JP2007202440A - 地被植物が植生する植生構造への施肥方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】地被植物の管理および/または育成時の施肥に関し、地被植物の生育障害が生じず、地被植物の刈込み時に施用された肥料体が刈り込み機等の吸い込みによって減じることが少なく肥効を長期間制御すること。
【解決手段】地被植物と保水体とを含む植生構造への施肥方法であって、保水体の最上部に層状に肥料体を施用することと、保水体に垂設状に肥料体を施用することと、を含み、肥料体は粒状の緩効性肥料を含み、粒状の緩効性肥料は粒子径0.5mm以上の粒子が70質量%以上であり、最大粒子径が2mm以下であることを特徴とする、施肥方法。
【選択図】図1

Description

本発明は地被植物が植生する植生構造への施肥方法に関する。
地表を覆うように生育する植物である地被植物は、茎葉や枝を横に伸ばして裸地の部分がないほど地表を密に覆うと同時に根群も地表部に密集しているため、土壌の乾燥や土の流出、雑草を防ぐ効果がある。さらに、地被植物は頻繁な刈込みと更新作業に伴う新芽や新根の発生が次々にくり返される植物生育相をもっており、庭園や公園、造園・園芸に用いられるほか、ゴルフ場やサッカー等の各種競技場や傾斜地や法面(のりめん)の緑化等その使用場面は多岐にわたる。
地被植物の植生は収量を目的とせず、景観の美しさ、丈夫さ、使いやすさ等の品質に重点がおかれている。地被植物の景観等を維持するために潅水等の管理作業のほか、肥料、農薬等の農業資材が用いられており、一般的な施肥後の植生構造は、地被植物が植生する地表面上層の肥料から養分の供給を受ける層状構造になっている。
このような芝に代表される地被植物の管理および/または育成用の肥料としては、他の作物と同様に速効性と緩効性の二タイプのものが市販されている。
また、上記地被植物の専用肥料として市販されている肥料の形体は、液肥タイプと固形タイプが挙げられ、前者は三要素に苦土、微量要素などを加えたものが多く、後者は細粒にして、手で蒔くときにムラができにくく、均一に施用できるよう扱いやすくしてあるものが一般的である。
芝用の窒素肥料では、速効性の化成肥料として硫安,尿素,硝安や尿素−塩化カルシウム塩を含有する肥料組成物(例えば、特許文献1参照)等が開示されている。
また、緩効性肥料として、特に化学合成緩効性窒素肥料を用いた例としては、ホルムアルデヒド加工尿素を用いたサスペンジョン肥料(例えば、特許文献2参照)、水溶性成分含量が少なく粒径の小さな尿素−脂肪族アルデヒド縮合物含有肥料(例えば、特許文献3参照)、メチレン尿素を含有する緩効性芝生用細粒肥料(例えば、非特許文献1参照)等が挙げられる。粒状肥料の表面を樹脂等で被覆した被覆肥料を用いた例としては、被覆肥料と無被覆肥料からなる配合肥料(例えば、特許文献4参照)、硫黄コーティングとプライムポリマーの二重の緩効性肥料(例えば、非特許文献2参照)等が挙げられる。その他有機質肥料も用いられており、これら緩効性肥料は窒素養分の持続的供給が期待されている。
上記速効性肥料を層状に用いると、溶解した肥料成分量によっては生育障害が生じる。この生育障害を回避するため一度に施用する施肥量を制限する必要がある。したがって、化成肥料や液肥等の速効性肥料は繰り返し施肥する必要があり、施肥に多くの時間と労力を要する。また、有機質肥料や肥効調節型肥料であっても含まれる速効性窒素肥料成分量や初期窒素溶出量によっては速効性肥料と同様の生育障害が発生していた。
上述のほか、例えばゴルフ場等の芝の管理作業における刈込み時に層状に施用された粒状肥料は物理的に損傷・破壊を受けやすく、結果、該粒状肥料が緩効性の場合、肥効が短期になるという問題点を有する。さらに、地表面に層状に施用された粒状緩効性肥料は刈り込まれた草とともに吸い取られてしまい、肥効を発揮することなく草と共に廃棄物になる場合があった。このことが粒状緩効性肥料は特に芝で使用しにくいとされる最大の原因であり、液状の肥料が何回かに分けて用いられる理由でもあった。
特開平8−301679号公報 特開平8−290987号公報 特開2005−67923号公報 特表2000−503965号公報 "ティータイム総合案内ページ"、[online]、平成16年5月11日、東洋グリーン株式会社、[平成17年8月22日検索]、インターネット<http://www.toyo-green.com/html/products-site/384735.htm> "ゴルフ場芝専用肥料ヤハギ・パーフェクトシリーズ"、[online]、平成15年3月、ヤハギ緑化株式会社、[平成17年8月22日検索]、インターネット<http://www2.odn.ne.jp/yahagi-green/06_06.html>
本発明は、地被植物の管理および/または育成時の施肥に関し、地被植物の生育障害が生じず、地被植物の刈込み時に施用された肥料体が刈り込み機等の吸い込みによって減じることが少なく肥効を長期間制御することを課題とする。
本発明者等は、前述の課題を解決するため鋭意研究を重ねた。その結果、粒子径0.5mm以上の粒子を70質量%以上含有し最大粒子径が2mm以下である粒状の緩効性肥料を含有する肥料体であれば、地被植物の生育障害が生じず、また、刈込み時に施用された肥料体が刈り込み機等の吸い上げによって減じることが少なく肥効の長期持続が可能であることが明らかとなった。さらに、土壌を主成分とする保水体の最上部に層状に肥料体を施用することと、保水体にほぼ垂直方向の柱状となるよう(以下では垂設状と言うことがある)に肥料体を施用することを組み合わせた施肥方法をとることで、前記課題が解決されることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成した。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)地被植物と保水体とを含む植生構造への施肥方法であって、前記保水体の最上部に層状に肥料体を施用することと、前記保水体に垂設状に肥料体を施用することと、を含み、前記肥料体は粒状の緩効性肥料を含み、前記粒状の緩効性肥料は粒子径0.5mm以上の粒子が70質量%以上であり、最大粒子径が2mm以下であることを特徴とする、施肥方法。
(2)前記粒状の緩効性肥料が少なくとも下記のいずれか一方であることを特徴とする(1)に記載の施肥方法。
(a)化学合成緩効性窒素肥料を含有し、かつ速効性窒素を10質量%以下含有する肥料。
(b)表面に樹脂を被覆して得られた被覆肥料であって、水200mLに該被覆肥料10gの割合で25℃一定に静置した条件下において3日目の累積窒素成分溶出率が10%以下である肥料。
(3)前記化学合成緩効性窒素肥料が、アセトアルデヒド縮合尿素、イソブチルアルデヒド縮合尿素、グリオキサール縮合尿素、及びメチロール尿素重合肥料の群から選ばれた少なくとも1種である(2)に記載の施肥方法。
(4)前記化学合成緩効性窒素肥料が、アセトアルデヒド縮合尿素である(2)又は(3)に記載の施肥方法。
(5)前記肥料体はさらに砂を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一に記載の施肥方法。
(6)(1)〜(5)のいずれか一に記載の施肥方法を用いて施肥された植生構造。
本発明により、地被植物の管理および/または育成時の施肥に関し、地被植物の生育障害が生じず、地被植物の刈込み時に施用された肥料体が刈り込み機等の吸い込みによって減じることが少なく肥効を長期間制御することで、施肥の省力化及び利用率向上による減肥が達成される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の施肥方法は、地被植物と保水体とを含む植生構造への施肥方法であって、上記保水体の最上部に層状に肥料体を施用することと、上記保水体に垂設状に肥料体を施用することと、を含み、上記肥料体は粒状の緩効性肥料を含み、前記粒状の緩効性肥料は粒子径0.5mm以上の粒子が70質量%以上であり、最大粒子径が2mm以下であることを特徴とする。
上記地被植物(「被覆植物」ともいう)とは、地表を覆うように生育する植物の総称であり、具体的には、芝、アジュガ、シバザグラ、スイートアリッサム、バーベナ、コバノランタナ、ツタ、アイビー等を例示できる。芝としては、暖地型芝生と寒地型芝生があり、暖地型芝生としては野芝、高麗芝、姫高麗芝、ティフトン、ティフドワーフ、セントオーガスチングラス等、寒地型芝生としては、ベントグラス類、ブルーグラス類、フェスク類、ライグラス類等が挙げられる。
上記保水体とは、植物を支持・育成するために水分等を供給するものであり、具体的には天然土壌のほか砂、バーク堆肥、泥炭、バーミキュライト、パーライト、ベントナイト、ゼオライト、ロックウール等が挙げられるが、費用の点で天然土壌が最も好ましい。
上記植生構造は、地被植物と保水体とを少なくとも含み、例えば、保水体上に地被植物が植生した構造をいう。上記植生構造は、地被植物、保水体以外にも、肥料、農薬等を含むことも可能である。
本発明の施肥方法は、保水体の最上部に層状に肥料体を施用することと、保水体に垂設状に肥料体を施用することを含むことを特徴とする。
すなわち、本発明の施肥方法では、保水体の最上部に層状に肥料体(以下、層状肥料体ともいう)を施用することで、保水体上層部より面で肥料成分を供給し、保水体に垂設状に肥料体(以下、垂設状肥料体ともいう)を施用することで、垂設状肥料体の長さにより根群の深層に安定的に肥料成分を供給することができる。上記層状肥料体は保水体との接触が垂設状肥料体より少ないことで肥効が持続しやすい傾向にある。一方、垂設状肥料体は保水体中に実質的に埋設された状態であることから、地被植物の刈込み時に刈り込み機に肥料体が吸い込まれて減少することを抑えることができる。この垂設状肥料体の形状は、特に限定されないが、設置時の作業性等を考慮すると柱状であり、円柱形状若しくは角柱形状のものが好ましい。
これら層状肥料体および垂設状肥料体の併用により地被植物の保水体に対して立体的に肥料成分を供給することが可能となる。
本発明の施肥方法の具体例として、図1に示すように、土壌を主成分とする保水体の最上部に層状に肥料体を施用し、かつ該層状の肥料体の底面に接して、保水体中に垂設状に肥料体を平行して複数施用する方法が挙げられる。
また、これら肥料体の施肥量は、層状肥料体の厚みや垂設状肥料体の長さ、単位面積あたりの数(垂設状肥料体間の間隔、垂設状肥料体の保水体表面における寸法)によって調節が可能である。
上記層状肥料体と垂設状肥料体のバランスとしては、層状肥料体のみでは従来技術と何ら変わりなく、垂設状肥料体のみでは肥料施用分布均一性を確保できないこと及び肥効期間が層状肥料体より短いことから、層状肥料体に含まれる肥料成分と垂設状肥料体に含まれる肥料成分の質量比を1:9〜9:1の範囲内とすることが地被植物の管理育成上好ましい。
上記層状肥料体の厚みや垂設状肥料体の長さ、垂設状肥料体間の間隔、垂設状肥料体の保水体表面における寸法を具体的に例示する。
層状肥料体の厚みは1〜20mmが好ましく、より好ましくは1〜10mmである。
垂設状肥料体の寸法は、円柱形状とした場合、保水体表面における直径は1〜25mmが好ましく、より好ましくは5〜20mm、長さ(深さ)は10〜150mmが好ましく、より好ましくは20〜120mm、間隔は5〜100mmが好ましく、より好ましくは5〜85mmである。上記間隔は保水体表面における肥料体の外周間の間隔を意味する。垂設状肥料体の寸法が上記範囲内であると層状肥料体および垂設状肥料体により地被植物の地下部に対して立体的に肥料成分が供給でき、かつ、これら肥料体の有する肥効を長期間制御することが可能となる。
本発明の方法に用いられる肥料体は、粒状の緩効性肥料を含み、該粒状の緩効性肥料は粒子径0.5mm以上の粒子が70質量%以上であり、最大粒子径が2mm以下であることを特徴とする。
上記肥料体は、粒状の緩効性肥料の効果を損なわない限り、粒状の緩効性肥料以外の肥料を配合することができる。例えば、速効性の化成肥料(速効性肥料)等を配合した複合肥料とすることも可能である。
上記肥料体中の緩効性肥料の含有量は、肥料体全質量に対して、20質量%〜100質量%であることが好ましく、30質量%〜90質量%であることがより好ましい。
また、上記肥料体が上記複合肥料を含有する場合、複合肥料中の緩効性肥料と速効性肥料の配合割合は施肥量や肥効特性にもよるが概ね窒素量の質量比率で緩効性肥料:速効性肥料=50:1〜1:1であることが好ましく、30:1〜2:1であることがより好ましい。
さらに、上記肥料体は、保水体の透水性や通気性の確保等の目的で砂、ボラ土等の細かい土壌を含むことが好ましく、特に、砂を含むことが好ましい。このとき、砂は上記粒状の緩効性肥料と混合してもよいが、粒状の緩効性肥料を覆い被せるようにして層状肥料体を構成することが、地被植物の刈込み時に刈り込み機に肥料体が吸い込まれることを抑制するうえで好ましい。上記砂としてはその産地から山砂、海砂、川砂があり、粒径も種類によって様々であるが、使用時に地被植物への影響のない砂であれば特に限定されず、2ミリ砂(粒径が0.25〜2.0mm位に揃っている川砂)が特に好ましい。
上記砂には様々な機能を付与する目的で土壌改良材を添加しても良い。例えば、ゼオライト、バーミキュライト、パーライト、ピートモス等が挙げられ、これらは単品のみならず複数を組み合わせてもよい。
上記砂の含有量は、肥料体全質量に対して、10容量%〜99.99容量%であることが好ましく、50容量%〜99.9容量%であることがより好ましい。
本発明の方法に用いられる粒状の緩効性肥料は粒子径0.5mm以上の粒子が70質量%以上、好ましくは90質量%以上であり、最大粒子径が2mm以下、好ましくは1.5mm以下である。
粒子径が0.5mm以上の粒子が70質量%未満では、肥料成分の溶出速度が早くなった粒子の割合が多く、肥効が短期になると同時に、粒子の硬度低下による粉化、粉立ちの発生等の不都合を招く恐れがある。一方、最大粒子径が2mmを超えると、地被植物の刈込み時に刈り込み機に粒状の緩効性肥料が吸い込まれる割合が顕著に増加する。また、肥料成分の溶出速度が遅くなるほか単位面積当たりの施肥粒数が大幅に減少するため用途が限定される可能性がある。
粒状の緩効性肥料の粒子径が上記の範囲であれば、地被植物の刈込み時に刈り込み機に粒状の緩効性肥料が吸い込まれることを防止し、均一な層状肥料体や数多くの垂設状肥料体を形成させることができ、単位面積当たり又は植生する地被植物当たりの施肥量のばらつきも少なくなる。
上記粒状の緩効性肥料の粒子径は、直接定規等で測定するほかに篩を用いて測定することで求めることができる。また、粒子径等が上記範囲を満たす粒状の緩効性肥料は製造の最終工程で任意の目開きの篩をからなる振動篩い等の公知の篩い分け技術を適用することによって調製(製造)することができる。
上記緩効性肥料としては、物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料(即ち緩効性被覆肥料、以下被覆肥料ともいう)及び/又は化学的に溶解度が緩効性である緩効性肥料を用いることができる。
物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料としては、窒素質肥料をポリオレフィン系樹脂または硫黄その他の被覆原料で被覆した被覆窒素肥料、カリ質肥料をポリオレフィン系樹脂または硫黄その他の被覆原料で被覆した被覆カリ肥料、及び化成肥料または液状複合肥料をポリオレフィン系樹脂または硫黄その他の被覆原料で被覆複合肥料等が挙げられる。
上記被覆肥料の場合、水200mLに該被覆肥料10gの割合で25℃一定に静置した条件下において3日目の累積窒素成分溶出率が10質量%以下である肥料であることが好ましい。
また、上記被覆肥料の累積窒素成分溶出率は以下の方法にて求めることが可能である。被覆肥料10gを水200mL中に浸漬して25℃に静置し、所定期間経過後被覆肥料と水とに分け、水中に溶出した窒素成分の溶出累計量を定量分析により求める。さらに、上記被覆肥料10g中の全窒素量を定量し、該全窒素量に対する上記溶出累計量の割合を百分率で示したものを累積窒素成分溶出率とする。具体的には、特開2005−319417号公報等の方法が例示でき、これに準じて行えばよい。すなわち、被覆肥料10gと予め25℃に調整をしておいた蒸留水200mLとを250mLのポリ容器に投入し、25℃設定のインキュベーターに静置した。3日後該容器から水を全て抜き取り、抜き取った水に含まれる溶出累計窒素成分量(窒素成分累計溶出量)を定量分析(例えば、肥料分析法(例えば、農林水産省農業環境技術研究所著,「肥料分析法(1992年版)」,(財)日本肥糧検定協会発行,1992年12月,p.15−22や山添文雄ら著,「詳解肥料分析法 改訂第1版」,養賢堂発行,1973年1月,p.35−62等))により求めた。累積窒素成分溶出率は被覆肥料10g中の全窒素量に対する上記溶出累計窒素成分量の割合を百分率で示したものである。
本発明では、被膜の欠陥が多いことを示す施用初期の溶出率を指標として、静置後3日目の累積窒素成分溶出率が10質量%以下である肥料が好ましい。さらに、80質量%累積窒素成分溶出率が30日以上である場合は、一般的な化成肥料と比べても肥効が持続するため特に好ましい。
化学的に溶解度が緩効性である緩効性肥料としては、化学合成緩効性窒素成分、ク溶性リン酸成分及びク溶性加里成分から選ばれる一種以上含有する肥料が挙げられる。例えば、化学合成緩効性窒素成分としては、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物、グリオキサール縮合尿素、硫酸グアニル尿素及びオキサミド等が挙げられ、ク溶性リン酸成分としては、リン鉱石(微粉末)、焼成リン肥、熔成リン肥、沈澱リン酸石灰、苦土過石(蛇紋過石)、フッ素アパタイト及びヒドロキシアパタイト等が挙げられ、ク溶性加里成分としては、塩基性のカリウムまたはマグネシウム含有化合物及び微粉炭燃焼灰を混合して焼成した珪酸加里等が挙げられる。
上記化学的に溶解度が緩効性である緩効性肥料としては、少なくとも窒素成分を含有する緩効性窒素肥料が好ましい。該緩効性窒素肥料としては、肥料成分として化学合成緩効性窒素を含有する化学合成緩効性窒素肥料が好ましく、難水溶性の尿素−脂肪族アルデヒド縮合物を含有する肥料が特に好ましい。
上記緩効性肥料が、肥料成分として難水溶性の尿素−脂肪族アルデヒド縮合物を含有する肥料であれば、該肥料に含有する速効性窒素を窒素換算で窒素成分全質量に対して10質量%以下とすることが好ましく、0.1〜10質量%とすることがより好ましく、1〜10質量%とすることが特に好ましい。速効性窒素の含有量が上記の範囲であれば、特に播種から発芽前に粒状肥料層を形成させた場合に、栽培初期の生育遅れ、葉色異常、枯死等の生育不良または遅延を起こすことなく、緩効性窒素質肥料である尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の特徴を補うことができる。また、速効性窒素を含有せず尿素−脂肪族アルデヒド縮合物のみの肥料を得ようとした場合、精製工程を介する分コスト高になり実用的でない。尚、速効性窒素としては、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、尿素態窒素を挙げることができる。
上記速効性窒素は、アンモニア態窒素、硝酸態窒素、尿素態窒素からなる速効性窒素成分の分析値の和を速効性窒素の含有量とする。これら分析値は公知の肥料分析法に準拠して測定しその含有量を算出することができ、例えば、農林水産省農業環境技術研究所著「肥料分析法(1992年版)」((財)日本肥糧検定協会発行、1992年12月、p.15−22)等の方法を挙げることができる。
上記化学合成緩効性窒素肥料は、例えば財団法人農林統計協会発行の「ポケット肥料要覧 2004」(p.104)に記載されている。
また、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物は、特に限定されず、直鎖状、分岐のある鎖状、環状等の何れの分子構造を持つ尿素−脂肪族アルデヒド縮合物であっても使用することができる。具体的には、肥料取締法(普通肥料の公定規格、肥料の種類)に記載のアセトアルデヒド縮合尿素(CDUまたはOMU)、イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)、メチロール尿素重合肥料、ホルムアルデヒド加工尿素肥料等を挙げることができる。本発明においてはそれらのうち1種以上を任意に選択し使用すればよい。
好ましくは尿素−脂肪族アルデヒド縮合物でありアセトアルデヒド縮合尿素である2−オキソ−4−メチル−6−ウレイドヘキサヒドロピリミジン(以下、「CDU」という)、イソブチルアルデヒド縮合尿素、メチロール尿素重合肥料であり、特に好ましくは、CDUである。一方、ホルムアルデヒド加工尿素肥料は重合度によっては縮合度の高い成分がほとんど無機化せず、肥効の大部分を速効性窒素に依存していることから、肥効の制御が難しい。
緩効性肥料に尿素−脂肪族アルデヒド縮合物を窒素肥料成分として用いる場合、該緩効性肥料中に肥料成分として共存するリン酸含有量によっては肥効の調節が不安定になるおそれがある。このため、該緩効性肥料中のリン酸化合物の全含有量(全リン酸含有量とも
いう)は、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物に対してP25換算で0.01〜5質量%の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、該緩効性肥料に含有される尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の緩効性を損なうことが少ない。
尚、全リン酸含有量はキノリン重量法(第2改訂詳解肥料分析法、養賢堂発行、に記載の方法)で測定することができる。
また、肥効制御の面からは、水溶性リン酸化合物が該緩効性肥料中にある程度以上存在すると、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の肥効制御を損なう場合があるため、上記緩効性肥料中の水溶性リン酸化合物の含有割合は、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物に対して、P25換算で0.5質量%以下であることが好ましい。
水溶性リン酸化合物を含有するリン酸肥料、普通化成肥料、二成分複合化成肥料、高度化成肥料、有機質肥料等のリン酸化合物を含有する肥料を造粒助剤等として用いるときは、含有するリン酸化合物の水溶解度と含有量を考慮して使用することが好ましい。
上記から使用できるリン酸化合物は水溶性よりも難水溶性が好ましく、その中でも、水に対する溶解度の低いリン酸化合物は、比較的簡便に用いることができる。具体的には、20℃の水に対する溶解度が5g/100mL以下の物質が望ましく、例えばリン鉱石及び/または熔成リン肥が挙げられる。また、後述の有機系肥料に含有されるリン酸化合物のうち、難水溶性のものは好ましく用いることができる。
上記尿素−脂肪族アルデヒド縮合物への難水溶性リン酸化合物の添加割合は、特に限定されないが、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物に対しP25換算で0.01〜5質量%の範囲であることが好ましい。難水溶性リン酸化合物の添加割合がこの範囲内であれば、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の肥効の持続性の制御を効果的に行うことが可能である。
さらに、緩効性肥料に尿素−脂肪族アルデヒド縮合物を肥料成分とするものを用いる場合、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の肥効調節を目的として、該緩効性肥料に撥水性物質を含有させることができる。撥水性物質の添加により、尿素−脂肪族アルデヒド縮合物やリン酸化合物の土壌中における溶解を抑制し、該尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の肥効を広い範囲で制御することが可能となる。
上記撥水性物質としては、天然ワックス、合成ワックスから選ばれた1種以上を適宜使用するのが好ましい。天然ワックスとしては、キャデリンワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックスが挙げられ、合成ワックスとしては、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体等の水素化ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等が挙げられる。この中でも、硬化ひまし油及びその誘導体が尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の無機化速度を制御するのに効果的である。
上記撥水性物質の含有割合は、緩効性肥料中の難水溶性リン酸、撥水性物質、水溶性成分及び尿素−脂肪族アルデヒド縮合物の総量に対して好ましくは0.1〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%の範囲である。撥水性物質の含有割合が上記の範囲であれば、撥水性物質の効果が十分で製造コストの上昇が少ない。
上記粒状の緩効性肥料は、特開2003-212682、特開2005-67923及び特開昭50-99858等に
記載の公知の方法により製造することが可能である。例えば、化学合成緩効性窒素成分、リン酸成分、加里成分、水溶性成分、撥水性物質、造粒助剤、結合材及び水等を混合し、転動造粒法、圧縮型造粒法、攪拌型造粒法、および押出造粒法等を用いて造粒し、必要で有れば、撥水性物質の融点以上500℃以下の気体を用いて造粒された粒子の乾燥を行う。乾燥された粒子は公知の振動篩機等の篩分で分級して粒度分布を制御し、本願で用いられる粒状の緩効性肥料とすることが可能である。
本発明で用いられる粒状の緩効性肥料は、化学合成緩効性窒素成分、リン酸成分及び加里成分から選ばれる一種以上を含むもので構成することも可能であるが、粒状の物理的に溶出速度を調整した緩効性肥料(被覆肥料)を配合することも可能である。さらに、本発明で用いられる肥料体は初期溶出を抑えた粒状の緩効性肥料の効果を損なわない範囲で、速効性の化成肥料を配合した複合肥料の形態をとることも可能である。速効性の化成肥料も本発明で用いられる粒状の緩効性肥料と同様の粒子径の条件を満たしていることが好ましい。
上記複合肥料中の速効性窒素、水溶性リン酸、水溶性加里の含有量は、速効性窒素が7質量%以下、好ましくは5質量%以下、水溶性リン酸、水溶性加里がそれぞれ20質量%以下、好ましくは15質量%以下である。
上記複合肥料中の速効性窒素は、肥料分析法(例えば、農林水産省農業環境技術研究所著,「肥料分析法(1992年版)」,(財)日本肥糧検定協会発行,1992年12月,p.15−22)の適用範囲を拡大し、分析試料の調製を行わないで測定された値を使用することによって簡易的に評価できる。水溶性リン酸(例えば、農林水産省農業環境技術研究所著,「肥料分析法(1992年版)」,(財)日本肥糧検定協会発行,1992年12月,p.28−33)、水溶性加里(例えば、農林水産省農業環境技術研究所著,「肥料分析法(1992年版)」,(財)日本肥糧検定協会発行,1992年12月,p.37−41)も同様に試料をそのまま測定することにより簡易的に評価できる。
具体的に本発明の施肥方法について記載するが、これらに限定されるものではない。まず、地被植物が植生する保水体に地表面から穴をあける。開孔した後、地被植物の根、茎、土等が植生表面に排出するが、これらは除去することが好ましい。開けた穴を有する植栽表面に対して均一に肥料体を施用した後、表面をならす。表面をならすことで、開けた穴に肥料体を入れ垂設状肥料体を形成すると同時に保水体上層に層状肥料体を形成する。
上記施肥において、その施肥量は土壌診断後に決定すべきであるが、一般的には窒素成分は窒素換算で1〜100g/m2が好ましく、1〜70g/m2がより好ましい。また、リン酸成分はP25換算で0.5〜50g/m2が好ましく、0.5〜45g/m2がより好ましい。一方、加里成分はK2O換算で0.5〜70g/m2が好ましく、0.5〜60g/m2がより好ましい。施肥前の土壌中に多くの肥料成分が残存している場合は、その成分は施肥しなくても良い。
上記肥料体形成の後に層状肥料体を保護する目的でさらに覆土を施用することが好ましい。覆土に用いる土は通気性と水はけが良いものがよく、これら土を植物体の葉が少し見えるくらい覆う程度にまいて、板切れやスコップを使って目地を埋めて平らにならす。覆土により、肥料の吸い込みを減らす効果がある。
上記肥料体中の粒状の肥料は、1粒当たりの質量が0.5〜5mg、好ましくは1〜3mgであることが好ましい。一つの穴に1粒以上施肥が可能で、かつ肥料成分の吸収利用効率を上げ、高い肥効を発揮できるようにするためである。粒状の肥料1粒当たりの質量が上記の範囲であれば、穴当たりの適度の施用粒数が確保できるため、施肥量にばらつきが出にくく、均一で安定した肥効が発揮される。ここで、複合肥料1粒当たりの質量は1
粒ずつ計量しても良いが、100粒の質量を計量して求めた平均値でも構わない。
農薬散布や潅水、刈り込み等、地被植物を管理および/または育成するための栽培方法は、特に限定されず、慣用されているものを用いることができる。
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。尚、以下の実施例における「%」は特に断りがない限り「質量%」である。
<芝生の育成>
内径縦30cm×横60cm×深さ20cm、底に排水口を設けた芝栽培試験用鉢を作製し、底から高さ10cmまで黒ボク土を充填して敷設し、さらにその黒ボク土層の上層にシラスと園芸用育苗培土(商品名「与作V1号」、チッソ旭肥料(株)製)を質量比7:3で均一に混合した客土を10cm厚さで充填後、潅水して締め固められた床土層を造成する。床土層の表層に高麗芝マットを敷設したのち目土を被せるほかは慣行法に準じて肥培管理を行い、二ヶ月間芝生を育成した。
<複合肥料の作製>
実施例および比較例に用いる肥料を配合製造した。緩効性肥料との配合に用いた化成肥料は速効性肥料であり、本発明の緩効性肥料とは異なる。
<複合肥料1の製造>
アセトアルデヒド縮合尿素(商品名[ユーバー(細粒)−5]、粒子径1.2〜1.4mm、チッソ旭肥料(株)製)と速効性の化成肥料(硫加燐安(窒素−リン酸−加里=4−22−22)、粒子径1.2〜1.4mm)を質量比1:1で均一に混合し、粒子径が1.2〜1.4mmの複合肥料1を得た。
上記化成肥料は上記アセトアルデヒド縮合尿素と同様の粒度分布になるよう振動篩(小型振動篩い器VSS-50、筒井理化学器械製)を用いて粒度を調整した。また、上記化成肥料は、燐酸一アンモニウム、塩化カリウム等の材料から公知方法によって製造した。
また、複合肥料1の肥料成分は窒素−リン酸−加里=17−11−11であった。上記アセトアルデヒド縮合尿素肥料の窒素成分含有量は30.5質量%、内速効性窒素成分は2.0質量%であった(速効性窒素成分はアンモニア態窒素、硝酸態窒素、尿素態窒素の測定値の和)。
<複合肥料2の製造>
複合肥料1で用いたアセトアルデヒド縮合尿素(商品名「ユーバー(細粒)−5」、粒子径1.2〜1.4mm、チッソ旭肥料(株)製)と被覆複合肥料(商品名「くみあい微量要素入り被覆燐硝安加里マイクロロングトータル201−100(窒素−リン酸−加里=12−10−11)」、粒子径1.0〜1.5mm、チッソ旭肥料(株)製)を用い、該被覆複合肥料の粒度を該アセトアルデヒド縮合尿素と同様の粒度分布になるよう振動篩(小型振動篩い器VSS-50、筒井理化学器械製)を用いて粒度を調整した後、質量比1:2で均一に混合し、粒子径が1.2〜1.4mmの複合肥料2を得た。複合肥料2の肥料成分は窒素−リン酸−加里=18−6−7であった。また、上記被覆複合肥料は、水200mLに該被覆肥料10gの割合で25℃一定に静置した条件下において3日目の累積窒素成分溶出率が10%以下であった。
<複合肥料3の製造>
ホルムアルデヒド加工尿素肥料(商品名「ホルム窒素2号」、三井東圧肥料(株)製、篩分け品(粒子径が1.0〜2.0mm))と速効性の化成肥料(硫加燐安(窒素−リン
酸−加里=4−22−22)、粒子径1.0〜2.0mm)を質量比1:3で均一に混合し、粒子径が1.0〜2.0mmの複合肥料3を得た。
複合肥料3の肥料成分は窒素−リン酸−加里=13−5.5−5.5であった。該ホルムアルデヒド加工尿素肥料の窒素成分含有量は41.3質量%、内速効性窒素成分11.1質量%であった(速効性窒素成分はアンモニア態窒素、硝酸態窒素、尿素態窒素の測定値の和)。
上記ホルムアルデヒド加工尿素肥料および上記化成肥料は振動篩(小型振動篩い器VSS-50、筒井理化学器械製)を用いて粒度を調整した。また、上記化成肥料は、燐酸一アンモニウム、塩化カリウム等の材料から公知方法によって製造した。
<植生構造の構築>
施肥量は実施例2、比較例4を除いていずれも窒素成分(窒素換算)10.5g/1m2となるように調整した。
<実施例1>
芝が刈高5mmになるように育成された上記芝栽培試験用鉢に7.5mm間隔、直径5mm、深さ30mmの穴をあけ、発生する芝の根、茎、土等を芝生面より除去した後に、複合肥料1を6月1日に施肥した。施肥後はホウキで複合肥料1が穴のなかに入るように均一にならし、複合肥料1を層状、及び垂設状に施用した。さらに、粒子径1mm以下の焼き砂を層状肥料体の上層全体に散布後、ホウキで均一にならし葉先が露出する高さに調整し、植生構造を作製した。作製された植生構造に対し、定期的な潅水及び刈り込み等の栽培管理を実施した。栽培管理中は、植生状態の観察のほか、葉色、刈り込み葉の葉中窒素量を測定した。葉色は水稲用葉色スケールを用いた目視比較(日本芝草学会編,「最新芝生・芝草調査法」,(株)ソフトサイエンス社発行,2001年6月,p.55)し、葉中窒素量はガニング法(山口裕文著,「応用植物科学実験」,(株)養賢堂発行,2000年6月,p.76−78)に準じて行った。実験は3連で実施した。結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1の施肥量(10.5 g/m2)を2割減(8.4 g/m2)する以外は実施例1と同様に作業を行い、層状肥料体と垂設状肥料体を有する植生構造を作製した。作製された植生構造に対する栽培管理及び肥効の評価は実施例1と同様の方法を用いて実施した。
<実施例3>
実施例1の複合肥料1を複合肥料2に変更する以外は実施例1と同様に作業を行い、層状肥料体と垂設状肥料体を有する植生構造を作製した。作製された植生構造に対する栽培管理及び肥効の評価は実施例1と同様の方法を用いて実施した。
<実施例4>
実施例1の複合肥料1を複合肥料3に変更する以外は実施例1と同様に作業を行い、層状肥料体と垂設状肥料体を有する植生構造を作製した。作製された植生構造に対する栽培管理及び肥効の評価は実施例1と同様の方法を用いて実施した。結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1の複合肥料1を速効性の化成肥料(商品名「くみあい複合燐加安464(窒素−リン酸−加里=14−16−14)」、チッソ旭肥料(株)製、粒子径2.3〜4.0mm)に変更する以外は実施例1と同様に作業を行い、層状肥料体と垂設状肥料体を有する植生構造を作製した。作製された植生構造に対する栽培管理及び肥効の評価は実施例1と同様の方法を用いて実施した。
<比較例2>
実施例1の複合肥料1を被覆複合肥料(商品名「マイスターMX07(窒素−リン酸−加里=20−7−11)」、チッソ旭肥料(株)製、粒子径2.3〜4.0mm)に変更する以外は実施例1と同様に作業を行い、層状肥料体と垂設状肥料体を有する植生構造を作製した。作製された植生構造に対する栽培管理及び肥効の評価は実施例1と同様の方法を用いて実施した。
<比較例3>
実施例1で垂設状肥料体を設けないこと以外は、実施例1と同様に作業を行い、層状肥料体を有する植生構造を作製した。すなわち、複合肥料1を1m2あたり窒素成分(窒素換算)10.5 gとなるように施肥し、施肥後はホウキで複合肥料1を均一にならした。さらに、粒子径1mm以下の焼き砂を層状肥料体の上層全体に散布後、ホウキで均一にならし葉先が露出する高さに調整し、植生構造を作製した。作製された植生構造に対する栽培管理及び肥効の評価は実施例1と同様の方法を用いて実施した。結果を表1に示す。
<比較例4>
芝が刈高5mmになるように育成された上記芝栽培試験用鉢に50mm間隔、直径10mm、深さ50mmの穴をあけ、発生する芝の根、茎、土等を芝生面より除去した後に、複合肥料1を、ストロー管を用いて各穴に充填した。施肥後は粒子径1mm以下の焼き砂を芝生面全体に散布を行い、ホウキで均一にならし葉先が露出する高さに調整し、垂設状肥料体のみを有する植生構造を作製した。施肥量は6.7g/鉢(窒素成分6.3g/1m2相当)であった。作製された植生構造に対する栽培管理及び肥効の評価は実施例1と同様の方法を用いて実施した。
Figure 2007202440
実施例1〜3はいずれも3ヶ月以上、実施例4は2ヶ月、特に、実施例1は5ヶ月間の肥効を確認した。実施例4は、速効性窒素により初期の栽培は良好に推移したが、その後はホルムアルデヒド加工尿素の無機化が緩慢となり、同一施肥量では実施例1より肥効が短かった。
比較例1は、栽培初期より生育障害が発生し、施用した肥料周囲のところで葉色が悪化していた。比較例2は、比較例1と比較して生育障害は見られなかったものの肥料の粒径が大きく、多くが刈り込み作業時の残渣回収物に、肥料が吸い込まれていることが確認された。肥料の吸い込み量(乾燥品、50℃24時間)は実施例1が約1gなのに対し、比較例2は約5gと差は歴然であった。
比較例3は、栽培初期の葉色は良好であったが、実施例1と比較して肥効が短くなった。これは、刈り込み作業時の残渣回収物に、肥料が吸い込まれており、これが影響したものと思われた。比較例4は、実施例1と比較して穴の周囲の葉色は良好であったが、植生面の葉色はばらつきがみられ、均一な測定ができなかった。
<参考例>
上記複合肥料1の製造に用いたアセトアルデヒド縮合尿素(商品名「ユーバー(細粒)−5」、チッソ旭肥料(株)製)を用いて植物を植えない以外は上記実施例1と同様の条件下で層状肥料体、垂設状肥料体をそれぞれ単独に、無機化試験を実施したところ、無機化に要する期間は、垂設状肥料体が約2ヶ月、層状肥料体が約4ヶ月であることを確認した。すなわち、同一の緩効性窒素肥料を施肥した場合、垂設状に設置した肥料は層状に設置した肥料に比べてその肥効が短くなることが示された。
図1は、本発明の方法で施肥された植生構造の断面図を示す。
符号の説明
1.保水体
2.垂設状肥料体
3.層状肥料体
4.肥料粒子
5.地被植物

Claims (6)

  1. 地被植物と保水体とを含む植生構造への施肥方法であって、
    前記保水体の最上部に層状に肥料体を施用することと、
    前記保水体に垂設状に肥料体を施用することと、を含み、
    前記肥料体は粒状の緩効性肥料を含み、前記粒状の緩効性肥料は粒子径0.5mm以上の粒子が70質量%以上であり、最大粒子径が2mm以下であることを特徴とする、施肥方法。
  2. 前記粒状の緩効性肥料が少なくとも下記のいずれか一方であることを特徴とする請求項1に記載の施肥方法。
    (a)化学合成緩効性窒素肥料を含有し、かつ速効性窒素を10質量%以下含有する肥料。
    (b)表面に樹脂を被覆して得られた被覆肥料であって、水200mLに該被覆肥料10gの割合で25℃一定に静置した条件下において3日目の累積窒素成分溶出率が10%以下である肥料。
  3. 前記化学合成緩効性窒素肥料が、アセトアルデヒド縮合尿素、イソブチルアルデヒド縮合尿素、グリオキサール縮合尿素、及びメチロール尿素重合肥料の群から選ばれた少なくとも1種である請求項2に記載の施肥方法。
  4. 前記化学合成緩効性窒素肥料が、アセトアルデヒド縮合尿素である請求項2又は3に記載の施肥方法。
  5. 前記肥料体はさらに砂を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の施肥方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の施肥方法を用いて施肥された植生構造。
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