JP2007198530A - 保持器付自動調心ころ軸受及びその製造方法 - Google Patents

保持器付自動調心ころ軸受及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】球面ころの保持器において、柱部の円周方向両側面とリム部の軸方向側面との連続部に加わる応力を緩和して、この連続部に亀裂等の損傷が発生しにくくし、保持器の耐久性確保を図る。
【解決手段】各ポケット9、9の隅部で上記各柱部8a、8aの円周方向両側面と上記リム部7aの軸方向側面とを、断面円弧状の凹曲面である逃げ凹部12、12により連続させる。これら各逃げ凹部12、12の曲率半径R12を、1mm以上で、且つ、各球面ころの最大直径D3 の0.02〜0.09倍に規制する。更に、上記リム部7aの軸方向片側に設けた柱部8a、8aと、軸方向他側に設けた柱部8a、8aとで、円周方向に関する位相を半ピッチ分ずらせる。
【選択図】図5

Description

この発明に係る保持器付自動調心ころ軸受は、例えばハウジングの内側に回転軸を支承する為に、製紙機械、金属の圧延機等、各種産業機械装置のロール等の回転支持部に組み込んだ状態で使用する。
例えば重量の嵩む軸をハウジングの内側に回転自在に支承する為に従来から、例えば特許文献1、2に記載された様な保持器付自動調心ころ軸受が使用されている。図8〜11は、このうちの特許文献1に記載された、従来構造の第1例を示している。この保持器付自動調心ころ軸受は、互いに同心に組み合わされた外輪1と内輪2との間に、複数の球面ころ3、3を転動自在に配列して成る。そして、保持器4により、これら複数の球面ころ3、3の姿勢並びに位置を規制している。
上記外輪1の内周面には、単一の中心を有する球状凹面である外輪軌道5を形成している。又、内輪2の外周面の幅方向(図9の左右方向)両側には、それぞれが上記外輪軌道5と対向する、1対の内輪軌道6、6を形成している。又、上記複数の球面ころ3、3は、その最大径部が各球面ころ3、3の軸方向長さの中央部にある対称形(ビヤ樽形)で、上記外輪軌道5と上記1対の内輪軌道6、6との間に、2列に分けて、両列毎に複数個ずつ、転動自在に設けている。又、上記各球面ころ3、3の転動面の母線形状の曲率半径は、上記外輪軌道5及び上記内輪軌道6、6の母線形状の曲率半径よりも僅かに小さい。
上記保持器4は、1個のリム部7と複数の柱部8、8とを備える。このうちのリム部7は、円環状で、上記両列の球面ころ3、3同士の間に配置されている。又、上記各柱部8、8は、それぞれの基端部を上記リム部7の軸方向両側面の円周方向等間隔の複数個所に結合した状態で、上記外輪1及び内輪2の軸方向に配置されている。上記各柱部8、8の先端部はそれぞれ、他の部分と結合されない自由端としている。そして、円周方向に隣り合う柱部8、8同士の間部分を、上記各球面ころ3、3を転動自在に保持する為のポケット9、9としている。又、上記リム部7の外周面を、上記外輪1の中間部内周面に近接対向させて、上記保持器4の径方向の位置決めを(外輪案内により)図っている。更に、上記内輪2の両端部外周面に、それぞれ外向フランジ状の鍔部10、10を形成して、上記各球面ころ3、3が、上記外輪1の内周面と上記内輪2の外周面との間の空間から軸方向外方に抜け出ない様にしている。
上述の様に構成される保持器付自動調心ころ軸受により、例えばハウジングの内側に回転軸を支承する場合、外輪1をハウジングに内嵌固定し、内輪2を回転軸に外嵌固定する。回転軸と共に内輪2が回転する場合には、複数の球面ころ3、3が転動して、この回転を許容する。ハウジングの軸心と回転軸の軸心とが不一致の場合、外輪1の内側で内輪2が調心する(外輪1の中心軸に対し内輪2の中心軸を傾斜させる)事で、この不一致を補償する。この場合に於いて、外輪軌道5は単一球面状に形成されている為、上記複数の球面ころ3、3の転動は、不一致補償後に於いても、円滑に行なわれる。
上述の様な従来構造の第1例の場合、両列の球面ころ3、3を保持する為の保持器4を一体としている。これに対して、特許文献2には、図12に示す様に、両列の球面ころ3、3を保持する為の保持器4a、4aを互いに独立させた構造が記載されている。この従来構造の第2例の場合も、外輪1の内周面と内輪2の外周面との間の空間から各球面ころ3、3が軸方向外方に抜け出ない様にする為に、この内輪2の両端部外周面に鍔部10、10を形成している。
上述の様な従来構造の第1〜2例の場合、厳しい使用条件下で上記保持器4、4aの耐久性を、必ずしも十分に確保できない可能性があった。この理由は、上記リム部7の軸方向側面と前記各柱部8、8の円周方向両側面との連続部に加わる応力を、必ずしも十分に低く抑えられない為である。即ち、保持器付自動調心ころ軸受の運転時には、上記各球面ころ3、3が負荷圏と非負荷圏とを交互に通過する為、これら各球面ころ3、3の公転速度は、1公転する間に変化(速くなったり遅くなったり)する。この結果、これら各球面ころ3、3の転動面は、上記各柱部8、8の円周方向両側面に繰り返し衝突し、これら各柱部8、8には、これら各柱部8、8を円周方向両方向に倒れさせようとする力が交互に加わる。この結果、これら各柱部8、8の円周方向両側面と上記リム部7の軸方向側面との連続部に、繰り返し異なる方向の応力が(引っ張り応力と圧縮応力とが交互に)加わる。この様にして加わる応力により、上記各柱部8、8の円周方向両側面と上記リム部7の軸方向側面との連続部に、亀裂等の損傷が発生し易くなり、上記保持器4、4aの耐久性確保が難しくなる。
又、上述した従来構造の場合には、上記保持器4、4aのポケット9、9内での上記各球面ころ3、3の姿勢が必ずしも安定しない。この理由は、これら各球面ころ3、3の転動面が凸曲面であるのに対して、上記各ポケット9、9の円周方向両側面を構成する前記各柱部8、8の円周方向両側面の、上記保持器4、4aの軸方向に関する断面形状が、この軸方向と平行な直線状である為である。この為、上記各ポケット9、9内に保持された上記各球面ころ3、3は、最も径の大きくなった軸方向中間部外周面で上記各柱部8、8の円周方向両側面に当接し、これら円周方向両側面と上記各球面ころ3、3の外周面の軸方向両端寄り部分に隙間が存在する状態となる。従って、これら各球面ころ3、3は、軸方向中間部の当接部を中心として、上記隙間分だけ、多少なりとも揺動変位可能になる。
そして、上記各球面ころ3、3が揺動変位した場合には、これら各球面ころ3、3の自転軸の方向が、これら各球面ころ3、3の公転方向に直角方向に対し傾斜角度を持つ、所謂スキューが発生した状態となる。この様なスキューが発生した状態では、上記各球面ころ3、3の転動面と前記外輪軌道5及び前記内輪軌道6、6との各転がり接触部で大きな滑り摩擦が生じる。この結果、前記外輪1と前記内輪2との相対回転に要する抵抗(自動調心ころ軸受の動トルク)が大きくなるだけでなく、上記各転がり接触部で発生する振動が大きくなる。この様な動トルクの増大と振動の発生とは、上記自動調心ころ軸受の運転速度が低い場合にはあまり問題とはならない。但し、この運転速度を速くする為には、上記動トルク及び振動を抑える為、上記各球面ころ3、3の姿勢を安定させ、上記スキューの発生を抑える必要がある。
特開平9−317760号公報 実用新案登録第2524932号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、各柱部8、8の円周方向両側面とリム部7の軸方向側面との連続部に加わる応力を緩和する事により、この連続部に亀裂等の損傷が発生しにくくして、保持器4、4aの耐久性確保を図る事を第一の目的としている。
更に、第二の目的として(必要に応じて)、各球面ころの姿勢を安定させてこれら各球面ころがスキューする事を防止し、高速運転が可能な保持器付自動調心ころ軸受の構造、及び、この自動調心ころ軸受に組み込む保持器を能率良く造る為の製造方法を実現する事を意図している。
本発明の対象となる保持器付自動調心ころ軸受は、前述した従来から知られている保持器付自動調心ころ軸受と同様に、外輪と、内輪と、複数個の球面ころと、保持器とから成る。
このうちの外輪は、球状凹面である外輪軌道を、その内周面に形成している。
又、上記内輪は、上記外輪軌道と対向する1対の内輪軌道を、その外周面に形成している。
又、上記各球面ころは、上記外輪軌道と上記両内輪軌道との間に、2列に分けて、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられている。
又、上記保持器は、上記各球面ころを転動自在に保持する複数のポケットを備えている。この為にこの保持器は、上記両列の球面ころ同士の間に配置された円環状のリム部と、それぞれの基端部をこのリム部の軸方向側面の円周方向複数個所に結合した状態で上記各球面ころの軸方向に配置され、それぞれの先端部を他の部分に結合しない自由端とした複数の柱部とを備える。そして、円周方向に隣り合う柱部同士の間部分を上記各ポケットとしている。
特に、請求項1に記載した保持器付自動調心ころ軸受に於いては、上記各ポケットの隅部で上記各柱部の円周方向両側面とリム部の軸方向側面とを、曲率半径が、1mm以上で、且つ、上記各球面ころの最大直径の0.02〜0.09倍である、断面円弧状の凹曲面により連続させている。
上述の様な請求項1に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項2に記載した様に、上記保持器として、上記リム部の軸方向両側面にそれぞれ複数の柱部を設けたものを使用する。そして、軸方向片側の柱部と軸方向他側の柱部とで、円周方向に関する位相を、半ピッチ分ずらせる。
又、本発明を実施する場合に、例えば請求項3に記載した様に、上記各柱部の円周方向両側面を、潤滑油を送り込み可能な(径方向に関する厚さが、例えば0.1〜0.5mm程度、或いは各球面ころの最大径の0.4〜2%程度の)ポケット隙間を介して上記各球面ころの転動面と対向する、凹曲面とする。この凹曲面の断面形状を、上記保持器(リム部)の軸方向及び径方向で表わすと、軸方向に関する断面形状の曲率半径は、上記各球面ころの転動面の軸方向に関する曲率半径以上である。又、径方向に関する断面形状の曲率半径は、上記転動面の円周方向に関する曲率半径よりも、上記ポケット隙間に見合う分(例えば0.1〜0.5mm程度、或いは各球面ころの最大径の0.4〜2%程度)だけ大きい。更に、上記各柱部の長さを、上記各球面ころの軸方向長さの1/2よりも大きくすると共に、円周方向に隣り合う柱部の先端部円周方向側面同士の間隔を、上記各球面ころの最大直径よりも小さくする。
又、請求項4に記載した自動調心ころ軸受用保持器の製造方法は、上述の様な保持器付自動調心ころ軸受に組み込む保持器の製造方法である。即ち、円環状のリム部と、それぞれの基端部をこのリム部の軸方向側面の円周方向複数個所に結合すると共にそれぞれの先端部を他の部分に結合しない自由端とし、円周方向両側面同士の間隔を各球面ころの外径よりも小さくした複数の素柱部の円周方向両側面を、加工する方法である。この為に、円周方向に隣り合う素柱部同士の間部分に、外周面の母線形状が造るべき柱部の円周方向両側面の軸方向に関する断面形状と一致し、断面円弧状の凸曲面部分を先端部に設けた削り工具を挿入する。この削り工具の外周面は、例えば請求項5に記載した様に、軸方向中央部の外径が両端部の外径よりも大きくなった凸曲面とする。そして、この凸曲面の断面形状のうち、軸方向に関する断面形状の曲率半径は、上記各球面ころの転動面の軸方向に関する曲率半径以上とする。又、円周方向に関する断面形状の曲率半径は、上記転動面の円周方向に関する曲率半径よりも小さくする。更に、上記凸曲面部分の曲率半径は、1mm以上で、且つ、上記各球面ころの最大直径の0.02〜0.09倍である。この様な削り工具を、上記円周方向に隣り合う素柱部同士の間部分に、中心軸と加工すべきポケットとなるベき部分の中心軸とを平行にして挿入した状態で、自転させつつ、このポケットとなるべき部分の中心軸回りで公転させる。そして、上記各素柱部の円周方向両側面を削る。
上述の様に構成する本発明の保持器付自動調心ころ軸受の場合には、保持器を構成するリム部と各柱部との連続部に応力が集中する事を防止して、この保持器の耐久性向上を図れる。この理由は、本発明の保持器付自動調心ころ軸受に組み込む保持器の場合には、各ポケットの隅部で上記各柱部の円周方向両側面とリム部の軸方向側面とを、曲率半径が、1mm以上で、且つ、上記各球面ころの最大直径の0.02〜0.09倍である、断面円弧状の凹曲面により連続させている為である。即ち、保持器付自動調心ころ軸受の運転時には、各球面ころの公転速度の変動に伴って、これら各球面ころの転動面が上記各柱部の円周方向両側面に繰り返し衝突する。そして、これら各柱部にこれら各柱部を円周方向両方向に倒れさせようとする力が交互に加わって、これら各柱部の円周方向両側面と上記リム部の軸方向側面との連続部に繰り返し異なる方向の応力が加わる。本発明の保持器付自動調心ころ軸受に組み込む保持器の場合には、上記凹曲面の存在に基づき、上記各柱部の円周方向両側面と上記リム部の軸方向側面との連続部に加わる応力を緩和して、この連続部に亀裂等の損傷が発生しにくくできて、上記保持器の耐久性確保を図れる。
尚、上記凹曲面の曲率半径を、1mm以上で、且つ、上記各球面ころの最大直径の0.02〜0.09倍とする理由は、次の通りである。先ず、上記曲率半径が1mm未満の場合には、上記凹曲面を加工する為の削り工具の製作が難しく、仮に製作できても、この削り工具の耐久性確保を図れず、この削り工具により造られる保持器の加工コストが徒に嵩む。又、上記凹曲面の曲率半径を、上記各球面ころの最大直径の0.02〜0.09倍とする理由は、この曲率半径がこの範囲を外れると(0.02未満の場合でも、0.09を越えた場合でも)、上記凹曲面部分に発生する応力が、上記曲率半径が上記範囲内である場合に比べて大きくなる為である。即ち、この曲率半径が上記各球面ころの最大直径の0.02倍未満である場合には、上記各柱部を円周方向に倒そうとする方向の力が加わった場合に、上記凹曲面部分に大きな応力が生じる。これに対して、上記曲率半径が上記各球面ころの最大直径の0.09倍を越える程大きくなると、上記凹曲面部の存在に伴う、上記各柱部の基部の薄肉化が無視できない程著しくなり、やはりこれら各柱部を円周方向に倒そうとする方向の力が加わった場合に、これら各柱部の基部(上記凹曲面部分)に大きな応力が生じる。
又、請求項2に記載した様に、保持器として、リム部の軸方向両側面にそれぞれ複数の柱部を設け、軸方向片側の柱部と軸方向他側の柱部とで、円周方向に関する位相が、半ピッチ分ずれた(軸方向両側同士の間で、各柱部の位相が異なる)ものを使用すれば、各球面ころの公転速度の変動に伴って上記リム部と上記各柱部との連続部で生じる応力を、このリム部の円周方向に分散させる事ができる。言い換えれば、このリム部のうちの特定の部分に集中して応力が加わる事を防止し、上記保持器の耐久性向上を図れる。尚、この様な請求項2に記載した構造は、上記各柱部の円周方向両側面と上記リム部の軸方向側面とを連続させる凹曲面と別個に(特定の曲率半径を有する凹曲面を持たない構造で)実施しても、或る程度の耐久性向上効果を得られる。
更に、請求項3に記載した保持器付自動調心ころ軸受の場合には、各ポケットの円周方向両側を仕切る、各柱部の円周方向両側面が、各球面ころの転動面よりも僅かに(ポケット隙間に見合う分だけ)大きな曲率半径を有する凹曲面である為、上記各ポケット内に保持された上記各球面ころの姿勢が安定する。この為、これら各球面ころに著しいスキューが発生する事がなく、これら各球面ころの転動面と、外輪軌道及び内輪軌道との転がり接触部で著しい滑り摩擦が発生する事を防止できる。この結果、外輪と内輪との相対回転に要する抵抗、並びに、運転時に発生する振動を抑える事ができて、高速運転が可能になる。
又、請求項3に記載した保持器付自動調心ころ軸受の場合には、上記各柱部の長さが上記各球面ころの軸方向長さの1/2よりも大きく、円周方向に隣り合う柱部の先端部円周方向側面同士の間隔が、上記各球面ころの最大直径よりも小さい為、各ポケットを構成する、円周方向に隣り合う各柱部の先端部が各球面ころを抱き込んで、これら各ポケットからこれら各球面ころが、外輪及び内輪の軸方向に抜け出る事を防止する。従って、これら外輪の内周面と内輪の外周面との間からの上記各球面ころの抜け出し防止の為に、この内輪の軸方向両端部外周面に鍔部を形成したり、各柱部の先端部同士の間に連結部を設ける必要がなくなる。この為、上記外輪の内周面と上記内輪の外周面との間の空間の開口端部の面積を広くできる。そして、上記各球面ころの転動面と外輪軌道及び内輪軌道との転がり接触部の潤滑を飛沫潤滑により行なう場合に、上記空間内に入り込む潤滑剤(潤滑油)の流量を多くして、高速運転を行なう面から有利になる。又、上記内輪の軸方向両端部外周面に鍔部を形成する必要がなく、この内輪の外径を、この内輪の軸方向両端部で最も小さくできるので、この内輪の外周面と外輪の内周面との間の空間に、保持器並びに複数の球面ころを組み付ける作業を容易に行なえる。更に、上記内輪の加工作業が容易になって、この内輪を含む、保持器付自動調心ころ軸受のコストを抑えられる。
又、請求項4、5に記載した、本発明の自動調心ころ軸受用保持器の製造方法によれば、上記各柱部の円周方向両側面に、上述の様な凹曲面を、比較的低コストで実施できる工業的手法により、高精度で形成できる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、保持器の径方向位置を、各柱部の円周方向両側面と各球面ころの転動面との係合に基づいて規制する(転動体案内とする)。
この様に構成すれば、上記保持器の径方向位置を規制する為の係合部の摩擦速度を低く抑えて、動トルク並びに運転に伴う発熱を低く抑えられる。
図1〜5は、請求項1〜5に対応する、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の保持器付自動調心ころ軸受は、前述の図8〜11に示した従来構造の第1例と同様に、外輪1と、内輪2aと、複数個の球面ころ3、3と、一体型の保持器4bとから成る。
このうちの外輪1は、単一の中心を有する球状凹面である外輪軌道5を、その内周面に形成している。
又、上記内輪2aは、上記外輪軌道5と対向する1対の内輪軌道6、6を、その外周面に形成している。この内輪2aに就いては、上記従来構造の第1例の場合とは異なり、両端部外周面に鍔部10、10(図9参照)を設けてはいない。
又、上記各球面ころ3、3は、上記外輪軌道5と上記両内輪軌道6、6との間に、2列に分けて、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられている。
又、上記保持器4bは、銅或いは真鍮等の銅系合金、又は、ステンレス鋼等の鉄系合金製の素材に切削加工乃至研削加工を施す事により一体に造られたもので、上記各球面ころ3、3を転動自在に保持する為の複数のポケット9、9を備えている。この為に上記保持器4bは、上記両列の球面ころ3、3同士の間に配置された円環状のリム部7aと、複数の柱部8a、8aとを備える。これら各柱部8a、8aは、それぞれの基端部を上記リム部7aの軸方向両側面の円周方向等間隔複数個所に結合した(一体に連続させた)状態で、上記外輪1及び内輪2aの軸方向に配置されている。上記リム部7aの軸方向片側に設けた各柱部8a、8aと軸方向他側に設けた各柱部8a、8aとで、このリム部7aの円周方向に関する位相を、図3、5に示す様に、半ピッチ分ずらせている。又、これら各柱部8a、8aは、それぞれの先端部を、他の部分に結合しない自由端としている。即ち、これら各柱部8a、8aの先端部には、これら各柱部8a、8aの先端部同士を連結する連結部は設けていない。そして、円周方向に隣り合う柱部8a、8aの円周方向側面と上記リム部7aの軸方向側面とで三方を囲まれる部分を、上記各ポケット9、9としている。
特に、本例を構成する上記保持器4bの場合には、上記各ポケット9、9の円周方向両側を仕切る、上記各柱部8a、8aの円周方向両側面を、上記各球面ころ3、3の転動面と相似形で凹凸が逆である、凹曲面部11、11としている。これら各凹曲面部11、11は、上記保持器4bの軸方向及び径方向に関して、互いに異なる曲率半径RP 、rP を有する。何れの方向の曲率半径RP 、rP も、上記各ポケット9、9内に保持された上記各球面ころ3、3の転動面と上記各凹曲面部11、11との間に、潤滑油を送り込み可能なポケット隙間を介在させる程度に、上記各球面ころ3、3の転動面の曲率半径RR 、rR よりも大きくしている。
上記ポケット隙間の(これら各球面ころ3、3の)径方向に関する(上記各球面ころ3、3の中心軸と上記各ポケット9、9の中心軸とを一致させた状態での)厚さtは、自動調心ころ軸受の諸元(サイズ)により多少異なるが、例えば各種産業機械装置のロール等の回転支持部に組み込む自動調心ころ軸受の場合で、0.1〜0.5mm程度、或いは各球面ころ3、3の最大径の0.4〜2%程度である。上記各凹曲面部11、11の各方向の曲率半径RP 、rP は、これら各球面ころ3、3の転動面の、対応する方向の曲率半径RR 、rR よりも、上記ポケット隙間分だけ大きく(RP =RR +t、rP =rR +tと)している。尚、軸方向の曲率半径RP は、径方向の曲率半径rP に比べて遥かに大きい(RP ≫rP )ので、RP =RR としても、ほぼ同様の機能を得られる。従って、上記軸方向の曲率半径RP は、RP 〜RP +tの間で設定すれば良い。
又、上記各柱部8a、8aの円周方向両側面に形成した上記各凹曲面部11、11と、上記リム部7aの軸方向両側面とは、上記各球面ころ3、3の端面外周縁部との干渉を防止する為の逃げ凹部12、12を介して連続させている(図3、5参照)。本例の場合には、これら各逃げ凹部12、12が、特許請求の範囲に記載した凹曲面であり、これら各逃げ凹部12、12の曲率半径R12を、1mm以上で、且つ、上記各球面ころ3、3の最大直径D3 の0.02〜0.09倍(R12≧1mm、0.02D3 ≦R12≦0.09D3 )としている。上記各逃げ凹部12、12の両側端縁のうち、上記各凹曲面部11、11側の端縁はこれら各凹曲面部11、11の端部と、上記リム部7aの円周方向に凹む方向に連続している。これに対して、上記リム部7aの軸方向両側面側の端縁は、このリム部7aの軸方向両側面と滑らかに(このリム部7aの軸方向両側面を上記各逃げ凹部12、12の接線方向に位置させた状態で)連続している。従って、上記リム部7aの軸方向両側面で上記各柱部8a、8a同士の間部分は、平坦面である。
更に、本例の場合には、上記各柱部8a、8aの長さL8 を、上記各球面ころ3、3の軸方向長さL3 の1/2よりも大きく(L8 >L3 /2)している。そして、円周方向に隣り合う柱部8a、8aの先端部円周方向側面同士の間隔dを、上記各球面ころ3の最大直径D3 よりも小さく(d<D3 )している。この様に、上記円周方向に隣り合う柱部8a、8aの先端部円周方向側面同士の間隔dが上記各球面ころ3、3の最大直径D3 よりも小さい程度(D3 −d:ばれ止め量)は、上記各柱部8a、8aを円周方向に弾性変形させつつ、前記各ポケット9、9内に上記各球面ころ3、3を押し込める程度に規制する。この程度は、保持器付自動調心ころ軸受の大きさ、上記保持器4bの材質等に応じて設計的に定める。例えば、保持器付自動調心ころ軸受の大きさが、内径が40〜60mm程度、外径が100〜120mm程度、保持器の材質が銅若しくは銅系合金である場合に、上記ばれ止め量を100〜300μm程度とする。
上述の様な上記各柱部8a、8aの円周方向両側面の形状は、図5に示す様な、回転式の削り工具13により、これら各柱部8a、8aよりも幅広に形成した素柱部の円周方向両側面を切削乃至は研削する事により形成する。即ち、上記各柱部8a、8aを有する保持器4bを造るには、先ず、円環状の素材から、この保持器4bよりも容積が大きい中間素材を、削り加工等により造る。この中間素材は、円環状のリム部7aと、それぞれの基端部をこのリム部7aの軸方向側面の円周方向複数個所に結合する(一体に連続させる)と共にそれぞれの先端部を他の部分に結合しない自由端とした、上記複数の素柱部とから成る。これら各素柱部の円周方向両側面同士の間隔は、上記各球面ころ3、3の外径よりも小さくしている。尚、上記各素柱部の円周方向両側面の形状は、これら円周方向両側面同士の間隔が上記条件(各球面ころ3、3の外径よりも小さい)を満たす限り、特に限定しない。但し、上記中間素材の加工容易性、並びに、上記削り工具13による前記各凹曲面部11、11の加工容易性を考慮した場合には、互いに平行な平坦面又は母線形状が直線である円筒状凹面とする事が好ましい。この様に、互いに対向する上記各素柱部の円周方向両側面を、互いに平行な平坦面又は円筒状凹面とする場合には、この平坦面同士の間隔又は円筒状凹面の内径は、上記各球面ころ3、3の転動面の軸方向端部の外径以下で、上記削り工具13のうちの、円周方向に隣り合う素柱部同士の間に挿入される部分の最大外径以上とする。
上述の様な各素柱部の円周方向両側面を上記各凹曲面部11、11に加工するには、円周方向に隣り合う素柱部同士の間部分に、外周面が凸曲面である、上記削り工具13を挿入する。この削り工具13の外周面である凸曲面の断面形状のうち、軸方向に関する断面形状の曲率半径DP は、上記各凹曲面部11、11の軸方向の曲率半径RP と等しく、上記各球面ころ3、3の転動面の軸方向の曲率半径RR よりも、前記ポケット隙間の厚さt分だけ大きい(DP =RP =RR +t)。これに対して、削り工具13の外周面である凸曲面の断面形状のうち、円周方向に関する断面形状の曲率半径dP は、上記各凹曲面部11、11の円周方向の曲率半径rP よりも、次述する削り工具13の公転半径r0 分だけ小さい(dP =rP −r0 =rR +t−r0 )。又、図示の例の場合には、上記削り工具13の先端部外周面に、曲率半径R12が、1mm以上であり、且つ、上記各球面ころ3、3の最大直径D3 の0.02〜0.09倍である断面円弧状の、凸曲面部分14を形成している。
上記各凹曲面部11、11を形成するには、上述の様な削り工具13を、上記円周方向に隣り合う素柱部同士の間部分に、この削り工具13の中心軸x13と、加工すべきポケット9となるベき部分の中心軸x9 とを平行にして、この削り工具13の先端面が前記リム部7aの片側面に当接する迄挿入する。そして、この状態でこの削り工具13を、自身の中心軸x13を中心として自転させつつ、上記ポケット9となるべき部分の中心軸x9 回りを、上記公転半径r0 で公転させる。但し、この公転半径r0 は、初めからこの値にするのではなく、徐々に大きくする。そして、上記削り工具13の外周面を、外径が大きくなった部分から上記各素柱部の円周方向両側面に接触させて、これら各素柱部の円周方向両側面に、上記削り工具13の外周面の軸方向に関する断面形状を転写する。
この結果、これら各素柱部の円周方向両側面の軸方向に関する断面形状の曲率半径が、前述した様なRP (RR +t)なる値になる。一方、各素柱部の円周方向両側面の、上記リム部7aの径方向に関する断面形状は、上記削り工具13の公転半径が、上記r0 なる値になった状態で、前述した様なrP (=dP +r0 =rR +t)になる。この状態で、前述した様な、前記各球面ころ3、3の転動面と、厚さがtであるポケット隙間を介して対向する、上記各凹曲面部11、11が形成される。又、この状態で、それぞれの円周方向両側面にこれら各凹曲面部11、11を形成した上記各柱部8a、8aの基端部円周方向両側面と、前記リム部7aの軸方向両側面との連続部に、上記凸曲面部分14により、曲率半径R12が、1mm以上であり、且つ、上記各球面ころ3、3の最大直径D3 の0.02〜0.09倍である、前記逃げ凹部12、12が形成される。
上述の様にして造られる、前述の様な構成を有する保持器4bを組み込んだ本例の保持器付自動調心ころ軸受の場合には、上記各逃げ凹部12、12の存在に基づき、上記保持器4bを構成するリム部7aと各柱部8a、8aとの連続部に応力が集中する事を防止して、この保持器4bの耐久性向上を図れる。即ち、保持器付自動調心ころ軸受の運転時には、上記各球面ころ3、3の公転速度の変動に伴ってこれら各球面ころ3、3の転動面が上記各柱部8a、8aの円周方向両側面に繰り返し衝突し、これら各柱部8a、8aにこれら各柱部8a、8aを円周方向両方向に倒れさせようとする力が交互に加わる。そして、これら各柱部8a、8aの円周方向両側面と上記リム部7aの軸方向側面との連続部に繰り返し異なる方向の応力が加わる。この場合でも、上記各逃げ凹部12、12の存在に基づき、上記各柱部8a、8aの円周方向両側面と上記リム部7aの軸方向側面との連続部に加わる応力を緩和して、この連続部に亀裂等の損傷が発生しにくくできて、上記保持器4bの耐久性確保を図れる。本例の場合には、上記各逃げ凹部12、12の曲率半径R12を、1mm以上で、且つ、上記各球面ころ3、3の最大直径D3 の0.02〜0.09倍(R12≧1mm、0.02D3 ≦R12≦0.09D3 )としている為、上記保持器4bの耐久性確保を十分に図れる。
この様に上記各逃げ凹部12、12の曲率半径R12を規制する理由は、次の通りである。先ず、この曲率半径R12が1mm未満の場合には、上記各逃げ凹部12、12を加工する為の、前記削り工具13の凸曲面部分14の製作が難しくなる。又、仮に製作できても、この削り工具13の凸曲面部分14の耐久性確保を図れず、この削り工具13により造られる保持器の加工コストが徒に嵩む。
次に、上記各逃げ凹部12、12の曲率半径R12を、上記各球面ころ3、3の最大直径D3 の0.02〜0.09倍とする理由は、この曲率半径R12がこの範囲を外れると(0.02未満の場合でも、0.09を越えた場合でも)、上記各逃げ凹部12、12部分に発生する応力が、上記曲率半径R12が上記範囲内である場合に比べて大きくなる為である。即ち、この曲率半径R12が上記各球面ころ3、3の最大直径D3 の0.02倍未満(R12<0.02D3 )である場合には、上記各柱部8a、8aを円周方向に倒そうとする方向の力が加わった場合に、上記各逃げ凹部12、12部分に大きな応力が生じる。これに対して、上記曲率半径R12が上記各球面ころ3、3の最大直径D3 の0.09倍を越える(R12>0.09D3 )程大きくなると、上記各逃げ凹部12、12の存在に伴う、上記各柱部8a、8aの基部の薄肉化が無視できない程著しくなる。即ち、本例の場合には、上記各逃げ凹部12、12は、前記リム部7aの厚さ方向に食い込む事なく、上記各柱部8a、8aの基部に、この基部の厚さ方向に食い込む状態で形成している。従って、上記各逃げ凹部12、12の曲率半径R12が大きくなる程、上記各柱部8a、8aの基部が薄肉化し、これら各柱部8a、8aを円周方向に倒そうとする方向の力が加わった場合に、これら各柱部8a、8aの基部(上記各逃げ凹部12、12部分)に大きな応力が生じる。
この点に就いて、有限要素法を用いて解析した結果を、図6に示す。この解析では、上記各逃げ凹部12、12部分の曲率半径R12と、これら各逃げ凹部12、12部分に発生する応力との関係に就いて、内径が260mmである保持器付自動調心ころ軸受に組み込む保持器に就いて解析した。この図6の横軸は上記曲率半径R12と上記各球面ころ3、3の最大直径D3 との比R12/D3 を、縦軸はこの比R12/D3 を変化させた場合に上記各逃げ凹部12、12部分に生じる応力の大きさを、このR12/D3 が0.05である場合の応力の大きさを1として示している。この様な解析の結果を示す図6から明らかな通り、上記曲率半径R12を上記各球面ころ3、3の最大直径D3 の0.05倍前後(0.04〜0.06倍)にすれば、上記各逃げ凹部12、12部分に発生する応力を最も小さく抑えられる。又、上記曲率半径R12を上記最大直径D3 の0.03〜0.07倍の範囲に規制すれば、この応力を十分に小さく抑えられる。これに対して、上記曲率半径R12が上記最大直径D3 の0.02倍未満になったり、逆に0.09倍を越えると、上記応力が大きくなり、上記保持器の耐久性確保の面から不利になる。尚、保持器のサイズを変えて行なった有限要素法に基づく解析でも、同様の結果を得られた。
又、本例の場合には、前記保持器4bとして、上記リム部7aの軸方向両側面にそれぞれ複数の柱部8a、8aを設け、軸方向片側の柱部8a、8aと軸方向他側の柱部8a、8aとで、円周方向に関する位相を半ピッチ分ずらしている。この為、上記各球面ころ3、3の公転速度の変動に伴って上記リム部7aと上記各柱部8a、8aとの連続部で生じる応力を、このリム部7aの円周方向に分散させる事ができる。言い換えれば、このリム部7aのうちの特定の部分に集中して、応力が加わる事を防止して、上記保持器4bの耐久性向上を図れる。
又、本例の構造によれば、上記各球面ころ3、3の姿勢を安定させてこれら各球面ころ3、3がスキューする事を防止できる。この為、スキューに起因する振動の発生や発熱を抑えて、高速運転が可能になる。即ち、前記各ポケット9、9の円周方向両側を仕切る、上記各柱部8a、8aの円周方向両側面を構成する、上記各凹曲面部11、11が、上記各球面ころ3、3の転動面よりも僅かに大きな曲率半径RP 、rP を有する凹曲面である為、上記各ポケット9、9内に保持された上記各球面ころ3、3の姿勢が安定する。この為、これら各球面ころ3、3に著しいスキューが発生する事がなく、これら各球面ころ3、3の転動面と、前記外輪軌道5及び前記両内輪軌道6、6との転がり接触部で著しい滑り摩擦が発生する事を防止できる。この結果、前記外輪1と前記内輪2aとの相対回転に要する抵抗、並びに、運転時に発生する振動を抑える事ができて、高速運転が可能になる。
更に、本例の場合には、上記各柱部8a、8aの長さL8 を上記各球面ころ3、3の軸方向長さL3 の1/2よりも大きくして、円周方向に隣り合う柱部8a、8aの先端部円周方向側面同士の間隔dを上記各球面ころ3の最大直径D3 よりも小さくしているので、上記各ポケット9を構成する、円周方向に隣り合う各柱部8a、8aの先端部が上記各球面ころ3を抱き込んで、上記各ポケット9からこれら各球面ころ3が、上記外輪1及び上記内輪2aの軸方向に抜け出る事を防止する。従って、前述の図9、12に示した従来構造の様に、内輪2の軸方向両端部外周面に鍔部10、10を形成する必要がなくなる。この為、上記外輪1の内周面と上記内輪2aの外周面との間の空間の開口端部の面積を広くできる。そして、上記各球面ころ3、3の転動面と前記外輪軌道5及び前記両内輪軌道6、6との転がり接触部の潤滑を飛沫潤滑により行なう場合に、上記空間内に入り込む潤滑剤(潤滑油)の流量を多くして、高速運転を行なう面から有利になる。
又、上記内輪2aの軸方向両端部外周面に鍔部を形成する必要がなく、この内輪2aの外径を、この内輪2aの軸方向両端部で最も小さくできるので、この内輪2aの外周面と上記外輪1の内周面との間の空間に、上記保持器4b並びに複数の球面ころ3、3を組み付ける作業を容易に行なえる。更に、上記内輪2aの加工作業が容易になって、この内輪2aを含む、保持器付自動調心ころ軸受のコストを抑えられる。
又、本例の場合には、上記保持器4bの径方向位置を、上記各柱部8a、8aの円周方向両側面と上記各球面ころ3の転動面との係合に基づいて規制する、所謂転動体案内により規制している。即ち、上記各柱部8a、8aの円周方向両側面を構成する前記各凹曲面部11、11の曲率中心を、これら各柱部8a、8aの内接円と外接円との間(好ましくは、上記各球面ころ3、3のピッチ円上、若しくは、径方向に関してこのピッチ円の近傍位置)に設定している。そして、上記各凹曲面部11、11を上記各球面ころ3の転動面に摺接若しくは近接対向させて、上記保持器4bの径方向位置が大きくずれ動かない様にしている。これに伴って、前記リム部7aの外周面が上記外輪1の内周面と、同じく内周面は上記内輪2aの外周面と、十分に離隔している。本例の場合には、この様な構成により、上記保持器4bの径方向位置を規制する為の係合部の摩擦速度を低く抑えて、保持器付自動調心ころ軸受の動トルク並びに運転に伴う発熱、振動を低く抑えられる様にしている。
図7は、前述の図8〜11に示した従来構造の第1例に準じて構成した保持器付自動調心ころ軸受と、上述した様な構成を有する本発明の実施例の保持器付自動調心ころ軸受とで、運転時に生じる振動値の差を知る為に行なった実験の結果を示している。実験には、呼び番号が22310である保持器付自動調心ころ軸受(外径=110mm、内径=50mm、幅=40mm)を使用した。この様な保持器付自動調心ころ軸受に7.04kN(718kgf )のラジアル荷重と、5.35kN(546kgf )のアキシアル荷重との合成荷重を負荷し、潤滑油(VG68)による強制潤滑下で運転した(内輪を回転させた)。運転速度は、0〜12000min-1 との間で変化させ、2000min-1 、4800min-1 、5600min-1 、7200min-1 、8200min-1 、9400min-1 、10500min-1 、12000min-1 の8点で、振動値を測定した。尚、上記寸法の保持器付自動調心ころ軸受の許容回転速度(継続して運転可能な回転速度)は4800min-1 である。
この様な条件で行なった実験の結果を示す図7から明らかな通り、本例の保持器付自動調心ころ軸受の運転時に発生する振動は、従来の保持器付自動調心ころ軸受の場合よりも運転速度全域で低く抑えられる。この事から、本発明が、保持器付自動調心ころ軸受を組み込んだ各種機械装置の高速化を図る上で有利である事が明らかである。又、試験後に保持器付自動調心ころ軸受を分解して、保持器の摩耗状態を調べたところ、本例の保持器の摩耗量は、従来の保持器の摩耗量に比べて1/4程度に止まり、本発明により、保持器の摩耗防止を図れる事が確認できた。
又、前記各逃げ凹部12、12の曲率半径を大きく(1mm以上で、上記各球面ころ3、3の最大直径D3 の0.02〜0.09倍に)する事により、保持器4bの強度を向上させられる効果を確認する為に、保持器を組み込んだ自動調心ころ軸受を強制的に落下させて評価を行なう、落下衝撃試験を施した。上記各逃げ凹部12、12の曲率半径R12は、本発明に関しては1.25mm、本発明から外れる比較例に関しては0.6mmとした。各球面ころ3、3の最大直径D3 は17mmである。又、上記自動調心ころ軸受を落下させる高さに相当する、上記自動調心ころ軸受に衝突させる鋼板の衝撃加速度は、200Gとした。そして、この鋼板を50万回衝突させる毎に、上記保持器を構成する各柱部の根元部分に、破損や亀裂等の損傷の有無を確認した。試料は、本発明に属するものと比較例に属するものとでそれぞれ2個ずつ、合計4個用意した。この様にして行なった落下衝撃試験の結果、比較例に関しては、何れも50万回で、何れかの柱部の根元部分に損傷を生じた。これに対して、本発明に属するものは、何れも、200万回乃至は250万回に達するまで、何れの柱部の根元部分にも損傷を生じなかった。この実験の結果、上記各逃げ凹部12、12の曲率半径を大きくする事で、上記各柱部の損傷防止を図れる事が確認された。
尚、図示の例では、複列に配置された各球面ころ3、3を、単一のリム部7aの軸方向両側面にそれぞれ柱部8a、8aを設けた、一体型の保持器4bにより保持した構造に就いて説明した。これに対して本発明は、前述の図12に示した様に、一方の列の球面ころを保持する為の保持器と、他方の列の球面ころを保持する為の保持器とを、相対回転を可能に互いに独立させた構造で実施する(図1の構造で、リム部を軸方向中央部で2分割する)事もできる。この様な構造を採用した場合には、両列の球面ころの公転速度に差が生じた場合でも、これら両列の球面ころを保持している上記保持器同士が互いに独立して回転する。この為、公転速度が速い列の球面ころが、同じく遅い列の球面ころを引き摺ったり、公転速度が遅い列の球面ころが、同じく速い列の球面ころの公転運動に対して制動を加える事がなくなる。この結果、やはり、保持器付自動調心ころ軸受の動トルク並びに運転に伴う発熱を低く抑えられる。
本発明の実施の形態の1例を示す半部断面図。 図1の拡大A−A断面図。 保持器を取り出して径方向から見た状態で示す展開図。 図1の拡大B−B断面図。 実施の形態の1例に組み込んでいる保持器を取り出して、柱部の円周方向両側面を加工する為の削り工具と共に示す斜視図。 逃げ凹部の曲率半径がリム部と柱部との連続部に生じる応力の大きさに及ぼす影響を有限要素法で解析した結果を示す線図。 実施の形態の1例の構造が、運転時に生じる振動の大きさに及ぼす影響を知る為に行なった実験の結果を示す線図。 従来構造の第1例を示す正面図。 図8の拡大C−C断面図。 従来構造の第1例に組み込んでいる保持器を取り出して示す部分斜視図。 図9のD−D断面図。 従来構造の第2例を示す部分断面図。
符号の説明
1 外輪
2、2a 内輪
3 球面ころ
4、4a、4b 保持器
5 外輪軌道
6 内輪軌道
7、7a リム部
8、8a 柱部
9 ポケット
10 鍔部
11 凹曲面部
12 逃げ凹部
13 削り工具
14 凸曲面部分

Claims (5)

  1. 球状凹面である外輪軌道を、その内周面に形成した外輪と、この外輪軌道と対向する1対の内輪軌道を、その外周面に形成した内輪と、これら外輪軌道と内輪軌道との間に、2列に分けて、両列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた球面ころと、これら各球面ころを転動自在に保持する複数のポケットを備えた保持器とから成り、この保持器は、上記両列の球面ころ同士の間に配置された円環状のリム部と、それぞれの基端部をこのリム部の軸方向側面の円周方向複数個所に結合した状態で上記各球面ころの軸方向に配置され、それぞれの先端部を他の部分に結合しない自由端とした複数の柱部とを備え、円周方向に隣り合う柱部同士の間部分を上記各ポケットとしたものである保持器付自動調心ころ軸受に於いて、上記各ポケットの隅部で上記各柱部の円周方向両側面とリム部の軸方向側面とを、曲率半径が、1mm以上で、且つ、上記各球面ころの最大直径の0.02〜0.09倍である、断面円弧状の凹曲面により連続させた事を特徴とする保持器付自動調心ころ軸受。
  2. 保持器は、リム部の軸方向両側面にそれぞれ複数の柱部を設けたものであり、軸方向片側の柱部と軸方向他側の柱部とで、円周方向に関する位相が、半ピッチ分ずれている、請求項1に記載した保持器付自動調心ころ軸受。
  3. 各柱部の円周方向両側面は、潤滑油を送り込み可能なポケット隙間を介して各球面ころの転動面と対向する凹曲面であり、この凹曲面の断面形状を保持器の軸方向及び径方向で表わした場合に、軸方向に関する断面形状の曲率半径は、上記各球面ころの転動面の軸方向に関する曲率半径以上であり、径方向に関する断面形状の曲率半径は、上記転動面の円周方向に関する曲率半径よりも、上記ポケット隙間に見合う分だけ大きく、上記各柱部の長さは、上記各球面ころの軸方向長さの1/2よりも大きく、円周方向に隣り合う柱部の先端部円周方向側面同士の間隔は、上記各球面ころの最大直径よりも小さい、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した保持器付自動調心ころ軸受。
  4. 請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した保持器付自動調心ころ軸受に組み込む保持器の製造方法であって、円環状のリム部と、それぞれの基端部をこのリム部の軸方向側面の円周方向複数個所に結合すると共にそれぞれの先端部を他の部分に結合しない自由端とし、円周方向両側面同士の間隔を各球面ころの外径よりも小さくした複数の素柱部のうち、円周方向に隣り合う素柱部同士の間部分に、外周面の母線形状が造るべき柱部の円周方向両側面の軸方向に関する断面形状と一致し、曲率半径が、1mm以上で、且つ、各球面ころの最大直径の0.02〜0.09倍である断面円弧状の凸曲面部分を先端部に設けた削り工具を挿入し、この削り工具を、自転させつつポケットとなるべき部分の中心軸回りで公転させて、上記各素柱部の円周方向両側面を削ると共に、上記凸曲面部分により、上記各素柱部の円周方向両側面と上記リム部の軸方向側面との連続部分を削る事で、当該部分に、曲率半径が1mm以上で、且つ、上記各球面ころの最大直径の0.02〜0.09倍である断面円弧状の凹曲面を有する保持器付自動調心ころ軸受に組み込む保持器を造る、自動調心ころ軸受用保持器の製造方法。
  5. 削り工具の外周面が、軸方向中央部の外径が両端部の外径よりも大きくなった凸曲面であり、この凸曲面の断面形状のうち、軸方向に関する断面形状の曲率半径が各球面ころの転動面の軸方向に関する曲率半径以上であり、円周方向に関する断面形状の曲率半径が上記転動面の円周方向に関する曲率半径よりも小さい、請求項4に記載した自動調心ころ軸受用保持器の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022532893A (ja) * 2019-05-13 2022-07-20 シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー ミリングツール、および転がり軸受ケージを製造するための方法

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