JP7108028B2 - 土壌改質方法、土壌改質材、及びその使用 - Google Patents

土壌改質方法、土壌改質材、及びその使用 Download PDF

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Description

本発明は、土壌改質方法、土壌改質材、及びその使用に関する。
近年、地球の温暖化に伴う気温上昇や、気候変動が農作物を含む植物の生育に大きく影響している。特に、年々温度が上昇し、雨量が減少している地域では、その地域で生産されている農作物の生育が悪化し、収穫物の品質及び/又は収穫量が低下している。
上述の問題は、地域特有の気候や土壌等を好条件として伝統的に育まれてきた農作物(特産品ともいう。)についても例外ではなく、地球規模での気温上昇や気候変動により、各地域の特産品についてもその収穫物の品質及び/又は収穫量低下が見込まれている(非特許文献1)。特産品は地域農業の根幹を成すものであり、特産品の品質及び/又は収穫量の低下は、農業従事者ひいては地域全体に経済的打撃をもたらす問題となっている。
さらに、特産品を加工する二次産業従事者にとっても原料の品質及び/又は調達量の低下は、加工品の品質及び/又は製造量に直接関係するため、気候変動等による農作物の生育の悪化は、広く影響をもたらす問題である。なお、二次産業従事者は加工品の品質を下げないように、原材料の品質が悪化した場合は、加工方法を変更する等により一定品質の加工品を製造するよう努めている。また、原材料の調達量低下に備えて、必要充分量以上の原料を調達する等により対応している。しかし、このような加工方法の変更は加工費用及び加工時間の増加を招き、また、余剰在庫の保管はキャッシュフローの悪化を招くことが問題となっている。
そのため、農作物を含む植物の生育を安定的に行うことが求められていた。
一方、植物の生育において潅水管理が重要な因子の一つであることは従来から知られている。雨量の少ない地域では、土壌に保水性を付与する方法として、例えば、保水性のある保水材を土壌改良材として土壌に混合する方法等が広く実施されている。また、植物を栽培する土壌には、根の呼吸の維持と根腐れを抑制するために、空気の流通性(以下、通気性ともいう。)も必要である。保水材の具体例としては、例えば、腐葉土、鹿沼土、ピートモス、パーライト、バーミキュライト、発泡ウレタン等が挙げられるが、これらは、保水効果及び通気効果の両者を必ずしも同時に満足するものではなかった。また、腐葉土等の植物由来の保水材は、その効果が長期間持続しにくいという問題もあった。
また、自重の数百倍もの水を吸水する高吸水性樹脂を土壌に混合して、土壌の保水性を向上させることもよく知られており、特に砂漠緑化や砂漠化防止といった環境保全において重要な役割を果たすことが期待されている。
このような吸水性樹脂を使用した具体例は多数あり、例えば、特許文献1のように、ポリスチレン発泡粒子、高吸水性樹脂微粉末及び砕石粉又は砂を水エマルジョン系の接着剤又は粘結剤と混練して粒塊状とした後、乾燥した土壌改良剤のようなものがある。しかしながら、このような高吸水性樹脂は合成樹脂を含むため、環境への影響が懸念され、特に農作物に対しては食の安全性に対する影響が懸念されている。また、特許文献2のように使用時には保水性に優れ、使用後には分解し土壌への蓄積性がない土壌改良剤(高吸水性樹脂)も提案されているが、土壌への蓄積性がない為、その効果が長期間持続しにくいという問題もあった。
また、特許文献3のように、樹木の成長を制御する目的で、土壌に珪藻土他を散布又は埋設することにより土壌中の水分を一定に保ち、土壌の塩分濃度を低下させることも提案されている。
しかしながら上記特許文献3に示されている珪藻土他についてもその保水効果は充分なものではなかった。
上述の通り土壌に保水性を付与するための方法は検討されているが、保水性かつ通気性の両者を同時に満足するような土壌改良材は提案されていなかった。さらに、植物が土壌中の水分を効率的に利用できるよう、土壌が保水した水分の徐放性を改善するような土壌改良材は提案されていなかった。
特開平6-88074号公報 特開平11-124575号公報 特開2014-110781号公報
"The impact of climate change on the yield and quality of Saaz hops in the Czech Republic" Agricultural and Forest Meteorology Volume 149, (2009) Page 913-919
本発明は、土壌に施用することにより、土壌を改質して植物の成長を促進することができる土壌改質材と、これを利用した土壌改質方法及び該土壌改質材の使用を提供することを目的とする。
また、本発明は、雨量低下等の気候変動による植物の成長への影響を低減することができる土壌改質材と、これを利用した土壌改質方法及び該土壌改質材の使用を提供することも目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者が鋭意検討した結果、粒子径が特定範囲の焼成珪藻土を土壌に施用すると、植物の成長が促進され、雨量低下等の気候変動が生じた年にも、収穫量及び品質が安定した農作物を生育できることを見出した。
本明細書において、「A~B」は、「A以上B以下」を意味する。
即ち、本発明は以下の土壌改質方法、土壌改質材、及びその使用に関する。
[1]土壌改質方法であって、粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土からなる土壌改質材を植物の周りに埋設又は敷設することを特徴とする土壌改質方法。
[2]植物はホップである上記[1]に記載の土壌改質方法。
[3]植物の開花時期の前にある降雨時期までに上記土壌改質材を植物の周りに埋設又は敷設する上記[1]又は[2]に記載の土壌改質方法。
[4]上記土壌改質材の圃場における施用量が0.67~6.7L/mである上記[1]~[3]のいずれかに記載の土壌改質方法。
[5]植物の成長を促進するための土壌改質材の使用であって、粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土からなる土壌改質材を植物の周りに埋設又は敷設することを特徴とする土壌改質材の使用。
[6]植物はホップである上記[5]に記載の土壌改質材の使用。
[7]植物の開花時期の前にある降雨時期までに上記土壌改質材を植物の周りに埋設又は敷設する上記[5]又は[6]に記載の土壌改質材の使用。
[8]上記土壌改質材の圃場における施用量が0.67~6.7L/mである上記[5]~[7]のいずれかに記載の土壌改質材の使用。
[9]開花時期を含む1カ月の全雨量が150mm/月以下の地域で用いられる上記[5]~[8]のいずれかに記載の土壌改質材の使用。
[10]粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土からなる土壌改質材。
[11]上記焼成珪藻土は、保水率が40%以上である請求項10に記載の土壌改質材。
本発明の土壌改質材を施用すると、土壌の保水性、通気性及び水分の徐放性を改善することができ、これにより植物の成長を促進し、安定的生育に寄与することができる。また、本発明の土壌改質材による土壌の改善効果は、複数年にわたって持続的に保持される。
植物の株元の周囲に土壌改質材を埋設する際の概略説明図である。 植物の株元の土壌表面に土壌改質材を敷設する際の概略説明図である。 2015年~2017年の試験用植物及び参考用植物の生育期の全雨量を示すグラフ図である。 実施例8に係る資材1を施用した土壌の水分含有率の変化を示すプロット図である。 実施例9に係る資材1、及び、比較例6~8に係る資材2~4の吸水能を示すグラフ図である。 実施例9に係る資材1、及び、比較例6~8に係る資材2~4の吸水前後の状態を示す写真である。
本発明の土壌改質材は、粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土からなる。
焼成珪藻土は、珪藻土を焼成したものである。本発明で使用される焼成珪藻土は、焼成によって、珪藻土の表面及び多孔内に存在する有機物の少なくとも一部が燃焼除去されたものである。焼成珪藻土を得るための珪藻土の焼成方法としては、一般的に利用されている方法を用いることができる。例えば、珪藻土を、温度600℃で30分以上保持することが好ましい。このような条件で焼成を行うことで、珪藻土の表面及び多孔内に付着していた水分や有機物が除去され、化学的安定度が向上した焼成品(焼成珪藻土)が得られる。また、このような焼成品を土壌に施用すると、上述した本発明の効果をより充分に発揮することができる。本明細書中、粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土を、焼成珪藻土粒状体ということもある。
なお、本発明の土壌改質材は、粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土のみからなるものである。ここで、上記焼成珪藻土は、粒子径が上記範囲に入るものであれば、異なる粒子径の焼成珪藻土の混合物であってもよい。
本発明で使用される焼成珪藻土の粒子径は20~2000μmである。本明細書における粒子径とは、目的の粒子径が得られる櫛で選別したものである。例えば、粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土を得る場合は、焼成珪藻土を、メッシュ径が2000μmの櫛でふるい、次にふるい落とされた焼成珪藻土を、メッシュ径が20μmの櫛でふるうことにより、目的とする粒子径の焼成珪藻土を選別する。
上記焼成珪藻土の粒子径が20μm未満であると、焼成珪藻土の粒子径が小さく、空隙が無くなり気相の容積割合が低下し、土壌の通気性を改善する効果が不充分となる。また、上記焼成珪藻土の粒子径が2000μmを超えると、空隙が大きくなりすぎ、焼成珪藻土が水分を飽和吸収する前に水分が排出され、保水率が低下する。
上記焼成珪藻土の粒子径の下限は20μmであるが、保水効果及び土壌中の通気性改善効果の観点から、100μm以上であることが好ましく、300μm以上であることがより好ましく、400μm以上であることがさらに好ましい。また、焼成珪藻土の粒子径の上限は、2000μmであるが、1800μm以下であることが好ましく、1700μm以下であることがより好ましく、1500μm以下であることがさらに好ましい。例えば、上記焼成珪藻土の粒子径は、100~2000μmであることが好ましく、300~1800μmであることがより好ましく、300~1700μmであることがさらに好ましく、400~1700μmであることがさらにより好ましく、400~1500μmであることが特に好ましい。
珪藻土は藻類の一種である珪藻の殻の化石よりなる堆積物(堆積岩)であり、珪藻の殻は二酸化珪素(SiO)で構成されている。単細胞植物性プランクトンである珪藻は、水中に溶存するシリカを特異的に取り込み、蓄えることで、多孔質の細胞壁を作る。この珪藻が海や湖沼などで大量に死滅すると、その死骸は水底に沈殿する。死骸の中の有機物の部分は徐々に分解されていき、最終的には二酸化珪素を主成分とする殻のみが残る。このようにしてできた珪藻の化石からなる岩石が珪藻土である。
珪藻の殻には小孔が多数空いているため、珪藻土は体積あたりの重さが非常に小さい。よって水分等を大量に保持することが出来る。パーライトやゼオライトも多孔質材料で、珪藻土と近い性質を示すが、その由来が火山岩であることが珪藻土と異なる。ゼオライトの場合、孔の大きさに違いがあり、ナノメートルサイズの孔が主体を占める。
珪藻土は、その品位に応じて様々な用途が見出されており、不純物の少ないものは、精製・加工度を高めて、濾過助剤、フィラー、担体等に利用される。また、粘土などの夾雑物を含むものは、その分離が困難なため、建築材料、断熱レンガ、土壌改良材等に利用される。
古来、広く用いられている珪藻土であるが、土壌改良材としては、保水材として使用されているのみであり、植物が土壌中の水分を効率的に利用できるよう、保水性及び水分の徐放性の両者を同時に満足でき、かつ、土壌中の通気性の改善に有効な構成は見出されていなかった。
本発明で使用される焼成珪藻土は、保水率が40%以上であることが好ましい。保水率が40%以上であると、上記焼成珪藻土からなる土壌改質材が添加された土壌の保水率を充分に増加させることができるためである。さらに、植物の成長を促進させることができるためである。
ここで、本明細書中、保水率とは、焼成珪藻土が保持可能な水の体積(吸水量(保水量ということもできる))を焼成珪藻土の体積に対する100分率(100×吸水量(ml)/(焼成珪藻土体積(ml)))で表したものであり、具体的な測定方法は下記の通りである。
(保水率の測定方法)
焼成珪藻土50mlを、密封可能なビニール袋に投入し、水を1~5mlずつ飽和するまで添加する。水を添加して焼成珪藻土と混合した後にビニール袋を目視で確認し、ビニール袋内側に水分が付着していない場合は、添加された水はすべて焼成珪藻土に吸収されたと判断される。上記ビニール袋内側に水分が付着し始めた時点で、飽和したとみなし、その時点までの水分添加量(ml)を吸水量(保水量)とする。水添加前の焼成珪藻土の体積(50ml)を、焼成珪藻土体積として、得られた吸水量と焼成珪藻土体積とを上記式に当てはめ、保水率を算出する。
上記焼成珪藻土の保水率は、50%以上であることがより好ましく、55%以上であることが更に好ましい。
また、上記焼成珪藻土の保水率は、80%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましい。保水率の上限が80%を超えると、焼成珪藻土の吸水能力が高すぎるため水の徐放性が低下する場合があるためである。
例えば、上記焼成珪藻土の保水率は、40~80%であることが好ましく、50~80%であることがより好ましく、55~75%であることがさらに好ましく、55~60%であることが最も好ましい。
ここで、土壌水分には、土壌から流れ出す重力水、土壌空隙の毛管に保持される毛管水、土壌粒子表面に吸着される吸湿水等があるが、植物の根が利用するのは、土壌間隙に蓄えられる毛管水である。
本発明で使用される焼成珪藻土は、焼成により表面及び多孔内の有機物が除去されているため、非焼成珪藻土と比較し、比表面積及び多孔体積が大きく、吸水により保持される毛管水の量及び吸水体積が多くなる。一方、非焼成珪藻土の表面及び多孔内には有機物が存在するため、吸水量自体が少なく、また、吸水された水分の一部は有機物に吸着し吸湿水となると考えられる。また、非焼成珪藻土の表面及び多孔内には有機物が存在しているため比表面積及び多孔内体積が小さく、吸水により保持される水の量が少なくなる。従って、焼成珪藻土を土壌に添加することにより土壌中の毛管水量を増加させることができ、植物の根が利用できる水分量が増加し、植物の安定的生育を図ることができると考えられる。
さらに、土壌中の毛管水は移動可能水分であるため、毛管水量が多いことで、土壌の比熱が大きくなり、高温時には土壌中の毛管水の蒸発に伴い多量の熱が奪われ、低温時には毛管水の氷結に伴い熱が放出されるため地温の急変を防ぐことができる。従って、植物の根が伸びている土壌環境について、気候変動の影響を低減することができ、植物に対する高温ストレス及び低温ストレスを低減することができると考えられる。
また、本発明で使用される焼成珪藻土は、粒子径が特定範囲であることにより、これを土壌に施用すると土壌に適度な空隙ができる。これは、粒子径が特定範囲の焼成珪藻土(焼成珪藻土粒状体)が土壌に添加されると、上記焼成珪藻土粒状体と隣り合う焼成珪藻土粒状体又は土壌粒子との間に空隙が形成されるためである。そして、後述する実施例に示されるように、本発明で使用される焼成珪藻土粒状体は、吸水量が飽和に達した場合でも、粒子間に空隙を有する。従って、これを添加することにより、土壌中の粒子間で形成される孔隙率(液相+気相)が向上し、当該孔隙に保持される毛管水分量の向上だけでなく、土壌の通気性も向上することができると考えられる。また、土壌の空隙率が高いほど土壌が柔らかい傾向があり、植物の根が成長しやすい。
また、本発明は、上記土壌改質材を植物の周りに埋設又は敷設する土壌改質方法でもある。また、本発明は、植物の成長を促進するための土壌改質材の使用であって、上記土壌改質材を植物の周りに敷設または埋設する土壌改質材の使用でもある。土壌に上記の粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土を埋設又は敷設することで、該焼成珪藻土を含む土壌の単位体積当たりの保水量及び通気性を増加させることができ、植物の成長が促進され、気候変動による植物の成長への影響が低減された土壌とすることができる。従って、本発明の土壌改質方法は、上記土壌改質材を植物の周りに埋設又は敷設し、植物の成長を促進するための土壌改質方法でもある。土壌改質材として使用される粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土及びその好ましい態様は、上述した通りである。
上記土壌改質材を埋設又は敷設する方法は、本発明の効果を奏することになる限り、特に限定されない。一態様において、上記土壌改質方法では、植物の周りを所定半径(植物の成根が及ぶ範囲以内)及び所定深さ(植物の成根が及ぶ範囲以内)で略円筒状に掘り起こし、この掘り起こされた空間に上記土壌改質材を投入し、その上から土を被せる埋設方法を用いることができる。
また、植物の種子や株元が土壌中に既に埋設されている場合は、上記種子又は株元を覆っている土の表面に所定範囲(好ましくは植物の成根が及ぶ範囲以内)上記土壌改質材を撒き、敷設する方法を用いることもできる。
なお、敷設する方法を用いた場合も、通常、その後の降雨や水やり、追肥等により、敷設された土壌改質材は、植物周囲の土壌と混合される。
また、上記埋設方法又は敷設方法のどちらの場合においても、あらかじめ上記土壌改質材と土壌とを所定の割合で混合したものを用いてもよい。
上記土壌改質方法及び上記土壌改質材の使用が適用される植物は、特に限定されないが、上記焼成珪藻土粒状体は、一度埋設又は敷設すると、複数年にわたり土壌改質効果を有するため、上記植物は、多年性植物、宿根性植物及び樹木等であることが好ましい。費用対効果が向上するためである。
上記土壌改質方法及び上記土壌改質材の使用が適用される植物は、ホップ(Humulus lupulus)であることが好ましい。ホップはアサ科カラハナソウ属の多年生植物である。
また、上記土壌改質方法及び上記土壌改質材の使用が適用される植物は、ブドウ(Vitis spp.)、チャ(チャノキ(Camellia sinensis(L.) Kuntze))、コーヒーであることが好ましい。ブドウは、ブドウ科(Vitaceae)のつる性落葉低木である。チャノキは、ツバキ科ツバキ属の常緑樹である。コーヒーは、アカネ科・コーヒーノキ属(Coffea属)に分類される樹木である。
ホップは、ビールの原材料として用いられているが、本発明者の調査によると、その収穫量は、開花期の雨量不足により減少し、又、開花期の高温によりホップの香味成分が減少する傾向にある。
本発明の土壌改質方法及び上記土壌改質材の使用は、このように気温上昇や雨量低下等の気候変動の影響により植物の生育が悪化するような植物に対し、好適に用いることができる。
本発明の土壌改質方法及び上記土壌改質材の使用において、上記土壌改質材が埋設又は敷設される時期は、上述の通りその効果が複数年継続することから特に限定されない。しかしながら、植物の開花時期の前にある降雨時期までに上記土壌改質材を埋設又は敷設することが好ましい。植物の生育において開花時期に水分不足に陥ると、着花数が減り収穫量に影響する場合があるためである。開花時期の水分不足が収穫に影響する植物としては、例えば、ホップ、コーヒー、キュウリ、ナス、ピーマン、唐辛子等がある。
上記土壌改質方法及び上記土壌改質材の使用では、圃場における上記土壌改質材の単位面積当たりの施用量が、0.67~6.7L/mであることが好ましい。上記施用量がこの範囲にあると、土壌の保水量及び通気性(空隙率)を充分に増加させることができ、上述した本発明の効果をより充分に発揮させることができるためである。
なお、圃場における上記土壌改質材の単位面積当たりの施用量が、0.67L/m以上であることが好ましく、1.34L/m以上であることがより好ましく、1.66L/m以上であることが更に好ましい。また、圃場における土壌改質材の単位面積当たりの施用量が、6.7L/m以下であることが好ましく、5.03L/m以下であることがより好ましく、3.35L/m以下であることが更に好ましい。また、圃場における上記土壌改質材の単位面積当たりの施用量は、1.34~5.03L/mであることがより好ましく、1.66~3.35L/mであることが更に好ましい。
また、上記土壌改質方法及び上記土壌改質材の使用では、植物の株元の周囲における上記土壌改質材の単位面積当たりの施用量が、2~30L/mであることが好ましい。上記施用量がこの範囲にあると、土壌の保水量及び空隙率(通気性)を充分に増加させることができ、上述した本発明の効果をより充分に発揮させることができるためである。
なお、植物の株元の周囲における上記土壌改質材の単位面積当たりの施用量が、2L/m以上であることが好ましく、5L/m以上であることがより好ましく、10L/m以上であることが更に好ましい。また、植物の株元の周囲における土壌改質材の単位面積当たりの施用量が、30L/m以下であることが好ましく、25L/m以下であることがより好ましく、20L/m以下であることが更に好ましい。また、植物の株元の周囲における上記土壌改質材の単位面積当たりの施用量は、5~25L/mであることがより好ましく、10~20L/mであることが更に好ましい。
なお、植物の株元の周囲に上記土壌改質材を使用する面積は、植物の成根の少なくとも50%が含まれるように決定されることが好ましく、少なくとも60%が含まれるように決定されることがより好ましい。
例えば、植物がホップの場合は、ホップの株元を中心に直径20~100cmの円状面積における単位面積当たりの土壌改質材の施用量が2~30L/mであることが好ましく、2.5~25L/mであることがより好ましい。
上記土壌改質方法及び上記土壌改質材の使用では、植物の株元を中心に所定面積及び所定深さにおける単位体積当たりの土壌改質材の施用率が、10~100体積%であることが好ましい。上記施用量がこの範囲にあると、土壌の保水量及び空隙率(通気性)を充分に増加させることができ、上述した本発明の効果をより充分に発揮させることができるためである。なお、植物の株元を中心に所定面積及び所定深さにおける単位体積当たりの土壌改質材の施用率は、10体積%以上であることが好ましく、20体積%以上であることがより好ましく、40体積%以上であることが更に好ましい。また、植物の株元を中心に所定面積及び所定深さにおける単位体積当たりの土壌改質材の施用率は、100体積%以下であることが好ましく、90体積%以下であることがより好ましく、80体積%以下であることが更に好ましい。
例えば、植物がホップの場合は、ホップの株元を中心に直径20~100cm、深さ5~20cmの円柱状体積における単位体積当たりの土壌改質材の施用量が10~100体積%であることが好ましく、10~90体積%であることがより好ましい。
また、植物の生育土壌に上記粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土が使用されると、土壌の保水量が増加し、水を蓄えて緩やかに植物に供給することができる。植物に対して水分や養分を効率よく供給できる。また、高温における耐乾燥性を向上させることができる。さらに土壌の通気性を改善することができる。また、土壌中の急激な温度変化を抑制することができ、気候変動の影響を低減することができる。従って、上記粒子径の焼成珪藻土は、植物の成長を促進するための使用に適している。
上述の通り、上記粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土の使用により土壌の毛管水分量が増加するため、当該焼成珪藻土は、気候変動により全雨量が増減している地域における植物の生育土壌に使用されることが好ましい。
全雨量が増加している地域においては、上記土壌改質材が水分を吸収するため、水はけがあまり良くない土壌においても、土壌中の過剰な水分を吸収して、土壌伝染性病害及び根腐れ等の被害を抑えることができると考えられる。
また、全雨量が減少している地域においては、降雨時又は潅水時の水分を上記土壌改質材が吸収し、その後緩やかに水分を放出することで、降雨後又は潅水後においても植物に水を供給することができる。
また、植物の開花時期に水不足に陥ると、収穫量に大きく影響する。植物により水分の適量は異なるが、例えば、開花時期を含む1か月の全雨量が150mm/月以下の地域で、上記土壌改質材が使用されることが好ましい。
なお、潅水を行うことができない地域においては、開花時期を含む1か月の全雨量が20mm/月以上、150mm/月以下の地域で上記土壌改質材が使用されることが好ましい。
ホップの栽培に土壌改質材を施用する場合、上記地域で上記土壌改質材を施用することが好ましい。
本発明の土壌改質材、土壌改質方法及び該土壌改質材の使用が適用される土壌は、特に限定されないが、土壌の水分含有率が50%より低い土壌であることが好ましい。
また、本発明の土壌改質材、土壌改質方法及び土壌改質材の使用が適用される土壌は、特に限定されないが、土壌中の固相の占める率が、55%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることが更に好ましい。土壌中の固相の占める割合が高いほど孔隙率(気相+液相)が低く、土壌の水分含有率が低くなり、植物に効率的に水分を供給することができないためである。さらに、比熱が低くなることで、高温ストレス及び低温ストレスを受けやすいためである。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示すように、土壌に下記表1に記載の資材1を施用した。具体的には、植物(1)(ホップ)の株元を中心に直径50cm、深さ10cmの穴を掘り、資材1(2)を20L投入し、上記資材の上に土(3)を被せた。図1(a)は資材1を施用した際の土壌を説明する断面概略図である。また、図1(b)は、資材1を施用した際の土壌を下面から説明する概略図である。このようにして実施例1に係る試験用植物1を24株準備した。
(比較例1~3)
資材1を、下記表1に記載の資材2又は3のいずれかの資材に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1及び2に係る試験用植物2及び3を各24株準備した。
上記で用いた資材1~3は次の通りである。
資材1:焼成珪藻土(商品名:RC417 昭和化学工業(株)製 粒子径400~1700μm)
資材2:焼成珪藻土(商品名:♯300 昭和化学工業(株)製 平均粒子径13μm)
資材3:パーライト(商品名:M-1 昭和化学工業(株)製 平均粒子径6000μm以下)
上記資材1~3は、いずれも多孔性である。なお、上記資材2及び3の平均粒子径は、レーザー式粒度分布計測装置で測定した値である。また、資材1は、櫛を用いて上記粒子径の焼成珪藻土を選別して得た。
(参考例1)
資材1を投入しなかった以外は、実施例1と同じ方法で、植物(ホップ)の株元を中心に直径50cm、深さ10cmの穴を掘り、再び、土で埋め戻した。参考用として、土壌への資材の投入は行われていないが、試験用植物1~3と同じ条件に置かれた参考用植物1を24株準備した。
なお、上記試験用植物1~3及び参考用植物1は、同一試験圃場内にて準備された。また、圃場内の場所毎又は畝毎に植物の成長のバラつきが生じ、試験結果に影響を及ぼさないよう、試験用植物1~3及び参考用植物1各24株を、複数の畝にランダムに配置した。なお、試験圃場の広さは、10,000mであり、3,333株の植物(ホップ)を有する。
試験用植物1~3及び参考用植物1について、上記資材を施用した以外は通常の方法でホップの栽培を3年間(2015年~2017年)行った。試験開始から1度目の秋(8~9月)、2度目の秋(8~9月)及び3度目の秋(8~9月)に毬花の収穫を行った。試験用植物ごとの参考用植物に対する単位収穫量(kg/plant)の収穫増減率を下記表1に示す。なお、試験用植物及び参考用植物の単位収穫量は、各株での収穫量(Kg/Plant)を測定し、準備した株数(試験用植物1~3及び参考用植物1については、各24株)の平均値を算出したものである。なお、各資材の投入は、上述の通り、試験用植物及び参考用植物の準備段階で一度行ったのみであり、試験開始以降は行っていない。
なお、ホップは多年草の植物であり、一度植えた苗で20~50年栽培される。上記試験圃場は、チェコのザーツ地方に位置しており、収穫は8~9月に実施する。ホップの生育気候は寒冷地であるため、北半球の寒冷気候地域では、同様の季節において収穫が実施される。
各試験用植物の収穫量増加効果については、参考用植物の単位収穫量(kg/plant)に対する、各試験用植物の単位収穫量(kg/plant)の収穫量増加率が、10%未満の場合は、収穫量増加効果「無し」と判断した。また、各試験用植物の単位収穫量(kg/Plant)の収穫増加率が、10%以上25%未満の場合は収穫量増加効果の程度が「低い」と判断した。また、各試験用植物の単位収穫量(kg/Plant)の収穫量増加率が25%以上の場合は、収穫量増加効果の程度が「高い」と判断した。表1に示す収穫増減率について、**は、参考用植物1の単位収穫量に対して、有意差があったことを示す(**:P<0.01、vs.参考用植物1)。有意差検定は、Student’s t-testにより行った。
Figure 0007108028000001
※表1中の収穫増減率は、参考例1での単位収穫量を基準に算出した値である。
上記結果から、焼成珪藻土であって、その粒子径が20~2000μmの範囲内である資材1(すなわち、本発明の土壌改質材)を用いた実施例1では、資材1を施用後、3年間において参考例1と比較して30%以上収穫率が増加しており、高い収穫量増加効果が確認された。従って、資材1を施用した土壌において、植物の生育が促進されたことが確認できた。
さらに、図3から、植物(ホップ)の生育期である4~8月の3年間の降雨量は、2016年において低い値を示しているが、上記表1の結果によると、実施例1に係る植物は、2016年においても、安定的な収穫量増加効果を示しており、雨量低下の気候変動に対する影響を低減することができた。
一方、焼成珪藻土であっても、平均粒子径が13μmの資材2を用いた比較例1は、2015年の収穫増減率が110%を超しておらず、安定的な収穫量増加効果を有さなかった。また、収穫増減率が110%以上となった2016年及び2017年においても、収穫増加率は25%未満であり、収穫量増加効果を示した場合でもその効果の程度は低かった。
また、多孔性であっても珪藻土とは異なるパーライトを用いた比較例2では、2015~2017年の3年間で、いずれの年も収穫増減率が110%に届かず、収穫量増加効果は認められなかった。なお、2015年及び2017年の収穫増減率が100%未満であることから、これを土壌に施用しても収穫量増加効果がないことは明らかである。
なお、上記実施例1及び参考例1のぞれぞれで収穫された毬花を別々に乾燥させ、水蒸気蒸留で得られたエッセンシャルオイルをガスクロマトグラフィー分析にかけて定量した。その結果、ホップ香の指標成分であるリナロールの含有量は、実施例1及び参考例1において、いずれの年も有意差はなかった。また、エッセンシャルオイル量(ml/100g)及びα酸の含有量についても、いずれの年も有意差はなかった。これらの結果から、焼成珪藻土の施用による、ホップの品質への影響はなかった。
(実施例2)
実施例1と同様に、植物(ホップ)の株元を中心に直径50cm、深さ10cmの穴を掘り、下記表2に記載の資材1(2L)と圃場内の土18Lとを混合し、上記穴(約20L)に投入し、その上から更に土を被せて苗植えを行った。このようにして実施例2に係る試験用植物4を16株準備した。圃場面積10,000mに、3,333株のホップが受けられているため、1株当たりの面積は3mである。従って、資材1の圃場面積当たりの施用量は、0.67L/mであった。
(実施例3、4及び5)
資材1の施用量を、下記表2に記載の量に変更し、全体で20Lとなるように混合する土の量を変更した以外は、実施例2と同様にして、実施例3、4及び5に係る試験用植物5、6及び7を各16株準備した。資材1の圃場面積当たりの施用量は、実施例3では2.67L/m、実施例4では4.67L/m、実施例5では6.67L/mであった。
(比較例3、4及び5)
資材1を資材4に変更し、また、その施用量を下記表2に示すように変更し、全体で20Lとなるように混合する土の量を変更した以外は、実施例2と同様にして、比較例3~5に係る試験用植物8~10を各8株準備した。
なお、上記資材4として、非焼成珪藻土(商品名:KF-N 昭和化学工業(株)製 粒子径500~2000μm)を用いた。資材4の非焼成珪藻土は、多孔性である。
(参考例2)
資材を投入しなかった以外は、実施例2と同様に植物(ホップ)の株元を中心に直径50cm、深さ10cmの穴を掘り、再び土で埋め、参考例2に係る参考用植物2を16株準備した。
(実施例6)
図2に示すように、土壌(3)の表面に下記表3に記載の資材1を施用した。具体的には、植物(1)(ホップ)の株元を中心に直径50cmの略円範囲に、均一となるように資材1(2)2Lを敷設した。図2(a)は資材1(2)を土壌の表面に施用した際の土壌を説明する断面概略図である。また、図2(b)は、資材1(2)を施用した際の土壌を下面から説明する概略図である。このようにして実施例6に係る試験用植物11を16株準備した。
(実施例7)
資材1の施用量を、下記表3に記載の量に変更した以外は、実施例6と同様にして、実施例7に係る試験用植物12を各16株準備した。
(参考例3)
資材を投入しなかった以外は、実施例6と同様にして、参考例3に係る参考用植物3を16株準備した。
なお、上記試験用植物4~12、及び、参考用植物2及び3は、同一試験圃場内に配置された。また、圃場内の場所毎又は畝毎に植物の成長のバラつきが生じ、試験結果に影響を及ぼさないよう、試験用植物4~12、及び、参考用植物2及び3を、複数の畝にランダムに配置した。なお、試験圃場の広さは、10,000mであり、3,333株の植物(ホップ)を有する。
試験用植物4~12、及び、参考用植物2及び3の栽培を行い、試験開始から1度目の秋(8-9月)に毬花の収穫を行った。試験用植物ごとの参考用植物に対する単位収穫量(kg/plant)の収穫増減率を下記表2及び3に示す。なお、試験用植物及び参考用植物の単位収穫量は、16株ずつ用意した各植物群についての収穫量を平均化することにより求めた。
なお、各資材の投入は、上述の通り、試験用植物及び参考用植物の準備段階で一度行ったのみであり、試験開始以降は行っていない。
各試験用植物の収穫量増加効果については、参考用植物の単位収穫量(kg/plant)に対し、各試験用植物の単位収穫量(kg/plant)が10%以上の増加が確認された場合に収穫量増加効果有りと判断した。
なお、実施例2~5及び比較例3~5は、参考例2の単位収穫量を基準とした。実施例6及び7は、参考例3の単位収穫量を基準とした。表2に示す収穫増減率について、*及び**は、参考用植物2の単位収穫量に対して、有意差があったことを示す(*:P<0.05、**:P<0.01、vs.参考用植物2)。有意差検定は、Student’s t-testにより行った。
Figure 0007108028000002
※表2中の収穫増減率は、参考例2の単位収穫量を基準に算出した値である。
Figure 0007108028000003
※表3中の収穫増減率は、参考例3の単位収穫量を基準に算出した値である。
上記表2及び3の結果から、焼成珪藻土であって、その粒子径が20~2000μmの範囲内である資材1を用いた実施例2~7では、資材の施用方法及び施用量にかかわらず、収穫量が増加し、いずれにおいても収穫量増加効果が確認された。また、施用方法については、植物周囲の土壌と混合施用されている方(実施例2~5)の収穫量増加効果がより大きいが、植物が植えられている土壌の表面に敷設するのみの施用(実施例6及び7)においても、収穫量増加効果が確認された。
一方で、非焼成珪藻土であって、粒子径が20~2000μmの範囲内である資材4を用いた比較例3~5では、資材の施用量にかかわらず、収穫量が増加せず、いずれの比較例においても収穫量増加効果は確認されなかった。
(実施例8)
上記の実施例2~5において、資材1を植物(ホップ)に混合施用した場合の土壌の水分含有率を測定し、その変化を約1カ月半の期間調べた。この期間の、1日の土壌水分含有率の平均を算出し、プロットしたグラフを図4に示す。図4中、CMはコントロール(資材1なし)である。2L、8L、14L及び20Lは、資材1の施用量(20L中)である。なお、土壌水分含有率の測定方法は下記の通りである。
(土壌水分含有率の測定方法)
植物(ホップ)の株元に土壌水分含有率を測定するためのセンサー(デカゴン社製の5TE)を設置した。データ記録用のロガーはデカゴン社製のEm50 5chデータロガーを用いた。各試験区2株をランダムに選抜し土壌水分含有率を定期的に測定した。
図4から、実施例8において、資材1を植物(ホップ)の土壌に混合施用した場合の土壌水分含有率は、その施用量が2L/株の場合においても、資材1が無施用の土壌と比較して向上していることが確認できる。また、資材1の施用量が2~14L/株(0.67~4.67L/m)の場合は、土壌水分含有量が緩やかに低下しており、植物に対し水分が持続的に供給されているものと考えられる。これは上記表2の結果とも対応しており、実施例2~4の収穫増減率は、実施例5の収穫増減率と比較して高いものとなっている。
また、図4から、資材1が混合施用された土壌の土壌水分含有率は、環境に応じて土壌水分含有率の挙動が変化しており、土壌水分含有率が上がった後に徐々に水分含有率が低下し、低下後も無施用の土壌と比較して高い水分含有率を保持している。従って、資材1が混合施用された土壌は、単に水分含有率が高いのみではなく、緩やかに水分を放出する性能も有しており、植物が効率的に土壌中の水分を利用できることが分る。
よって、資材1の施用により、気候変動の影響を受けにくい水を保持しやすい土壌に改質されていることが確認できる。
(実施例9、比較例6~8)
(吸水試験)
上記資材1(実施例9)、資材2(比較例6)、資材3(比較例7)及び資材4(比較例8)を下記手順で吸水試験した。
上記資材50mlを、密封可能なビニール袋(ユニパック(登録商標)(株)生産日本社製)に投入し、水を1~5mlずつ飽和するまで添加し、資材と水を混合した。上記ビニール袋の内側に水分が付着し始めた時点で、飽和したとみなし(目視)、その時点までの水分添加量を記録した。資材(L)当たりの水分添加量(ml)を算出し、吸水量(ml/L)とした。この吸水量は、下記計算式により保水率に換算することができる。
保水率(%)=100×吸水量(ml/L)/1000
上記の吸水試験の試験結果を図5に示す。図5の結果は、N=3の平均である。資材1の保水率は58%であった。また、吸水試験前後の資材の写真を図6に示す((a):資材1(粒子径が400~1700μmの焼成珪藻土)、(b):資材2(平均粒子径13μmの焼成珪藻土)、(c):資材3(パーライト)、(d):資材4(非焼成珪藻土))。図6(a)~(d)の左側(飽和前)は、吸水試験前(水添加前)の各資材の写真であり、左側(飽和後)は、水を添加して飽和した時点の各資材の写真である。
図5から、実施例9における資材1(焼成珪藻土・粗粒(粒子径が400~1700μm))は、比較例8における資材4(非焼成珪藻土・粗粒(粒子径が500~2000μm))と比較し、200ml/L以上高い吸水能を示した。これは焼成加工により珪藻土表面及び多孔内の有機物が除去され、比表面積及び多孔内体積が向上するため、吸水量が増加したものと考えられる。また、図6(a)を確認すると、資材1は、吸水量が飽和に達した場合にも、目視で粒子間に空隙があることが確認できた。
また、図5から、比較例6における資材2(焼成珪藻土・細粒(平均粒子径13μm))は、吸水能は実施例9における資材1と同様に高いが、図6(b)を確認すると、比較例6における資材2は、吸水量が飽和量に達した際に全体が固まっており、空隙がなかった。資材2は、上記表1の圃場試験において、収穫量増加効果が得られなかったが、これは粒子径が小さい粒子が多く、水を吸収した際に空隙が無くなり、酸素が供給されずに植物の成長が抑制されたためと考えられる。
また、図5から、比較例7及び8における資材3(パーライト/粒子径600μm以下)及び資材4(非焼成珪藻土・粗粒(粒子径500~2000μm))における吸水能は、実施例9における資材1の吸水能と比較し低いが、図6(c)及び(d)を確認すると、吸水量が飽和に達した場合にも目視で粒子間に空隙があることが確認された。
1 植物
2 資材
3 土壌

Claims (7)

  1. 土壌改質方法であって、粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土からなる土壌改質材をホップの周りに埋設又は敷設することを特徴とする土壌改質方法。
  2. ホップの開花時期の前にある降雨時期までに前記土壌改質材をホップの周りに埋設又は敷設する請求項に記載の土壌改質方法。
  3. 前記土壌改質材の圃場における施用量が0.67~6.7L/mである請求項1又は2に記載の土壌改質方法。
  4. ホップの成長を促進するための土壌改質材の使用であって、粒子径が20~2000μmの焼成珪藻土からなる土壌改質材をホップの周りに埋設又は敷設することを特徴とする土壌改質材の使用。
  5. ホップの開花時期の前にある降雨時期までに前記土壌改質材をホップの周りに埋設又は敷設する請求項に記載の土壌改質材の使用。
  6. 前記土壌改質材の圃場における施用量が0.67~6.7L/mである請求項4又は5に記載の土壌改質材の使用。
  7. 開花時期を含む1カ月の全雨量が150mm/月以下の地域で用いられる請求項4~6のいずれか一項に記載の土壌改質材の使用。
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