JP2007210688A - 駆動機構制御装置、インクジェット記録装置、画像形成装置、モータの制御方法及び該方法を実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents

駆動機構制御装置、インクジェット記録装置、画像形成装置、モータの制御方法及び該方法を実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、予め駆動指令値と被駆動位置の回転検出位置での駆動開始の駆動指令値を測定し、その値に応じて駆動指令値に補正を行うことで、駆動手段のドライブ回路のばらつきが生じた場合でも高速でかつ高精度な駆動制御動作を実現可能とする。
【解決手段】
本発明の駆動機構制御装置は、被駆動体の駆動を担う駆動手段と、予備駆動動作時における駆動手段の駆動開始位置付近の駆動指令値と被駆動体の駆動状態を予め検出する検出手段と、この検出手段による検出結果に基づいて駆動手段の駆動指令値を補正する駆動指令値補正手段とを有する。
【選択図】 図5

Description

本発明は駆動機構制御装置、インクジェット記録装置、画像形成装置、モータの制御方法及び該方法を実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関し、詳細にはインクジェットプリンタ等の画像形成装置における記録媒体搬送装置に使用されるモータの制御技術に関する。
現在、多種の装置の駆動源としてモータが使用されている。特にインクジェット記録装置等の画像記録装置において記録ヘッドを往復動させるための主走査機構、記録媒体を搬送するための副走査機構にモータが使用され、更に当該モータとリニアエンコーダを併用して記録ヘッド及び記録媒体の位置制御及び速度制御が行われている。また、装置の高速化及び高精度化が望まれ、機械的精度に加え、より高度な位置制御が必要となっている。しかし、走査機構の構成部品のばらつきは、駆動系の負荷量、つまり駆動系の静止状態の負荷量や動作状態の負荷量の変動率に影響するため、固定値の制御パラメータを用いて駆動源を制御していると、記録ヘッド及び記録媒体の位置制御及び速度制御に誤差が生じてしまう。このような問題点を解決するために従来よりいくつかの提案がなされている。
その一つとして、特許文献1では、予め測定を行い、その値をもとに制御パラメータ等の変更を行う、つまり駆動系の負荷量を測定して制御パラメータを変更し、製品の有する駆動系負荷への最適化を図る手法が提案されている。また、特許文献2では、機構を予備駆動させて機構を始動させるための指令値を求め、この指令値を初期値として利用する手法が提案されている。
特開2004−050735 特開2002−345278
しかしながら、特許文献1,2によれば、高精度な位置送り制御を実現するために停止位置付近での位置の微調節を如何に高速に安定して行うかという重要課題を有している。ところが、モータ駆動ドライバの特性のばらつきによって、制御コントローラから指示される回転開始指令値に対して実際に回転検出位置で検出される回転開始状態にずれが生じ、特にバイポーラトランジスタを使用したモータ駆動ドライバでは、バイポーラトランジスタのオフ時間にばらつきが存在するために、モータ駆動指令値に対しての回転開始状態が大きくばらつき、実際にコントローラからモータを駆動して回転が開始されるまでには特性によって大きくばらつくことになる。ばらつきがあるモータドライバを使用し、位置決めを行った場合にはコントローラから一定の指令値を出力した場合に回転検出位置で非駆動部分が回転を開始する場合、回転を開始しない場合などが存在することとなり、位置の移動時間にばらつきが生じ、指令値に対して回転開始が遅いドライバの場合は、移動に時間を要してしまう。
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、予め駆動指令値と被駆動位置の回転検出位置での駆動開始の駆動指令値を測定し、その値に応じて駆動指令値に補正を行うことで、駆動手段のドライブ回路のばらつきが生じた場合でも高速でかつ高精度な駆動制御動作を実現可能とする、駆動機構制御装置、インクジェット記録装置、画像形成装置、モータの制御方法及び該方法を実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
前記問題点を解決するために、本発明の駆動機構制御装置は、被駆動体の駆動を担う駆動手段と、予備駆動動作時における駆動手段の駆動開始位置付近の駆動指令値と被駆動体の駆動状態を予め検出する検出手段と、この検出手段による検出結果に基づいて駆動手段の駆動指令値を補正する駆動指令値補正手段とを有することに特徴がある。よって、経時変化による特性変化に対応した最適な制御を実現でき、駆動手段のドライブ回路のばらつきが生じた場合でも高速でかつ高精度な駆動制御動作を実現可能となる。ここで、予備駆動動作は、駆動開始位置の駆動指令値の回転状態を検出する際、駆動開始の駆動指令値を同一位置ではなく、計測後に一定間隔駆動した後に測定し、被駆動体の駆動周期の一周に渡って複数の位置で検出を行う動作である。このように予備駆動動作において検出を行うことにより、駆動手段のドライバ等のばらつきがある場合でも停止時間、精度の劣化が少なくなる。
また、駆動指令値補正手段は、検出した駆動指令値と被駆動体の駆動状態から駆動指令値に対して起動初期値として与え、駆動指令値を補正する。よって、駆動手段のドライバ等のばらつきがある場合でも停止時間、精度の劣化が少なくなる。
更に、駆動手段の設置環境温度を測定する温度センサを設け、駆動指令値補正手段による駆動指令値の補正は温度センサの検出値が一定値以上変化した場合に行うことにより、温度変化による回路特性変化に応じて駆動指令値の補正を行うことが可能となり、余分な補正による誤動作の確率も減らすことが可能となり、高精度な駆動制御を実現可能となる。
また、時間計測を行う計時装置を設け、駆動指令値補正手段による駆動指令値の補正を一定時間経過後に行うことにより、駆動機構の経時変化に対応して補正を実施することが可能となり高精度な駆動制御を実現可能となる。
更に、駆動指令値補正手段による駆動指令値の補正は駆動手段の駆動以外のタイミングで行うことにより、駆動手段の駆動中に補正を行わないことにより、駆動性能に影響を与えることなく補正が可能となり高精度な駆動制御を実現可能となる。
また、別の発明としてのインクジェット記録装置は、記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、この記録媒体搬送手段の駆動を行う駆動手段と、予備駆動動作時駆動手段の駆動開始位置付近の駆動指令値と被駆動体の回転状態を予め検出する検出手段と、この検出手段による検出結果に基づいて駆動手段の駆動指令値を補正する駆動指令値補正手段とを有する。よって、インクジェット記録装置の記録媒体搬送手段において、予備駆動動作によって駆動指令値に対する被駆動体の回転状態を把握することが可能で、その値を元に補正を行うことが可能であり、駆動手段ごと、駆動手段の経時変化による特性変化に対応した最適な制御を実現することが可能となる。
更に、別の発明としてのインクジェット記録装置は、キャリッジを移動するキャリッジ移動手段と、このキャリッジ移動手段の駆動を行う駆動手段と、予備駆動動作時駆動手段の駆動開始位置付近の駆動指令値と被駆動体の回転状態を予め検出する検出手段と、この検出手段による検出結果に基づいて駆動手段の駆動指令値を補正する駆動指令値補正手段とを有する。よって、インクジェット記録装置のキャリッジ移動手段において、予備駆動動作によって駆動指令値に対する被駆動体の回転状態を把握することが可能で、その値を元に補正を行うことが可能であり、駆動手段ごと、駆動手段の経時変化による特性変化に対応した最適な制御を実現することが可能となる。
また、別の発明としての画像形成装置は、上記インクジェット記録装置のインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して記録媒体に画像を形成することに特徴がある。よって、画像形成装置の駆動手段において、予備駆動動作によって駆動指令値に対する被駆動体の回転状態を把握することが可能で、その値を元に補正を行うことが可能であり、駆動手段ごと、駆動手段の経時変化による特性変化に対応した最適な制御を実現することが可能となる。
更に、別の発明としてのモータの制御方法によれば、モータの予備駆動動作時モータ駆動開始位置付近のモータ駆動指令値とモータの駆動状態を予め検出し、検出結果に基づいてモータ駆動指令値を補正する。よって、経時変化による特性変化に対応した最適な制御を実現でき、モータのドライブ回路のばらつきが生じた場合でも高速でかつ高精度なモータの駆動制御動作を実現可能となる。
また、別の発明として、コンピュータに、モータを駆動源として使用して機構を駆動する機器におけるモータの制御方法を実行させるためのプログラムであって、モータの予備駆動動作時、モータ駆動開始位置付近のモータ駆動指令値とモータの駆動状態を予め検出する手順と、検出結果に基づいてモータ駆動指令値を補正する手順とを実行させるプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に特徴がある。よって、本発明の駆動機構制御方法を実行させるプログラムが記録した記録媒体を用いることにより、既存のシステムを変えることなく、制御システムを汎用的に構築することができる。
本発明は、予備駆動動作によって駆動手段の駆動指令値に対する被駆動体の回転状態を把握することが可能で、その値を元に補正を行うことが可能であり、駆動手段ごと、駆動手段の経時変化による特性変化に対応した最適な制御を実現することが可能となり、駆動手段のドライブ回路のばらつきが生じた場合でも高速でかつ高精度な駆動制御動作を実現可能となる。
図1は本発明の一実施の形態例に係る駆動機構制御装置を適用する駆動機構の構成例を示す概略図である。同図に示す駆動機構は印字装置の記録媒体搬送機構を例とする。同図において、駆動モータ軸(図示せず)に取り付けられ回転駆動されるモータ駆動プーリ11が回転することによって、タイミングベルト12を介して、記録媒体搬送軸(図示せず)に取り付けられた被駆動軸プーリ13が回転駆動され、被駆動プーリ13上に設置されたコードホイール14も同時に回転する。コードホイール14上のエンコーダスリット(図示せず)を光学センサ15によって検出することで記録媒体搬送駆動軸の回転量、すなわち記録媒体搬送の移動量を得ることができる。コードホイール14と光学センサ15からなるエンコーダによって得られた位置情報を元に制御量の演算を行う駆動機構制御装置は、目標とする位置まで記録媒体搬送軸上の記録媒体の移動を行う場合に、モータドライバに対して制御指令値を与えてモータを回転駆動することで、目標位置への記録媒体搬送を実現する。このような駆動機構の一例である記録媒体搬送機構において、目標位置までの記録媒体搬送を実現するには、目標位置付近までは高速に移動し、目標位置付近で位置の微調を行い、目標位置への移動を実現する方法が一般的である。この際に、目標位置到達付近の微調時に如何に時間をかけずに精度良く目標位置の到達できるかが問題となる。
通常、モータを駆動するモータドライバ回路にバイポーラトランジスタを用いるような場合は、バイポーラトランジスタの特性上規格値内の特性であってもスイッチング速度、特にオフ時間にばらつきが生じる。このばらつきについて図2を用いて以下に説明する。なお、以下に示すPWM値とはデューティー比のパルス幅の設定値であり、例えば8192階調の場合は4096がデューティー50%の出力となるPWM幅の設定値である。図2に示すバイポーラトランジスタを用いたモータドライバ回路のドライバ特性おいて、入力信号が入力PWM値のように与えられた場合、理想的には出力理想PWM値のような状態になることが好ましい。しかし、実際は出力PWM値のようにオフ時間の遅れが容易に発生してしまう。これはモータの駆動指令値がデューティー20%としたときに、ドライバのばらつきによって出力デューティーは20%から25%程度まで変動してしまうからである。よって、停止位置付近では停止状態もしくはそれに近い状態で正転逆転方向へ位置を制御しながら目標位置への紙搬送を実現することになるが、図2に示すようにモータ駆動ドライバの特性にばらつきがあるため、更に静止摩擦のばらつき、駆動軸の負荷ばらつき等の影響によって、モータの回転指令値に対して被駆動軸の回転開始指令値の値がドライバ毎に一定の値とはならない。例えば、図3は横軸にモータの駆動指令値であるPWM値、縦軸にエンコーダ出力パルスのカウント値を示し、図中のデータは複数回計測を行った結果を重ねて表示したものである。同図からわかるように、モータドライバ回路の違いによって、エンコーダパル数が検出されて被駆動軸が回転を始めるPWM値が異なるような状態となる。図3の(a)においてはカウント値が1を示す、つまり被駆動軸が回転を始めるPWM値の値は10から15程度であるのに対して、図3の(b)においては30から40程度の値となっている。このように同じ型番のバイポーラトランジスタを使用し、同一の機構上で測定を行っているにもかかわらず、被駆動軸が回転を開始するPWM値はおよそ2倍もの違いが存在している。モータドライバ回路のばらつきがある場合にこのモータドライバ回路を使用して位置移動制御を行うと、被駆動軸が回転を始めるPWM値が大きい値のモータドライバ回路、例えば図3の(b)の特性のようなモータドライバ回路の場合、モータの回転方向を切り替え目標位置に到達しようとした場合に逆方向に回転を開始するまでに時間がかかることとなり、目標位置への到達時間が長くなってしまう。
また、図3と同一の機構に対してドライバ特性を変更して位置移動動作を行った場合の結果を図4に示す。図4の(a),(b)は入力指令値に対して回転開始のPWM値の値が大きい場合の目標位置付近における停止動作の状態を示す特性図である。同図からわかるように、PWM値が正の値の場合に目標位置との偏差は正方向へ移動し、PWM値が負の値の場合は逆転方向へ移動する。図中、時間0.16秒付近までは高速に移動を行っている状態から減速しているために一旦PWM値がマイナス側に振れ、その後、目標位置に到達していないために再度正転方向へ移動するためにPWM値がプラス側に出力されている。しかし、ここで回転を開始するPWM値が高いためにPWM値がプラス側に出力された後も正方向へ回転を開始するのが遅れ、目標位置への到達が遅くなっている。これに対して、回転開始PWM値が低い値の場合には、PWM値の変化にエンコーダ出力の追従が早くなるために目標位置への到達が早くなっていることがわかる。
そこで、本発明においては、図3に示すような駆動指令値に対する被駆動部分の回転開始指令値を予め検出動作によって検出し、その値を元に駆動指令値であるPWM値を補正する。
図5は本発明の一実施の形態例に係る駆動機構制御装置の構成を示すブロック図である。同図に示す本実施の形態例の駆動機構制御装置100は、CPU101と、CPU101が実行する制御プログラムやその他のデータを記憶するROM102と、制御プログラムなどを実行する作業メモリであるRAM103と、モータなどの駆動手段104の駆動を制御するドライバ105と、駆動手段104によって駆動する駆動機構の駆動状態を監視する駆動状態監視手段106と、図1の光学センサ15からのセンサ出力パルス数をカウントするカウンタ107と、駆動手段104の設置環境温度を測定する温度センサ108からの温度検出信号に基づいて設置環境温度を検出する温度検出手段109と、時間を計時するタイマ110と、各検出結果に基づいて駆動手段104の駆動指令値を補正する駆動指令値補正手段111とを含んで構成され、それぞれ内部バス112を介して接続されている。
このような構成を有する本実施の形態例の駆動機構制御装置100によれば、駆動手段104の回転情報は図1に示すように駆動軸上に取り付けたエンコーダホイール上に施されたスリットを光学センサ15で検知し、センサ出力パルス数をカウンタ107でカウントすることで駆動軸の回転量を測定する。この回転量をもとに駆動指令値補正手段111により、駆動手段104に付与する駆動量を計算し、ドライバ105へ駆動指令値の設定を行うことで駆動手段104が回転駆動され、所望の移動量だけ駆動軸を回転させることで目標位置までの移動制御を可能とする。そして、駆動状態監視手段106による駆動機構の駆動状態、例えば印字動作に合わせて、上述する駆動機構制御装置100による駆動制御を実行することで、駆動動作、例えば印字動作が可能となる。また、後述する温度変化処理動作によって、このような動作中に温度センサ108による温度の変化を動作ごとに監視して温度に基づいて駆動開始時のPWM値の変更を実施できる。更に、このような駆動機構制御動作をタイマ110による後述する経時処理動作によって適切な時に実行することも可能となる。
次に、本実施の形態例の駆動機構制御装置における予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作について図6の当該動作フローに従って説明する。同図において、電源投入後等の印字動作以外のタイミングで、一回の測定では測定誤差や測定場所の影響が考えられるために駆動開始のPWM値を求めるためにN(Nは正の整数)回の測定を実施する。またカウント値が1になった時点のPWM値の記憶を複数回行い、その平均値を駆動開始PWM値とするが、カウント値が1になった時点でカウントをクリアして測定を繰り返した場合はほとんど同じ場所で測定することになるので、カウンタ値がある一定値Nだけ進んだ状態で次の測定を開始することとする。また、定数Cは計測動作時のPWM値の増加量であり、計測時間に十分余裕がある場合は1で良いが、計測時間が長くなるためにPWM値分解能が8192の場合は4程度とする。この値はPWM値の分解能や駆動対象の摩擦等によって変更するものとする。
先ず、図6において、初期状態として、PWM値、測定回数、カウンタ値を0にクリアする(ステップS101)。次に、測定回数を所望の測定回数Nと比較し(ステップS102)、所望の測定回数Nに達している場合は、記憶したPWM値の平均を計算して処理を終了する(ステップS102;YES、ステップS103)。所望の測定回数Nに達していない場合は(ステップS102;NO)、前回のPWM値に定数Cを加算し、その値をPWM値としてドライバに設定する(ステップS104)。PWM値のこの時点でモータドライバはPWM値に相当するトルクを発生する。そして、カウンタ値を読み込む(ステップS105)。読み込んだカウンタ値が1であるかを確認し(ステップS106)、1である場合はそのときのPWM値を記憶する(ステップS106;YES、ステップS107)。1でない場合は次に移動距離であるカウント数nと比較を行い(ステップS108)、カウンタ値がnに達していない場合は(ステップS108;NO)、PWM値に一定値Cを加算して(ステップS109)、測定回数比較のステップ102へ戻る。カウント数がnに達していた場合は(ステップS108;YES)、カウンタ値、PWM値を0にクリアし(ステップS110,S111)、測定回数に1を加え(ステップS112)、測定回数比較のステップS102へ戻る。
このとき、フロー中の一回の計測ごとに進めるカウンタの値nと測定回数の値Nの関係をコードホイール一周のパルス数をPnとしたときに、
Pn=(N×n)/I I:正の整数
の式が成り立つNとnの値とすることで、被駆動軸一回転に渡り計測した値の平均値を使用できることとなり、被駆動軸の負荷変動による回転開始駆動値の変動に対しても平均値を使用することが可能となり、ばらつきの少ない駆動開始PWM値を得ることができる。計測に要する時間が無い場合は、Iの値を0<1としても良いが、N及びnの値をあまり小さくすると同じ負荷等の条件のみでの計測となるため、ある程度以上大きな値とすることが必要である。このような動作フローによる予備駆動動作によって駆動開始のPWM値を求めることができる。
次に、予備駆動動作で求めた駆動開始PWM値を使用して、位置移動動作時にドライバに与えるPWM値の補正について説明する。なお、下式において、予備駆動動作で求めた回転開始PWM値をPdとし、位置移動動作時に制御演算処理によって求められたPWM値をPcとしたときにドライバに与えるPWM値のPを以下の式で求める。また、Plimはドライバに与える補正値の最大値である。このPlimの値は予め移動動作を行うなどして、移動、停止時に振動を起さない値を予め計測し、決定するものとする。また、このような補正は電源投入後の印字前等に行うこととする。
Pd>Plim のとき
P=Pc+(Pd−Plim) とし、
Pd≦Plim のとき
P=Pc とする。
このようにエンコーダ検出値から求めた制御量であるPWM値に対して計算で求めた値をオフセットとして補正を実施することでドライバ特性等にばらつきがあった場合でも停止位置への高速な移動が実現可能となる。また、補正を実施するタイミングとしては、トランジスタのオンオフ特性は温度によって変化するため、機器内に図5の温度センサ108を設置し、温度がある一定以上変化した場合にトランジスタ特性が変化し、停止位置精度に影響を与えることが考えられるため、温度が一定値以上変化した場合に補正を行う。
次に、本実施の形態例の駆動機構制御装置における温度変化に伴って駆動開始時のPWM値の補正を実施する温度変化処理動作について当該動作フローの図7に従って説明する。
図7において、先ず、前回制御動作実施時の計測温度PreTempを記憶する(ステップS201)。今回計測した計測温度Tempを記憶する(ステップS202)。そして、今回計測した計測温度Tempと前回計測した計測温度PreTempの差分dTempを求めて記憶する(ステップS203)。この差分dTempの絶対値|dTemp|を取り記憶する(ステップS204)。次に、予め設定した閾値Stempと絶対値|dTemp|を比較し(ステップS205)、絶対値|dTemp|が大きい場合は(ステップS205;YES)、図6に示す予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作へ移行して検出結果をもとに上述したPWM値の補正を行う(ステップS206,S207)。絶対値|dTemp|が小さい場合は処理を終了して図6に示す予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作は行わない(ステップS205;NO)。なお、閾値Stempの値はモータドライバ特性の温度に対する変化量を予め実験等によって求めた値である。以上の処理を制御周期もしくは、一定間隔ごとに実行する。このような処理によって所定の許容範囲を超えた温度変化があった場合にPWM値の補正処理が実行され、常に精度の高い印字動作が可能となる。
また、機構自体の特性変化によっても回転開始モータ駆動指令値が変化することが予想され、カウンタ等を有して時間経過を観測し、ある一定時間が経過した場合に補正を実施する。
次に、本実施の形態例の駆動機構制御装置における経時に伴って駆動開始時のPWM値の補正を実施する経時処理動作について当該動作フローの図8に従って説明する。通常印字動作に加え、図5のタイマ110において時間計測を行う。この時間計測結果を用いて図8に示す動作フローに沿って処理を実施する。図5のタイマ110の値はあるクロックに応じてフリーランでカウントアップし、リセット信号によってリセットされるものとする。
図8において、先ず、図5のタイマ110のカウント値Countと予め設定した設定値SCountを比較し(ステップS301)、カウンタ値Countが設定値SCountより大きい場合は(ステップS301;YES)、図6に示す予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作へ移行して検出結果をもとに上述したPWM値の補正を行う(ステップS302,S303)。そして、Countの値をリセットしてステップS301に戻る(ステップS304)。カウンタ値Countが設定値SCountより小さい場合は処理を終了して図6に示す予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作は行わない(ステップS301;NO)。このように一定時間ごとに繰り返し、Countの値が設定値SCountより大きくなった場合はPWM値の補正を行う。よって、このような処理を制御周期もしくは一定間隔ごとに実行する。なお、設定値SCountの値は絶対時間としては24時間程度の時間間隔とする。この処理によって一定時間ごとに補正処理が実行され、常に精度の高い印字動作が可能となる。
次に、所定の許容範囲を超えた温度変化もしくは所定時間の経過のどちらかの条件を満たした場合に予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作及びPWM値補正処理を実行する場合の動作について当該動作フローの図9に従って説明する。
図9において、先ず、前回制御動作実施時の計測温度PreTempを記憶する(ステップS401)。今回計測した計測温度Tempを記憶する(ステップS402)。そして、今回計測した計測温度Tempと前回計測した計測温度PreTempの差分dTempを求めて記憶する(ステップS403)。この差分dTempの絶対値|dTemp|を取り記憶する(ステップS404)。次に、予め設定した閾値Stempと絶対値|dTemp|を比較し(ステップS405)、絶対値|dTemp|が大きい場合は(ステップS405;YES)、図6に示す予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作へ移行して検出結果をもとに上述したPWM値の補正を行う(ステップS406,S407)。一方、絶対値|dTemp|が小さい場合(ステップS405;NO)、図5のタイマ110のカウント値Countと予め設定した設定値SCountを比較し(ステップS408)、カウンタ値Countが設定値SCountより大きい場合は(ステップS408;YES)、図6に示す予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作へ移行して検出結果をもとに上述したPWM値の補正を行う(ステップS406,S407)。そして、Countの値をリセットしてステップS301に戻る(ステップS409)。カウンタ値Countが設定値SCountより小さい場合は処理を終了して図6に示す予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作は行わない(ステップS408;NO)。以上の処理を制御周期もしくは一定間隔ごとに実行する。この処理によって所定の許容範囲を超えた温度変化があった場合もしくは一定時間ごとに補正処理が実行され、常に精度の高い印字動作が可能となる。
次に、予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作及びPWM値補正処理を実行するタイミングを、所定の許容範囲を超えた温度変化もしくは所定時間の経過のどちらかの条件を満たした場合に、更に駆動機構の駆動状態、例えば画像記録装置の印字状態に応じて変更する場合の動作について当該動作フローの図10に従って説明する。
図10において、先ず、前回制御動作実施時の計測温度PreTempを記憶する(ステップS501)。今回計測した計測温度Tempを記憶する(ステップS502)。そして、今回計測した計測温度Tempと前回計測した計測温度PreTempの差分dTempを求めて記憶する(ステップS503)。この差分dTempの絶対値|dTemp|を取り記憶する(ステップS504)。次に、予め設定した閾値Stempと絶対値|dTemp|を比較し(ステップS505)、絶対値|dTemp|が大きい場合は(ステップS505;YES)、現在印字中か否かを確認する(ステップS506)。一方、絶対値|dTemp|が小さい場合(ステップS505;NO)、図5のタイマ110のカウント値Countと予め設定した設定値SCountを比較し(ステップS507)、カウンタ値Countが設定値SCountより大きい場合は(ステップS507;YES)、現在印字中か否かを確認する(ステップS506)。印字中の場合は印字中で無い場合になるまでステップS506を繰り返し行う(ステップS506;YES)。印字中で無い場合は(ステップS506;NO)、印字キューにデータがあるか否かを確認する(ステップS508)。印字キューにデータがある場合(ステップS508;NO)つまり印刷待ちのデータがある状態はステップS506に戻り、印字キューが空である場合は(ステップS508;YES)、図6に示す予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作へ移行して検出結果をもとに上述したPWM値の補正を行う(ステップS509,S510)。そして、Countの値をリセットして処理を終了する(ステップS511)。ステップS507でカウンタ値Countが設定値SCountより小さい場合は(ステップS507;NO)、処理を終了して図6に示す予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作は行わない。以上の動作フローによって印字中に補正処理に影響を与えることなく、補正処理が可能となり、精度の高い印字動作が可能となる。
次に、図11は本発明の駆動機構制御方法を実行させるプログラムを起動するための具体的な装置の構成を示すブロック図である。つまり、同図は上記実施の形態例における駆動機構制御方法によるソフトウェアを実行させるマイクロプロセッサ等から構築されるハードウェアを示すものである。同図において、駆動機構制御システムはインターフェース(以下I/Fと略す)201、CPU202、ROM203、RAM204、表示装置205、ハードディスク206、キーボード207及びCD−ROMドライブ208を含んで構成されている。また、汎用の処理装置を用意し、CD−ROMなどの読取可能な記録媒体209には、本発明の駆動機構制御方法を実行させるプログラムが記憶されている。更に、I/F201を介して外部装置から制御信号が入力され、キーボード207によって操作者による指令又は自動的に本発明のプログラムが起動される。そして、CPU202は当該プログラムに従って上述の駆動機構制御方法に伴う制御処理を施し、その処理結果をRAM204やハードディスク206等の記憶装置に格納し、必要により表示装置205などに出力する。以上のように、本発明の駆動機構制御方法を実行させるプログラムが記録した記録媒体を用いることにより、既存のシステムを変えることなく、制御システムを汎用的に構築することができる。
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
本発明の一実施の形態例に係る駆動機構制御装置を適用する駆動機構の構成例を示す概略図である。 モータドライバ回路における出力PWM値のばらつきの様子を示す波形図である。 同一バイポーラトランジスタのドライバ回路における2つの駆動機構におけるPWM値とエンコーダ出力パルスのカウント値との関係を示す特性図である。 同一バイポーラトランジスタのドライバ回路における2つの駆動機構におけるPWM値と目標位置移動の様子を示す特性図である。 本発明の一実施の形態例に係る駆動機構制御装置の構成を示すブロック図である。 本実施の形態例の駆動機構制御装置における予備駆動動作による駆動開始PWM値検出動作を示すフローチャートである。 本実施の形態例の駆動機構制御装置における温度変化に伴って駆動開始時のPWM値の補正を実施する温度変化処理動作を示すフローチャートである。 本実施の形態例の駆動機構制御装置における経時に伴って駆動開始時のPWM値の補正を実施する経時処理動作を示すフローチャートである。 本実施の形態例の駆動機構制御装置における温度変化及び経時に伴って駆動開始時のPWM値の補正を実施する処理動作を示すフローチャートである。 本実施の形態例の駆動機構制御装置における温度変化及び経時並びに駆動機構の駆動状態に伴って駆動開始時のPWM値の補正を実施する処理動作を示すフローチャートである。 本発明の駆動機構制御方法を実行させるプログラムを起動するための具体的な装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
11;モータ駆動プーリ、12;タイミングベルト、
13;被駆動プーリ、14;コードホイール、15;光学センサ、
100;駆動機構制御装置、101;CPU、102;ROM、
103;RAM、104;駆動手段、105;ドライバ、
106;駆動状態監視手段、107;カウンタ、
108;温度センサ、109;温度検出手段、110;タイマ、
111;内部バス。

Claims (11)

  1. 被駆動体の駆動を担う駆動手段と、
    予備駆動動作時における前記駆動手段の駆動開始位置付近の駆動指令値と被駆動体の駆動状態を予め検出する検出手段と、
    該検出手段による検出結果に基づいて駆動手段の駆動指令値を補正する駆動指令値補正手段と
    を有することを特徴とする駆動機構制御装置。
  2. 前記予備駆動動作は、駆動開始位置の駆動指令値の回転状態を検出する際、駆動開始の駆動指令値を同一位置ではなく、計測後に一定間隔駆動した後に測定し、被駆動体の駆動周期の一周に渡って複数の位置で検出を行う動作である請求項1記載の駆動機構制御装置。
  3. 前記駆動指令値補正手段は、検出した駆動指令値と被駆動体の駆動状態から駆動指令値に対して起動初期値として与え、駆動指令値を補正する請求項1記載の駆動機構制御装置。
  4. 前記駆動手段の設置環境温度を測定する温度センサを設け、前記駆動指令値補正手段による駆動指令値の補正は、前記温度センサの検出値が一定値以上変化した場合に行う請求項1〜3のいずれかに記載の駆動機構制御装置。
  5. 時間計測を行う計時装置を設け、前記駆動指令値補正手段による駆動指令値の補正は、一定時間経過後に行う請求項1〜4のいずれかに記載の駆動機構制御装置。
  6. 前記駆動指令値補正手段による駆動指令値の補正は、前記駆動手段の駆動以外のタイミングで行う請求項1〜5のいずれかに記載の駆動機構制御装置。
  7. 記録媒体を副走査方向に搬送させて主走査方向に移動するキャリッジに搭載したインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して記録媒体に印字を行うインクジェット記録装置において、
    記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、
    該記録媒体搬送手段の駆動を行う駆動手段と、
    予備駆動動作時、前記駆動手段の駆動開始位置付近の駆動指令値と被駆動体の回転状態を予め検出する検出手段と、
    該検出手段による検出結果に基づいて駆動手段の駆動指令値を補正する駆動指令値補正手段と
    を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 記録媒体を副走査方向に搬送させて主走査方向に移動するキャリッジに搭載したインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して記録媒体に印字を行うインクジェット記録装置において、
    キャリッジを移動するキャリッジ移動手段と、
    該キャリッジ移動手段の駆動を行う駆動手段と、
    予備駆動動作時、前記駆動手段の駆動開始位置付近の駆動指令値と被駆動体の回転状態を予め検出する検出手段と、
    該検出手段による検出結果に基づいて駆動手段の駆動指令値を補正する駆動指令値補正手段と
    を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  9. 請求項7又は8に記載のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドのノズルからインクを吐出して記録媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
  10. モータを駆動源として使用して機構を駆動する機器におけるモータの制御方法であって、
    前記モータの予備駆動動作時、モータ駆動開始位置付近のモータ駆動指令値と前記モータの駆動状態を予め検出し、検出結果に基づいてモータ駆動指令値を補正することを特徴とするモータの制御方法。
  11. コンピュータに、モータを駆動源として使用して機構を駆動する機器におけるモータの制御方法を実行させるためのプログラムであって、
    前記モータの予備駆動動作時、モータ駆動開始位置付近のモータ駆動指令値と前記モータの駆動状態を予め検出する手順と、検出結果に基づいてモータ駆動指令値を補正する手順とを実行させるプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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