JP2003095938A - 抗菌ペプチド分泌誘発剤 - Google Patents

抗菌ペプチド分泌誘発剤

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JP2003095938A
JP2003095938A JP2001289575A JP2001289575A JP2003095938A JP 2003095938 A JP2003095938 A JP 2003095938A JP 2001289575 A JP2001289575 A JP 2001289575A JP 2001289575 A JP2001289575 A JP 2001289575A JP 2003095938 A JP2003095938 A JP 2003095938A
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Masami Moriyama
雅美 森山
Kyoichiro Saito
恭一郎 斎藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体における抗菌ペプチドの分泌を誘発させ
る物質、すなわち、臨床的に有効な抗菌剤を提供し、さ
らには細菌またはウイルスに起因する疾患に対する治療
剤の提供。 【解決手段】 生体における抗菌ペプチドの分泌を誘発
させる物質であり、詳細には、イソロイシン、ロイシン
またはバリンから選択される少なくとも1種の分枝鎖必
須アミノ酸を有効成分として含有する抗菌ペプチド分泌
誘発剤、更には、消化管上皮におけるパネート細胞から
抗菌ペプチドの分泌を誘発させる作用を有するイソロイ
シン、ロイシンまたはバリンから選択される少なくとも
1種の分枝鎖必須アミノ酸を有効成分として含有する抗
菌剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生体内、特に消化管
(胃、小腸、大腸)において、デフェンシン等の抗菌ペ
プチドの分泌を誘発させる抗菌ペプチド誘発剤ならびに
抗菌剤に関する。さらにまた本発明は、該抗菌ペプチド
の誘発による、細菌またはウイルスに起因する疾患の治
療剤にも関する。
【0002】
【従来の技術】人体の小腸の単層上皮は、陰窩(Cry
pts)に存在する幹細胞の由来細胞から継続的に形成
されているものである。小腸粘膜における病変(すなわ
ち、免疫能の低下)は、細菌の侵入口となる可能性があ
ることより、細菌の異常増殖から陰窩を保護するため
に、先天的な免疫反応のメカニズムが生体には備わって
おり、その免疫応答によって健全な上皮が維持されて、
幹細胞の生存を維持し、敗血症、大腸炎等の疾患の発生
を抑制している。
【0003】この場合の先天的な免疫反応の構成要素の
一つとして、生体由来の抗菌ペプチド類の分泌、すなわ
ち、通常はα−デフェンシンの分泌が挙げられている。
例えば、細菌感染の危険性が生じた場合には、β−デフ
ェンシンなどいくつかのタイプの抗菌ペプチドが上皮表
面において産生され、病原体となり得るものに対する先
天性免疫のエフェクターとして作用していることが知ら
れている。すなわち、小腸の上皮表面は細菌感染に直接
暴露され得る部分であり、この部分(上皮表面)では、
β−デフェンシンなどいくつかのタイプの抗菌ペプチド
が産出されている。
【0004】デフェンシン類は、細菌、ガビなどの微生
物に対して殺菌活性を有する塩基性の抗菌ペプチドであ
り、好中球やマクロファージの細胞内顆粒に存在するも
のである。ヒトにおいては、多くの場合29〜34アミ
ノ酸残基からなるペプチドであり、3個の分子内ジスル
フィド結合を構成する6つのシステイン(Cys)が共
通構造として見いだされており、その殺菌作用は、微生
物細胞膜構造の破壊により、殺菌作用を示すものと考え
られている。
【0005】ところでこれまでの研究によれば、小腸で
はα−デフェンシン類(クリプトジン類)が小腸陰窩の
パネート細胞(paneth cell)から分泌され
る顆粒中に豊富にみられることが報告されている[J. B
iol. Chem., 267:23216-23225 (1992); Infect. Immu
n., 62:5040-5047 (1994); J. Cell Biol., 118:926
-936 (1992); Infect. Immun., 60:3556-3565 (199
2);Infect. Immun., 65:2389-2395 (1997)]。
【0006】このパネート細胞から分泌される顆粒中に
存在するα−デフェンシン類(クリプトジン類)の殺菌
作用は極め強いものであり、パネート細胞の免疫組織学
的な検討によれば、小腸にいては、抗菌ペプチドである
α−デフェンシン類はパネート細胞から分泌される顆粒
中にのみ存在するものであり、この顆粒は陰窩パネート
細胞の基底部より陰窩内腔の先端部分に向かって分泌さ
れることが判明している。かかる事実からみれば、生体
内、特に腸管上皮における顆粒分泌細胞(パネート細
胞)は、細菌またはウイルスを感知し、殺菌性ペプチド
をその有効濃度で放出することによって粘膜免疫に積極
的に応答し、宿主の細菌またはウイルス感染に対する防
衛反応における機能的な役割を果たしていると考えられ
る。
【0007】したがって、腸管上皮における顆粒分泌細
胞であるパネート細胞から、意図的に抗菌ペプチド(殺
菌性ペプチド)を豊富に含む顆粒の分泌を誘発し得る物
資を見いだせば、生体の細菌あるいはウイルス感染に起
因する疾患に対する有効な治療剤となり得るものといえ
る。特に、かかる物質が生体にとって毒性が無く、安全
に投与できるものであれば、臨床的に極めて効果的な、
抗菌剤となるものである。
【0008】しかしながらこれまでの検討は、腸管上皮
における顆粒分泌細胞であるパネート細胞が、生体内に
おいて細菌あるいは細菌由来の抗原の刺激によって殺菌
性ペプチドに豊富に含む顆粒の分泌、生体防御のメカニ
ズムに主眼が置かれたものであり、パネート細胞から積
極的に抗菌ペプチド(殺菌性ペプチド)を含む顆粒の分
泌を誘発させ、生体防御をなし得る物質についての検
索、検討はほとんどなされていない。
【0009】最近、M. Zasloffらは、Madin−Da
rbyのウシ肝臓(MDBK)培養上皮細胞を用いてデ
フェンシン類の発現を誘発する化合物の検討を行ってお
り、その一つとしてイソロイシンあるいはその類似物質
が、上皮におけるデフェンシン類の誘発を促進するもの
であることを報告している[PNAS, 97: 12723-12728(2
000)]。彼らの報告は、MDBK培養上皮細胞を用い
た検討であり、イソロイシンあるいはその類似物質が、
抗菌ペプチドであるβ−デフェンシンの発現を特異的に
誘発しているとされているが、その上皮細胞をマクロ的
に培養しているものであり、抗菌ペプチドを含む顆粒を
分泌する細胞であるパネート細胞を用いた抗菌ペプチド
の発現に関しての詳細は、検討されていない。
【0010】したがって、イソロイシンあるいはその類
似物質が、細菌あるいはウイルス等の攻撃に対する生体
防御メカニズムとして、腸管上皮のパネート細胞から、
直接的に抗菌ペプチドを豊富に含む顆粒を分泌さ得るも
のであるか否かは、いまだ不明なものである。
【0011】かかる現状下において、本発明者らは、イ
ソロイシンに加え、ロイシンあるいはバリン等の分枝鎖
を有する必須アミノ酸が、腸管における先天性免疫と関
連付けられていること、すなわち、細菌等の感染に対す
る極めて有効な生体免疫能を発揮する物質ではないかと
考えた。しかしながら、ヒト腸管のパネート細胞が、動
物細胞株と同様に、イソロイシンあるいはその類似物質
により、抗菌ペプチドを含む顆粒を分泌さ得るものであ
るか否かは、確認されていない。したがって、本発明者
らは、第一に、これまで不明であったヒトのパネート細
胞の機能を検討し、ヒト小腸パネート細胞の分泌反応
と、粘膜における感染防御の意義を検討した。
【0012】その結果、ヒト小腸パネート細胞は、細菌
の暴露によってサルモネラ菌に対する強力な殺菌活性を
揺する分泌物を速やかに放出すること、さらに、ウエス
タンブロット(Western blot)法による解
析で、この分泌物はパネート細胞分泌顆粒に由来したも
のであることを確認した。すなわち、ヒト小腸由来のパ
ネート細胞は、殺菌活性を有する顆粒を分泌することを
明らかにした。
【0013】そこで、第二に、β−デフェンシンの発現
を動物の単離細胞株で誘導するイソロイシンに加え、ロ
イシンあるいはバリン等の分枝鎖を有する必須アミノ酸
が、ヒトの小腸パネート細胞において、同様に抗菌ペプ
チドを含む顆粒を分泌するか否かを検討するべく、ヒト
から単離したまま(intactedな)のパネート細
胞を用い、これらのアミノ酸と共にインキュベートした
結果、パネート細胞からの顆粒の分泌が誘発されるこ
と、さらに分泌された顆粒中には、極めて高濃度で抗菌
ペプチド、例えば、α−デフェンシンが含有されてお
り、殺菌作用を示すに十分量の抗菌ペプチドの放出が誘
発されていることを確認した。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、
かかる検討結果に基づき完成されたものであり、生体に
おける抗菌ペプチドの分泌を誘発させる物質、すなわ
ち、臨床的に有効な抗菌剤を提供し、さらには細菌また
はウイルスに起因する疾患に対する治療剤を提供するこ
とを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】しかして本発明の基本的
態様である請求項1に記載の発明は、生体における抗菌
ペプチドの分泌を誘発させる物質を提供し、詳細には、
イソロイシン、ロイシンまたはバリンから選択される少
なくとも1種の分枝鎖必須アミノ酸を有効成分として含
有する抗菌ペプチド分泌誘発剤である。
【0016】さらに請求項2に記載の本発明は、別の態
様として、消化管上皮におけるパネート細胞から抗菌ペ
プチドの分泌を誘発させる作用を有するイソロイシン、
ロイシンまたはバリンから選択される少なくとも1種の
分枝鎖必須アミノ酸を有効成分として含有する抗菌剤で
ある。
【0017】さらにまた請求項3に記載の本発明は、イ
ソロイシン、ロイシンまたはバリンから選択される少な
くとも1種の分枝鎖必須アミノ酸を投与することによ
り、消化管上皮におけるパネート細胞から抗菌ペプチド
を分泌させ、殺菌または殺ウイルス作用を発現させるこ
とにより、細菌またはウイルスに起因する疾患の治療方
法である。
【0018】請求項4に記載の本発明は、請求項3に記
載の発明において、細菌またはウイルスに起因する疾患
が、胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、炎症性大腸炎、過敏性腸疾
患、褥瘡、ウイルス性肝炎、インフルエンザ、日和見感
染症、日本脳炎、アレルギー性疾患、B型肝炎、C型肝
炎である疾患の治療方法である。
【0019】さらに別の態様としての本発明は、生体に
おける抗菌ペプチドの分泌を誘発させる物質を含有する
機能食品を提供するものであり、請求項5に記載の本発
明は、詳細には、抗菌ペプチド分泌誘発剤であるイソロ
イシン、ロイシンまたはバリンから選択される少なくと
も1種の分枝鎖必須アミノ酸を含有する、整腸作用を有
する健康食品である。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、上記したように、生体
における先天的免疫能を発揮する抗菌ペプチドの分泌を
誘発させる物質に関するものであり、具体的にはイソロ
イシン、ロイシンあるいはバリン等の分枝鎖状の必須ア
ミノ酸を有効成分として含有する抗菌ペプチド分泌誘発
剤である。
【0021】かかる抗菌ペプチド分泌誘発剤により分泌
される抗菌ペプチドは、生体においては腸管上皮のパネ
ート細胞の基底部から陰窩内腔の先端部分に向かって分
泌される顆粒中に豊富に含有されているものである。こ
のような抗菌ペプチドとしては、生体由来抗菌ペプチド
類であり、例えば、α−デフェンシン(クリプトジ
ン)、β−デフェンシン等を挙げることができる。
【0022】本発明は、かかる抗菌ペプチドを生体内に
おいて有効に発現させ、細菌あるいはウイルス等の攻撃
に対し、これらの細胞膜の構想を破壊することにより、
殺菌的に作用して、抗菌活性を発現する。したがって、
本発明は別の観点からみれば、臨床的に有効な抗菌剤に
関するものでも有り、また、細菌あるいはウイルスに起
因する疾患の治療剤にも関するものである。そのような
疾患としては、例えば胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、炎症性大
腸炎、過敏性腸疾患、褥瘡、ウイルス性肝炎、インフル
エンザ、日和見感染症、日本脳炎である疾患等の疾患を
挙げることができる。
【0023】なお、本発明が提供する治療剤により治療
される疾患は、上記した疾患のみに限定されるものでは
なく、細菌あるいはウイルスに起因する疾患であれば本
発明の治療剤により有効に治療することができる。その
細菌、ウイルスとしては、各種の病原菌、ウイルス等が
挙げられる。その中でも、他剤耐性菌として最近問題と
されているメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRS
A)、メシチリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)、バ
ンコマイシン耐性菌、あるいはO−157等の病原菌等
を挙げることができる。
【0024】また、本発明が提供する治療剤により治療
し得る疾患としては、細菌あるいはウイルス等が直接的
に起因するものに限られず、更にその疾患が進行した結
果、例えば癌化する症状をきたす場合には、かかる癌化
を緩和することもでき、さらには癌の転移を抑制するこ
ともできることが判明した。またさらに、創傷治癒効果
も発揮するものであることが判明した。
【0025】本発明が提供する抗菌ペプチド分泌誘発剤
あるいは抗菌剤を投与するにあたっては、その有効成分
であるイソロイシン、ロイシンまたはバリンから選択さ
れる少なくとも1種の分枝鎖必須アミノ酸を含有する組
成物を、経口的あるいは非経口的に投与することで行い
得る。
【0026】その含有量は特に限定されるものではな
く、生体に投与することにより抗菌ペプチドの分泌が促
進され、その結果抗菌活性を発現するに十分な量を投与
すればよい。なお、本発明が提供する抗菌ペプチド分泌
誘発剤あるいは抗菌剤の有効成分であるイソロイシン、
ロイシンまたはバリンは、必須アミノ酸の一種であり、
その安全性は十分確認されていることより、ある程度過
剰量を投与しても、何ら悪影響をあたえるものではな
い。
【0027】経口的に投与する場合には、適宜他の賦形
剤等と共に、製剤学的に汎用されている経口投与製剤で
ある錠剤、顆粒剤、カプセル剤、あるいは散剤等の形態
に製剤化することができる。また、非経口的に投与する
場合には、注射剤の形態で投与することができる。
【0028】また、本発明が提供する機能的食品として
の整腸作用を有する健康食品にあっては、他の汎用され
ている添加物とともに、一般的に使用される食品添加物
を適宜加え、液剤の形態、あるいは錠剤、顆粒剤等の提
供されるのが好ましい。
【0029】
【実施例】以下に本発明が提供する、抗菌ペプチド分泌
促進剤あるいは抗菌剤の有効成分となるイソロイシン、
ロイシンまたはバリンから選択される少なくとも1種の
分枝鎖必須アミノ酸における抗菌ペプチドの分泌、なら
びにその分泌に基づく抗菌活性の詳細を説明することに
より、本発明をさらに詳細に説明する。
【0030】試験1:ヒトパネート細胞を用いた抗菌ペ
プチドの分泌試験(その1) 1.実験モデル ex vivo系におけるヒトパネート細胞から抗菌ペ
プチドを含む顆粒の分泌検討試験のため、ヒト回腸(i
leum)から単離したままの(intactedの)
ヒト陰窩(crypts)を用い、パネート細胞を単離
した。ヒトパネート細胞の単離方法は、Nature Immuno
l., 1: 113-118 (2000)に記載の方法に準じておこなっ
た。すなわち、単離したヒト回腸の小片をEDTA(エ
チレンジアミン四酢酸)−リン酸緩衝液[EDTAを含
有するCa2+−Mg2+フリーのリン酸緩衝液中]中
で振盪し、陰窩を溶出させた。溶出した陰窩を遠心分離
に付して単離した。単離した陰窩から血球計算板(he
mocytometer)により、700個の陰窩を単
離し、これを小遠心管(microfuge)に移し
た。
【0031】2.アミノ酸とのインキュベーション 単離し、小遠心管(microfuge)に移した陰窩
を、L−イソロイシン(L−Ile)の存在下、あるい
は非存在下に改良イーグル培地(MEM)をも用い、イ
ンキュベーションした[総用量:500μl]。インキ
ュベーションを行った試験検体のグループは、以下のと
おりである。
【0032】グループA:MEM+非必須アミノ酸+2
50μg/mLのL−Ile グループB:MEM+非必須アミノ酸
【0033】インキュベート時間として、0時間(T
0)、1時間(T1)および4時間(T4)おこない、
各試験は以下の5条件で行った。 T0、T1条件下・・・グループA T1条件下・・・・・・グループB T4条件下・・・・・・グループA T4条件下・・・・・・グループB
【0034】3.上清の殺菌活性の測定 上記の各条件下にてインキュベーションを行った後、細
胞成分を遠心分離により沈殿させ、上清(500μl)
を得た。10μlの分泌物(500μlから、14個ま
での陰窩からの分泌物)をサルモネラ菌(S.typh
imurium)の500CFUと共に37℃にて1時
間インキュベートし、生存した菌を栄養寒天培地で増殖
させ、定量した。なお、細菌学的検定を3回繰り返し
た。得られた結果を表1に示した。なお、データは、被
爆細菌に対する死滅パーセントで表示した。また併せ
て、これらの各試験条件における死滅細菌の程度をグラ
フ化したものを図1に、図2にL−Ileによる殺菌活
性を示したグラフを示した。
【0035】
【表1】表1:サルモネラ菌に対するの死滅効果
【0036】以上の結果から、L−Ileは、ヒトパネ
ート細胞における抗菌成分の分泌を誘発していることが
判明した。なお、L−Ileを添加したグループAにお
ける1時間と4時間のインキュベーションの結果に結い
拿際が認められない点を考慮すると、長時間のインキュ
ベーション(4時間のインキュベーション)は、それほ
ど必要なものではなく、本発明の抗菌ペプチド分泌誘発
剤は、極めて早い段階で抗菌ペプチドの分泌を誘発する
ものであることが判明した。なお、他の分枝鎖アミノ酸
であるロイシン(Leu)およびバリン(Val)につ
いても同様試験したが、ほぼ同じ結果を与えるものであ
った。
【0037】試験2:ヒトパネート細胞を用いた抗菌ペ
プチドの分泌試験(その2) 1.実験モデル ヒト回腸からの陰窩の単離は試験1と同様に行った。単
離した陰窩が高純度に得られた分画から、血球計算板
(hemocytometer)により、ほぼ700個
の陰窩を単離し、これを小遠心管(microfug
e)に分注し、軽く遠心して陰窩を沈殿させた。
【0038】2.アミノ酸とのインキュベーション 次いで、改良イーグル培地(MEM)に非必須アミノ酸
を加えた緩衝液中で、L−ILeを添加、または非添加
で30分または1時間、37度にて低速シェーカーにて
陰窩を培養し(総容量500μl)、その上清を採取し
た。
【0039】3.上清の殺菌活性の測定 得られた上清について、そのサルモネラ菌(S.typ
himurium)に対する殺菌活性を以下により検討
した。10μlの分泌物またはコントロールの上清と5
00CFUのS.typhimuriumを1時間、3
7℃で培養した後、栄養寒天培地に塗布し、15時間、
37℃にて培養し、生存コロニー数を数えた。実験は、
3回繰り返し、結果は上清に暴露しない細菌との比較に
よる殺菌率で示した。その結果を下記表2および3に示
した。
【0040】
【表2】表2:培養1時間の結果
【0041】
【表3】
【0042】以上の結果からも明らかなうように、イソ
ロイシンは、濃度依存的にex vivoのアッセイ系
において、ヒト単離小腸陰窩のパネート細胞における抗
菌活性ペプチドを含有する顆粒の分泌を誘導しているこ
とが判明した。この陰窩パネート細胞による分泌反応
は、イソロイシンに暴露後30分以内に認められ、5μ
Mから500μMの範囲内においては、イソロイシン濃
度に依存するものであった。
【0043】
【発明の効果】以上記載したように、本発明は、生体が
細菌またはウイルスの感染に対する先天的な防御機能と
して作用する生体抗菌ペプチドの分泌を誘発させる物質
あるいは、臨床的に有効な抗菌剤を提供するものであ
り、特に、その有効成分であるイソロイシン、ロイシン
またはバリンから選択される少なくとも1種の分枝鎖必
須アミノ酸は、極めて安全性の高い物質であり、その副
作用も無いことから、本発明の抗菌剤の医療上の価値
は、多大なものであるといえる。
【0044】また、本発明は上記した抗菌剤に基づく細
菌あるいはウイルスに起因する疾患の治療剤をも提供
し、また整腸作用を有する機能的健康食品を提供するも
のでもあり、日常的に安全に使用し得る利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試験1における抗菌活性の試験結果を
示すグラフである。
【図2】本発明の試験1における抗菌活性の試験結果を
示すグラフである。
【図3】本発明の試験2における抗菌活性の試験結果を
示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 15/00 A61P 15/00 31/04 31/04 31/12 31/12 31/16 31/16 37/08 37/08 // A61K 38/00 A61K 37/02 Fターム(参考) 4B018 MD19 ME11 4C084 AA02 BA08 BA19 BA44 CA18 DA41 MA52 ZA662 ZA682 ZA732 ZA752 ZA812 ZB132 ZB332 ZB352 4C206 AA02 FA53 MA01 MA04 MA72 ZA66 ZA68 ZA73 ZA75 ZB33 ZB35

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソロイシン、ロイシンまたはバリンか
    ら選択される少なくとも1種の分枝鎖必須アミノ酸を有
    効成分として含有する抗菌ペプチド分泌誘発剤。
  2. 【請求項2】 消化管上皮におけるパネート細胞から抗
    菌ペプチドの分泌を誘発させる作用を有するイソロイシ
    ン、ロイシンまたはバリンから選択される少なくとも1
    種の分枝鎖必須アミノ酸を有効成分として含有する抗菌
    剤。
  3. 【請求項3】 イソロイシン、ロイシンまたはバリンか
    ら選択される少なくとも1種の分枝鎖必須アミノ酸を投
    与することにより、消化管上皮におけるパネート細胞か
    ら抗菌ペプチドを分泌させ、殺菌または殺ウイルス作用
    を発現させることにより、細菌またはウイルスに起因す
    る疾患の治療方法。
  4. 【請求項4】 細菌またはウイルスに起因する疾患が胃
    潰瘍、潰瘍性大腸炎、炎症性大腸炎、過敏性腸疾患、褥
    瘡、ウイルス性肝炎、インフルエンザ、日和見感染症、
    日本脳炎、アレルギー性疾患、B型肝炎、C型肝炎であ
    る請求項3に記載の疾患の治療方法。
  5. 【請求項5】 抗菌ペプチド分泌誘発剤であるイソロイ
    シン、ロイシンまたはバリンから選択される少なくとも
    1種の分枝鎖必須アミノ酸を含有する、整腸作用を有す
    る健康食品。
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Cited By (6)

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