JP2007196864A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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茂 遠藤
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Abstract

【課題】燃費性能および耐偏摩耗性能を向上させること。
【解決手段】タイヤ1はカーカスプライ3の半径方向外側に、ベルト7と最外部にトレッド5を備え、さらにトレッド5はキャップゴム層9、ベースゴム層A11を備えると共にタイヤ側部の両ショルダー陸部領域にベースゴム層B13を備える。ここでベースゴム層A11の動的貯蔵弾性率(E’)はキャップゴム層9の動的貯蔵弾性率(E’)より低くベースゴム層B13の動的貯蔵弾性率(E’)はキャップゴム層9の動的貯蔵弾性率(E’)より高い。
【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ半径方向外側にベルト層と最外部にトレッド部を備えた空気入りタイヤに関するものである。
本発明に関する先行技術として特許文献1に示すものがある。従来空気入りタイヤのトレッド部に配置されるゴムは、耐摩耗、耐カット性等に優れるキャップゴムと、発熱耐久性に優れるベースゴムの2種で構成されることが普通である。
空気入りタイヤの燃費性(タイヤの転がり抵抗の大小で示す)向上は主にトレッドゴムのエネルギーロス(不規則に絡み合っているゴムの分子鎖が、力の方向に引き伸ばされるときに消費されるエネルギーのこと)を抑制すべく、キャップゴム層やベースゴム層等のトレッドゴム層の低ロス化やゴム自体の容量を削除する、もしくは形状変更によるトレッドパターンの圧縮剛性アップ等により改良が行われてきている。
また、空気入りタイヤの耐偏摩耗性、特に車両のステア軸に装着されたタイヤに関しては、タイヤの接地形状をほぼ矩形方向に持っていく最適化により、偏摩耗の発生および抑制を図ってきている。
特開2002−240510号公報
しかし、タイヤの燃費性に関しての上記改良は、新品タイヤの燃費性能を向上させるのには有効であるが、タイヤが摩耗していくと改良前品との差は次第に小さくなり、完摩時にはその効果の差はなくなる。
一方、タイヤの偏摩耗に関する上記改良は、一旦テーパーウエアー(以下T/Wと略す)やショルダーエッジウエアー(以下SEWと略す)が発生してしまうとそれらの進展に対しては新品時の接地形状の最適化による抑制効果は小さい。
そこで本発明の目的は、タイヤに摩耗もしくは偏摩耗が発生しても、燃費性および耐偏摩耗性に優れた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明の第1の特徴(請求項1に記載の発明の特徴)は、カーカスプライの半径方向外側に、少なくとも二層のベルト層と、最外部のトレッド部のタイヤ踏面側にキャップゴム層、ベルト層側にベースゴム層Aとを備える空気入りタイヤにおいて、さらにタイヤ側部に動的貯蔵弾性率(E’)が高いベースゴム層Bを前記キャップゴム層よりもベルト層側に配置させる3層構造から成る前記トレッド部があり、前記ベースゴム層Aの動的貯蔵弾性率(E’)は、前記キャップゴム層の動的貯蔵弾性率(E’)よりも低く、かつ前記ベースゴム層Bの動的貯蔵弾性率(E’)は、前記キャップゴム層の動的貯蔵弾性率(E’)よりも高いことである。
第1の特徴によると、前記トレッド部にはタイヤ側部にのみ、動的貯蔵弾性率(E’)が前記キャップゴム層および前記ベースゴム層Aよりも高いベースゴム層Bが配置されているため、該部分の圧縮剛性は非常に高くなっている。そのため摩耗が進み、T/WやSEW等の偏摩耗がタイヤ側部に発生しても接地時に動的貯蔵弾性率(E’)が低いベースゴム層Aは圧縮により縮むが、動的貯蔵弾性率(E’)が最も高いベースゴム層Bの縮みは大きく抑制される。このため例えT/Wが発生しても、ベルト端部を変形させることなく、ベルト性状を新品時と同時に保つので、ベルトのエネルギーロスの発生を抑制でき、タイヤトータルの燃費性能を良くすることができる。またベルト端部が強制的に変形させられることもなく、ショルダー部の踏面を路面に接地させることができるので、T/Wの進展を抑制する効果も有している。
なお、ここで、動的貯蔵弾性率(E’)は、東洋精機社製スペクトロメータを用いて、厚さ:2mm、幅:5mm、長さ:20mmの試験片に初期荷重:150gを与え、動歪:1%、振動数50Hzの条件にて、試験温度:20℃において測定した値である。
本発明の第2の特徴(請求項2に記載の発明の特徴)は、第1の特徴に加えて、前記ベースゴム層Bの厚みは、トレッド端Eからタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AあるいはBと交わる地点から、前記両ショルダー陸部の赤道線側端からタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AあるいはBと交わる地点までの区間内で最大値を持ち、タイヤ赤道線側に向かって漸次薄くなっていき、両側の最外リブ内側端から両側の最外溝底部の区間で0mmとなることである。
ここで、前記ベースゴム層Bの厚みが上記区間で最も厚いのは、この付近がトレッドの厚みが最も厚いためであり、またベルト端が近くにあるため、ベルトの変形を大きく抑制できるからである。なお、ここでは近傍とはトレッド端Eからタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AあるいはBと交わる地点から、前記両ショルダー陸部の赤道線側端からタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AあるいはBと交わる地点までをいう。
本発明の第3の特徴(請求項3に記載の発明の特徴)は、第2の特徴に加えて、前記ベースゴム層Aの厚みは、トレッド端Eからタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AあるいはBと交わる地点から、前記両ショルダー陸部の赤道線側端からタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AあるいはBと交わる地点までの区間内で0mmを取り、前記タイヤ赤道線側に向かって漸次薄くなっていき、両側の最外リブ内側端から両側の最外溝底部の区間で最大値を取ることである。
ここで、上記区間内でベースゴム層Aの厚みが0mmであるのは、該部分に低弾性のゴムが入るとゴムが縮んでしまい、ベルトが曲がってしまうためにそれを避ける目的があるためである。また前記タイヤ赤道線側に向かって漸次厚くなっていき、両側の最外リブ内側端から両側の最外溝底部の区間で最大値を取るのは、偏摩耗が発生しやすい箇所がショルダーリブであるため、この区間でベースゴム層Bが入っていない箇所はベースゴム層Aを最外溝より赤道線側のベースゴム層Aより厚く入れておかないと、この箇所に圧縮が集中してベルトの変形が生じてしまうためである。なお、ここでは近傍とはトレッド端Eからタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AもしくはBと交わる地点から、前記両ショルダー陸部の赤道側端からタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AもしくはBと交わる地点までをいう。
本発明の第4の特徴(請求項4に記載の発明の特徴)は、第2の特徴から第3の特徴に加えて、前記ベースゴム層Bの20℃におけるtanδが0.03より大きく0.20より小さく、かつ動的貯蔵弾性率(E’)が12MPaより大きく、27MPaより小さくなっていることである。ここでtanδは0.05以上0.18以下で、かつ動的貯蔵弾性率(E’)は14MPa以上25MPa以下であることがより好ましい。
第4の特徴によると、tanδを0.03より大きくしたのは、この値と等しいか、もしくは小さいと耐摩耗・耐偏摩耗・耐カット性が十分に上がらないためであり、また0.20より小さくしたのは、この値と等しいか、もしくは大きいと燃費性能が十分に上がらないためである。さらに動的貯蔵弾性率(E’)を12MPaより大きくしたのは、この値と等しいか、もしくは小さいとベースゴム層Aに対して圧縮に関して縮みにくいという要求を満たしにくくなるためであり、27MPaより小さくしたのはこの値と等しいか、もしくは大きくしたとしても圧縮に関する縮みを抑制する効果はほとんど変わらなくなってくるためである。なお、20℃での物性値を対象とするのはこの温度が実地走行結果との相関が比較的よく取れるためである。
なお、ここでtanδ(損失正接)は、東洋精機社製スペクトロメータを用いて、厚さ:2mm、幅:5mm、長さ:20mmの試験片に、動歪:1%、振動数50Hzの条件を加えて、試験温度20℃において測定した値である。
本発明の第5の特徴(請求項5に記載の発明の特徴)は、第2の特徴から第4の特徴に加えて、前記ベースゴム層Aの20℃におけるtanδが0.03より大きく0.07より小さく、かつ動的貯蔵弾性率(E’)が3MPaより大きく8MPaより小さくなっていることである。ここでtanδは0.05以上0.18以下で、かつ動的貯蔵弾性率(E’)は4MPa以上7MPa以下であることがより好ましい。
第5の特徴によると、tanδを0.03より大きくしたのは、この値と等しいか、もしくは小さいと耐摩耗・耐偏摩耗・耐カット性が十分に上がらないためであり、また0.20より小さくしたのは、この値と等しいか、もしくは大きいと燃費性能が十分に上がらないためである。さらに動的貯蔵弾性率(E’)を3MPaより大きくしたのは、この値と等しいか、もしくは小さいと圧縮に対して大きく縮みすぎる可能性があるためであり、7MPaより小さくしたのはこの値と等しいか、もしくは大きいと、ベースゴム層Bと値が近くなり、赤道線からトレッド端まで同じように縮まなくなり、偏摩耗した場合にベルト性状が新品時と異なってしまう可能性があるためである。なお、20℃での物性値を対象とするのはこの温度が実地走行結果との相関が比較的よく取れるためである。
本発明の第6の特徴(請求項6に記載の発明の特徴)は、第2の特徴から第5の特徴に加えて、前記ベースゴム層Bが少なくとも2種以上の異なるゴム層から成ることである。
第6の発明の特徴によると、前記ベースゴム層Bが2種以上あると、漸次弾性率を上げることが出来るため、急激な剛性段差等を避けることが出来る場合があるためである。ただし性能への影響度および生産性等を考慮すると多くとも4種以下にすることが好ましい。
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項の請求項の記載の発明によれば、トレッド部には両ショルダー部領域にのみ、動的貯蔵弾性率(E’)が高いベースゴム層Bが配置されているので、圧縮に対し縮みにくい。そのため偏摩耗が発生してもベルトが変形しにくく、エネルギーロスが発生しにくい燃費性に有効で、かつ接地性も良く偏摩耗の進展を抑制することができるタイヤを提供することができる。
本発明の実施の形態について図1から図2を参照して説明する。
ここで、図1は、本発明の実施形態に係わる空気入りタイヤのクラウン部幅方向断面図、図2は本実施形態における空気入りタイヤのクラウン部の幅方向断面の拡大図である。
図1,2に示すように、本発明の実施形態に係わる空気入りタイヤ1では、タイヤ1の骨格部材であるカーカスプライ3の半径方向外側にトレッド5がベルト7を覆うように設けられている。
トレッド5はキャップゴム層9と、ベースゴム層A11と、ベースゴム層B13とから構成される。ベースゴム層A11の動的貯蔵弾性率(E’)はキャップゴム層9の動的貯蔵弾性率(E’)より低く、かつベースゴム層B13の動的貯蔵弾性率(E’)はキャップゴム層9の動的貯蔵弾性率(E’)より高く設定されている。
また、トレッド5の踏面部にはタイヤ周方向へ延びた一対のセンター周方向主溝15がタイヤ赤道線を挟むように設けられ、またトレッド5の両ショルダー部には、タイヤ周方向へ延びた一対のショルダー周方向主溝17が一対のセンター周方向主溝15を挟むように設けられている。
また、一対のセンター周方向主溝15により、タイヤ周方向へ延びたセンターリブ19がタイヤ幅方向Wに区画され、隣接するセンター周方向主溝15とショルダー周方向主溝17により中間リブ21がタイヤ幅方向Wに区画され、ショルダー周方向主溝17とトレッド幅Eによりショルダーリブ(ショルダー陸部)23がタイヤ幅方向Wに区画される。
ベースゴム層B13の厚みは、トレッド幅Eからタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AあるいはBと交わる地点から、前記両ショルダー陸部の赤道線側端からタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AあるいはBと交わる地点までの区間内で最大値を持ち、タイヤ赤道線S側に向かって漸次薄くなっていき、両ショルダー陸部赤道線側端Fから両側の最外溝底部Gの区間で0mmとなる。ベースゴム層B13の厚みが上記区間で最大の厚みを有するのは、この付近がトレッドの厚みが最も厚く、またベルト7の端部にも近い位置にいるためベルト7の変形を大きく抑制できるためである。
ベースゴム層A11の厚みは、トレッド幅Eからタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AあるいはBと交わる地点から、前記両ショルダー陸部の赤道線側端からタイヤ半径方向内側に垂直に線を下ろしてベースゴム層AあるいはBと交わる地点までの区間内で0mmとなり、タイヤ赤道線S側に向かって漸次厚くなっていき、両ショルダー陸部赤道線側端Fから両側の最外溝底部Gの区間で最大の厚みを取る。ベースゴム層A11の厚みが上記区間で0mmの地点を持つのは該部分に低弾性のゴムが入るとゴムが縮んでしまい、それに伴って接地するためにベルト形状が曲がってしまうことがあるためである。また、タイヤ赤道線S側に向かって漸次厚くなっていき、両側のショルダー陸部内側端Fから両側の最外溝底部Gの区間で最大値を取るのは、この区間で低弾性のベースゴム層A11を入れておくことにより、ショルダー陸部内で弾性率が異なるゴムを配置して、偏摩耗発生時の進展を抑制するためである。
また、ベースゴム層B13の20℃における、粘弾性を表す損失正接tanδが0.03より大きく0.20より小さく、かつ、動的貯蔵弾性率(E’)が12MPaより大きく27MPaより小さくなっている。ここでtanδは0.05以上0.18以下、動的貯蔵弾性率(E’)は14MPa以上25MPa以下となっていることが好ましい。tanδが0.03と等しいか、もしくは小さいと耐摩耗・耐偏摩耗・耐カット性が十分に上がらないためであり、また0.20と等しいか、もしくは大きいと燃費性能が十分に上がらないためである。さらに動的貯蔵弾性率(E’)を12MPaより大きく27MPaより小さくしたのは、12MPaと等しいか、もしくは小さいと、ベースゴム層A11に対して圧縮に関して縮みにくいという要求を満たしにくくなるためであり、27MPa等しいか、もしくは大きくしたとしても圧縮に関する縮みを抑制する効果はほとんど変わらなくなってくるためである。
さらに、ベースゴム層A11の20℃におけるtanδが0.03より大きく0.07より小さく、かつ、動的貯蔵弾性率(E’)が3MPaより大きく8MPaより小さくなっている。ここでtanδは0.05以上0.18以下、動的貯蔵弾性率(E’)は4MPa以上7MPa以下となっていることがより好ましい。tanδが0.03と等しいか、もしくは小さいと耐摩耗・耐偏摩耗・耐カット性が十分に上がらないためであり、また0.20と等しいか、もしくは大きいと、燃費性能が十分に上がらないためである。さらに動的貯蔵弾性率(E’)を3MPaより大きくしたのは、3MPaと等しいか、もしくは小さいと圧縮に対して大きく縮みすぎる可能性があるためであり、8MPaより小さくしたのは、8MPaと等しいか、もしくは大きいとベースゴム層B13と値が近くなり、赤道線からトレッド端まで同じように縮まなくなり、偏摩耗した場合にベルト性状が新品時と異なってしまう可能性があるためである。
図2(a)は本発明品の接地時の断面図を表したものである。走行していくと徐々にショルダーリブ23がT/Wを起こしていき、図2(b)のように特にトレッド端Eが摩耗していく。そのため摩耗したトレッド端Eが接地するためにタイヤショルダー部に伴ってベルト7も変形しようとするが、この際、ベースゴム層B13があるため、ベースゴム層A11のように圧縮剛性によりつぶされることがなく、図2(c)に示すようにベルト7も変形しない。これにより本発明品はT/Wが発生しても、新品と同様の性状を保つことが出来、T/W発生後でもベルト部7のエネルギーロスの増加を抑制することができるのである。
また、ベルトを強制的に変形させることなく、ショルダーリブ23の踏面を路面に接地させることができるので、T/Wの進展を抑制する効果も有している。
なお、図2の構造は基本的に赤道線Sで線対称であるが、溝等パターンは特に線対称である必要はない。
図3は従来品の実施形態に係わる空気入りタイヤのクラウン部幅方向断面図である。空気入りタイヤ101はカーカスプライ103のタイヤ半径外側にトレッド105で覆われたベルト層107を有する。またトレッド105はキャップゴム層_109とベースゴム層_111を有する。
図4は従来品の接地時の断面図を表したものであるが、ショルダーリブ_123に高弾性ゴムであるベースゴム層B13が入っていないため、T/W発生後にトレッド端Eが接地する時、合わせてベルト107の端部も変形してしまうため、ベルト性状を保つことが出来ず、ベルト部のエネルギーロスの増加を引き起こしてしまう。またベルト部を強制的に変形させてショルダーリブ123の踏面を接地させるのでT/Wの進展も早い。
なお、図4の構造は基本的に赤道線Sで線対称であるが、溝等パターンは特に線対称である必要はない。
図5はベースゴム層Bの動的貯蔵弾性率(E’)の数値を振った時のベースゴム層Bの圧縮率である。圧縮率は値が高いほど圧縮されやすいことを表す。このグラフを見るとE’が12乃至16MPa付近で圧縮率が大きく下がっていることが分かる。E’は27MPaまで上がると、それ以上、上げても圧縮率は変わらず、むしろ乗り心地性が悪くなっていく。
図6(a)〜(d)はベースゴム層B13のトレッド5への挿入の仕方に関して、他の一例を示したものである。図6(a)はベースゴム層A11とベースゴム層B13の分割線13aが、半径方向外側である空気入りタイヤ1の踏面側に凸形状で膨出した弧状を形成している例であり、図6(b)は反対に分割線13bが、ベルト7側に凸形状で膨出した弧状を形成している例である。これらは市場での偏摩耗の形態に加えて、ベルト7の構成、ショルダーリブ23の幅や厚み等の要因により、選択する。例えば同じ偏摩耗でもT/Wよりさらに程度が悪いショルダーリブ23全体が偏摩耗しているようなショルダーステップダウン(以下SSDと略す)の場合、ショルダーリブ23にできるだけベースゴム層B13を挿入したいので、図6(a)に示すように、分割線13aが半径方向外側である空気入りタイヤ1の踏面側に凸形状で膨出した弧状を形成している。またトレッド端E付近のみ偏摩耗するようなSEWの時は、トレッド端E付近のみに高弾性のベースゴム層B13を厚く挿入し、ショルダーリブ23の赤道線側端F付近は薄く挿入したいので、図6(b)に示すように、分割線13bが半径方向内側であるベルト7側に凸形状で膨出した弧状を形成している。
図6(c)は分割線13cをトレッド端E側から赤道線S側に向かって、半径方向外側へ直線的に伸びていくように形成したものである。こちらも程度が軽微なSSD等に適用される。また図6(d)は、分割線13dがトレッド端E側から赤道線S側に向かって、半径方向内側側へ直線的に伸びていくように形成したベースゴム層B13がタイヤ側面にまで突き出ている構成を表したものである。通常ベースゴムは発熱耐久性が良いが、カットや耐候性に弱いためカット傷やオゾンによるクラックが発生しやすい。そのためタイヤ側面には露出しないことが多いが、配合によっては上記問題を解消することもできうるため、その一例を示したものである。
なお、図6の構造は基本的に赤道線Sで線対称であるが、溝等パターンは特に線対称である必要はない。
なお、本発明は前述の実施形態の説明に限られるものではなく、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されるものである。
本発明の実施例について説明する。
(1)試験方法
発明品1、2として図1に示す実施形態に係わる空気入りタイヤの製品を用い、各仕様に対してキャップゴム層9,ベースゴム層A11,ベースゴム層B13を表1に示すような物性を持つゴムを各々配置した。また比較品1〜3として図3に示す実施形態に係わる空気入りタイヤの製品を用い、同様に表1に示す物品を持つゴムをキャップゴム層9,ベースゴム層A11に配置した。
そして、発明品1、2および比較品1〜3についてそれぞれ(a)新品時および残溝6mmでの転がり抵抗試験、(b)偏摩耗(T/W)量測定試験を行った。なお、試験条件は、以下のとおりである。
(a)転がり抵抗試験
・使用タイヤサイズ:315/70R22.5
・使用リムサイズ:9.00×22.5
・設定タイヤ内圧:900kPa
・測定荷重:3550kgf
・試験速度:80km/h
上記条件で直径1.7mのドラム上で測定を実施。
(b)偏摩耗(T/W)量両測定試験
・使用タイヤサイズ:315/70R22.5
・使用リムサイズ:9.00×22.5
・設定タイヤ内圧:900kPa
・車両種別:4×2トラクター、3軸トレーラー牽引
・装着位置:フロント輪
・測定荷重:3550kgf
・試験速度:0〜80km/h
・走行距離:100000km
(2)試験結果
(a)転がり抵抗試験
タイヤの燃費性能を表す転がり抵抗性能は、発明品1の新品時を100として、各空気入りタイヤの性能を指数で表示することにより評価した。下記表1に、発明品1、2、および比較品1〜3の転がり抵抗性能を示す。なお表1は、本発明もしくは従来の実施形態に係わる空気入りタイヤにおけるゴムの物性および転がり抵抗指数・乗り心地指数を一覧にまとめたものである。
(b)偏摩耗(T/W)量測定試験
偏摩耗量の測定は、走行開始後、ショルダー周方向主溝17が3mm摩耗するごとに、T/W(片減り摩耗)したショルダーエッジの摩耗量を測定した。なお測定量は下記図7に示す位置で測定した。図8にショルダー周方向主溝17の摩耗量に対するショルダーエッジの摩耗量を示す。
Figure 2007196864
表1において、転がり抵抗指数の数値が小さいほど、転がり抵抗性能が良好なことを示している。表1に示すように発明品1,発明品2共に比較品1に係る空気入りタイヤと比較して、新品時の転がり抵抗指数は変わらないものの、テーパーウエアーが発生している残溝6mmでの転がり抵抗指数が6%程度も良くなっていることが分かる。ただし発明品2はベースゴム層BのE’が高すぎるため乗り心地が悪くなっている。
比較品2はベースゴム層BのE’がキャップゴム層のE’ほど高くないので、テーパーウエアー後の転がり抵抗が発明品1程良くなっていない。また比較品3はベースが全体的に硬くなっているため、ショルダーだけを縮みにくくしたい目的から外れ、テーパーウエアー後の転がり抵抗も比較品1と比べてもあまり変わっていない。
図8において、ショルダー周方向主溝17に摩耗量に対してショルダーエッジの摩耗量が少ないほど、耐偏摩耗(テーパーウエアー)性能が良好なことを示している。発明品1,発明品2共に比較品1に係る空気入りタイヤと比較して、ショルダーエッジの摩耗量が大幅に抑制されていることが分かる。
以上2つの試験から発明品1は比較品1に対して、タイヤが摩耗後、もしくはテーパーウエアー等偏摩耗を起こした後でも転がり抵抗が抑制され、偏摩耗量も同じく大幅に抑制されていることが分かる。
本発明の実施形態に係わる空気入りタイヤにおけるクラウン部の幅方向断面図である。 本発明の実施形態に係わる空気入りタイヤにおけるクラウン部の接地特の幅方向断面図である。 従来の実施形態に係わる空気入りタイヤにおけるクラウン部の幅方向断面図である。 従来の実施形態に係わる空気入りタイヤにおけるクラウン部の幅方向断面図である。 本発明の実施形態に係わる空気入りタイヤにおけるベースゴム層Bの動的貯蔵弾性率(E’)と圧縮率の関係を表す図である。 本発明の実施形態に係わる空気入りタイヤのトレッドにおけるベースゴム層B_13の挿入例を表す図である。 本発明もしくは従来の実施形態に係わる空気入りタイヤにおけるクラウン部の中の特にショルダー部を示し、ショルダーエッジ摩耗量の測定箇所を表す断面図である。 本発明もしくは従来の実施形態に係わる空気入りタイヤにおけるショルダー周方向主溝の摩耗量に対するショルダーエッジの摩耗量を表すグラフである。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
3 カーカスプライ
5 トレッド
7 ベルト
9 キャップゴム層
11 ベースゴム層A
13 ベースゴム層B
15 センター周方向主溝
17 ショルダー周方向主溝
19 センターリブ
21 中間リブ
23 ショルダーリブ
101 空気入りタイヤ
103 カーカスプライ
105 トレッド
107 ベルト
109 キャップゴム層
111 ベースゴム層

Claims (6)

  1. タイヤの骨格部材であるカーカスプライの半径方向外側に、少なくとも二層のベルト層と、最外部のトレッド部のタイヤ踏面側にキャップゴム層、ベルト層側にベースゴム層Aとを備える空気入りタイヤにおいて、
    さらにタイヤ側部に動的貯蔵弾性率(E’)が高いベースゴム層Bを前記キャップゴム層よりもベルト層側に配置させる3層構造から成る前記トレッド部があり、
    前記ベースゴム層Aの動的貯蔵弾性率(E’)は、前記キャップゴム層の動的貯蔵弾性率(E’)よりも低く、かつ前記ベースゴム層Bの動的貯蔵弾性率(E’)は、前記キャップゴム層の動的貯蔵弾性率(E’)よりも高いことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. タイヤ周方向に少なくとも2本の周方向溝が前記トレッド部に設けられ、前記ベースゴム層Bの厚みは、トレッド端近傍で最大の厚みを有し、タイヤ赤道線側に向かって漸次薄くなっていき、タイヤ側面と前記周方向溝との間にある両ショルダー陸部の赤道線側端から両側の最外部の周方向溝の底部の区間で0mmとなることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ベースゴム層Aの厚みは前記トレッド端近傍で0mmであり、前記タイヤ赤道線側に向かって漸次厚くなっていき、前記両ショルダー陸部赤道線側端から両側の最外部の周方向溝の底部の区間で最大値を有することを特徴とする請求項2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ベースゴム層Bの20℃におけるtanδが0.03より大きく0.20より小さく、かつ動的貯蔵弾性率(E’)が12MPaより大きく27MPaより小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記ベースゴム層Aの20℃におけるtanδが0.03より大きく0.20より小さく、かつ動的貯蔵弾性率(E’)が3MPaより大きく8MPaより小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ベースゴム層Bが少なくとも2種以上の異なるゴム層から成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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