JP2007202138A - 薄膜バルク音響波共振子、それを備えるフィルタ装置ならびに通信装置 - Google Patents

薄膜バルク音響波共振子、それを備えるフィルタ装置ならびに通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 小型で、スプリアスが低減された薄膜バルク音響波共振子を提供する。
【解決手段】 共振部20には音響インピーダンス変化部25が形成される。音響インピーダンス変化部25のZ方向に垂直な断面における周縁領域30の少なくとも一部が、共振部20のZ方向に垂直な断面における周縁領域33の法線に対して90°未満の角度で対向するので、振動波が音響インピーダンス変化部25に向かって入射する方向と、この音響インピーダンス変化部25に向かって入射した振動波が音響インピーダンス変化部25によって反射されて進行する方向とが異なるので、圧電体薄膜15をZ方向に関して斜めに伝播する振動波の共振が発生することを防止することができ、スプリアスを低減することができる。また共振部20に音響インピーダンス変化部25が形成されることによって、薄膜バルク音響波共振子10を小型に形成することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧電共振子の一種である薄膜バルク音響波共振子、それを備えるフィルタおよび通信装置に関する。
無線通信および電気回路に用いられる電気信号の周波数の高周波化に伴い、高周波化された電気信号に対して用いられるフィルタについても高周波数に対応したものが開発されている。特に、無線通信においては2GHz近傍のマイクロ波が主流になりつつあり、また既に数GHz以上の規格策定の動きもあることから、それらの周波数に対応した、安価で高性能なフィルタが求められている。このようなフィルタとして、圧電体を示す薄膜の厚み縦振動モードを用いた共振子を用いたものが提案されている。圧電体を示す薄膜(以後、圧電体薄膜と記載する)の厚み縦振動モードを用いた共振子は、入力される高周波の電気信号に対して、圧電体薄膜が厚み縦振動を起こし、その振動が圧電体薄膜の厚さ方向において共振を起こすことによって、そのインピーダンスが変化する。このような圧電体薄膜の厚み縦振動モードを用いた共振子は、薄膜バルク音響波共振子(Film Bulk Acoustic Resonator:略称FBAR)と呼ばれている。FBARは、基板の一表面上に薄膜形成プロセスによって第1電極、圧電体薄膜および第2電極を順次積層して形成される共振部を有する。なお、ここで薄膜とは、通常の薄膜形成プロセスで形成されるものをいう。
図25は、従来の技術の薄膜バルク音響波共振子1の構成を示す平面図であり、図26は図25の切断面線XV−XVから見た断面図である。薄膜バルク音響波共振子1は、SiおよびGaAsなどから成る基板2と、AlNおよびZnOなどから成る圧電体薄膜3と、厚み方向の両側から圧電体薄膜3を挟む第1および第2電極4,5とを含んで構成される。基板2の厚み方向の一表面2a上に圧電体薄膜3、第1および第2電極4,5が積層されて成る共振部6が形成される。共振部6は、直方体形状を有する。基板2の厚み方向の他表面2b側から貫通孔7を形成して、共振部6を基板2から空間的に離すことによって、共振部6が基板2から音響的に絶縁される。
前述した従来の技術の薄膜バルク音響波共振子1では、不要振動が生じてスプリアスが発生するという問題がある。これは、圧電体薄膜3を厚み方向に関して斜めに伝播する振動モードが生じ、すなわち圧電体薄膜3の厚み方向の一表面および他表面で反射を繰返しながら厚み方向に垂直な横方向に伝播する振動波が生じて、共振部6の対向する端面で垂直に反射され、振動波が元の地点に戻ってくるためである。前記横方向に伝播する振動波を横モードと記載する。横モードが、共振部6の対向する端面の間で一往復する間の位相の変化が360度の整数倍のときに、共振が起こり、スプリアスが発生する。薄膜バルク音響波共振子1では、様々な波数の横モードが存在するため、この薄膜バルク音響波共振子1のような構成であれば、必ず横モードの共振が発生する。この横モードの共振周波数は、薄膜バルク音響波共振子1の共振周波数とわずかに異なっている。このため直列共振周波数および並列共振周波数の共振ピークの近傍に、不要な共振ピーク(スプリアス)が生じる。
図25に示されるように、共振部6の厚み方向から見た平面形状が矩形状に形成され、すなわち共振部6が直方体形状を有し、共振部6の厚み方向に垂直な方向の周縁が平行に形成されるような第1および第2電極4,5を用いると、前記横モードが第1および第2電極4,5間で共振を起こしやすくなり、大きなスプリアスを生じる。
図27は、スプリアスが発生したときの薄膜バルク音響波共振子1の共振特性を示すグラフである。図27に示すグラフは、所定の周波数の信号が入力されたときの薄膜バルク音響波共振子1のインピーダンスを表わす。図27に示すグラフにおいて、縦軸はインピーダンスを示し、横軸は入力される信号の周波数を示す。入力される信号は電圧信号である。薄膜バルク音響波共振子1は、2GHzの並列共振周波数を有する。図27に仮想線8で囲んで示されるメインの共振ピーク、すなわち直列共振周波数および並列共振周波数の共振ピークの近傍に、矢符9で示すようにスプリアスが発生していることが判る。共振特性に、このようなスプリアスが存在すると、この薄膜バルク音響波共振子1を発振器に使用した場合は、発振周波数の変動およびノイズなどの原因となる。また、このような薄膜バルク音響波共振子1を組み合わせてフィルタ装置を構成すると、フィルタ特性にリップルが生じることとなる。
このように不要振動によるスプリアスが生じると、実用上大きな問題となる。このため他の従来の技術の薄膜バルク音響波共振子では、スプリアスを低減するために、特殊な電極構造を形成する必要があり、たとえば電極の外周辺のうちの対向する辺を平行に形成しないようにしたり、電極の外周に粘弾性音響減衰材を設けたりしている(たとえば特許文献1参照)。またさらに他の従来の技術の薄膜バルク音響波共振子では、スプリアスを低減するために、第2電極に重なり合う第2電極の外周辺が、不規則な多角形の少なくとも一部を構成するように形成している(たとえば特許文献2参照)。
米国特許USP6,150,703号 米国特許USP6,215,375号
前述したように、電極の外周辺のうちの対向する辺を平行に形成しないようにしたり、第2電極に重なり合う第2電極の外周を、非方形の不規則な多角形の少なくとも一部を構成するように形成したりしてスプリアスを低減する場合には、電極の外周形状を特殊な形状にする必要があり、すなわちスプリアスを低減するために電極の外周形状が決定され、電極の外周形状は薄膜バルク音響波共振子の大きさを決定するので、小型化が難しいという問題がある。また電極の外周形状を特殊な形状にする必要があるので、複数の薄膜バルク音響波共振子を稠密に配置することが困難となり、複数の薄膜バルク音響波共振子を用いて形成されるフィルタ装置の小型化が阻害されてしまう。
また電極の外周に粘弾性音響減衰材を設けてスプリアスを低減する場合には、電極の外周にさらに粘弾性音響減衰材を設ける必要があるので、薄膜バルク音響波共振子が大型化してしまう。
したがって本発明の目的は、小型で、スプリアスが低減された薄膜バルク音響波共振子、それを備えるフィルタ装置ならびに通信装置を提供することである。
本発明の薄膜バルク音響波共振子は、圧電体薄膜と、
前記圧電体薄膜の厚み方向の一表面上に積層される第1電極と
前記圧電体薄膜の厚み方向の他表面上に積層される第2電極とを含み、
前記圧電体薄膜と前記第1電極と前記第2電極とによって共振部を形成し、
前記共振部の一部には、前記厚み方向に垂直な断面における周縁領域の少なくとも一部が、前記共振部の前記断面における周縁領域の法線に対して90°未満の角度で対向し、かつ前記共振部の前記一部を除く残余の部分の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスを有する音響インピーダンス変化部が形成されることを特徴とする。
また本発明の薄膜バルク音響波共振子は、前記音響インピーダンス変化部と、前記共振部のうち前記音響インピーダンス変化部を除く残余の部分とは、厚みが異なることを特徴とする。
また本発明の薄膜バルク音響波共振子は、前記音響インピーダンス変化部と、前記共振部のうち前記音響インピーダンス変化部を除く残余の部分とは、単位体積当たりの質量が異なることを特徴とする。
また本発明の薄膜バルク音響波共振子は、前記音響インピーダンス変化部は、前記第1および第2電極の少なくともいずれかに積層して形成される積層膜を含むことを特徴とする。
また本発明の薄膜バルク音響波共振子は、前記積層膜は、金属材料を用いて形成されることを特徴とする。
また本発明の薄膜バルク音響波共振子は、前記音響インピーダンス変化部は、前記共振部の一部の厚みを、残余の部分の厚みよりも小さくして形成されることを特徴とする。
また本発明のフィルタ装置は、前述の薄膜バルク音響波共振子を用いて形成されることを特徴とする。
また本発明の通信装置は、前記フィルタ装置と、受信回路および送信回路の少なくとも一方とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、第1電極および第2電極間に高周波電圧を印加すると、第1電極および第2電極に挟まれる圧電体薄膜が振動し、すなわち圧電体薄膜と第1および第2電極とによって形成される共振部が振動する。共振部の一部には、共振部の残余の部分の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスが形成されているので、圧電体薄膜を前記厚み方向に関して斜めに伝播する振動モードが生じたとしても、音響インピーダンス変化部が形成される部分では、厚み方向に垂直な方向に伝播する振動波は、音響インピーダンス変化部と前記残余の部分との界面で反射する。
音響インピーダンス変化部は、前記厚み方向に垂直な断面における周縁領域の少なくとも一部が、共振部の前記断面における周縁領域の法線に対して90°未満の角度で対向しているので、振動波が音響インピーダンス変化部に向かって入射する方向と、この音響インピーダンス変化部に向かって入射した振動波が音響インピーダンス変化部によって反射されて進行する方向とが異なるので、振動波の共振が発生することを防止することができる。したがって、スプリアスの少ない薄膜バルク音響波共振子を提供することができる。また、共振部に音響インピーダンス変化部が形成されるので、薄膜バルク音響波共振子が大型化してしまうことが防止され、第1および第2電極を、スプリアスを低減するための外周形状とする必要がないので、従来の技術のように電極の外周形状を複雑化することなく、たとえば平面形状を単純な四角形および円形などに選択することができるので、薄膜バルク音響波共振子を小型に形成することができ、また複数の薄膜バルク音響波共振子を並べるときにより稠密に配置することができるようになり、薄膜バルク音響波共振子を用いたフィルタ装置を小型化することができる。
また本発明によれば、音響インピーダンス変化部と、共振部のうち音響インピーダンス変化部を除く残余の部分との厚みを異ならせるだけで、前述の効果を達成することができ、共振部に音響インピーダンス変化部を容易に形成することができる。
また本発明によれば、音響インピーダンス変化部と、共振部のうち音響インピーダンス変化部を除く残余の部分との単位体積当たりの質量を異ならせるだけで、前述の効果を達成することができ、また共振部に音響インピーダンス変化部を容易に形成することができる。
また本発明によれば、第1および第2電極の少なくともいずれかに積層して積層膜を形成することによって、音響インピーダンス変化部と、共振部のうち音響インピーダンス変化部を除く残余の部分との厚みを異ならせることができる。したがって共振部に積層して薄膜を形成するだけで、音響インピーダンス変化部を形成することができるので、製造が容易である。
また本発明によれば、前記薄膜が金属材料を用いて形成されるので、薄膜が積層して形成される電極の電気抵抗を減ずることができ、電極によって生じる信号の損失をより低減することができる。
また本発明によれば、音響インピーダンス変化部は、共振部の一部の厚みを、残余の部分の厚みよりも小さくして形成されるので、音響インピーダンス変化部と、共振部のうち音響インピーダンス変化部を除く残余の部分との厚みを異ならせることができる。また音響インピーダンス変化部を形成するために、圧電体薄膜ならびに第1および第2電極の他に、追加して膜を形成する必要がないので、容易にかつ低コストで音響インピーダンス変化部を形成することができる。
また本発明によれば、上記各構成のいずれかの薄膜バルク音響波共振子を用いることによって、小型で低損失のフィルタ装置を形成することができる。また複数の薄膜バルク音響波共振子を用いてフィルタ装置を構成する場合には、複数の薄膜バルク音響波共振子を稠密に配置して、各薄膜バルク音響波共振子を接続する配線を短くすることができるので、装置を小型化することができるとともに、配線によって形成される抵抗の影響を低減して、信号の損失をより低減することができる。
また本発明によれば、上記構成のフィルタ装置を有する受信回路および送信回路の少なくとも一方を備えることによって、小型で、回路中での損失が小さくなり、不要波の除去性能が上がる効果が得られるものとなるため、より小型で感度がよい通信装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施の一形態の薄膜バルク音響波共振子10を示す平面図であり、図2は図1の切断面線II−IIから見た断面図である。なお、図1では、図解を容易にするために、薄膜バルク音響波共振子10の各部分の寸法を適宜拡大して示している。薄膜バルク音響波共振子10は、基板11と、共振子本体12とを含んで構成される。
基板11は、薄膜バルク音響波共振子10のベース部材である。基板11上に、共振子本体12が形成される。基板11は、厚みが0.05mm〜1mm程度に選ばれる。基板11は、略直方体形状を有する。基板11は、Si(シリコン)、Al(酸化アルミニウム)、SiO(酸化シリコン)およびガラスなどによって形成され、電気絶縁性を有する。基板11の長手方向をX方向とし、短手方向をY方向とし、厚み方向をZ方向とする。前記長手方向、短手方向および厚み方向は、互いに直交する。前記長手方向および短手方向は、基板11の一表面11aの各辺に平行または垂直に延びる。
基板11には、Z方向に貫通する基板貫通孔13が形成される。基板貫通孔13は、基板11のX方向およびY方向の中央部に形成される。基板貫通孔13に臨む内周面は、Z方向に垂直な方向の断面が矩形状となる筒形状に形成される。基板貫通孔13に臨む内周面のZ方向の断面の各辺は、Z方向またはY方向に沿って延びる。基板貫通孔13は、エッチングを用いて、基板11のZ方向の他表面11b側から形成される。
共振子本体12は、基板11のZ方向の一表面11a上に設けられる。共振子本体12は、圧電体薄膜15と、圧電体薄膜15の厚み方向の一表面15a上に少なくとも一部が積層される第1電極16と、圧電体薄膜15の厚み方向の他表面15b上に、少なくとも一部が積層される第2電極17とを含んで構成される。圧電体薄膜15の一部と、第1電極16の一部と、第2電極17の一部とがZ方向に重なって形成され、この圧電体薄膜15の一部と、第1電極16の一部と、第2電極17の一部が積層される部分、すなわちZ方向から見て、圧電体薄膜15と、第1電極16と、第2電極17とがZ方向に重なる部分のうち、基板貫通孔13によって音響的に絶縁されている部分によって共振部20が形成される。共振部20の厚み方向は、Z方向に平行であり、圧電体薄膜15および第1および第2電極16,17の厚み方向は、前記Z方向である。圧電体薄膜15と、第1および第2電極16,17のそれぞれは、Z方向から見て共振部20よりも広い範囲に形成される。
共振部20は、基板11に形成される前記基板貫通孔13に臨んで形成される。すなわち共振部20は、圧電体薄膜15と、第1電極16と、第2電極17とがZ方向に重なる部分のうち、基板貫通孔13に臨む部分によって形成される。共振部20のZ方向の他表面20bは、基板貫通孔13から露出する。共振部20の側面は、X方向またはY方向に沿って延びる。
第2電極17は、基板11の厚み方向の一表面11a上に形成され、基板貫通孔13を覆って設けられる。第2電極17は、基板11のX方向の一端部21からX方向の中央部22にわたって設けられ、基板11の一表面11aの周縁23に離間して設けられる。第2電極17はZ方向から見て矩形状に形成され、その各周縁辺は、X方向またはY方向に平行に延びる。
第2電極17は、圧電体薄膜15に高周波電圧を印加する機能を有する部材であり、W、Mo、Au、AlおよびCuなどの金属材料を用いて形成される。第2電極17は、スパッタおよびCVD(Chemical Vapor Deposition)などの薄膜形成プロセスによって、基板11の一表面11a上に所定の厚さで第2電極17の前駆体である金属層を積層し、この金属層をフォトリソグラフィ技術によって所定の形状に加工して形成される。また第2電極17は、電極としての機能と同時に、共振部20を構成する機能も有するので、薄膜バルク音響波共振子10が必要な共振特性を発揮するために、その厚みは、第2電極17を形成する材料の固有音響インピーダンスおよび密度、第2電極17を伝播する音響波の音速および波長などを考慮して、精密に選ぶ必要がある。第2電極17の最適な厚みは、薄膜バルク音響波共振子10を用いて構成される電子回路で使用する信号の周波数、共振部20の設計寸法、圧電体薄膜材料、電極材料によって異なるが、0.01μm〜0.5μm程度に選ばれる。
また第2電極17のX方向の一端部17cは外部接続端子として機能する。
圧電体薄膜15は、少なくとも一部が第2電極17の厚み方向の一表面17a上に形成される。本実施の形態では圧電体薄膜15は、第2電極17の厚み方向の一表面17a上と基板11の厚み方向の一表面11a上とにわたって形成され、第2電極17のX方向の他端部よりもX方向の他方まで延びる。圧電体薄膜15は、Z方向から見て矩形状に形成され、X方向およびY方向における中央部22に形成される。圧電体薄膜15のY方向の長さL1は、第2電極17の短手方向Yの長さL2よりも大きく選ばれ、圧電体薄膜15のY方向の中央と、第2電極16のY方向の中央とは、Y方向に垂直で同一の仮想一平面上に設けられる。圧電体薄膜15は、X方向およびY方向において、基板貫通孔13よりも大きく形成される。
圧電体薄膜15は、ZnO(酸化亜鉛)、AlN(窒化アルミニウム)およびPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電体材料から成り、第1電極16および第2電極17によって印加される高周波電圧に応じて伸縮し、電気的な信号を機械的な振動に変換する機能を有する。圧電体薄膜15はスパッタおよびCVDなどの薄膜形成プロセスによって、第2電極17の厚み方向の一表面17a上と基板11の厚み方向の一表面11a上に所定の厚さで圧電体薄膜15の前駆体を積層し、この前駆体をフォトリソグラフィ技術によって所定の形状に加工して形成される。
薄膜バルク音響波共振子10が必要な共振特性を発揮するために、圧電体薄膜15の厚みは、圧電体薄膜15を形成する材料の固有音響インピーダンスおよび密度、圧電体薄膜15を伝播する音響波の音速および波長などを考慮して、精密に選ぶ必要がある。圧電体薄膜15の最適な厚みは、薄膜バルク音響波共振子10を用いて構成される電子回路で使用する信号の周波数、共振部20の設計寸法、圧電体薄膜材料、電極材料によって異なるが、0.3μm〜1.5μm程度に選ばれる。
第1電極16は、圧電体薄膜15のうち、第2電極17に積層される部分の厚み方向の一表面15aに積層される。本実施の形態では、第1電極16は、圧電体薄膜15の厚み方向の一表面15aと、基板11の厚み方向の一表面11a上とにわたって形成され、圧電体薄膜15のX方向の他端部よりもX方向の他方まで延びる。第1電極16は、Z方向から見て矩形状に形成され、前記中央部22から基板11のX方向の他端部24にわたって形成され、基板11の一表面11aの周縁23に離間して設けられる。
第1電極16のY方向の長さL3は、圧電体薄膜15のY方向の長さL1よりも短く選ばれ、第1電極16のY方向の中央と、圧電体薄膜15のY方向の中央とは、Y方向に垂直で同一の仮想一平面上に設けられる。第1電極16のうちX方向の他端部16cのみが、基板11上に形成され、残余の部分は、基板貫通孔13上に形成される。すなわち第1電極16のY方向の長さL3は、基板貫通孔13のY方向の大きさ未満に選ばれ、厚み方向Zから見て、第1電極16のX方向の一方の端部16dは、基板貫通孔13に臨む基板11の縁から離間するように形成される。このように第1電極16が形成されることによって、第1電極16、圧電体薄膜15および第2電極17がZ方向に重なる部分のうち、基板貫通孔13によって音響的に絶縁されていない部分が作る静電容量、いわゆる寄生容量を低減することができる。寄生容量が大きいほど、薄膜バルク音響波共振子の実行電気機械結合係数が低下するが、このような構成とすることにより、この低下を最小限にできるというという利点がある。
第1電極16は、第2電極17とともに、圧電体薄膜15に高周波電圧を印加する機能を有する部材であり、W、Mo、Au、AlおよびCuなどの金属材料を用いて形成される。第1電極16は、スパッタおよびCVDなどの薄膜形成プロセスによって、圧電体薄膜15の厚み方向の一表面15a上および基板11の一表面11a上に所定の厚さで第1電極16の前駆体である金属層を積層し、この金属層をフォトリソグラフィ技術によって所定の形状に加工して形成される。また第1電極16は、電極としての機能と同時に、共振部20を構成する機能も有するので、薄膜バルク音響波共振子10が必要な共振特性を発揮するために、その厚みは、第1電極16を形成する材料の固有音響インピーダンスおよび密度、第1電極16を伝播する音響波の音速および波長などを考慮して、精密に選ぶ必要がある。第1電極16の最適な厚みは、薄膜バルク音響波共振子10を用いて構成される電子回路で使用する信号の周波数、共振部20の設計寸法、圧電体薄膜材料および電極材料によって異なるが、0.01μm〜0.5μm程度に選ばれる。
共振部20の厚みは、おおむねλ/2(λは使用する信号の周波数での音響波の波長)となるように設計される。共振部20のZ方向から見た形状、すなわち平面形状は、矩形状である。本実施の形態では、共振部20は直方体形状に形成される。また共振部20のZ方向に垂直な断面における面積は、薄膜バルク音響波共振子10のインピーダンスを決定する要素となるので、厚みと同様に精密に設計する必要がある。50Ωのインピーダンス系で薄膜バルク音響波共振子10を使用する場合は、共振部20の電気的なキャパシタンスが、使用する信号の周波数でおおむね50Ωのリアクタンスを持つように選ばれる。本実施の形態では共振部20のZ方向に垂直な断面のX方向およびY方向の長さは等しく選ばれ、共振部20の前記断面における面積は、たとえば2GHzの薄膜バルク音響波共振子10の場合であれば、200μm×200μm程度に選ばれる。
共振部20の一部には、音響インピーダンス変化部25が形成される。音響インピーダンス変化部25は、共振部20のうち音響インピーダンス変化部25を除く残余の部分の音響インピーダンスと異なる音響インピーダンスを有する。すなわち共振部20では、厚み方向に垂直な所定の方向において、音響インピーダンスが部分的に変化している。
音響インピーダンス変化部25と、共振部20のうち音響インピーダンス変化部25を除く残余の部分とは、厚みが異なる。音響インピーダンス変化部25は、共振部20の厚み方向の一表面20aに積層膜26を積層して形成され、圧電体薄膜15ならびに第1および第2電極16,17と積層膜26とがZ方向に積層される部分によって構成される。積層膜26は、荷重要素であって、圧電体薄膜15、第1および第2電極16,17の積層体に荷重を与える。積層膜26は、薄膜である。共振部20のうち積層膜26が積層される部分では、厚みが増加することによって、共振部20のうち積層膜26が形成されない部分と比較して、共振周波数が小さくなる。
積層膜26は、直方体形状を有し、共振部20の一表面20aにおける一方の対角線27に沿って、この対角線27の延びる方向の共振部20の一端部28と他端部29との間にわたって、前記一端部28付近および他端部29付近を除いて形成される。積層膜26は、Z方向から見てX方向およびY方向において、基板貫通孔13より小さく形成される。積層膜26がX方向およびY方向にどの程度延びて形成されるかについては、どの程度スプリアスを低減すべきであるのかによって決定され、X方向およびY方向に長くするほどスプリアスを低減させることができる。ただし、共振部20の積層膜26を付加した部分と残余の部分とは共振周波数が変化するため、メインの共振には寄与せず、寄生容量となる。このため、積層膜26が形成される範囲が大きくなると、寄生容量が増加するとともに共振部20の実効面積が小さくなってしまうので、共振部20の一表面20a上で積層膜26が形成される範囲の面積は、共振部20の一表面20aの面積の10%よりも狭く選ばれる。また厚み方向Zから見て、積層膜26は、共振部20の周縁33から予め定める距離だけ離して形成され、この予め定める距離は、どの程度スプリアスを低減すべきであるのかによって決定されるが、好ましくは5μm〜20μm程度に選ばれる。
積層膜26の厚みは、0.01μm〜10μm程度に選ばれる。積層膜26の厚みは、どの程度スプリアスを低減すべきであるのかによって決定される。
音響インピーダンス変化部25のZ方向に垂直な断面における周縁領域30の少なくとも一部は、共振部20のZ方向に垂直な前記断面における周縁領域33の法線に対して90°未満の角度で対向する。音響インピーダンス変化部25のZ方向に垂直な断面における周縁領域30は、音響インピーダンス変化部25のZ方向に垂直な断面における周縁辺30a,30b,30c,30dとその近傍領域とを含む。音響インピーダンス変化部25のZ方向に垂直な断面における周縁辺30a,30b,30c,30dを厚み方向Zに連ねて形成される音響インピーダンス変化部25の側面は、厚み方向に平行に形成される。共振部20のZ方向に垂直な断面における周縁領域33は、共振部20のZ方向に垂直な断面における周縁辺33a,33b,33c,33dとその近傍領域とを含む。共振部20のZ方向に垂直な断面における周縁辺33a,33b,33c,33dを厚み方向Zに連ねて形成される共振部20の各側面は、厚み方向に平行に形成される。
本実施の形態では、音響インピーダンス変化部25のZ方向に垂直な断面における周縁辺30a,30b,30c,30dのいずれかが、共振部20のZ方向に垂直な前記断面における周縁辺33a,33b,33c,33dの法線に対して90°未満の角度で対向する。すなわち音響インピーダンス変化部25のZ方向に垂直な断面における周縁辺30a,30b,30c,30dのいずれかの法線と、共振部20の前記断面における周縁辺33a,33b,33c,33dの法線とが成す角度のうち、小さいほうの角度が90°未満に選ばれる。
音響インピーダンス変化部25の周縁領域30を、共振部20のZ方向に垂直な断面における周縁領域33の法線に対して90°未満の角度で対向させるには、厚み方向から見て、積層膜26の積層膜26のZ方向に垂直な断面における各周縁辺31a,31b,31c,31dのいずれかが、共振部20のZ方向に垂直な断面における各周縁辺33a,33b,33c,33dの法線に対して、小さいほうの成す角度が90°未満の角度で傾斜するように、積層膜26を形成すればよい。
本実施の形態では、音響インピーダンス変化部25の前記各周縁辺30a,30b,30c,30dがそれぞれ延びる方向と、共振部20の前記各周縁辺33a,33b,33c,33dがそれぞれ延びる方向とが成す角度のうち小さいものは、Z方向から見て45度に選ばれる。Z方向から見て、音響インピーダンス変化部25の前記各周縁辺30a,30b,30c,30dのそれぞれが延びる方向と、共振部20の前記各周縁辺33a,33b,33c,33dのそれぞれが延びる方向とが成す角度は、どの程度スプリアスを低減すべきであるのかによって決定される。
積層膜26は、スパッタおよび蒸着などによって薄膜を形成した後、フォトリソグラフィによって所定の形状に加工することによって形成される。このような積層膜26は、特別な薄膜形成プロセスを用いなくても、従来から用いられている薄膜形成プロセスによって形成することができるので、安価にかつ精度よく形成することができる。積層膜26は、金属材料を用いて形成される。
積層膜26は、金属材料を用いて形成されるときには、積層膜26を形成することによって積層膜26が積層される部分では、第1電極16の厚みが増加したことと同様な効果が生じる。すなわち、電流の流路断面積を大きくすることができ、電極の電気抵抗が減少するという効果が生じる。これによって、電極の電気抵抗を減ずることができ、薄膜バルク音響波共振子10における信号の損失をより低減することができる。
図3は、薄膜バルク音響波共振子10の共振部20における振動波の進行を説明する平面図である。共振部20のうち積層膜26が形成される部分と、残余の部分とでは共振周波数が異なる。また圧電体薄膜15を厚み方向に関して斜めに伝播する振動モードである横モードに対する音響インピーダンスも異なっている。
共振部20で発生した厚み方向に垂直な方向の振動波である横モードは、共振部20の音響インピーダンス変化部25と、音響インピーダンス変化部25を除く残余の部分との界面で反射される。前述したように、音響インピーダンス変化部25のZ方向に垂直な断面における周縁領域30の少なくとも一部が、共振部20のZ方向に垂直な断面における周縁領域33の法線に対して90°未満の角度で対向するので、横モードは、共振部20の音響インピーダンス変化部25と、音響インピーダンス変化部25を除く残余の部分との界面で反射されて、その進行方向が変化する。振動波が音響インピーダンス変化部25に向かって入射する方向F1と、この音響インピーダンス変化部25に向かって入射した進行波が音響インピーダンス変化部によって反射されて進行する方向F2とが異なるので、横モードが共振してしまうことを抑制することができる。したがって、スプリアスを低減することができる。
またここでは、横モードの伝播方向を使って共振の概念を説明したが、正確には2次元平面での共振モードについての議論を行う必要があるが、本明細書の説明であっても、実用的には十分な結果が得られる。また音響インピーダンス変化部25における共振周波数が残余の部分の共振周波数よりも高い場合であっても、低い場合であっても同様の効果を達成することができる。
以上のように薄膜バルク音響波共振子10では、スプリアスを低減させることができ、また共振部20に音響インピーダンス変化部25が形成されるので、薄膜バルク音響波共振子が大型化してしまうことが防止される。また第1および第2電極16,17をスプリアスを低減するための外周形状とする必要がないので、従来の技術のように電極の外周形状を複雑化することなく、前述したように平面形状を単純な矩形状することができるので、薄膜バルク音響波共振子10を小型に形成することができる。また音響インピーダンス変化部25と、共振部20のうち音響インピーダンス変化部25を除く残余の部分との厚みを異ならせるだけで、前述の効果を達成することができ、共振部20に音響インピーダンス変化部25を容易に形成することができる。また第1電極16に積層して積層膜26を形成するだけで、音響インピーダンス変化部25を形成することができるので、製造が容易であり、かつ薄膜バルク音響波共振子10を小型に形成することができる。
図4は、本発明の他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子40を示す断面図である。本実施の形態の薄膜バルク音響波共振子40は、図1に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10と類似しており、本実施の形態の構成には、前述の薄膜バルク音響波共振子10における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。
薄膜バルク音響波共振子40は、基板11と、共振子本体12とを含んで構成される。本実施の形態の音響インピーダンス変化部25は、共振部20の一部の厚みを、残余の部分の厚みよりも小さくすることによって形成され、ここでは共振部20を構成する第1電極16の一部の厚みを、残余の部分の厚みよりも小さく形成することによって実現される。つまり本実施の形態の音響インピーダンス変化部25は、圧電体薄膜15と、第1電極16のうち前記厚みが小さく形成された部分と、第2電極17とが積層される部分によって構成される。第1電極16には、圧電体薄膜15、第1および第2電極16,17の積層体にマイナスの荷重要素を負荷する溝部41が形成される。溝部41は、第1電極16のうち共振部20を構成する部分に形成される。溝部41の溝42に臨む内周面の各側面43は、Z方向に平行であり、溝部41の底面44は、Z方向に垂直に形成される。共振部20のうち、第1電極16の膜厚を小さくした部分、すなわち溝部41が形成される部分では、残余の部分よりも共振周波数が高くなる。これによって共振部20のうち、第1電極16の膜厚を小さくした部分と、残余の部分とにおいて共振周波数が異なり、横モードに対する音響インピーダンスも異ならせることができる。溝部41が臨む溝42は、前述した積層膜26と同様に、共振部20の一表面20aにおける一方の対角線27に沿って、この対角線27の延びる方向の共振部20の一端部28と他端部29との間にわたって、前記一端部28付近および他端部29付近を除いて形成される。溝42は、Z方向から見てX方向およびY方向において、基板貫通孔13よりも小さく形成される。溝42がX方向およびY方向にどの程度延びて形成されるかについては、どの程度スプリアスを低減すべきであるのかによって決定され、X方向およびY方向に長くするほどスプリアスを低減させることができる。ただし、溝42が形成される範囲が大きくなると、前述した実施の形態と同様に、寄生容量が増加するとともに共振部20の実効面積が小さくなってしまうので、溝42が形成される範囲は、前述した実施の形態で積層膜26が形成される範囲と同様に選ばれる。
溝42のZ方向の深さは、0.01μm〜0.5μm程度に選ばれる。溝42のZ方向の深さは、どの程度スプリアスを低減させるか、に基づく。
音響インピーダンス変化部25の周縁領域30を、共振部20のZ方向に垂直な断面における周縁領域33の法線に対して90°未満の角度で対向させるには、本実施の形態では、Z方向から見て、溝部41の側面43の少なくとも一部が、共振部20のZ方向に垂直な断面における各周縁辺33a,33b,33c,33dの法線に対して90°未満の角度で傾斜するように、溝部41を形成すればよい。すなわちZ方向から見て、溝部41の各側面43のいずれかの法線と、共振部20のZ方向に垂直な断面における各周縁辺33a,33b,33c,33dの法線とが成す角度のうち、小さいほうの角度が90°未満の角度で傾斜するように、溝部41を形成すればよい。
本実施の形態では、前記Z方向に垂直な断面において前記各側面43がそれぞれ延びる方向と、共振部20のZ方向に垂直な断面において各周縁辺33a,33b,33c,33dがそれぞれ延びる方向とが成す角度のうち小さいものは、Z方向から見て45度に選ばれる。Z方向から見て、前記Z方向に垂直な断面において、前記側面43のそれぞれが延びる方向と、共振部20の各周縁辺33a,33b,33c,33dのそれぞれが延びる方向とが成す角度は、どの程度スプリアスを低減すべきであるのかによって決定される。
薄膜バルク音響波共振子40では、前述した実施の形態と同様に音響インピーダンス変化部25と共振部20のうち音響インピーダンス変化部25を除く残余の部分との界面において、横モードを反射することができ、前述の実施の形態と同様の効果を達成することができる。
また溝部41は、フォトリソグラフィによって、第1電極16の前駆体の一部が露出するようにパターニングされたフォトレジストを共振子本体12に積層して形成し、露出する第1電極16の前駆体の一部を反応性イオンエッチング(RIE)およびウエットエッチングなどで除去して、第1電極16の前駆体の厚みを減じることによって形成される。したがって音響インピーダンス変化部25を形成するために、圧電体薄膜15ならびに第1および第2電極16,17の他に、追加して膜を形成する必要がないので、容易にかつ低コストで音響インピーダンス変化部25を形成することができる。
また本実施の形態では、前記音響インピーダンス変化部25は、第1電極16のうちの一部の厚みを残余の部分よりも小さくすることによって形成されるが、本発明のさらに他の実施の形態では、前記音響インピーダンス変化部25を、第2電極17のうちの一部の厚みを残余の部分よりも小さくすることによって形成してもよい。このような構成であっても、同様の効果を達成することができる。
図5は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子50を示す断面図である。本実施の形態の薄膜バルク音響波共振子50は、図1に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10と類似しており、本実施の形態の構成には、前述の薄膜バルク音響波共振子10における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。薄膜バルク音響波共振子50は、基板11と、共振子本体12とを含んで構成される。
本実施の形態の音響インピーダンス変化部25は、共振部20の一部の厚みを、残余の部分の厚みよりも大きくすることによって形成され、ここでは共振部20を構成する第1電極16の一部の厚みを、残余の部分の厚みよりも大きく形成している。第1電極16には、荷重要素である突部51が形成される。突部51は、前述した積層膜26と同様な大きさ、厚みおよび形状に形成され、また同様な位置に形成される。共振部20のうち、第1電極16の膜厚を大きくした部分、すなわち突部51が形成される部分では、残余の部分よりも共振周波数が低下する。これによって共振部20のうち、第1電極16の膜厚を大きくした部分と、残余の部分とにおいて共振周波数が異なり、横モードに対する音響インピーダンスも異ならせることができる。音響インピーダンス変化部25は、圧電体薄膜15と、共振部20のうち、第1電極16のうち突部51が形成された部分と、第2電極17とがZ方向に積層される部分によって形成される。
前記突部51は、前記溝部41を形成する場合と同様にして、第1電極16の前駆体の一部が露出するようにパターニングされたフォトレジストを共振子本体12に積層して形成し、露出する第1電極16の前駆体の一部を、反応性イオンエッチング(RIE)およびウエットエッチングなどに除去し、第1電極16の前駆体の、突部51を除く部分の厚みを減じることによって形成される。したがって、音響インピーダンス変化部25を形成するために、圧電体薄膜15ならびに第1および第2電極16,17の他に、追加して膜を形成する必要がなく、薄膜バルク音響波共振子40と同様な効果を達成することができる。
図6は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子60を示す断面図である。本実施の形態の薄膜バルク音響波共振子60は、図1に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10と類似しており、本実施の形態の構成には、前述の薄膜バルク音響波共振子10における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。薄膜バルク音響波共振子60は、基板11と、共振子本体12とを含んで構成される。
図1に示される薄膜バルク音響波共振子10では、共振部20のZ方向の一表面20aに積層して積層膜26が形成されているが、本実施の形態の薄膜バルク音響波共振子60では、圧電体薄膜15と第1電極16とに挟まれて積層膜26が形成される。圧電体薄膜15のうち共振部20を構成する部分のZ方向の一表面15aには、溝部61が形成される。この溝部61が臨む溝62に積層膜26が形成される。積層膜26は溝62を埋めて形成され、積層膜26のZ方向の一表面26aと圧電体薄膜15の溝部61を除くZ方向の一表面15aとは、共振部20において同一の仮想一平面に形成される。第1電極16は、積層膜26のZ方向の一表面26aにも積層される。
本実施の形態では共振部20の厚みは、共振部20の全領域にわたって等しく形成される。積層膜26は、圧電体薄膜15に用いられる材料とは異なる材料を用いて形成される。音響インピーダンス変化部25は、圧電体薄膜15と、第1および第2電極16,17と、積層膜26がZ方向に積層される部分によって形成される。積層膜26を設けることによって、共振部20のうち積層膜26を設けた部分である音響インピーダンス変化部25と、共振部20のうち音響インピーダンス変化部25を除く残余の部分との単位体積当たりの質量を異ならせることができる。
共振部20のうち積層膜26が形成された部分では、残余の部分よりも音響インピーダンスが変化する。これによって共振部20のうち積層膜26が形成された音響インピーダンス変化部25と、残余の部分とにおいて、共振周波数が異なり、横モードに対する音響インピーダンスも異ならせることができる。したがって、前述した実施の形態と同様の効果を達成することができる。また積層膜26が共振部20に埋め込まれているので、共振部20の厚みが増加することがなく、薄膜バルク音響波共振子60を、より小型に形成することができる。
図7は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子70を示す断面図である。本実施の形態の薄膜バルク音響波共振子70は、図4に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子40と類似しており、本実施の形態の構成には、前述の薄膜バルク音響波共振子40における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。薄膜バルク音響波共振子70は、基板11と、共振子本体12とを含んで構成される。
本実施の形態の音響インピーダンス変化部25は、共振部20の一部の厚みを、残余の部分の厚みよりも小さくすることによって形成され、ここでは共振部20を構成する圧電体薄膜15の一部の厚みを、残余の部分の厚みよりも小さく形成することによって実現される。圧電体薄膜15には、厚み方向の一表面15a側に、圧電体薄膜15、第1および第2電極15,16の積層体にマイナスの荷重要素を負荷する溝部71が形成される。溝部71は、前述した溝部41と同様な形状である。溝部71は、Z方向において第1電極16が形成される側に開口する。第1電極16は、圧電体薄膜15の前記溝部71にも形成される。第1電極16のうち、前記溝部71に形成される部分には、溝部72が形成される。
共振部20のうち圧電体薄膜15の膜厚を小さくした部分、すなわち溝部71が形成される部分では、残余の部分とは音響インピーダンスが異なる。これによって共振部20のうち、圧電体薄膜15の膜厚を小さくした部分と、残余の部分とにおいて共振周波数が異なり、横モードに対する音響インピーダンスも異ならせることができる。したがってこのような構成であっても、前述した実施の形態と同様な効果を達成することができる。
図8は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子80を示す断面図である。本実施の形態の薄膜バルク音響波共振子80は、図1に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10と類似しており、本実施の形態の構成には、前述の薄膜バルク音響波共振子10における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。薄膜バルク音響波共振子80は、基板11と、共振子本体12とを含んで構成される。
本実施の形態では、前記積層膜26が第1電極16に積層されるのではなく、基板貫通孔13内に露出した第2電極17に形成され、第2電極17の厚み方向の他表面17b上で、共振部20に積層して形成される。このような構成であっても積層膜26が形成される位置が異なるだけであって、前述した実施の形態と同様な効果を達成することができる。さらに基板貫通孔13内に露出した第2電極17に積層膜26が形成されるので、積層膜26を形成することによって、薄膜バルク音響波共振子80の厚みが大きくなってしまうことがなく、薄膜バルク音響波共振子80をより小型に形成することができる。
図9は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子90を示す平面図である。本実施の形態の薄膜バルク音響波共振子90は、図1に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10と類似しており、本実施の形態の構成には、前述の薄膜バルク音響波共振子10における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。薄膜バルク音響波共振子90は、基板11と、共振子本体12とを含んで構成される。
前述した実施の形態では積層膜26の形状は直方体形状であったが、本実施の形態では、積層膜26は不定形状を有し、ここでは積層膜26の厚み方向から見て7角形状に形成される。このような形状であっても、Z方向から見て、積層膜26の厚み方向に垂直な断面における各周縁辺31のそれぞれの法線と、共振部20のZ方向に垂直な断面の周縁辺33a,33b,33c,33dの法線とが成す角度のうち小さいものが90°未満に選ばれるので、音響インピーダンス変化部25のZ方向に垂直な断面における周縁領域30の少なくとも一部が、共振部20のZ方向に垂直な断面における周縁領域33の法線に対して90°未満の角度で対向させることができる。これによって、前述した実施の形態と同様な効果を達成することができる。
前記音響インピーダンス変化部25の厚み方向Zから見た形状は、長方形、正方形だけではなく、たとえば、平行四辺形、台形、直角3角形、2等辺三角形および正三角形などの多角形状に形成してもよい。共振部20のうち、厚み方向Zから見て、音響インピーダンス変化部25によって分けられた領域の辺が互いに非平行になるようにする、すなわち音響インピーダンス変化部25の外周辺と、共振部20の外周辺とが非平行となるようにすることがより好ましい。したがって、音響インピーダンス変化部25を、図9に示すように不定形に形成したり、あるいは後述するような略円形状に形成したりすることがより好ましい。音響インピーダンス変化部25の形状は、膜強度の問題から、鋭角を持つ多角形ではない形状、つまり、角部を面取りした形状や、後述する略円形にするのがより好ましい。
図10は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子100を示す断面図である。本実施の形態の薄膜バルク音響波共振子100は、図1に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10と類似しており、本実施の形態の構成には、前述の薄膜バルク音響波共振子10における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。
薄膜バルク音響波共振子100はSMR(Solidly Mounted Resonator)型薄膜バルク音響波共振子と呼ばれ、基板11と、共振子本体12と、音響反射部材101とを含んで構成される。本実施の形態では、基板11には前述した基板貫通孔13が形成されず、音響反射部材101によって共振子本体12が基板から音響的に絶縁される。基板11の一表面11aには、全面にわたって音響反射部材101が積層される。本実施の形態では、共振部20は、圧電体薄膜15と、第1電極16と、第2電極17とがZ方向に重なる部分のうち、音響反射部材101に積層される部分によって形成される。
音響反射部材101は、音響多層膜反射器を構成する。音響反射部材101は2種類の膜を、交互に複数層積層して構成される。各膜の厚みは、材料の固有音響インピーダンスおよび密度、各膜を伝播する音響波の音速および波長などを考慮して、精密に設計する必要があるが、n×λ/4(記号nは正の奇数、記号λは層を伝播する音響波の波長)に選ぶと反射率を最大にすることができる。
音響反射部材101は、第1および第2音響反射部材構成膜102,103を積層して構成され、音響波を反射する。第1および第2音響反射部材構成膜102,103の音響インピーダンスの相違が大きいほど、良好な反射特性を得ることができ、音響波の反射率を高めることができる。第1および第2音響反射部材構成膜102,103の固有音響インピータンスの比率は、好ましくは、5:1、以上に選ばれる。第1音響反射部材構成膜102は、高い音響インピーダンスを有し、たとえばWおよびMoなどの金属材料、またはAl、Ta、ZnOおよびAlNなどの誘電体材料(無機材料)を用いて形成される。第2音響反射部材構成膜103は、低い音響インピーダンスを有し、Alなどの金属材料、SiOなどの誘電体材料、またはBCB(ベンゾシクロブテン)ポリイミドおよびMSQ(Methylsises Quioxane)などの樹脂材料を用いて形成される。ただし、第1および第2音響反射部材構成膜102,103の両者が金属材料を用いて形成されることがないように選ばれる。第1および第2音響反射部材構成膜102,103の積層数は、2層〜8層程度に選ばれ、本実施の形態では、4層に選ばれる。
音響反射部材101のうち、基板11からこの基板11の厚み方向Zに最も離反した表層には、第1および第2音響反射部材構成膜102,103のうち電気絶縁性を有する材料を用いて形成したものが配置される。音響反射部材101を構成する第1および第2音響反射部材構成膜102,103の積層数をどの様に選んだとしても、音響反射部材101のうち、共振子本体12の共振部20に接触する部分は、低い音響固有インピーダンスを有する第2音響反射部材構成膜103によって形成される。このように音響反射部材101を構成することによって、厚み方向Zの一表面101a上に積層して形成される共振子本体12の共振部20を音響的に絶縁することができる。SMR型の薄膜バルク音響波共振子100の音響反射部材101を構成する材料として金属材料を用いる場合、寄生容量を防ぐために、共振部20が積層される部分を除く残余の部分を、エッチングによって除去する。
音響反射部材101の厚み方向の一表面101aに積層して共振子本体12が形成される。このようなSMR型の薄膜バルク音響波共振子100においても、共振部20の音響的な絶縁の方法が異なるだけであり、前述した実施の形態と同様の効果を達成することができる。さらに、共振部20のZ方向の他表面20bの全面が音響反射部材101に接触するので、薄膜バルク音響波共振子10よりも機械的な強度を向上させることができ、これによって信頼性を向上させることができる。また薄膜バルク音響波共振子100では共振部20の他表面20bの全面が音響的に絶縁され共振部20の端面で横モードが全て反射されてしまうので、前記共振部20に音響インピーダンス変化部25を形成することによって、好適にスプリアスを低減することができる。
図11は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子120を示す平面図である。薄膜バルク音響波共振子120は、前述した基板11上に共振部20を直接形成する各実施の形態において音響インピーダンス変化部25の厚み方向から見た平面形状を、図11に示すように、長円形状、楕円形状および円形状などの略円形状に形成したものである。共振部20は、前述の図10に示す実施の形態のように、基板11上に音響反射部材101を介して形成されていてもよい。音響インピーダンス変化部25の厚み方向から見た平面形状を、図11に示すように、長円形状、楕円形状および円形状などの略円形状にするためには、前述した各実施の形態において、積層膜26、溝部41,71,72、突部51を、長円形状、楕円形状および円形状などの略円形状に形成すればよい。このような構成であっても、前述した実施の形態と、同様の効果を達成することができる。
また本発明のさらに他の実施の形態では、前述した基板11上に共振部20を直接形成する各実施の形態において共振部20に複数の積層膜26、複数の溝部41,71,72または突部51を形成し、共振部20に音響インピーダンス変化部25を複数形成してもよい。共振部20は、前述の図10に示す実施の形態のように、基板11上に音響反射部材101を介して形成されていてもよい。
図12および図13は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子130,140を示す平面図である。薄膜バルク音響波共振子130,140は、前述した各実施の形態において音響インピーダンス変化部25を、図12、13に示すように、複数に分割して形成したものである。
薄膜バルク音響波共振子130では、音響インピーダンス変化部25が2つに分割して形成され、それぞれを音響インピーダンス変化部25a,25bと記載する。各音響インピーダンス変化部25a,25bは、共振部20の一表面20aにおける一方の対角線27に沿って直線状に配列される。音響インピーダンス変化部25a,25bは、対角線27方向に離間して形成され、同様の大きさに形成される。音響インピーダンス変化部25a,25bの厚み方向から見た平面形状は、矩形状に形成されるが、前述した実施の形態のように長円形状、楕円形状および円形状などの略円形状に形成してもよい。
音響インピーダンス変化部25a,25bとが離間しすぎると、音響インピーダンス変化部25a,25bとの間の領域で横モードが共振してしまうおそれがあるので、音響インピーダンス変化部25a,25bとの間隔は、予め定める間隔T1未満に形成される。予め定める間隔T1は、どの程度スプリアスを低減すべきであるのかによって決定され、小さくするほどスプリアスを低減させることができ、5μm〜50μm程度に選ばれる。
音響インピーダンス変化部25をこのような形状に形成しても、前述の実施の形態と同様の効果を達成することができる。また音響インピーダンス変化部25を1つではなく、複数設けることによって、スプリアスの低減度合いが同様の場合、音響インピーダンス変化部25の総面積を小さくできるため、共振部20の強度を上げることができ、寄生容量の増加と、共振部20の実効面積の減少とを小さくできる、という利点がある。
薄膜バルク音響波共振子140では、音響インピーダンス変化部25が4つに分割して形成され、それぞれを音響インピーダンス変化部25a,25b,25c,25dと記載する。各音響インピーダンス変化部25a,25bは、共振部20の一表面20aにおける一方の対角線27aに沿って直線状に配列される。各音響インピーダンス変化部25c,25dは、共振部20の一表面20aにおける他方の対角線27bに沿って直線状に配列される。音響インピーダンス変化部25a,25b,25c,25dの厚み方向から見た平面形状は、矩形状に形成されるが、前述した実施の形態のように長円形状、楕円形状および円形状などの略円形状に形成してもよい。
各音響インピーダンス変化部25a,25b,25c,25dは、放射状に設けられ、前記一表面20aの中心をとおり、厚み方向Zに平行な軸線まわりに回転対称となる。X方向およびY方向において、相互に隣接する音響インピーダンス変化部25との間隔は、それぞれ予め定める間隔X1,Y1に選ばれる。予め定める間隔X1,Y1は、共振部20のX方向およびY方向における寸法に対して、2%〜20%のように選ばれるのが好ましい。予め定める間隔X1,Y1は、どの程度スプリアスを低減すべきであるのかによって決定され、小さくするほどスプリアスを低減させることができ、5μm〜50μm程度に選ばれる。
音響インピーダンス変化部25をこのような形状に形成しても、前述の実施の形態と同様の効果を達成することができる。また音響インピーダンス変化部25を放射状に設けることによって、スプリアスの低減度合いが同様の場合、音響インピーダンス変化部25のの総面積を小さくできるため、共振部20の強度を上げることができ、寄生容量の増加と、共振部20の実効面積の減少とを小さくできる、という利点がある。
図14、15および16は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子150,160,170を示す平面図である。薄膜バルク音響波共振子150,160,170は、図1および図4に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10,40と類似しており、同様の構成には同様の参照符号を付してその説明を省略する。薄膜バルク音響波共振子150では、図14に示すように、前述した共振部20に前述した溝42と同様な溝を、第1電極16を貫通する貫通孔151を形成することによって設けて、音響インピーダンス変化部25を形成している。貫通孔151の、厚み方向Zから見た形状は、前述の実施の形態の積層膜26を厚み方向Zから見た形状と同様である。
また薄膜バルク音響波共振子160では、図15に示すように、前述した共振部20に前述した溝42と同様な溝を、第1電極16および圧電体薄膜15を貫通する貫通孔161を形成することによって設けて、音響インピーダンス変化部25を形成している。ここでは、圧電体薄膜15を貫通する貫通孔を形成しているが、圧電体薄膜15には貫通孔ではなく、溝を形成してもよい。貫通孔161の、厚み方向Zから見た形状は、前述の実施の形態の積層膜26を厚み方向Zから見た形状と同様である。
また薄膜バルク音響波共振子170では、図16に示すように、前述した共振部20に、第1電極16および圧電体薄膜15ならびに第2電極17を貫通する貫通孔171を形成し、音響インピーダンス変化部25を形成している。貫通孔171の、厚み方向Zから見た形状は、前述の実施の形態の積層膜26を厚み方向Zから見た形状と同様である。ここでは、第2電極17を貫通する貫通孔を形成しているが、第2電極17には貫通孔ではなく、溝を形成してもよい。
薄膜バルク音響波共振子150,160,170では、音響インピーダンス変化部25には電圧が印加されないが、音響インピーダンス変化部25と、共振部20のうち音響インピーダンス変化部25を除く残余の部分とにおいて音響インピーダンスが異なるので、前述の各実施の形態と同様の効果を達成することができる。このような構成では、音響インピーダンス変化部25を、第1電極16、圧電体薄膜15、あるいは第2電極17のパターニング時に同時に形成することができるため、音響インピーダンス変化部25を形成する工程が省略される。
また前述した各実施の形態では、圧電体薄膜15、第1および第2電極16,17の平面形状はそれぞれ矩形状であるが、本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態において、圧電体薄膜15、第1および第2電極16,17の平面形状を、円形状、不定形状または台形状にそれぞれ形成してもよい。圧電体薄膜15、第1および第2電極16,17の平面形状を、円形状、不定形状または台形状にそれぞれ形成しても、平面形状を矩形状に形成したときと同様の効果を達成することができるとともに、さらにスプリアスを抑制することができる。
また、前述した各実施の形態および後述する各実施の形態では、音響インピーダンス変化部25の各周縁辺がそれぞれ延びる方向と、共振部20の各周縁辺がそれぞれ延びる方向とが成す角度が、Z方向から見て45度に選ばれているが、これに限定されず、90度未満の角度であれば何度でも良い。ただし、90度に近い角度の場合はスプリアスを抑制する効果が小さくなるため、45度〜80度の範囲がより望ましい。
また本発明のさらに他の実施の形態では、前述した共振部20は直方体形状に限定されず、たとえば円柱形状に形成されてもよく、また不定形状に形成されてもよく、さらに共振部20のZ方向に垂直な断面のX方向およびY方向の長さは異なるように選ばれてもよい。このような構成であっても、前述した各実施の形態と同様な効果を達成することができる。
また前述した各実施の形態では、基板11の形状を略直方体形状としているが、基板11の形状はこれに限らず、たとえば円柱形状に形成してもよく、その不定形状に形成してもよい。基板11の形状にかかわらず、前述した各実施の形態と同様の効果を達成することができる。また本発明のさらに他の実施の形態では、前述した第1および2電極16,17は、基板11の一表面21aの周縁23まで延びて形成されてもよい。このような構成であっても、同様の効果を達成することができる。
また前述した共振部20に積層膜26が形成される各実施の形態において、積層膜26を金属材料に限らず、導電体および絶縁体などによって形成してもよく、たとえば樹脂、ガラスおよび微細なパターンを形成することができる材料などによって形成してもよい。積層膜26には、できるだけ音響インピーダンスの大きな材料、たとえばW、Mo、Ta、Al、Siなどを用いて構成することが好ましい。
また本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態において、基板11には基板貫通孔13を形成しないで、基板11と共振子本体12との間に犠牲層を形成し、この犠牲層をエッチングによって除去するなどの工程で、基板11の一表面11aと共振部20との間に空隙を形成して、共振部20を基板11から空間的に離間させることによって共振部20を音響的に絶縁する構成としてもよい。また、基板11の一表面11aに溝を形成した後、この溝を犠牲層によって埋めて、犠牲層上に共振部20を形成した後に犠牲層を除去するなどの工程で、共振部20の下部の基板11に空隙を形成して共振部20を基板11から空間的に離間させることによって共振子本体12を音響的に絶縁する構成としてもよい。厚み方向Zから見た前記空隙の形状および大きさは、厚み方向Zから見た基板貫通孔13の形状および大きさと同様に形成される。このような構成であっても前述した各実施の形態と同様の効果を達成することができ、また共振部20が空気層によって外囲されるので厚み方向に伝播する音響波が効果的に反射され、基板貫通孔13を形成する構成と同様に高いQ値の薄膜バルク音響波共振子を実現することができる。
また、このような基板11と共振部20との間に形成された空隙を利用して、共振部20を基板11から音響的に絶縁する構成とするとき、図16に示すように共振部20に形成される貫通孔171によって音響インピーダンス変化部25を形成すると、この貫通孔171を、犠牲層を除去するためのエッチングホールの一部として使用することもできる。
図17は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子180を示す平面図であり、図18は図17の切断面線VIIIX−VIIIXから見た断面図である。薄膜バルク音響波共振子180は、図1に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10と類似しており、本実施の形態の構成には、前述の薄膜バルク音響波共振子10における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。前述した実施の形態と同様に、薄膜バルク音響波共振子180は、基板11と共振部20との間に形成された空隙181を利用して、共振部20を基板11から音響的に絶縁する。薄膜バルク音響波共振子180では、前述した実施の形態と同様に、基板11の一表面11aに空隙181となるべき溝を形成した後、この溝を犠牲層によって埋めて、犠牲層上に共振部20を形成した後に犠牲層を除去するなどの工程で、共振部20の下部の基板11に空隙181を形成して共振部20を基板11から空間的に離間させる。犠牲層は、エッチングホールを介してエッチングされる。
前述の実施の形態では、共振部20と基板11とが接触しないように空隙が形成されるが、薄膜バルク音響波共振子180では、基板11の一表面部に共振部20に接触する接触部182が形成される。接触部182の厚み方向Zに垂直な方向のまわりには、空隙181が形成される。接触部182の共振部20に接触する面183は、厚み方向Zから見て、前述した積層膜26の厚み方向Zから見た形状および大きさと同様に形成される。図18に示すように、共振部20のうち接触部182が接触する部分によって、音響インピーダンス変化部25が形成される。接触部182を除いて、基板11のうち空隙181に臨む表面を厚み方向Zから見ると、その外形および大きさは、前述した基板貫通孔13の厚み方向Zから見た外形および大きさと同様に形成される。
薄膜バルク音響波共振子180は、前述した図8に示す薄膜バルク音響波共振子80において、積層膜26を基板11と一体的に形成した構成と同様である。このように共振部20に基板11の一部を接触させて音響インピーダンス変化部25を形成することによって、前述した実施の形態と同様な効果を達成することができ、また本実施の形態においても音響インピーダンス変化部25を空隙181の形成時に同時に形成することができるので、工程が省略される。
図19は、本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子210を示す平面図であり、図20は図19の切断面線XX−XXから見た断面図である。本実施の形態の薄膜バルク音響波共振子210は、図1に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10と類似しており、本実施の形態の構成には、前述の薄膜バルク音響波共振子10における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。
薄膜バルク音響波共振子210と、図1に示す薄膜バルク音響波共振子10とは、共振子本体12に対する基板貫通孔13の相対的な大きさが異なるのみであり、その他の構成は同様である。薄膜バルク音響波共振子210では、厚み方向Zから見て基板貫通孔13は、圧電体薄膜15と、第1電極16と、第2電極17とがZ方向に重なる部分よりも小さく形成され、すなわち第1電極16についても基板貫通孔13を覆って形成され、共振部20のZ方向に垂直な中心軸線と、基板貫通孔13の軸線とは同軸に設けられる。圧電体薄膜15と、第1電極16と、第2電極17とがZ方向に重なる部分は、Z方向の他表面の周縁から所定の範囲W1が基板11に積層される。前記所定の範囲W1は、たとえば5μm程度に選ばれる。薄膜バルク音響波共振子210では、厚み方向Zから見た共振部20の大きさと、厚み方向Zから見た基板貫通孔13の大きさとが等しくなる。
薄膜バルク音響波共振子210では、前述した実施の形態と同様な効果を達成することができ、圧電体薄膜15と、第1電極16と、第2電極17とがZ方向に重なる部分を、基板貫通孔13よりも大きく形成することによって、共振部20の機械的強度が大きくなるという利点を有する。
また本発明のさらに他の実施の形態では、図21に示すように、前述した図21に示す実施の形態において、積層膜26を共振部20の外方まで延在して共振子本体12に形成してもよい。
また本発明のさらに他の実施の形態では、前述した各実施の形態において、第2電極17と基板11との間に、電気絶縁性を有し、共振子本体12を支持する支持膜が形成されてもよく、また第1電極16または第1電極16および積層膜26とに積層して、水分、塵埃などが共振部に付着することを防止する保護膜が形成されてもよく、また薄膜バルク音響波共振子の共振周波数を調整するための付加膜などが形成されてもよい。このような構成としても、前述した各実施の形態と同様の効果を達成することができる。また前述した各実施の形態において基板11は、Z方向から見た形状が正方形や円形であってもよい。
前述した各実施の形態の薄膜バルク音響波共振子では、共振子本体12を形成した後に、周波数調整工程において共振周波数を所望の値に調節してもよい。周波数を調整する方法としては、以下の(a)〜(c)が挙げられる。
(a)第1または第2電極16,17に付加膜を積層して形成する。
(b)第1または第2電極16,17を厚めに形成し、その後厚めに形成した第1または第2電極16,17をエッチングする。
(c)第1または第2電極16,17に付加膜を積層して形成し、この付加膜をエッチングする。
これらの周波数調整工程において、積層膜26を付加膜と同時に成膜したり、厚めに形成した第1または第2電極16,17をエッチングしたり、溝部41を第1または第2電極16,17あるいは付加膜と同時にエッチングしたりすることによって、前述した薄膜バルク音響波共振子10,90,100では積層膜26を形成するために特別な工程を必要とすることなく周波数調整工程において積層膜26を形成することができ、前述した薄膜バルク音響波共振子50では突部51を形成するために特別な工程を必要とすることなく周波数調整工程において突部51を形成することができ、また薄膜バルク音響波共振子40では溝部41を形成するために特別な工程を必要とすることなく周波数調整工程において溝部41を形成することができる。したがって、新たな工程の追加による製造コストの上昇を防止して、スプリアスの無い良好な特性を持つ薄膜バルク音響波共振子を得ることができる。
前述した各実施の形態の薄膜バルク音響波共振子は、ウエハに複数の前記共振子本体12を形成し、ウエハを分断することによって形成される。ウエハとしては、たとえば直径が75mm〜200mm程度の鏡面研磨されたSiウエハが用いられる。Siウエハは扱いやすく、また対応する薄膜形成プロセス装置も多いため、製造が容易となることから、特に好適に用いられる。前記ウエハとしては、Siウエハの他にも、薄膜プロセスと相性のよい、Al、SiO、ガラスなどのウエハまたは平板を使用することができる。
薄膜バルク音響波共振子では、前述したように共振部20の形状を厚み方向から見て矩形状としても、スプリアスを防止することができるので、ウエハ上に複数の共振子本体12を稠密に配置することができ、また1枚のウエハでより多くの薄膜バルク音響波共振子を形成することができるので、生産性を向上させることができる。
図22は、本発明の実施の一形態のフィルタ装置110を示す平面図である。フィルタ装置110は、図1に示される実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10を基板11を共通として複数個接続して形成されるので、本実施の形態の構成には、前述の薄膜バルク音響波共振子10における対応する構成と同一の参照符号を付し、異なる構成についてだけ説明する。
フィルタ装置110は、基板11の厚み方向の一表面11aに、5つの共振子本体12が形成されて構成される。5つの共振子本体12を、それぞれ第1〜第5共振子本体12A,12B,12C,12D,12Eと記載する。また第1〜第5共振子本体12A,12B,12C,12D,12Eの各構成の参照符号に、それぞれ添え字A,B,C,D,Eを付す。第1〜第5共振子本体12A,12B,12C,12D,12Eは、ラダー型フィルタを形成する。第1および第2共振子本体12A,12Bの第2電極17A,17Bは、一体に形成される。また第3共振子本体12Cの第1電極16Cと、第4共振子本体12Dの第1電極16Dとが一体に形成され、これらは第1共振子本体12Aの第1電極16Aに接続される。また第4共振子本体12Dの第2電極17Dと、第5共振子本体12Eの第2電極17Eとが一体に形成され、これらは第2共振子本体12Bの第1電極16Bに接続される。
図23は、フィルタ装置110の等価回路図である。図23に示されるように、フィルタ装置110は、第1および第2共振子本体12A,12Bが並列に接続され、第3〜第5共振子本体12C,12D,12Eが直列に接続され、第1共振子本体12Aが第3および第4共振子本体12C,12Dの接続部に接続され、第2共振子本体12Bが第4および第5共振子本体12D,12Eの接続部に接続されて構成される。
前述したように薄膜バルク音響波共振子10を小型に形成することができるので、共振子本体12をより緻密に配置してフィルタ装置110を、より小型に形成することができる。また共振子本体12がより緻密に配置されるので、各共振子本体12を接続する第1および第2電極16,17の電極抵抗を低減することができ、これによってより低損失のフィルタ装置が実現される。
本発明の他の実施の形態では、前記実施の形態のフィルタ装置110を構成する各薄膜バルク音響波共振子として、前述のいずれかの実施の形態の薄膜バルク音響波共振子を用いてもよい。このような構成であっても同様の効果を達成することができる。
また前述した実施の形態のフィルタ装置110は、ラダー型のフィルタを構成しているが、本発明のさらに他の実施の形態では、前述のいずれかの実施の形態の薄膜バルク音響波共振子を用いて、共振子を電気的に結合させたラティス型フィルタ、ならびに共振子を音響的に結合させたスタックト・クリスタル(Stacked Crystal)型フィルタおよびカッ
プルド・レゾネータ(Coupled Resonator)フィルタなどを構成してもよい。このような
フィルタを前述のいずれかの実施の形態の薄膜バルク音響波共振子を用いて構成することによって、同様の効果を達成することができる。
また本発明の実施の形態の通信装置は、前述したいずれかの実施の形態の薄膜バルク音響波共振子を用いて形成されるフィルタ装置を有する受信回路および前記フィルタ装置を有する送信回路の少なくとも一方を備える。これによって受信回路および送信回路における損失が小さくなったり、不要波の除去性能が上がったりする効果がある。また小型で、信号の干渉および損失が少ないフィルタを用いて受信回路および送信回路を構成できるので、より感度を向上させることができ、小型で信頼性が高い通信装置を提供することができる。
また前述した各実施の形態の薄膜バルク音響波共振子における共振部20、基板11、その他材料、構造および製造プロセスなどについては、以上の例に特に限定されるものではない。前記積層膜26、突部51および溝42,71,72の、大きさ、形状および形成される位置は、スプリアスをどの程度低減する必要があるかによって決定される。また共振部20と外部接続のための端子部(図示せず)とを接続する配線および電極の取り回し、および複数の共振部20を接続してフィルタとする構成および構造についても特に限定されるものではない。また前述した各実施の形態の薄膜バルク音響波共振子をパッケージで覆う構成としてもよい。
第1の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子10の具体例について以下に説明する。ここでは、2GHzで共振する薄膜バルク音響波共振子10を作製した。
まず、高抵抗のSi基板11を準備し、酸を用いて洗浄を行った。次に、スパッタリング法によって形成した厚みが0.15μmのMoから成る金属膜に、フォトリソグラフィおよびフッ硝酸によるウエットエッチングを行って、第2電極17を形成した。次に、スパッタリング法によって、厚みが0.67μmのZnOから成るZnO膜に、フォトリソグラフィおよび希塩酸によるウエットエッチングを行って、圧電体薄膜15を形成した。次に厚みが0.15μmのMoから成る金属膜をスパッタリング法によって形成し、同様にフォトリソグラフィおよびRIE(Reactive Ion Etching)によってパターン形成を行って第1電極16を形成した。共振部20のZ方向から見た平面形状の大きさは、X方向の長さを200μmとし、Y方向の長さを200μmとした。次に、厚みが0.1μmのAuから成る金属膜をスパッタリング法によって成膜し、フォトリソグラフィによって加工して、積層膜26を形成した。積層膜26は、図1に示すように、第1電極16の対角線27に沿って形成され、厚み方向から見た平面形状の大きさは、10μm×200μmとした。最後に、基板11のZ方向の他表面11b側からRIEによって基板貫通孔13を形成した。基板貫通孔13のZ方向に垂直な断面の大きさは、200μm×200μmとした。
このようにして作製した図1に示す薄膜バルク音響波共振子10について、その共振特性をインピーダンスアナライザにて行った。
図24は、前記作製した薄膜バルク音響波共振子10の共振特性を示すグラフである。図24に示すグラフは、所定の周波数の信号が入力されたときの作製した薄膜バルク音響波共振子10のインピーダンスを表わす。図24に示すグラフにおいて、縦軸はインピーダンスを示し、横軸は入力される信号の周波数を示す。入力される信号は電圧信号である。図13に示すように、作製した薄膜バルク音響波共振子10は、スプリアスの無い、良好な特性を持っていることが確認された。また、共振周波数は2.16GHzであり、Q値は200であった。
本発明は、以上の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態を組み合わせてもよく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更を加えることは何ら差し支えない。
本発明の実施の一形態の薄膜バルク音響波共振子10を示す平面図である。 図1の切断面線II−IIから見た断面図である。 薄膜バルク音響波共振子10の共振部20における振動波の進行を説明する平面図である。 本発明の他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子40を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子50を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子60を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子70を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子80を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子90を示す平面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子100を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子120を示す平面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子130を示す平面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子140を示す平面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子150を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子160を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子170を示す断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子180を示す平面図である。 図17の切断面線VIIIX−VIIIXから見た断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子210を示す平面図である。 図19の切断面線XX−XXから見た断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態の薄膜バルク音響波共振子を示す平面図である。 本発明の実施の一形態のフィルタ装置110を示す平面図である。 フィルタ装置110の等価回路図である。 作製した薄膜バルク音響波共振子10の共振特性を示すグラフである。 従来の技術の薄膜バルク音響波共振子1の構成を示す平面図である。 図25の切断面線XV−XVから見た断面図である。 スプリアスが発生したときの薄膜バルク音響波共振子1の共振特性を示すグラフである。
符号の説明
10,40,50,60,70,80,90,100,120,130,140,150,160,170,180,210 バルク音響波共振子
11 基板
15 圧電体薄膜
16 第1電極
17 第2電極
20 共振部
25 音響インピーダンス変化部
110 フィルタ装置

Claims (8)

  1. 圧電体薄膜と、
    前記圧電体薄膜の厚み方向の一表面上に積層される第1電極と
    前記圧電体薄膜の厚み方向の他表面上に積層される第2電極とを含み、
    前記圧電体薄膜と前記第1電極と前記第2電極とによって共振部を形成し、
    前記共振部の一部には、前記厚み方向に垂直な断面における周縁領域の少なくとも一部が、前記共振部の前記断面における周縁領域の法線に対して90°未満の角度で対向し、かつ前記共振部の前記一部を除く残余の部分の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスを有する音響インピーダンス変化部が形成されることを特徴とする薄膜バルク音響波共振子。
  2. 前記音響インピーダンス変化部と、前記共振部のうち前記音響インピーダンス変化部を除く残余の部分とは、厚みが異なることを特徴とする請求項1記載の薄膜バルク音響波共振子。
  3. 前記音響インピーダンス変化部と、前記共振部のうち前記音響インピーダンス変化部を除く残余の部分とは、単位体積当たりの質量が異なることを特徴とする請求項1記載の薄膜バルク音響波共振子。
  4. 前記音響インピーダンス変化部は、前記第1および第2電極の少なくともいずれかに積層して形成される積層膜を含むことを特徴とする請求項1または2記載の薄膜バルク音響波共振子。
  5. 前記積層膜は、金属材料を用いて形成されることを特徴とする請求項2記載の薄膜バルク音響波共振子。
  6. 前記音響インピーダンス変化部は、前記共振部の一部の厚みを、残余の部分の厚みよりも小さくして形成されることを特徴とする請求項1または2記載の薄膜バルク音響波共振子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の薄膜バルク音響波共振子を用いて形成されることを特徴とするフィルタ装置。
  8. 請求項7記載のフィルタ装置と、受信回路および送信回路の少なくとも一方とを備えることを特徴とする通信装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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USRE42009E1 (en) * 2003-09-17 2010-12-28 Panasonic Corporation Piezoelectric resonator having a spurious component control layer, filter using the piezoelectric resonator, and duplexer using the piezoelectric resonator

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