JP2007203508A - テンタークリップ用転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルム延伸装置のテンタークリップ15に使用され、外輪外周がエステル油で潤滑される転がり軸受18であって、該転がり軸受18は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、上記内輪および外輪の軸方向両端開口部を覆うシール部材とが設けられ、該シール部材は、少なくともエステル油に接触する部位がフッ素ゴム成形体からなり、該ゴム成形体がテトラフルオロエチレンと、プロピレンと、水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭素数 2〜4 の不飽和炭化水素からなる架橋用単量体とを含む共重合体からなる加硫可能なフッ素ゴム組成物の成形体である。
【選択図】図1
Description
図5に示すように、縦延伸されたシートは横延伸装置13において、複数のテンタークリップ15に両端を連続的に挟まれた状態で、熱処理されながら、ガイドレール12の拡幅部12a、12bに沿ってシートの幅方向に延伸され、縦、横両方向に延伸された二軸延伸フィルムとなる。図4に示すように、二軸延伸フィルムは引巻取機14にて巻き取られる。
一方、ガイドレール12の潤滑にはエステル油がよく用いられる。このエステル油がフッ素グリース封入軸受に侵入すると、フッ素グリースとエステル油の金属との親和性の関係からフッ素グリースが軸受から漏れ出して軸受の耐熱性が低下するという問題がある。テンタークリップ用転がり軸受において、このフッ素グリースの漏洩を防止する方法として、エステル油とフッ素油との混合油を基油に用いる方法が知られている(特許文献1参照)。
エステル油とフッ素油との混合油を基油に用いる方法は、フッ素グリースの漏洩を防止する方法として有効であることは確かであるが、軸受の密封装置、例えば軸受のシール部材を適切にすればエステル油の侵入や、フッ素グリースの漏れを効果的に防ぐことも可能である。この場合、密封装置としてはゴム製の非接触または軽接触シール部材が適当であるが、雰囲気温度からゴム材質はフッ素ゴムを使用することが一般的である。従来、このような用途に使用されているフッ素ゴム組成物としては、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの2元共重合体(VDF−HFP)や、これにテトラフルオロエチレンを加えた3元共重合体(VDF−HFP−TFE)等のフッ化ビニリデン系ゴム(以下、FKMと記す)が一般的である。
また、延伸装置は高温で使用するため、ガイドレールの潤滑油であるエステル油の酸化劣化を防止するため、エステル油にはアミン化合物などの酸化防止剤が添加されるのが一般的である。FKMにアミンが接触すると、FKMのフッ化ビニリデン部分で架橋反応が起こり、ゴムが硬化劣化するという問題がある。
また、上記エステル油は、アミン系添加剤を含むことを特徴とする。
また、上記共重合体がフッ化ビニリデンを含むことを特徴とする。
図1に示すようにテンタークリップ用転がり軸受として利用される深溝玉軸受1は、外周面に内輪転走面2aを有する内輪2と内周面に外輪転走面3aを有する外輪3とが同心に配置され、内輪転走面2aと外輪転走面3aとの間に複数個の転動体4が配置される。少なくとも転動体4の周囲にグリース組成物7が封入される。複数個の転動体4を保持する保持器5および外輪3等に固定されるシール部材6が内輪2および外輪3の軸方向両端開口部8a、8bにそれぞれ設けられ、走行補助として噴霧されるエステル油の侵入や異物の混入を防止する。ここで、シール部材6は、少なくともエステル油に接触する部位が、テトラフルオロエチレンと、プロピレンと、水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭素数 2〜4 の不飽和炭化水素からなる架橋用単量体とを含む共重合体からなる加硫可能なフッ素ゴム組成物の成形体から構成されている。
ゴム成形体と金属板との複合体からなるシール部材6の一例を図3に示す。シール部材6は鋼板などの金属板6aにゴム成形体6bを固着して得られる。固着方法としては、機械的固着、化学的固着のいずれの方法であってもよい。好ましい固着方法としては、ゴム成形体を加硫時に、加硫型内に金属板を配置し、成形および加硫を同時に行ない固着する方法が挙げられる。
上記いずれの装着方法においても、周囲にあるエステル油がシール部材6を構成するゴム成形体6bと接触する。ゴム成形体6bは少なくともエステル油と接触する部位が、上述したフッ素ゴム成形体で形成されていればよい。例えば、ゴム成形体6bをフッ素ゴム成形体単独としてもよく、また、エステル油と接触する部分をフッ素ゴム成形体として、その背面に従来のゴム成形体を積層した積層体としてもよい。
なお、軸受封入グリースとして、ウレア系グリース等のFKM製フッ素ゴムシールを劣化させるようなグリースを使用する場合には、該グリースと接触する部位も上述したフッ素ゴム成形体で形成しておくことが好ましい。
水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭素数 2〜4 の不飽和炭化水素からなる架橋用単量体としては、トリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロペン−1、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロピレン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンが挙げられる。好ましい架橋用単量体は3,3,3−トリフルオロプロペン−1である。
また、フッ化ビニリデンを共重合させる場合は、フッ化ビニリデンが 2〜20 重量%、好ましくは 10〜20 重量%である。20 重量%をこえると、走行補助用に噴霧されるエステル油に添加されているアミン系添加剤への耐性が低下するおそれや、封入グリースの増ちょう剤としてウレア化合物を使用する場合に、該ウレア化合物への耐性が低下するおそれがある。
これらのフッ素ゴムを加硫可能とするため、ポリヒドロキシ(ポリオール)加硫剤、第4アンモニウム塩、第4ホスホニウム塩、第3スルホニウム塩などから選ばれる加硫促進剤、水酸化カルシウムや酸化マグネシウム等の受酸剤、カーボンブラック、クレー、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウムなどの充填剤、オクタデシルアミン、ワックスなどの加工助剤、熱老化防止剤、顔料などが配合できる。例えば、それぞれの配合量は、共重合体を 100 重量部として、加硫剤が 0.1〜20 重量部、好ましくは 0.5〜3 重量部、加硫促進剤が 0.1〜20 重量部、好ましくは 0.5〜3 重量部、受酸剤が 1〜30 重量部、好ましくは 1〜7 重量部、充填剤が 5〜100 重量部、加工助剤が 0.1〜20 重量部である。
エステル油の具体例としては、例えば、炭素数 7〜22 の1価アルコールと芳香族多価カルボン酸、またはその誘導体とのエステル、および炭素数 7〜22 の1価カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルから選ばれた少なくとも1つのエステル油が挙げられる。1価アルコールおよび1価カルボン酸において、炭素数 7 未満および炭素数 22 をこえると潤滑性が劣る。
また、炭素数 7〜22 の1価カルボン酸は、上記脂肪族の1価アルコールの−CH2OHを−COOHに代えた1価カルボン酸、または、上記芳香族の1価アルコールの−OHを−COOHに代えた1価カルボン酸が挙げられる。
芳香族多価カルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ジフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などが挙げられる。
脂肪族多価アルコールとしては、1,3 ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
表1に示す配合組成でロール温度 50℃にてオープンロールを用いて混練することにより、未加硫フッ素ゴム組成物を得た。表1に用いた各材料を以下に示す。
(1)フッ素ゴム1:デュポン・ダウ・エラストマー社製、VTR8802(加硫剤配合済み)
(2)フッ素ゴム2:デュポン・ダウ・エラストマー社製、A32J
(3)酸化マグネシウム:協和化学工業社製、キョウワマグ150
(4)水酸化カルシウム:近江化学工業社製、カルビット
(5)カーボン:エンジニアード社製、N990
フッ素ゴム1は、テトラフルオロエチレンと、プロピレンと、水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭素数 2〜4 の不飽和炭化水素からなる架橋用単量体とを含む共重合体からなる加硫可能なフッ素ゴムであり、フッ素ゴム組成物2はフッ化ビニリデンゴムである。
上記未加硫フッ素ゴム組成物を用いて加硫プレス機にて加硫成形物を得た。金型実温度を 170℃に保ち、12 分間、1次加硫を行なった。次いで加硫成形物を恒温槽内に移し、 200℃で 24 時間、2次加硫を行なった。
得られた加硫成形物をJIS K 6251 3号試験片の形状に打ち抜き試験片を作製した。試験片をエステル油(新日鉄化学社製、ハトコールH2362 [ 40℃における動粘度 70 mm2/sec] にアミン系酸化防止剤 [ アルキル化ジフェニルアミン] を 2 重量%添加 )に 170℃×500 時間の条件で浸漬して、浸漬前後の体積を測定し、体積変化率を算出した。体積はJIS K 6258に準じて測定した。体積変化率は次式にしたがって算出した。結果を表1に併記する。
体積変化率(%)=100×(浸漬後体積−浸漬前体積)/浸漬前体積
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 シール部材
7 グリース組成物
8a 開口部
8b 開口部
9 押出機
10 ダイヘッド(Tダイ)
11 縦延伸機
12 ガイドレール
13 横延伸装置
14 引巻取機
15 テンタークリップ
15a テンタークリップ本体
16 シートの片端
17 把持部
18 テンタークリップ用転がり軸受
Claims (6)
- 内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、前記内輪および外輪の軸方向両端開口部を覆うシール部材とが設けられたテンタークリップ用転がり軸受であって、
前記シール部材がフッ素ゴム成形体からなり、該フッ素ゴム成形体が、テトラフルオロエチレンと、プロピレンと、水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭素数 2〜4 の不飽和炭化水素からなる架橋用単量体とを含む共重合体からなる加硫可能なフッ素ゴム組成物の成形体であることを特徴とするテンタークリップ用転がり軸受。 - 内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する複数の転動体と、前記内輪および外輪の軸方向両端開口部を覆うシール部材とが設けられ、前記外輪外周がエステル油で潤滑されるテンタークリップ用転がり軸受であって、
前記シール部材は、少なくとも前記エステル油に接触する部位がフッ素ゴム成形体からなり、該フッ素ゴム成形体が、テトラフルオロエチレンと、プロピレンと、水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭素数 2〜4 の不飽和炭化水素からなる架橋用単量体とを含む共重合体からなる加硫可能なフッ素ゴム組成物の成形体であることを特徴とする請求項1記載のテンタークリップ用転がり軸受。 - 前記エステル油は、アミン系添加剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載のテンタークリップ用転がり軸受。
- 前記架橋用単量体が、トリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロペン−1、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロピレン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペンから選ばれた少なくとも一つの単量体であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のテンタークリップ用転がり軸受。
- 前記共重合体が、フッ化ビニリデンを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載のテンタークリップ用転がり軸受。
- 前記転がり軸受に封入されるグリースが、フッ素グリース単独、または、フッ素油とエステル油との混合油である基油と、ジウレア化合物とポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末との混合物である増ちょう剤とからなるグリースであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載のテンタークリップ用転がり軸受。
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