JP2005042095A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記工程1及び2を有するインクジェット記録用水分散体を含有する水系インクを提供する。
(工程1)水系溶媒中に、顔料と水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子とを存在させた後、前記溶媒を除去し、水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子で処理した顔料を得る工程、
(工程2)前記水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子で処理した顔料、有機溶媒、水不溶性ビニルポリマー(ロ)、及び水を含む混合物を分散処理した後、有機溶媒を除去して、顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を得る工程。
【選択図】 なし
Description
(工程1)水系溶媒中に、顔料と水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子とを存在させた後、前記溶媒を除去し、水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子で処理した顔料を得る工程、
(工程2)工程1で得られた水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子で処理した顔料、有機溶媒、水不溶性ビニルポリマー(ロ)、及び水を含む混合物を分散処理した後、有機溶媒を除去して、顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を得る工程。
まず、水系溶媒中に、顔料と水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子(以下、単に水不溶性ビニルポリマー粒子という)を存在させた後、必要に応じて攪拌する。その後、前記溶媒を除去し、必要に応じて粉砕を行い、水不溶性ビニルポリマー粒子で処理した顔料を得る。水不溶性ビニルポリマー粒子で処理した顔料は、水不溶性ビニルポリマー粒子と顔料の混合物であり、顔料同士の凝集を低下させることができる。
なお、ここでいう「水系溶媒」の「水系」とは、前述の意味である。水系溶媒としては、水以外に、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が含有されていてもよい。
水系溶媒中、顔料の含有量は、0.5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%が更に好ましく、水不溶性ビニルポリマー粒子の含有量は0.01〜30質量%が好ましく、0.1〜10質量%が更に好ましく、水系溶媒(好ましくは水)の含有量は、60〜99質量%であることが好ましく、70〜98質量%が更に好ましい。
水系溶媒中、顔料の平均粒径は、水不溶性ビニルポリマー粒子との吸着性を高める観点から、1〜50μmが好ましい。粒径測定器は、HORIBA(株)製、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置 LA-920を用いた。また、水系溶媒中の水不溶性ビニルポリマーの平均粒子径は、後述する平均粒径の測定法により、0.03〜10μmが好ましい。
顔料は、耐光性及び耐水性の観点から、有機顔料及び無機顔料のいずれであってもよく、必要に応じて、それらに体質顔料を併用することもできる。体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
水不溶性ビニルポリマー(イ)及び(ロ)は、(A)ノニオン性のモノマー、(B)塩生成基含有モノマー及び(C)疎水性モノマーを含有するモノマー混合物(以下、モノマー混合物という)を重合させることによって製造されるものが好ましい。なお、本発明の課題を解決できる範囲内で他のモノマーを併用することができる。
〔式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン単位(但し、p個のオキシアルキレン単位は、同一でも異なっていてもよい。)オキシアルキレン単位が異なる場合は、ブロック付加、ランダム付加、及び交互付加のいずれでもよい。R1は水素原子又はメチル基、pは1〜50の数、R2は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。〕
モノマー(A)としては、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
X(Y)qSi(R3)3−r(Z)r (II)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、R3はそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から好ましい。
CH2=CR4−COO−[Si(R5)2−O]b−Si(R5)3 (IV)
CH2=CR4−Ph−[Si(R5)2−O]b−Si(R5)3 (V)
CH2=CR4−COOC3H6−Si(OE)3 (VI)
〔式中の各記号の意味は次のとおり;
R4:水素原子又はメチル基
R5:それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基
b:5〜60の数
Ph:フェニレン基
E:−[Si(R3)2−O]c−Si(R4)3基(R4は前記と同じ。cは5〜65の数を示す)〕
これらの中では、一般式(III)で表されるシリコーンマクロマーが好ましく、特に次の一般式(III-1):
CH2=C(CH3)−COOC3H6−[Si(CH3)2−O]d−Si(CH3)3 (III-1)
(式中、dは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが好ましい。その具体例として、FM-0711〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
次に、前記水不溶性ビニルポリマー粒子で処理した顔料、有機溶媒、水不溶性ビニルポリマー(ロ)、水及び必要に応じて中和剤、を含む混合物を分散処理した後、有機溶媒を除去して、顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を得る。
水不溶性ビニルポリマー粒子で処理した顔料100質量部(水不溶性ビニルポリマー(イ)と顔料の合計量)に対して、工程2で用いる、水不溶性ビニルポリマー(ロ)の量は、分散安定性、吐出安定性の観点から5〜100質量部であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、水不溶性ビニルポリマー粒子で処理した顔料を用いることで、分散安定性、吐出安定性に優れたインクジェット記録用水系インクとなる。これは、水不溶性ビニルポリマー粒子と顔料の間での疎水性相互作用に基づき、水不溶性ビニルポリマー粒子が顔料に対して吸着性を発現し、顔料の凝集を防ぐことで、水系インク中の粗大粒子を低減できることに基づくと考えられる。
反応容器内に、メチルエチルケトン3質量部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03質量部、及び表1に示す各モノマー(質量部表示)のそれぞれの10質量%の量ずつを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
・メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(一般式(I)において、p=4):新中村化学(株)製、商品名:NKエステルM-40G
・メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(一般式(I)において、p=23):新中村化学(株)製、商品名:NKエステルM230G
・ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(一般式(I)において、p=9):日本油脂(株)製、商 品名:ブレンマーPP-500
・オクトキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノメタクリレート(EO平均付加モル数8モル,PO平均付加モル数6モル、一般式(I)において、p=14):日本油脂(株)製、商品名:ブレンマー50POEP-800B
・スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS-6S、数平均分子量:6000 、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
2−メトキシ−4−ニトロ−アニリン182.7質量部と2−ニトロ−4−メチルアニリン5.1質量部とを、水1300質量部及び35%塩酸290質量部の混合物中に加えて攪拌し、それから0℃に冷却し、亜硝酸ソーダ80質量部を加えてジアゾ化し、ジアゾ溶液を得た。
グリセリン 10質量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 7質量%
サーフィノール465(エアプロダクツ社製) 1質量%
Ploxel XL2(S)(ZENECA社製) 0.08質量%
イオン交換水 51.92質量%
これらの成分を混合し、得られた混合液を0.5μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm 、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、表2に示す組成の水系インクを得た。
実施例1において、ポリマー処理顔料の製造時に製造例1のビニルポリマーを用い、水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を製造する際に製造例4のビニルポリマーを用いた以外は、実施例1同様に処理し表2に示す水系インクを得た。
顔料乾燥工程前に水不溶性ビニルポリマーを添加しない以外は製造例4のビニルポリマーを用い実施例1と同様に処理し表2に示す水系インクを得た。
比較製造例1の水溶性ビニルポリマーを用いた以外は実施例1と同様に処理し表2に示す水系インクを得た。
大塚電子(株)製、レーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント法)を用い、インクに含まれている着色剤を含有するポリマー粒子の平均粒径(以下、「保存前の平均粒径」という)を測定した。インクを密閉容器に入れ、60℃の恒温槽に1ヵ月保存後、同様の方法にて平均粒径(以下、「保存後の平均粒径」という)を測定した。分散安定性の指標として、分散安定度を次式:
分散安定度(%)=(〔保存後の平均粒径〕/〔保存前の平均粒径〕)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:分散安定度が95%以上105%未満。
○:分散安定度が90%以上95%未満、又は105%以上110%未満。
△:分散安定度が70%以上90%未満、又は110%以上130%未満。
×:分散安定度が70%未満又は130%以上。
市販のエプソン社製のインクジェットプリンター(型番:EM900C)を用い、インクの吐出性を以下の評価基準に基づいて評価した。
○:全ノズルで吐出良好。
△:一部のノズルで吐出不良あり。
×:吐出不良。
前記プリンターを用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で1時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、品番:RD914) で測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:印字濃度が1.2以上。
○:印字濃度が1.1以上1.2未満。
△:印字濃度が1.0以上1.1未満。
×:印字濃度が1.0未満。
前記印字濃度を測定したベタ印字物に、キセノンフェードメーター(ATLAS 社製、商品名)で10000カウント照射し続けた後、再びマクベス濃度計RD914で照射前における測定と同じ印字箇所の印字濃度を測定した。照射前の印字濃度に対する照射後の印字濃度の残存率を次式:
残存率(%)=(〔照射後の印字濃度〕/〔照射前の印字濃度〕)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐光性を評価した。
◎:残存率が95%以上。
○:残存率が80%以上95%未満。
△:残存率が60%以上80%未満。
×:残存率が60%未満。
前記プリンターを用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた試料の特定の印字箇所の印字濃度を測定後、静水中に垂直に10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。25℃で24時間自然乾燥させた後、浸漬前と同じ箇所の印字濃度を測定し、浸漬前の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の残存率を次式:
残存率(%)=(〔浸漬後の印字濃度〕/〔浸漬前の印字濃度〕)×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐水性を評価した。
◎:残存率が95%以上。
○:残存率が80%以上95%未満。
△:残存率が60%以上80%未満。
×:残存率が60%未満。
前記プリンターを用い、市販のコピー用紙にベタ印字し、25℃で24時間乾燥させた後、指で強く印字面を擦った。その印字のとれ具合を以下の評価基準に基づいて評価した。
◎:印字は全くとれない。
○:ほとんど印字はとれず、周りが汚れない。
△:少し印字が擦りとられ、周りが少し汚れ、指も少し汚れる。
×:かなり印字が擦りとられ、周りがかなりひどく汚れ、指も相当汚れる。
Claims (9)
- 下記工程1及び2を有するインクジェット記録用水分散体の製造方法。
(工程1)水系溶媒中に、顔料と水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子とを存在させた後、前記溶媒を除去し、水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子で処理した顔料を得る工程、
(工程2)工程1で得られた水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子で処理した顔料、有機溶媒、水不溶性ビニルポリマー(ロ)、及び水を含む混合物を分散処理した後、有機溶媒を除去して、顔料を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を得る工程。 - 工程1で、顔料100質量部に対して、水不溶性ビニルポリマー(イ)粒子を1〜100質量部用いる、請求項1記載の水分散体の製造方法。
- 水不溶性ビニルポリマー(イ)及び(ロ)が、(A)ノニオン性のモノマー、(B)塩生成基含有モノマー、及び(C)疎水性モノマーを含有するモノマー混合物を重合させてなるものである、請求項1又は2記載の水分散体の製造方法。
- 水不溶性ビニルポリマー(イ)及び(ロ)が、同一モノマー組成である、請求項3記載の水分散体の製造方法。
- (C)疎水性モノマーが、アルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有モノマー及びマクロマーから選ばれた1種以上を含有する請求項3又は4記載の水分散体の製造方法。
- マクロマーが、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーである請求項5記載の水分散体の製造方法。
- 顔料が、アゾ及び/又はジスアゾ顔料である、請求項1〜6いずれかの項記載の水分散体の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られるインクジェット記録用水分散体。
- 請求項8記載の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
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