JP2007198884A - 質量分析装置及び質量分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料の構造情報を解析する際に有効なMSnスペクトルを得ることができる質量分析装置及び質量分析方法を提供する。
【解決手段】試料を分離する試料分離手段と、前記試料分離手段により分離された試料をイオン化するイオン化手段と、前記イオン化手段により生成されたイオンの中から特定のイオン種を選択して解離させる選択解離手段と、前記選択解離手段により選択及び解離が行われたイオン種に対して質量分析を行ってマススペクトルデータを取得する手段と、前記取得されたマススペクトルデータの有効性を、前記マススペクトルデータに含まれるピークの数及び強度に基づいて判定する有効性判定手段と、前記有効性判定手段の判定結果に基いて、前記選択解離手段によるイオン種の解離条件を変更する解離条件変更手段とを備えていることを特徴とする質量分析装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、質量分析装置及び質量分析方法に関するものである。
質量分析装置は、試料分子に電荷を付加してイオン化し、生成したイオンを電場又は磁場によりイオンの質量m及び価数zの比である質量対電荷比m/z毎に分離し、その量を検出器にてイオン電流値として計測する機器である。ここで得られた質量電荷比m/z毎のイオン電流値をマススペクトルと呼ぶ。このマススペクトルは測定する試料の構造によって異なるので、マススペクトルのパターンを観察することにより試料の構造に関する情報を得ることができる。
しかしながら、試料中の構成成分が複雑な場合など、マススペクトルから得られる情報が成分の特定に十分なものでない場合もある。そこで、より詳細な試料の構造情報を得るための方法としてMSn分析が用いられる。このMSn分析では、質量分析計に導入されたイオンのうち、特定質量数のイオンを選択した(選択したイオンを前駆イオンと呼ぶ)後、選択したイオンと中性分子との衝突を起こすことにより、イオンの一部の結合を壊す(開裂させる)ことが行われる。これを衝突誘起解離(CID)と呼ぶ。その後、結合の切れたイオンを検出し、マススペクトルデータを得る。イオン取り込み、イオン選択、衝突誘起解離の一連の操作の、その繰返し回数によって、MS2分析やMS3分析などと呼ばれる。
近年のライフサイエンス分野では、タンパク質の構造解析において、質量分析装置を用いてMSn分析を行うことにより、豊富な定性情報を得ることに成功している。特に、タンパク質の同定は、前駆イオンを解離して得られたMS2スペクトルを蛋白質データベースと検索・照合することで行われている。
MSn分析を行うイオンの選択方法の公知技術として、MS2分析を行う際の前駆イオンをMS1分析におけるイオンから選択する際、強度の高いイオンの順に前駆イオンとして選択する方法がある。また、特許文献1には、MS2分析で得られたマススペクトルの情報を解析し、MS3分析もしくはMS2’分析の前駆イオンを選択することとし、得られたMS3スペクトルもしくはMS2’スペクトルとMS2スペクトルを足し合わせることでMS2スペクトルの有効性を向上させることが記載されている。ここで、MS2’分析とはMS2分析で選択した前駆イオンと質量mが等しく、価数zの異なるイオンを選択し分析することを言う。
一方で、マススペクトルに含まれる情報は衝突誘起解離を行う条件によって影響され、有効なマススペクトルを得るためには、前駆イオンを解離する際に設定する条件が重要となる。この解離条件の指定方法については、特許文献2、3に提案されている。特許文献2には、選択したイオンの質量数に応じて予め決められた解離条件を適用し、MSn分析を行う方法が記載されている。特許文献3には、複数の解離条件を予め設定しておき、試料中の1成分につき設定した条件の回数分のMSn分析を行う方法が記載されている。
特開2005-91344号公報 特開2002-313276号公報 特開2000-171442号公報
特許文献1に記載の技術では、前駆イオンの解離条件が適していなかった場合、得られたMS2スペクトルの有効性が低くなる。そのため、MS2スペクトルを解析した結果、次の分析を行う必要があると判断されたが、MS3分析やMS2’分析を行う対象のイオンが存在しないような場合が起こる。MS3分析やMS2’分析を行えないために、MS2スペクトルの有効性を向上できない場合があるという問題点がある。
特許文献2に記載の技術では、予め決められた解離条件を用いているが、全ての試料イオンに対して最適な値ではないため、イオン種によっては有効なマススペクトルが得られない場合があるという問題点がある。また、装置ごとに最適な解離条件の設定が異なる場合もあり、多数の装置で最適値を決定するには多大な時間が必要となってしまうという問題点がある。
特許文献3に記載の技術では、予め設定した複数の解離条件を連続的に測定していくため、最適な解離条件が途中で発見されてもMSn分析を実施してしまうという問題点がある。
本発明は、上記の課題を解決し、試料の構造情報を解析する際に有効なMSnスペクトルを得ることができる質量分析装置及び質量分析方法を提供しようとするものである。
上記課題を解決するため、本発明者は、以下のように構成された質量分析装置及び質量分析方法を提案する。
(1)試料を分離する試料分離手段と、前記試料分離手段により分離された試料をイオン化するイオン化手段と、前記イオン化手段により生成されたイオンの中から特定のイオン種を選択して解離させる選択解離手段と、前記選択解離手段により選択及び解離が行われたイオン種に対して質量分析を行ってマススペクトルデータを取得する手段と、前記取得されたマススペクトルデータの有効性を、前記マススペクトルデータに含まれるピークの数及び強度に基づいて判定する有効性判定手段と、前記有効性判定手段の判定結果に基いて、前記選択解離手段によるイオン種の解離条件を変更する解離条件変更手段とを備えていることを特徴とする質量分析装置。
前記解離条件変更手段は、さらに、各イオン種について質量分析を行った回数に基づいて、当該イオン種の解離条件を変更するかどうかを判断するのが好ましい。
(2)試料を分離するステップと、分離された試料をイオン化するステップと、生成されたイオンの中から特定のイオン種を選択して解離させるステップと、選択及び解離が行われたイオン種に対して質量分析を行ってマススペクトルデータを取得するステップと、取得されたマススペクトルデータの有効性を、前記マススペクトルデータに含まれるピークの数及び強度に基づいて判定するステップと、判定された有効性に基いて、前記選択解離手段によるイオン種の解離条件を変更するステップとを含むことを特徴とする質量分析方法。前記イオン種の解離条件を変更するステップでは、さらに、各イオン種について質量分析を行った回数に基づいて、当該イオン種の解離条件を変更するかどうかを判断するのが好ましい。
以上、説明したように、本発明によれば、イオン種の選択及び解離を行い、得られたマススペクトルデータの有効性を判定し、その判定結果に基づき、前記イオン種の解離条件を変更し、再度分析することで、試料の構造情報を解析する際に有効なMSnスペクトルを得ることが可能な質量分析装置及び質量分析方法が提供される。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の質量分析装置及び質量分析方法を実施するための最良の形態を詳細に説明する。図1〜図10は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
[第1実施形態]
本発明の質量分析装置及び質量分析方法の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る質量分析装置の全体構成を概略的に示す図である。図1において、質量分析装置は、クロマトグラフ装置1、イオン源2、イオン輸送部3、イオントラップ4、イオン加速部5、リフレクトロン6、検出器7、飛行時間型質量分析部8、制御部9、表示部10、データ処理部11、入力部12を備えている。
この質量分析装置において、試料はクロマトグラフ装置1に導入され、クロマトグラフ装置1に備えられたカラム(図示せず)にて成分単位に分離され、イオン源2に送られる。イオン源2においてイオン化された試料は、イオン輸送部3を通じて、イオントラップ4に輸送される。イオントラップ4では、特定の質量数を有するイオンが選択・解離され、イオン輸送部3を通じて、飛行時間型質量分析部8に輸送される。飛行時間型質量分析部8では、各種イオンがその質量対電荷比(m/z)によって分離される。ここで、mはイオンの質量、zはイオンの帯電価数である。分離されたイオンは検出器7によって検出され、その検出シグナルは制御部9を通じてデータ処理部11に入力され、所定のデータ処理が行われて、検出結果データとして表示部10に表示される。
また、操作者は、入力部12に接続されたキーボードやポインティングデバイスを操作して、データ処理部11に各種設定情報を入力したり、表示部10上のユーザインタフェースを操作したりすることができる。例えば、操作者がイオントラップの制御の条件を入力すると、その内容がデータ処理部11から制御部9に伝えられ、制御部9がイオントラップ4の動作をμsec(マイクロ秒)オーダーの高速で制御する。
本実施形態の質量分析装置は、四重極イオントラップ−飛行時間型の質量分析装置であり、MSn分析を行う際のイオンの選択・解離にイオントラップ4を使用する。イオントラップ4はリング電極と一対のエンドキャップ電極から構成されている。リング電極に高周波電圧を印加することで、リング電極と一対のエンドキャップ電極に囲まれた空間に、三次元四重極電界を形成する。イオン源2でイオン化された試料は、イオン輸送部3を通じて、前記空間内に導かれ、形成された三次元四重極電界に一度保持される。その後、MS1データを取得する場合には、さらにイオン輸送部3を通じて飛行時間型質量分析部8にイオンを送り、飛行時間型質量分析部8においてイオンの質量分離を行い、検出器7によって検出する。検出信号は制御部9を通じてデータ処理部11に入力され、質量対電荷比(m/z)を横軸としたマススペクトルデータとして記録される。ここで、飛行時間型質量分析部8は、イオン加速部5によって同時に加速したイオンが、質量対電荷比(m/z)に応じて検出器に到達するまでの時間差を正確に計測してマススペクトルを得る質量分析装置である。
また、MSnデータを取得する場合には、特定質量数のイオンをイオントラップ4に残し、他のイオンを排除した状態(この状態は、エンドキャップ電極に排除したいイオンが共鳴状態となるような高周波電圧を印加することによって容易に作ることができる)で、このイオンの運動に共鳴する周波数の電圧(又は異なる周波数の電圧)を加えることによって、このイオンにエネルギーを与えて衝突誘起解離(Collision Induced Dissociation)反応を起こさせ、その結果解離したイオンを飛行時間型質量分析部8に輸送する。飛行時間型質量分析部8においてこのイオンを質量分離し、検出器7で検出することで、上記MS1データと同様にして、MSnのマススペクトルデータが得られる。
以上の説明では、前駆イオンの解離方法として衝突誘起解離法を採用しているが、他の前駆イオンの解離方法としては、低エネルギーの電子を照射し、前駆イオンに多量の低エネルギー電子を捕獲させることにより、前駆イオンを解離させる電子捕獲解離(Electron Capture Dissociation)法を用いてもよい。
図2は、従来の質量分析装置を用いてタンパク質試料のMSn測定を行う際の処理の流れを示すフロー図である。図2において、タンパク質試料は、酵素消化などにより断片化されたペプチド試料となり、クロマトグラフ装置1によって分離された後、イオン源2によってイオン化される。その後、質量分析(MS1)を実施し、検出されたイオンの中からMS2分析を行う前駆イオンを選択する。選択された前駆イオンを解離した後、質量分析(MS2)を実施し、MS2スペクトルデータを取得する。取得されたMS2スペクトルデータを解析し、次の分析内容(MS3、MS2’、MS1)を決定している。
これに対して、図3は、本実施形態の質量分析装置を用いてタンパク質試料のMSn測定を行う際の処理の流れを示すフロー図である。図2に示す従来の質量分析装置による処理とは異なり、ある条件で取得されたMS2スペクトルデータの有効性を判定し、その結果に基づいてイオントラップ4の解離条件を変更し、再度同じ前駆イオンを選択してMS2分析することを特徴としている。取得されたMS2スペクトルデータの有効性の判断と解離条件の変更は、図1の質量分析装置における制御部9によって実行される。また、制御部9はMS2スペクトルの有効性の判断結果及びその時の解離条件を記録する。
図4は、本実施形態の質量分析装置において行うMS2スペクトルデータの有効性判定の詳細を示すフロー図である。図3に示すように、試料をイオン化し、質量分析(MS1)を実施し、その結果から、イオントラップ4にて前駆イオンを選択し、解離させる。解離したイオンの質量分析(MS2)を実施する。得られたMS2スペクトルデータに対して、制御部9にてピーク判定を実施する。ステップS1において、制御部9はピーク本数が0であるか否かを判断する。ピーク本数が0である場合、イオントラップ4に設定された解離条件が強く、前駆イオンがイオントラップ4内の電極空間より排出されてしまっているため、解離条件を弱める必要があると考えられる。そこで、制御部9にて解離条件を弱めるよう設定し、再度、同じ前駆イオンを選択・解離させ、質量分析(MS2+)を実施する。ここで、解離条件を変更し、再度同じ前駆イオンを選択・解離させ、質量分析することをMS2+と呼ぶ。
解離条件には、エンドキャップ電極に印加する高周波電圧の振幅値と、その印加時間があり、振幅値を大きく、印加時間を長くするほど強くなる。解離条件を変更する際、弱くする場合は、まず印加時間を短く設定する。印加時間はイオントラップ4の動作時間に影響するため、短縮することで単位時間あたりの操作回数が増え、感度を向上させることができる。印加時間の変更のみで改善されない場合は、振幅値を小さくする。解離条件を強くする場合は、先に振幅値を大きくし、その後、印加時間を長くする。これは前述の通り印加時間が感度に影響するためである。1回の印加時間及び振幅値の変更量は、元の設定を基準にn倍もしくは1/n倍(nはn≧1の整数)のように設定する。また、変更量は元の設定を基準にn%増加、n%減少のようにしても良い。また更に、ユーザが数式として入力可能であることが望ましい。
ステップS1において、ピーク本数が0より多い場合はステップS2へ進む。ステップS2では、制御部9にてピーク本数がしきい値以上であるか否か判断する。そして、しきい値以上である場合、得られたMS2スペクトルデータが有効であるとし、質量分析(MS1)を実施し、図3に示すフローに従って動作する。ここで、ピーク本数のしきい値は予め決められた値が設定されているが、ユーザが指定した値であってもよい。
ステップS2において、ピーク本数がしきい値より少ない場合はステップS3へ進む。ステップS3では、制御部9にてピークの強度がしきい値以上のピークが存在するか否か判断する。しきい値以上の強度のピークが存在しない場合、イオントラップ4に設定された解離条件が強く、多くの前駆イオンが解離する前にイオントラップ4の電極空間より排出されてしまっているため、解離条件を弱める必要がある。そのため、制御部9にて解離条件を弱めるよう設定し、再度、同じ前駆イオンを選択・解離させ、質量分析(MS2+)を実施する。ステップS3で用いるピークの強度のしきい値は予め決められた値が設定されているが、ユーザが指定可能であってもよい。
ステップS3において、ピークの強度がしきい値以上のピークが存在する場合はステップS4へ進む。ステップS4では、制御部9にて最大強度のピークが前駆イオンであるか否か判断する。最大強度のピークが前駆イオンである場合、イオントラップ4に設定された解離条件が弱く、前駆イオンが解離していないため、解離条件を強くする必要がある。そのため、制御部9にて解離条件を強くするよう設定し、再度同じ前駆イオンを選択・解離させ、質量分析(MS2+)を実施する。
ステップS4において、最大強度のピークが前駆イオン以外の場合はステップS5へ進む。ステップS5では、制御部9にて最大強度のピークが脱離ピークであるか否か判断する。ここで、脱離ピークとはアミノ酸にリン酸等の修飾構造が付加している可能性がある場合には、修飾構造が脱離し、前駆イオンから修飾構造分の質量数が減少した値で検出されたものである。最大強度のピークが脱離ピークである場合、脱離ピークを選択・解離させ、質量分析(MS3)することでより多くの構造情報を得ることが出来る。ここで、脱離ピークを判定する時に用いる修飾構造は予め決められた情報が設定されているが、ユーザが指定することとしてもよい。最大強度のピークが脱離ピークではない場合、質量分析(MS1)を実施し、図3に示すフローに従って動作する。
以上のようにして、解離条件の最適化を行うことができる。制御部9はMS2スペクトルデータの有効性判定で得られた結果、判断時の解離条件及び変更後の解離条件を記録する。さらに、制御部9に記録させる情報に前駆イオンの出現した時間、信号強度、質量m、価数zを含めると良い。再度同一試料を測定した際に、記録された情報に基づいた解離条件を用いることで、同一の前駆イオンを選択した際に無駄な測定を行うことなく有効なMS2スペクトルを得ることが可能となる。また、試料ごとに記録を分けて管理することで常に最適な解離条件を使用することが可能となる。
図5は、従来の質量分析装置を用いてMSn分析を行った結果の例を示す図である。図5に示すように、従来、MS2スペクトルの情報が有効でないと判断された場合、価数の異なる前駆イオンを選択・解離させMS2’スペクトルを得ることとしていたが、イオントラップに設定されている解離条件によっては、得られたMS2’スペクトルの情報も有効ではない場合があった。また、MS2スペクトルの情報が有効でないと判断された場合に、MS2’分析やMS3分析の対象となる前駆イオンが存在しない場合もあった。
これに対して、図6に示すように、本実施形態の質量分析装置を用いてMSn分析を行った場合には、MS2スペクトルの情報が有効でないと判断された場合には、イオントラップ4に設定する解離条件を制御部9にて適切に変更し、再度、同じ前駆イオンを選択・解離させMS2+スペクトルを得ることにより、有効な情報を含むマススペクトルを得ることが可能となっている。尚、上記では、MS2スペクトルの有効性を判断し、再度MS2+分析を実施する方法について説明したが、MS2分析のみならずMS3分析以上の分析にも適用可能である。したがって、本実施形態の質量分析装置では、MSnスペクトルに含まれる情報を解析し、選択イオンの解離条件を変更することで、試料の構造情報を解析する際に有効なMSnスペクトルを得ることが可能である。
[第2実施形態]
本発明の質量分析装置及び質量分析方法の第2実施形態について説明する。図7は、本実施形態においてMSn測定を行う際の処理の流れを示すフロー図である。本実施形態におけるMSn測定は、MS2マススペクトルの有効性判定の後に実施回数による判断を追加してある点において、図3に示す第1実施形態におけるMSn測定と異なっている。この実施回数による判断は制御部9で実施し、実施回数が設定回数より多い場合、質量分析(MS1)を実施し、その結果から、イオントラップ4にて前駆イオンを選択し、解離させる。解離したイオンの質量分析(MS2)を実施する。ここで、前駆イオンを選択する際、前述の実施回数が設定回数を満たしたイオン以外を優先して選択する。この実施回数による判断を実施することで、多くの試料イオンが連続して検出された場合にも、前駆イオンを順次切り替えて選択することができる。第2実施形態においても、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
図8は、マススペクトルの判定条件を設定する画面の表示例である。判定条件を決めるモードとして”Auto“モードと”Custom”モードの二つがある。”Auto“モードでは、図7に示す制御部9による判断を予め設定された条件で動作させる。”Custom”モードでは、図8に示すように、”繰り返し回数”、“ピーク本数”、“イオン強度のしきい値”、“脱離ピークの指定”をユーザが入力することができる。
[第3実施形態]
本発明の質量分析装置及び質量分析方法の第3実施形態について説明する。図9は、本実施形態に係る質量分析装置の全体構成を概略的に示す図である。図9において、本実施形態の質量分析装置は、イオンの選択・解離手段としてイオントラップ4の代わりにリニアトラップ21を採用している点で第1実施形態のものとは異なっている。イオントラップ4と比較して、リニアトラップ21は同等の機能を有するのみならず、一度に電極空間に保持できるイオン量が多いので、より高感度な分析を行うことが可能である。本実施形態の質量分析装置では、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
[第4実施形態]
本発明の質量分析装置及び質量分析方法の第4実施形態について説明する。図10は、本実施形態に係る質量分析装置の全体構成を概略的に示す図である。図10において、本実施形態の質量分析装置は、イオンの選択・解離手段及び質量分析部にイオントラップ4のみを採用している点で第1実施形態のものとは異なっている。上記したように、イオントラップ4はリング電極と一対のエンドキャップ電極から構成されている。リング電極に高周波電圧を印加することで、リング電極と一対のエンドキャップ電極に囲まれた空間に、三次元四重極電界を形成する。イオン源2でイオン化された試料は、イオン輸送部3を通じて、前記空間内に導かれ、形成された三次元四重極電界に一度保持される。その後、マススペクトルデータを取得する場合には、リング電極に印加された高周波電圧を走査することで、低い質量数のイオンから順に検出器7に対して放出されて検出される。また、本実施形態の質量分析装置では、第1実施形態におけるイオントラップ4と同様に、イオンの選択・解離を実施し、質量分析(MS2)を実施することもできる。飛行時間型質量分析計を用いる場合に比較して、イオントラップ4は質量分析範囲や質量分解能、質量数精度は劣るが、装置を小型化できるという利点がある。本実施形態の質量分析装置では、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
以上、本発明の質量分析装置及び質量分析方法について、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
第1実施形態に係る質量分析装置の全体構成を概略的に示す図である。 従来の質量分析装置を用いてタンパク質試料のMSn測定を行う際の処理の流れを示すフロー図である。 第1実施形態の質量分析装置を用いてタンパク質試料のMSn測定を行う際の処理の流れを示すフロー図である。 第1実施形態の質量分析装置において行うMS2スペクトルデータの有効性判定の詳細を示すフロー図である。 従来の質量分析装置を用いてMSn分析を行った結果の例を示す図である。 第1実施形態の質量分析装置を用いてMSn分析を行った結果の例を示す図である。 第2実施形態の質量分析装置を用いてタンパク質試料のMSn測定を行う際の処理の流れを示すフロー図である。 第2実施形態の質量分析装置においてマススペクトルの判定条件を設定する画面の表示例である。 第3実施形態に係る質量分析装置の全体構成を概略的に示す図である。 第4実施形態に係る質量分析装置の全体構成を概略的に示す図である。
符号の説明
1・・・クロマトグラフ装置、2・・・イオン源、3・・・イオン輸送部、4・・・イオントラップ、5・・・イオン加速部、6・・・リフレクトロン、7・・・検出器、8・・・飛行時間型質量分析部、9・・・制御部、10・・・表示部、11・・・データ処理部、12・・・入力部、21・・・リニアトラップ

Claims (4)

  1. 試料を分離する試料分離手段と、
    前記試料分離手段により分離された試料をイオン化するイオン化手段と、
    前記イオン化手段により生成されたイオンの中から特定のイオン種を選択して解離させる選択解離手段と、
    前記選択解離手段により選択及び解離が行われたイオン種に対して質量分析を行ってマススペクトルデータを取得する手段と、
    前記取得されたマススペクトルデータの有効性を、前記マススペクトルデータに含まれるピークの数及び強度に基づいて判定する有効性判定手段と、
    前記有効性判定手段の判定結果に基いて、前記選択解離手段によるイオン種の解離条件を変更する解離条件変更手段とを備えていることを特徴とする質量分析装置。
  2. 前記解離条件変更手段は、さらに、各イオン種について質量分析を行った回数に基づいて、当該イオン種の解離条件を変更するかどうかを判断することを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
  3. 試料を分離するステップと、
    分離された試料をイオン化するステップと、
    生成されたイオンの中から特定のイオン種を選択して解離させるステップと、
    選択及び解離が行われたイオン種に対して質量分析を行ってマススペクトルデータを取得するステップと、
    取得されたマススペクトルデータの有効性を、前記マススペクトルデータに含まれるピークの数及び強度に基づいて判定するステップと、
    判定された有効性に基いて、前記選択解離手段によるイオン種の解離条件を変更するステップとを含むことを特徴とする質量分析方法。
  4. 前記イオン種の解離条件を変更するステップでは、さらに、各イオン種について質量分析を行った回数に基づいて、当該イオン種の解離条件を変更するかどうかを判断することを特徴とする請求項3に記載の質量分析方法。
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