JP2007197515A - 安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法、及び硬化物 - Google Patents

安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法、及び硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】常温で安定性の高いケトンパーオキサイド組成物、これを用いるラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法、及び硬化物であって、さらに詳しくは不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂と金属石鹸を併用して硬化させる際に使用する、常温で安定性の高い安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法、及び硬化物を提案する。
【解決手段】本発明の安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物は、ケトンパーオキサイド、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、及びSP値が20.0〜27.5である安定剤からなることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、常温で安定性の高いケトンパーオキサイド組成物、これを用いるラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法、及び硬化物であって、さらに詳しくは不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂と金属石鹸を併用して硬化させる際に使用する、常温で安定性の高い安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法、及び硬化物に関する。
従来より、ガラス繊維を補強材とし、不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂等のラジカル重合型熱硬化性樹脂をマトリックスとする強化プラスチック(以下、FRPと略記する)は、浴槽、浄化槽などの住宅関連製品、漁船、ヨット、ボートなどの船舶関連製品、パイプ、タンクなどの工業関連製品、ヘッドランプリフレクター、スポイラーなどの自動車関連製品等に広く用いられている。さらに、ラジカル重合型熱硬化性樹脂は、非FRPとしても、塗料、ライニング、注型、化粧板などに広く実用化されている。
このラジカル重合型熱硬化性樹脂を常温硬化させる際には、メチルエチルケトンパーオキサイド(以下、MEKPOと略記する)等のケトンパーオキサイド類と、ナフテン酸コバルト等の金属石鹸などを併用する硬化方法が一般に用いられている。
但し、ケトンパーオキサイドは純品での危険性が高いため、通常はジメチルフタレート(以下、DMPと略記する)等のフタル酸エステルで希釈された組成物として使用されている。
また、ジメチルフタレートの替わりとして2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(以下、TXIBと略記する)で希釈したケトンパーオキサイド組成物が開示されている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、DMPやTXIB等で希釈したケトンパーオキサイド組成物を貯蔵すると、硬化特性の経時変化(ケトンパーオキサイドが経時変化することにより、硬化速度が速くなり、樹脂に混合してからゲル化するまでの可使時間が短くなったり、或いは硬化速度が遅くなり、成形してから完全硬化に至るまでの時間が長くなったりする)等の問題があった。更に、TXIBで希釈したケトンパーオキサイド組成物は、保管時に溶解水分を遊離し、この遊離された水分によりケトンパーオキサイド組成物が白濁や水分離するといった問題もあった。
特開昭62−19555号公報 特開2003−306478号公報
そこで、貯蔵時には白濁や水分離がなく、貯蔵しても硬化特性の経時変化が少ないケトンパーオキサイド組成物が要望されており、本発明はこのような従来技術に存在する課題を解決することを目的とするものであって、常温で安定性が高くかつ白濁や異物の発生等の外観の変化がなく、硬化特性の経時変化も少ない安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物、それを用いたラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法、及び硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的に鑑み鋭意検討した結果、特定の希釈剤を含有するケトンパーオキサイド組成物に特定の安定剤を配合することによって、本発明の目的が達成されることを見出して本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の第一の発明の安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物は、ケトンパーオキサイド、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)、及びSP値が20.0〜27.5である安定剤からなることを特徴とするものである。
本発明の第二の発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法は、ラジカル重合型熱硬化性樹脂を硬化させる際に、前記第一の発明の安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物と金属石鹸とを組み合わせて用いることを特徴とするものである。
本発明の第三の発明の硬化物は、前記第二の発明の硬化方法により得られることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の第一の発明の安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物では、ケトンパーオキサイドと、希釈剤としてTXIBと、SP値が20.0〜27.5である安定剤からなり、常温で安定性が高く、かつ白濁や異物の発生等の外観の変化がないものである。
本発明の第二の発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法では、前記第一の発明の安定剤含有ケトンパーオキサイドと金属石鹸とを組み合わせてラジカル重合型熱硬化性樹脂を硬化させるものであり、硬化特性の経時変化が少なく、硬化時間の経時変化が少ないために、硬化が速くなる事による成形時の可使時間が確保できなくなったり、硬化が遅くなる事による作業時間の延長がなく、一定の成形作業で成形物を得ることができる。
本発明の第三の発明の硬化物では、前記第二の発明により得られる硬化物である。この硬化物は第二の発明の効果により可使時間が確保できることから、ラジカル重合型熱硬化性樹脂をガラス繊維に積層して充分に脱泡する作業時間を確保することができ、脱泡されない空気が硬化物に残存する事による空洞の発生を抑制することができ、機械強度の低下が見られずに外観も優れた硬化物を得ることができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物は、ケトンパーオキサイド組成物(ケトンパーオキサイドと特定の希釈剤)と特定の安定剤とからなる。
ケトンパーオキサイドは、過酸化水素とケトン化合物を反応することにより得られる有機過酸化物で、前記ケトン化合物としては、アルキル基の炭素数が1から6の直鎖又は分岐アルキルケトン類、アルキル基の炭素数が3から9のシクロアルキルケトン類など、ラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化剤用の原料として用いることが可能であればいずれでも良い。
具体的にはケトンパーオキサイドとしては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド(MEKPO)、ジエチルケトンパーオキサイド、メチルプロピルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、メチルアミルケトンパーオキサイド、メチルヘキシルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。これらのうち、汎用性の観点から、MEKPO、メチルイソブチルケトンパーオキサイドが好ましい。
前記ケトンパーオキサイドは、一般式(1)又は一般式(2)で示される化合物などの混合物である。
Figure 2007197515
(式中、R及びR’は炭素数1〜6の直鎖又は分岐状アルキル基、及びRとR’で形成する炭素数3〜9のシクロアルキル基、nは1〜6を表す)
Figure 2007197515
(式中、R及びR’は炭素数1〜6の直鎖又は分岐状アルキル基、及びRとR’で形成する炭素数3〜9のシクロアルキル基を表す)
例えばMEKPOは、メチルエチルケトンと過酸化水素から合成され、一般式(1)においてR=CH3、R’=C25、n=1で示されるモノマーパーオキサイド(2,2−ジハイドロパーオキシブタン)、一般式(1)においてR=CH3、R’=C25、n=2で示されるダイマーパーオキサイド(2,2’−ジハイドロパーオキシ−2,2’−ジブチルパーオキサイド)、一般式(2)においてR=CH3、R’=C25で示される環状トリマーパーオキサイド(3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,2,4,5,7,8−ヘキソキソナン)などからなる混合物である。
ケトンパーオキサイドと特定の希釈剤からなるケトンパーオキサイド組成物中に占めるケトンパーオキサイドの割合は、5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%である。ケトンパーオキサイドの割合が5質量%未満では、ラジカル重合型熱硬化性樹脂を硬化させる際に硬化が遅く、硬化物の硬化度が低くなるために好ましくない。一方、ケトンパーオキサイドの割合が60質量%を超えると、ケトンパーオキサイド組成物の安全性が低下するために好ましくない。
特定の希釈剤とは、TXIBであって、安全性を確保するために必須のものであり、保管時のケトンパーオキサイドの安定性を高める役割を果たす。このTXIBは市販品をそのまま使用することができ、ケトンパーオキサイド組成物の安定性及び得られた硬化物の物性に悪影響を与えなければ、ジメチルフタレート等のフタル酸エステル類、脂肪酸エステル類、多塩基酸エステル類などの他の希釈剤を併用することもできる。
ケトンパーオキサイドと特定の希釈剤(TXIB)からなるケトンパーオキサイド組成物中に占める特定の希釈剤(TXIB)の割合は通常、20〜70質量%であり、ケトンパーオキサイド組成物としての活性酸素量が8〜13%、より好ましくは9〜11%となるような量が配合される。活性酸素量が8%未満では硬化物の硬化度が低くなり好ましくない。また13%を越えるとゲル化が速くなるために可使時間の確保が困難になり、またケトンパーオキサイド組成物の安全性が低くなるために好ましくない。
特定の安定剤とは、SP値が20.0〜27.5である安定剤であって、TXIBで希釈したケトンパーオキサイド組成物に、SP値が20.0〜27.5である安定剤を併用することで、保管時のケトンパーオキサイドの安定性を向上し、硬化特性の経時変化、及び製品の白濁や水分離、異物の発生を防止できる。SP値は、例えばJ.Brandrup,E.H.Immergut,POLYMER HANDBOOK 3rd edition, John Wiley & SonsのSolubility Parameter Value項に記載されている、25℃における液体のハンセンパラメータを適用することができる。
具体的にSP値が20.0〜27.5である安定剤としては、1,4−ジオキサン(SP値20.5)等のエーテル類、γ−ブチロラクトン(SP値26.2)、トリメチルホスフェート(SP値25.4)、2−エトキシエチルアセテート(SP値19.6)、トリエチルホスフェート(SP値22.3)等のエステル類、ピリジン(SP値21.7)、N−メチル−2−ピロリドン(SP値22.9)、ジメチルホルムアミド(SP値24.8)等の含チッソ化合物、エタノール(SP値26.6)、アリルアルコール(SP値25.8)、1−プロパノール(SP値24.6)、2−プロパノール(SP値23.5)、フルフリルアルコール(SP値24.3)、1−ブタノール(SP値23.1)、2−ブタノール(SP値22.1)、1−メチル−1−プロパノール(SP値22.7)、シクロヘキサノール(SP値22.5)、1−ペンタノール(SP値21.7)、2−エチル−1−ブタノール(SP値21.3)、ジアセトンアルコール(SP値20.9)、1,3−ジメチル−1−ブタンジオール(SP値19.8)、エチレングリコールモノエチルエーテル(SP値24.8)、エチレングリコールモノブチルエーテル(SP値23.5)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(SP値21.9)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(SP値22.3)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値20.5)、2−エチル−1−ヘキサノール(SP値20.1)、1−オクタノール(SP値20.9)、2−オクタノール(SP値20.3)、1−デカノール(SP値20.5)等のアルコール類、トリエチレングリコール(SP値27.4)、ヘキシレングリコール(SP値25.2)等のグリコール類が挙げられる。
特にケトンパーオキサイドの安定性が高く硬化特性の経時変化がより少ない点で、SP値が20.0〜25.5である安定剤がより好ましい。例えば、ジオキサン、トリメチルホスフェート、2−エトキシエチルアセテート、トリエチルホスフェート、ピリジン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、1−プロパノール、2−プロパノール、フルフリルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−メチル−1−プロパノール、シクロヘキサノール、1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、ジアセトンアルコール、1,3−ジメチル−1−ブタンジオール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、2−エチル−1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、1−デカノール、ヘキシレングリコール等が挙げられ、単独或いは2種類以上を併用して使用することができる。
但し、この安定剤はラジカル重合型熱硬化性樹脂が硬化した後も硬化物中に残存しているため、芳香族やハロゲンを含有する化合物は、得られる硬化物から溶出すると、環境及び人体へ影響を与える可能性があるため、安定剤としては好ましくない。
また、通常ラジカル重合型熱硬化性樹脂を硬化させる際にケトンパーオキサイドと併用して促進助剤として使用することができる、アミン類やアニリン類等の官能基を有する化合物は、ケトンパーオキサイドの安定性を低下させるため、ケトンパーオキサイドに直接添加する安定剤としては好ましくない。
そして、この安定剤の配合量は、本発明の安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物中、2〜20質量%とすることが好ましく、より好ましくは3〜10質量%である。2質量%未満では白濁を防止する効果が低く、20質量%を超えるとケトンパーオキサイドの安定性が低下する傾向にある。
本発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化(方法)は、ラジカル重合型熱硬化性樹脂を硬化させる際に、前記各成分から構成される安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物と金属石鹸とを組み合わせて行われる。
前記各成分から構成される安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物のラジカル重合型熱硬化性樹脂に対する添加量は、所望する可使時間や硬化温度などによって異なるが、好ましくはラジカル重合型熱硬化性樹脂100質量%に対して0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜5質量%である。安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物の添加量が0.1質量%未満の場合には、硬化が遅く、かつ硬化が不充分となる。一方、その添加量が10質量%を越える場合には、可使時間が短くなり、成形作業が困難となるため、好ましくない。
本発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法で使用する金属石鹸は、硬化促進剤として作用し、例えばナフテン酸コバルト、ナフテン酸カリウム、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸マンガン、オクチル酸コバルト、オクチル酸カリウム、オクチル酸カルシウム、オクチル酸銅、オクチル酸マンガン等が挙げられるが、これらの中でも促進効果が高いナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等のコバルト石鹸が好ましい。
この金属石鹸のラジカル重合型熱硬化性樹脂に対する添加量は、使用する樹脂の種類及び所望する可使時間や硬化温度などによって異なるが、ラジカル重合型熱硬化性樹脂100質量%に対して金属分として好ましくは0.001〜0.5質量%であり、より好ましくは0.005〜0.3質量%である。添加量が0.001質量%未満の場合には、硬化促進剤として作用する効果が低くなるため、常温での硬化速度が遅くなり、成形作業に長時間を要することになる一方、添加量が0.5質量%を越える場合には、硬化促進剤としての効果が高くなるため、可使時間が短くなり、常温での取り扱いが困難となり、かつ増量したことにより、硬化物が金属石鹸に由来する色が強くなり、外観が損なわれるために実用的でない。
尚、金属石鹸は、硬化させる直前にラジカル重合型熱硬化性樹脂に混合しても、予めラジカル重合型熱硬化性樹脂に混合されたものを使用してもよい。
本発明で使用するラジカル重合型熱硬化性樹脂は、通常不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂と呼ばれる以下に示すものである。
このラジカル重合型熱硬化性樹脂としての不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸、飽和二塩基酸及び多価アルコールを特定の割合で加熱脱水縮合させ、エステル化して得られる不飽和ポリエステルをラジカル重合性不飽和単量体(以下、不飽和単量体と略記する。)に溶解させた液状樹脂であり、公知のものがいずれも使用できる。
前記不飽和二塩基酸としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上より選択される。
前記飽和二塩基酸としては、例えば無水フタル酸、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族二塩基酸、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸等の脂肪族二塩基酸等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上より選択される。
前記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物等が挙げられ、これらの群の一種又は二種以上より選択される。
前記不飽和単量体としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ジクロロスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体が挙げられる。また硬化物の残存スチレンを低減するために、モノメチルフマレート、ジメチルフマレート、モノエチルフマレート、ジエチルフマレート、モノプロピルフマレート、ジプロピルフマレート、モノブチルフマレート、ジブチルフマレート、モノオクチルフマレート、ジオクチルフマレート、モノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノエチルマレエート、ジエチルマレエート、モノプロピルマレエート、ジプロピルマレエート、モノブチルマレエート、ジブチルマレエート等のα,β−不飽和多塩基酸アルキル、ジアリルフタレート、N−ビニルピロリドンの他、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート(ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの両方を含むことを意味する。以下同様である。)、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヘベニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、1−エチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等の水酸基末端(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等のアルキル基末端(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール−ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオール−ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド−テトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキエチルフタレート、(メタ)アクリロイルオキシサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレエート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、オレイン酸変性グリシジル(メタ)アクリレート、大豆油脂肪酸変性グリシジル(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド等の(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル類等の一種又は二種以上を単独で、或いはスチレン誘導体と併用して使用することもできる。
そして、不飽和ポリエステル樹脂の構成成分である不飽和ポリエステルと不飽和単量体の好ましい構成比率は、不飽和ポリエステルが30〜80質量%であり、不飽和単量体が70〜20質量%である。不飽和ポリエステルが30質量%未満で、不飽和単量体が70質量%を越える場合には、これらより得られる不飽和ポリエステル樹脂の硬化物の機械的特性が低下する傾向にある。一方、不飽和ポリエステルが80質量%を越え、不飽和単量体が20質量%未満の場合には、これらより得られる不飽和ポリエステル樹脂の粘度が高くなり、作業性が悪化する傾向にある。
一方、前記ラジカル重合型熱硬化性樹脂としてのビニルエステル樹脂は、不飽和エポキシ樹脂又はエポキシアクリレート樹脂とも言われるもので、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂のエポキシ基に、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和一塩基酸又はマレイン酸やフマル酸等の不飽和二塩基酸のモノエステルを開環付加させた反応生成物(以下、エポキシアクリレートと略記する。)を不飽和単量体に溶解させた液状樹脂であり、公知のものがいずれも使用できる。
前記エポキシ樹脂としては、公知のエポキシ樹脂がいずれも使用できるが、具体的には、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールSとエピクロルヒドリンとから合成されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂又はビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールとホルムアルデヒドを酸性触媒存在下反応させて得られるいわゆるフェノールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとから合成されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールとホルムアルデヒドとを酸性触媒存在下で反応させて得られるいわゆるクレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとから合成されるクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記不飽和単量体としては、前述の不飽和ポリエステル樹脂における不飽和単量体(段落0033に記載)と同様の単量体がいずれも使用でき、これらの群の一種又は二種以上より選択される。
そして、ビニルエステル樹脂の構成成分であるエポキシアクリレートと不飽和単量体の好ましい構成比率は、エポキシアクリレートが30〜90質量%であり、不飽和単量体が70〜10質量%である。エポキシアクリレートが30質量%未満で、不飽和単量体が70質量%を越える場合には、これより得られるビニルエステル樹脂の硬化物の耐蝕性や耐熱性が悪化する傾向にある。一方、エポキシアクリレートが90質量%を越え、不飽和単量体が10質量%未満の場合には、これより得られるビニルエステル樹脂の粘度が高くなり、作業性が悪化する傾向にある。
さらに、必要に応じて、公知の有機過酸化物を併用することができる。例えば硬化速度を調整するアセチルアセトンパーオキサイド類、硬化発熱を低下させるハイドロパーオキサイド類、また硬化度を向上させたり中温での硬化性を改良するためのパーオキシジカーボネート、ジアシルパーオキサイド、パーオキシケタール、パーオキシエステル、パーオキシモノカーボネート、ジアルキルパーオキサイド等が挙げられる。
また、本発明の硬化方法においては、硬化速度、最高発熱温度あるいは硬化物の物性を調節する目的で通常使用される重合禁止剤や重合調節剤を使用することができる。この重合禁止剤としては、ハイドロキノン、1,4−ベンゾキノン、1,4−ナフトキノンなどのキノン類、ピロガロール、4,6−ジフェニルピロガロールなどのピロガロール類、カテコール、4−t−ブチルカテコールなどのカテコール類等が挙げられる。また、重合調節剤としては、最高発熱温度を高くさせるアスコルビン酸、最高発熱を低くさせるα−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。これら重合禁止剤及び重合調節剤の使用量は、必要に応じて適宜選択されるが、通常ラジカル重合型熱硬化性樹脂100重量%に対して10重量%以下が好ましい。10重量%を越えると経済的に好ましくない。
さらに、硬化促進助剤、充填剤、着色剤、低収縮剤、離型剤、増粘剤等が必要に応じて配合することができる。
硬化促進助剤としては例えばアセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のケトエステル類、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等の芳香族第三級アミン、2−メルカプトベンゾチアゾールなどのメルカプタン類、四級アンモニウム塩が挙げられる。
充填材としては例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、シリカ、タルク、珪砂、水酸化アルミニウム、ガラスフリット等が挙げられる。
着色剤としては各種有機染料又は無機顔料が挙げられる。
低収縮剤としては例えば、熱可塑性の単独重合体、その共重合体、あるいはブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられる。
離型剤としては例えば、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の内部離型剤やパラフィンワックス等の外部離型剤が挙げられる。
増粘剤としては例えば、酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の酸化物あるいは水酸化物が挙げられる。
さらに、本発明におけるラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法においては、成形品の機械的強度の向上の目的で、例えばロービングクロス、チョップドストランド、チョップドストランドマット、サーフェイスマット及び不織布等のガラス繊維、ホウ素繊維等の無機繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維を強化材として用いることができる。そのため、この硬化方法により得られる本発明の硬化物は、ラジカル重合型熱硬化性樹脂をガラス繊維に積層して充分に脱泡する作業時間を確保することができ、脱泡されない空気が硬化物に残存する事による空洞の発生を抑制することができ、機械強度の低下が見られずに外観も優れた硬化物を得ることができる。
また、本発明のラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法は、本発明のケトンパーオキサイド組成物を用いる限り公知の方法がいずれも適用可能であり、例えばゲルコート法、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、RTM法、注型法、フィルム法、フローコーター法やライニング法が挙げられる。その成形時の雰囲気温度は特に限定されないが、具体的には0℃以上の常温であれば本発明の目的を達成することができる。
尚、雰囲気温度が低いほど残存する不飽和単量体量が多くなる傾向にあり、残存する不飽和単量体量の所望するレベルに達するまでの時間が長くなるので、ジェットヒーター等の加温装置を用いて雰囲気温度を5℃以上にすることが好ましい。また、常温硬化後に温水、熱水、遠赤外ヒーター、ジェットヒーター等を用いて硬化物を加熱処理することもできる。
以下、実施例及び比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例で使用した安定剤及び略称とそのSP値(δ)を表1に示す。
Figure 2007197515
次に、参考例、実施例及び比較例により、本発明を具体的に説明するが、それに先立って、各実施例及び比較例における評価方法を示す。
〔外観〕
ケトンパーオキサイド組成物100gを100mlガラス瓶に入れ、50℃で8日間放置した後の外観を観察し、異物の析出が見られなかったものを○、異物が析出したものを×と示した。また、40℃で2ヶ月間放置したケトンパーオキサイド組成物を0℃に冷却し、白濁や水分離等の変化が見られなかったものを○、白濁や水分離したものを×として示した。
〔活性酸素量保持率〕
調製したケトンパーオキサイド組成物の活性酸素量をヨードメトリーにより測定し、同様に50℃で8日放置した後のケトンパーオキサイド組成物の活性酸素量を測定し、調製直後の活性酸素量で除して活性酸素量の保持率(%)を求めた。
〔硬化特性〕
JIS K 6901(1995年改正)の常温硬化特性の試験方法に準じて25℃で試験し、試料にケトンパーオキサイド組成物を混合してから試料の温度が30℃になるまでの時間をゲル化時間(GT)、最高を示す温度になるまでの時間を硬化時間(CT)、最高を示したときの温度を最高発熱温度(PET)とした。同様に50℃で8日放置した後のケトンパーオキサイド組成物でのGT、CT、PETを測定し、さらにケトンパーオキサイド組成物を調整した直後におけるGTで除してGT変化度(硬化特性の経時変化の指標であり、値が小さくなるとGTが短くなること、値が大きくなるとGTが長くなることを示す)を求めた。
〈参考例1〉
500ml四つ口フラスコに60%過酸化水素水94gを入れ、98%硫酸19gを冷却しながら混合した。次いで、メチルエチルケトン72gと2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(TXIBと略記する)117gを5℃で30分かけて滴下した。15分熟成した後に分離し、得られた有機層を炭酸カルシウムで中和した後に濾過して活性酸素量10.24%のメチルエチルケトンパーオキサイド組成物(TXIB希釈MEKPO組成物と略記する)225gを得た。
〈参考例2〉
TXIBの替わりにジメチルフタレート(DMPと略記する)を用いた以外は参考例1と同様に合成して活性酸素量10.26%のメチルエチルケトンパーオキサイド組成物(DMP希釈MEKPO組成物)227gを得た。
〈参考例3〉
TXIBの替わりにジオクチルアジペート(DOAと略記する)を希釈剤として用いた以外は参考例1と同様に操作し、活性酸素量10.23%のメチルエチルケトンパーオキサイド組成物(DOA希釈MEKPO組成物と略記する)219gを得た。
〈実施例1〉
参考例1で得られたメチルエチルケトンパーオキサイド組成物(TXIB希釈MEKPO組成物)100質量部に対し、1,4−ジオキサン(DOXと略記する)を5質量部添加して安定剤含有メチルエチルケトンパーオキサイド組成物(安定剤含有MEKPO組成物と略記する)を調製した。そして、活性酸素量保持率、異物の析出等の外観を前記方法に準じて評価し、その結果を表2に示した。
また、不飽和ポリエステル樹脂(ジャパンコンポジット(株)製ポリホープG−110AL、スチレン含有量30%)の100質量部に対して6%ナフテン酸コバルト0.3質量部と安定剤含有MEKPO組成物1質量部を混合し、GT変化度等の硬化特性を前記方法に準じて評価し、その結果を表3に示した。
また、ビニルエステル樹脂(昭和高分子(株)製リポキシR−802、スチレン含有量50%)の100質量部に対して6%ナフテン酸コバルト0.5質量部と安定剤含有MEKPO組成物1質量部を混合し、GT変化度等の硬化特性を前記方法に準じて評価し、その結果を表4に示した。
〈実施例2〜5〉
1,4−ジオキサンの替わりに、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGBと略記する)、ジアセトンアルコール(DAAと略記する)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEと略記する)、N−メチル−2−ピロリドン(NM2Pと略記する)を5質量部添加した以外は実施例1と同様に安定剤含有MEKPO組成物を調整し、活性酸素量の保持率、異物の析出等の外観を評価した結果を表2に示した。また不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂のGT変化度等の硬化特性を評価した結果を表3及び4に示した。
〈実施例6〉
1,4−ジオキサン5質量部の替わりに、N−メチル−2−ピロリドン(NM2Pと略記する)を10質量部添加した以外は実施例1と同様に安定剤含有MEKPO組成物を調整し、活性酸素量の保持率、異物の析出等の外観を評価した結果を表2に示した。また不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂のGT変化度等の硬化特性を評価した結果を表3及び4に示した。
〈実施例7、8〉
1,4−ジオキサンの替わりに、ヘキシレングリコール(HGと略記する)、トリエチレングリコール(TEGと略記する)を5質量部添加した以外は実施例1と同様に安定剤含有MEKPO組成物を調整し、活性酸素量の保持率、異物の析出等の外観を評価した結果を表2に示した。また不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂のGT変化度等の硬化特性を評価した結果を表3及び4に示した。
〈比較例1,2〉
参考例2で得られたDMP希釈MEKPO組成物及び参考例1で得られたTXIB希釈MEKPO組成物の活性酸素量の保持率、異物の析出等の外観を評価した結果を表2に示した。また不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂のGT変化度等の硬化特性を評価した結果を表3及び4に示した。
〈比較例3〜7〉
1,4−ジオキサンの替わりに、ジブチルセバケート(DBSと略記する)、エチルアセテート(EAcと略記する)、2−ピロリドン(2Pと略記する)、メタノール(MeOHと略記する)、及びプロピレングリコール(PGと略記する)を5質量部添加した以外は実施例1と同様に安定剤含有MEKPO組成物を調整し、活性酸素量の保持率、異物の析出等の外観を評価した結果を表2に示した。また不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂のGT変化度等の硬化特性を評価した結果を表3及び4に示した。
〈比較例8〉
参考例3で得られたDOA希釈MEKPO組成物100質量部に対し、ジアセトンアルコール(DAA)を5質量部添加して安定剤含有MEKPO組成物を調製した。そして活性酸素量の保持率、異物の析出等の外観を評価した結果を表2に示した。また、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂のGT変化度等の硬化特性を評価した結果を表3及び4に示した。
Figure 2007197515
表2より明らかなように、SP値が20.0〜27.5である安定剤を含む安定剤含有MEKPO組成物である本発明の実施例1〜8は、活性酸素量の保持率が高く、異物の析出もなく、水分離や白濁も見られないことから、貯蔵時の安定性が高いことが明らかである。
これに対し、比較例2で示された安定剤を含有しないTXIB希釈MEKPO組成物及び比較例3で示されたDBS(SP値:16.2)や比較例4で示されたEAc(SP値:18.2)等のSP値が20.0未満である安定剤を含む安定剤含有MEKPO組成物では水分離が見られた。また比較例7で示されたSP値が27.5を超えるPG(SP値:30.3)を安定剤として含む安定剤含有MEKPO組成物では活性酸素量の保持率が低く、水分離が見られた。また比較例8で示されたSP値は20.0〜27.5である安定剤(DAA、SP値20.9)を含むものの、DOAで希釈された安定剤含有MEKPO組成物では、水分離は抑制されるものの異物が析出した。このような異物の析出は、安定剤含有MEKPO組成物をラジカル重合型熱硬化性樹脂のスプレーアップ成形において使用する場合には、スプレー成形機の硬化剤送液ラインに異物による詰まりを発生させる恐れが高い。
Figure 2007197515
表3より明らかなように、実施例1〜8の安定剤含有MEKPO組成物を用いて不飽和ポリエステル樹脂を硬化させた場合は、劣化前後の硬化特性の変化が小さく、特にSP値が20.0〜25.5である安定剤を含む実施例1〜7では、GT変化度がより小さいことから、不飽和ポリエステル樹脂を硬化させる際の硬化特性の経時変化が小さいことが明らかとなった。
これに対し、比較例1で示されたDMP希釈MEKPO組成物や、比較例2で示された安定剤を含まないTXIB希釈MEKPO組成物や、比較例7で示されたSP値が27.5を超える安定剤(PG、SP値:30.3)を含む安定剤含有MEKPO組成物は、硬化速度が経時変化しており、GT変化度が低くなることから硬化速度が速くなり、不飽和ポリエステル樹脂にケトンパーオキサイドを混合するとゲルが短時間で発生するために、ハンドレイアップ成形では不飽和ポリエステル樹脂をガラス繊維等の強化材に含浸させる際にゲルが短時間で発生して脱泡等の成型作業が困難になる。
Figure 2007197515
表4より明らかなように、実施例1〜8の安定剤含有MEKPO組成物を用いてビニルエステル樹脂を硬化させた場合は、劣化前後の硬化特性の変化が小さく、特にSP値が20.0〜25.5である安定剤を含む実施例1〜7では、GT変化度がより小さいことから、ビニルエステル樹脂を硬化させる際の硬化特性の経時変化が小さいことが明らかとなった。
これに対し、比較例5(2P、SP値:28.4)、比較例6(MeOH、SP値:29.7)及び比較例7(PG、SP値:30.3)で示されたSP値が27.5を超える安定剤を含む安定剤含有MEKPO組成物は、硬化特性が経時変化しており、GT変化度が高くなり硬化速度が遅くなることから、ビニルエステル樹脂を用いて成形する際にはゲル化した後に取り掛かる次の積層作業までの時間が長くなり、作業時間が長くなる。
以上の結果から、本発明の安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物は、活性酸素量の保持率が高くかつ貯蔵時の外観の変化が無く、さらにそれを用いたラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化に際し、硬化特性の経時変化が見られないことが確認された。

Claims (3)

  1. ケトンパーオキサイド、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、及びSP値が20.0〜27.5である安定剤からなることを特徴とする安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物。
  2. ラジカル重合型熱硬化性樹脂を硬化させる際に、請求項1に記載の安定剤含有ケトンパーオキサイド組成物と金属石鹸とを組み合わせて用いることを特徴とするラジカル重合型熱硬化性樹脂の硬化方法。
  3. 請求項2に記載の硬化方法により得られることを特徴とする硬化物。
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