)経口栄養摂取不良ラットの血漿中アミノ酸濃度解析
実施例1に記載した方法に従い、経口栄養摂取不良ラットの下大静脈より採血し、EDTAにより血漿を分離した。血漿200μLあたり、10% トリクロロ酢酸水溶液 100μLを加え攪拌し氷上10分放置後、13000 rpm, 15分遠心して上清を得た。この上清をウルトラフリーMCで限外ろ過し(5000g, 40min 4℃)、ろ液を日立アミノ酸分析機L-8800に20μLインジェクションしてアミノ酸分析を行った。測定は外部標準法で行い、ピーク処理・数値算出はアミノ酸分析機に付属のソフトL-8800 AAA System Managerで行った。
経口栄養摂取不良状況下での血漿中L‐ロイシン(図6)、L‐グルタミン(図7)の濃度を示す。0.2%、0.5%いずれのL‐ロイシン添加群でも血漿中のL‐ロイシン濃度の上昇は認められず、L‐グルタミン濃度の上昇も認められないことから、食餌で摂取、吸収したL‐ロイシンが他臓器でL‐グルタミンに変換され、小腸に供給されることにより、タンパク質合成を促進する効果はないことが明らかとなった。
以上のことから、L‐ロイシンは直接小腸において杯細胞の数の減少を抑制し、粘膜細胞中のタンパク質量、粘膜重量を増加させ、粘膜保護作用があることが明らかになった。
L‐ロイシンの小腸重量増加作用を示す。 L‐ロイシンの粘膜細胞重量増加作用を示す。 L‐ロイシンの粘膜細胞中のタンパク質含量増加作用を示す。 L‐ロイシンの粘膜細胞中のDNA含量減少を示す。 L‐ロイシンの小腸絨毛あたりの杯細胞数の減少抑制を示す。 血漿中L‐ロイシン濃度を示す。 血漿中L‐グルタミン濃度を示す。

Claims (14)

  1. 生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管粘膜萎縮予防・改善用経口又は経腸組成物。
  2. 生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管粘膜保護用経口又は経腸組成物。
  3. 生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管上皮杯細胞保護用経口又は経腸組成物。
  4. 生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物がロイシン又はその塩である請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 消化管が小腸である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 医薬である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 食品である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 食品が保健機能食品又はダイエタリーサプリメントである、請求項7に記載の組成物。
  9. 保健機能食品が特定保健用食品又は栄養機能食品である、請求項8に記載の組成物。
  10. 生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管粘膜萎縮予防・改善用経口又は経腸組成物、及び該組成物の消化管粘膜の萎縮予防及び/又は改善用途への使用に関する説明を記載した記載物を含む商業的パッケージ。
  11. 生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管粘膜保護用経口又は経腸組成物、及び該組成物の消化管粘膜の保護用途への使用に関する説明を記載した記載物を含む商業的パッケージ。
  12. 生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物を含有してなる消化管上皮杯細胞保護用経口又は経腸組成物、及び該組成物の消化管上皮杯細胞の保護用途への使用に関する説明を記載した記載物を含む商業的パッケージ。
  13. 生体内においてロイシン又はその塩として存在しうる化合物がロイシン又はその塩である請求項10〜12のいずれか1項に記載の商業的パッケージ。
  14. 消化管が小腸である、請求項10〜13のいずれか1項に記載の商業的パッケージ。
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