JP2007205334A - 斜板式コンプレッサの斜板および斜板式コンプレッサ - Google Patents
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Abstract
【課題】斜板式コンプレッサの金属基材で形成された斜板を、耐摩耗性の優れた被覆層で被覆し、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも耐用可能なものとすることである。
【解決手段】斜板3を形成する金属基材3aの表面に、吸油性充填材を含有する耐熱性樹脂被膜11を形成することにより、ドライ状態でも優れた耐摩耗性を付与し、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも耐用可能なものとした。
【選択図】図2
【解決手段】斜板3を形成する金属基材3aの表面に、吸油性充填材を含有する耐熱性樹脂被膜11を形成することにより、ドライ状態でも優れた耐摩耗性を付与し、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも耐用可能なものとした。
【選択図】図2
Description
本発明は、エアコンディショナ等に用いられる斜板式コンプレッサの斜板および斜板式コンプレッサに関する。
冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に直接固定するように、または連結部材を介して間接的に、斜めに取り付けた斜板にシューを摺動させ、このシューを介して斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コンプレッサには、両頭形のピストンを用いて冷媒を両側で圧縮、膨張させる両斜板タイプのものと、片頭形のピストンを用いて冷媒を片側のみで圧縮、膨張させる片斜板タイプのものとがある。また、シューは斜板の片側面のみで摺動するものと、斜板の両側面で摺動するものとがある。
これらの斜板式コンプレッサでは、運転初期において、冷媒が存在するハウジング内へコンプレッサ油が到達する前に金属製の斜板とシューが摺動するので、これらの摺動部がコンプレッサ油のないドライ潤滑状態となり、焼付きが発生しやすい。この焼付きを防止する手段としては、これまでに、シューが摺動する金属製斜板の摺動面に、銅系またはアルミニウム系の金属材料を溶射し、この金属溶射層に鉛系めっき、錫系めっき、鉛−錫系めっき、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系被覆、二硫化モリブデン被覆または二硫化モリブデン・黒鉛混合被覆を施したもの(例えば、特許文献1参照)や、PTFEを含有する固体潤滑剤を熱硬化樹脂であるポリアミドイミド樹脂(PAI)で固めた摺動層を設けたもの(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
しかし、固体潤滑剤として、二硫化モリブデン、フッ素樹脂、グラファイト等を使用し、結着性樹脂として、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂又はエポキシ樹脂を使用した被膜は、耐摩耗性が十分ではなく、短期間で摩耗し、金属基材の下地が露出しやすいという問題があった。
また、近年開発が行なわれている炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにおいては、コンプレッサ内の圧力が10MPaにも達するため、斜板とシューとの摺動圧力がこれまでより高くなり、金属基材で形成された斜板の被膜に、剥がれ等が生じる懸念がある。
そこで、本発明の課題は、斜板式コンプレッサの金属基材で形成された斜板を、耐摩耗性の優れた被覆層で被覆し、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも耐用可能なものとすることである。
上記の課題を解決するために、本発明は、冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に直接固定するように、または連結部材を介して間接的に、斜めに取り付けた斜板にシューを摺動させ、このシューを介して前記斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コンプレッサの斜板において、前記斜板を金属基材で形成し、前記シューが摺動する摺動面に、吸油性充填材を含有する耐熱性樹脂被膜を形成した構成を採用した。
前記斜板は、金属基材の表面の耐熱性樹脂被膜に吸油性充填材を含有するので、コンプレッサ油が吸油性充填材に吸油され、ドライ状態でも焼き付くことがない。
前記耐熱性樹脂被膜に、更にフッ素樹脂を含有させることにより、シューとの摺動特性がさらに優れた斜板になる。
コンプレッサ油の吸油量が適正にコントロールできる耐熱性樹脂被膜の耐熱性樹脂と吸油性充填材の比率は、耐熱性樹脂100重量部に対し、吸油性充填材1〜20重量部である。
前記耐熱性樹脂被膜に、更にフッ素樹脂を含有させることにより、シューとの摺動特性がさらに優れた斜板になる。
コンプレッサ油の吸油量が適正にコントロールできる耐熱性樹脂被膜の耐熱性樹脂と吸油性充填材の比率は、耐熱性樹脂100重量部に対し、吸油性充填材1〜20重量部である。
また、シューとの摺動特性およびコンプレッサ油の吸油量が適正にコントロールできる耐熱性樹脂被膜の耐熱性樹脂と吸油性充填材とフッ素樹脂の比率は、耐熱性樹脂が100重量部、吸油性充填材が1〜20重量部、フッ素樹脂が50〜100重量部である。
吸油性充填材が1重量部未満であれば、コンプレッサ油の吸油量が少なく耐焼き付き性が低下する。また、吸油性充填材が20重量部より多量であれば、嵩だかになり被膜形成が困難になる。
前記吸油性充填材は、カーボンブラック、膨張黒鉛のうち少なくとも1種以上から選ばれる。
前記カーボンブラックは、DBP吸収量(JIS K6217)が100cm3/100g以上である。
前記カーボンブラックは、DBP吸収量(JIS K6217)が100cm3/100g以上である。
前記膨張黒鉛は、JIS K6221で吸油量100ml/100g以上である。
前記金属基材と耐熱性樹脂被膜との間には、金属溶射層を設けることが好ましい。このように、金属溶射層を設けると、耐熱性樹脂被膜と金属基材との密着性がより高くなる。
また、本発明は、斜板式コンプレッサを上述したいずれかの斜板を備えたものとした構成も採用した。
前記斜板式コンプレッサを、コンプレッサ内の圧力が10MPaにも達する炭酸ガスを冷媒に用いるものとしても、その斜板の金属基材の被膜を密着性と耐摩耗性の優れたものとし、十分に耐用可能なものとすることができる。
本発明の斜板式コンプレッサの斜板は、金属基材の表面の耐熱性樹脂被膜に吸油性充填材を含有するので、コンプレッサ油が吸油性充填材に吸油され、ドライ状態でも焼き付くことがなく、耐摩耗性に優れ、炭酸ガスを冷媒に用いる斜板式コンプレッサにも耐用可能である。
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。この斜板式コンプレッサは炭酸ガスを冷媒に用いるものであり、図1に示すように、冷媒が存在するハウジング1内で、回転軸2に直接固定するように斜めに取り付けた斜板3の回転運動を、斜板3の両側面で摺動するシュー4を介して両頭形ピストン5の往復運動に変換し、ハウジング1の周方向に等間隔で形成されたシリンダボア6内の各ピストン5の両側で、冷媒を圧縮、膨張させる両斜板タイプのものであり、高速で回転駆動される回転軸2は、ラジアル方向を針状ころ軸受7で支持され、スラスト方向をスラスト針状ころ軸受8で支持されている。
前記各ピストン5には斜板3の外周部を跨ぐように凹部5aが形成され、この凹部5aの軸方向対向面に形成された球面座9に、半球状のシュー4が着座されている。このシュー4は球状のものもあり、ピストン5を斜板3の回転に対して相対移動自在に支持する。これによって、斜板3の回転運動からピストン5の往復運動への変換が円滑に行われる。
前記斜板3の基材3aは、鋼(S45C)又はアルミニウム合金(AC8C)で形成されている。
前記斜板3の基材3aの前記シューが摺動する摺動面には、吸油性充填材を含有する耐熱性樹脂被膜11が形成されている。
本発明に使用する耐熱性樹脂被膜11を形成する耐熱性樹脂と吸油性充填材について説明する。
吸油性充填材としては、カーボンブラック、膨張黒鉛のうち少なくとも1種以上から選ばれる。
本発明に使用する耐熱性樹脂被膜11を形成する耐熱性樹脂と吸油性充填材について説明する。
吸油性充填材としては、カーボンブラック、膨張黒鉛のうち少なくとも1種以上から選ばれる。
本発明に使用できるカーボンブラックとしては、JIS K 6217−4で規定されるDBP吸収量が100cm3/100g以上であれば好ましく使用できる。また、JIS K6221で規定される吸油量が100ml/100g以上の膨張黒鉛が好ましく使用できる。
耐熱性樹脂被膜11に、DBP吸収量が100cm3/100g以上であるカーボンブラックを添加することにより、斜板使用時において、コンプレッサ油を吸油し、良好な摩擦摩耗特性を得ることができる。
また、運転初期において、冷媒が存在するハウジング内へコンプレッサ油が到達する前に斜板と金属製のシューが摺動するので、これらの摺動部がコンプレッサ油のないドライ潤滑状態となり、焼付きが発生しやすい。しかし、本発明において吸油性充填材がコンプレッサ油を吸油しているので、完全なドライ潤滑状態にならず、焼き付きを起こさず安定した摩擦摩耗特性を得ることができる。
DBP吸収量が100cm3/100g未満のカーボンブラックでは、冷媒が存在するハウジング内へコンプレッサ油が到達する前に斜板と金属製のシューが摺動するので、これらの摺動部がコンプレッサ油のないドライ潤滑状態では、吸油量が少なく期待する効果が得られない場合がある。
上記条件を満たすカーボンブラックの市販品としては、三菱化学社製:#4000B(DBP吸収量102cm3/100g)、#3600B(DBP吸収量290cm3/100g)などが挙げられる。
本発明に使用できる膨張黒鉛としては、JIS K 6221で吸油量100ml/100g以上のものが好ましく使用できる。上記条件を満たす膨張黒鉛の市販品としては、日本黒鉛社製:XP−10(吸油量190ml/100g)、EXP−P(吸油量500ml/100g)などが挙げられる。吸油量が100ml/100g未満の膨張黒鉛では、冷媒が存在するハウジング内へコンプレッサ油が到達する前に斜板と金属製のシューが摺動するので、これらの摺動部がコンプレッサ油のないドライ潤滑状態では、吸油量が少なく期待する効果が得られない場合が有る。
本発明では、耐熱性樹脂被膜11に、更にフッ素樹脂を含有させてもよい。前記フッ素樹脂は低摩擦特性を有し、耐熱性樹脂被膜11に耐焼付き性を付与する役割をする。このフッ素樹脂は、シューとの摺動部での温度上昇に耐えられる耐熱性を有するものであればよく、具体的には、PTFE(融点θM:327℃、連続使用温度θA:260℃)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(θM:270℃、θA:200℃)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(θM:310℃、θA:260℃)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(θM:270℃、θA:150℃)、ポリクロロトリフルオロエチレン(θM:210℃、θA:120℃)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(θM:240℃、θA:150℃)等が挙げられる。これらは、それぞれ単独または2種以上の共重合体や3共重合体等であってもよい。
このうちPTFEは、−CF2CF2−の繰り返し単位より構成され、340〜380℃でも溶融粘度が約1010〜1011Pa・sと高く、融点を越えても流動し難いので、フッ素樹脂の中では最も耐熱性が優れており、また、常温でも優れた摺動性を示すので好適である。さらに、PTFEの中でも、滑剤級の粉末PTFEを用いることが好ましく、滑剤級の粉末PTFEの市販品としては、ポリフロンM15、ルブロンL−2(以上ダイキン工業社製商品名)、テフロンTLP−10(デュポン社製商品名)、フルオンG163(旭硝子社製商品名)等を挙げることができる。なお、滑剤級の粉末PTFEとは、一度焼成したPTFEを粉砕した再生PTFEや、PTFEにガンマ線照射処理をして低分子量化したPTFE粉末を言い、ガンマ線照射処理をした市販品の例としては、KT400H(喜多村社製商品名)がある。
前記PTFEの形態は、成形用の粉末であっても、いわゆる固体潤滑剤用の微粉末であってもよく、その平均粒径は0.1〜20μm、好ましくは0.2〜10μmの範囲にあるのがよい。平均粒径がこの範囲内にあると、コーティング剤中で凝集し難く、樹脂被覆層中に満遍なく均一に分散される。
本発明に使用することのできる耐熱性樹脂は、摺動部材の使用時に熱劣化することのない耐熱性と、吸油性充填材やフッ素樹脂粉末を結着させ、コート層を下地に強固に密着させることのできる樹脂であれば使用することができる。具体的には、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂などを挙げることができる。これらの中でも、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂が、耐熱性と下地との密着性に優れているため好ましい。
耐熱性樹脂として使用できるポリイミド系樹脂とは、分子内に少なくともイミド結合を有する樹脂であって、摺動部材の使用時に熱劣化することなく、吸油性充填材やフッ素樹脂とを結着するとともに、下地との接着性に優れた樹脂であれば使用することができる。たとえばポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂、ポリエステルアミドイミド樹脂等を挙げることができる。これらポリイミド系樹脂の中で、ポリイミド樹脂およびポリアミドイミド樹脂が好適である。また、イミド結合またはアミド結合とが芳香族基を介して結合している芳香族系ポリイミド樹脂または芳香族系ポリアミドイミド樹脂がとくに好ましい。芳香族系樹脂であると、吸油性充填材、フッ素樹脂との結着性に優れ、かつ得られる被覆層の耐熱性が優れる。
また、基材3aと耐熱性樹脂被膜11の密着性を向上させるため、基材3aの表面に金属溶射層10を形成することが好ましい。溶射金属としては、Cu系、Al系、Fe系、Ni系、Mo系などを選択する事ができる。溶射層の厚みはいかなかる厚みであっても良いが、たとえば10〜500μm、具体的には20〜200μmが好ましく、より好ましくは50〜100μmである。厚みが10μm未満であると層内に局部的な下地露出が発生し、均一な溶射層を得る事が出来ない。また、500μmを超えると膜厚のバラツキが大きくなる。
本発明に係る耐熱性樹脂被膜11の配合割合は、耐熱性樹脂100重量部に対して、吸油性充填材1〜20重量部である。さらに、フッ素樹脂50〜100重量部を追加してもよい。それぞれの成分をこの範囲に配合することにより、コンプレッサ油の吸油性、基材との密着性、被膜の耐摩耗性、耐焼き付き性等の機能を発揮させることができる。フッ素樹脂100重量部以上では、被覆層の密着性を損ない、剥がれの原因となる。
また、前記耐熱性樹脂被膜11を形成する方法としては、ディッピング法、スプレーコート法、ディスペンド法、ロール法等、種々の方法を採用することができ、スプレーコート法では、耐熱性樹脂被膜の膜厚を精度よく形成することができる。耐熱性樹脂被膜の膜厚は、焼成後の厚みで5〜50μm、好ましくは10〜40μmとするのがよい。膜厚が5μm未満では、シューとの片当たり等が生じたときに局部的に摩耗することがあり、50μmを越えると、耐熱性樹脂被膜の剥離が生じる恐れがあるからである。
実施例、比較例の試験片を次の方法で作製した。鋼製(S45C)のディスク摺動部材を脱脂した後、実施例及び比較例に示す耐熱性樹脂被膜を形成した。実施例6は、ディスク摺動部材を脱脂した後、Ni系溶射200μmを行ない、旋削加工にて厚み80μmまで加工した。この溶射層に耐熱性樹脂被膜を形成した。
(1)カーボンブラック1:#4000B(三菱化学社製、DBP吸油量102cm3/100g)
(2)カーボンブラック2:#3600B(三菱化学社製、DBP吸収量290cm3/100g)
(3)カーボンブラック3:#950(三菱化学社製:DBP吸収量79cm3/100g)
(4)膨張黒鉛1:XP−10(日本黒鉛社製、吸油量190ml/100g)
(5)膨張黒鉛2:AXP(日本黒鉛社製、吸油量42ml/100g)
(6)PAI:トーロンAI−10(テイジンアモコエンジニアリングプラスチックス社製)
(7)PTFE:KT400H(喜多村社製)
(8)黒鉛:ACP(日本黒鉛社製、吸油量10ml/100g)
(1)カーボンブラック1:#4000B(三菱化学社製、DBP吸油量102cm3/100g)
(2)カーボンブラック2:#3600B(三菱化学社製、DBP吸収量290cm3/100g)
(3)カーボンブラック3:#950(三菱化学社製:DBP吸収量79cm3/100g)
(4)膨張黒鉛1:XP−10(日本黒鉛社製、吸油量190ml/100g)
(5)膨張黒鉛2:AXP(日本黒鉛社製、吸油量42ml/100g)
(6)PAI:トーロンAI−10(テイジンアモコエンジニアリングプラスチックス社製)
(7)PTFE:KT400H(喜多村社製)
(8)黒鉛:ACP(日本黒鉛社製、吸油量10ml/100g)
実施例、比較例の被膜形成用コーティング剤を以下のように調製した。
実施例は、PAI樹脂をN−メチル−2− ピロリドン(NMP)に溶解させ、この樹脂溶液に吸油性充填材等を配合して均一な組成物とし、固形分濃度が約23〜35重量%となるように、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレンおよび酢酸エチルの混合溶媒で希釈してコーティング剤を得た。
実施例は、PAI樹脂をN−メチル−2− ピロリドン(NMP)に溶解させ、この樹脂溶液に吸油性充填材等を配合して均一な組成物とし、固形分濃度が約23〜35重量%となるように、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、キシレンおよび酢酸エチルの混合溶媒で希釈してコーティング剤を得た。
比較例として、吸油量が指定範囲より小さい吸油性充填材および黒鉛粉末を用いたコーティング剤を調製した。コーティング剤の組成を表1に示す。
これらのコーティング剤を用いて耐熱性樹脂被膜を有するディスク状の摺動部材を作製した。まず焼成後の耐熱性樹脂被膜が約20〜30μmとなるようにスプレーコート法でコーティング剤をディスク状のS45C基材の摺動部材表面に吹き付けた。乾燥後、最高温度240℃で焼成し、自然冷却して耐熱性樹脂被膜を有するディスク状の摺動部材を得た。
これらの摺動部材を120℃で50時間、コンプレッサ油に浸漬したのち、ディスク状の試験片に対して軸受鋼製シュー(3ケ)を相手材として、スラスト型摩擦摩耗試験機(3シュー・オン・タイプ)を用いて以下に示す条件で摩擦摩耗試験を行った。結果を表1に示す。
これらの摺動部材を120℃で50時間、コンプレッサ油に浸漬したのち、ディスク状の試験片に対して軸受鋼製シュー(3ケ)を相手材として、スラスト型摩擦摩耗試験機(3シュー・オン・タイプ)を用いて以下に示す条件で摩擦摩耗試験を行った。結果を表1に示す。
[試験条件]
試験機 :NTN製スラスト型試験機
面圧 :10MPa
すべり速度 :200m/min
潤滑条件 :なし(コンプレッサ油が枯渇した過酷条件)
試験時間 :10分間
試験機 :NTN製スラスト型試験機
面圧 :10MPa
すべり速度 :200m/min
潤滑条件 :なし(コンプレッサ油が枯渇した過酷条件)
試験時間 :10分間
実施例1〜6は、吸油性充填材からのコンプレッサ油の供給により油膜が形成され、摩擦摩耗試験において、低摩擦であり、耐摩耗量が少なく優れていた。特に実施例6は金属溶射層による放熱効果との相乗効果により、低摩擦、低摩耗であった。
比較例は、油膜形成に至るまでのコンプレッサ油の供給量を確保できないため摩擦摩耗試験において摩耗量が多く、使用寿命に影響が出るものと考えられる。
以上説明したように、本発明の斜板は、基礎試験により斜板式コンプレッサの初期運転での焼付き及び異常摩耗に対する有効な対策であることが確認された。
特に、コンプレッサ内が10MPaの炭酸ガス冷媒式の斜板式コンプレッサであっても使用することができる。
特に、コンプレッサ内が10MPaの炭酸ガス冷媒式の斜板式コンプレッサであっても使用することができる。
1 ハウジング
2 回転軸
3 斜板
4 シュー
5 ピストン
5a 凹部
6 シリンダボア
7 針状ころ軸受
8 スラスト針状ころ軸受
9 球面座
10 金属溶射層
11 耐熱性樹脂被膜
2 回転軸
3 斜板
4 シュー
5 ピストン
5a 凹部
6 シリンダボア
7 針状ころ軸受
8 スラスト針状ころ軸受
9 球面座
10 金属溶射層
11 耐熱性樹脂被膜
Claims (10)
- 冷媒が存在するハウジング内で、回転軸に直接固定するように、または連結部材を介して間接的に、斜めに取り付けた斜板にシューを摺動させ、このシューを介して前記斜板の回転運動をピストンの往復運動に変換して、冷媒を圧縮、膨張させる斜板式コンプレッサの斜板において、前記斜板を金属基材で形成し、前記シューが摺動する摺動面に、吸油性充填材を含有する耐熱性樹脂被膜を形成したことを特徴とする斜板式コンプレッサの斜板。
- 前記耐熱性樹脂被膜に、フッ素樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
- 前記耐熱性樹脂被膜の配合が、耐熱性樹脂100重量部、吸油性充填材1〜20重量部であることを特徴とする請求項1に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
- 前記耐熱性樹脂被膜の配合が、耐熱性樹脂が100重量部、吸油性充填材が1〜20重量部、フッ素樹脂が50〜100重量部であることを特徴とする請求項2に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
- 前記吸油性充填材が、カーボンブラック、膨張黒鉛のうち少なくとも1種以上から選ばれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の斜板式コンプレッサの斜板。
- 前記カーボンブラックは、DBP吸収量(JIS K6217)が100cm3/100g以上である、請求項5に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
- 前記膨張黒鉛が、JIS K6221で吸油量100ml/100g以上である請求項5に記載の斜板式コンプレッサの斜板。
- 前記金属基材と耐熱性樹脂被膜との間に、金属溶射層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の斜板式コンプレッサの斜板。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の斜板を備えたことを特徴とする斜板式コンプレッサ。
- 前記斜板式コンプレッサが炭酸ガス冷媒を用いたものであることを特徴とする請求項9に記載の斜板式コンプレッサ。
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---|---|---|---|---|
CN102870317A (zh) * | 2010-03-04 | 2013-01-09 | 丰田自动车株式会社 | 定子以及定子制造方法 |
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CN102870317A (zh) * | 2010-03-04 | 2013-01-09 | 丰田自动车株式会社 | 定子以及定子制造方法 |
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