JP2004250133A - シート搬送装置、画像形成装置および位置決め方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】必要な位置決め分解能と等しい分解能のエンコーダによるデジタル位置信号にて、目標停止位置に対して精度よく停止することができ、構造が簡単で廉価なシート搬送装置を提供する。
【解決手段】印刷シートを駆動するモータの回転を検出して、エンコーダパルスY−FBが生成される。このパルスに応じて、モータへの駆動信号PWMを変化させる。目標位置に到達したタイミングX4において、保持時間T2(ck)にわたって駆動信号PWMを保持した後にタイミングX5にて駆動信号を停止する。また、タイミングX6までの期間、位置決め精度を確認する。また、保持時間を目標位置への試行回数に応じて変化させる。目標位置の手前では、駆動信号を徐々に増加させて確実なシート搬送を可能とする。
【選択図】 図1
【解決手段】印刷シートを駆動するモータの回転を検出して、エンコーダパルスY−FBが生成される。このパルスに応じて、モータへの駆動信号PWMを変化させる。目標位置に到達したタイミングX4において、保持時間T2(ck)にわたって駆動信号PWMを保持した後にタイミングX5にて駆動信号を停止する。また、タイミングX6までの期間、位置決め精度を確認する。また、保持時間を目標位置への試行回数に応じて変化させる。目標位置の手前では、駆動信号を徐々に増加させて確実なシート搬送を可能とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被搬送物(シート)の搬送に応じて検出器から出力されるデジタル位置信号に基づいて被搬送物への駆動力を制御する、シート搬送装置、画像形成装置および位置決め方法に関するものであり、例えば、直流電動機の回転量に応じて検出器より出力されるデジタル位置信号に基づいて直流電動機の動作を制御するシート搬送装置、画像形成装置および位置決め方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタ等のシリアルプリンタにおいては、1ラインの印字が終わる度に印刷シートを1ライン分送るラインフィードモータが用いられる。このラインフィードモータとして、従来ではパルスモータが使用されていた。近年では、例えばコストダウンのために直流電動機(DCモータ)が使用される場合もある。
【0003】
DCモータは、パルスモータに比べて廉価ではあるものの、その回転量、およびこれに伴うシートの送り位置を正確に制御することは容易ではない。そこで、DCモータを用いてシート搬送位置を制御するために、様々な方法が提案されている。
【0004】
例えば、DCモータの回転量を検知できる光センサを設置して回転量を制御する方法がある。より詳細には、DCモータが一定量回転する毎に光センサから発信されるエンコーダパルス(デジタル位置信号)をカウントすることによって、回転量を把握し、シート搬送位置を制御する。
【0005】
このようなエンコーダパルスによる位置決め制御においては、位置決め分解能と同じ分解能のエンコーダを用いると、デジタル位置制御に特有の課題である数パルス分の位置決め誤差が生じてしまう。そこで、停止位置の精度を良くするために、必要な位置決め分解能よりも数倍細かい分解能のエンコーダが使用されている。
【0006】
一方、例えばアナログ出力を用いて、必要な位置決め分解能と同じ分解能のエンコーダにて位置決め制御を行う方法もある。例えば、アナログ出力可能なエンコーダを用いて、エンコーダパルスに波形整形する前のエンコーダからのアナログ出力を用いて位置決め制御する。または、例えば、位置をカウントするためのエンコーダとは別にアナログ位置信号を得るためのポテンショメータ等を用意して、このアナログ位置信号を位置決め制御のフィードバック信号に使用する。
【0007】
例えば、特公平7−44864号公報(公告日:1995年5月15日)においては、エンコーダパルスに波形整形する前のエンコーダのアナログ出力を位置決めに使用するPLL(Phase−looked loop )速度制御回路が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特公平7−44864号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の構成によると、位置決め制御に用いられる部材、制御回路などが高価なものとなってしまうという問題を生ずる。
【0010】
例えば、エンコーダのデジタルパルスを用いた位置決め制御では、必要な位置決め分解能が2400dpi(dot per inch)のときに、12000dpiの分解能を持つエンコーダが必要となることがある。このため、エンコーダが高価なものとなってしまう。また、上記特公平7−44864号公報に記載の構成によれば、制御回路が複雑であるため非常に高価なものとなってしまう。
【0011】
特にシリアルプリンタにおいては、他のレーザプリンタなどと比較して廉価であることがメリットである。このため、高価な部材、制御回路などを用いることはメリットを損なうことになり適切でない虞れがある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高価な部材を用いずに、精度よくシート搬送制御が可能となるシート搬送装置、画像形成装置および位置決め方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシート搬送装置は、上記課題を解決するために、シートを搬送する直流電動機と、上記直流電動機の回転に応じてデジタル位置信号を出力する検出器と、上記検出器から出力されるデジタル位置信号に基づいて上記直流電動機の駆動力を制御する制御部とを備えるシート搬送装置において、上記制御部が、上記シートを搬送する目標位置の上記デジタル位置信号の出力に応じて、上記駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に上記駆動力を停止することを特徴としている。
【0014】
このシート搬送装置は、例えば、画像形成装置に備えられる印刷シートの搬送装置である。
【0015】
シート搬送装置においては、制御部が直流電動機(DCモータ)の駆動力を制御して、シートを目標位置まで搬送する。シートの位置は、直流電動機の回転に応じて検出器から出力されるデジタル位置信号によって把握する。検出器は、例えば直流電動機が所定量回転すると、それに応じてデジタル位置信号を出力する。
【0016】
ここで、シート搬送装置は、シートの目標位置に対応するデジタル位置信号が出力されたときには、直流電動機の駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に駆動力を停止する。これによって、搬送するシートにバックテンションが生じる場合であっても駆動力によって打ち消して、バックテンションによるシートの位置誤差を生じさせない。
【0017】
すなわち、例えば紙のようなシートにおいては、搬送の際にシートに張力(バックテンション)が生ずる。このため、特に、紙送りにおいては、張力を緩和させて位置を戻そうとする振る舞いが生ずる。
【0018】
そこで、所定の保持時間にわたって例えばモータ電流を保持することによって駆動力を保持して、バックテンションによるシートの逆走(戻り)を防止する。そして、このバックテンションが時間の経過に伴って緩和した後、例えばモータ電流をオフして駆動力を停止する。これによって、モータ電流付与による不用意な位置誤差を防止し、高精度の紙送りを実現する。
【0019】
この構成であれば、必要な位置決め分解能と等しい分解能のエンコーダを用いて検出器がデジタル位置信号を生成する場合であっても、精度よく目標位置にシートを位置決めできる。
【0020】
なお、シート搬送装置は、例えば駆動力を保持して駆動力を停止した後に、シートの位置が目標位置に位置決めされていない場合には、再度駆動力を与えてシートを搬送してもよい。例えば駆動力の保持時間が適切でない場合に、バックテンションによってシートが余分に移動すると、このように再度位置決めしてもよい。
【0021】
また、この保持時間は、例えばシートの物性に応じて適切に設定するものであってもよいし、または、目標位置に対応するデジタル位置信号の出力回数に応じてシート搬送装置が変化させる構成であってもよい。例えばシートによるバックテンションが非常に小さなものであれば、それに応じてこの保持時間を小さく設定すればよい。なお、保持時間としては、0を含まない有限の時間を設定する。
【0022】
また、エンコーダをさらに高分解能(例えば1200dpiを4分割した4800dpi)にしたときに余分に生ずる、バックテンションなど負荷状態による位置誤差、位置誤差に伴う振動、目標位置への進入方向の違いによる位置誤差などについても、解決できる。
【0023】
また、上述のシート搬送装置は、所望の目標位置の近傍(近傍位置)までと、この近傍位置から目標位置までとの搬送制御を、それぞれ異ならせる構成であってもよい。例えば、近傍位置まではシートを高速で搬送し、近傍位置から目標位置まではシートを低速で搬送する。このようにすれば、全体のシート搬送に要する時間を短縮できるとともに、シートを精度よく位置決めできる。
【0024】
また、このシート搬送装置は、近傍位置から目標位置までの搬送における駆動力を、例えばデジタル位置信号の検出に応じて駆動力を減少させ、その後駆動力を増加させ、さらに次のデジタル位置信号の検出に応じて駆動力を減少させるように制御してもよい。このようにすれば、シートに余分な力を与えることがなく、正確な位置決めが可能となる。
【0025】
また、上記シート搬送装置を、検出器より出力されるデジタル位置信号に基づいて第1の駆動力を付与した後、駆動力を増加させて、デジタル位置信号が変化したときを第2の駆動力とし、デジタル位置信号の変化を検知することにより、駆動力を減少せしめる、もしくは駆動を停止するシート搬送装置であって、目標位置に到達後にモータ駆動電流を保持する時間を付与する構成である、と表現することもできる。また、この保持する時間を、目標位置への再トライの回数に応じて決定する構成であってもよい。
【0026】
本発明に係るシート搬送装置は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記制御部は、上記目標位置の上記デジタル位置信号の出力の回数に応じて、上記保持時間を変化させることを特徴としている。
【0027】
シート搬送装置は、目標位置のデジタル位置信号の出力の回数に応じて、保持時間を変化させる。例えば前回の駆動力の保持時間が適切でなく、再度の位置決めが必要となった場合に、目標位置のデジタル位置信号が次に出力されると、保持時間を前回と異ならせる。これによって、適切な位置決めが可能となる。
【0028】
例えば、保持時間を、検出の回数に応じて増加させるようにしてもよい。例えば、初回の保持時間を20msec、その次の保持時間を40msecとしてもよい。また、例えばそれ以降の保持時間を80msecとしてもよい。このように、検出回数に応じて保持時間を増加させるように調節すれば、過多な保持時間を付与することによる誤動作(位置ズレ)を防止でき、速やかにシートの搬送を完了できる。
【0029】
なお、例えば上記構成を、複数の保持時間を有し、この保持時間を選択可能とした構成である、と表現することもできる。また、保持時間を再トライの回数に応じて選択可能とした構成である、と表現することもできる。
【0030】
本発明に係るシート搬送装置は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記制御部は、出力される上記デジタル位置信号に基づく上記シートの位置が上記目標位置を通過していたときには、上記シートを手前の位置まで戻すように駆動した後に、上記目標位置への搬送を行うことを特徴としている。
【0031】
上記シート搬送装置は、出力されるデジタル位置信号に基づくシートの位置が目標位置を通過していたときには、すなわち、オーバーランした状態のときには、一旦数ステップ手前まで戻した後、再度位置決め動作を行う。
【0032】
これにより、片方向送りによる位置決めを行って、両方向から位置決めするときの位置決め誤差の倍増及びバックラッシュなどによる誤差の拡大を防止できる。ここで、バックラッシュとは、シャフトとすべり軸とが食い込まないように数十μmのクリアランスを持たすのと同様に、ギヤのかみ合いでクリアランスを持たすようになっており、このクリアランス分だけギヤが戻ることを意味する。このように、例えばオーバーランした状態から、直接位置決めを行うと、駆動系が逆走されることとなり、位置誤差は倍増してしまう。すなわち、移動方向が入り乱れると、かえって誤差が倍増してしまう。さらに、駆動系ギヤのバックラッシュなどの影響を受け、位置決め精度は更に悪化する。
【0033】
なお、上記構成を、送り方向に位置誤差(オーバーラン)を生じたとき、目標位置より(複数ステップ)手前まで戻した後、再度目標位置への位置決め動作を行う構成である、と表現することもできる。
【0034】
本発明に係るシート搬送装置は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記制御部は、上記目標位置の上記デジタル位置信号の検出の後から所定の待機時間にわたって、出力される上記デジタル位置信号と上記目標位置の上記デジタル位置信号との差が予め定めた許容範囲内であるときに、上記シートの搬送を終了することを特徴としている。
【0035】
ここで、上述のように、シート搬送においてバックテンションが生じた場合には、このバックテンションは時間の経過に伴って緩和する。
【0036】
そこで、例えばこのバックテンションの緩和時間よりも長く待機時間を設定し、この待機時間にわたって位置決め精度を判別する。これによって、バックテンションにもかかわらず確実に位置決めができる。
【0037】
なお、例えば待機時間を設けずに、許容値のみで位置決め精度を判断しようとしても、一旦許容値内になった後に、さらに過渡的な振動で許容値から逸脱する虞れがある。この場合には、所定の位置決め精度が得られない。
【0038】
また、デジタル位置決め信号によるフィードバックのみで微細ステップ送りを用いた本方式においては、特に高分解の位置決め時に、目標位置を中心とした数ステップの微少振動を生じ易い。そこで、上述のように、所定時間にわたって位置誤差が許容値以下の状態か否かを確認してから位置決め動作を完了させれば、誤判断を防止できる。
【0039】
なお、上記構成を、目標位置に到達後、到達後位置誤差が許容値以下であり、且つ、所定時間が経過した時、位置決め動作を完了する構成である、と表現することもできる。
【0040】
本発明に係るシート搬送装置は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記待機時間を計測するための計測部を備え、上記計測部は、上記直流電動機の回転方向が一定であって上記デジタル位置信号が変化したときのみに、上記待機時間の計測を開始することを特徴としている。
【0041】
ここで、直流電動機の回転方向が一定であるとは、前回のデジタル位置信号の変化の際の回転方向と、今回のデジタル位置信号の変化の際の回転方向とが等しいことを意味する。
【0042】
上記シート搬送装置は、直流電動機の回転方向が一定であり、かつデジタル位置信号が変化したときのみ、計測部による待機時間の計測を開始する。例えば、直流電動機が一方向のみに回転しているとき、待機時間を計測する。これによって終了判定が可能となる。
【0043】
一方、例えば直流電動機の回転方向が一定でなく、正方向の回転と逆方向の回転とを交互に繰り返すような振動状態においては、デジタル位置信号が変化したとしても、計測部による待機時間の計測を開始せず、カウンタのリセットをしない。
【0044】
これにより、振動状態において待機時間(経過時間)を測定する際に、エンコーダ出力変化によって不用意にカウンタがリセットされてしまうことを防止できる。これによって、振動状態であってもシートの搬送を終了できる。
【0045】
なお、上記構成を、動作時間を監視する為の計測部(フリーランカウンタなど)のリセットもしくは計測開始を、デジタル位置(エンコーダ出力状態)が変化し、且つ、移動方向が同一である時に行う構成である、と表現することもできる。
【0046】
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、上述のいずれかのシート搬送装置と、上記シート搬送装置を用いて搬送した上記シートに画像を形成する画像形成部とを備えていることを特徴としている。
【0047】
上述のように本発明に係るシート搬送装置は、位置決めを正確に行うことができるので、正確に位置決めしたシートに印刷(画像形成)を行って、品質の高い印刷を実現できる。
【0048】
また、上記画像形成装置は、例えば、インクを印刷シートに吐出するインクジェットヘッド(画像形成部)を備えたインクジェットプリンタであってもよい。インクジェットプリンタにおいては、印刷シートを1ラインごとにラインフィードするので、上述のように正確に位置決めできれば特に好ましい。
【0049】
本発明に係る位置決め方法は、上記課題を解決するために、搬送装置による被搬送物の搬送に応じて検出器から出力されるデジタル位置信号に基づいて、上記搬送装置の駆動力を制御して上記被搬送物を位置決めする位置決め方法において、上記被搬送物を搬送する目標位置の上記デジタル位置信号の出力に応じて、上記駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に、上記駆動力を停止する工程を含んでいることを特徴としている。
【0050】
上記方法においては、被搬送物が目標位置に到達後、被搬送物への駆動力を所定の保持時間にわたって保持する。これによって、搬送装置の駆動系にバックテンションが生ずる場合であっても、バックテンションによる駆動系の逆走を防止できる。また、バックテンションが時間の経過に伴って緩和した後、駆動力を停止するので、例えば緩和した後に駆動力を付与して生ずる不用意な位置誤差を防止して、高精度の位置決めを実現できる。
【0051】
上記位置決め方法を、例えば画像形成装置における印刷シートの搬送に適用すれば、印刷シートを正確に位置決めして、精度の高い印刷を実現できる。なお、上記位置決め方法は、印刷シートの搬送に限定されるものでなく、たとえばインクジェットプリンタのキャリッジ駆動、あるいは複写機のスキャナ装置などのような各種装置に適用可能である。また、駆動源としてはDCモータに限定されるものでなく、ACモータ、リニアモータ、静電モータ、超音波モータ、エアーシリンダ等の各種駆動源に適用可能である。
【0052】
なお、上記構成を、検出器より出力されるデジタル位置信号に基づいて第1の駆動力を付与した後、順次駆動力を増加させ、デジタル位置信号が変化したときを第2の駆動力とし、デジタル位置信号の変化を検知することによって、駆動力を減少せしめ、もしくは駆動を停止する位置決め方法であって、目標位置に到達後に駆動力を保持する時間を(再トライの回数に応じて)付与する構成の位置決め方法である、と表現することもできる。
【0053】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図1ないし図13に基づいて説明すると以下の通りである。
【0054】
本実施形態に係るシート搬送装置(搬送装置)1は、図2に示すように、概略的に、モータ(直流電動機:Direct Current Motor,DCM)2、モータ駆動回路(制御部)3、ロータリーエンコーダ(検出器:Rotary Encoder,RE)4、およびMPU制御部(制御部、計測部)5を含んでいる。
【0055】
このシート搬送装置1は、図示しないインクジェットプリンタのような画像形成装置に備えられ、印刷ヘッドのような画像形成部へと印刷シート(シート、被搬送物)を搬送するために用いられる。
【0056】
モータ2は、印刷シートを画像形成部へと搬送する動力源である。モータ2は、モータ駆動回路3からの駆動信号によって印刷シートを1ライン分送るラインフィードモータとして機能する。
【0057】
モータ駆動回路3は、モータ2を駆動させるための駆動回路である。モータ駆動回路3は、MPU制御部5からの制御信号に基づいて、モータ2を駆動するための駆動信号を生成してモータ2へと出力する。
【0058】
RE4は、モータ2の回転を検知するセンサである。RE4は、モータ2が一定量回転するごとに、エンコーダパルス(デジタル位置信号)Y−FB(feedback)を生成して、MPU制御部5へと出力する。本実施形態のRE4は、モータ2が360°回転するごとに、所定のパルス幅の、位相を異ならせた二つのパルスをそれぞれ生成する。このように出力されたパルスの数を計数することによって、モータ2の回転量を測定できる。
【0059】
エンコーダパルスY−FB(パルスY)は、図3に示すように、パルスA(A相出力)とパルスB(B相出力)との二つのパルスを含んでいる。この二つのパルスは、図3に示すように、互いに位相がずれている。
【0060】
図3に示すように、パルスAのハイになる期間がパルスBのハイになる期間よりも位相が進んでいる(90°ずれている)ときには、モータ2が正回転しているものとする。一方、パルスAのハイになる期間がパルスBのハイになる期間よりも位相が遅れている(90°ずれている)ときには、モータ2が逆回転しているものとする。また、パルスYのうちの一方の、例えばパルスAの周期(360°)は、モータ2の一回転に要する動作時間に相当する。
【0061】
なお、図3の下段には、それぞれ逓倍なしのパルスの動作時間と、4逓倍した場合のパルスの動作時間とを示している。例えば、図3の上段に示すパルスA、パルスBが1200dpiのエンコーダによって生成されたものであるとすると、位置決め分解能を4逓倍した4800dpiのエンコーダによって生成されたパルスの動作時間は、図3の最下段に示すようになる。このように、エンコーダを高分解能にすると、従来生じなかった以下のような問題が生じうる。すなわち、バックテンションなど負荷状態による位置誤差、位置誤差に伴う振動、目標位置への進入方向の違いによる位置誤差などが、新たに大きな問題となる。シート搬送装置1は、これらの問題についても、後述するように解決している。
【0062】
MPU制御部5は、RE4からのパルスYに基づいて、モータ2を駆動させるための制御信号をモータ駆動回路3へ出力する。MPU制御部5は、パルスA、パルスBの位相に応じてモータ2の回転方向を判別する。また、MPU制御部5は、モータ2の回転方向に応じてカウント値を増減することによって、モータ2の回転量を把握する。これによって、印刷シートの搬送量、印刷シートの位置を把握する。
【0063】
また、MPU制御部5は、図3に示すような、パルスYのうちの一方のパルス(例えばパルスA)の周期によって、モータ2の一回転に要する動作時間を判別する。また、MPU制御部5は、時間を計測する計測部としても機能する。また、MPU制御部5は、動作時間からモータ2の回転速度を判別する。モータ2の回転速度は、動作時間に反比例する。
【0064】
ここで、MPU制御部5による、モータ2の制御の概略について、図4に基づいて説明する。
【0065】
MPU制御部5は、モータ駆動回路3への制御信号によって、印刷シートを1ライン分搬送(ラインフィード)する際に、モータ速度を図4に示すように制御する。より詳細には、MPU制御部5が所望の速度に応じた制御信号をモータ駆動回路3に送信し、モータ駆動回路3が制御信号に応じて所望の速度となるようにPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)によって駆動信号を生成してモータ2に出力する。この駆動信号は、モータ2の駆動力となる。
【0066】
ここで、図4の横軸は、パルスYのカウント値を示すものである。各YA、YB、YC、YD、YE、およびYFは、MPU制御部5へ入力されるパルスYのカウント値に対応する。カウント値YA(y=0)は、処理を始める際のカウント値である。カウント値YFは、1回分のシート搬送が実行され停止する際の目標となるカウント値である。このため、1回分のシート搬送が実行され停止するまでにMPU制御部5でカウントされるパルスYは、結局YF−YAとなる。このカウント値はモータ2の回転量に相当するので、印刷シートの搬送量に比例する。
【0067】
また、図4の縦軸に示すモータ速度は、モータ2の回転速度を意味する。なお、MPU制御部5は、上述のようにモータ2の動作時間からモータ2の回転速度を判別することができる。しかしながら、MPU制御部5によるモータ2の速度の制御は、図4の横軸に示すカウント値に基づいて行うものである。なお、MPU制御部5は、カウント値ごとに所望のモータ速度を与える変換テーブルを保持しており、カウント値に応じてこのテーブルを参照して制御信号を出力する構成であってもよい。
【0068】
MPU制御部5による、カウント値YAからカウント値YB、YC、YD、YEを介して目標のカウント値YFにいたるシート搬送制御は、概略的には、以下の3区間に区分できる。すなわち、加速区間、定速区間、停止区間である。加速区間は、停止しているシートを動かし始めて一定速度までに立ち上げるための区間であり、カウント値YA〜YB〜YCに対応する。定速区間は、一定速度でシートを送り続ける区間であり、カウント値YC〜YDに対応する。停止区間は、シートの送り速度を減少させ定められた地点に停止させるための区間であり、カウント値YD〜YE〜YFに対応する。
【0069】
加速区間は、カウント値YA〜YBの区間(第1の区間)と、カウント値YB〜YCの区間(第2の区間)とに区分される。第1の区間と第2の区間とは、カウント値当たりのモータ速度の増加量が異なっている。第1の区間においては、カウント値YA〜YBの間に、モータ速度を0からV1まで増加させる。第2の区間においては、カウント値YB〜YCの間に、モータ速度をV1からV2まで増加させる。定速区間である第3の区間に近い第2の区間は、第1の区間よりも、図4に示す傾き(カウント値当たりのモータ速度の増加量)が小さくなっている。これは、加速区間から定速区間に移行する際に、モータ速度がオーバーシュートするのを防止するためである。
【0070】
カウント値YC〜YD(第3の区間)の定速区間は、モータ速度をV2とする。
【0071】
また、停止区間は、カウント値YD〜YEの区間(第4の区間)とカウント値YE〜YFの区間(第5の区間)とに区分される。第4の区間は、カウント値当たりのモータ速度の減少量を一定として、モータ速度を大きく減少させる区間である。一方、第5の区間は、小刻みにモータ速度を制御しながら、印刷シートを目標の停止位置に停止させる区間である。第4の区間においては、カウント値YD〜YEの間に、モータ速度をV2から0まで減少させる。第5の区間においては、カウント値YE〜YFの間に、モータ速度を後述するように調節する。
【0072】
ここで、第4の区間から第5の区間に移行する際のカウント値YEは、第4の区間の終端位置に幾分の誤差が生じても、最終的な目標停止位置を越えることがないように、目標停止位置に対応するカウント値YFよりも数パルス小さく設定される。このように、目標位置YFの近傍であるYEまでは、上述の第1の区間ないし第4の区間のようにモータ速度を速めて、より短時間で処理する。また、YEからYFまでは、より精度の高い処理を行う。このようにすれば、より短時間で精度の高い位置決めが可能となる。
【0073】
ここで、上述の第5の区間における、モータ速度の制御の詳細について、以下で図1に基づいて説明する。
【0074】
図1の上段は、RE4からMPU制御部5に出力されるエンコーダパルスY−FBを示す。ここで、図1には、Y−FBとして、図3に示したパルスAもしくはパルスBに相当する単一のパルスを示している。すなわち、上述のように、モータ2の回転に応じて図3に示すパルスA,パルスBが出力されるので、図1に示すY−FBは、モータ2の回転に応じてハイとローとを交互に繰り返す。一方、例えばY−FBが、ハイとローとの一方のみの状態を継続している場合には、モータ2は回転していない、または回転量が微小であることを意味する。
【0075】
また図1の下段には、MPU制御部5からの制御信号に基づいて、モータ駆動回路3からモータ2へと出力される駆動信号PWMを示す。この駆動信号PWMは、モータ2の駆動力となる。
【0076】
ここで、図1に示す横軸を時間としたタイミングチャートでタイミングX1は、カウント値YEに対応するタイミングである。上述の第5の区間においては、まず、タイミングX1に応じて、モータ2に与える駆動信号PWMを小さな値P1に設定する。なお、この駆動信号P1は、値が0であってもよい。
【0077】
この駆動信号P1は、例えば、モータ2を回転するまでには達していない駆動力を与えるものであってもよい。そして、図1に示すように、タイミングX1から時間の経過に応じて、駆動信号PWMをP1から段階的に増加させる。駆動信号PWMの増加に応じて、モータ2に与える駆動力が段階的に増加するので、モータ2はある時点で回転を始める。
【0078】
これによって、例えばモータ2を、負荷トルクにようやく打ち勝つだけの最小の駆動力にて駆動させることができる。したがって、必要最低限のトルクで駆動して、スピードオーバーすることなく目標位置に近づくことができる。
【0079】
また、モータ2の回転に応じて、パルスY−FBが変化して、ハイからローとなる。さらにモータ2が回転してパルスY−FBがローからハイに変化する、タイミングX2において、そのタイミングでの駆動信号のPWM値P2をP2からP1として、モータ2に与える駆動力を減少させる。
【0080】
これによって、例えばモータ2に働く摺動負荷トルクが変動したり、モータ2の駆動トルクが変動したりしても、パルスY−FBの一周期分のシート搬送量をほぼ所定の範囲内に収めることができる。したがって、シート搬送のオーバーランを防止して、精密なシート搬送が可能となる。一方、例えばタイミングX2において駆動信号を減少させない場合には、その駆動信号によってシートが余分に搬送されて、シート搬送量が所定の範囲を超えてしまう虞れがある。この場合には精密なシート搬送を行うことはできなくなってしまう。
【0081】
また、上述したタイミングX1〜X2の処理を、タイミングX2〜X3、タイミングX3〜X4においてそれぞれ繰り返す。このように、カウント値YEから目標のカウント値YFまで、パルスY−FBの検出に応じて駆動信号を小さな値P1にするとともに、駆動信号を徐々に増加させるように制御して、目標のシート搬送位置に到達させる。これにより、目標のシート搬送位置へのアプローチが安定し、停止動作の再現性およびシート搬送精度がより向上する。
【0082】
ここで、本実施形態においては、カウント値YEは、最終的な目標位置のカウントYFよりも3パルス分小さく設定されているとする。このため、カウント値YFに対応するタイミングは、タイミングX4となる。
【0083】
タイミングX4においては、パルスY−FBの検出に応じて、所定の保持時間T2(ck)にわたって、タイミングX5(時間Th)まで、駆動信号PWMを値P2に保持する。ここで、カウント値YFに到達した回数をフラグckで表す。本実施形態においては、初めにカウント値YFに到達した際の保持時間T2(ck=1)を、20msecとする。MPU制御部5は、到達回数ckと保持時間T2とを関連づけた変換テーブルT2(ck)を保持し、この変換テーブルを参照して時間Thを設定する構成であってもよい。
【0084】
そして、この保持時間T2(ck)にわたって駆動信号を保持して、モータ2への駆動力を保持した後に、タイミングX5にて、駆動信号PWMを0としてモータ2への駆動力を停止する。
【0085】
このように、図1に示す一例においては、タイミングX4〜X5にわたってモータ2への駆動力を保持することによって、印刷シートにおけるバックテンションを打ち消して、印刷シートをカウント値YFに相当する所望の位置へと位置決めする。
【0086】
MPU制御部5は、タイミングX4から待機時間T1経過したタイミングX6の期間、その時点での現在のカウント値が所望の値YFであるか否かを判別する。ここで、例えば待機時間T1は、T2(ck)よりも大きく設定する。図1に示す一例においては、タイミングX4〜X5の保持によって印刷シートが位置決めされ、カウント値はYFのままである。
【0087】
以上のように、目標位置のデジタル位置信号としての、カウント値YFのパルスY−FBの検出に応じて、モータ2への駆動力を所定の時間T2(ck)にわたって保持し、その後に駆動力を停止する。これによって、バックテンションによる位置ずれにもかかわらず、正確な位置決めを実現できる。
【0088】
ここで、バックテンションによる位置ずれについて説明する。シート搬送装置1が備えられた画像形成装置は、図5に示すように、給紙ローラ6、ピックアップローラ7、印刷ヘッド(画像形成部)8および排紙ローラ9を含んでいる。
【0089】
給紙ローラ6は、図2に示すモータ2に接続されており、モータ2の回転に応じて印刷シートSを搬送する。ピックアップローラ7は、画像形成装置の図示しない給紙部から印刷シートSを一枚ずつ給紙ローラ6へと供給する。印刷ヘッド8は、給紙ローラ6によって位置決めされる印刷シートSにインクを吐出して印刷を行う。排紙ローラ9は、印刷ヘッド8によって印刷の行われた印刷シートSを画像形成装置の外部へと排出する。印刷シートSは、ピックアップローラ7から給紙ローラ6を介して印刷ヘッド8と対向する位置へと搬送され、印刷後に排紙ローラ9によって排紙される。
【0090】
ここで、給紙ローラ6による搬送制御、位置決めにおいては、他の部材が印刷シートSに与える影響は、印刷シートSの送り方向とは逆方向に働く外乱力、すなわちバックテンションとなる。これが、位置決めの精度を悪くする要因となる。なお、他の部材が印刷シートSに与える影響とは、例えば、印刷シートSを送る際の印刷シートSとガイド、レールなどの用紙搬送路部材との摺動摩擦力、駆動系のギヤ歯間および軸受に働く摩擦力、排紙ローラ9による摩擦力などである。
【0091】
そこで、上述のように、保持時間T2(ck)を与えて、印刷シートの搬送を停止させた後、確実に印刷シートを所望の停止位置に固定させる。さらに、保持時間T2(ck)を与えるための構成として駆動信号PWMを用いれば、印刷シートを停止させるためのブレーキ、ウォームギヤ等の保持機構が必要なくなるので、装置の小型化に寄与するとともに、モータ2に働く負荷トルクを減少できる。
【0092】
次に、上述した図1に示すタイミングX4〜X5における保持時間T2(ck)が適切ではなかった場合について説明する。すなわち、もし、タイミングX6において例えばバックテンションによって印刷シートが移動し、それに伴いモータ2も回転して、結局カウント値がYFと異なっていた場合には、MPU制御部5はカウント値YFへの位置決めを再び行う。
【0093】
ここで、例えばカウント値がYFに対してYEと同じ側となっていた場合には、タイミングX6にて駆動信号PWMとしてP1を設定する。そして、上述のタイミングX1〜X2の制御と同様に、駆動信号の値をP1から徐々に増加させる。また、パルスY−FBの検出に応じて、駆動信号PWMをP1とする。また、パルスY−FBの検出によってカウント値がYFとなったときには、YFへの到達回数ckを増加させ(ck=2として)、保持時間T2(ck=2)=40msecと設定する。また、例えば、ck≧3の場合に保持時間T2=80msecと設定してもよい。
【0094】
設定した保持時間にわたって、駆動信号PWMとしてP2を供給して、モータ2の駆動力を保持する。その後、保持時間Thの経過後に、上述したタイミングX5と同様に、モータ2の駆動力を停止する。
【0095】
また、その後の所定のタイミングに、上述したタイミングX6と同様に、現在のカウント値が所望の値YFであるか否かを判別する。その後の処理は、上述したタイミングX6と同様である。また、その後も、カウント値YFへの到達回数ckに応じて適切な保持時間Th(ck)を設定する。
【0096】
次に、例えばカウント値が目標のYFに対してYEとは逆の側となっていた場合、すなわち、行き過ぎた場合の制御について説明する。
【0097】
この場合には、例えば図6に示すように、駆動信号PWMとして、上述のP1、P2とは逆の駆動力を与えるP3を出力する。これによって、モータ2を逆回転させて、カウント値がYFに対してYEと同じ側となるようにする。その後に、上述の図1と同様に、パルスY−FBの検出に応じて駆動信号の値をP1から徐々に増加させ、所望のカウント値YFにて保持時間Thを設定する。その後の処理は上述と同様である。
【0098】
以上に説明した動作によって、シート搬送装置1を用いて印刷シートSを正確に位置決めできる。
【0099】
次に、ラインフィード時のモータ速度の制御方法の詳細について、図7ないし図12のフローチャートに基づいて説明する。なお、図7ないし図12のフローチャートによる処理は、上述の動作を実現する一例であって、これに限るものではない。また、図7ないし図12中に示すYB、YC、YD、YE、およびYFは、図4に示されたカウント値に対応するものである。
【0100】
図7は、図4に示すカウント値YA(y=0)からカウント値YFまでのラインフィード制御の概略を示すフローチャートである。このフローチャート中に示す処理(メインルーチン)に対して、図8〜図12に示す処理が割り込むようになっている。
【0101】
図8〜図11に示すYFB割込1、YFB割込2、YFB割込3、YFB割込4は、パルスYの検出に応じて実行される割込処理であり、図12に示すタイマー2割込は、タイマー2が所定の値となることに応じて実行される割込処理である。
【0102】
そこで、以下ではまず図7について概略を説明し、後に各割り込み処理について説明する。
【0103】
まず、図7に示すように、S1においては、MPU制御部5に入力されたパルスYのカウント値yをリセットする。すなわち、y=0(=YA)とする。
【0104】
S2において、タイマー1をスタートさせる。タイマー1は、ラインフィード制御を開始してからの累積時間を図るためのタイマーである。タイマー1の値はTnで表す。
【0105】
S3において、モータ2を正転(正回転)に設定する。S4において、パルスYのカウント値y=0における、駆動信号PWM(0)を出力する。PWM(y)は、カウント値yにおける駆動信号の値を示す。
【0106】
S5において、モータ2の速度制御に用いる駆動信号用のテーブルとして、TBL(Table)1(台形TBL)を選択する。TBL1は、それぞれのカウント値yに対応した駆動信号PWM(y)の値がテーブルとなったものである。より詳細には、上述のように、例えばカウント値YA〜YBにおいてモータ速度を0からV1まで増加させるような、カウント値ごとの所望のモータ速度を実現させるための駆動信号の値が、カウント値YA〜YEについてのテーブルとなったものである。
【0107】
S6では、「YFB割込1」(Y−FB割込1)の割り込みを許可する。これにより、RE4からのパルスYが入力される度に、割込処理としてYFB割込1が実行される。
【0108】
ここでのYFB割込1は、図4に示すカウント値YA〜YB〜YCの速度制御を行うものであり、パルスYが入力されるたびに各カウント値yを変更(増加)するとともに、そのカウント値に応じた駆動信号PWMを台形テーブルに基づいて出力する。YFB割込1については後述する。
【0109】
S6の次のS7においては、カウント値がYCとなったか否かを判別する。カウント値がYCとなった場合には次のS8に進む。カウント値がYCとならないときには、パルスYに応じてYFB割込1がなされる状態のまま、S7を繰り返す。
【0110】
S8においては、「YFB割込1」を「YFB割込2」(Y−FB割込2)に変更する。これにより、RE4からのパルスYが入力される度に、割込処理としてYFB割込2が実行される。
【0111】
このYFB割込2は、図4に示すカウント値YC〜YDの速度制御を行うものであり、パルスYが入力されるたびに各カウント値yを変更(増加)する。また、ここでは速度V2を保つような定速制御を行う。このため、パルスYの周期(動作時間)からモータ2の速度を求め、求めた速度を速度V2に調節するためのPWMを出力する。YFB割込2の詳細については後述する。
【0112】
S8の次のS9においては、カウント値がYDとなったか否かを判別する。カウント値がYDとなった場合には次のS10に進む。カウント値がYDとならないときには、パルスYに応じてYFB割込2がなされる状態のまま、S9を繰り返す。
【0113】
S10においては、「YFB割込2」を「YFB割込1」に変更する。これにより、RE4からのパルスYが入力される度に、割込処理としてYFB割込1が実行される。
【0114】
ここでは、YFB割込1は、図4に示すカウント値YD〜YEの速度制御を行う。パルスYが入力されるたびに各カウント値yを変更(増加)するとともに、そのカウント値に応じた駆動信号PWMを、台形テーブルに基づいて出力する。
【0115】
S10の次のS11では、カウント値がYEとなったか否かを判別する。カウント値がYEとなった場合には次のS12に進む。カウント値がYEとならないときには、パルスYに応じてYFB割込1がなされる状態のまま、S11を繰り返す。
【0116】
以下のS12〜S17においては、図4に示すカウント値YE〜YFの区間のための速度制御を行う。より詳細には、初めにカウント値YFに到達するまでの処理がなされる。一旦カウント値YFに到達すると、その後のS18以下の処理へと移行する。
【0117】
S12においては、カウント値YFへの位置決めの試行回数を数えるためのフラグckを0に設定する。このフラグckは、S12〜S17の処理が終わってカウント値YFに到達した後に、再び位置決めを行う場合に用いる。
【0118】
S13において、駆動信号を段階的に増加させる際のパラメータNTMを0に設定する。このパラメータNTMは、後述する「タイマー2割込」において用いる。
【0119】
S14において、「YFB割込1」を「YFB割込3」(Y−FB割込3)に変更する。これにより、RE4からのパルスYが入力される度に、割込処理としてYFB割込3が実行される。このYFB割込3は、パルスYの検出に応じて、駆動信号PWMの値を小さな値P1に変更するための処理である。YFB割込3については後述する。
【0120】
S15において、インターバルタイマー2(タイマー2)をリセットしてスタートする。このタイマー2は、駆動信号のPWM値をP1に変更した後、所定時間ごとに駆動信号のPWM値を順次増加させる時間管理、および、パルスYが変化するまでの時間が、処理時間の上限を超えたか否かを判別するために用いられる。また、このタイマー2が所定の値となると、許可された「タイマー割込2」が実際に実行される。
【0121】
S16において、「タイマー2割込」を許可する。このタイマー2割込は、駆動信号を段階的に上げていく制御を行うものである。これによって、駆動信号をP1から所定時間ごとに順次増加させる。
【0122】
S16の後のS17においては、カウント値がYFとなったか否かを判別する。カウント値がYFとなった場合には次のS18に進む。カウント値がYFとならないときには、パルスYに応じてYFB割込3およびタイマー2割込がなされる状態のまま、S17を繰り返す。
【0123】
以下のS18〜S28においては、一旦カウント値YFに到達した後の制御を行う。
【0124】
S18では、試行回数のフラグckを1増加させる。S19では、試行回数のフラグckが5よりも大きいか否かを判別する。試行回数が5未満である場合にはS20に進み、5以上である場合には▲3▼に進む。この▲3▼は、後述する図12のS95に進むようになっている。ここで、試行回数が5以上である場合には、何らかのエラーであるとして▲3▼に進んで、誤動作である旨の表示、誤動作処理などを行う。
【0125】
S20においては、試行回数ckに応じて時間Thを設定するための保持時間TBLである、T2(ck)を参照する。このT2(ck)は、例えばT2(1)=20msec、T2(2)=40msec、T2(3)=80msec、T2(4)=80msecのように設定されている。このように、保持時間を試行回数ckに依存して変化するものとする。
【0126】
S21においては、タイマー1を参照して現在の値Tnを得るとともに、時間ThをTn+T2(ck)に設定する。この場合、タイマー1の現在の値Tnは、S17においてカウント値YFに到達し、YFB3割込で読取られたタイマー1の時間、即ち、割込発生直後の時刻となる。
【0127】
S22においては、ラインフィード制御の終了判定を行う時間Tcを設定する。ここでは、印刷シートのバックテンションにおける緩和時間を考慮した待機時間T1を用いて、Tc=Tn+T1と設定する。S23においては、タイマー2を停止する。
【0128】
S24では、「YFB割込4」(Y−FB割込4)に変更する。このYFB割込4は、カウント値yの値を監視するためのものである。より詳細には、例えばバックテンションのような力によって印刷シートが目標のカウント値YFから移動してしまい、新たなパルスYが発生した場合の処理である。
【0129】
このYFB割込4において、カウント値を更新するとともに位置誤差が許容値内か否かを判別する。また、オーバーランしたときは、一旦印刷シートを巻き戻してから送り直す。YFB割込4の詳細については後述する。
【0130】
以下のS25〜S28においては、YFB割込4が許可された状態のまま、各工程の処理を行う。
【0131】
S25では、現在のタイマー1の値Tnを読取る。S26では、現在の時刻Tnが、時間Thを超えたか否かを判別する。超えた場合にはS27に進む。超えていない場合にはS25に戻る。
【0132】
S27では、保持時間が経過したため、例えば図1のタイミングX5のように、駆動信号PWMを0に設定する。
【0133】
S28では、現在の時刻Tnが時間Tcを超えているか否か(待機時間が経過したか否か)を判別する。超えている場合にはラインフィード制御を終了する。超えていない場合にはS25に戻る。このように、待機時間Tcが経過してから、位置誤差が許容範囲内(1パルス分)か否かを判別すれば、バックテンションの緩和時間にもかかわらず、確実に位置決めの判定が可能となる。
【0134】
なお、S25〜S28において、パルスYが検出されたときには、YFB割込4の処理がなされる。YFB割込4では、Yの値が許容値以内であるかを判別して、許容値以内であればメインルーチンの、割込処理によって中断したS25〜S28のいずれかの処理にリターンする。許容値を超えたときは、強制的に図7の▲1▼、S13にジャンプするようになっている。なお、本実施形態においては、許容範囲はY=YFのみであり、Y≠YFであれば許容範囲外である。しかし、これに限るものではない。
【0135】
以上の概略動作によって、図1、図6などに示したシート搬送装置1の動作を実現できる。
【0136】
次に、各割り込み処理について、図8ないし図12に基づいて説明する。
【0137】
YFB割込1は、図8に示すように、各カウント値yを変更(増加)するとともに、そのカウント値に応じた駆動信号PWMを出力する処理である。このYFB割込1は、図4に示すカウント値YA〜YB〜YCおよびカウント値YD〜YEの区間において、速度制御のために実行される。
【0138】
S31においては、累積時間を示す時間Tn、即ち、YFB割込1発生直後の時間をタイマー1から読取る。S32においては、カウント値をパルスYに応じて変化させる。より詳細には、モータ2の正回転によるパルスYであることを確認して、カウント値yを1つ増加させる。S33においては、TBL1(台形テーブル)から、カウント値yに応じた駆動信号PWM(y)の値を読取る。S34において、読取った値の駆動信号をモータ駆動回路3に出力する。
【0139】
以上のS31からS34までの処理によって、図4に示すカウント値YA〜YB〜YCおよびカウント値YD〜YEの区間のように速度を制御できる。
【0140】
YFB割込2は、図9に示すように、目標の速度と現在の速度との差に応じて一定速度を維持する制御を行うとともに、各カウント値yを変更(増加)する処理である。この処理は、図4に示すカウント値YC〜YDの区間において行われる。
【0141】
S41において、累積時間を示す時間Tn(T(n)として示す。)、即ち、YFB割込2発生直後の時間をタイマー1から読取る。S42において、カウント値をパルスYに応じて変化させる。より詳細には、モータ2の正回転によるパルスYであることを確認して、カウント値yを1つ増加させる。
【0142】
S43においては、パルスYの周期を算出する。これは、前回の割込において読取ったTn(T(n−1)として示す。)と、今回S41において読取ったTnとの差を計算することによって行う。この算出したパルスYの周期は、モータ2の現在の回転速度と反比例する量である。
【0143】
S44において、速度目標TBLとして、カウント値yに対応した目標となるパルスYの周期Tr(y)を参照する。すなわち、図4に概略を示すように、カウント値YC〜YDの区間においてはモータ速度をV2に維持する制御を行うため、目標となるパルス周期は概略的には定数となるのであるが、カウント値YC・YDの近傍においては滑らかに接続するように定数とは若干異なる値に設定するのである。
【0144】
S45において、目標となる周期Tr(y)と、計測した周期T(n)−T(n−1)とから、速度エラーTeをTr(y)−(T(n)−T(n−1))として算出する。ここで、上述のように周期はモータ2の回転速度に反比例する量なので、速度エラーTeは実際には速度差ではない。しかしながら、便宜上このように呼ぶこととする。また、このように周期の誤差を用いて制御した方が、計算量が少なく制御が容易となる。
【0145】
S46においては、速度エラーTeに応じた所望の駆動信号の値をテーブルとしたPWMTBL2を参照して、駆動信号PWM(Te)を得る。S47において、Teに対応した駆動信号PWM(Te)を出力する。
【0146】
以上のS41からS47までの処理によって、図4に示すカウント値YC〜YDの区間のように定速制御できる。
【0147】
また、YFB割込3は、図10に示すように、カウント値に応じて、駆動信号の値を小さな値P1に変更する処理である。このYFB割込3は、図4に示す区間YE〜YFにおける駆動力制御(速度制御)のために行われる。
【0148】
S51においては、タイマー1を参照して現在の時刻Tn、即ち、YFB割込3発生直後の時間を読取る。
【0149】
S52においては、モータ2の回転方向が正転(正方向の回転)であるか否かを判別する。正回転である場合にはS53に進み、カウント値yを1つ増加させてS55に進む。正回転でなく、逆回転である場合には、S54に進み、カウント値yを1つ減少させてS55に進む。
【0150】
S55においては、カウント値がYFとなったか否かを判別する。カウント値がYFとなった場合には、S59にてタイマー2割込を禁止して、S60に進む。カウント値がYFとならないときには、S56において、出力する駆動信号の値を小さな値P1に変更する。
【0151】
S57において、タイマー2をリセットし、タイマー2を再スタートする。S58において、パラメータNTMをリセットしてNTM=0とする。
【0152】
S60においては、印刷シートの移動方向、すなわちモータ2の回転方向が、前回のYFB割込3における回転から反転したものであるか否かを判別する。これは、例えば図3に示すようなパルスA、パルスBの位相を用いて判別できる。
【0153】
S60において反転である場合にはこの割込処理を終了し、反転でない場合にはS61に進む。なお、このYFB割込3を最初に行う場合には、S60においては反転でないと判別してS61に進むものとする。
【0154】
S61においては、YFB割込3の発生した時刻Tnからの待機時間T1を用いて、時間TcをTc=Tn+T1と設定する。S62では、タイマー1割込をTcにセットする。S63においてタイマー1割込を許可して、YFB割込3の処理を終了する。
【0155】
ここでタイマー1割込は、現在の時刻Tnが時間Tcに達したときに実行される割り込み処理であり、このタイミングにおいて例えば誤動作処理を行うものである。
【0156】
ここで、YFB割込3の処理において、例えば図1に示すようにモータ2が正回転して通常に処理されているときには、S60にて反転でないと判別されてS61に進むため、Tcは更新されてタイマー1割込は実行されない。一方、例えばモータ2が反転を繰り返して振動する場合には、一旦(初回に)タイマー1割込が許可された後に、S60にて反転すると判別されるため、タイマー1割込が実行される可能性がある。したがって、このタイマー1割込によって、振動などの異常動作の場合に誤動作処理を行える。
【0157】
また、カウント値YE〜YFの区間においては、モータ速度を0、または0近傍まで落とすようにするため、バックテンションの影響が比較的大きくなる。そこで、上述のように逆回転する場合も考慮すれば、確実な搬送が可能となる。
【0158】
以上のS51からS63までの処理によって、カウント値に応じて、出力する駆動信号の値をパルスYに応じて小さな値P1に変更する。また、印刷シートの位置が所望の精度の範囲内で微小振動しているときの、停止判定が可能となる。
【0159】
次に、タイマー2割込について説明する。YFB割込4については後述する。
【0160】
また、タイマー2割込は、図12に示すように、駆動信号の値をP1から所定の時間ごとに順次、段階的に増加させる処理である。このタイマー2割込は、タイマー2が所定の値となることに応じて実行される割込処理である。
【0161】
S91において、駆動信号PWMの値を所望の1ステップ分増加させて、例えばPWM=PWM+1とする。増加させる1ステップ分の増分は、ここでは1として示したが、任意に設定できる。S92においては、パラメータNTMを1つ増加させて、NTM=NTM+1とする。
【0162】
S93においては、あらかじめ定めたNTMの上限値NMAXと、NTMとを比較する。NTMがNMAX未満であれば、S94に進む。S94においては、S91において設定した値の駆動信号PWMを出力して、割り込み処理を終了する。
【0163】
一方、S93においてNTMがNMAX以上であった場合にはS95に進み、画像形成装置の図示しない表示部に、シート搬送において誤動作が生じた旨の表示を行う。S96では、モータ2が過電流により破損してしまうのを防止するために、モータ2の駆動を停止する。S97では、図示しない誤動作処理制御にジャンプする。
【0164】
ここで、S93においてNTMがNMAX以上であった場合には、タイマー2割込がNMAX回以上繰り返され、タイマー2割込の生ずる所定時間のNMAX倍以上の時間が経過したことを意味する。すなわち、この時間内にはパルスYが生成されず、図10に示すS57にてパラメータNTMが0にリセットされない。このような状態を生ずる例として、シリアルプリンタの機器が引っ掛って、モータ2に大きな負荷トルクが掛かり、モータ2が回転していない場合が考えられる。本実施形態においては、この場合には、何らかの異常が発生してモータ2の回転がなされないものであるとして、上述のようなS95〜S97の処理を実行する。
【0165】
以上のS91〜S97の処理を、タイマー2が所定の値となる度に行うので、例えば図1に示すような段階的に増加する駆動信号PWMを実現できる。
【0166】
また、YFB割込4は、図11に示すように、一旦目標のカウント値YFに到達した後に、バックテンションのような力によって、印刷シートが目標のカウント値YFから移動してしまい、新たなパルスYが発生した場合の処理である。
【0167】
S71において、移動方向が正回転であるか否かを読取る。正回転である場合にはS72に進み、カウント値yを1つ増加させてS74に進む。また、逆回転である場合にはS73に進み、カウント値yを1つ減少させてS74に進む。
【0168】
S74では、位置誤差が許容範囲内のものであるか否かをは判別する。位置誤差が許容範囲内のものであれば、メインルーチンへリターンする。
【0169】
一方、位置誤差が許容範囲内ではないS75では、印刷シートを目標値の4ステップ手前に強制移動するように、駆動信号を出力する。これは、例えば図6に示すように、逆向きの駆動信号を出力することによって実現される。なお、図6に示す一例においては、印刷シートを2ステップ手前に移動している。
【0170】
S76では、yモータを正回転駆動に設定する。S77では、図7に示す符号▲1▼にジャンプして、図7のS13以下の処理がなされる。
【0171】
このように、YFB割込4においては、S74で正常動作で位置誤差精度許容値以下であることが判別できたときはメインルーチンへリターンする。また、位置誤差が大きいときには、S75のように、一旦印刷シートを巻き戻してから送り直す。例えば、オーバーランして位置誤差が大きいときにも、巻き戻してから送り直すようにする。
【0172】
なお、一旦S75からS77によって図7に示す符号▲1▼にジャンプした後は、S14でYFB割込3に変更され、その後に再度YFB割込4に変更されるまでは、YFB割込3となっている。
【0173】
次に、上述のYFB割込3における、タイマー1割込を含む終了判定処理について、図13(a)(b)に基づいて説明する。図13(a)(b)は、上述のタイマー1を用いて設定する、停止判定カウンタ(停止判定タイマー)を説明するための図である。本実施形態においては、この停止判定カウンタを用いて停止判定を行う。
【0174】
図13(a)に示すように、下段に示す停止判定カウンタは、時間が進むにつれて(タイマー1の増加に従って)値が増加する一方で、エンコーダ信号(パルスY)の変化に応じてタイミングZ1・(図1に示すタイミングX4に相当する)Z2のように値がリセットされる。
【0175】
そして、この停止判定カウンタの値が、(時間Tcに相当する)タイミングZ3のように、(待機時間T1に相当する)予め定めた所定の値(図13(a)では16)に達すると、その時点でのカウント値が所望の値YFから所定の範囲内にある場合には、シート搬送を停止する。
【0176】
この停止判定カウンタの設定の詳細を図13(b)に示す図13(b)に示すように、本実施形態においては、実際は、エンコーダ信号(パルスY)に含まれるエンコーダ信号A(パルスA)とエンコーダ信号B(パルスB)との双方を用いて停止判定を行う。すなわち、パルスAもしくはパルスBに相当する単一のパルスだけではモータ2の回転方向を判別できないので、パルスAとパルスBとの双方の位相関係を用いてモータ2の回転方向に応じた処理を行う。
【0177】
すなわち、シート搬送装置1においては、図13(b)のタイミングZ5以降のように、例えばパルスAがハイを保ったままパルスBがハイとローとを繰り返す、振動状態を生ずることがある。この場合には、振動状態は非常に微小なものであり、所望の精度(カウント値1つ分)よりも小さいので、停止判定を行うようにする。
【0178】
しかしながら、この場合に、パルスAもしくはパルスBに相当する単一のパルスYを用いて停止判定を行おうとすると、カウント値が所定の値に達することがなく、いつまでたっても停止判定を行うことができないという問題を生ずる虞れがある。すなわち、パルスYがパルスBの変化に応じて変化するので、パルスYの変化に応じてタイムカウンタをリセットすると、カウント値が所定の値に達することがないのである。
【0179】
そこで、本実施形態のシート搬送装置1においては、以下のように停止判定を行う。すなわち、計測時間のリセットは、モータ2の回転方向が前回と同一(一定)であるときに、パルスYが変化したときのみに行うようにする。例えばタイミングZ4、Z5のように、モータ2の回転方向が正回転のときに、パルスYが変化すると、計測時間をリセットする。一方、例えばタイミングZ6のように、モータ2の回転方向が前回と同じでないときには、パルスYが変化したとしても計測時間をリセットしない。このようにすれば、上述のような振動状態においても、停止判定を行える。なお、このような回転方向に応じた計測時間のリセットは、図10のS60、S61などにおいて説明したものと同様のものである。
【0180】
なお、例えば待機時間を設けずに、許容値のみで位置決め精度を判断しようとすると、一旦許容値内になった後に、さらに過渡的な振る舞いで許容値から逸脱する虞れがある。例えば図14に示すように、位置座標のみで停止条件を判断して、例えばタイミングZ7にて駆動力を停止した場合であっても、駆動力の停止にもかかわらず例えば慣性でモータが回転することもある。この場合には、所定の位置決め精度が得られない。
【0181】
以上のように、本実施形態に係るシート搬送装置1は、パルスYの検出によってカウント値yが目標のYFとなったことに応じて、印刷シートSを搬送する駆動力を生成するための駆動信号PWMを保持時間T2(ck)にわたって保持した後に、駆動信号を停止する構成である。
【0182】
したがって、バックテンションにもかかわらず高精度に印刷シートを位置決めできる。このため、位置決め分解能と等しい分解能のエンコーダを用いても、精度よくシート搬送制御が可能となり、高価な部材を用いずにシート搬送装置を提供できる。
【0183】
また、上述のようなラインフィード制御方法により、シートの送り速度を過度にスピードオーバーすることなく目標位置に近づくことができる。さらに、モータ2に働く負荷トルクが変動したり、モータ2の駆動トルクが変動したりしても、パルスYの変化を検知した後のシート搬送量を、パルスYの検知位置を大きく越えることなく、均一化できる。これにより、シート搬送が過度にオーバーランすることによる停止位置の変動を防止でき、正確なシート搬送が可能となる。
【0184】
この結果、デジタル位置制御における特有の課題であった数パルスの位置決め誤差は解消され、位置決め分解能と等しいエンコーダで、シート搬送の位置決め制御を行うことが可能となる。さらに、エンコーダとしてはシンプルで廉価なインクリメンタルエンコーダにおいても、上記のラインフィード制御方法を実行できることから、高精度かつ廉価なシート搬送装置、並びにそのシート搬送装置を用いたシリアルプリンタを提供できる。
【0185】
また、エンコーダはモータからギヤなどの伝達機構を経て駆動される用紙搬送ローラの軸に設けられても良い。
【0186】
なお、本方式は紙送りに限定されるものでなく、たとえばインクジェットプリンタのキャリッジ駆動、あるいは複写機などのスキャナ装置等の各種装置に適用可能である。また、駆動源としてはDCモータに限定されるものでなく、ACモータ、リニアモータ、静電モータ、超音波モータ、エアーシリンダ等、各種、駆動源へ適用可能なものである。
【0187】
ここで、従来は、デジタル位置信号を用いた位置決め制御においては、数パルスの位置決め誤差が生ずるという課題があった。
【0188】
そこで、この課題を解決するために、位置決め分解能と等しい分解能のエンコーダのデジタル位置信号のみで、印刷シートの停止位置の精度を高める方法として、目標位置の手前からデジタル位置が更新されるたびに駆動電流を“0”もしくはモータが停止するまで低下させた後、徐々に増加させ、モータが回転を始め、次のデジタル位置の更新がなされると再度、駆動電流を“0”にするという動作を繰り返す駆動方法が考えられる。
【0189】
この場合、さらにエンコーダを高分解能(例えば、1200dpiを4分割して4800dpi)にしたとき、バックテンションなど負荷状態による位置誤差、位置誤差に伴う振動、目標位置への進入方向の違いによる位置誤差などを生じる虞れがある。
【0190】
そこで、上述の本発明に係る構成を用いれば、確実に、高精度に印刷シートを位置決めできる。
【0191】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0192】
上述の具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、本発明はそのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0193】
【発明の効果】
本発明に係るシート搬送装置は、以上のように、制御部が、シートを搬送する目標位置のデジタル位置信号の出力に応じて、駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に上記駆動力を停止する構成である。
【0194】
それゆえ、搬送するシートにバックテンションが生じる場合であっても駆動力を保持して打ち消して、バックテンションによるシートの位置誤差を生じさせないという効果を奏する。
【0195】
本発明に係るシート搬送装置は、以上のように、上記構成において、上記制御部は、上記目標位置の上記デジタル位置信号の出力の回数に応じて、上記保持時間を変化させる構成である。
【0196】
それゆえ、再度の位置決めが必要となった場合に、保持時間を適切に異ならせて、適切な位置決めが可能になるという効果を奏する。
【0197】
本発明に係るシート搬送装置は、以上のように、上記構成において、上記制御部は、出力される上記デジタル位置信号に基づく上記シートの位置が上記目標位置を通過していたときには、上記シートを手前の位置まで戻すように駆動した後に、上記目標位置への搬送を行う構成である。
【0198】
それゆえ、オーバーランした状態のときには一旦数ステップ手前まで戻した後、再度位置決め動作を行うので、片方向送りによる位置決めを行って、両方向から位置決めするときの不具合を防止できるという効果を奏する。
【0199】
本発明に係るシート搬送装置は、以上のように、上記構成において、上記制御部は、上記目標位置の上記デジタル位置信号の検出の後から所定の待機時間にわたって、出力される上記デジタル位置信号と上記目標位置の上記デジタル位置信号との差が予め定めた許容範囲内であるときに、上記シートの搬送を終了する構成である。
【0200】
それゆえ、待機時間を適切に設定し、この待機時間にわたって位置決め精度を判別して、バックテンションの緩和にもかかわらず確実に位置決めができるという効果を奏する。
【0201】
本発明に係るシート搬送装置は、以上のように、上記構成において、上記待機時間を計測するための計測部を備え、上記計測部は、上記直流電動機の回転方向が一定であって上記デジタル位置信号が変化したときのみに、上記待機時間の計測を開始する構成である。
【0202】
それゆえ、直流電動機の振動状態においては待機時間をリセットしないので、振動状態であってもシートの搬送を終了できるという効果を奏する。
【0203】
本発明に係る画像形成装置は、以上のように、上述のいずれかのシート搬送装置と、上記シート搬送装置を用いて搬送した上記シートに画像を形成する画像形成部とを備えている構成である。
【0204】
それゆえ、シート搬送装置を用いて正確に位置決めしたシートに印刷を行って、品質の高い印刷を実現できるという効果を奏する。
【0205】
本発明に係る位置決め方法は、以上のように、被搬送物を搬送する目標位置のデジタル位置信号の出力に応じて、駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に、上記駆動力を停止する工程を含んでいる構成である。
【0206】
それゆえ、被搬送物への駆動力を所定の保持時間にわたって保持して、搬送装置の駆動系にバックテンションが生ずる場合であっても打ち消して、バックテンションによる駆動系の逆走を防止できるという効果を奏する。また、バックテンションが時間の経過に伴って緩和した後、駆動力を停止するので、例えば緩和した後に駆動力を付与して生ずる不用意な位置誤差を防止して、高精度の位置決めを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート搬送装置による搬送の一例を示すタイミングチャートである。
【図2】上記シート搬送装置の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図3】上記シート搬送装置のロータリーエンコーダの生成するパルスを示すタイミングチャートである。
【図4】上記シート搬送装置におけるモータ回転速度の時間変化の一例を示すグラフである。
【図5】上記シート搬送装置において生ずるバックテンションの一例を説明する概略の断面図である。
【図6】上記シート搬送装置による搬送の他の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】上記シート搬送装置における搬送方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】上記シート搬送装置における搬送方法の他の一例を示すフローチャートである。
【図9】上記シート搬送装置における搬送方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【図10】上記シート搬送装置における搬送方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【図11】上記シート搬送装置における搬送方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【図12】上記シート搬送装置における搬送方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【図13】(a)は上記シート搬送装置における時間計測の一例を示す図であり、(b)は上記シート搬送装置における時間計測の他の一例を示す図である。
【図14】従来のシート搬送装置における時間計測の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 シート搬送装置(搬送装置)
2 モータ(直流電動機、DCM)
3 モータ駆動回路(制御部)
4 ロータリーエンコーダ(RE、検出器)
5 MPU制御部(制御部、計測部)
6 給紙ローラ
7 ピックアップローラ
8 印刷ヘッド(画像形成部)
9 排紙ローラ
S 印刷シート(シート、被搬送物)
T1 待機時間
T2(ck) 保持時間
YA、YB、YC、YD、YE、YFカウント値
Y−FB エンコーダパルス(パルス、デジタル位置信号)
【発明の属する技術分野】
本発明は、被搬送物(シート)の搬送に応じて検出器から出力されるデジタル位置信号に基づいて被搬送物への駆動力を制御する、シート搬送装置、画像形成装置および位置決め方法に関するものであり、例えば、直流電動機の回転量に応じて検出器より出力されるデジタル位置信号に基づいて直流電動機の動作を制御するシート搬送装置、画像形成装置および位置決め方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタ等のシリアルプリンタにおいては、1ラインの印字が終わる度に印刷シートを1ライン分送るラインフィードモータが用いられる。このラインフィードモータとして、従来ではパルスモータが使用されていた。近年では、例えばコストダウンのために直流電動機(DCモータ)が使用される場合もある。
【0003】
DCモータは、パルスモータに比べて廉価ではあるものの、その回転量、およびこれに伴うシートの送り位置を正確に制御することは容易ではない。そこで、DCモータを用いてシート搬送位置を制御するために、様々な方法が提案されている。
【0004】
例えば、DCモータの回転量を検知できる光センサを設置して回転量を制御する方法がある。より詳細には、DCモータが一定量回転する毎に光センサから発信されるエンコーダパルス(デジタル位置信号)をカウントすることによって、回転量を把握し、シート搬送位置を制御する。
【0005】
このようなエンコーダパルスによる位置決め制御においては、位置決め分解能と同じ分解能のエンコーダを用いると、デジタル位置制御に特有の課題である数パルス分の位置決め誤差が生じてしまう。そこで、停止位置の精度を良くするために、必要な位置決め分解能よりも数倍細かい分解能のエンコーダが使用されている。
【0006】
一方、例えばアナログ出力を用いて、必要な位置決め分解能と同じ分解能のエンコーダにて位置決め制御を行う方法もある。例えば、アナログ出力可能なエンコーダを用いて、エンコーダパルスに波形整形する前のエンコーダからのアナログ出力を用いて位置決め制御する。または、例えば、位置をカウントするためのエンコーダとは別にアナログ位置信号を得るためのポテンショメータ等を用意して、このアナログ位置信号を位置決め制御のフィードバック信号に使用する。
【0007】
例えば、特公平7−44864号公報(公告日:1995年5月15日)においては、エンコーダパルスに波形整形する前のエンコーダのアナログ出力を位置決めに使用するPLL(Phase−looked loop )速度制御回路が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特公平7−44864号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の構成によると、位置決め制御に用いられる部材、制御回路などが高価なものとなってしまうという問題を生ずる。
【0010】
例えば、エンコーダのデジタルパルスを用いた位置決め制御では、必要な位置決め分解能が2400dpi(dot per inch)のときに、12000dpiの分解能を持つエンコーダが必要となることがある。このため、エンコーダが高価なものとなってしまう。また、上記特公平7−44864号公報に記載の構成によれば、制御回路が複雑であるため非常に高価なものとなってしまう。
【0011】
特にシリアルプリンタにおいては、他のレーザプリンタなどと比較して廉価であることがメリットである。このため、高価な部材、制御回路などを用いることはメリットを損なうことになり適切でない虞れがある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、高価な部材を用いずに、精度よくシート搬送制御が可能となるシート搬送装置、画像形成装置および位置決め方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシート搬送装置は、上記課題を解決するために、シートを搬送する直流電動機と、上記直流電動機の回転に応じてデジタル位置信号を出力する検出器と、上記検出器から出力されるデジタル位置信号に基づいて上記直流電動機の駆動力を制御する制御部とを備えるシート搬送装置において、上記制御部が、上記シートを搬送する目標位置の上記デジタル位置信号の出力に応じて、上記駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に上記駆動力を停止することを特徴としている。
【0014】
このシート搬送装置は、例えば、画像形成装置に備えられる印刷シートの搬送装置である。
【0015】
シート搬送装置においては、制御部が直流電動機(DCモータ)の駆動力を制御して、シートを目標位置まで搬送する。シートの位置は、直流電動機の回転に応じて検出器から出力されるデジタル位置信号によって把握する。検出器は、例えば直流電動機が所定量回転すると、それに応じてデジタル位置信号を出力する。
【0016】
ここで、シート搬送装置は、シートの目標位置に対応するデジタル位置信号が出力されたときには、直流電動機の駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に駆動力を停止する。これによって、搬送するシートにバックテンションが生じる場合であっても駆動力によって打ち消して、バックテンションによるシートの位置誤差を生じさせない。
【0017】
すなわち、例えば紙のようなシートにおいては、搬送の際にシートに張力(バックテンション)が生ずる。このため、特に、紙送りにおいては、張力を緩和させて位置を戻そうとする振る舞いが生ずる。
【0018】
そこで、所定の保持時間にわたって例えばモータ電流を保持することによって駆動力を保持して、バックテンションによるシートの逆走(戻り)を防止する。そして、このバックテンションが時間の経過に伴って緩和した後、例えばモータ電流をオフして駆動力を停止する。これによって、モータ電流付与による不用意な位置誤差を防止し、高精度の紙送りを実現する。
【0019】
この構成であれば、必要な位置決め分解能と等しい分解能のエンコーダを用いて検出器がデジタル位置信号を生成する場合であっても、精度よく目標位置にシートを位置決めできる。
【0020】
なお、シート搬送装置は、例えば駆動力を保持して駆動力を停止した後に、シートの位置が目標位置に位置決めされていない場合には、再度駆動力を与えてシートを搬送してもよい。例えば駆動力の保持時間が適切でない場合に、バックテンションによってシートが余分に移動すると、このように再度位置決めしてもよい。
【0021】
また、この保持時間は、例えばシートの物性に応じて適切に設定するものであってもよいし、または、目標位置に対応するデジタル位置信号の出力回数に応じてシート搬送装置が変化させる構成であってもよい。例えばシートによるバックテンションが非常に小さなものであれば、それに応じてこの保持時間を小さく設定すればよい。なお、保持時間としては、0を含まない有限の時間を設定する。
【0022】
また、エンコーダをさらに高分解能(例えば1200dpiを4分割した4800dpi)にしたときに余分に生ずる、バックテンションなど負荷状態による位置誤差、位置誤差に伴う振動、目標位置への進入方向の違いによる位置誤差などについても、解決できる。
【0023】
また、上述のシート搬送装置は、所望の目標位置の近傍(近傍位置)までと、この近傍位置から目標位置までとの搬送制御を、それぞれ異ならせる構成であってもよい。例えば、近傍位置まではシートを高速で搬送し、近傍位置から目標位置まではシートを低速で搬送する。このようにすれば、全体のシート搬送に要する時間を短縮できるとともに、シートを精度よく位置決めできる。
【0024】
また、このシート搬送装置は、近傍位置から目標位置までの搬送における駆動力を、例えばデジタル位置信号の検出に応じて駆動力を減少させ、その後駆動力を増加させ、さらに次のデジタル位置信号の検出に応じて駆動力を減少させるように制御してもよい。このようにすれば、シートに余分な力を与えることがなく、正確な位置決めが可能となる。
【0025】
また、上記シート搬送装置を、検出器より出力されるデジタル位置信号に基づいて第1の駆動力を付与した後、駆動力を増加させて、デジタル位置信号が変化したときを第2の駆動力とし、デジタル位置信号の変化を検知することにより、駆動力を減少せしめる、もしくは駆動を停止するシート搬送装置であって、目標位置に到達後にモータ駆動電流を保持する時間を付与する構成である、と表現することもできる。また、この保持する時間を、目標位置への再トライの回数に応じて決定する構成であってもよい。
【0026】
本発明に係るシート搬送装置は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記制御部は、上記目標位置の上記デジタル位置信号の出力の回数に応じて、上記保持時間を変化させることを特徴としている。
【0027】
シート搬送装置は、目標位置のデジタル位置信号の出力の回数に応じて、保持時間を変化させる。例えば前回の駆動力の保持時間が適切でなく、再度の位置決めが必要となった場合に、目標位置のデジタル位置信号が次に出力されると、保持時間を前回と異ならせる。これによって、適切な位置決めが可能となる。
【0028】
例えば、保持時間を、検出の回数に応じて増加させるようにしてもよい。例えば、初回の保持時間を20msec、その次の保持時間を40msecとしてもよい。また、例えばそれ以降の保持時間を80msecとしてもよい。このように、検出回数に応じて保持時間を増加させるように調節すれば、過多な保持時間を付与することによる誤動作(位置ズレ)を防止でき、速やかにシートの搬送を完了できる。
【0029】
なお、例えば上記構成を、複数の保持時間を有し、この保持時間を選択可能とした構成である、と表現することもできる。また、保持時間を再トライの回数に応じて選択可能とした構成である、と表現することもできる。
【0030】
本発明に係るシート搬送装置は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記制御部は、出力される上記デジタル位置信号に基づく上記シートの位置が上記目標位置を通過していたときには、上記シートを手前の位置まで戻すように駆動した後に、上記目標位置への搬送を行うことを特徴としている。
【0031】
上記シート搬送装置は、出力されるデジタル位置信号に基づくシートの位置が目標位置を通過していたときには、すなわち、オーバーランした状態のときには、一旦数ステップ手前まで戻した後、再度位置決め動作を行う。
【0032】
これにより、片方向送りによる位置決めを行って、両方向から位置決めするときの位置決め誤差の倍増及びバックラッシュなどによる誤差の拡大を防止できる。ここで、バックラッシュとは、シャフトとすべり軸とが食い込まないように数十μmのクリアランスを持たすのと同様に、ギヤのかみ合いでクリアランスを持たすようになっており、このクリアランス分だけギヤが戻ることを意味する。このように、例えばオーバーランした状態から、直接位置決めを行うと、駆動系が逆走されることとなり、位置誤差は倍増してしまう。すなわち、移動方向が入り乱れると、かえって誤差が倍増してしまう。さらに、駆動系ギヤのバックラッシュなどの影響を受け、位置決め精度は更に悪化する。
【0033】
なお、上記構成を、送り方向に位置誤差(オーバーラン)を生じたとき、目標位置より(複数ステップ)手前まで戻した後、再度目標位置への位置決め動作を行う構成である、と表現することもできる。
【0034】
本発明に係るシート搬送装置は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記制御部は、上記目標位置の上記デジタル位置信号の検出の後から所定の待機時間にわたって、出力される上記デジタル位置信号と上記目標位置の上記デジタル位置信号との差が予め定めた許容範囲内であるときに、上記シートの搬送を終了することを特徴としている。
【0035】
ここで、上述のように、シート搬送においてバックテンションが生じた場合には、このバックテンションは時間の経過に伴って緩和する。
【0036】
そこで、例えばこのバックテンションの緩和時間よりも長く待機時間を設定し、この待機時間にわたって位置決め精度を判別する。これによって、バックテンションにもかかわらず確実に位置決めができる。
【0037】
なお、例えば待機時間を設けずに、許容値のみで位置決め精度を判断しようとしても、一旦許容値内になった後に、さらに過渡的な振動で許容値から逸脱する虞れがある。この場合には、所定の位置決め精度が得られない。
【0038】
また、デジタル位置決め信号によるフィードバックのみで微細ステップ送りを用いた本方式においては、特に高分解の位置決め時に、目標位置を中心とした数ステップの微少振動を生じ易い。そこで、上述のように、所定時間にわたって位置誤差が許容値以下の状態か否かを確認してから位置決め動作を完了させれば、誤判断を防止できる。
【0039】
なお、上記構成を、目標位置に到達後、到達後位置誤差が許容値以下であり、且つ、所定時間が経過した時、位置決め動作を完了する構成である、と表現することもできる。
【0040】
本発明に係るシート搬送装置は、上記課題を解決するために、上記構成において、上記待機時間を計測するための計測部を備え、上記計測部は、上記直流電動機の回転方向が一定であって上記デジタル位置信号が変化したときのみに、上記待機時間の計測を開始することを特徴としている。
【0041】
ここで、直流電動機の回転方向が一定であるとは、前回のデジタル位置信号の変化の際の回転方向と、今回のデジタル位置信号の変化の際の回転方向とが等しいことを意味する。
【0042】
上記シート搬送装置は、直流電動機の回転方向が一定であり、かつデジタル位置信号が変化したときのみ、計測部による待機時間の計測を開始する。例えば、直流電動機が一方向のみに回転しているとき、待機時間を計測する。これによって終了判定が可能となる。
【0043】
一方、例えば直流電動機の回転方向が一定でなく、正方向の回転と逆方向の回転とを交互に繰り返すような振動状態においては、デジタル位置信号が変化したとしても、計測部による待機時間の計測を開始せず、カウンタのリセットをしない。
【0044】
これにより、振動状態において待機時間(経過時間)を測定する際に、エンコーダ出力変化によって不用意にカウンタがリセットされてしまうことを防止できる。これによって、振動状態であってもシートの搬送を終了できる。
【0045】
なお、上記構成を、動作時間を監視する為の計測部(フリーランカウンタなど)のリセットもしくは計測開始を、デジタル位置(エンコーダ出力状態)が変化し、且つ、移動方向が同一である時に行う構成である、と表現することもできる。
【0046】
本発明に係る画像形成装置は、上記課題を解決するために、上述のいずれかのシート搬送装置と、上記シート搬送装置を用いて搬送した上記シートに画像を形成する画像形成部とを備えていることを特徴としている。
【0047】
上述のように本発明に係るシート搬送装置は、位置決めを正確に行うことができるので、正確に位置決めしたシートに印刷(画像形成)を行って、品質の高い印刷を実現できる。
【0048】
また、上記画像形成装置は、例えば、インクを印刷シートに吐出するインクジェットヘッド(画像形成部)を備えたインクジェットプリンタであってもよい。インクジェットプリンタにおいては、印刷シートを1ラインごとにラインフィードするので、上述のように正確に位置決めできれば特に好ましい。
【0049】
本発明に係る位置決め方法は、上記課題を解決するために、搬送装置による被搬送物の搬送に応じて検出器から出力されるデジタル位置信号に基づいて、上記搬送装置の駆動力を制御して上記被搬送物を位置決めする位置決め方法において、上記被搬送物を搬送する目標位置の上記デジタル位置信号の出力に応じて、上記駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に、上記駆動力を停止する工程を含んでいることを特徴としている。
【0050】
上記方法においては、被搬送物が目標位置に到達後、被搬送物への駆動力を所定の保持時間にわたって保持する。これによって、搬送装置の駆動系にバックテンションが生ずる場合であっても、バックテンションによる駆動系の逆走を防止できる。また、バックテンションが時間の経過に伴って緩和した後、駆動力を停止するので、例えば緩和した後に駆動力を付与して生ずる不用意な位置誤差を防止して、高精度の位置決めを実現できる。
【0051】
上記位置決め方法を、例えば画像形成装置における印刷シートの搬送に適用すれば、印刷シートを正確に位置決めして、精度の高い印刷を実現できる。なお、上記位置決め方法は、印刷シートの搬送に限定されるものでなく、たとえばインクジェットプリンタのキャリッジ駆動、あるいは複写機のスキャナ装置などのような各種装置に適用可能である。また、駆動源としてはDCモータに限定されるものでなく、ACモータ、リニアモータ、静電モータ、超音波モータ、エアーシリンダ等の各種駆動源に適用可能である。
【0052】
なお、上記構成を、検出器より出力されるデジタル位置信号に基づいて第1の駆動力を付与した後、順次駆動力を増加させ、デジタル位置信号が変化したときを第2の駆動力とし、デジタル位置信号の変化を検知することによって、駆動力を減少せしめ、もしくは駆動を停止する位置決め方法であって、目標位置に到達後に駆動力を保持する時間を(再トライの回数に応じて)付与する構成の位置決め方法である、と表現することもできる。
【0053】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について図1ないし図13に基づいて説明すると以下の通りである。
【0054】
本実施形態に係るシート搬送装置(搬送装置)1は、図2に示すように、概略的に、モータ(直流電動機:Direct Current Motor,DCM)2、モータ駆動回路(制御部)3、ロータリーエンコーダ(検出器:Rotary Encoder,RE)4、およびMPU制御部(制御部、計測部)5を含んでいる。
【0055】
このシート搬送装置1は、図示しないインクジェットプリンタのような画像形成装置に備えられ、印刷ヘッドのような画像形成部へと印刷シート(シート、被搬送物)を搬送するために用いられる。
【0056】
モータ2は、印刷シートを画像形成部へと搬送する動力源である。モータ2は、モータ駆動回路3からの駆動信号によって印刷シートを1ライン分送るラインフィードモータとして機能する。
【0057】
モータ駆動回路3は、モータ2を駆動させるための駆動回路である。モータ駆動回路3は、MPU制御部5からの制御信号に基づいて、モータ2を駆動するための駆動信号を生成してモータ2へと出力する。
【0058】
RE4は、モータ2の回転を検知するセンサである。RE4は、モータ2が一定量回転するごとに、エンコーダパルス(デジタル位置信号)Y−FB(feedback)を生成して、MPU制御部5へと出力する。本実施形態のRE4は、モータ2が360°回転するごとに、所定のパルス幅の、位相を異ならせた二つのパルスをそれぞれ生成する。このように出力されたパルスの数を計数することによって、モータ2の回転量を測定できる。
【0059】
エンコーダパルスY−FB(パルスY)は、図3に示すように、パルスA(A相出力)とパルスB(B相出力)との二つのパルスを含んでいる。この二つのパルスは、図3に示すように、互いに位相がずれている。
【0060】
図3に示すように、パルスAのハイになる期間がパルスBのハイになる期間よりも位相が進んでいる(90°ずれている)ときには、モータ2が正回転しているものとする。一方、パルスAのハイになる期間がパルスBのハイになる期間よりも位相が遅れている(90°ずれている)ときには、モータ2が逆回転しているものとする。また、パルスYのうちの一方の、例えばパルスAの周期(360°)は、モータ2の一回転に要する動作時間に相当する。
【0061】
なお、図3の下段には、それぞれ逓倍なしのパルスの動作時間と、4逓倍した場合のパルスの動作時間とを示している。例えば、図3の上段に示すパルスA、パルスBが1200dpiのエンコーダによって生成されたものであるとすると、位置決め分解能を4逓倍した4800dpiのエンコーダによって生成されたパルスの動作時間は、図3の最下段に示すようになる。このように、エンコーダを高分解能にすると、従来生じなかった以下のような問題が生じうる。すなわち、バックテンションなど負荷状態による位置誤差、位置誤差に伴う振動、目標位置への進入方向の違いによる位置誤差などが、新たに大きな問題となる。シート搬送装置1は、これらの問題についても、後述するように解決している。
【0062】
MPU制御部5は、RE4からのパルスYに基づいて、モータ2を駆動させるための制御信号をモータ駆動回路3へ出力する。MPU制御部5は、パルスA、パルスBの位相に応じてモータ2の回転方向を判別する。また、MPU制御部5は、モータ2の回転方向に応じてカウント値を増減することによって、モータ2の回転量を把握する。これによって、印刷シートの搬送量、印刷シートの位置を把握する。
【0063】
また、MPU制御部5は、図3に示すような、パルスYのうちの一方のパルス(例えばパルスA)の周期によって、モータ2の一回転に要する動作時間を判別する。また、MPU制御部5は、時間を計測する計測部としても機能する。また、MPU制御部5は、動作時間からモータ2の回転速度を判別する。モータ2の回転速度は、動作時間に反比例する。
【0064】
ここで、MPU制御部5による、モータ2の制御の概略について、図4に基づいて説明する。
【0065】
MPU制御部5は、モータ駆動回路3への制御信号によって、印刷シートを1ライン分搬送(ラインフィード)する際に、モータ速度を図4に示すように制御する。より詳細には、MPU制御部5が所望の速度に応じた制御信号をモータ駆動回路3に送信し、モータ駆動回路3が制御信号に応じて所望の速度となるようにPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)によって駆動信号を生成してモータ2に出力する。この駆動信号は、モータ2の駆動力となる。
【0066】
ここで、図4の横軸は、パルスYのカウント値を示すものである。各YA、YB、YC、YD、YE、およびYFは、MPU制御部5へ入力されるパルスYのカウント値に対応する。カウント値YA(y=0)は、処理を始める際のカウント値である。カウント値YFは、1回分のシート搬送が実行され停止する際の目標となるカウント値である。このため、1回分のシート搬送が実行され停止するまでにMPU制御部5でカウントされるパルスYは、結局YF−YAとなる。このカウント値はモータ2の回転量に相当するので、印刷シートの搬送量に比例する。
【0067】
また、図4の縦軸に示すモータ速度は、モータ2の回転速度を意味する。なお、MPU制御部5は、上述のようにモータ2の動作時間からモータ2の回転速度を判別することができる。しかしながら、MPU制御部5によるモータ2の速度の制御は、図4の横軸に示すカウント値に基づいて行うものである。なお、MPU制御部5は、カウント値ごとに所望のモータ速度を与える変換テーブルを保持しており、カウント値に応じてこのテーブルを参照して制御信号を出力する構成であってもよい。
【0068】
MPU制御部5による、カウント値YAからカウント値YB、YC、YD、YEを介して目標のカウント値YFにいたるシート搬送制御は、概略的には、以下の3区間に区分できる。すなわち、加速区間、定速区間、停止区間である。加速区間は、停止しているシートを動かし始めて一定速度までに立ち上げるための区間であり、カウント値YA〜YB〜YCに対応する。定速区間は、一定速度でシートを送り続ける区間であり、カウント値YC〜YDに対応する。停止区間は、シートの送り速度を減少させ定められた地点に停止させるための区間であり、カウント値YD〜YE〜YFに対応する。
【0069】
加速区間は、カウント値YA〜YBの区間(第1の区間)と、カウント値YB〜YCの区間(第2の区間)とに区分される。第1の区間と第2の区間とは、カウント値当たりのモータ速度の増加量が異なっている。第1の区間においては、カウント値YA〜YBの間に、モータ速度を0からV1まで増加させる。第2の区間においては、カウント値YB〜YCの間に、モータ速度をV1からV2まで増加させる。定速区間である第3の区間に近い第2の区間は、第1の区間よりも、図4に示す傾き(カウント値当たりのモータ速度の増加量)が小さくなっている。これは、加速区間から定速区間に移行する際に、モータ速度がオーバーシュートするのを防止するためである。
【0070】
カウント値YC〜YD(第3の区間)の定速区間は、モータ速度をV2とする。
【0071】
また、停止区間は、カウント値YD〜YEの区間(第4の区間)とカウント値YE〜YFの区間(第5の区間)とに区分される。第4の区間は、カウント値当たりのモータ速度の減少量を一定として、モータ速度を大きく減少させる区間である。一方、第5の区間は、小刻みにモータ速度を制御しながら、印刷シートを目標の停止位置に停止させる区間である。第4の区間においては、カウント値YD〜YEの間に、モータ速度をV2から0まで減少させる。第5の区間においては、カウント値YE〜YFの間に、モータ速度を後述するように調節する。
【0072】
ここで、第4の区間から第5の区間に移行する際のカウント値YEは、第4の区間の終端位置に幾分の誤差が生じても、最終的な目標停止位置を越えることがないように、目標停止位置に対応するカウント値YFよりも数パルス小さく設定される。このように、目標位置YFの近傍であるYEまでは、上述の第1の区間ないし第4の区間のようにモータ速度を速めて、より短時間で処理する。また、YEからYFまでは、より精度の高い処理を行う。このようにすれば、より短時間で精度の高い位置決めが可能となる。
【0073】
ここで、上述の第5の区間における、モータ速度の制御の詳細について、以下で図1に基づいて説明する。
【0074】
図1の上段は、RE4からMPU制御部5に出力されるエンコーダパルスY−FBを示す。ここで、図1には、Y−FBとして、図3に示したパルスAもしくはパルスBに相当する単一のパルスを示している。すなわち、上述のように、モータ2の回転に応じて図3に示すパルスA,パルスBが出力されるので、図1に示すY−FBは、モータ2の回転に応じてハイとローとを交互に繰り返す。一方、例えばY−FBが、ハイとローとの一方のみの状態を継続している場合には、モータ2は回転していない、または回転量が微小であることを意味する。
【0075】
また図1の下段には、MPU制御部5からの制御信号に基づいて、モータ駆動回路3からモータ2へと出力される駆動信号PWMを示す。この駆動信号PWMは、モータ2の駆動力となる。
【0076】
ここで、図1に示す横軸を時間としたタイミングチャートでタイミングX1は、カウント値YEに対応するタイミングである。上述の第5の区間においては、まず、タイミングX1に応じて、モータ2に与える駆動信号PWMを小さな値P1に設定する。なお、この駆動信号P1は、値が0であってもよい。
【0077】
この駆動信号P1は、例えば、モータ2を回転するまでには達していない駆動力を与えるものであってもよい。そして、図1に示すように、タイミングX1から時間の経過に応じて、駆動信号PWMをP1から段階的に増加させる。駆動信号PWMの増加に応じて、モータ2に与える駆動力が段階的に増加するので、モータ2はある時点で回転を始める。
【0078】
これによって、例えばモータ2を、負荷トルクにようやく打ち勝つだけの最小の駆動力にて駆動させることができる。したがって、必要最低限のトルクで駆動して、スピードオーバーすることなく目標位置に近づくことができる。
【0079】
また、モータ2の回転に応じて、パルスY−FBが変化して、ハイからローとなる。さらにモータ2が回転してパルスY−FBがローからハイに変化する、タイミングX2において、そのタイミングでの駆動信号のPWM値P2をP2からP1として、モータ2に与える駆動力を減少させる。
【0080】
これによって、例えばモータ2に働く摺動負荷トルクが変動したり、モータ2の駆動トルクが変動したりしても、パルスY−FBの一周期分のシート搬送量をほぼ所定の範囲内に収めることができる。したがって、シート搬送のオーバーランを防止して、精密なシート搬送が可能となる。一方、例えばタイミングX2において駆動信号を減少させない場合には、その駆動信号によってシートが余分に搬送されて、シート搬送量が所定の範囲を超えてしまう虞れがある。この場合には精密なシート搬送を行うことはできなくなってしまう。
【0081】
また、上述したタイミングX1〜X2の処理を、タイミングX2〜X3、タイミングX3〜X4においてそれぞれ繰り返す。このように、カウント値YEから目標のカウント値YFまで、パルスY−FBの検出に応じて駆動信号を小さな値P1にするとともに、駆動信号を徐々に増加させるように制御して、目標のシート搬送位置に到達させる。これにより、目標のシート搬送位置へのアプローチが安定し、停止動作の再現性およびシート搬送精度がより向上する。
【0082】
ここで、本実施形態においては、カウント値YEは、最終的な目標位置のカウントYFよりも3パルス分小さく設定されているとする。このため、カウント値YFに対応するタイミングは、タイミングX4となる。
【0083】
タイミングX4においては、パルスY−FBの検出に応じて、所定の保持時間T2(ck)にわたって、タイミングX5(時間Th)まで、駆動信号PWMを値P2に保持する。ここで、カウント値YFに到達した回数をフラグckで表す。本実施形態においては、初めにカウント値YFに到達した際の保持時間T2(ck=1)を、20msecとする。MPU制御部5は、到達回数ckと保持時間T2とを関連づけた変換テーブルT2(ck)を保持し、この変換テーブルを参照して時間Thを設定する構成であってもよい。
【0084】
そして、この保持時間T2(ck)にわたって駆動信号を保持して、モータ2への駆動力を保持した後に、タイミングX5にて、駆動信号PWMを0としてモータ2への駆動力を停止する。
【0085】
このように、図1に示す一例においては、タイミングX4〜X5にわたってモータ2への駆動力を保持することによって、印刷シートにおけるバックテンションを打ち消して、印刷シートをカウント値YFに相当する所望の位置へと位置決めする。
【0086】
MPU制御部5は、タイミングX4から待機時間T1経過したタイミングX6の期間、その時点での現在のカウント値が所望の値YFであるか否かを判別する。ここで、例えば待機時間T1は、T2(ck)よりも大きく設定する。図1に示す一例においては、タイミングX4〜X5の保持によって印刷シートが位置決めされ、カウント値はYFのままである。
【0087】
以上のように、目標位置のデジタル位置信号としての、カウント値YFのパルスY−FBの検出に応じて、モータ2への駆動力を所定の時間T2(ck)にわたって保持し、その後に駆動力を停止する。これによって、バックテンションによる位置ずれにもかかわらず、正確な位置決めを実現できる。
【0088】
ここで、バックテンションによる位置ずれについて説明する。シート搬送装置1が備えられた画像形成装置は、図5に示すように、給紙ローラ6、ピックアップローラ7、印刷ヘッド(画像形成部)8および排紙ローラ9を含んでいる。
【0089】
給紙ローラ6は、図2に示すモータ2に接続されており、モータ2の回転に応じて印刷シートSを搬送する。ピックアップローラ7は、画像形成装置の図示しない給紙部から印刷シートSを一枚ずつ給紙ローラ6へと供給する。印刷ヘッド8は、給紙ローラ6によって位置決めされる印刷シートSにインクを吐出して印刷を行う。排紙ローラ9は、印刷ヘッド8によって印刷の行われた印刷シートSを画像形成装置の外部へと排出する。印刷シートSは、ピックアップローラ7から給紙ローラ6を介して印刷ヘッド8と対向する位置へと搬送され、印刷後に排紙ローラ9によって排紙される。
【0090】
ここで、給紙ローラ6による搬送制御、位置決めにおいては、他の部材が印刷シートSに与える影響は、印刷シートSの送り方向とは逆方向に働く外乱力、すなわちバックテンションとなる。これが、位置決めの精度を悪くする要因となる。なお、他の部材が印刷シートSに与える影響とは、例えば、印刷シートSを送る際の印刷シートSとガイド、レールなどの用紙搬送路部材との摺動摩擦力、駆動系のギヤ歯間および軸受に働く摩擦力、排紙ローラ9による摩擦力などである。
【0091】
そこで、上述のように、保持時間T2(ck)を与えて、印刷シートの搬送を停止させた後、確実に印刷シートを所望の停止位置に固定させる。さらに、保持時間T2(ck)を与えるための構成として駆動信号PWMを用いれば、印刷シートを停止させるためのブレーキ、ウォームギヤ等の保持機構が必要なくなるので、装置の小型化に寄与するとともに、モータ2に働く負荷トルクを減少できる。
【0092】
次に、上述した図1に示すタイミングX4〜X5における保持時間T2(ck)が適切ではなかった場合について説明する。すなわち、もし、タイミングX6において例えばバックテンションによって印刷シートが移動し、それに伴いモータ2も回転して、結局カウント値がYFと異なっていた場合には、MPU制御部5はカウント値YFへの位置決めを再び行う。
【0093】
ここで、例えばカウント値がYFに対してYEと同じ側となっていた場合には、タイミングX6にて駆動信号PWMとしてP1を設定する。そして、上述のタイミングX1〜X2の制御と同様に、駆動信号の値をP1から徐々に増加させる。また、パルスY−FBの検出に応じて、駆動信号PWMをP1とする。また、パルスY−FBの検出によってカウント値がYFとなったときには、YFへの到達回数ckを増加させ(ck=2として)、保持時間T2(ck=2)=40msecと設定する。また、例えば、ck≧3の場合に保持時間T2=80msecと設定してもよい。
【0094】
設定した保持時間にわたって、駆動信号PWMとしてP2を供給して、モータ2の駆動力を保持する。その後、保持時間Thの経過後に、上述したタイミングX5と同様に、モータ2の駆動力を停止する。
【0095】
また、その後の所定のタイミングに、上述したタイミングX6と同様に、現在のカウント値が所望の値YFであるか否かを判別する。その後の処理は、上述したタイミングX6と同様である。また、その後も、カウント値YFへの到達回数ckに応じて適切な保持時間Th(ck)を設定する。
【0096】
次に、例えばカウント値が目標のYFに対してYEとは逆の側となっていた場合、すなわち、行き過ぎた場合の制御について説明する。
【0097】
この場合には、例えば図6に示すように、駆動信号PWMとして、上述のP1、P2とは逆の駆動力を与えるP3を出力する。これによって、モータ2を逆回転させて、カウント値がYFに対してYEと同じ側となるようにする。その後に、上述の図1と同様に、パルスY−FBの検出に応じて駆動信号の値をP1から徐々に増加させ、所望のカウント値YFにて保持時間Thを設定する。その後の処理は上述と同様である。
【0098】
以上に説明した動作によって、シート搬送装置1を用いて印刷シートSを正確に位置決めできる。
【0099】
次に、ラインフィード時のモータ速度の制御方法の詳細について、図7ないし図12のフローチャートに基づいて説明する。なお、図7ないし図12のフローチャートによる処理は、上述の動作を実現する一例であって、これに限るものではない。また、図7ないし図12中に示すYB、YC、YD、YE、およびYFは、図4に示されたカウント値に対応するものである。
【0100】
図7は、図4に示すカウント値YA(y=0)からカウント値YFまでのラインフィード制御の概略を示すフローチャートである。このフローチャート中に示す処理(メインルーチン)に対して、図8〜図12に示す処理が割り込むようになっている。
【0101】
図8〜図11に示すYFB割込1、YFB割込2、YFB割込3、YFB割込4は、パルスYの検出に応じて実行される割込処理であり、図12に示すタイマー2割込は、タイマー2が所定の値となることに応じて実行される割込処理である。
【0102】
そこで、以下ではまず図7について概略を説明し、後に各割り込み処理について説明する。
【0103】
まず、図7に示すように、S1においては、MPU制御部5に入力されたパルスYのカウント値yをリセットする。すなわち、y=0(=YA)とする。
【0104】
S2において、タイマー1をスタートさせる。タイマー1は、ラインフィード制御を開始してからの累積時間を図るためのタイマーである。タイマー1の値はTnで表す。
【0105】
S3において、モータ2を正転(正回転)に設定する。S4において、パルスYのカウント値y=0における、駆動信号PWM(0)を出力する。PWM(y)は、カウント値yにおける駆動信号の値を示す。
【0106】
S5において、モータ2の速度制御に用いる駆動信号用のテーブルとして、TBL(Table)1(台形TBL)を選択する。TBL1は、それぞれのカウント値yに対応した駆動信号PWM(y)の値がテーブルとなったものである。より詳細には、上述のように、例えばカウント値YA〜YBにおいてモータ速度を0からV1まで増加させるような、カウント値ごとの所望のモータ速度を実現させるための駆動信号の値が、カウント値YA〜YEについてのテーブルとなったものである。
【0107】
S6では、「YFB割込1」(Y−FB割込1)の割り込みを許可する。これにより、RE4からのパルスYが入力される度に、割込処理としてYFB割込1が実行される。
【0108】
ここでのYFB割込1は、図4に示すカウント値YA〜YB〜YCの速度制御を行うものであり、パルスYが入力されるたびに各カウント値yを変更(増加)するとともに、そのカウント値に応じた駆動信号PWMを台形テーブルに基づいて出力する。YFB割込1については後述する。
【0109】
S6の次のS7においては、カウント値がYCとなったか否かを判別する。カウント値がYCとなった場合には次のS8に進む。カウント値がYCとならないときには、パルスYに応じてYFB割込1がなされる状態のまま、S7を繰り返す。
【0110】
S8においては、「YFB割込1」を「YFB割込2」(Y−FB割込2)に変更する。これにより、RE4からのパルスYが入力される度に、割込処理としてYFB割込2が実行される。
【0111】
このYFB割込2は、図4に示すカウント値YC〜YDの速度制御を行うものであり、パルスYが入力されるたびに各カウント値yを変更(増加)する。また、ここでは速度V2を保つような定速制御を行う。このため、パルスYの周期(動作時間)からモータ2の速度を求め、求めた速度を速度V2に調節するためのPWMを出力する。YFB割込2の詳細については後述する。
【0112】
S8の次のS9においては、カウント値がYDとなったか否かを判別する。カウント値がYDとなった場合には次のS10に進む。カウント値がYDとならないときには、パルスYに応じてYFB割込2がなされる状態のまま、S9を繰り返す。
【0113】
S10においては、「YFB割込2」を「YFB割込1」に変更する。これにより、RE4からのパルスYが入力される度に、割込処理としてYFB割込1が実行される。
【0114】
ここでは、YFB割込1は、図4に示すカウント値YD〜YEの速度制御を行う。パルスYが入力されるたびに各カウント値yを変更(増加)するとともに、そのカウント値に応じた駆動信号PWMを、台形テーブルに基づいて出力する。
【0115】
S10の次のS11では、カウント値がYEとなったか否かを判別する。カウント値がYEとなった場合には次のS12に進む。カウント値がYEとならないときには、パルスYに応じてYFB割込1がなされる状態のまま、S11を繰り返す。
【0116】
以下のS12〜S17においては、図4に示すカウント値YE〜YFの区間のための速度制御を行う。より詳細には、初めにカウント値YFに到達するまでの処理がなされる。一旦カウント値YFに到達すると、その後のS18以下の処理へと移行する。
【0117】
S12においては、カウント値YFへの位置決めの試行回数を数えるためのフラグckを0に設定する。このフラグckは、S12〜S17の処理が終わってカウント値YFに到達した後に、再び位置決めを行う場合に用いる。
【0118】
S13において、駆動信号を段階的に増加させる際のパラメータNTMを0に設定する。このパラメータNTMは、後述する「タイマー2割込」において用いる。
【0119】
S14において、「YFB割込1」を「YFB割込3」(Y−FB割込3)に変更する。これにより、RE4からのパルスYが入力される度に、割込処理としてYFB割込3が実行される。このYFB割込3は、パルスYの検出に応じて、駆動信号PWMの値を小さな値P1に変更するための処理である。YFB割込3については後述する。
【0120】
S15において、インターバルタイマー2(タイマー2)をリセットしてスタートする。このタイマー2は、駆動信号のPWM値をP1に変更した後、所定時間ごとに駆動信号のPWM値を順次増加させる時間管理、および、パルスYが変化するまでの時間が、処理時間の上限を超えたか否かを判別するために用いられる。また、このタイマー2が所定の値となると、許可された「タイマー割込2」が実際に実行される。
【0121】
S16において、「タイマー2割込」を許可する。このタイマー2割込は、駆動信号を段階的に上げていく制御を行うものである。これによって、駆動信号をP1から所定時間ごとに順次増加させる。
【0122】
S16の後のS17においては、カウント値がYFとなったか否かを判別する。カウント値がYFとなった場合には次のS18に進む。カウント値がYFとならないときには、パルスYに応じてYFB割込3およびタイマー2割込がなされる状態のまま、S17を繰り返す。
【0123】
以下のS18〜S28においては、一旦カウント値YFに到達した後の制御を行う。
【0124】
S18では、試行回数のフラグckを1増加させる。S19では、試行回数のフラグckが5よりも大きいか否かを判別する。試行回数が5未満である場合にはS20に進み、5以上である場合には▲3▼に進む。この▲3▼は、後述する図12のS95に進むようになっている。ここで、試行回数が5以上である場合には、何らかのエラーであるとして▲3▼に進んで、誤動作である旨の表示、誤動作処理などを行う。
【0125】
S20においては、試行回数ckに応じて時間Thを設定するための保持時間TBLである、T2(ck)を参照する。このT2(ck)は、例えばT2(1)=20msec、T2(2)=40msec、T2(3)=80msec、T2(4)=80msecのように設定されている。このように、保持時間を試行回数ckに依存して変化するものとする。
【0126】
S21においては、タイマー1を参照して現在の値Tnを得るとともに、時間ThをTn+T2(ck)に設定する。この場合、タイマー1の現在の値Tnは、S17においてカウント値YFに到達し、YFB3割込で読取られたタイマー1の時間、即ち、割込発生直後の時刻となる。
【0127】
S22においては、ラインフィード制御の終了判定を行う時間Tcを設定する。ここでは、印刷シートのバックテンションにおける緩和時間を考慮した待機時間T1を用いて、Tc=Tn+T1と設定する。S23においては、タイマー2を停止する。
【0128】
S24では、「YFB割込4」(Y−FB割込4)に変更する。このYFB割込4は、カウント値yの値を監視するためのものである。より詳細には、例えばバックテンションのような力によって印刷シートが目標のカウント値YFから移動してしまい、新たなパルスYが発生した場合の処理である。
【0129】
このYFB割込4において、カウント値を更新するとともに位置誤差が許容値内か否かを判別する。また、オーバーランしたときは、一旦印刷シートを巻き戻してから送り直す。YFB割込4の詳細については後述する。
【0130】
以下のS25〜S28においては、YFB割込4が許可された状態のまま、各工程の処理を行う。
【0131】
S25では、現在のタイマー1の値Tnを読取る。S26では、現在の時刻Tnが、時間Thを超えたか否かを判別する。超えた場合にはS27に進む。超えていない場合にはS25に戻る。
【0132】
S27では、保持時間が経過したため、例えば図1のタイミングX5のように、駆動信号PWMを0に設定する。
【0133】
S28では、現在の時刻Tnが時間Tcを超えているか否か(待機時間が経過したか否か)を判別する。超えている場合にはラインフィード制御を終了する。超えていない場合にはS25に戻る。このように、待機時間Tcが経過してから、位置誤差が許容範囲内(1パルス分)か否かを判別すれば、バックテンションの緩和時間にもかかわらず、確実に位置決めの判定が可能となる。
【0134】
なお、S25〜S28において、パルスYが検出されたときには、YFB割込4の処理がなされる。YFB割込4では、Yの値が許容値以内であるかを判別して、許容値以内であればメインルーチンの、割込処理によって中断したS25〜S28のいずれかの処理にリターンする。許容値を超えたときは、強制的に図7の▲1▼、S13にジャンプするようになっている。なお、本実施形態においては、許容範囲はY=YFのみであり、Y≠YFであれば許容範囲外である。しかし、これに限るものではない。
【0135】
以上の概略動作によって、図1、図6などに示したシート搬送装置1の動作を実現できる。
【0136】
次に、各割り込み処理について、図8ないし図12に基づいて説明する。
【0137】
YFB割込1は、図8に示すように、各カウント値yを変更(増加)するとともに、そのカウント値に応じた駆動信号PWMを出力する処理である。このYFB割込1は、図4に示すカウント値YA〜YB〜YCおよびカウント値YD〜YEの区間において、速度制御のために実行される。
【0138】
S31においては、累積時間を示す時間Tn、即ち、YFB割込1発生直後の時間をタイマー1から読取る。S32においては、カウント値をパルスYに応じて変化させる。より詳細には、モータ2の正回転によるパルスYであることを確認して、カウント値yを1つ増加させる。S33においては、TBL1(台形テーブル)から、カウント値yに応じた駆動信号PWM(y)の値を読取る。S34において、読取った値の駆動信号をモータ駆動回路3に出力する。
【0139】
以上のS31からS34までの処理によって、図4に示すカウント値YA〜YB〜YCおよびカウント値YD〜YEの区間のように速度を制御できる。
【0140】
YFB割込2は、図9に示すように、目標の速度と現在の速度との差に応じて一定速度を維持する制御を行うとともに、各カウント値yを変更(増加)する処理である。この処理は、図4に示すカウント値YC〜YDの区間において行われる。
【0141】
S41において、累積時間を示す時間Tn(T(n)として示す。)、即ち、YFB割込2発生直後の時間をタイマー1から読取る。S42において、カウント値をパルスYに応じて変化させる。より詳細には、モータ2の正回転によるパルスYであることを確認して、カウント値yを1つ増加させる。
【0142】
S43においては、パルスYの周期を算出する。これは、前回の割込において読取ったTn(T(n−1)として示す。)と、今回S41において読取ったTnとの差を計算することによって行う。この算出したパルスYの周期は、モータ2の現在の回転速度と反比例する量である。
【0143】
S44において、速度目標TBLとして、カウント値yに対応した目標となるパルスYの周期Tr(y)を参照する。すなわち、図4に概略を示すように、カウント値YC〜YDの区間においてはモータ速度をV2に維持する制御を行うため、目標となるパルス周期は概略的には定数となるのであるが、カウント値YC・YDの近傍においては滑らかに接続するように定数とは若干異なる値に設定するのである。
【0144】
S45において、目標となる周期Tr(y)と、計測した周期T(n)−T(n−1)とから、速度エラーTeをTr(y)−(T(n)−T(n−1))として算出する。ここで、上述のように周期はモータ2の回転速度に反比例する量なので、速度エラーTeは実際には速度差ではない。しかしながら、便宜上このように呼ぶこととする。また、このように周期の誤差を用いて制御した方が、計算量が少なく制御が容易となる。
【0145】
S46においては、速度エラーTeに応じた所望の駆動信号の値をテーブルとしたPWMTBL2を参照して、駆動信号PWM(Te)を得る。S47において、Teに対応した駆動信号PWM(Te)を出力する。
【0146】
以上のS41からS47までの処理によって、図4に示すカウント値YC〜YDの区間のように定速制御できる。
【0147】
また、YFB割込3は、図10に示すように、カウント値に応じて、駆動信号の値を小さな値P1に変更する処理である。このYFB割込3は、図4に示す区間YE〜YFにおける駆動力制御(速度制御)のために行われる。
【0148】
S51においては、タイマー1を参照して現在の時刻Tn、即ち、YFB割込3発生直後の時間を読取る。
【0149】
S52においては、モータ2の回転方向が正転(正方向の回転)であるか否かを判別する。正回転である場合にはS53に進み、カウント値yを1つ増加させてS55に進む。正回転でなく、逆回転である場合には、S54に進み、カウント値yを1つ減少させてS55に進む。
【0150】
S55においては、カウント値がYFとなったか否かを判別する。カウント値がYFとなった場合には、S59にてタイマー2割込を禁止して、S60に進む。カウント値がYFとならないときには、S56において、出力する駆動信号の値を小さな値P1に変更する。
【0151】
S57において、タイマー2をリセットし、タイマー2を再スタートする。S58において、パラメータNTMをリセットしてNTM=0とする。
【0152】
S60においては、印刷シートの移動方向、すなわちモータ2の回転方向が、前回のYFB割込3における回転から反転したものであるか否かを判別する。これは、例えば図3に示すようなパルスA、パルスBの位相を用いて判別できる。
【0153】
S60において反転である場合にはこの割込処理を終了し、反転でない場合にはS61に進む。なお、このYFB割込3を最初に行う場合には、S60においては反転でないと判別してS61に進むものとする。
【0154】
S61においては、YFB割込3の発生した時刻Tnからの待機時間T1を用いて、時間TcをTc=Tn+T1と設定する。S62では、タイマー1割込をTcにセットする。S63においてタイマー1割込を許可して、YFB割込3の処理を終了する。
【0155】
ここでタイマー1割込は、現在の時刻Tnが時間Tcに達したときに実行される割り込み処理であり、このタイミングにおいて例えば誤動作処理を行うものである。
【0156】
ここで、YFB割込3の処理において、例えば図1に示すようにモータ2が正回転して通常に処理されているときには、S60にて反転でないと判別されてS61に進むため、Tcは更新されてタイマー1割込は実行されない。一方、例えばモータ2が反転を繰り返して振動する場合には、一旦(初回に)タイマー1割込が許可された後に、S60にて反転すると判別されるため、タイマー1割込が実行される可能性がある。したがって、このタイマー1割込によって、振動などの異常動作の場合に誤動作処理を行える。
【0157】
また、カウント値YE〜YFの区間においては、モータ速度を0、または0近傍まで落とすようにするため、バックテンションの影響が比較的大きくなる。そこで、上述のように逆回転する場合も考慮すれば、確実な搬送が可能となる。
【0158】
以上のS51からS63までの処理によって、カウント値に応じて、出力する駆動信号の値をパルスYに応じて小さな値P1に変更する。また、印刷シートの位置が所望の精度の範囲内で微小振動しているときの、停止判定が可能となる。
【0159】
次に、タイマー2割込について説明する。YFB割込4については後述する。
【0160】
また、タイマー2割込は、図12に示すように、駆動信号の値をP1から所定の時間ごとに順次、段階的に増加させる処理である。このタイマー2割込は、タイマー2が所定の値となることに応じて実行される割込処理である。
【0161】
S91において、駆動信号PWMの値を所望の1ステップ分増加させて、例えばPWM=PWM+1とする。増加させる1ステップ分の増分は、ここでは1として示したが、任意に設定できる。S92においては、パラメータNTMを1つ増加させて、NTM=NTM+1とする。
【0162】
S93においては、あらかじめ定めたNTMの上限値NMAXと、NTMとを比較する。NTMがNMAX未満であれば、S94に進む。S94においては、S91において設定した値の駆動信号PWMを出力して、割り込み処理を終了する。
【0163】
一方、S93においてNTMがNMAX以上であった場合にはS95に進み、画像形成装置の図示しない表示部に、シート搬送において誤動作が生じた旨の表示を行う。S96では、モータ2が過電流により破損してしまうのを防止するために、モータ2の駆動を停止する。S97では、図示しない誤動作処理制御にジャンプする。
【0164】
ここで、S93においてNTMがNMAX以上であった場合には、タイマー2割込がNMAX回以上繰り返され、タイマー2割込の生ずる所定時間のNMAX倍以上の時間が経過したことを意味する。すなわち、この時間内にはパルスYが生成されず、図10に示すS57にてパラメータNTMが0にリセットされない。このような状態を生ずる例として、シリアルプリンタの機器が引っ掛って、モータ2に大きな負荷トルクが掛かり、モータ2が回転していない場合が考えられる。本実施形態においては、この場合には、何らかの異常が発生してモータ2の回転がなされないものであるとして、上述のようなS95〜S97の処理を実行する。
【0165】
以上のS91〜S97の処理を、タイマー2が所定の値となる度に行うので、例えば図1に示すような段階的に増加する駆動信号PWMを実現できる。
【0166】
また、YFB割込4は、図11に示すように、一旦目標のカウント値YFに到達した後に、バックテンションのような力によって、印刷シートが目標のカウント値YFから移動してしまい、新たなパルスYが発生した場合の処理である。
【0167】
S71において、移動方向が正回転であるか否かを読取る。正回転である場合にはS72に進み、カウント値yを1つ増加させてS74に進む。また、逆回転である場合にはS73に進み、カウント値yを1つ減少させてS74に進む。
【0168】
S74では、位置誤差が許容範囲内のものであるか否かをは判別する。位置誤差が許容範囲内のものであれば、メインルーチンへリターンする。
【0169】
一方、位置誤差が許容範囲内ではないS75では、印刷シートを目標値の4ステップ手前に強制移動するように、駆動信号を出力する。これは、例えば図6に示すように、逆向きの駆動信号を出力することによって実現される。なお、図6に示す一例においては、印刷シートを2ステップ手前に移動している。
【0170】
S76では、yモータを正回転駆動に設定する。S77では、図7に示す符号▲1▼にジャンプして、図7のS13以下の処理がなされる。
【0171】
このように、YFB割込4においては、S74で正常動作で位置誤差精度許容値以下であることが判別できたときはメインルーチンへリターンする。また、位置誤差が大きいときには、S75のように、一旦印刷シートを巻き戻してから送り直す。例えば、オーバーランして位置誤差が大きいときにも、巻き戻してから送り直すようにする。
【0172】
なお、一旦S75からS77によって図7に示す符号▲1▼にジャンプした後は、S14でYFB割込3に変更され、その後に再度YFB割込4に変更されるまでは、YFB割込3となっている。
【0173】
次に、上述のYFB割込3における、タイマー1割込を含む終了判定処理について、図13(a)(b)に基づいて説明する。図13(a)(b)は、上述のタイマー1を用いて設定する、停止判定カウンタ(停止判定タイマー)を説明するための図である。本実施形態においては、この停止判定カウンタを用いて停止判定を行う。
【0174】
図13(a)に示すように、下段に示す停止判定カウンタは、時間が進むにつれて(タイマー1の増加に従って)値が増加する一方で、エンコーダ信号(パルスY)の変化に応じてタイミングZ1・(図1に示すタイミングX4に相当する)Z2のように値がリセットされる。
【0175】
そして、この停止判定カウンタの値が、(時間Tcに相当する)タイミングZ3のように、(待機時間T1に相当する)予め定めた所定の値(図13(a)では16)に達すると、その時点でのカウント値が所望の値YFから所定の範囲内にある場合には、シート搬送を停止する。
【0176】
この停止判定カウンタの設定の詳細を図13(b)に示す図13(b)に示すように、本実施形態においては、実際は、エンコーダ信号(パルスY)に含まれるエンコーダ信号A(パルスA)とエンコーダ信号B(パルスB)との双方を用いて停止判定を行う。すなわち、パルスAもしくはパルスBに相当する単一のパルスだけではモータ2の回転方向を判別できないので、パルスAとパルスBとの双方の位相関係を用いてモータ2の回転方向に応じた処理を行う。
【0177】
すなわち、シート搬送装置1においては、図13(b)のタイミングZ5以降のように、例えばパルスAがハイを保ったままパルスBがハイとローとを繰り返す、振動状態を生ずることがある。この場合には、振動状態は非常に微小なものであり、所望の精度(カウント値1つ分)よりも小さいので、停止判定を行うようにする。
【0178】
しかしながら、この場合に、パルスAもしくはパルスBに相当する単一のパルスYを用いて停止判定を行おうとすると、カウント値が所定の値に達することがなく、いつまでたっても停止判定を行うことができないという問題を生ずる虞れがある。すなわち、パルスYがパルスBの変化に応じて変化するので、パルスYの変化に応じてタイムカウンタをリセットすると、カウント値が所定の値に達することがないのである。
【0179】
そこで、本実施形態のシート搬送装置1においては、以下のように停止判定を行う。すなわち、計測時間のリセットは、モータ2の回転方向が前回と同一(一定)であるときに、パルスYが変化したときのみに行うようにする。例えばタイミングZ4、Z5のように、モータ2の回転方向が正回転のときに、パルスYが変化すると、計測時間をリセットする。一方、例えばタイミングZ6のように、モータ2の回転方向が前回と同じでないときには、パルスYが変化したとしても計測時間をリセットしない。このようにすれば、上述のような振動状態においても、停止判定を行える。なお、このような回転方向に応じた計測時間のリセットは、図10のS60、S61などにおいて説明したものと同様のものである。
【0180】
なお、例えば待機時間を設けずに、許容値のみで位置決め精度を判断しようとすると、一旦許容値内になった後に、さらに過渡的な振る舞いで許容値から逸脱する虞れがある。例えば図14に示すように、位置座標のみで停止条件を判断して、例えばタイミングZ7にて駆動力を停止した場合であっても、駆動力の停止にもかかわらず例えば慣性でモータが回転することもある。この場合には、所定の位置決め精度が得られない。
【0181】
以上のように、本実施形態に係るシート搬送装置1は、パルスYの検出によってカウント値yが目標のYFとなったことに応じて、印刷シートSを搬送する駆動力を生成するための駆動信号PWMを保持時間T2(ck)にわたって保持した後に、駆動信号を停止する構成である。
【0182】
したがって、バックテンションにもかかわらず高精度に印刷シートを位置決めできる。このため、位置決め分解能と等しい分解能のエンコーダを用いても、精度よくシート搬送制御が可能となり、高価な部材を用いずにシート搬送装置を提供できる。
【0183】
また、上述のようなラインフィード制御方法により、シートの送り速度を過度にスピードオーバーすることなく目標位置に近づくことができる。さらに、モータ2に働く負荷トルクが変動したり、モータ2の駆動トルクが変動したりしても、パルスYの変化を検知した後のシート搬送量を、パルスYの検知位置を大きく越えることなく、均一化できる。これにより、シート搬送が過度にオーバーランすることによる停止位置の変動を防止でき、正確なシート搬送が可能となる。
【0184】
この結果、デジタル位置制御における特有の課題であった数パルスの位置決め誤差は解消され、位置決め分解能と等しいエンコーダで、シート搬送の位置決め制御を行うことが可能となる。さらに、エンコーダとしてはシンプルで廉価なインクリメンタルエンコーダにおいても、上記のラインフィード制御方法を実行できることから、高精度かつ廉価なシート搬送装置、並びにそのシート搬送装置を用いたシリアルプリンタを提供できる。
【0185】
また、エンコーダはモータからギヤなどの伝達機構を経て駆動される用紙搬送ローラの軸に設けられても良い。
【0186】
なお、本方式は紙送りに限定されるものでなく、たとえばインクジェットプリンタのキャリッジ駆動、あるいは複写機などのスキャナ装置等の各種装置に適用可能である。また、駆動源としてはDCモータに限定されるものでなく、ACモータ、リニアモータ、静電モータ、超音波モータ、エアーシリンダ等、各種、駆動源へ適用可能なものである。
【0187】
ここで、従来は、デジタル位置信号を用いた位置決め制御においては、数パルスの位置決め誤差が生ずるという課題があった。
【0188】
そこで、この課題を解決するために、位置決め分解能と等しい分解能のエンコーダのデジタル位置信号のみで、印刷シートの停止位置の精度を高める方法として、目標位置の手前からデジタル位置が更新されるたびに駆動電流を“0”もしくはモータが停止するまで低下させた後、徐々に増加させ、モータが回転を始め、次のデジタル位置の更新がなされると再度、駆動電流を“0”にするという動作を繰り返す駆動方法が考えられる。
【0189】
この場合、さらにエンコーダを高分解能(例えば、1200dpiを4分割して4800dpi)にしたとき、バックテンションなど負荷状態による位置誤差、位置誤差に伴う振動、目標位置への進入方向の違いによる位置誤差などを生じる虞れがある。
【0190】
そこで、上述の本発明に係る構成を用いれば、確実に、高精度に印刷シートを位置決めできる。
【0191】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0192】
上述の具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、本発明はそのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0193】
【発明の効果】
本発明に係るシート搬送装置は、以上のように、制御部が、シートを搬送する目標位置のデジタル位置信号の出力に応じて、駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に上記駆動力を停止する構成である。
【0194】
それゆえ、搬送するシートにバックテンションが生じる場合であっても駆動力を保持して打ち消して、バックテンションによるシートの位置誤差を生じさせないという効果を奏する。
【0195】
本発明に係るシート搬送装置は、以上のように、上記構成において、上記制御部は、上記目標位置の上記デジタル位置信号の出力の回数に応じて、上記保持時間を変化させる構成である。
【0196】
それゆえ、再度の位置決めが必要となった場合に、保持時間を適切に異ならせて、適切な位置決めが可能になるという効果を奏する。
【0197】
本発明に係るシート搬送装置は、以上のように、上記構成において、上記制御部は、出力される上記デジタル位置信号に基づく上記シートの位置が上記目標位置を通過していたときには、上記シートを手前の位置まで戻すように駆動した後に、上記目標位置への搬送を行う構成である。
【0198】
それゆえ、オーバーランした状態のときには一旦数ステップ手前まで戻した後、再度位置決め動作を行うので、片方向送りによる位置決めを行って、両方向から位置決めするときの不具合を防止できるという効果を奏する。
【0199】
本発明に係るシート搬送装置は、以上のように、上記構成において、上記制御部は、上記目標位置の上記デジタル位置信号の検出の後から所定の待機時間にわたって、出力される上記デジタル位置信号と上記目標位置の上記デジタル位置信号との差が予め定めた許容範囲内であるときに、上記シートの搬送を終了する構成である。
【0200】
それゆえ、待機時間を適切に設定し、この待機時間にわたって位置決め精度を判別して、バックテンションの緩和にもかかわらず確実に位置決めができるという効果を奏する。
【0201】
本発明に係るシート搬送装置は、以上のように、上記構成において、上記待機時間を計測するための計測部を備え、上記計測部は、上記直流電動機の回転方向が一定であって上記デジタル位置信号が変化したときのみに、上記待機時間の計測を開始する構成である。
【0202】
それゆえ、直流電動機の振動状態においては待機時間をリセットしないので、振動状態であってもシートの搬送を終了できるという効果を奏する。
【0203】
本発明に係る画像形成装置は、以上のように、上述のいずれかのシート搬送装置と、上記シート搬送装置を用いて搬送した上記シートに画像を形成する画像形成部とを備えている構成である。
【0204】
それゆえ、シート搬送装置を用いて正確に位置決めしたシートに印刷を行って、品質の高い印刷を実現できるという効果を奏する。
【0205】
本発明に係る位置決め方法は、以上のように、被搬送物を搬送する目標位置のデジタル位置信号の出力に応じて、駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に、上記駆動力を停止する工程を含んでいる構成である。
【0206】
それゆえ、被搬送物への駆動力を所定の保持時間にわたって保持して、搬送装置の駆動系にバックテンションが生ずる場合であっても打ち消して、バックテンションによる駆動系の逆走を防止できるという効果を奏する。また、バックテンションが時間の経過に伴って緩和した後、駆動力を停止するので、例えば緩和した後に駆動力を付与して生ずる不用意な位置誤差を防止して、高精度の位置決めを実現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート搬送装置による搬送の一例を示すタイミングチャートである。
【図2】上記シート搬送装置の一例の概略構成を示すブロック図である。
【図3】上記シート搬送装置のロータリーエンコーダの生成するパルスを示すタイミングチャートである。
【図4】上記シート搬送装置におけるモータ回転速度の時間変化の一例を示すグラフである。
【図5】上記シート搬送装置において生ずるバックテンションの一例を説明する概略の断面図である。
【図6】上記シート搬送装置による搬送の他の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】上記シート搬送装置における搬送方法の一例を示すフローチャートである。
【図8】上記シート搬送装置における搬送方法の他の一例を示すフローチャートである。
【図9】上記シート搬送装置における搬送方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【図10】上記シート搬送装置における搬送方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【図11】上記シート搬送装置における搬送方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【図12】上記シート搬送装置における搬送方法のさらに他の一例を示すフローチャートである。
【図13】(a)は上記シート搬送装置における時間計測の一例を示す図であり、(b)は上記シート搬送装置における時間計測の他の一例を示す図である。
【図14】従来のシート搬送装置における時間計測の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 シート搬送装置(搬送装置)
2 モータ(直流電動機、DCM)
3 モータ駆動回路(制御部)
4 ロータリーエンコーダ(RE、検出器)
5 MPU制御部(制御部、計測部)
6 給紙ローラ
7 ピックアップローラ
8 印刷ヘッド(画像形成部)
9 排紙ローラ
S 印刷シート(シート、被搬送物)
T1 待機時間
T2(ck) 保持時間
YA、YB、YC、YD、YE、YFカウント値
Y−FB エンコーダパルス(パルス、デジタル位置信号)
Claims (7)
- シートを搬送する直流電動機と、上記直流電動機の回転に応じてデジタル位置信号を出力する検出器と、上記検出器から出力されるデジタル位置信号に基づいて上記直流電動機の駆動力を制御する制御部とを備えるシート搬送装置において、
上記制御部が、上記シートを搬送する目標位置の上記デジタル位置信号の出力に応じて、上記駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に上記駆動力を停止することを特徴とするシート搬送装置。 - 上記制御部は、上記目標位置の上記デジタル位置信号の出力の回数に応じて、上記保持時間を変化させることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
- 上記制御部は、出力される上記デジタル位置信号に基づく上記シートの位置が上記目標位置を通過していたときには、上記シートを手前の位置まで戻すように駆動した後に、上記目標位置への搬送を行うことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
- 上記制御部は、上記目標位置の上記デジタル位置信号の検出の後から所定の待機時間にわたって、出力される上記デジタル位置信号と上記目標位置の上記デジタル位置信号との差が予め定めた許容範囲内であるときに、上記シートの搬送を終了することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
- 上記待機時間を計測するための計測部を備え、
上記計測部は、上記直流電動機の回転方向が一定であって上記デジタル位置信号が変化したときのみに、上記待機時間の計測を開始することを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
上記シート搬送装置を用いて搬送した上記シートに画像を形成する画像形成部とを備えていることを特徴とする画像形成装置。 - 搬送装置による被搬送物の搬送に応じて検出器から出力されるデジタル位置信号に基づいて、上記搬送装置の駆動力を制御して上記被搬送物を位置決めする位置決め方法において、
上記被搬送物を搬送する目標位置の上記デジタル位置信号の出力に応じて、上記駆動力を所定の保持時間にわたって保持した後に、上記駆動力を停止する工程を含んでいることを特徴とする位置決め方法。
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2003
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