JP2007207715A - イオンドーピング装置およびイオンドーピング方法 - Google Patents

イオンドーピング装置およびイオンドーピング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安定したイオンビームの均一性を確保できるイオンドーピング装置を提供する。
【解決手段】イオン生成室2とプラズマ電極21との間に熱抵抗27を設置した。プラズマ電極21とイオン生成室2との間の温度差によるプラズマ電極21内の熱流を抑制できる。プラズマ電極21に堆積する堆積膜での電荷量の差を抑制できる。プラズマ電極21に印加される電圧分布を抑制できる。プラズマ電極21に冷却路を設けて冷却液を通液する。プラズマ電極21を均一に冷却できる。プラズマ電極21への堆積膜の形成を抑制できる。イオンドーピング室11内でのイオンビームの均一性の時間の経過に伴う低下を防止できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被ドーピング材をイオンドーピングするイオンドーピング装置およびその方法に関する。
従来、この種のイオンドーピング装置とは、イオン生成室にて発生させたイオン種のすべてを質量分離させることなく、例えば730mm×920mmの大きさのガラス基板に高速に注入させて、このガラス基板上に形成された半導体層にイオンをドーピングする。このイオン生成室には、イオン生成室にて生成されたイオンを半導体層に注入するイオンドーピング室が取り付けられており、このイオンドーピング室とイオン生成室との間に引出電極および加速電極が取り付けられている。さらに、これら引出電極および加速電極とイオン生成室との間には、複数の開口部を有するプラズマ電極が取り付けられている。
そして、この種のイオンドーピング装置としては、イオン生成室を加熱または冷却用の媒体で覆うことで一定の温度に保つ構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−303784号公報
上述したように、上記イオンドーピング装置では、イオン生成室自体の温度を均一化することはできたとしても、例えばプラズマ電極に蓄積された熱は、このプラズマ電極の中央部からイオン生成室との接続部分へと流れていくので、プラズマ電極内で温度分布が生じる。したがって、イオン生成室へと導入されたイオン原料ガスによるプラズマ電極への蓄積が均一とならず、このプラズマ電極に蓄積したイオン原料ガスの膜厚に分布が生じてしまう。
特に、このプラズマ電極に堆積した膜が絶縁性を有する場合には、この膜の膜厚分布によってイオンおよび2次電子のチャージが不均一となり分布が生じるので、イオン引出電圧に分布が生じることとなり、イオンドーピング室でのイオンビームの均一性が、堆積膜の時間経過とともに低下してしまうおそれがあるという問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、イオンの均一性を確保できるイオンドーピング装置およびその方法を提供することを目的とする。
本発明は、イオンを生成するイオン生成部と、被ドーピング材が収容され前記イオン生成部にて生成されたイオンにて前記被ドーピング材をドーピングさせるイオンドーピング部と、複数の開口部を有し前記イオンドーピング部と前記イオン生成部との間に設けられたプラズマ電極と、このプラズマ電極の温度分布を均一化させる温度分布均一化手段とを具備したものである。
そして、プラズマ電極の温度分布を均一化させる温度分布均一化手段を設けたことにより、このプラズマ電極の温度分布が均一化される。
また、イオンを生成するイオン生成部にて生成されたイオンを被ドーピング材にドーピングするイオンドーピング方法において、プラズマ電極の温度分布を30℃以内に制御しつつ、このプラズマ電極によりイオン化するステップと、このイオンを加速手段により前記被ドーピング材に向けて導くステップと、を含むものである。
本発明によれば、温度分布均一化手段にてプラズマ電極の温度分布が均一化されるので、このプラズマ電極での不均一な温度分布の発生を防止でき、プラズマ電極へのイオンの堆積分布および膜厚分布を抑制できるから、このプラズマ電極の開口部を通過するイオンの均一性を確保できる。
以下、本発明のイオンドーピング装置およびそれを用いたイオンドーピング方法の一実施の形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
図1において、1はイオンドーピング装置で、このイオンドーイング装置1は、イオンを生成するイオン生成部としての下部が開口した中空なイオン生成室2を備えている。さらに、このイオンドーピング装置1は、イオン生成室2にて生成されたイオン種の全てを質量分離することなく高速にイオン注入させる装置である。
そして、このイオンドーピング装置1のイオン生成室2内の上端部には、高周波電力が供給される高周波電源3が取り付けられている。また、このイオン生成室2の上端部には、このイオン生成室2内で生成させるイオンのドーパントとなるイオン原料ガスとしてのドーパントガスを導入させるガス導入口4が挿入されて設けられている。そして、このガス導入口4には、このガス導入口4に向けてドーパントガスを導入させるガス導入ラインとしてのガス管5の一端部である下端部が接続されている。
このガス管5の他端部である上端部には、このガス管5内にドーパントガスを導入させるドーパントガス発生器6が取り付けられている。さらに、このガス管5の中間部には、このガス管5を通過するドーパントガスの流量を制御するドーパントガス流量制御部7が取り付けられている。そして、このイオン生成室2内は、真空に保持されており、このイオン生成室2内へと導入されたドーパントガス中の不純物であるドーパントを、高周波電源3に高周波電力を印加してプラズマを発生させてイオン化させる。
また、イオン生成室2の開口した下端部には、上方が開口したイオンドーピング室11が連結されて気密に連通した状態で接続されている。このイオンドーピング室11には、このイオンドーピング室11内に、例えば表面に半導体層Cを含む透光性を有する略透明なガラス基板Aが収容される。すなわち、このイオンドーピング室11は、イオン生成室2にて生成されたイオンが引き出されるとともに加速されたイオンビームBを、ガラス基板A上に成膜されている薄膜である被ドーピング材としての半導体層Cの表面に叩き付けさせて注入させて、この半導体層Cをイオンドーピングさせるイオンドーピング部としての処理室である。
ここで、ガラス基板Aは、例えば730mm×920mmの大きな面積を有するマザー基板であって、図示しない液晶表示装置のアレイ基板に用いられる透光性基板としての絶縁基板である。また、このガラス基板A上に積層されている半導体層Cは、このガラス基板A上に設けられる薄膜トランジスタ(TFT)を構成する半導体層である。さらに、この液晶表示装置は、アレイ基板に対向して対向基板が積層されており、これらアレイ基板と対向基板との間の液晶封止領域に光変調層として液晶層が介在されて挟持されて画像表示可能に構成されている。
そして、このイオンドーピング室11内には、ガラス基板Aが設置される基板搬送機構としてのステージ12が揺動可能に取り付けられている。このステージ12は、このステージ12の上側の位置する平坦な基板設置面13をイオン生成室2の下端側に向けた状態で、このステージ12の幅方向に沿って揺動可能に設置されている。すなわち、このステージ12は、イオンドーピング室11の高さ方向である鉛直方向に対して略垂直な方向に向けてガラス基板Aを移動させる。
また、このステージ12は、このステージ12の基板設置面13に設置させたガラス基板Aに向けてイオン生成室2から引き出されたイオンビームBが照射される位置を完全に通過させた後に、このガラス基板Aの移動を減速させる。このとき、このステージ12によるガラス基板Aの搬送速度は、このガラス基板A上の半導体層Cへのドーパントの注入量であるドーズ量に合わせて調整される。
さらに、イオン生成室2とイオンドーピング室11との間には、イオン生成室2にて生成されたイオンをイオンドーピング室11へと引き出しつつ加速するイオン引出加速手段としてのイオンビーム電流制限ユニットである引出電極系14が取り付けられている。この引出電極系14は、イオン生成室2にて生成されたイオンを引き出すとともに加速する引出電極15を備えている。そして、この引出電極15のイオンドーピング室11側には、この引出電極15に並設させて抑制電極16が設置されている。また、この抑制電極16のイオンドーピング室11側には、この抑制電極16に並設されて接地電極としてのグランド電極17が設置されている。
ここで、これら引出電極15、抑制電極16およびグランド電極17のそれぞれには、複数の開口部としてのイオン通過口15a,16a,17aがそれぞれ設けられている。また、これら引出電極15、抑制電極16およびグランド電極17それぞれのイオン通過口15a,16a,17aは互いに連通して設けられており、これらイオン通過口15a,16a,17aのそれぞれにイオンが通過するように構成されている。
さらに、引出電極系14は、引出電極15に引き出し電圧を印加させてイオンを引き出すとともに加速し、抑制電極16に印加される抑制電圧にて発散するイオンを補集してイオンの流れの方向性を高めつつ、引出電極15とグランド電極17との間の電位差によってイオンを加速させてイオンビームBを形成させる。すなわち、抑制電極16は、イオンビームBがガラス基板Aの表面に叩き付けられて発生した二次電子の逆流を抑制させる。言い換えると、この抑制電極16は、イオンビームBのガラス基板Aの表面への衝突によって発生する2次電子によるイオン生成室2への侵入、いわゆるバックラッシュを抑制する。
そして、引出電極系14とイオン生成室2との間には、引出電極15に電圧を印加することによってイオン生成室2内のイオンを引き出させる矩形平板状のプラズマ電極21が取り付けられている。このプラズマ電極21は、図2および図3に示すように、矩形平板状の設置プレート22を備えており、この設置プレート22は、イオン生成室2の下端部に取り付けられて、このイオン生成室2の下端側の開口部を閉塞させている。
さらに、この設置プレート22には、この設置プレート22の長手方向に沿った開口列としての細長溝状の複数の電極取付溝23が設けられている。これら電極取付溝23は、設置プレート22の厚さ方向に向けて貫通しており、この設置プレート22の長手方向の中央部に、この設置プレート22の長手方向に長手方向を揃えた状態で取り付けられている。さらに、これら電極取付溝23は、設置プレート22の幅方向に向けて等間隔に離間された状態で、少なくとも2列以上、例えば7列ほど平行に並設されている。
そして、この設置プレート22の各電極取付溝23それぞれの幅方向の両側部には、この設置プレート22の長手方向に沿って貫通した温度分布均一化手段としての冷却水配管である管状の冷却路24がそれぞれ設けられている。これら冷却路24は、プラズマ電極21を冷却する冷却手段としての冷却機構であって、設置プレート22の電極取付溝23間に設けられ、この設置プレート22の幅方向に向けて平行に離間させた位置に設けられている。また、これら冷却路24には、これら冷却路24それぞれの一端側から他端側に向けて図示しない冷却液が流されて通液されて、設置プレート22に蓄積した熱を冷却液に熱伝導させて、この設置プレート22を冷却させる。
さらに、この設置プレート22の各電極取付溝23のそれぞれには、これら各電極取付溝23の大きさに等しい細長矩形状の電極プレート25がそれぞれ取り付けられている。これら電極プレート25は、設置プレート22の各電極取付溝23のそれぞれに取り付けられており、これら各電極取付溝23のそれぞれを閉塞している。さらに、これら電極プレート25には、これら電極プレート25の厚さ方向に向けて貫通した開口部としての断面矩形状の複数のイオン引出口26が設けられている。これらイオン引出口26は、各電極プレート25の幅方向の中央部に設けられており、これら各電極プレート25の長手方向に沿って等間隔に離間されて設けられている。
また、これらイオン引出口26は、電極プレート25の長手方向の両端部から、この電極プレート25の長手方向の中央部に向けて断面積が小さくなるように並設されている。したがって、これらイオン引出口26は、電極プレート25の長手方向の両端部に位置するイオン引出口26の開口面積である断面積よりも、この電極プレート25の長手方向の中央部に位置するイオン引出口26の断面積が小さくなるように構成されている。
一方、プラズマ電極21の設置プレート22とイオン生成室2の内側面との間には、これら設置プレート22およびイオン生成室2の内側面それぞれより熱伝導率が低い温度分布均一化手段としての枠状の熱抵抗27が取り付けられている。この熱抵抗27は、設置プレート22の外周を覆うように取り付けられており、この設置プレート22からイオン生成室2への熱伝達を防止させる。
すなわち、この熱抵抗27は、プラズマ電極21からの周囲への熱流失を抑制させて、このプラズマ電極21とイオン生成室2との間の熱伝導を抑制させて、このプラズマ電極21の温度分布が不均一になるのを抑制させる。よって、この熱抵抗27は、プラズマ電極21とイオン生成室2との間の温度差により生じるプラズマ電極21内の熱流を抑制することを目的に設置されており、プラズマ電極21の中心部とプラズマ電極21の端部との温度差である温度分布を抑制させて均一にさせる。
次に、上記一実施の形態のイオンドーピング装置を用いたイオンドーピング方法について説明する。
まず、イオンドーピング装置1内のステージ12の基板設置面13に、半導体層Cが積層されている側を上側に向けた状態でガラス基板Aを設置させる。
次いで、ドーパントガス発生器6からドーパントガスを発生させるとともに、このドーパントガスの流量をドーパントガス流量制御部7にて制御しつつ、このドーパントガスをガス導入口4からイオン生成室2内へと導入させる。
この状態で、高周波電源3にてイオン生成室2内に高周波電力を印加させて、このイオン生成室2内にプラズマを発生させて、このイオン生成室2内に導入させたドーパントガス中のドーパントをイオン化させてイオンを生成させる。
そして、このイオン生成室2内にて生成されたイオンは、引出電極15に引出電圧を印加させることにてプラズマ電極21のイオン引出口26から引き出されるとともに、この引出電極15とグランド電極17との電位差によって加速されてイオンビームに形成される。
このとき、抑制電極16に抑制電圧が印加されて、このイオンビームがガラス基板Aの表面に叩き付けられることにて発生する2次電子のイオン生成室2の逆流が抑制される。
さらに、イオンドーピング室11内では、このイオンドーピング室11内のステージ12を一定の速度で水平に移動させて、このステージ12の基板設置面13に設置されているガラス基板A全体が、このイオンドーピング室11内へと照射されているイオンビーム内を完全に通過した後に、このステージ12の移動を減速させる。
このとき、このステージ12の基板設置面13に設置されているガラス基板Aは、このガラス基板Aの幅方向に向けて均一なイオンビームの中を一定の速さで移動するので、このガラス基板Aの表面全体に均一にイオンが注入されてドーピングされる。
さらに、このガラス基板Aの移動速度は、このガラス基板A上の半導体層Cへのイオンの注入量であるドーズ量によって異ならせることができる。このとき、このイオンのドーズ量の制御は、ガス導入口4からイオン生成室2内に導入させるドーパントガスの濃度によるイオンビーム中のドーパントイオン比率の制御と、ステージ12によるガラス基板Aの搬送速度によって調整できる。
また、ガス導入口4からイオン生成室2内へと導入されるドーパントガスのガス濃度によって、イオンドーピング室11内へ照射されるイオンビーム中のドーパントイオン比率を制御できる。すなわち、この制御によって、ガラス基板A上の半導体層Cに注入されるイオンのドーパントビームの電流量であるドーズ量を制御できる。
さらに、ドーパントガスの流量は、ドーパントガス流量制御部7にて制御され、このドーパントガスを希釈させる図示しない希釈ガスの流量は、図示しない希釈ガス流量制御部によって制御させ、これらドーパントガスと希釈ガスとの流量比率を制御することによって、ドーパントガスの濃度を制御させて、イオン生成室2内で生成されるドーパントのイオン比率を制御させる。
このとき、イオン生成室2とプラズマ電極21との間に熱抵抗27を設置させたことによって、周囲への熱流失を抑制させているので、このプラズマ電極21からイオン生成室2への熱伝達が抑制され、このプラズマ電極21の中央部と端部とでの温度差が抑制されるため、このプラズマ電極21へのドーパントガスによる堆積膜の不均一な膜厚分布が抑制される。
さらに、プラズマ電極21の設置プレート22に設けた冷却路24中に冷却液を通液させ続けることによって、このプラズマ電極21の温度上昇が抑制され、このプラズマ電極21が均一に冷却されるので、このプラズマ電極21へのドーパントガスによる堆積膜の形成が抑制される。
ここで、これら熱抵抗27や冷却路24が設けられていないイオンドーピング装置1のプラズマ電極21は、イオン生成室2との接続個所からの熱流で温度上昇を抑制しているが、このプラズマ電極21に蓄積される熱がプラズマ電極21の中央部からイオン生成室2の接続個所へと流れるので、このプラズマ電極21内で不均一な温度分布が発生してしまう。このため、イオン生成室2内へと導入されたドーパントガスのプラズマ電極21への堆積膜の膜厚に不均一な分布が生じてしまう。
そして、この堆積膜が絶縁性を有する場合には、この堆積膜の不均一な膜厚分布によって、イオン生成室2内のイオンや2次電子によって堆積膜に生じる電荷に分布が生じ、この堆積膜にチャージ分布が発生してしまうので、引出電極15に印加させる引出電圧に不均一な分布が生じてしまうこととなり、イオンドーピング室11内へと照射されるイオンビームの均一性がプラズマ電極21へのドーパントガスの膜堆積の時間経過とともに低下してしまう。
そこで、上述した一実施の形態のように、イオン生成室2とプラズマ電極21との間に熱抵抗27を設置させて、周囲への熱流失を抑制させる構成とした。この結果、プラズマ電極21とイオン生成室2との間の温度差によって生じるプラズマ電極21内の熱流を抑制できるので、このプラズマ電極21の中心部と端部とでの温度差の発生を抑制できる。そして、このプラズマ電極21の中心部と端部とでの温度差の発生を抑制することによって、このプラズマ電極21へのドーパントガスによる堆積膜が絶縁性の場合に、この堆積膜に形成される電荷量であるチャージ量の部分的な差を抑制できる。このため、プラズマ電極21内の電圧分布が抑制されることによって、このプラズマ電極21に印加される引出電圧分布が抑制されるので、安定したイオンビーム均一性を確保できる。
また同時に、プラズマ電極21の設置プレート22に冷却路24を設け、この冷却路24中に冷却液を通液させ続けて、このプラズマ電極21の温度上昇を均一に抑制させる構成とした。この結果、このプラズマ電極21に不均一な温度分布を形成させることなく均一に冷却できるので、このプラズマ電極21へのドーパントガスによる堆積膜の形成を抑制できる。したがって、イオン生成室2内でのイオンあるいは2次電子によるプラズマ電極21の堆積膜に形成される電荷分布であるチャージ量分布を抑制できるので、安定したイオンビーム均一性を確保できる。
したがって、これら熱抵抗27および冷却路24を設けたことによって、このプラズマ電極21へのドーパントガスによる堆積膜の不均一な膜厚分布を抑制できると同時に、このプラズマ電極21へのドーパントガスによる堆積膜の形成を抑制できる。よって、イオンドーピング室11内に照射されるイオンビームの均一性が時間の経過とともに低下することを防止できるから、このイオンドーピング室11内へと照射されるイオンビームの均一性を安定して確保できる。
なお、上記一実施の形態では、イオン生成室2とプラズマ電極21との間に熱伝導率の低い熱抵抗27を取り付けた構成としたが、この熱抵抗27以外の構成であっても、これらイオン生成室2とプラズマ電極21との間の熱伝導を抑制させて、このプラズマ電極21での温度分布の形成を抑制できる構成であれば良い。
また、このプラズマ電極21の設置プレート22に複数の冷却路24を設けて、これら冷却路24に冷却液を通液させて、プラズマ電極21を冷却する構成としたが、この冷却路24以外の構成であっても、このプラズマ電極21を均一に冷却できる構成であれば良い。
さらに、液晶表示装置のアレイ基板のガラス基板A上に形成される薄膜トランジスタの活性層となる半導体層Cをイオンドーピングするイオンドーイング装置1について説明したが、この薄膜トランジスタの活性層となる半導体層C以外のイオンドーピングが必要なその他の被ドーピング材であっても、対応させて用いることができる。
上記一実施の形態のイオンドーピング装置およびそれを用いたイオンドーピング方法の実施例について説明する。
まず、上記一実施の形態のイオンドーピング装置1を用い、pチャネル型の薄膜トランジスタを構成する場合を例にとって説明する。イオン生成室2に導入させるドーパントガスとして、ジボラン(B)を水素ガス(H)で希釈したジボラン水素希釈ガス(B/H)を用い、このイオンドーピング装置1にて、ガラス基板A上に成膜された多結晶シリコン膜である半導体層Cにイオンドーピングする。このとき、このイオンドーピング装置1のプラズマ電極21に堆積される堆積膜はボロン堆積膜となり、このボロン堆積膜が絶縁性であるので、このボロン堆積膜にイオン生成室2内のイオンや2次電子にて電荷が堆積してしまう。
そして、冷却路24や熱抵抗27をそれぞれ有しない比較例となるイオンドーピング装置1の場合には、このイオンドーピング装置1のプラズマ電極21の中心部の温度が約100℃程度となり、このプラズマ電極21の端部の温度が約50℃程度となるので、このプラズマ電極21に50℃の温度差が生じてしまう。さらに、この温度差が生じた状態で、イオン生成室2でのプラズマ放電時間を200時間継続させた場合には、プラズマ電極21の中心部でのボロン堆積膜の堆積速度である堆積レートが32×10−10m/minであることから、このプラズマ電極の21中心部では、ボロン堆積膜が0.0384cmほどの膜厚に堆積した状態となる。
このとき、このプラズマ電極21の端部でのボロン堆積膜の堆積レートが、このプラズマ電極21の中心部での堆積レートの1/2であることから、このプラズマ電極21の端部では、ボロン堆積膜が0.0192cmほどの膜厚に堆積した状態となる。
そして、イオン生成室2内のイオンや引出電極15および抑制電極16それぞれの表面へのイオンの衝突にて生じる2次電子によって、ボロン堆積膜に電荷が堆積してチャージされてしまい、この電荷によって引出電極15とグランド電極17との間の引出電圧に電圧差が生じてしまうから、イオン生成室2からイオンドーピング室11内へと照射されるイオンビームの均一性であるばらつき(σ)が5.6%程度となってしまう。
これに対し、上記一実施の形態のように、イオンドーピング装置1に冷却路24や熱抵抗27を設けることによって、プラズマ電極21の中心部の温度が約40℃程度となり、このプラズマ電極21の端部の温度が約25℃程度となるので、このプラズマ電極21の温度差が30℃以内、特に20℃以下である15℃程度に抑制される。
そして、この温度差が形成された状態で、イオン生成室2でのプラズマ放電時間を200時間継続させた場合には、このプラズマ電極21の中心部でのボロン堆積膜の堆積レートが13×10−10m/minであることから、このプラズマ電極21の中心部では、ボロン堆積膜が0.0154cmほどの膜厚に堆積した状態となる。また、このプラズマ電極21の端部でのボロン堆積膜の堆積レートが、このプラズマ電極21の中心部での堆積レートの2/3であることから、このプラズマ電極21の端部では、ボロン堆積膜が0.0103cmほどの膜厚に堆積した状態となる。
この結果、イオンドーピング装置1に冷却路24や熱抵抗27を設けたことにより、イオン生成室1からイオンドーピング室11内へと照射されるイオンビームの均一性(σ)を2.9%程度にできたので、このイオンビームの均一性(σ)の低下を2.7%ほど抑制できた。
この実施例では、多結晶シリコン膜にボロンをドーピングする場合を例にとって説明したが、半導体層としては多結晶シリコン膜以外にも、非晶質シリコン、微結晶シリコンなどの種々の結晶性の半導体膜を用いることができる。また、リンなどのイオンを注入する場合も同様の効果を得ることができる。
本発明の一実施の形態のイオンドーピング装置を示す説明構成図である。 同上イオンドーピング装置のプラズマ電極を示す説明平面図である。 同上プラズマ電極の一部を示す説明側面図である。
符号の説明
1 イオンドーピング装置
2 イオン生成部としてのイオン生成室
11 イオンドーピング部としてのイオンドーピング室
14 イオン引出加速手段としての加速手段である引出電極系
21 プラズマ電極
24 温度均一化手段としての冷却手段である冷却路
26 開口部としてのイオン引出口
27 温度分布均一化手段としての熱抵抗
C 被ドーピング材としての半導体層

Claims (5)

  1. イオンを生成するイオン生成部と、
    被ドーピング材が収容され前記イオン生成部にて生成されたイオンにて前記被ドーピング材をドーピングさせるイオンドーピング部と、
    複数の開口部を有し前記イオンドーピング部と前記イオン生成部との間に設けられたプラズマ電極と、
    このプラズマ電極の温度分布を均一化させる温度分布均一化手段と
    を具備したことを特徴とするイオンドーピング装置。
  2. 温度分布均一化手段は、プラズマ電極とイオン生成部との間に設けられ、これらプラズマ電極とイオン生成部との間の熱の流れを防止する熱抵抗である
    ことを特徴とした請求項1記載のイオンドーピング装置。
  3. 温度分布均一化手段は、プラズマ電極に設けられこのプラズマ電極を冷却する冷却手段である
    ことを特徴とした請求項1または2記載のイオンドーピング装置。
  4. プラズマ電極とイオン生成部との間に設けられ前記イオン生成部にて生成されたイオンをイオンドーピング部へと引き出して加速するイオン引出加速手段を具備した
    ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか記載のイオンドーピング装置。
  5. イオンを生成するイオン生成部にて生成されたイオンを被ドーピング材にドーピングするイオンドーピング方法において、
    プラズマ電極の温度分布を30℃以内に制御しつつ、このプラズマ電極によりイオン化するステップと、
    このイオンを加速手段により前記被ドーピング材に向けて導くステップと、
    を含むことを特徴とするイオンドーピング方法。
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