JP2007196770A - 車両のディファレンシャル装置の支持構造 - Google Patents

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Tsukasa Uchiyama
司 内山
Hiroyuki Sakata
浩行 坂田
Seiun Kodama
静雲 児玉
Yoshinori Shibata
佳紀 柴田
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Abstract

【課題】ディファレンシャル装置を車体フレームに安定して締結でき、ディファレンシャル装置からの振動を抑制して、騒音による居住性の低下を確実に防止できるディファレンシャル装置の支持構造を提供する。
【解決手段】、プロペラシャフト5からの回転入力を左右のドライブシャフト6,7に配分して伝達する車両のディファレンシャル装置の支持構造において、ドライブシャフト6,7よりもプロペラシャフト5側で車両前後方向に延設されて、一端がフロントデフ8に連結されると共に、他端が弾性ブッシュh4を介してサイドメンバ(車体フレーム)1に締結されるリアブラケット22と、リアブラケット22に対してドライブシャフト6,7を挟んだ反対側でフロントデフ8をサイドメンバ1に弾性支持する左右2つの締結点P1、P2とを備え、リアブラケット22の他端のサイドメンバ1との締結点28の近傍位置にダイナミックダンパ31を装着した。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の回転伝達系のディファレンシャル装置を車体フレームに支持する、車両のディファレンシャル装置の支持構造に関する。
車両はエンジンよりの回転力を前後左右の各車輪に分岐して伝達するための回転伝達系を備え、この回転伝達系を成す各回転伝達部材はそれぞれが対向する車体基部を成す車体フレームの対向部にそれぞれ連結され、支持されている。この場合、回転伝達部材は駆動トルクに応じた振動を発生しやすく、この振動が各回転伝達部材を含む車体構成部材を経て車室の乗員に伝わる。このため、車室を外部より閉鎖しても車体構成部材を経て車室の乗員に振動が伝わることで、乗員の居住性が低下することを防ぐため、各種の振動低減対策が採られている。
例えば、エンジンからの回転力を受けるディファレンシャル装置は、一般にはそのケーシングの一端側にプロペラシャフトの枢支部を設け、ケーシングの他端側であって車幅方向左右側壁には左右ドライブシャフトの枢支部を設ける。ここでディファレンシャル装置は、駆動時に、左右ドライブシャフトを中心とした回転トルクを左右の車輪に伝達し、その際、左右ドライブシャフト側を中心として反対側のプロペラシャフトの枢支部側を上下に揺動変位させ、上下振動を発生させる傾向にある。
このため、ディファレンシャル装置の振動を抑制する必要があり、ディファレンシャル装置は、車体フレームに振動が抑制されるように確実に締付けられ、しかも、ディファレンシャル装置の振動がフレームに伝達されないように、振動吸収用の弾性ブッシュを介装して締結されることが多い。
しかし、車両の回転伝達部材の防振構造として、振動吸収用の弾性ブッシュを用いただけのものでは十分な防振効果が得られず、積極的に振動吸収用のダイナミックダンパを採用することが提案されており、その一例が特開2004−150511公報(特許文献1)に開示されている。ここでのパワートレーンの制振構造は、図8に示すように、車体前後に位置するトランスミッション100とリアディファレンシャル110とを相互にパワープラントフレーム120で連結して車両の剛性を高めると共にパワープラントフレーム120の中間部にダイナミックダンパ160を取付けている。このダイナミックダンパ160は不図示の弾性体を介して基部140に支持された慣性体150を振動させ、これに応じてパワープラントフレーム120の振動を吸収させ、このパワープラントフレーム120の過度な振動変位を抑制し、静粛性を得るようにしている。
特開2004−150511公報
ところで、車体フレームに対してディファレンシャル装置を安定して締結するには、振動源であるディファレンシャル装置から車室乗員に向けて伝達される振動を十分に遮断処理を施した上で車体フレームに締結し、車室乗員の騒音による居住性の低下を防止する必要がある。
しかし、ディファレンシャル装置を車体フレームに締結するにあたり、単に、振動吸収用の弾性ブッシュを用いただけでは十分な振動低減効果が得られない。また、特許文献1に開示されるようなダイナミックダンパをパワープラントフレームに代えてディファレンシャル装置の側壁に取付けただけでは振動、騒音による居住性の低下を十分に防止することができない。
本発明は、上述の問題点に着目してなされたもので、目的とするところは、ディファレンシャル装置を車体フレームに安定して締結でき、しかも、ディファレンシャル装置から車室乗員に向かう振動を抑制して、騒音による居住性の低下を確実に防止できるディファレンシャル装置の支持構造を提供することにある。
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、プロペラシャフトからの回転入力を左右のドライブシャフトに分岐して伝達する車両のディファレンシャル装置の支持構造において、上記ドライブシャフトよりも上記プロペラシャフト側で車両前後方向に延設されて、一端が上記ディファレンシャル装置に連結されると共に、他端が弾性ブッシュを介して車体フレームに締結されるブラケットと、上記ブラケットに対して上記ドライブシャフトを挟んだ反対側で上記ディファレンシャル装置を車体フレームに弾性支持する左右2つの締結点とを備え、上記ブラケット他端の上記車体フレームとの締結点の近傍位置にダイナミックダンパを装着したことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両のディファレンシャル装置の支持構造において、上記ブラケットの要部は車両前後方向に伸びる縦壁部を有した板金部材として延出形成され、上記ダイナミックダンパは上記縦壁部に装着されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の車両のディファレンシャル装置の支持構造において、上記ブラケットは、上記ディファレンシャル装置の左右どちらか一方の側壁部に連結され、上記ダイナミックダンパは上記ブラケットの縦壁部の車両外側に取付けられることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1つに記載の車両のディファレンシャル装置の支持構造において、上記ディファレンシャル装置の2つの締結点は、該ディファレンシャル装置から車幅方向に延設された補助ブラケットに設けられており、該補助ブラケットは、該補助ブラケットの略中央部が上記ディファレンシャル装置に連結され、左右両端部が車体フレームに締結されることを特徴とする。
請求項1記載の車両のディファレンシャル装置の支持構造によれば、ディファレンシャル装置を3つの締結点からなるデフ固定平面上に弾性ブッシュを介して安定して支持でき、最適チューニングにより偏りなく各点での振動低減を図るように配置できる。しかも、プロペラシャフト側に設けたブラケットの車体フレームとの締結点の近傍位置にダイナミックダンパが装着されるので、ディファレンシャル装置が車幅方向左右端より突設する左右ドライブシャフトを中心とした上下揺動変位を、同左右ドライブシャフトより比較的大きく離れたプロペラシャフト側より突き出すブラケット上のダイナミックダンパが効率よく低減でき、更に、車室の乗員に達する前に騒音レベルを確実に低減することができる。
請求項2記載の車両のディファレンシャル装置の支持構造によれば、ブラケットが板金部材であるので、延出方向への加工の自由度を確保でき、しかも、縦壁部にダイナミックダンパを容易に締結でき、組付け装着性がよくコスト低減を図ることができる。
請求項3記載の車両のディファレンシャル装置の支持構造によれば、ダイナミックダンパがブラケットの縦壁部の車両外側の側面、即ち回転伝達系の部材と対向しない側に取付けられるので、たとえダイナミックダンパ側の部材に破損等が生じても回転伝達系の部材に衝突することを防止できる。
請求項4記載の車両のディファレンシャル装置の支持構造によれば、ディファレンシャル装置のデフ固定平面を規制する3つの締結点のうちの左右2つの締結点の配置位置の自由度が増し、ディファレンシャル装置をより安定して支持できる。
図1、2にはこの発明の一実施形態としての車両のディファレンシャル装置の支持構造を備えた自動車の下部車体構造を示した。
この下部車体構造は、車体の前後方向Xに長い左右一対のサイドメンバ1,2と、これら両サイドメンバ1,2間を一体結合し前後に順次配備された複数のクロスメンバ3,4とを備え、これらが車体構成部材の井形基枠部Aを成す。この井形基枠部Aに不図示のエンジンからの回転力を左右の不図示の前車輪に伝達する回転伝達系Dが支持されている。
井形基枠部Aには不図示のエンジンからの回転力をプロペラシャフト5を介して受け、左右ドライブシャフト6,7を介して左右の前車輪に回転力を分岐して伝達するフロントディファレンシャル(以後単にフロントデフ)8が対向配備され、同フロントデフ8が前部の左右サイドメンバ1,2と前後の第1、第2クロスメンバ3,4からなる井形基枠部Aに支持されている。なお、井形基枠部Aの後方上部(図1で右側上部)に不図示の車室が対向配備される。
フロントデフ8はそのフロントデフケーシング9の後端部にプロペラシャフト5側に自在継ぎ手11を介して連結される入力軸12の後部軸受け部13が形成され、車幅方向Yでの左右端の左右側壁14内に左右ドライブシャフト6,7に連結された等速ジョイント15の左右軸受け部16,17が形成される。しかも、フロントデフケーシング9内にはプロペラシャフト5側からの回転力を所定減速比で減速する不図示の減速ギア列と、同減速ギア列の回転を左右ドライブシャフト6,7に相対回転可能に分岐して伝達する不図示のディファレンシャルギア列とが内装されている。
更に、フロントデフケーシング9はその前向きの縦壁からなる前取付け部18にフロントディファレンシャルマウントブラケット(以後単にフロントブラケットと記す)19の中央部が複数のボルトで締結され、後部であるプロペラシャフト5側の左縦壁からなる後部取付け部21に車両後方に延出するリアディファレンシャルマウントブラケット(以後単にリアブラケットと記す)22の基端部221が複数のボルトで締結されている。
上述の井形基枠部Aを形成する左右サイドメンバ1,2の前側には第1クロスメンバ3が溶着され、その左右溶着部a,bの直後位置には車体中央側に向けて左右の前締結ブラケット23,24が溶着される。更に、左サイドメンバ1上で第2クロスメンバ4の左溶着部cの後側近傍には後締結ブラケット30が溶着される。ここで左右の前締結ブラケット23,24はフロントブラケット19の左右端を連結し、後締結ブラケット30はリアブラケット22の後端を連結する。
左右の前締結ブラケット23,24は、それぞれにその基部が左右サイドメンバ1,2に溶着され、例えば図5(a)に示す前締結ブラケット23のように、基部230より屈曲して車体中央側に向けて一対の縦フランジ231を延出形成している。そして、前締結ブラケット23の縦フランジ231間には、フロントブラケット19の左端の締結部25が嵌着されると共に、前締結ブラケット24の縦フランジ241間には、フロントブラケット19の右端の締結部26が嵌着され、両者が連結ボルト27で相互に締結されるように構成される。
フロントブラケット19は図1、図2に示すように、縦壁主部191を車幅方向Yに連続して延ばし、周縁部にフランジ192を屈曲形成した車幅方向Yに長い板金部材であり、左右端に左右締結部25,26が形成される。例えば図5(a)に示すように、締結部25は縦壁主部191に形成される取付け孔h1とその周縁の環状フランジh2と、環状フランジh2に嵌着され、中央に締結ボルト27を嵌挿するパイプ部h3を備えたゴム製のブッシュh4とを備える。パイプ部h3に嵌挿される締結ボルト27は左右の前締結ブラケット23,24側の両縦フランジ231、241のボルト孔に連続して挿通されて締結処理される。これによりフロントブラケット19の左右端部は、図1に示すように、左右の締結部25,26を介して左右サイドメンバ1,2に左右2つの締結点P1,P2で締結される。
このようにフロントブラケット19は図1、図5(b)に示すように、その中央をフロントデフ8の前取付け部18に一体結合され、締結部25,26が図1,図5(a)に示すように、左右のサイドメンバ1,2に連結されるので、フロントデフ8の左右側の各ローリング変位がほぼレバー比L1/2で拡大されるフロントブラケット19の左右位置において確実にローリング変位を抑制するように支持できる。
左右サイドメンバ1,2に対し第2クロスメンバ4の左右端が左右溶着部c、dで溶着される。このうち、左溶着部cの車両後側近傍には後締結ブラケット30が溶着される。この後締結ブラケット30は、図1、4に示すように、左サイドメンバ1の車両中央側側壁に溶着される一対の脚部301と両脚部の突き出し端を相互に連結する突壁部302と、両脚部301の互いに対向する壁面間を結合する補助ブラケット303と、この補助ブラケット303と突壁部302間に配備され一体結合されたナットパイプ304とを備える。
ここで突壁部302よりナットパイプ304の先端が突き出しており、その部位にリアブラケット22後端の締結部28が締結ボルト29で締結される。
図1、2、4に示すように、リアブラケット22はフロントデフ8の後端側(プロペラシャフト側)の左側縦壁部の後部取付け部21(図1参照)より後締結ブラケット30まで屈曲して延設される。リアブラケット22は、板金部材より形成される縦壁主部221と、その周縁より屈曲して延出するフランジ222と、縦壁主部221の後端側に形成された締結部28とから構成され、この締結部28近傍には、ダイナミックダンパ31の取付け部223が形成されている。
次に、フロントデフ8の左側縦壁部に形成された後部取付け部21より車両後方に延びるリアブラケット22は途中で左側、即ち、この車両での助手席側(車両外側)に偏って延出し、左サイドメンバ1の後締結ブラケット30に締結される。このようにリアブラケット22はやや車幅方向Y左側(車室の助手席側)に偏って延出させることで、車体のほぼ中央に前後に向けて順次配設されているフロントデフ8の後端軸受け部13、入力軸12、自在継ぎ手11及びプロペラシャフト5との干渉を回避して配設している。
リアブラケット22の後端に形成された締結部28は、フロントブラケット19の締結部25、26と同様の構成を採る(ここでは図5(a)の構造を参照する)。即ち、縦壁主部221に形成される取付け孔h1と、その周縁の環状フランジh2と、環状フランジh2に嵌着され、中央に連結ボルト29(図5(a)では符号27)を嵌挿するパイプ部h3を備えたブッシュh4とを備える。ここで、パイプ部h3に嵌挿される連結ボルト29が後締結ブラケット30のナットパイプ304に締結されることで、リアブラケット22の後端が締結点P3で締結される。
このように、フロントデフ8はその後端側にリアブラケット22を一体結合し、リアブラケット22の後端側をサイドメンバ1に締結することで、締結点P3を十分に後方に配置できる構成としている。即ち、フロントブラケット19に対して前後方向にL2だけ後方に配置でき、更に、左右のドライブシャフト6,7位置よりL3だけ後方に配置できる。
ところで、ダイナミックダンパ31は、図6(a),(b)に示すように、リアブラケット22の後端側の取付け部223に締結ボルト32で結合される枠体33と、同枠体33の互いに対向する左右の内壁面間にそれぞれ弾性部材であるゴムブロック34を介して連結された矩形の厚板状の慣性体35とを備える。しかも、枠体33は縦壁部に重なり互いに締結される一対の基板部331と、一対の基板部331間を相互に連続的に一体結合する帯板状枠部332と、帯板状枠部332の上下端縁より屈曲して延出し、枠体内空間eの上下開口の要部を覆う上下のストッパ片36とを一体的に形成する板金部材として形成される。なお、慣性体35はその左右端面を一対のゴムブロック34を介して枠体33の左右の内壁面に相互に加硫接着されている。
図4、図6(a),(b)に示すように、帯板状枠部332は略矩形の枠体内空間eを形成するように屈曲形成され、中央部位の上下端縁からは上下ストッパ片36を突き出し形成している。上下ストッパ片36は枠体内空間eの主要部を覆う大きさを有し、即ち、厚板状の慣性体35の枠体内空間eからの飛散を防止できる程度の大きさを有し、上下ストッパ片36の周縁と帯板状枠部332との間に隙間tを形成し、ゴムブロック34の過度の昇温を抑制するための冷却用の外気の循環を促進できるようにしている。
このような図1のディファレンシャル装置の支持構造の作動を説明する。
図1のディファレンシャル装置の支持構造を備えた車両が走行した場合、車体基部を成す井形基枠部Aに対してフロントデフ8は左右締結点P1,P2及び車両後方側の締結点P3からなる比較的大きく確保されたデフ固定平面F(図1参照)上に配置され、これによりフロントデフ8が安定して支持される。特に、フロントデフ8の左右側の各ローリング変位がほぼレバー比L1/2で拡大される左右締結点P1,P2において確実に抑制される。このため、左右ドライブシャフト6,7を介して左右の前車輪からの路面反力が入力されても、これらは3点P1,P2,P3で確実に押さえ込まれ、振動を抑制することができる。しかも、3点P1,P2,P3の各弾性ブッシュによっても振動低減を図れる。
ここで、車室に対して最も近い締結点P3には、ほぼ3分割された振動の一部が伝達されることとなり、この点で振動低減を図れる。特に、フロントデフ8は左右ドライブシャフト6,7の回転トルクの増減に応じて、同左右ドライブシャフト6,7を中心に上下に揺動するが、それに伴い、左右ドライブシャフト6,7より後方に間隔L3だけ離れた車両後方側の締結点P3を上下に振動する。しかし、この上下振動は、リアブラケット22の後端側のダイナミックダンパ31によって吸収される。
ここでフロントデフ8の後方側(プロペラシャフト5側)の左縦壁からなる後部取付け部21より突き出すリアブラケット22上のダイナミックダンパ31は、車室の乗員に達する前に回転トルクに起因する騒音レベルを効率よく、確実に低減することができる。
即ち、フロントデフ8の左右ドライブシャフト6,7回りの回転力による上下振動をレバー比L3で大きく受ける位置に配設されたダイナミックダンパ31はその慣性体35の上下振動に伴う一対のゴムブロック34の弾性変位を熱エネルギーに変換し、この発生熱を外気の循環によって放熱し、振動吸収機能を発揮できる。
この場合、ダイナミックダンパ31は締結点P3より車両前側に配置され、フロントデフ8の締結点P3側の上下振動を十分低減してから締結点P3より左サイドメンバ1に伝える。このため、左サイドメンバ1を経て締結点P3より後方の車室に達する振動はダイナミックダンパ31で十分に減衰され、振動により発生する騒音のレベルも車室乗員に達する前に確実に低減する。特に、締結点P3が車室の助手席側に偏った位置にあるので、助手席と反対側の運転席に達する振動や騒音がより低減されることとなり、この点でも十分な振動低減効果を得ることができる。
ここで用いるリアブラケット22は、車両前後方向に延出するが、板金部材であるので屈曲して延出する形状を容易に形成でき、加工の自由度を確保でき、しかも、縦壁部にダイナミックダンパ31を締結ボルトの締め付けのみで容易に締結でき、組付け装着性がよく、この点でコスト低減を図れる。
更に、ダイナミックダンパ31は枠体内空間eの上下開口を一対のストッパ片36で覆い、慣性体35の飛散を防止しており、これに加え、ダイナミックダンパ31はリアブラケット22の縦壁部221の助手席側面(車両外側面)、即ち、回転伝達系Dのプロペラシャフト5等の部材と対向しない側に取付けられるので、たとえダイナミックダンパ31側の慣性体35等の部材に破損等が生じ、飛散が生じると仮定しても、回転伝達系Dの部材との衝突を回避でき、回転伝達系Dの2次破損を防止できる。
上述のところで図1のディファレンシャル装置の支持構造では、フロントデフ8が井形基枠部A側にフロントブラケット19を介して左右の締結点P1,P2で締結されていたが、これに代えて、ディファレンシャル装置の支持構造を図7に示すように、フロントデフ8が井形基枠部B側に直接左右の締結点P1’,P2’で締結されるような構成としても良い。
この場合、井形基枠部Bにおける第1クロスメンバ3の上向き面には立て板41が溶接される。この立て板41には車幅方向Yに互いに離れた位置に左右の締結部42,43が形成される。左右の各締結部42,43は図5(a)に示した左の締結部25と同様の構成を採る(ここでは図5(a)の構造を参照する)。即ち、立て板41(図5(a)での縦壁主部191)に形成される取付け孔h1とその周縁の環状フランジh2と、環状フランジh2に嵌着されるパイプ部h3を備えたブッシュh4とを備える。
フロントデフ8の前取付け部18上であって、左右の各締結部42,43と対向する部位には左右取付けボルト46,47(図5(a)での符号27)が突設される。左右取付けボルト46,47はブッシュh4中央のパイプ部h3(図5(a)参照)に嵌挿され、ナット44でそれぞれ締め付け処理される。これによりフロントデフ8の前取付け部18は第1クロスメンバ3上の立て板41に左右2つの締結点P1’,P2’で締結される。
この場合もフロントデフ8の後部取付け部21には、図1に示したと同様のダイナミックダンパ31を取付けたリアブラケット22が締結され、その締結部28がリアブラケット22を介して左側のサイドメンバ1,2と一体の後締結ブラケット30に締結され、締結点P3が同様に設定されている。
このような図7のディファレンシャル装置の支持構造は図1のディファレンシャル装置の支持構造と比較し、フロントブラケット19に関連する効果以外の作用効果を同様に確保することができ、特に、構成の簡素化を図れる。
本発明の一実施形態として車両のディファレンシャル装置の支持構造が適用された自動車の下部車体構造の要部平面構成図である。 図1の下部車体構造の要部分解斜視図である。 図1のディファレンシャル装置の支持構造で用いるフロントデフ8の拡大側面図である。 図1の下部車体構造の要部底面斜視図である。 図1のディファレンシャル装置の支持構造で用いる前部締結部の拡大要部断面図である。 図1のディファレンシャル装置の支持構造で用いるダイナミックダンパを示し、(a)は部分切欠平面図、(b)は側断面図である。 本発明の他の実施形態としての車両のディファレンシャル装置の支持構造が適用された自動車の下部車体構造の要部平面構成図である。 従来のディファレンシャル装置の支持構造に用いるダイナミックダンパの側面図である。
符号の説明
1,2 左右のサイドメンバ(車体フレーム)
8 フロントデフ(ディファレンシャル装置)
9 フロントデフケーシング
18 前取付け部
19 フロントブラケット
22 リアブラケット
25,26,28 締結部
31 ダイナミックダンパ
h4 弾性ブッシュ
A、B 井形基枠部
D 回転伝達系
F デフ固定平面
P1,P2,P3 締結点
X 前後方向
Y 車幅方向

Claims (4)

  1. プロペラシャフトからの回転入力を左右のドライブシャフトに分岐して伝達する車両のディファレンシャル装置の支持構造において、
    上記ドライブシャフトよりも上記プロペラシャフト側で車両前後方向に延設されて、一端が上記ディファレンシャル装置に連結されると共に、他端が弾性ブッシュを介して車体フレームに締結されるブラケットと、
    上記ブラケットに対して上記ドライブシャフトを挟んだ反対側で上記ディファレンシャル装置を車体フレームに弾性支持する左右2つの締結点とを備え、
    上記ブラケット他端の上記車体フレームとの締結点の近傍位置にダイナミックダンパを装着したことを特徴とする車両のディファレンシャル装置の支持構造。
  2. 請求項1記載の車両のディファレンシャル装置の支持構造において、
    上記ブラケットの要部は車両前後方向に伸びる縦壁部を有した板金部材として延出形成され、上記ダイナミックダンパは上記縦壁部に装着されることを特徴とする車両のディファレンシャル装置の支持構造。
  3. 請求項1または2に記載の車両のディファレンシャル装置の支持構造において、
    上記ブラケットは、上記ディファレンシャル装置の左右どちらか一方の側壁部に連結され、
    上記ダイナミックダンパは上記ブラケットの縦壁部の車両外側に取付けられることを特徴とする車両のディファレンシャル装置の支持構造。
  4. 請求項1乃至3の何れか1つに記載の車両のディファレンシャル装置の支持構造において、
    上記ディファレンシャル装置の2つの締結点は、該ディファレンシャル装置から車幅方向に延設された補助ブラケットに設けられており、該補助ブラケットは、該補助ブラケットの略中央部が上記ディファレンシャル装置に連結され、左右両端部が車体フレームに締結されることを特徴とする車両のディファレンシャル装置の支持構造。
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CN102815207A (zh) * 2011-06-08 2012-12-12 本田技研工业株式会社 差速装置及具备该差速装置的车辆

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CN102815207A (zh) * 2011-06-08 2012-12-12 本田技研工业株式会社 差速装置及具备该差速装置的车辆
CN102815207B (zh) * 2011-06-08 2015-04-22 本田技研工业株式会社 差速装置及具备该差速装置的车辆

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