JP2007209054A - スイッチングレギュレータ及びその制御回路 - Google Patents

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Hidenori Shioe
英紀 塩江
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Abstract

【課題】 広い入力電圧範囲においてスイッチングレギュレータの安定動作と高効率を実現し、且つ、半導体集積回路の集積度を向上でき、低消費電力で高速動作可能なスイッチングレギュレータ制御回路を提供する。
【解決手段】 スイッチング素子Q1のオンオフ動作によって入力電圧Vinを低電圧の出力電圧Voutに安定化して出力するスイッチングレギュレータを構成するとともに、スイッチング素子Q1を駆動制御するためのスイッチングレギュレータ制御回路30において、スイッチング素子Q1をパルス駆動するスイッチング素子駆動回路7を含む少なくとも一部の回路が、同じ半導体基板上に半導体集積回路として形成され、スイッチング素子Q1を駆動する駆動パルスの電圧振幅が、入力電圧Vinと入力電圧より一定電圧だけ低い第1内部電圧VintH間の電圧差以下で、半導体集積回路で使用される低電圧系トランジスタの耐圧以下に設定されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、広範囲な入力電圧で使用されるスイッチングレギュレータを構成するスイッチングレギュレータ制御回路に関し、特に、スイッチングレギュレータ制御回路が形成される半導体集積回路の集積度の向上、及び、高効率なレギュレータ動作を実現させるための改良技術に関する。
従来、連続的なパルス駆動によるスイッチング素子のオンオフ動作によって広範囲な入力電圧を低電圧の出力電圧に安定化して出力するスイッチングレギュレータを構成するとともに、スイッチング素子を駆動制御するための半導体集積回路として形成されたスイッチングレギュレータ制御回路においては、図2に示すように、半導体チップ内部に構成した定電圧回路8により入力電圧Vinよりも低い内部電圧Vint(一般的には3V〜5V程度)を形成し、その内部電圧Vintと接地電位GND間に、耐圧の低い半導体素子(一般的には3V〜5V程度)で集積回路を構成するとともに(図2の回路においてはパルス幅制御回路11が該当)、入力電圧または入力電圧付近の信号を入力または出力する回路については、入力電圧Vinと接地電位GND間に入力電圧Vinより耐圧が高い半導体素子(一般的には30V〜50Vの高耐圧素子)により集積回路を構成している(図2の回路においては過電流検出回路9及びスイッチング素子駆動回路13が該当)。
一般的に、同等の電気的特性を有する低耐圧の半導体素子と高耐圧の半導体素子を比べた場合、低耐圧の半導体素子の方が、素子サイズが小さいため、図2に示した回路構成とすることで半導体集積回路の集積度を向上することができる。また、低電圧動作によって、処理信号の振幅が小さくなり、処理スピードの向上や、消費電力の低減ができる。
スイッチングレギュレータは、負荷に対して直列または並列に接続されたスイッチング素子のオンオフ動作を繰り返し、断続する電流のパルスを作り出す。この電流パルスを誘導エネルギ貯蔵素子(コイルやトランス等)と容量素子により安定負荷電流に変換する。
スイッチングレギュレータは、一般的にパルス幅制御回路を有しており、出力電圧や誘導エネルギ貯蔵素子に流れる電流等をモニタし、電流パルス幅を制御することで出力電圧が所望の電圧になるように制御している。
また、図3に、スイッチング素子にトランジスタを使用したスイッチングレギュレータ(チョッパレギュレータ)の従来の回路構成例、図4に、スイッチング素子にPチャンネルMOSFET(以下、本明細書において適宜「PMOSトランジスタ」と称する。)を使用したスイッチングレギュレータの従来の回路構成例、図5に、スイッチング素子にNチャンネルMOSFET(以下、本明細書において適宜「NMOSトランジスタ」と称する。)を使用したスイッチングレギュレータ(ブートストラップ方式のスイッチングレギュレータ)の従来の回路構成例を、夫々示す。
図3に示すチョッパレギュレータは、PNPトランジスタQ5とNPNトランジスタQ4で構成したスイッチ回路、NPNトランジスタQ6と抵抗R7及びR8で構成したスイッチング素子駆動回路、及び、パルス幅制御回路14を備えて構成され、パルス幅制御回路14からのパルス信号に基づいて、NPNトランジスタQ4がオンオフ動作を繰り返して入力電圧Vinをパルス電流に変換している。
図4に示すPMOSトランジスタを使用したスイッチングレギュレータは、スイッチング素子であるPMOSトランジスタQ7、PMOSトランジスタQ8とNMOSトランジスタQ9で構成したスイッチング素子駆動回路、及び、パルス幅制御回路15を備えて構成され、パルス幅制御回路15からのパルス信号に基づいて、PMOSトランジスタQ7がオンオフ動作を繰り返して入力電圧Vinをパルス電流に変換している。
図5に、ハイサイドNMOSトランジスタQ13、ローサイドNMOSトランジスタQ14、ハイサイドNMOSトランジスタ駆動用のNMOSトランジスタQ12、PMOSトランジスタQ10とNMOSトランジスタQ11で構成したNMOSトランジスタQ14及びNMOSトランジスタQ12を駆動するスイッチング素子駆動回路、パルス幅制御回路16、コンデンサC8、ダイオードD5、及び、抵抗R13を備えて構成されたブートストラップ方式のスイッチングレギュレータを示す。
NMOSトランジスタQ12及びQ14の各ゲートに、スイッチング素子駆動回路のON信号が印加され、NMOSトランジスタQ12及びQ14がオンすると、NMOSトランジスタQ13はオフとなるとともに、コンデンサC8はダイオードD5を介して入力電圧Vinまで充電される。
次に、NMOSトランジスタQ12及びQ14の各ゲートに、スイッチング素子駆動回路のOFF信号が印加されると、コンデンサC8に充電されていた電荷がNMOSトランジスタQ13のゲートを充電することでゲート電圧がバイアスされ、NMOSトランジスタQ13がオンする。
上述のように、パルス幅制御回路からのパルス信号に基づいて、NMOSトランジスタQ13とQ14が交互にオンオフ動作を繰り返して、入力電圧Vinをパルス電流に変換している。
尚、従来のスイッチングレギュレータの同種の回路例としては、上記以外にも、例えば、下記特許文献1等に開示されている。
特開平10−229672号公報
図3に示すチョッパレギュレータは、スイッチング素子にNPNトランジスタQ4及びPNPトランジスタQ5を使用しているため、ターンオフ時の電流下降時間(トランジスタがオフし始めてから完全にオフするまでの時間)に発生するスイッチング素子での電力損失が大きいことや、ターンオフ時の蓄積時間(OFF信号を入力してからトランジスタがオフし始めるまでの時間)が大きいことにより、スイッチング周波数を高くすることができないという課題がある。
図4に示すPMOSトランジスタQ7を使用したスイッチングレギュレータは、スイッチング素子であるPMOSトランジスタQ7をオンオフ動作するためのスイッチング素子駆動信号を、入力電圧Vinと接地電位GND間の振幅の信号を入力することとなり、入力電圧Vinが高くなると、PMOSトランジスタQ7にはゲート・ソース間耐圧が高い素子を使用しなければならなくなるという課題がある。また、PMOSトランジスタQ7のターンオフ時には、PMOSトランジスタQ7のゲートが入力電圧Vinになるまで電荷を注入し、ターンオン時にはその電荷を全て引き抜くため、入力電圧Vinが高くなるとPMOSトランジスタQ7の駆動で消費される電力が増大するという課題がある。
更に、PMOSトランジスタQ8とNMOSトランジスタQ9で構成したスイッチング素子駆動回路が入力電圧Vinと接地電位GND間に接続されるため、入力電圧Vinが高くなるにつれて、ターンオン時及びターンオフ時に瞬間的に流れる貫通電流が増大するという課題もある。
また、図5に示すブートストラップ方式のスイッチングレギュレータは、NMOSトランジスタQ13をオンした時は、NMOSトランジスタQ13のゲート・ソース間に入力電圧Vinが印加されるため、NMOSトランジスタQ13には耐圧の高い素子を選定しなければならないという課題がある。また、NMOSトランジスタQ13をオンし続ける100%デューティーサイクル動作時にはNMOSトランジスタQ13のゲートに電荷を注入する動作が行われないという課題もある。
更に、何れのスイッチング素子を使用した場合でも必要となるパルス幅制御回路14,15,16は、出力電圧VoutやコイルL3,L4,L5に流れる電流をモニタしてパルス幅の制御を行っており、そのコイルL3,L4,L5に流れる電流をモニタする方法としては、入力電圧Vinの入力端とスイッチング素子の間に抵抗を挿入し、その抵抗での電圧降下をモニタする方法が一般的である。この降下電圧信号の振幅は小さいものの、電位レベルが入力電圧Vin付近であるため、この信号を入力する端子に接続される集積回路は、高耐圧の半導体素子を用いる必要があり、チップ面積が増大するという課題がある。
また、入力電圧Vinと接地電位GND間で構成した回路の内部信号は、入力電圧Vinと接地電位GND間の電圧差の振幅となることにより、回路の処理スピードが遅くなるという課題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来のスイッチングレギュレータの回路構成と比較して回路面積を大幅に削減可能で、低消費電力で高速動作可能なスイッチングレギュレータ制御回路を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係るスイッチングレギュレータ制御回路は、連続的なパルス駆動によるスイッチング素子のオンオフ動作によって入力電圧を低電圧の出力電圧に安定化して出力するスイッチングレギュレータを構成するとともに、前記スイッチング素子を駆動制御するためのスイッチングレギュレータ制御回路であって、前記スイッチング素子をパルス駆動するスイッチング素子駆動回路を含む少なくとも一部の回路が、同じ半導体基板上に半導体集積回路として形成され、前記スイッチング素子を駆動する駆動パルスの電圧振幅が、前記半導体集積回路で使用される低電圧系トランジスタの耐圧以下に設定されていることを第1の特徴とする。
上記第1の特徴のスイッチングレギュレータ制御回路によれば、スイッチングレギュレータ制御回路を構成する回路の内の少なくともスイッチング素子駆動回路を、低電圧系トランジスタを用いて形成でき、従来の高耐圧トランジスタを使用した回路構成に比べて回路面積の縮小化できるため半導体集積回路の高集積化が図れ、更に、駆動パルスの電圧振幅を低電圧化できることから、低消費電力で高速動作可能なスイッチングレギュレータ制御回路を提供することができる。
上記第1の特徴のスイッチングレギュレータ制御回路は、更に、前記スイッチング素子がPチャンネルMOSFETであり、前記駆動パルスが前記スイッチング素子のゲートに入力し、前記駆動パルスの電圧レベルが、前記入力電圧より一定電圧だけ低い第1内部電圧と前記入力電圧間の電圧範囲内で変化することを第2の特徴とする。
上記第2の特徴の半導体集積回路によれば、低電圧系トランジスタの耐圧以下に設定された電圧振幅の駆動パルスでスイッチング素子のオンオフ動作を具体的に実現できるため、低消費電力で高速動作可能なスイッチングレギュレータ制御回路の提供することができる。更に、スイッチング素子駆動回路が小電圧振幅の駆動パルスで、スイッチング素子であるPチャンネルMOSFETをオンオフ動作させるため、高い周波数での動作においても、カットオフ損失や、MOSFETのゲートを駆動することによる電力の損失を低減することができる。
上記第1または第2の特徴のスイッチングレギュレータ制御回路は、更に、前記入力電圧より一定電圧だけ低い第1内部電圧を形成する第1定電圧回路と、接地電位より一定電圧だけ高い第2内部電圧を形成する第2定電圧回路と、前記スイッチング素子駆動回路と、前記スイッチング素子を介して流れる電流が所定の定格電流以上か否かを検出する過電流検出回路と、前記スイッチング素子駆動回路の出力パルス幅を制御するパルス幅制御回路と、第1のレベルシフト回路と、第2のレベルシフト回路と、を備えてなり、前記入力電圧と前記第1内部電圧間に前記スイッチング素子駆動回路と前記過電流検出回路を夫々接続し、前記接地電位と前記第2内部電圧間に前記パルス幅制御回路を接続し、前記第1のレベルシフト回路を介して、前記過電流検出回路とパルス幅制御回路を接続し、前記第2のレベルシフト回路を介して、前記パルス幅制御回路と前記スイッチング素子駆動回路を接続して構成されていることを第3の特徴とする。
上記第3の特徴のスイッチングレギュレータ制御回路は、更に、前記過電流検出回路が、耐圧が前記入力電圧より低い半導体素子を用いて構成されていることを第4の特徴とする。
上記第3または第4の特徴のスイッチングレギュレータ制御回路は、更に、前記スイッチング素子駆動回路が、耐圧が前記入力電圧より低い半導体素子を用いて構成されていることを第5の特徴とする。
上記第3乃至第5の何れかの特徴のスイッチングレギュレータ制御回路は、更に、前記第1定電圧回路が、所定の電流引き込み能力を有するシリーズレギュレータ回路を内蔵して構成されていることを第6の特徴とする。
上記第3乃至第6の特徴のスイッチングレギュレータ制御回路によれば、スイッチング素子駆動回路と過電流検出回路が、入力電圧の広い電圧範囲の高電圧側に設定した入力電圧と第1内部電圧間の狭い電圧範囲内で低電圧動作し、パルス幅制御回路が、入力電圧の広い電圧範囲の低電圧側に設定した接地電位と第2内部電圧間の狭い電圧範囲内で低電圧動作し、2つのレベルシフト回路によって、入力電圧の広い電圧範囲の高電圧側で動作するスイッチング素子駆動回路と過電流検出回路、及び、入力電圧の広い電圧範囲の低電圧側で動作するパルス幅制御回路の相互間が連絡され、必要な信号の授受が適切に行われる構成となっているため、上記第1または第2の特徴の作用効果を発揮するスイッチングレギュレータ制御回路を具体的に実現できる。
上記第3乃至第6の何れかの特徴のスイッチングレギュレータ制御回路は、更に、前記スイッチング素子駆動回路及び前記過電流検出回路が、P型シリコン基板に形成したウェル電位が前記入力電圧から供給される第1のNウェル内に形成されたPチャンネルMOSFETと、前記第1のNウェル内に形成したウェル電位が前記第1内部電圧から供給される第1のPウェル内に形成されたNチャンネルMOSFETを用いて構成されていることを第7の特徴とする。
上記第7の特徴のスイッチングレギュレータ制御回路によれば、入力電圧の広い電圧範囲の高電圧側に設定した入力電圧と第1内部電圧間の狭い電圧範囲内で低電圧動作するスイッチング素子駆動回路と過電流検出回路が、CMOS半導体集積回路として構成できる。
上記第7の特徴のスイッチングレギュレータ制御回路は、更に、前記パルス幅制御回路が、前記第1のNウェルの形成された前記P型シリコン基板に形成したウェル電位が前記第2内部電圧から供給される第2のNウェル内に形成されたPチャンネルMOSFETと、前記第2のNウェル内に形成したウェル電位が前記接地電位から供給される第2のPウェル内に形成されたNチャンネルMOSFETを用いて構成され、少なくとも前記スイッチング素子駆動回路、前記過電流検出回路、及び、前記パルス幅制御回路が、同じ前記P型シリコン基板上に形成されていることを第8の特徴とする。
上記第8の特徴のスイッチングレギュレータ制御回路によれば、入力電圧の広い電圧範囲の低電圧側に設定した接地電位と第2内部電圧間の狭い電圧範囲内で低電圧動作するパルス幅制御回路がCMOS半導体集積回路として構成できるとともに、入力電圧の広い電圧範囲の低電圧側で動作する回路を形成する第2のNウェルとその中に形成した第2のPウェル、及び、入力電圧の広い電圧範囲の高電圧側で動作する回路を形成する第1のNウェルとその中に形成した第1のPウェルを、同じP型シリコン基板に形成し、各ウェル電位を独立して供給することで、2つの異なる電圧範囲で動作する回路を同じP型シリコン基板上に1つの集積回路として構成することができる。
本発明に係るスイッチングレギュレータは、上記何れかの特徴のスイッチングレギュレータ制御回路と前記スイッチング素子を備えてなることを第1の特徴とする。
上記第1の特徴のスイッチングレギュレータによれば、上記何れかの特徴のスイッチングレギュレータ制御回路が使用されることで、低消費電力で高速動作可能なスイッチングレギュレータを提供できる。
上記第1の特徴のスイッチングレギュレータは、更に、前記スイッチング素子と前記スイッチングレギュレータ制御回路が同じ半導体基板上に形成されており、前記スイッチング素子が、前記半導体基板上のNウェル内に形成されているPチャンネルMOSFETであることを第2の特徴とする。
上記第2の特徴のスイッチングレギュレータによれば、スイッチング素子とスイッチングレギュレータ制御回路を1つの半導体集積回路に集積した低消費電力で高速動作可能なスイッチングレギュレータを提供できる。
以下、本発明に係るスイッチングレギュレータ制御回路(以下、適宜「本発明回路」と略称する。)及び本発明回路を用いたスイッチングレギュレータの実施形態を、図面を参照して説明する。尚、以下の説明によって本発明が限定されるものではない。
図1に示すように、本発明回路30を用いたスイッチングレギュレータは、本発明回路30の外部に、スイッチング素子であるPMOSトランジスタQ1、過電流検出抵抗R1、出力電圧分割抵抗R2,R3、コイルL1、コンデンサC1、平滑コンデンサC2、ダイオードD1を備えて構成される。
更に、本発明回路30は、図1に示すように、第1定電圧回路1、第2定電圧回路2、スイッチング素子駆動回路7、過電流検出回路3、パルス幅制御回路5、第1レベルシフト回路4、及び、第2レベルシフト回路6を備えて構成される。
第1定電圧回路1は、電源端子(入力電圧Vin)とGND端子(接地電位)間に形成され、入力電圧Vinより一定電圧だけ低い第1内部電圧VintHを形成する。また、第2定電圧回路2は、電源端子とGND端子間に形成され、接地電位GNDより一定電圧だけ高い第2内部電圧VintLを形成する。尚、第1定電圧回路1及び第2定電圧回路2の回路構成としては、公知の定電圧回路の回路構成が利用できる。
スイッチング素子駆動回路7は入力電圧Vinと第1内部電圧VintH間に形成され、PMOSトランジスタQ1をパルス駆動するためのパルス信号を出力する。スイッチング素子駆動回路7の出力端子は、本発明回路30のスイッチング制御端子を介してPMOSトランジスタQ1のゲートに接続し、スイッチング素子駆動回路7の入力端子は、第2レベルシフト回路6を介して、パルス幅制御回路5の出力端子に接続する。
過電流検出回路3は入力電圧Vinと第1内部電圧VintH間に形成され、PMOSトランジスタQ1を介して流れる電流が所定の定格電流以上か否かを検出する。過電流検出回路3の入力端子は、PMOSトランジスタQ1のソースと過電流検出抵抗R1の接続点と接続し、過電流検出回路3の出力端子は、第1レベルシフト回路4を介してパルス幅制御回路5の第1の入力端子に接続する。
パルス幅制御回路5は、接地電位GNDと第2内部電圧VintL間に形成され、スイッチング素子駆動回路7の出力パルス幅、つまり、PMOSトランジスタQ1のオンオフ動作で形成されコイルL1を流れるパルス電流ILのパルス幅を制御する。パルス幅制御回路5の第2の入力端子は、出力電圧分割抵抗R2と出力電圧分割抵抗R3の接続点と接続し、パルス幅制御回路5の出力端子は、第2レベルシフト回路6を介してスイッチング素子駆動回路7の入力端子に接続する。この結果、出力電圧Voutの情報とコイルL1に流れる電流ILの情報を夫々受けて、第2レベルシフト回路6を介して、スイッチング駆動回路7に上記パルス幅を制御するパルス信号が出力される。尚、パルス幅制御回路5の回路構成としては、公知のパルス幅制御回路の回路構成が利用できる。
PMOSトランジスタQ1のゲートはスイッチング制御端子に接続され、ソースは過電流検出抵抗R1と過電流検出回路3に接続され、ドレインはダイオードD1のカソードとコイルL1の一端と接続される。また、PMOSトランジスタQ1のソースに接続された過電流検出抵抗R1の他端は入力電源(入力電圧Vin)に接続される。
パルス幅制御回路5にて生成されたパルス信号は、第2レベルシフト回路6及びスイッチング素子駆動回路7を介して、PMOSトランジスタQ1のオンオフ動作を行い、断続する電流のパルスを作り出す。このパルス電流ILをダイオードD1、コイルL1、平滑コンデンサC2により平滑することで、所定の出力電圧Voutを発生する。
また、過電流検出抵抗R1でコイルL1に流れる電流ILを電圧に変換し、入力電圧Vin付近の小振幅信号を過電流検出回路3にて検出し、その情報は第1レベルシフト回路4を介してパルス幅制御回路5に提供される。
また、出力電圧Voutを出力電圧分割抵抗R2と出力電圧分割抵抗R3で分圧した電圧値もパルス幅制御回路5に提供される。
パルス幅制御回路5は、コイルL1に流れる電流ILと出力電圧Voutの情報から、所定の出力電圧の発生に適切なパルス信号を生成する。
図6は、本発明回路30の過電流検出回路3と第1レベルシフト回路4の一構成例を示す回路図である。過電流検出とは、図1のスイッチングレギュレータ回路において、PMOSトランジスタQ1及びコイルL1に定格電流以上の電流が流れて、PMOSトランジスタQ1やコイルL1を破壊することのないように、コイル電流ILを検出することを目的としている。コイル電流ILの検出は、PMOSトランジスタQ1と入力電圧Vin間に挿入した電流検出抵抗R1によって生じる降下電圧Vcsをモニタすることで実現している。この降下電圧Vcs、コイル電流ILの電流値、電流検出抵抗R1の抵抗値の関係は、下記の数1に示す関係が成り立つ。
(数1)
Vcs=IL×R1
一般的には、過電流と判定する降下電圧Vcslimは、本発明回路30内で設定されており、過電流と判定する電流ILlimの設定は、電流検出抵抗R1の抵抗値を変更することで設定する。
図6に示す過電流検出回路3は、NMOSトランジスタQ15,Q16、PMOSトランジスタQ17,Q18、定電流回路17,18,19、判定電圧V2、カスコード電圧V1、信号入力端子CSINを備えて構成される。信号入力端子CSINは、図1に示すPMOSトランジスタQ1のソースと電流検出抵抗R1の接続点に接続され、降下電圧Vcsが入力信号として入力される。
NMOSトランジスタQ15及びQ16は各ソースを共通接続され、その各ソースは定電流回路19に接続し、NMOSトランジスタQ15のドレインは定電流回路17、NMOSトランジスタQ16のドレインは定電流回路18に夫々接続し、NMOSトランジスタQ15のゲートを判定電圧V2、NMOSトランジスタQ16のゲートを信号入力端子CSINに夫々接続することで、過電流判定電圧V2と信号入力端子CSINの電圧を比較するコンパレータ回路を構成している。尚、定電流回路17及び18は同じ定電流が出力されるよう設定されている。
また、NMOSトランジスタQ15及びQ16の各ソースに接続された定電流回路19の他端は、第1内部電圧VintHに接続されており、過電流検出回路3は入力電圧Vinと第1内部電圧VintH間で構成されている。
また、PMOSトランジスタQ17及びQ18の各ゲートは共にカスコード電圧V1に接続し、各ソースはNMOSトランジスタQ15及びQ16の各ドレインに夫々接続することで、NMOSトランジスタQ15及びQ16の動作点を確保するバイアス回路を構成している。
尚、過電流検出回路3の判定電圧V2が過電流判定電圧Vcslimとなる(つまり、V2=Vcslim )。
また、図6に示す第1レベルシフト回路4は、高耐圧PMOSトランジスタQ19,Q20、NMOSトランジスタQ21,Q22,Q23,Q26、PMOSトランジスタQ24,Q25、判定結果出力端子CSOUTを備えて構成される。
高耐圧PMOSトランジスタQ19及びQ20の各ソースを夫々過電流検出回路3のPMOSトランジスタQ17及びQ18の各ドレインに夫々接続し、各ゲートは第1内部電圧VintH に共通に接続することで、PMOSトランジスタQ17及びQ18の各ドレイン電圧が第1内部電圧VintH以下にならないためのバイアス回路を構成している。
NMOSトランジスタQ21とQ23、NMOSトランジスタQ22とQ26、PMOSトランジスタQ24とQ25は、NMOSトランジスタQ21のゲート及びドレインとNMOSトランジスタQ23のゲートを共通に接続し、NMOSトランジスタQ22のゲート及びドレインとNMOSトランジスタQ26のゲートを共通に接続し、PMOSトランジスタQ24のゲート及びドレインとPMOSトランジスタQ25のゲートを共通に接続することで、夫々がカレントミラー回路を構成している。また、PMOSトランジスタQ24及びQ25のソースは、第2内部電圧VintLに接続することで、カレントミラー回路を第2内部電圧VintLと接地電位GND間で構成している。
コイル電流ILが小さいとき、すなわち過電流検出抵抗R1での降下電圧Vcsが低いとき(Vcs<V2(=Vcslim))は、NMOSトランジスタQ15のゲート電位に比べてNMOSトランジスタQ16のゲート電位の方が高いので、NMOSトランジスタQ15のドレイン電流に比べてNMOSトランジスタQ16のドレイン電流の方が多くなり、この2つのNMOSトランジスタが同じ電流を出力する定電流回路に接続されていることから、PMOSトランジスタQ17のドレイン電流に比べてPMOSトランジスタQ18のドレイン電流の方が小さくなる。
このPMOSトランジスタQ17及びQ18のドレイン電流は、夫々高耐圧PMOSトランジスタQ19及びQ20を介してNMOSトランジスタQ21及びQ22へと流れる。NMOSトランジスタQ21,Q22,Q23,Q24,PMOSトランジスタQ25,Q26で構成したカレントミラー回路により、NMOSトランジスタQ21とQ23,PMOSトランジスタQ24とQ25、及び、NMOSトランジスタQ22とQ26の各ドレイン電流は夫々等しくなるので、PMOSトランジスタQ17のドレイン電流に比べてPMOSトランジスタQ18のドレイン電流の方が小さいときは、PMOSトランジスタQ25のドレイン電流に比べてNMOSトランジスタQ26のドレイン電流の方が小さくなり、判定結果出力端子CSOUTは第2内部電圧VintLと略等しい電圧(接地電位GNDと第2内部電圧VintL間の電圧範囲においては高レベルのHigh出力)が出力される。
コイル電流ILが電流検出抵抗R1で設定した過電流と判定する電流ILlimを超えたとき、即ち、電流検出抵抗R1での降下電圧Vcsが判定電圧V2より大きくなったとき(Vcs>V2(=Vcslim))は、NMOSトランジスタQ15のゲート電位に比べてNMOSトランジスタQ16のゲート電位の方が低くなるので、NMOSトランジスタQ15のドレイン電流に比べてNMOSトランジスタQ16のドレイン電流の方が小さくなり、PMOSトランジスタQ17のドレイン電流に比べてPMOSトランジスタQ18のドレイン電流の方が大きくなる。このドレイン電流は、コイル電流ILが小さいときと同様にカレントミラー回路によりミラーされ、PMOSトランジスタQ25のドレイン電流に比べてNMOSトランジスタQ26のドレイン電流の方が大きくなり、判定結果出力端子CSOUTは接地電位GNDと略等しい電圧(接地電位GNDと第2内部電圧VintL間の電圧範囲においては低レベルのLow出力)が出力される。
過電流検出回路3は、入力電圧Vinと、入力電圧Vinより一定電圧だけ低い第1内部電圧VintHの間で構成したので、入力電圧Vinが高くなっても過電流検出回路3は当該一定電圧間に構成されるため、入力電圧Vinの電位レベルに拘らず耐圧の低いMOSFETのみで構成できるようになり、過電流検出回路3の集積度を向上することができる。
図7は、本発明回路30によるスイッチング素子駆動回路7と第2レベルシフト回路6の一構成例を示す回路図である。
第2レベルシフト回路6は、高耐圧NMOSトランジスタQ29,Q30、NMOSトランジスタQ27,Q28,Q34,Q36、PMOSトランジスタQ31,Q32,Q33,Q35、定電流回路23、インバータ回路22、パルス信号入力端子INを備えて構成される。
NMOSトランジスタQ27及びQ28は各ソースを共通接続され、その各ソースは定電流回路23に接続し、NMOSトランジスタQ27のゲートをインバータ回路22の出力に、NMOSトランジスタQ28のゲートをパルス信号入力端子INに夫々接続する。また、インバータ回路の入力はパルス信号入力端子INに接続する。
高耐圧NMOSトランジスタQ29及びQ30の各ソースを夫々NMOSトランジスタQ27及びQ28の各ドレインに夫々接続し、各ゲートは第2内部電圧VintLに共通に接続することで、NMOSトランジスタQ27及びQ28の各ドレイン電圧が第2内部電圧VintL以上にならないためのバイアス回路を構成している。
PMOSトランジスタQ31とQ33、PMOSトランジスタQ32とQ35、NMOSトランジスタQ34とQ36は、PMOSトランジスタQ31のゲート及びドレインとPMOSトランジスタQ33のゲートを共通に接続し、PMOSトランジスタQ32のゲート及びドレインとPMOSトランジスタQ35のゲートを共通に接続し、NMOSトランジスタQ34のゲート及びドレインとNMOSトランジスタQ36のゲートを共通に接続することで、夫々がカレントミラー回路を構成している。また、NMOSトランジスタQ34及びQ36の各ソースは第1内部電圧VintHに接続することで、カレントミラー回路を入力電圧Vinと第1内部電圧VintH間で構成している。
スイッチング素子駆動回路7は、NMOSトランジスタQ38,Q40、PMOSトランジスタQ37,Q39、スイッチング素子駆動信号出力端子OUTを備えて構成される。PMOSトランジスタQ37とNMOSトランジスタQ38はゲート及びドレインを共通に接続し、PMOSトランジスタQ37のソースを入力電圧Vinに接続し、NMOSトランジスタQ38のソースを第1内部電圧VintHに接続している。同様に、PMOSトランジスタQ39とNMOSトランジスタQ40も、ゲート及びドレインを共通に接続し、PMOSトランジスタQ39のソースを入力電圧Vinに接続し、NMOSトランジスタQ40のソースを第1内部電圧VintHに接続している。PMOSトランジスタQ37とNMOSトランジスタQ38のゲートはPMOSトランジスタQ35とNMOSトランジスタQ36のドレインに接続され、PMOSトランジスタQ39とNMOSトランジスタQ40のゲートはPMOSトランジスタQ37とNMOSトランジスタQ38のドレインに接続され、PMOSトランジスタQ39とNMOSトランジスタQ40のドレインはスイッチング素子駆動信号出力端子OUTに接続される。当該回路構成により、PMOSトランジスタQ37とNMOSトランジスタQ38及びPMOSトランジスタQ39とNMOSトランジスタQ40は、入力電圧Vinと第1内部電圧VintH間でのインバータ回路を構成している。また、PMOSトランジスタQ39とNMOSトランジスタQ40はゲート幅が非常に広い高電流駆動能力のMOSFETで構成される。
パルス幅制御回路5は、接地電位GNDより一定電圧だけ高い第2内部電圧VintLと接地電位GND間で形成されているので、パルス幅制御回路5は第2内部電圧VintLと接地電位GND間の電圧差を振幅とするパルス信号を形成する。
パルス幅制御回路5で形成されたパルス信号は、パルス信号入力端子INから第2レベルシフト回路6に入力され、NMOSトランジスタQ28のゲートにはパルス信号がそのまま入力され、NMOSトランジスタQ27のゲートには、インバータ回路22によって反転されたパルス信号が入力される。
パルス信号入力端子の電位が第2内部電圧VintL(Highレベル)となると、NMOSトランジスタQ28のゲート電位は第2内部電圧VintL、NMOSトランジスタQ27のゲート電位は接地電位GNDとなるので、NMOSトランジスタQ28がオンし、NMOSトランジスタQ27がオフとなり、定電流回路23の電流はNMOSトランジスタQ28に流れる。逆に、パルス信号入力端子の電位が接地電位GND(Lowレベル)となると、NMOSトランジスタQ28のゲート電位は接地電位GND、NMOSトランジスタQ27のゲート電位は第2内部電圧VintLとなるので、NMOSトランジスタQ28がオフし、NMOSトランジスタQ27がオンとなり、定電流回路23の電流はNMOSトランジスタQ27に流れる。
また、NMOSトランジスタQ27及びQ28に流れる電流は高耐圧NMOSトランジスタQ29及びQ30を介してPMOSトランジスタQ31及びQ32のドレイン電流となる。
PMOSトランジスタQ31とQ33、PMOSトランジスタQ32とQ35、NMOSトランジスタQ34とQ36は、夫々がカレントミラー回路を構成しているので、PMOSトランジスタQ31とQ33及びNMOSトランジスタQ34とQ36の各ドレイン電流は等しくなり、PMOSトランジスタQ32とQ35の各ドレイン電流は等しくなる。
この結果、パルス信号入力端子の電位が第2内部電圧VintL(Highレベル)となると、定電流回路23の電流と同等の電流がPMOSトランジスタQ35に流れ、PMOSトランジスタQ35のドレイン電圧が入力電圧Vin(Highレベル)となり、逆に、パルス信号入力端子の電位が接地電位GND(Lowレベル)となると、定電流回路23の電流と同等の電流がNMOSトランジスタQ36に流れ、NMOSトランジスタQ36のドレイン電圧が第1内部電圧VintH(Lowレベル)となる。このようにして第2内部電圧VintLと接地電位GND間のパルス信号から入力電圧Vinと第1内部電圧VintH間のパルス信号へのレベルシフトを実現している。
当該レベルシフトされたパルス信号は、スイッチング素子駆動回路7を介してスイッチング素子駆動回路7の出力端子OUTから出力される。PMOSトランジスタQ39とNMOSトランジスタQ40はゲート幅を広くすることで、各MOSFETのオン抵抗を低くし、ゲート容量が大きいスイッチング素子(PMOSトランジスタQ1)を高速に駆動することを実現している。尚、第1定電圧回路1は、スイッチング素子駆動回路7の出力パルス信号を第1内部電圧VintH(Lowレベル)まで高速に引き下げる必要から、例えば、高速スイッチング動作に必要な所定の電流引き込み能力を有するシリーズレギュレータ回路を内蔵して構成されるのが好ましい。
過電流検出回路3と同様に、スイッチング素子駆動回路7は入力電圧Vinと入力電圧Vinより一定電圧だけ低い第1内部電圧VintHの間で構成したので、入力電圧Vinの電位レベルに拘らず耐圧の低いMOSFETのみで構成できるので、スイッチング素子駆動回路7の集積度を向上することができる。
一般的に耐圧の高いMOSFETは、耐圧を確保するためにゲート長を短くすることができず、耐圧の低いMOSFETと比べてゲート長を5倍〜10倍程度確保する必要がある。また、ゲート長にほぼ比例してMOSFETのオン抵抗は高くなるので、耐圧の高いMOSFETで耐圧の低いMOSFETと同じオン抵抗を実現するためには、ゲート幅を5倍〜10倍程度にする必要があり、面積的には25倍〜100倍程度が必要となる。
スイッチング素子駆動回路7はオン抵抗を低くするためにゲート幅が非常に大きなMOSFETを使用するため、耐圧の低いMOSFETで構成できることによる集積度に対するメリットは大きい。
従来のスイッチングレギュレータを構成するスイッチングレギュレータ制御回路(図2参照)におけるスイッチング素子駆動回路13の動作信号及びスイッチング素子駆動信号の電圧波形は、図8(b)に示すような電圧振幅の波形となるが、本発明回路30のスイッチング素子駆動回路7の動作信号は、図8(a)に示すように、入力電圧Vinと入力電圧Vinより一定電圧だけ低い第1内部電圧VintHの間の信号となり、また、スイッチング素子駆動信号も同様に、図8(a)に示す小電圧振幅のパルス信号となり、高速のスイッチング動作を実現できるとともに、スイッチング素子駆動回路7での貫通電流を低減できる。
更に、スイッチング素子であるPMOSトランジスタQ1のゲートを小電圧振幅で駆動するので、スイッチング素子のゲート駆動に消費される電力の低減を実現できるとともに、耐圧の低いスイッチング素子を使用することができる。
スイッチング素子駆動回路7での貫通電流で消費される電力PD、及び、PMOSトランジスタQ1のゲート駆動で消費される電力Pswは、下記の数2及び数3で算出できる。数2及び数3において、CDはスイッチング素子駆動回路7のゲート容量、CswはPMOSトランジスタQ1のゲート容量、Foscは発振周波数、VPはパルス信号の振幅である。
(数2)
PD =(CD×VP×Fosc)/2
(数3)
Psw =(Csw×VP×Fosc)/2
スイッチング素子駆動回路7の貫通電流で消費される電力PDや、PMOSトランジスタQ1のゲート駆動で消費される電力Pswは、パルス信号の振幅VPの2乗に比例するため、入力電圧Vinより一定電圧だけ低い第1内部電圧VintHを入力電圧Vinより3V低い電圧とした場合、入力電圧が15Vの時は、スイッチング素子駆動回路7で消費される電力が25分の1、入力電圧が30Vになると100分の1となり、入力電圧Vinが高くなればなるほど消費電力の低減効果は大きくなる。
また、本発明回路30では、スイッチング素子を駆動するためにバイアス電圧を供給する必要がないので、100%デューティー動作を含め、安定したスイッチング動作を行うことができる。
図9は、本発明回路30を同一半導体基板上に半導体集積回路として構成する場合の、P型シリコン基板28のウェル構造の構成例を示す。
Nウェル25及び27はP型シリコン基板28に夫々分離して形成され、Nウェル25(第2のNウェルに相当)の中にさらにPウェル24(第2のPウェルに相当)を、Nウェル27(第1のNウェルに相当)の中に更にPウェル26(第1のPウェルに相当)を、夫々形成する。また、Pウェル24の中にNMOSトランジスタQ41を、Nウェル25の中にPMOSトランジスタQ42を、Pウェル26の中にNMOSトランジスタQ43を、Nウェル27の中にPMOSトランジスタQ44を、夫々形成する。そして、P型シリコン基板28には接地電位GNDが、Nウェル25には第2内部電圧VintLが、Nウェル27には入力電圧Vinが、Pウェル24には、接地電位GNDが、Pウェル26には第1内部電圧VintHが、夫々供給される。
上記ウェル構造及びウェル電位とすることで、第2内部電圧VintLと接地電位GND間の回路構成においては、NMOSトランジスタQ41のドレイン電位及びPMOSトランジスタQ42のドレイン電位は第2内部電圧VintLと接地電位GND間の電位としかならないため、NMOSトランジスタQ41のドレイン・ソース間及びドレイン・バックゲート(Pウェル24)間、PMOSトランジスタQ42のドレイン・ソース間及びドレイン・バックゲート(Nウェル25)間、Pウェル24・Nウェル25間、Nウェル ・P型シリコン基板28間の全ての電位差が第2内部電圧VintLと接地電位GND間の電位差以下にしかならないため、耐圧の低いMOSFETのみで回路を構成することが可能となる。
また同様に、第1内部電圧VintHと入力電圧Vin間の回路構成においても、NMOSトランジスタQ43のドレイン電位及びPMOSトランジスタQ44のドレイン電位は第1内部電圧VintHと入力電圧Vin間の電位としかならないため、NMOSトランジスタQ43のドレイン・ソース間及びドレイン・バックゲート(Pウェル26)間、PMOSトランジスタQ44のドレイン・ソース間及びドレイン・バックゲート(Nウェル27)間、Pウェル26・Nウェル27間の電位差は、第1内部電圧VintHと入力電圧Vin間の電位差以下にしかならない。一方、Nウェル27・P型シリコン基板間には入力電圧Vinと接地電位GND間の電位差が生じるが、一般的にP型シリコン基板28及びNウェル27の不純物濃度は低いため、PN接合耐圧は高くなっている。
上記の如く、耐圧の低いMOSFETを形成するウェル構造のNウェル25及び27を分離して形成することにより、同一のP型シリコン基板上に第2内部電圧VintLと接地電位GND間の回路と第1内部電圧VintHと入力電圧Vinの回路を同時に形成することができ、また、入力電圧Vinの電圧範囲はP型シリコン基板28とNウェル27のPN接合耐圧まで高くすることができる。
以上、詳細に説明したように、本発明回路30には、第1定電圧回路1を用いて入力電圧Vinより一定電圧だけ低い第1内部電圧VintHを形成したことにより、入力電圧Vin付近の小振幅信号を入力する回路(過電流検出回路3)及び入力電圧Vin付近の小振幅信号を出力する回路(スイッチング素子駆動回路7)を、耐圧の低い半導体素子で構成することができ、チップの集積化を向上することができる。また、入力電圧Vinと第1内部電圧VintH間に構成した回路(パルス幅制御回路5)は、回路内部の信号が小振幅となるので、信号処理速度の向上及び回路の消費電力を低減することができる。また、入力電圧Vinと第1内部電圧VintH間に構成した回路3,7は、入力電圧Vinの変動の影響を受けにくいので、広範囲の入力電圧で安定した回路動作を実現できる。更に、入力電圧Vinの電圧レベルに拘らず、一定の電圧振幅でスイッチング素子であるPMOSトランジスタQ1を駆動するので、耐圧の低いMOSFETの選定や、PMOSトランジスタQ1のゲート駆動に消費される電力を低減することができる。これらの結果により、電圧範囲が広範囲の入力電圧Vinに対しても、高効率で安定性に優れたスイッチングレギュレータを実現できる。
以上、本発明回路30の一実施形態を、それを用いたスイッチングレギュレータとともに詳細に説明したが、本発明回路30に使用する過電流検出回路3、スイッチング素子駆動回路7、及び、2つのレベルシフト回路4,6の回路構成は、図6及び図7に例示した回路構成に限定されるものではなく、同じ機能を奏する他の回路構成に適宜変更可能である。また、本発明回路30を用いて構成されるスイッチングレギュレータの回路構成も図1に示す回路構成に限定されるものではない。
本発明は、スイッチングレギュレータに利用可能であり、特に、半導体集積回路で形成されるスイッチングレギュレータのスイッチング素子を駆動制御するためのスイッチングレギュレータ制御回路に利用可能である。
本発明に係るスイッチングレギュレータ制御回路のブロック構成と、本発明に係るスイッチングレギュレータ制御回路で構成されるスイッチングレギュレータの一回路構成例を示す回路図 従来の広範囲の入力電圧で使用されるスイッチングレギュレータを構成するスイッチングレギュレータ制御回路のブロック構成と、スイッチングレギュレータの一回路構成例を示す回路図 従来のスイッチング素子にバイポーラトランジスタを使用したスイッチングレギュレータの回路構成例を示す回路図 従来のスイッチング素子にPMOSトランジスタを使用したスイッチングレギュレータの回路構成例を示す回路図 従来のスイッチング素子にNMOSトランジスタを使用したスイッチングレギュレータの回路構成例を示す回路図 本発明に係るスイッチングレギュレータ制御回路に用いる過電流検出回路と第1レベルシフト回路の回路構成例を示す回路図 本発明に係るスイッチングレギュレータ制御回路に用いるスイッチング素子駆動回路と第2レベルシフト回路の回路構成例を示す回路図 (a)本発明に係るスイッチングレギュレータ制御回路に用いるスイッチング素子駆動回路の駆動電圧波形図と、(b)従来回路によるスイッチング素子駆動回路の駆動電圧波形図 本発明に係るスイッチングレギュレータ制御回路を半導体集積回路で形成した場合のP型シリコン基板のウェル構造の構成例を示す素子断面図
符号の説明
30: 本発明に係るスイッチングレギュレータ制御回路
1: 第1定電圧回路
2: 第2定電圧回路
3,9: 過電流検出回路
4: 第1レベルシフト回路
5,11,14,15,16: パルス幅制御回路
6: 第2レベルシフト回路
7,13: スイッチング素子駆動回路
8: 定電圧回路
10,12: レベルシフト回路
17,18,19,23: 定電流回路
22: インバータ回路
24: 第2のPウェル
25: 第2のNウェル
26: 第1のPウェル
27: 第1のNウェル
28: P型シリコン基板
C1 〜 C9: コンデンサ
D1 〜 D5: ダイオード
GND: 接地電位
L1 〜 L5: コイル
Q1: PMOSトランジスタ(スイッチング素子)
Q2,Q7,Q8,Q10,Q17,Q18,Q24,Q25,Q31〜Q33,Q35,Q37,Q39,Q42,Q44: PMOSトランジスタ
Q9,Q11〜Q16,Q21〜Q23,Q26〜Q28,Q34,Q36,Q38,Q40,Q41,Q43: NMOSトランジスタ
Q4,Q6: NPNトランジスタ
Q5: PNPトランジスタ
Q19,Q20: 高耐圧PMOSトランジスタ
Q29,Q30: 高耐圧NMOSトランジスタ
R1,R4: 過電流検出抵抗
R2,R3,R5,R6,R9〜R12,R14,R15: 出力電圧分割抵抗
R7,R8,R13: 抵抗
Vcs: 過電流検出に使用する降下電圧
Vin: 入力電圧
VintH: 第1内部電圧
VintL: 第2内部電圧
Vout: 出力電圧

Claims (10)

  1. 連続的なパルス駆動によるスイッチング素子のオンオフ動作によって入力電圧を低電圧の出力電圧に安定化して出力するスイッチングレギュレータを構成するとともに、前記スイッチング素子を駆動制御するためのスイッチングレギュレータ制御回路であって、
    前記スイッチング素子をパルス駆動するスイッチング素子駆動回路を含む少なくとも一部の回路が、同じ半導体基板上に半導体集積回路として形成され、
    前記スイッチング素子を駆動する駆動パルスの電圧振幅が、前記半導体集積回路で使用される低電圧系トランジスタの耐圧以下に設定されていることを特徴とするスイッチングレギュレータ制御回路。
  2. 前記スイッチング素子がPチャンネルMOSFETであり、
    前記駆動パルスが前記スイッチング素子のゲートに入力し、
    前記駆動パルスの電圧レベルが、前記入力電圧より一定電圧だけ低い第1内部電圧と前記入力電圧間の電圧範囲内で変化することを特徴とする請求項1に記載のスイッチングレギュレータ制御回路。
  3. 前記入力電圧より一定電圧だけ低い第1内部電圧を形成する第1定電圧回路と、
    接地電位より一定電圧だけ高い第2内部電圧を形成する第2定電圧回路と、
    前記スイッチング素子駆動回路と、
    前記スイッチング素子を介して流れる電流が所定の定格電流以上か否かを検出する過電流検出回路と、
    前記スイッチング素子駆動回路の出力パルス幅を制御するパルス幅制御回路と、
    第1のレベルシフト回路と、
    第2のレベルシフト回路と、を備えてなり、
    前記入力電圧と前記第1内部電圧間に前記スイッチング素子駆動回路と前記過電流検出回路を夫々接続し、
    前記接地電位と前記第2内部電圧間に前記パルス幅制御回路を接続し、
    前記第1のレベルシフト回路を介して、前記過電流検出回路とパルス幅制御回路を接続し、
    前記第2のレベルシフト回路を介して、前記パルス幅制御回路と前記スイッチング素子駆動回路を接続して構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチングレギュレータ制御回路。
  4. 前記過電流検出回路が、耐圧が前記入力電圧より低い半導体素子を用いて構成されていることを特徴とする請求項3に記載のスイッチングレギュレータ制御回路。
  5. 前記スイッチング素子駆動回路が、耐圧が前記入力電圧より低い半導体素子を用いて構成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のスイッチングレギュレータ制御回路。
  6. 前記第1定電圧回路が、所定の電流引き込み能力を有するシリーズレギュレータ回路を内蔵して構成されていることを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載のスイッチングレギュレータ制御回路。
  7. 前記スイッチング素子駆動回路及び前記過電流検出回路が、P型シリコン基板に形成したウェル電位が前記入力電圧から供給される第1のNウェル内に形成されたPチャンネルMOSFETと、前記第1のNウェル内に形成したウェル電位が前記第1内部電圧から供給される第1のPウェル内に形成されたNチャンネルMOSFETを用いて構成されていることを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載のスイッチングレギュレータ制御回路。
  8. 前記パルス幅制御回路が、前記第1のNウェルの形成された前記P型シリコン基板に形成したウェル電位が前記第2内部電圧から供給される第2のNウェル内に形成されたPチャンネルMOSFETと、前記第2のNウェル内に形成したウェル電位が前記接地電位から供給される第2のPウェル内に形成されたNチャンネルMOSFETを用いて構成され、
    少なくとも前記スイッチング素子駆動回路、前記過電流検出回路、及び、前記パルス幅制御回路が、同じ前記P型シリコン基板上に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のスイッチングレギュレータ制御回路。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載のスイッチングレギュレータ制御回路と前記スイッチング素子を備えてなるスイッチングレギュレータ。
  10. 前記スイッチング素子と前記スイッチングレギュレータ制御回路が同じ半導体基板上に形成されており、前記スイッチング素子が、前記半導体基板上のNウェル内に形成されているPチャンネルMOSFETであることを特徴とする請求項9に記載のスイッチングレギュレータ。
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