JP2007197675A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Abstract

【課題】普通紙に1パスで印字した際の印字濃度が高く、高速印字に適した、インクジェット記録用水系インク及び該インクに用いられる水分散体を提供する。
【解決手段】着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子と、下記I及びIIを満たすノニオ
ン性有機化合物とを含有するインクジェット記録用水分散体、前記水分散体を含有する水系インク及び前記インクを1パスで印刷する方法である。
I:ノニオン性有機化合物を0.001重量%含有する水の表面張力(25℃)が、
70mN/m以下
II:ノニオン性有機化合物の水100gへの溶解度(25℃)が、0.30g以下
【選択図】なし

Description

本発明はインクジェット記録用水系インク、該インクに用いられる水分散体、及び該インクを用いたインクジェット印刷方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易でかつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能で、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
このようなインクジェット記録方式に関して、例えば、特許文献1には、顔料および/または染料をポリマーで包含した着色剤と水とを含有するとともに、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、グリコールエーテル類および1,2−アルキレングリコールからなる群から選択された1種以上の化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用インクであり、分散安定性、吐出安定性に優れ、滲みがなく、発色性および耐擦性に優れた画像が得られる、インクジェット記録用インクに関する発明が開示されている。
また、特許文献2には、ポリマー微粒子に水不溶性または難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンを含有するインクジェット記録用インクにおいて、グリセリン、1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパンおよびトリメチロールエタンから選ばれた少なくとも1種類以上の湿潤剤を含有し、炭素数8以上で11以下のポリオールまたはグリコールエーテル、アニオンまたはノニオン系界面活性剤、水溶性有機溶剤、水を少なくとも含有し、25℃におけるインク粘度が5mPa・sec以上であることを特徴とするインクジェット記録用インクであり、普通紙に高速で印字した際にも、吐出安定性や保存安定性に優れ、かつ良好な印字品位、および画像の堅牢性を与えることのできるインクジェット記録用顔料インクに関する発明が開示されている。
しかし、上記各特許文献に開示された水系インクでは、普通紙に1パスで印字した際の印字濃度が未だ十分ではなかった。
WO01/096483号パンフレット 特開2003−096345号公報
本発明は、普通紙に1パスで印字した際の印字濃度が高く、専用紙での光沢性に優れ、高速印字に適した、インクジェット記録用水系インク及び該インクに用いられる水分散体を提供することを課題とする。
本発明は、次の(i)〜(iv)に関する。
(i)着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子と、下記I及びIIを満たすノニオン性有
機化合物とを含有するインクジェット記録用水分散体。
I:ノニオン性有機化合物を0.001重量%含有する水の表面張力(25℃)が、
70mN/m以下
II:ノニオン性有機化合物の水100gへの溶解度(25℃)が、0.30g以下、

(ii)着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子と、下記(1)〜(3)からなる群から選ばれる1種以上のノニオン性有機化合物とを含有する、インクジェット記録用水分散体。
(1)隣接する炭素原子に各々水酸基を有する、炭素数8〜30のアルカンジオール化合物
(2)炭素数8〜30の脂肪酸モノグリセライド
(3)炭素数8〜30のモノアルキルグリセリルエーテル
(iii)前記(i)又は(ii)の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク。
(iv)前記(iii)の水系インクを1パスで印刷するインクジェット印刷方法。
本発明のインクジェット記録用水分散体を含有する水系インクにより、普通紙に1パスで印字した際にも高い印字濃度と専用紙での光沢性とを達成することができる。
インクジェット記録方式により、高速印字した際にも、高印字濃度を達成するには、着色剤を印刷紙の表面上に残し、かつ表面上で広げることが求められる。本発明者等は、印刷紙上に着色剤を残し、かつ表面上で広げるには、水系インクの印刷紙上での表面の濡れ拡がりを助長し、紙内部への水系インクの浸透を抑制すればよいことを見出した。
また、本発明者等は、これを達成する手段として、水への溶解度が低いと共に、わずかな量で表面張力を低下させることができる特定のノニオン性有機化合物が有効であることを見出した。
本発明の第一の態様は、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子と、下記I及びIIを
満たすノニオン性有機化合物とを含有するインクジェット記録用水分散体、及び該水分散体を含有する水系インクである。
I:ノニオン性有機化合物を0.001重量%含有する水の表面張力(25℃)が、
70mN/m以下
II:ノニオン性有機化合物の水100gへの溶解度(25℃)が、0.30g以下
以下に、各構成について詳細に記載する。
(ノニオン性有機化合物)
本発明において、ノニオン性有機化合物は、水系インクの印刷紙上での表面の濡れ拡がりを助長し、紙内部への浸透を抑制する作用を有すると考えられる。
ノニオン性有機化合物は、炭素数8〜30の飽和若しくは不飽和の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基の他に、水酸基、エステル基、エーテル基、カルボニル基及びアミド基からなる群から選ばれる一種以上の置換基を有することが好ましい。ただし、前記エステル基、エーテル基、カルボニル基及びアミド基の置換基で炭素数8〜30の飽和若しくは不飽和の炭化水素基が分断されるものではない。また、前記炭化水素基が前記置換基を有する際に、エステル基、カルボニル基、及びアミド基を構成する炭素原子は、前記の炭素数8〜30の炭化水素基を構成する炭素原子の一部であってもよい。一方、ノニオン性有機化合物は、抑泡性の観点から、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等の塩生成基を有さないことが好ましい。
ノニオン性有機化合物は、2個以上の水酸基を有する化合物(ポリオール化合物)であることが好ましく、より好ましくは2〜6個、更に好ましくは2又は3個、特に好ましくは2個の水酸基を含有している。
ノニオン性有機化合物は、炭素数8〜30の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を有するが、炭素数は、好ましくは8〜22、更に好ましくは10〜22、特に好ましくは10〜18、最も好ましくは12〜18である。炭化水素基は、飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基であってもよく、直鎖又は分岐鎖であってもよい。
ノニオン性有機化合物は、具体的には、下記(1)〜(3)からなる群から選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(1)炭素数8〜30の直鎖若しくは分岐鎖のアルカン、アルケン又はアルキンポリオール;
例えば、炭素数8〜30の直鎖若しくは分岐鎖のアルカン、アルケン又はアルキンジオール、又はトリオール等であり、水酸基はいずれの位置にあってもよい。
(2)炭素数8〜30の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するエステル又はエーテル化合物;
例えば、炭素数8〜30の直鎖若しくは分岐鎖のカルボン酸と1価又は多価アルコールとのエステル化合物、炭素数8〜30の直鎖若しくは分岐鎖のアルコールと1価又は多価アルコールとのエーテル化合物。
(3)炭素数8〜30の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又はアルケニレン基を有するエステル又はエーテル化合物;
例えば、炭素数8〜30の直鎖若しくは分岐鎖のα、ω-ジカルボン酸と1価又は多価アルコールとのジエステル化合物、炭素数8〜30の直鎖若しくは分岐鎖のα、ω-ジオールと1価又は多価アルコールとのエーテル化合物又はジエーテル化合物。
前記(2)、(3)の化合物に用いられる1価アルコールとしては、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール等の炭素数1〜6のアルコールが挙げられ、多価アルコールとしては、モノ又はポリグリセリン等のグリセリン類;エチレングリコール等のグリコール類;グルコース、ソルビトール等の糖類が挙げられる。これらの中では多価アルコールが好ましい。
高印字濃度の観点から、ノニオン性有機化合物の分子量は、100以上が好ましく、200以上が更に好ましく、その上限は3000以下が好ましく、2000以下が更に好ましく、1000以下が特に好ましく、500以下が最も好ましい。これらの観点から、ノニオン性有機化合物の分子量は、100〜3,000が好ましく、100〜2,000がより好ましく、100〜1,000が更に好ましく、200〜1000が特に好ましく、200〜500が最も好ましい。
なお、ノニオン性有機化合物の水への溶解度が0.001重量%未満である場合は、その最大溶解度の含有量で表面張力を測定した時の値である。
0.001重量%(0.001gを水100gに添加したもの)のノニオン性有機化合物を含有する水の表面張力(25℃)は、高印字濃度の観点から、70mN/m以下であり、67mN/mが好ましく、62mN/m以下がより好ましく、53mN/m以下が更に好ましく、50mN/m以下が特に好ましい。下限は特にないが、40mN/m以上が好ましい。
図1に示した水系インクの印字濃度とノニオン性有機化合物0.001重量%含有する水の表面張力(25℃)の関係からわかるように、本発明に用いられるノニオン性有機化合物の表面張力が低くなるにつれて、ノニオン性有機化合物を含有する水系インクの印字濃度が向上する。
ノニオン性有機化合物の水100gへの溶解度(25℃)は、高印字濃度の観点から、0.30g以下であり、0.25g以下が好ましく、0.15g以下がより好ましく、0.10g以下が更に好ましく、0.05g以下が特に好ましく、0.01g以下が最も好ましい。下限は特にないが、0.00001g以上が好ましい。
図2に示した水系インクの印字濃度とノニオン性有機化合物の水100gへの溶解度(25℃)の関係からわかるように、本発明に用いられるノニオン性有機化合物の水100gへの溶解度(25℃)が0.30g以下の場合に、ノニオン性有機化合物を含有する水系インクの印字濃度が顕著に向上する。
本発明に用いられるノニオン性有機化合物は、本発明を損なわない限り、エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基が付加されていてもよい。
更に具体的には、ノニオン性有機化合物は、[1]炭素数8〜30のアルカン、アルケン若しくはアルキンジオール、[2]炭素数8〜30の脂肪酸モノグリセライド、及び[3]炭素数8〜30のモノアルキルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
[1]炭素数8〜30のアルカン、アルケン又はアルキンジオール化合物
炭素数8〜30のアルカン、アルケン又はアルキンジオール化合物としては、隣接する炭素原子に各々水酸基を有するものが好ましい。高印字濃度の観点から、総炭素数は、8〜22が好ましく、10〜22が更に好ましく、10〜18が特に好ましく、12〜18が最も好ましい。
具体的には、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,2−エイコサンジオール、1,2−ドコサンジオール等が挙げられる。ジオール化合物は直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
これらの化合物の好適例及びその表面張力は、例えば、1,2−オクタンジオール(65mN/m)、1,2−デカンジオール(55mN/m)、1,2−ドデカンジオール(47.1mN/m)等である。
また、これらの化合物の水100gへの溶解度(25℃)は、例えば、1,2−オクタンジオールが0.20g、1,2−デカンジオールが0.055g、1,2−ドデカンジオールが0.001gである。
[2]炭素数8〜30の脂肪酸モノグリセライド
炭素数8〜30の脂肪酸モノグリセライドは、高印字濃度及び抑泡性の観点から、その脂肪酸の炭素数は、8〜22が好ましく、10〜22が更に好ましく、12〜22が特に好ましく、12〜18が最も好ましい。脂肪酸は直鎖であっても、分岐鎖であってもよいが、好ましくは直鎖であり、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪酸モノグリセライドの場合、1−脂肪酸モノグリセライドであっても、2−脂肪酸モノグリセライドであってもよい。本明細書中、脂肪酸モノグリセライドは、特に断らなければ、1-脂肪酸モノグリセライドである。具体的には、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、デカン酸、イソデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、及びベヘニン酸からなる群から選ばれる1種以上の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルが挙げられる。
これらの化合物の好適例及びその表面張力は、例えば、デカン酸モノグリセライド(65mN/m)、ラウリン酸モノグリセライド(63mN/m)等である。
また、これらの化合物の水100gへの溶解度(25℃)は、例えば、デカン酸モノグリセライドが0.01g、ラウリン酸モノグリセライドが0.005gである。
[3]炭素数8〜30のモノアルキルグリセリルエーテル
炭素数8〜30のモノアルキルグリセリルエーテルは、高印字濃度及び抑泡性の観点から、アルキル基の炭素数は、8〜22が好ましく、10〜22が更に好ましく、12〜22が特に好ましく、12〜18が最も好ましい。アルキル基は直鎖であっても、分岐鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。モノアルキルグリセリルエーテルのアルキル基の位置は1-アルキルグリセリルエーテルであっても、2−アルキルグリセリルエーテルであってもよい。本明細書中、アルキルグリセリルエーテルは、特に、断らなければ、1-アルキルグリセリルエーテルである。具体的には、オクチルグリセリルエーテル、2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、デシルグリセリルエーテル、イソデシルグリセリルエーテル、ドデシルグリセリルエーテル、ミリスチルグリセリルエーテル、ステアリルグリセリルエーテル、イソステアリルグリセリルエーテル、及びベヘニルグリセリルエーテルからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。
これらの化合物の好適例及びその表面張力は、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル(62mN/m)、イソデシルグリセリルエーテル(57.8mN/m)等である。
また、これらの化合物の水100gへの溶解度(25℃)は、2−エチルヘキシルグリセリルエーテルが0.15g、イソデシルグリセリルエーテルが0.05gである。
本発明の第二の態様は、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子と下記(1)〜(3)からなる群から選ばれる1種以上のノニオン性有機化合物とを含有する、インクジェット記録用水分散体、及び該水分散体を含有する水系インクである。
(1)隣接する炭素原子に各々水酸基を有する、炭素数8〜30のアルカンジオール化合物
(2)炭素数8〜30の脂肪酸モノグリセライド
(3)炭素数8〜30のモノアルキルグリセリルエーテル
(1)隣接する炭素原子に各々水酸基を有する、炭素数8〜30のアルカンジオール化合物、(2)炭素数8〜30の脂肪酸モノグリセライド、及び(3)炭素数8〜30のモノアルキルグリセリルエーテルとしては、前記[1]〜[3]に記載のノニオン性有機化合物が挙げられ、好ましい範囲、化合物も同じである。
本発明の第一の態様及び第二の態様に用いられるノニオン性有機化合物は、後述する標準試験方法による顔料の平均浸透深度(顔料の沈み込み)を、印字濃度の観点から、好ましくは65μm以下、更に好ましくは60μm以下、特に好ましくは55μm以下、最も好ましくは51μm以下とする化合物であり、耐擦過性の観点から、好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上とする化合物であることが望まれる。これらの観点から、顔料の平均浸透深度は、10〜65μmが好ましく、10〜60μmが更に好ましく、20〜55μmが特に好ましい。
(着色剤)
着色剤は、疎水性染料、顔料のいずれも使用することができる。また、両者を任意の比率で組み合わせて用いることもできる。中でも、近年要求が強い高耐候性の発現には、顔料を用いるのが好ましい。
顔料は、有機顔料及び無機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらに体質顔料を併用することもできる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー13,17,74,83,97,109,110,120, 128,139,151,154,155,174,180;C.I. ピグメント・レッド 48,57:1,122,146,176,184,185,188,202;C.I.ピグメント・バイオレット19,23;C.I.ピグメントブルー15,15:1,15:2,15:3,15:4,16,60;C.I.ピグメント・グリーン7,36等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクとしてはカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
染料としては、疎水性染料が、水不溶性ポリマー中に含有させることができるため好ましく用いられる。疎水性染料の例としては、油性染料、分散染料等が挙げられる。疎水性染料の有機溶媒に対する溶解度は、水不溶性ポリマーに効率よく染料を含有させる等の観点から、水分散体の製造時に疎水性染料を溶解させるために使用される有機溶媒に対して、2g/L以上が好ましく、20〜500g/L(25℃)がより好ましい。
油性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3, 7, 27, 29, 34,45;C.I.ソルベント・イエロー14, 16, 29, 56, 82,83:1;C.I.ソルベント・レッド1, 3, 8, 18, 24, 27, 43, 49,51, 72, 73;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー2,4, 11, 44,64,70;C.I.ソルベント・グリーン3, 7;C.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げられる。
商業的に入手しうる油性染料としては、例えば、Nubian Black PC-0850、Oil Black HBB 、Oil Black 860 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、OilRed 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS〔以上、オリエント化学株式会社、商品名〕、Neopen Yellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue808、Neopen Blue807、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238〔以上、BASF社、商品名〕等が挙げられる。
分散染料としては、例えば、C.I.ディスパーズ・イエロー5, 42, 54, 64, 79, 82, 83, 93, 99, 100, 119, 122, 124, 126, 160, 184:1, 186, 198, 199, 204, 224, 237;C.I.ディスパーズ・オレンジ13, 29, 31:1, 33, 49, 54, 55, 66, 73, 118, 119, 163;C.I.ディスパーズ・レッド54, 60, 72, 73, 86, 88, 91, 93, 111, 126, 127, 134, 135, 143, 145, 152, 153, 154, 159, 164, 167:1, 177, 181, 204, 206, 207,221, 239, 240, 258, 277, 278, 283, 311, 323, 343, 348, 356, 362;C.I.ディスパーズ・バイオレット33;C.I.ディスパーズ・ブルー56, 60, 73, 87, 113, 128, 143, 148, 154, 158, 165, 165:1, 165:2, 176, 183, 185, 197, 198, 201, 214, 224, 225, 257, 266, 267, 287, 354, 358, 365, 368;C.I.ディスパーズ・グリーン6:1,9;等が挙げられる。これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3、7及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
本発明の水分散体及び水系インク中における着色剤の含有量は、分散安定性、印字濃度等を高める観点から1〜20重量%が好ましく、3〜10重量%がさらに好ましい。
本発明で用いられる水不溶性ポリマーと着色剤の量比は、印字濃度を高める等の観点から、〔着色剤/水不溶性ポリマー〕の重量比が、好ましくは50/50〜90/10、より好ましくは50/50〜80/20、さらに好ましくは55/45〜78/22である。
(水不溶性ポリマー)
本発明の水分散体、水系インクには、耐擦過性に優れ、低粘度で優れた吐出性を得る観点から、着色剤を水不溶性ポリマー粒子に含有させた水分散体を用いることが好ましい。
本発明において、水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水分散体の安定性の観点から、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。本発明において、水不溶性ポリマーとは、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。上記溶解量は、水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、水不溶性ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量をいう。
本発明に用いられる水不溶性ポリマーは、印字物の光沢性の観点から、下記式(1)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2007197675
式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示す。R2は、置換基を有していてもよい、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基、又は、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基を示す。置換基には、ヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。
2の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基(フェニルエチル基)、フェノキシエチル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等が挙げられる。
置換基の具体例としては、好ましくは炭素数1〜9の、アルキル基、アルコキシ基若しくはアシロキシ基、水酸基、エーテル基、エステル基又はニトロ基等が挙げられる。
式(1)で表される構成単位としては、高光沢性を発現させる観点から、特にベンジル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が好ましい。
式(1)で表される構成単位は、下記式(1−1)で表されるモノマーを重合することによって得ることが好ましい。
CH2=CR1COOR2 (1−1)
(式中、R1、R2は、前記と同じである。)
具体的には、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフタリルアクリレート、2−ナフタリル(メタ)アクリレート、フタルイミドメチル(メタ)アクリレート、p−ニトロフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸等を重合することで、式(1)で表される構成単位を有するポリマーを合成することができる。これらの中では、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本明細書にいう「(メタ)アクリ」とは、「アクリ」、「メタクリ」又はそれらの混合物を意味する。
本発明に用いられる水不溶性ビニルポリマーは、さらに下記式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。
Figure 2007197675
式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を示し、R4Oはオキシプロピレン基を示す。R4Oには、−CH2CH(CH3)O−以外に、−CH(CH3)CH2O−が含まれていてもよい。R5Oは炭素数2又は4のオキシアルキレン基を示し、オキシエチレン基、オキシテトラメチレン基が好ましい。
6は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜9のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。R6は、高い印字濃度及び良好な保存安定性の観点から、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。また、炭素数1〜8のアルキル基を有していてもよい、フェニル基が好ましい。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
4O及びR5Oはランダム付加又はブロック付加している。R4O及びR5Oが、ブロック付加している場合、-COO-(R4O)x-(R5O)y-R6、又は-COO-(R5O)y -(R4O)x -R6の何れであってもよい。
x、yは、平均付加モル数を表し、xは1〜30の数であり、2〜30が好ましく、3〜20が更に好ましく、3〜15が特に好ましい。yは0〜30の数であり、0〜20が好ましく、0〜15が更に好ましい。y個のR5Oは同一でも異なっていてもよい。
式(2)で表される構成単位は、下記式(2−1)で表されるモノマーを重合することによって得ることが好ましい。
CH2=CR3COO−(R4O)x−(R5O)y−R6 (2−1)
(式中、R3、R4O、R5O、R6、x、及びyは、前記と同じである。)
式(2)の中でも、下記式(3)又は(4)で表される構成単位が、高い印字濃度を与えるために好ましく、本発明に用いられる水不溶性ビニルポリマーは、下記式(3)と下記式(4)で表される構成単位を両方有していてもよい。
Figure 2007197675
(式中、R3、x、R6は、前記と同じである。)
式(3)は、式(2)において、yが0の場合である。
式(3)で表される構成単位は、下記式(3−1)で表されるモノマーを重合することによって得ることが好ましい。
CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−R6 (3−1)
(式中、R3、R6、及びxは、前記と同じである。)
具体的には、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、特にポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
一方、下記式(4)は、上記式(2)において、yが1以上の場合である。
Figure 2007197675
(式(4)中、R3、R6、xは、前記と同じである。pは2又は4の数であり、zは、平均付加モル数を表し、1〜30の数であり、2〜20が好ましく、3〜15が更に好ましい。(CH2CH(CH3)O)と((CH2PO)は、ランダム付加又はブロック付加しており、ブロック付加の場合、-COO-(CH2CH(CH3)O)X-((CH2PO)Z-R6 又は、-COO-((CH2PO)Z-(CH2CH(CH3)O)X-R6の何れであってもよい。)
式(4)で表される構成単位は、下記式(4−1)又は(4−2)で表されるモノマーを重合することによって得ることが好ましい。
CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−(CH2CH2O)z−R6 (4−1)
CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−((CH24O)z−R6 (4−2)
(式中、R3、R6、x及びzは、前記と同じである。(CH2CH(CH3)O)と(CH2CH2O)、及び(CH2CH(CH3)O)と((CH24O)は、ランダム付加又はブロック付加しており、ブロック付加の場合、CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−(CH2CH2O)z−R6 又はCH2=CR3COO−(CH2CH2O)z−(CH2CH(CH3)O)x−R6 の何れであってもよく、又はCH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−((CH24O)z−R6 又はCH2=CR3COO−((CH24O)z−(CH2CH(CH3)O)x−R6 の何れであってもよい。)
具体的には、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート[エチレングリコールとプロピレングリコールがランダム結合している]、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールがブロック結合している。(メタ)アクリル基側からポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのブロック結合とその逆も含む。以下同じ。]、オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコールモノメタクリレート等が挙げられる。これらの中では、特にポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコールモノメタクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
商業的に入手しうる前記式(2−1)で表されるモノマーの具体例としては、新中村化学工業株式会社の多官能性アクリレートモノマー(NKエステル)M−40G、同90G、同230G、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PE−90、同200、同350、PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50PPT−800、50POEP−800B等が挙げられる。
本発明に用いられる水不溶性ビニルポリマーにおける前記式(1)及び前記式(2)で表される構成単位の重量比[式(1)で表される構成単位/式(2)で表される構成単位]は、印字濃度と光沢性を両立させ、定着性を与える観点から、1/2〜10/1が好ましく、1/2〜8/1がより好ましく、1/2〜5/1が更に好ましく、1/1〜5/1が最も好ましい。
当該水不溶性ビニルポリマーは、その分散性を向上させる観点から、更に、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位を含むことが好ましい。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基、アミノ基、アンモニウム基等のカチオン性基が挙げられる。
塩生成基含有モノマー(a)に由来する構成単位は、塩生成基含有モノマーを重合することにより得ることができるが、ポリマーの重合後、ポリマー鎖に塩生成基(アニオン性基又はカチオン性基)を導入してもよい。
(塩生成基含有モノマー(a))
塩生成基含有モノマー(a)としては、(a−1)アニオン性モノマー及び(a−2)カチオン性モノマーが好ましい。
((a−1)アニオン性モノマー)
(a−1)アニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー及び不飽和リン酸モノマーからなる群より選ばれた一種以上が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコネート等が挙げられる。
不飽和リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記のアニオン性モノマーの中では、インク粘度及び吐出性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
((a−2)カチオン性モノマー)
(a−2)カチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有ビニルモノマー及び不飽和アンモニウム塩含有ビニルモノマーからなる群より選ばれた一種以上が挙げられる。
不飽和3級アミン含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。
不飽和アンモニウム塩含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。
上記のカチオン性モノマーの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
上記の(a)塩生成基含有モノマーは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
当該水不溶性ポリマーは、十分な印字濃度や分散安定性を発現させる観点から、前記一般式(1)で表される構成単位を有することが好ましく、更に前記一般式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。また、前記一般式(1)及び/又は(2)で表される構成単位と、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位を含むポリマーを主鎖に有し、マクロマー(b)由来の構成単位を含むポリマーを側鎖に有する水不溶性グラフトポリマーであることが好ましい。
(マクロマー(b))
(b)成分のマクロマーとしては、下記(b−1)スチレン系マクロマー、(b−2)アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー、(b−3)芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー、(b−4)シリコン系マクロマー等が挙げられる。
上記(b)成分は、印字濃度や着色剤を含有した水不溶性ポリマー微粒子の分散安定性を高める等の観点から用いられ、数平均分子量が500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000で、片末端に不飽和基等の重合性官能基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。
なお、(b)成分の数平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用い、溶媒として50ミリモル/Lの酢酸を含有するテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定することができる。
((b−1)スチレン系マクロマー)
スチレン系マクロマーとは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー(b−1 モノマーという)由来の構成単位を有するマクロマーを意味する。スチレン系モノマーの中ではスチレンが好ましい。
スチレン系マクロマーは、例えば、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。片末端に存在する重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、これらを共重合させることで、スチレン系マクロマー由来の構成単位を有する水不溶性グラフトポリマーを得ることができる。
他のモノマーとしては、例えば、(1)アクリロニトリル、後述の(メタ)アクリル酸エステル類(b−2 モノマー)、及びスチレン以外の芳香環含有(メタ)アクリレート系モノマー(b−3 モノマー)等が挙げられる。
側鎖中、又はスチレン系マクロマー中、スチレン系モノマー由来の構成単位の含有量は、耐擦過性の観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6、AS−6S、AN−6、AN−6S、HS−6、HS−6S等が挙げられる。
((b−2)アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー)
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーとは、ヒドロキシ基を有していてもよい、炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基を有する、(メタ)アクリル酸エステル(b−2 モノマーという)由来の構成単位を有するマクロマーを意味する。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
b−2 モノマー由来の構成単位を含む側鎖は、片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得られ、例えば、メチルメタクリレート系マクロマー、ブチルアクリレート系マクロマー、イソブチルメタクリレート系マクロマー、ラウリルメタクリレート系マクロマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーは、片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。他のモノマーとしては、前記のスチレン系モノマー(b−1 モノマー)、後記のスチレン以外の芳香環含有(メタ)アクリレート系モノマー(b−3 モノマー)等が挙げられる。
側鎖中、又はアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー中、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量は、最も多く、耐擦過性の観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
((b−3)芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー)
芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーとは、芳香環含有(メタ)アクリレート(b−3 モノマーという)由来の構成単位を有するマクロマーを意味する。
芳香環含有(メタ)アクリレートとしては、前記式(1−1)で表されるモノマーが好ましい。
CH2=CR1COOR2 (1−1)
(式中、R1、R2は、前記と同じである。)
具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フタルイミドメチル(メタ)アクリレート、p−ニトロフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート等が挙げられる。これらの中では、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
芳香環含有(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む側鎖は、片末端に重合性官能基を有する芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する芳香環含有(メタ)アクリレートの単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、芳香環含有(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。他のモノマーとしては、前記の(1)スチレン系モノマー(b−1 モノマー)、(2)(メタ)アクリル酸エステル(b−2 モノマー)等が挙げられる。
側鎖中、又は芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー中、芳香環含有(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、最も多い。
((b−4)シリコン系マクロマー)
本発明で用いられる水不溶性グラフトポリマーは、オルガノポリシロキサン鎖を側鎖として有していてもよい。この側鎖は、例えば、好ましくは下記式(5)で表される、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)-COOC36-〔Si(CH32-O〕t-Si(CH33 (5)
(式中、tは8〜40の数を示す)
本発明に用いられるポリマーが、水不溶性グラフトポリマーである場合、主鎖と側鎖との重量比[主鎖/側鎖]は、分散安定性を向上させるために、1/1〜20/1であることが好ましく、3/2〜15/1が更に好ましく、2/1〜10/1が特に好ましい。なお、重合性官能基は側鎖に含有されるものとして計算する。
上記の中では、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーが着色剤との親和性が高く、分散安定性を向上させる観点から好ましい。
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、「イソ」又は「ターシャリー」で表される枝分かれ構造が存在している場合と存在しない場合(ノルマル)の両者を示すものである。
(疎水性モノマー(c))
当該水不溶性ポリマーは、分散安定性、印字濃度及び耐マーカー性を向上させる観点から、さらに、疎水性モノマー(c)由来の構成単位を含むことが好ましい。
疎水性モノマー(c)に由来する構成単位は、疎水性モノマーを重合することにより得ることができるが、ポリマーの重合後、ポリマー鎖に疎水性モノマーを導入してもよい。
疎水性モノマー(c)としては、(c−1)炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレート又は(c−2)下記式(6)で表されるモノマーが好ましい。
CH2=C(R7)−R8 (6)
(式中、R7 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数6〜22の芳香環含有炭化水素基を示す。)
(c−1)炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、ベへニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(c−2)式(6)で表されるモノマーとしては、印字濃度の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレンから選ばれた一種以上が好ましい。これらの中では、印字濃度及び保存安定性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、及びビニルトルエンからなる群から選ばれる一種以上であるスチレン系モノマーがより好ましい。
当該水不溶性ポリマーは、更に他の構成単位を含有していてもよい。
当該水不溶性ポリマーは、前記式(1)で表される構成単位を有することが好ましく、更に前記式(2)で表される構成単位を有することが好ましい。また前記式(1−1)及び前記(2−1)で表されるモノマーに、(a)塩生成基含有モノマー、(b)マクロマー及び/又は(c)疎水性モノマー等を含有するモノマー混合物(以下、「モノマー混合物」という)を共重合して得られるものが好ましい。
(モノマー混合物)
モノマー混合物における前記式(1−1)で表されるモノマー含有量、又は水不溶性ポリマーにおける前記式(1)で表される構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度と光沢性の向上、定着性及び良好な分散安定性の観点から、10重量%以上、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは20〜80重量%、特に好ましくは25〜75重量%である。
モノマー混合物における前記式(2−1)で表されるモノマー含有量、又は水不溶性ポリマーにおける前記式(2)で表される構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度と光沢性の向上、定着性及び良好な分散安定性の観点から、好ましくは5〜60重量%、更に好ましくは8〜55重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。
モノマー混合物における塩生成基含有モノマー(a)の含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)、又は水不溶性ポリマーにおける塩生成基含有モノマー(a)に由来する構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度と光沢性の向上及び良好な分散安定性の観点から、好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
[式(1)で表される構成単位/塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位]の重量比は、水不溶性ポリマーの分散性及び光沢性を向上させる観点から、好ましくは10/1〜1/1、更に好ましくは8/1〜2/1である。
[式(2)で表される構成単位/塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位]の重量比は、水不溶性ポリマーの分散性及び印字濃度を向上させる観点から、好ましくは10/1〜1/1、更に好ましくは5/1〜1/1である。
モノマー混合物におけるマクロマー(b)の含有量、又は水不溶性ポリマーにおけるマクロマー(b)に由来する構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度の観点から、好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
モノマー混合物における疎水性モノマー(c)の含有量、又は水不溶性ポリマーにおける疎水性モノマー(c)に由来する構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度及び分散安定性の観点から、好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは0〜20重量%である。
(水不溶性ポリマー)
当該水不溶性ポリマーは、塩生成基含有モノマー由来の構成単位を含む場合は、その塩生成基を、後述する中和剤により中和して用いる。塩生成基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらに20〜150%、特に50〜150%であることが好ましい。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
[[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]]×100
酸価やアミン価は、水不溶性ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
当該水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、着色剤の分散安定性、耐水性及び吐出性の観点から5,000〜500,000が好ましく、10,000〜400,000が更に好ましく、10,000〜300,000が特に好ましい。
なお、水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体)
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体は、次の工程(1)及び(2)により得ることが好ましい。
工程(1):水不溶性ポリマー、有機溶媒、着色剤、水及び必要により中和剤を含有する混合物を、分散処理する工程
工程(2):前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)では、まず、前記水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、前記有機溶媒に加えて混合し、水中油型の分散体を得ることが好ましい。混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、水不溶性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、水は、10〜70重量%が好ましい。水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記水不溶性ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられ、水に対する溶解度が20℃において、50重量%以下でかつ10重量%以上のものが好ましい。
アルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。これらの溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
中和剤としては、水不溶性ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。
中和剤としては、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の塩基が挙げられる。
前記工程(1)における混合物の分散方法に特に制限はない。好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行うことが好ましい。工程(2)で、所望の平均粒径の水不溶性ポリマー粒子が得られるように微粒化させる。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄鋼株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔株式会社荏原製作所、商品名〕、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス〔以上、特殊機化工業株式会社、商品名〕、クリアミックス〔エム・テクニック株式会社、商品名〕、ケイディーミル〔キネティック・ディスパージョン社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕、アルティマイザー〔スギノマシン株式会社、商品名〕、ジーナスPY〔白水化学株式会社、商品名〕、DeBEE2000 〔日本ビーイーイー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの中では、混合物に含まれている顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
前記工程(2)では、前記工程(1)で得られた分散体から有機溶媒を留去して水系にすることで、所望の平均粒径を有する着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。水分散体に含まれる有機溶媒の除去は、減圧蒸留等による一般的な方法により行うことができる。得られた水不溶性ポリマー粒子を含む水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以下である。得られた水不溶性ポリマー粒子を含む水分散体をろ過することで、粗大粒子を除去することが好ましい。粗大粒子は、存在しないか、存在してもわずかであるが、プリンターのノズルが詰まらないようにするために、フィルターの粒径は、好ましくは1〜10μm、更に好ましくは3〜7μmとする。
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体は、着色剤を含有する水不溶性ポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、着色剤を含む水不溶性ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤と水不溶性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、水不溶性ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、水不溶性ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、水不溶性ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径は、分散安定性、吐出性の観点から、好ましくは50〜200nm、更に好ましくは70〜170nm、特に好ましくは90〜150nmである。着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子のD90(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積90%の値)は、粗大粒子を減らして、分散体の保存安定性を高める観点から、350nm以下が好ましく、300nm以下が更に好ましく、270nm以下が特に好ましい。下限は、製造のし易さから、100nm以上が好ましい。着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子のD10(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積10%の値)は、印字濃度の観点、製造のし易さから、10nm以上が好ましく、20nm以上がさらに好ましく、30nm以上が特に好ましい。
なお、平均粒径、D90、D10は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)で測定することができる。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333) を入力する。測定溶液の濃度は、通常5×10-3重量%程度で行う。
(インクジェット記録用水分散体及び水系インク)
本発明の水系インクは、本発明の水分散体を含有し、水を主媒体とするインクであり、必要により、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を含有することができる。これらの各成分の混合方法に特に制限はない。
本発明の第一の態様、第二の態様のインクジェット記録用水分散体とインクジェット記録用水系インクの各構成成分の含有量は、以下の通りである。
本発明の第一の態様のインクジェット記録用水分散体中、及び該水分散体を含有する水系インク中、ノニオン性有機化合物の含有量は、0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上が更に好ましく、0.5重量%以上が特に好ましく、その上限は、3.0重量%以下が好ましく、2.0重量%以下が更に好ましく、1.5重量%以下が特に好ましい。これらの観点から、ノニオン性有機化合物の含有量は、0.1〜3.0重量%が好ましく、0.3〜2.0重量%が更に好ましく、0.5〜1.5重量%が特に好ましい。
本発明の第二の態様のインクジェット記録用水分散体中、及び該水分散体を含有する水系インク中、(1)隣接する炭素原子に各々水酸基を有する、炭素数8〜30のアルカンジオール化合物、(2)炭素数8〜30の脂肪酸モノグリセライド、及び(3)炭素数8〜30のモノアルキルグリセリルエーテルの合計含有量は、0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上が更に好ましく、0.5重量%以上が特に好ましく、その上限は、3.0重量%以下が好ましく、2.0重量%以下が更に好ましく、1.5重量%以下が特に好ましい。これらの観点から、前記化合物の合計含有量は、0.1〜3.0重量%が好ましく、0.3〜2.0重量%が更に好ましく、0.5〜1.5重量%が特に好ましい。
本発明の第一の態様、第二の態様の水分散体(以下、単に水分散体という)中、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の含有量(固形分)は、通常、印字濃度及び吐出安定性の観点から、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは10〜25重量%となるように調整することが望ましい。本発明の水分散体を含有する水系インク中、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の含有量(固形分)は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%である。
第一の態様の水分散体中、水系インク中、ノニオン性有機化合物量と水不溶性ポリマー量との重量比(ノニオン性有機化合物量/水不溶性ポリマー量)は、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子を印刷紙上に拡げ易くする観点から、1/10〜2/1が好ましく、1/5〜3/2が更に好ましい。
第二の態様の水分散体中、(1)隣接する炭素原子に各々水酸基を有する、炭素数8〜30のアルカンジオール化合物、(2)炭素数8〜30の脂肪酸モノグリセライド、及び(3)炭素数8〜30のモノアルキルグリセリルエーテルの合計量と水不溶性ポリマー量との重量比(前記(1)、(2)及び(3)の合計量/水不溶性ポリマー量)は、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子を印刷紙上に拡げ易くする観点から、1/10〜2/1が好ましく、1/5〜3/2が更に好ましい。
本発明の水分散体及び水系インク中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。
前記の知見によれば、印刷紙上に着色剤を残すには、水系インクの印刷紙上での表面の濡れ拡がりを助長し、紙内部への水系インクの浸透を抑制すればよい。従って、本発明の水系インクは、下記測定方法により求められる表面張力(γ)と接触角(θ)が、下記数式(1)と数式(2)とを満たすことが高印字濃度を達成するために好ましい。
10.0 ≦ γcosθ ≦ 27.0 数式(1)
0.2 ≦ γ(1−cosθ)≦ 1.3 数式(2)
表面張力(γ)及び接触角(θ)の測定方法は、実施例に記載の方法により行う。
液体浸透の基本式として、Lucas-Washburnの下記式が一般に知られている。
l=(rγcosθt/2η)1/2
(式中、lは浸透速度、tは時間、ηは粘度、γは表面張力、θは接触角を示す)
ここで、γcosθとはLucas-Washbum式における液体の浸透速度(浸透深さ)を支配する因子であり、γcosθの値が小さい方が、浸透速度が遅くなる。即ち、紙に対するインクの浸透はγcosθの値が小さいほど浅くなり、印字濃度は向上する。従って、浸透速度を遅くする観点及び数式(2)の値を低くする観点から、γcosθの値は、27.0以下が好ましく、26.7以下が更に好ましく、26.0以下がより好ましく、25.0以下が特に好ましく、24.8以下が最も好ましく、その下限は、15.0以上が好ましく、20.0以上がより好ましく、22.0以上がより好ましく、23.0以上がより好ましく、23.5以上が特に好ましく、24.0以上が最も好ましい。これらの観点から、γcosθの値は、15.0〜27.0が好ましく、20.0〜27.0がより好ましく、22.0〜26.7がより好ましく、23.5〜26.7がより好ましく、23.5〜25.0がより好ましく、23.5〜24.8が特に好ましく、24.0〜24.8が最も好ましい。
液体の拡張濡れの仕事量を表す式として、Youngの下記式が知られている。
SP=γ(1−cosθ)
(式中、WSPは仕事量、γは表面張力、θは接触角を示す)
γ(1−cosθ)は、水系インクの紙表面をインクが濡らす際の濡れ仕事量(WSP)に相当し、この値が小さいほど、インクは紙表面をより濡らす。即ち、WSPの値が小さいほどインクがより紙表面で広がることとなり、印字濃度は向上する。従って、濡れ拡がりやすくする観点から、γ(1−cosθ)は、1.3以下が好ましく、1.1以下がより好ましく、1.03以下が更に好ましく、その下限は、0.1以上が好ましく、0.2以上が更に好ましく、0.3以上が特に好ましく、0.45以上が最も好ましい。これらの観点から、WSPの値は、0.1〜1.3が好ましく、0.2〜1.3が更に好ましく、0.3〜1.1がより好ましく、0.30〜1.05が特に好ましく、0.45〜1.05が最も好ましい。
γは、数式(1)、(2)より、高印字濃度の観点から低い方が好ましい。γ(25℃)は、高印字濃度の観点から、28.0mN/m以下が好ましく、27.5mN/m以下が更に好ましく、27.0mN/m以下が特に好ましい。その下限は、20.0mN/m以上が好ましい。この範囲を達成するには、表面張力を下げることができる化合物を水系インクに含有させればよい。
θは、数式(1)と(2)とのバランスにより決めることができ、高印字濃度の観点から、好ましくは8.0〜18.0°、更に好ましくは9.0〜17.5°、特に好ましくは10.0〜17.0°である。この範囲のθを満たすには、表面張力を下げると共に、水系インクへの溶解度が低い化合物を含有させればよい。
(インクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録用水系インクは、インクジェット記録方式により1パスで印刷するインクジェット印刷方法に使用することが好ましい。1パス印刷とは、ラインヘッドの場合、インクジェットヘッドのスキャン(走査)方向と印刷対象物の送り方向を同一の方向にして一度のスキャンで画像を形成すること、またシリアルヘッドの場合、インクジェットヘッドを双方向にスキャンさせ、印刷対象をインクジェットヘッドのスキャン方向と垂直の方向に送りながら、かつ着弾させたインク上にインクを実質的に再度着弾させることなく(重ねることなく)、画像を形成することをいう。
1パスで印字すると、単位面積当たりに、インクジェットのノズルから射出される滴数が減少する。従って、数パスで印字するのに比較して1滴1滴が大きくなり、大きなドット1滴は、小さなドット数滴と比較して、単位面積当たりのインク量がばらつくため、印刷紙上のある微小部分では、インク量が多く、浸透し易くなる部分が存在する。本発明の水系インクは、水系インクの印刷紙上での表面の濡れ拡がりを助長し、紙内部への水系インクの浸透を抑制することができるため、1パスでの印刷方法に適している。
以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
(合成例1)
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表1に示すモノマー混合物200部のうち10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマー混合物の残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基、純分50%
・ポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド平均付加モル数=9):新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルM−90G 末端:水素原子
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(プロピレンオキシド平均付加モル数=9):日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−500 末端:水素原子
Figure 2007197675
合成例2
合成例1の表1記載の(c)ベンジルメタクリレートをスチレンモノマーに変更した以外は合成例1と同様にしてポリマー溶液を得た。
製造例1
合成例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.1部(中和度75%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にキナクリドン顔料(C.I.ピグメント・バイオレット19、クラリアントジャパン株式会社製、商品名:Hostaperm Red E5B02)75部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が20%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。顔料含有ビニルポリマー粒子の平均粒径は、110nmであった。
製造例2
合成例1で得られたポリマー溶液に代えて、合成例2で得られたポリマー溶液を用いた以外は製造例1と同様にして、固形分濃度が20%の顔料含有ビニルポリマー粒子を得た。顔料含有ビニルポリマー粒子の平均粒径は、110nmであった。
実施例1
製造例1で得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体40部に、トリエチレングリコールモノブチルエーテル7部、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)1部、プロキセルXL2(アビシア株式会社製)0.3部、1,2−ドデカンジオール(東京化成工業株式会社製)1部及びイオン交換水30部を、あらかじめ溶解ないしは分散させた液体を混合し、20℃のE型粘度が4mPa・sとなるようにグリセリンとイオン交換水を添加、よく攪拌して、合計が100部になるように調整を行った。得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、水系インクを得た。
なお、E型粘度の測定は、東機産業株式会社製の「RE80」を用い、測定温度20℃、測定時間1分、回転数100rpm、ロータは標準(1°34′×R24)を使用して行った。
実施例2〜7
1,2−ドデカンジオールを、表2の化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インクを得た。
実施例8
製造例1で得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体40部の代わりに、製造例2で得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体40部を用いた以外は、実施例1と同様にして水系インクを得た。
比較例1〜2
1,2−ドデカンジオールを、表2の化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インクを得た。
比較例3
1,2−ドデカンジオールを用いずに、同量の水を用いた以外は、実施例1と同様にして水系インクを得た。
実施例1〜8及び比較例1〜3で得られた水系インクの物性を下記方法に基づいて評価した。また、ノニオン性有機化合物の物性を下記方法に基づいて求めた。それらの結果を表2に示す。
(1)印字濃度
セイコーエプソン株式会社製プリンター(型番:EM−930C、ピエゾ方式)を用いて、市販の普通紙(XEROX株式会社製、商品名:4024)に、ベタ印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ファイン(1パス)〕し、25℃で24時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:RD914)で印字物(5.1cm×8.0cm)の中心及び四隅の計5点を測定し、その平均値を求めた。
(2)光沢性
前記プリンターを用い、専用紙(写真用紙<光沢>(20°光沢度が21)、セイコーエプソン株式会社製、商品名:KA450PSK)にベタ印字し〔印字条件:用紙種類;フォトプリント紙、モード設定;フォト(4パス)〕、25℃で24時間放置後、20°の光沢を光沢計(日本電色工業株式会社製、商品名:HANDY GLOSSMETER 、品番:PG-1)で5回測定(25℃)し、その平均値を求めた。
(3)ノニオン性有機化合物の溶解度の測定方法
25℃の室温下、ノニオン性有機化合物を一定量とり、25℃のイオン交換水を、攪拌下(約100rpm)、添加していき、完全に溶解した状態(水溶液が無色透明な状態)を、目視で判定し、そのノニオン性有機化合物の溶解度とした。溶解度は、水100gのノニオン性有機化合物の飽和溶解量で表す。但し、測定のための攪拌時間は、1時間以内で行った。
(4)ノニオン性有機化合物を含有する水の表面張力の測定方法
表面張力計(協和界面科学株式会社製、商品名:CBVP−2)を用いて、白金プレートを水100gにノニオン性有機化合物0.001g含有させた水溶液5gの入った円柱ポリエチレン製容器(直径3.6cm×深さ1.2cm)に浸漬させ、ノニオン性有機化合物を含有する水の表面張力を25℃で測定する。水100gへのノニオン性有機化合物の溶解量が0.001g未満である時は、最大溶解度で測定した。
Figure 2007197675
表2に示された結果より、比較例1〜3の水系インクに対して、実施例1〜8の水系インクは、いずれも、普通紙における印字濃度が高い印刷物が得られることがわかる。また、実施例1の水系インクは、実施例8の水系インクより、専用紙における光沢性が高いことがわかる。
また、図1、2に示された結果より、ノニオン性有機化合物の水100gへの溶解度(25℃)が、0.30g以下であって、ノニオン性有機化合物を0.001重量%含有する水の表面張力(25℃)が、70mN/m以下である、本発明品は印字濃度が高いことがわかる。
比較例4〜6
1,2−ドデカンジオールを、表3の化合物に変更した以外は、実施例1と同様にして水系インクを得た。
実施例1〜7、比較例1〜6で得られた水系インクのγとθを、下記方法に基づいて測定し、γcosθとγ(1-cosθ)を計算した。また、水系インクの印字濃度は前記方法に基づいて求めた。それらの結果を表3に示す。
(水系インクの表面張力(γ)の測定方法)
表面張力計(協和界面科学株式会社製、商品名:CBVP−2)を用いて、白金プレートを5gの水系インクの入った円柱ポリエチレン製容器(直径3.6cm×深さ1.2cm)に浸漬させ、水系インクの表面張力を25℃で測定した。
(水系インクの接触角(θ)の測定方法)
静的接触角計(協和界面科学株式会社製、商品名:CA−A、内径0.4mmのキャピラリー使用)を用いて、約2.4μlの水系インクを被記録材(普通紙、XEROX株式会社製、商品名:4024)に接触させ、接触15秒後の測定値を被記録材上の該インク滴の接触角として測定(25℃)した。
Figure 2007197675
*1:ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド:商品名アミゾールCDE、川研ファインケミカル株式会社製
*2:ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド:商品名アミノーンC11S、花王株式会社製
*3:ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(エチレンオキサイドの平均付加モル数=5):商品名アミゼット5C、川研ファインケミカル株式会社製
表3及び図3に示された結果より、γcosθが10.0〜27.0であって、γ(1-cosθ)が0.20〜1.30以下である水系インクは、普通紙における印字濃度が高い印刷物が得られることがわかる。
(標準試験と平均浸透深度の測定法)
下記標準インクをセイコーエプソン株式会社製プリンター〔商品名:EM−930C(ノズル径φ38μm、解像度360dpi、吐出周波数14.4kHz、ファインモード、印刷速度9.2ppm、液滴量40pl)〕で普通紙(XEROX株式会社製、商品名:4024)にベタ印刷(100%Dutyの塗りつぶし印刷)〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ファイン(1パス)〕する。25℃で24時間放置後、ベタ印刷部をカッターで切断し、切断面の任意の10箇所で、超深度形状測定顕微鏡(株式会社キーエンス製、VK−8500)で観察して顔料の浸透深度を測定し、平均値を平均浸透深度とした。
(標準インク)
下記の配合組成のインクを標準インクとした。なお、配合の数値は純分換算値である。
製造例1で得られる平均粒径110nm(D10:70nm、D90:171nm)のキナクリドン顔料含有ビニルポリマー粒子(平均粒径110nm、ポリマー25部/顔料75部、ポリマー組成:メタクリル酸/スチレンマクロマー/ベンジルメタクリレート/スチレンモノマー/ポリエチレングリコールモノメタクリレート/ポリプロピレングリコールメタクリレート=10/15/40/10/5/20、水酸化ナトリウムで75%中和品)7.47重量部、2−ピロリドン10重量部、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)1重量部、及びノニオン性有機化合物1重量部を混合し、E型粘度計(東機産業株式会社製、RE80、実施例1と同条件)で4mPa・s(20℃)となるようにグリセリンと水を添加して合計100重量部にした。その後1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去した。
(平均浸透深度の測定結果)
ノニオン性有機化合物として1,2−ドデカンジオールを用いた場合(実施例1で用いた化合物)、顔料の平均浸透深度は45μm、イソデシルモノグリセリルエーテルを用いた場合(実施例5で用いた化合物)、顔料の平均浸透深度は51μmであった。一方、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを用いた場合(比較例4で用いた化合物)、顔料の平均浸透深度は68μmであり、ノニオン性有機化合物を用いずに、その分イオン交換水に替えた対照インクでは、顔料の平均浸透深度は77μmであった。
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られた水系インクの印字濃度とノニオン性有機化合物0.001重量%含有する水の表面張力(25℃)の関係を表した図である。 実施例1〜7及び比較例2で得られた水系インクの印字濃度とノニオン性有機化合物の水100gへの溶解度(25℃)の関係を表した図である。 実施例1〜7及び比較例1〜6で得られた水系インクのγcosθとγ(1-cosθ)のプロット図である。数値は印字濃度を表す。

Claims (11)

  1. 着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子と、下記I及びIIを満たすノニオン性有機化
    合物とを含有するインクジェット記録用水分散体。
    I:ノニオン性有機化合物を0.001重量%含有する水の表面張力(25℃)が、
    70mN/m以下
    II:ノニオン性有機化合物の水100gへの溶解度(25℃)が、0.30g以下
  2. ノニオン性有機化合物が、エステル基又はエーテル基を有していてもよい、ポリオールである請求項1記載の水分散体。
  3. 水分散体中、ノニオン性有機化合物の含有量が、0.1〜3.0重量%である請求項1又は2記載の水分散体。
  4. 着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子と、下記(1)〜(3)からなる群から選ばれる1種以上のノニオン性有機化合物とを含有する、インクジェット記録用水分散体。
    (1)隣接する炭素原子に各々水酸基を有する、炭素数8〜30のアルカンジオール化合物
    (2)炭素数8〜30の脂肪酸モノグリセライド
    (3)炭素数8〜30のモノアルキルグリセリルエーテル
  5. 水不溶性ポリマーが、下記式(1)で表される構成単位を有する、 請求項1〜4のいずれかに記載の水分散体。
    Figure 2007197675
    (式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は、置換基を有してい てもよい、炭素数7〜22のアリールアルキル基又は炭素数6〜22のアリール基を示す。)
  6. 水不溶性ポリマーが、前記式(1)で表される構成単位を、20〜80重量%有する、請求項5記載の水分散体。
  7. 水不溶性ポリマーが、グラフトポリマーである、請求項1〜6のいずれかに記載の水分散体。
  8. ノニオン性有機化合物が、下記標準試験により、顔料の平均浸透深度を65μm以下とする化合物である、請求項1〜7のいずれかに記載の水分散体。
    (標準試験)
    下記標準インク(20℃で4.0mPa・s)を、セイコーエプソン株式会社社製プリンター〔商品名:EM−930C(ノズル径φ38μm、解像度360dpi、吐出周波数14.4kHz、ファインモード、印刷速度9.2ppm、液滴量40pl)〕で普通紙(XEROX株式会社製、商品名:4024)にベタ印刷(100%Dutyの塗りつぶし印刷)する。25℃で24時間放置後、ベタ印刷部をカッターで切断し、切断面の任意の10箇所で、超深度形状測定顕微鏡(株式会社キーエンス製、VK−8500)で観察して顔料の浸透深度を測定し、平均値を平均浸透深度とする。
    (標準インク)
    キナクリドン顔料含有ビニルポリマー粒子(平均粒径110nm、ポリマー25部/顔料75部)7.47重量部、2−ピロリドン10重量部、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製)1重量部、及びノニオン性有機化合物1重量部を混合し、E型粘度計(東機産業株式会社製、RE80)で4mPa・s(20℃)となるようにグリセリンと水を添加して合計100重量部にした。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
  10. 下記測定方法により求められる表面張力(γ)と接触角(θ)が、下記数式(1)と数式(2)とを満たす請求項9記載のインクジェット記録用水系インク。
    10.0 ≦ γcosθ ≦ 27.0 数式(1)
    0.2 ≦ γ(1−cosθ)≦ 1.3 数式(2)
    (表面張力(γ)の測定方法)
    表面張力計(協和界面科学株式会社製、商品名:CBVP−2)を用いて、白金プレートを5gの水系インクの入った円柱ポリエチレン製容器(直径3.6cm×深さ1.2cm)に浸漬させ、水系インクの表面張力を測定(25℃)する。
    (接触角(θ)の測定方法)
    静的接触角計(協和界面科学株式会社製、商品名:CA−A、内径0.4mmのキャピラリー使用)を用いて、約2.4μlの水系インクを被記録材(普通紙、XEROX株式会社製、商品名:4024)に接触させ、接触15秒後の測定値を被記録材上の該インク滴の接触角として測定(25℃)する。
  11. 請求項9又は10に記載のインクジェット記録用水系インクを、1パスで印刷するインクジェット印刷方法。
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