JP2007203366A - 曲げ加工方法および曲げ加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】管内面に潤滑油を塗布することなく、曲げ加工時の管の肉厚減少や座屈を抑制すること。
【解決手段】マンドレル(19)が挿入されたパイプ(P)を曲げ型(17)と押さえ型(18)とで挟持し、パイプ(P)の曲げ加工を行う。パイプ(P)の外周面には、曲げ動作時に、パイプ(P)が曲げ型(17)および押さえ型(18)に対して摺動するように潤滑油が塗布される。よって、曲げ動作に伴い、曲げ部外側の管壁が引っ張り力の作用方向に追従し、曲げ部内側の管壁が圧縮力の作用方向に追従する。これにより、引っ張り力等が緩和され、肉厚減少等が抑制される。
【選択図】図3
【解決手段】マンドレル(19)が挿入されたパイプ(P)を曲げ型(17)と押さえ型(18)とで挟持し、パイプ(P)の曲げ加工を行う。パイプ(P)の外周面には、曲げ動作時に、パイプ(P)が曲げ型(17)および押さえ型(18)に対して摺動するように潤滑油が塗布される。よって、曲げ動作に伴い、曲げ部外側の管壁が引っ張り力の作用方向に追従し、曲げ部内側の管壁が圧縮力の作用方向に追従する。これにより、引っ張り力等が緩和され、肉厚減少等が抑制される。
【選択図】図3
Description
本発明は、曲げ加工方法および曲げ加工装置に関し、特に、肉厚減少や座屈の防止に係るものである。
従来より、熱交換器の伝熱管等のパイプを曲げ加工する方法において、パイプの扁平化(断面変形)やしわの発生を防止するために、マンドレル(芯金)をパイプに挿入した状態で曲げ加工を行うものが一般的に知られている。
具体的に、上述した曲げ加工方法では、マンドレルが挿入されたパイプを曲げ型および押さえ型で挟持して、パイプが曲げ型に沿って曲げられる。つまり、パイプの管壁が曲げ型および押さえ型とマンドレルとで挟持された状態で曲げ加工が行われる。したがって、曲げ加工の際、パイプ内面とマンドレルとの間に大きな摩擦抵抗が生じ、マンドレルに対するパイプの滑りが悪くなる。この結果、パイプの曲げ部外側においては肉厚減少が生じ、パイプの曲げ部内側においては座屈が生じるという問題あった。
そこで、パイプ内面とマンドレルとの摩擦抵抗を低減し、パイプの肉厚減少や座屈を抑制した曲げ加工方法が特許文献1に開示されている。具体的に、この特許文献1では、マンドレルの外周部に潤滑剤保持部材が設けられ、加工時にその潤滑保持部材の潤滑剤(潤滑油)がパイプ内面に塗布されることで、パイプとマンドレルとの摩擦抵抗を低減している。
特開2005−186143号公報
しかしながら、上述した特許文献1の曲げ加工方法では、パイプ内面に潤滑油が残存するので、パイプの用途によっては、曲げ加工後に残存する潤滑油を除去しなければならないという問題があった。このようなパイプとして、例えば、空気調和機等の熱交換器に用いられるヘアピン状に曲げられた伝熱管がある。この伝熱管の内面に潤滑油が付着していると、その潤滑油が冷媒と混合し、冷媒の性能が低下したり、圧縮機やその他の機器に悪影響を及ぼす恐れがある。したがって、曲げ加工後は、伝熱管内から潤滑油等を除去する工程(乾燥工程)が必要になる。その結果、伝熱管の製造において手間と時間が掛かってしまうという問題があった。
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マンドレルを用いたパイプの曲げ加工方法および曲げ加工装置において、パイプ内面への潤滑剤(潤滑油)の供給を行わずにパイプの肉厚減少や座屈を抑制し、潤滑剤の除去工程を省略することである。
第1の発明は、パイプにマンドレル(19)を挿入した後、上記パイプを曲げ型(17)と押さえ型(18)とで挟持し、上記パイプを曲げ型(17)に沿って曲げる曲げ加工方法を前提としている。そして、本発明の曲げ加工方法は、上記パイプを曲げ型(17)および押さえ型(18)で挟持する前に、上記パイプの曲げ型(17)および押さえ型(18)で挟持される外周面に潤滑油を塗布するものである。
上記の発明では、パイプの曲げ部外側の管壁(パイプ壁)が押さえ型(18)とマンドレル(19)とで挟持され、パイプの曲げ部内側の管壁が曲げ型(17)とマンドレル(19)とで挟持される。この状態で、パイプの曲げ加工を行うと、曲げ部外側では管壁が軸方向に引っ張られ、曲げ部内側では管壁が軸方向に圧縮される。一方、挟持部分の管壁の外周面には、予め潤滑油が塗布されている。したがって、曲げ部外側では管壁と押さえ型(18)との摩擦抵抗が低減され、曲げ部内側では管壁と曲げ型(17)との摩擦抵抗が低減される。したがって、パイプが押さえ型(18)および曲げ型(17)に対して摺動し易くなる。
これにより、曲げ部外側では、管壁が軸方向に引っ張られると、その引っ張り方向(図1における左方向)に向かって挟持部分の管壁が摺動する。つまり、管壁が引っ張り方向に追従して移動する。したがって、管壁に作用する引っ張り力が緩和され、その引っ張り力に起因する管壁の肉厚減少が抑制される。一方、曲げ部内側では、管壁が軸方向に圧縮されると、その圧縮方向(図1における右方向)に向かって挟持部分の管壁が摺動する。つまり、管壁が圧縮方向に移動する。したがって、管壁に作用する圧縮力が緩和され、その圧縮力に起因する管壁の座屈が抑制される。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記パイプをマンドレル(19)の挿入位置まで搬送する搬送手段(11)を有し、上記搬送手段(11)による搬送中のパイプに潤滑油を塗布するものである。
上記の発明では、搬送手段(11)によって搬送されたパイプにマンドレル(19)が挿入され、該パイプが曲げ型(17)および押さえ型(18)で挟持される。そして、本発明では、搬送途中のパイプの外周面に潤滑油が塗布される。つまり、パイプは、搬送されながら潤滑油が塗布される。
第3の発明は、上記第1の発明において、上記マンドレル(19)の表面にメッキ加工が施されているものである。
上記の発明では、マンドレル(19)にメッキ加工が施されているので、マンドレル(19)に対するパイプの管壁の摩擦抵抗が一層低減される。これにより、パイプの管壁が引っ張り方向または圧縮方向に向かって一層摺動し易くなる。よって、曲げ加工において、曲げ部の管壁に作用する引っ張り力および圧縮力が一層緩和される。
第4の発明は、上記第1または第3の発明において、上記押さえ型(18)の表面にメッキ加工が施されているものである。
上記の発明では、押さえ型(18)にメッキ加工が施されているので、押さえ型(18)に対するパイプの管壁の摩擦抵抗が一層低減される。これにより、曲げ部外側において、管壁が引っ張り方向に向かって一層摺動し易くなる。よって、曲げ加工において、曲げ部の管壁に作用する引っ張り力が一層緩和される。
第5の発明は、上記第1の発明において、上記パイプの曲げ動作中に、押さえ型(18)がパイプの曲げ動作に追従するように該パイプの軸方向にスライド移動するものである。
上記の発明では、押さえ型(18)がパイプ(P)の曲げ動作に追従してスライド移動(図1における左方向)するので、パイプの曲げ部外側の管壁が引っ張り方向に追従して移動し易くなる。その結果、管壁に作用する引っ張り力が一層緩和される。
第6の発明は、パイプに挿入されるマンドレル(19)と、該マンドレル(19)が挿入された状態のパイプを挟持する曲げ型(17)および押さえ型(18)とを備え、上記挟持されたパイプを曲げ型(17)に沿って曲げる曲げ加工装置を前提としている。そして、本発明の曲げ加工装置は、上記パイプが曲げ型(17)および押さえ型(18)に対して摺動するように上記パイプの外周面に潤滑油を塗布する潤滑油塗布手段(13)を備えているものである。
上記の発明では、パイプの曲げ部外側の管壁が押さえ型(18)とマンドレル(19)とで挟持され、パイプの曲げ部内側の管壁が曲げ型(17)とマンドレル(19)とで挟持される。この状態で、パイプの曲げ加工を行うと、曲げ部外側では管壁が軸方向に引っ張られ、曲げ部内側では管壁が軸方向に圧縮される。一方、パイプの外周面には、該パイプが曲げ型(17)および押さえ型(18)に対して摺動するように、潤滑油塗布手段(13)によって潤滑油が塗布される。つまり、曲げ部外側では管壁と押さえ型(18)との摩擦抵抗が潤滑油によって低減され、曲げ部内側では管壁と曲げ型(17)との摩擦抵抗が潤滑油によって低減される。
以上により、パイプの曲げ部外側では、管壁が軸方向に引っ張られると、その引っ張り方向(図1における左方向)に向かって挟持部分の管壁が摺動する。つまり、管壁が引っ張り方向に移動する。したがって、管壁に作用する引っ張り力が緩和され、その引っ張り力に起因する管壁の肉厚減少が抑制される。一方、パイプの曲げ部内側では、管壁が軸方向に圧縮されると、その圧縮方向(図1における右方向)に向かって挟持部分の管壁が摺動する。つまり、管壁が圧縮方向に移動する。したがって、管壁に作用する圧縮力が緩和され、その圧縮力に起因する管壁の座屈が抑制される。
第7の発明は、上記第6の発明において、上記パイプをマンドレル(19)の挿入位置まで搬送する搬送手段(11)を有し、上記潤滑油塗布手段(13)が、上記搬送手段(11)による搬送中のパイプに潤滑油を塗布するように構成されているものである。
上記の発明では、搬送手段(11)によって搬送されたパイプにマンドレル(19)が挿入され、該パイプが曲げ型(17)および押さえ型(18)で挟持される。そして、本発明では、潤滑油塗布手段(13)によって搬送途中のパイプの外周面に潤滑油が塗布される。つまり、パイプは、搬送されながら潤滑油が塗布されることになる。
第8の発明は、上記第6の発明において、上記マンドレル(19)の表面にメッキ加工が施されているものである。
上記の発明では、マンドレル(19)にメッキ加工が施されているので、上記第3の発明と同様に、パイプの管壁が引っ張り方向または圧縮方向に向かって一層摺動し易くなる。よって、曲げ加工において、曲げ部の管壁に作用する引っ張り力および圧縮力が一層緩和される。
第9の発明は、上記第6または第8の発明において、上記押さえ型(18)の表面にメッキ加工が施されているものである。
上記の発明では、押さえ型(18)にメッキ加工が施されているので、上記第4の発明と同様に、曲げ部外側において管壁が引っ張り方向に向かって一層摺動し易くなる。よって、曲げ加工において、曲げ部外側の管壁に作用する引っ張り力が一層緩和される。
第10の発明は、上記第6の発明において、上記押さえ型(18)がパイプの軸方向にスライド移動可能に構成されている。そして、本発明は、パイプの曲げ動作中に、上記押さえ型(18)をパイプの曲げ動作に追従するようにスライド移動させる制御手段(22)を備えているものである。
上記の発明では、制御手段(22)によって押さえ型(18)がパイプ(P)の曲げ動作に追従してスライド移動(図1における左方向)する。これにより、曲げ部外側の管壁が引っ張り方向に移動し易くなる。その結果、曲げ部外側の管壁に作用する引っ張り力が一層緩和される。
第11の発明は、上記第7の発明において、上記曲げ型(17)および押さえ型(18)が、上記搬送手段(11)の搬送路の下流端部に設けられ、上記潤滑油塗布手段(13)が、上記搬送手段(11)の搬送路の途中に設けられている。一方、本発明の曲げ加工装置は、上記潤滑油塗布手段(13)と曲げ型(17)および押さえ型(18)との間の搬送路に設けられ、上記曲げ型(17)および押さえ型(18)によって挟持されたパイプを切断する切断手段(16)と、上記切断手段(16)と曲げ型(17)および押さえ型(18)との間の搬送路に設けられ、上記切断手段(16)によって切断されたパイプの切断端部を回動させて該パイプを曲げ型(17)に沿って曲げる曲げ手段(21)とを備えているものである。
上記の発明では、搬送手段(11)の搬送路において、上流側から順に、潤滑油塗布手段(13)と、切断手段(16)と、曲げ手段(21)と、曲げ型(17)および押さえ型(18)とが設けられている。この曲げ加工装置では、先ず、搬送中のパイプに対して潤滑油塗布手段(13)により潤滑油が塗布される。この塗布後のパイプは、引き続き搬送され、マンドレル(19)が挿入されて搬送停止となる。その後、パイプが曲げ型(17)および押さえ型(18)によって挟持され、その状態で切断手段(16)によって切断される。続いて、曲げ手段(21)によってパイプの切断端部が回動し、パイプが曲げられる。
したがって、本発明によれば、パイプの外周面に潤滑油を塗布して、曲げ加工時にパイプを曲げ型(17)および押さえ型(18)に対して摺動させるようにした。これにより、曲げ加工によって管壁に作用する引っ張り力および圧縮力を緩和させることができ、引っ張り力に起因する管壁の肉厚減少や圧縮力に起因する管壁の座屈を抑制することができる。そうすると、パイプの内周面に潤滑油を塗布する必要がないので、パイプ内における潤滑油の残存を防止できる。その結果、曲げ管の製作において、パイプ内の潤滑油を除去する工程を省略することができ、製作工程の短縮を図ることができる。
また、第2または第7の発明によれば、搬送中のパイプに潤滑油を塗布するようにしたので、実質的に別途潤滑油の塗布工程を設けなくもよい。したがって、曲げ管の製作工程の短縮を一層図ることができる。
また、第3または第8の発明によれば、マンドレル(19)にメッキ加工を施し、また第4または第9の発明によれば、押さえ型(18)にメッキ加工を施すようにしたので、パイプが曲げ型(17)および押さえ型(18)に対して一層摺動し易くなる。よって、管壁の肉厚減少や座屈を一層抑制することができる。
また、第5または第10の発明によれば、押さえ型(18)をパイプの曲げ動作に追従してスライド移動させるようにしたので、曲げ部外側の管壁が引っ張り方向に一層移動し易くなる。その結果、管壁に作用する引っ張り力を一層緩和することができ、管壁の肉厚減少を確実に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の曲げ加工装置(10)は、冷凍装置等に用いられる熱交換器の伝熱管(以下、パイプ(P)という。)の曲げ加工、いわゆるヘアピン曲げを行うものである。本実施形態の曲げ加工装置(10)は、外径がφ5〜10mm程度で、その肉厚(管厚)がt0.2〜0.5mm程度のパイプを対象とし、該パイプを曲げ半径R15〜30mmで曲げるものである。また、上記パイプ(P)は銅製である。
図1に示すように、上記曲げ加工装置(10)は、搬送ユニット(11)と、カッターユニット(16)と、曲げ用ガイド管(21)と、曲げ型(17)と、押さえ型(18)と、マンドレル(19)とを備えている。
上記搬送ユニット(11)は、直線状の搬送路(12)を備えている。この搬送ユニット(11)は、直管であるパイプ(P)を搬送路(12)に送り出し、該搬送路(12)に沿って搬送する搬送手段を構成している。上記搬送路(12)には、下流端へ向かって順に、カッターユニット(16)および曲げ用ガイド管(21)が配設されている。そして、上記搬送路(12)の下流端部に、曲げ型(17)と押さえ型(18)とマンドレル(19)とが配設されている。
上記マンドレル(19)は、搬送ユニット(11)によって搬送されたパイプ(P)の端部から挿入され、パイプ(P)の内壁に当接するように構成されている。このマンドレル(19)は、パイプ(P)の曲げ加工時に、パイプ(P)の扁平化やしわの発生を防止するためのものである。なお、上記マンドレル(19)は、先端部がパイプ(P)の曲げ動作に追従して屈曲する、いわゆるボール型マンドレルである。これにより、パイプ(P)の扁平化やしわを確実に防止できる。また、上記マンドレル(19)は、表面にメッキ加工(硬質クロム系メッキ)が施されている。これにより、マンドレル(19)とパイプ(P)との摩擦抵抗が低減される。
上記曲げ型(17)および押さえ型(18)は、所定の間隔を有して対向し、この両者の間にマンドレル(19)が配設されている。つまり、曲げ型(17)および押さえ型(18)の間が搬送路(12)の一部を構成し、パイプ(P)が搬送されると共に該パイプ(P)にマンドレル(19)が挿入される。そして、この曲げ型(17)および押さえ型(18)は、マンドレル(19)が挿入された状態のパイプ(P)の外周面に圧接されて該パイプ(P)を挟持するように構成されている。具体的に、曲げ型(17)および押さえ型(18)は、パイプ(P)におけるマンドレル(19)が挿入されている部分を概ね挟持する。つまり、この状態では、パイプ(P)の管壁がマンドレル(19)と曲げ型(17)および押さえ型(18)とによって挟持されている。
上記押さえ型(18)は、パイプ(P)の軸方向(図1に矢印で示す方向)にスライド移動可能に構成されている。この押さえ型(18)は、表面にメッキ加工(DLC(ダイアモンド・ライク・カーボン)コーティング)が施されている。これにより、押さえ型(18)とパイプ(P)との摩擦抵抗が低減される。そして、この押さえ型(18)に対するパイプ(P)の摩擦抵抗は、上述したマンドレル(19)に対するパイプ(P)の摩擦抵抗よりも小さい。つまり、それぞれメッキ加工した押さえ型(18)とマンドレル(19)の動摩擦係数についてバウンデン摩擦試験により確認すると、前者の動摩擦係数が小さいことが分かった。なお、バウンデン摩擦試験とは、対象部材に対して所定の鋼球を所定速度で滑らし、その際に生じる摩擦抵抗力によって動摩擦係数を判定するものである。
上記カッターユニット(16)は、曲げ型(17)および押さえ型(18)で挟持された状態のパイプ(P)を切断する切断手段を構成している。
上記曲げ用ガイド管(21)は、搬送路(12)のパイプ(P)が挿通するように構成されている。つまり、上記搬送路(12)のパイプ(P)がカッターユニット(16)によって切断された状態では、該パイプ(P)の切断端部が曲げ用ガイド管(21)に挿入されている。そして、上記曲げ用ガイド管(21)は、図示しないアクチュエータによって回動することで、上記パイプ(P)の切断端部を回動させ、曲げ型(17)等によって挟持されたパイプ(P)を曲げ型(17)に沿って曲げる曲げ手段を構成している。
また、上記曲げ加工装置(10)は、本発明の特徴として、潤滑油塗布手段である潤滑油塗布部(13)を備えている。上記潤滑油塗布部(13)は、搬送路(12)におけるカッターユニット(16)よりも上流側に配設されている。
上記潤滑油塗布部(13)は、油噴霧部(14)および噴霧用ガイド管(15)を備えている。上記噴霧用ガイド管(15)は、搬送路(12)のパイプ(P)が挿通して通過するように構成されている。上記油噴霧部(14)は、噴霧用ガイド管(15)を挿通するパイプ(P)に潤滑油を噴霧するように構成されている。具体的に、上記油噴霧部(14)は、パイプ(P)の外周面のうち、曲げ型(17)および押さえ型(18)で挟持される箇所に潤滑油を噴霧する。つまり、上記パイプ(P)は、搬送移動しながら潤滑油が塗布される。
本実施形態において、油噴霧部(14)の噴霧量は、1箇所当たり10〜150mg程度に設定されている。
上記油噴霧部(14)の潤滑油は、揮発性の加工油(プレス油)が用いられる。この加工油は、熱交換器の一部を構成するフィンの製造時に用いられる油と同じである。例えば、この熱交換器(30)は、図10に示すように、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。つまり、熱交換器(30)は、長方形板状に形成されたアルミニウム製のフィン(32)が多数配列され、該フィン(32)を本実施形態に係るパイプ(P)である伝熱管(31)が貫通している。上記加工油(プレス油)は、フィン(32)がプレス機で長方形板状に打ち抜かれる際に用いられる。なお、加工後、フィン(32)には加工油が付着しているが、そのままの状態でも何ら問題はないため、加工油を除去することはせず自然乾燥させている。
また、上記曲げ加工装置(10)は、制御手段であるコントローラ(22)を備えている。このコントローラ(22)は、曲げ用ガイド管(21)によるパイプ(P)の曲げ動作に伴って、押さえ型(18)をパイプ(P)の軸方向(図1における左方向)にスライド移動させるように構成されている。つまり、上記押さえ型(18)は、パイプ(P)の曲げ動作に追従するように移動する。
−曲げ加工方法−
次に、本実施形態の曲げ加工装置(10)の曲げ加工方法について、図2〜図9を参照しながら説明する。この曲げ加工方法では、搬送工程、油塗布工程、挟持工程、切断工程、曲げ工程および排出工程が順に行われる。
次に、本実施形態の曲げ加工装置(10)の曲げ加工方法について、図2〜図9を参照しながら説明する。この曲げ加工方法では、搬送工程、油塗布工程、挟持工程、切断工程、曲げ工程および排出工程が順に行われる。
上記搬送工程、油塗布工程および挟持工程は、図2〜図4に示すように行われる。搬送工程では、直管であるパイプ(P)が搬送ユニット(11)に搬入され、搬送路(12)に沿って搬送される。具体的に、搬入されたパイプ(P)は、潤滑油塗布部(13)の噴霧用ガイド管(15)と曲げ用ガイド管(21)とを順に通過し、曲げ型(17)および押さえ型(18)の間を通過する。その際に、マンドレル(19)がパイプ(P)に挿入される(マンドレル挿入工程)。そして、パイプ(P)が曲げ型(17)および押さえ型(18)から所定長さだけ突出したすると、パイプ(P)の搬送移動が停止して搬送工程が終了する(図4の状態)。
上記油塗布工程は、図3および図4に示すように、上述した搬送工程の間に行われる。具体的に、パイプ(P)が噴霧用ガイド管(15)を通過する際に、油噴霧部(14)によってパイプ(P)の外周面に潤滑油が噴霧される。つまり、搬送移動しているパイプ(P)の曲げ型(17)および押さえ型(18)で挟持する部分に潤滑油が塗布される。
上記搬送工程が終了すると、挟持工程が行われる。この状態では、パイプ(P)の潤滑油が塗布されている部分が曲げ型(17)および押さえ型(18)の間に位置している。挟持工程では、曲げ型(17)および押さえ型(18)がパイプ(P)の潤滑油塗布部分に圧接されて、該パイプ(P)が挟持される(図4の状態)。
上記挟持工程が終了すると、図5に示すように、切断工程が行われる。この切断工程では、カッターユニット(16)により、パイプ(P)が噴霧用ガイド管(15)と曲げ用ガイド管(21)の間で切断される。
上記切断工程が終了すると、図6および図7に示すように、曲げ工程が行われる。この曲げ工程では、曲げ用ガイド管(21)が回動し、パイプ(P)が曲げ型(17)に沿ってヘアピン状に曲げられる。また、上記曲げ用ガイド管(21)の回動に伴って、コントローラ(22)が押さえ型(18)をパイプ(P)の軸方向(図6に矢印で示す)にスライド移動させる。
上記パイプ(P)の曲げ挙動について説明する。パイプ(P)の曲げ部外側では管壁が軸方向に引っ張られ、曲げ部内側では管壁が軸方向に圧縮される。
ここで、曲げ部外側の管壁は、押さえ型(18)とマンドレル(19)とで挟持されているが、その挟持部分の管壁の外周面に潤滑油が塗布されているので、管壁と押さえ型(18)との摩擦抵抗が低減される。そうすると、パイプ(P)の曲げ挙動において、管壁が押さえ型(18)に対して摺動し易くなる。これにより、管壁が軸方向に引っ張られると、挟持部分において管壁が引っ張り方向(図6における左方向)に摺動する。つまり、管壁が引っ張り方向に移動する。したがって、管壁に作用する引っ張り力を緩和することができ、管壁の肉厚減少を抑制することができる。つまり、挟持部分の管壁の外周面に潤滑油がないと、管壁が曲げ型(17)および押さえ型(18)による挟持部分で固定された状態で引っ張られるので、曲げによる引っ張り力がそのまま管壁に作用する。そうすると、曲げ部外側の管壁の肉厚減少が生じ、最悪の場合、破断する恐れがあるが、本発明では、それを回避することができる。
一方、曲げ部内側の管壁は、曲げ型(17)とマンドレル(19)とで挟持されているが、その挟持部分の管壁の外周面に潤滑油が塗布されているので、管壁と曲げ型(17)との摩擦抵抗が低減される。そうすると、パイプ(P)の曲げ挙動において、管壁が曲げ型(17)に対して摺動し易くなる。これにより、管壁が軸方向に圧縮されると、挟持部分において管壁が圧縮方向(図6における右方向)に摺動する。つまり、管壁が圧縮方向に移動する。したがって、管壁に作用する圧縮力を緩和することができ、管壁の座屈を抑制することができる。つまり、挟持部分の管壁の外周面に潤滑油がないと、管壁が曲げ型(17)および押さえ型(18)による挟持部分で固定された状態で圧縮されるので、曲げによる圧縮力がそのまま管壁に作用する。そうすると、曲げ部内側の管壁の座屈が生じるが、本発明では、それを回避することができる。
また、上記パイプ(P)の曲げ挙動においては、押さえ型(18)がパイプ(P)の曲げ動作に追従してスライド移動する。そうすると、曲げ部外側の管壁が押さえ型(18)の移動に伴って引っ張り力の作用方向(図6における左方向)に移動する。つまり、曲げ動作に伴って、曲げ部外側の管壁が引っ張り方向に追従する。これにより、管壁に作用する引っ張り力を一層緩和することができ、肉厚減少を確実に抑制することができる。
さらに、マンドレル(19)および押さえ型(18)表面にはメッキ加工がされているので、マンドレル(19)、曲げ型(17)および押さえ型(18)に対する管壁の摩擦抵抗(摺動抵抗)を一層低減することができる。したがって、管壁に作用する引っ張り力および圧縮力を一層緩和することができ、管壁の肉厚減少や座屈を確実に抑制することができる。
上記曲げ工程が終了すると、図8および図9に示すように、排出工程が行われる。この排出工程では、曲げ型(17)および押さえ型(18)のパイプ(P)への圧接が解除される。その後、ヘアピン状に曲げられたパイプ(P)が後方(図8における左側)に引っ張られ、曲げ用ガイド管(21)から抜かれる。そして、このヘアピン状のパイプ(P)は、下方に設けられた収納箱(図示せず)に落下して排出される。最後に、図9に示すように、曲げ用ガイド管(21)が回動して搬送路(12)に戻ると共に、押さえ型(18)がパイプ(P)の軸方向(図9に矢印で示す方向)にスライド移動して元の位置に戻る。以上により、全行程が終了する。
この曲げ加工後のパイプ(P)の外周面には、潤滑油が付着しているが、内周面に付着する場合のように冷媒等に影響を及ぼすことはなく、そのままの状態でも何ら問題はない。したがって、パイプ(P)から潤滑油を除去する必要がない。また、潤滑油は揮発性であるため、殆どが自然乾燥する。
本実施形態では、パイプ(P)を搬送させながら該パイプ(P)の外周面に潤滑油を塗布するようにしたので、別途潤滑油の塗布時間を設けなくてもよい。したがって、伝熱管の製作工程の短縮を図ることができる。
以上により、従来のようにパイプ内面に潤滑油を塗布しなくても、管壁の肉厚減少や座屈を抑制することができる。したがって、パイプ内面に潤滑油が残存することがないので、潤滑油の除去工程を省略することができる。その結果、伝熱管の製作工程を短縮することができる。
また、本実施形態のように、パイプ(P)の曲げ半径が非常に小さいR15〜30mmで曲げ加工を行うと、曲げ部の肉厚減少や座屈が顕著に生じるところ、本発明に係る曲げ加工方法または曲げ加工装置によれば肉厚減少等を抑制することができ、高精度な曲げ加工を行うことができる。これにより、高品質の曲げ管を製作することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記曲げ工程において、押さえ型(18)のスライド移動を省略するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、油噴霧部(14)によって潤滑油をパイプ(P)の外周面に噴霧するようにしたが、その塗布方法は、これに限らず、例えば手作業で塗布するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、搬送工程の間にパイプ(P)に潤滑油を塗布するようにしたが、搬送する前に予め塗布するようにしてもよい。
また、上記油噴霧部(14)の潤滑油は、上記で説明したものに限らず、例えば軸受部の潤滑に用いられる油を用いるようにしてもよい。
また、上記マンドレル(19)および押さえ型(18)の表面に施すメッキの種類は、上記実施形態で説明したものに限らず、他種のメッキを施すようにしてもよい。例えば、マンドレル(19)と同様に、押さえ型(18)の表面に硬質クロム系メッキを施すようにしてもよい。
また、上記マンドレル(19)は、ボール型のものを用いたが、いわゆるヘラ型等その他のタイプのものを用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、熱交換器に用いる銅製の伝熱管を対象としたが、材質が鋼製やアルミニウム製等の別のものであってもよいし、水道管等の別用途の管を対象としてもよい。
また、パイプ(P)の管厚、管径および曲げ半径等の数値は、上記実施形態で記載したものに限らず、本発明は、他のサイズのパイプにも適用することができる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、パイプの曲げ加工方法および曲げ加工装置として有用である。
10 曲げ加工装置
11 搬送ユニット(搬送手段)
13 潤滑油塗布部(潤滑油塗布手段)
16 カッターユニット(切断手段)
17 曲げ型
18 押さえ型
19 マンドレル
21 曲げ用ガイド管(曲げ手段)
22 コントローラ(制御手段)
P パイプ
11 搬送ユニット(搬送手段)
13 潤滑油塗布部(潤滑油塗布手段)
16 カッターユニット(切断手段)
17 曲げ型
18 押さえ型
19 マンドレル
21 曲げ用ガイド管(曲げ手段)
22 コントローラ(制御手段)
P パイプ
Claims (11)
- パイプにマンドレル(19)を挿入した後、上記パイプを曲げ型(17)と押さえ型(18)とで挟持し、上記パイプを曲げ型(17)に沿って曲げる曲げ加工方法であって、
上記パイプを曲げ型(17)および押さえ型(18)で挟持する前に、上記パイプの曲げ型(17)および押さえ型(18)で挟持される外周面に潤滑油を塗布する
ことを特徴とする曲げ加工方法。 - 請求項1において、
上記パイプをマンドレル(19)の挿入位置まで搬送する搬送手段(11)を有し、
上記搬送手段(11)による搬送中のパイプに潤滑油を塗布する
ことを特徴とする曲げ加工方法。 - 請求項1において、
上記マンドレル(19)の表面は、メッキ加工が施されている
ことを特徴とする曲げ加工方法。 - 請求項1または3において、
上記押さえ型(18)の表面は、メッキ加工が施されている
ことを特徴とする曲げ加工方法。 - 請求項1において、
上記パイプの曲げ動作中に、押さえ型(18)がパイプの曲げ動作に追従するように該パイプの軸方向にスライド移動する
ことを特徴とする曲げ加工方法。 - パイプに挿入されるマンドレル(19)と、該マンドレル(19)が挿入された状態のパイプを挟持する曲げ型(17)および押さえ型(18)とを備え、上記挟持されたパイプを曲げ型(17)に沿って曲げる曲げ加工装置であって、
上記パイプが曲げ型(17)および押さえ型(18)に対して摺動するように上記パイプの外周面に潤滑油を塗布する潤滑油塗布手段(13)を備えている
ことを特徴とする曲げ加工装置。 - 請求項6において、
上記パイプをマンドレル(19)の挿入位置まで搬送する搬送手段(11)を有し、
上記潤滑油塗布手段(13)は、上記搬送手段(11)による搬送中のパイプに潤滑油を塗布するように構成されている
ことを特徴とする曲げ加工装置。 - 請求項6において、
上記マンドレル(19)の表面は、メッキ加工が施されている
ことを特徴とする曲げ加工装置。 - 請求項6または8において、
上記押さえ型(18)の表面は、メッキ加工が施されている
ことを特徴とする曲げ加工装置。 - 請求項6において、
上記押さえ型(18)は、パイプの軸方向にスライド移動可能に構成され、
パイプの曲げ動作中に、上記押さえ型(18)をパイプの曲げ動作に追従するようにスライド移動させる制御手段(22)を備えている
ことを特徴とする曲げ加工装置。 - 請求項7において、
上記曲げ型(17)および押さえ型(18)は、上記搬送手段(11)の搬送路の下流端部に設けられ、
上記潤滑油塗布手段(13)は、上記搬送手段(11)の搬送路の途中に設けられる一方、
上記潤滑油塗布手段(13)と曲げ型(17)および押さえ型(18)との間の搬送路に設けられ、上記曲げ型(17)および押さえ型(18)によって挟持されたパイプを切断する切断手段(16)と、
上記切断手段(16)と曲げ型(17)および押さえ型(18)との間の搬送路に設けられ、上記切断手段(16)によって切断されたパイプの切断端部を回動させて該パイプを曲げ型(17)に沿って曲げる曲げ手段(21)とを備えている
ことを特徴とする曲げ加工装置。
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JP2006028807A JP2007203366A (ja) | 2006-02-06 | 2006-02-06 | 曲げ加工方法および曲げ加工装置 |
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- 2006-02-06 JP JP2006028807A patent/JP2007203366A/ja active Pending
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