JP2007195809A - 筍の皮を用いた抗菌性マット - Google Patents

筍の皮を用いた抗菌性マット Download PDF

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Abstract

【課題】資源の有効利用を図ることができ、しかも経済的に製造可能な筍の皮を用いた抗菌性マットを提供する。
【解決手段】通気性を有する布地製袋体と、布地製袋体内に入れる充填材とを有するマット10であって、充填材は、洗浄して乾燥させた筍の皮を原料11とし、原料11から得た抗菌性を有する筍繊維12を10質量%以上含む。これにより、従来そのほとんどが処分されていた筍の皮の有効利用を図りながら、抗菌性を有するマットを経済的に製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、使用者が寝たり横たわったりするときに使用するものであり、医療施設、介護施設、宿泊施設、又は一般家庭で使用でき、特に医療施設又は介護施設での使用に適した筍の皮を用いた抗菌性マットに関する。
従来、例えば、医療施設、介護施設、宿泊施設、又は一般家庭では、使用者が寝るためにマットが使用されている。このマットは、例えば、人体から出る汗、脂肪、又は蛋白質によって汚れ、あるいはダニ又は雑菌が付着する可能性が高い。
そこで、マットの衛生状態を良好にするため、例えば、特許文献1には、亜鉛−アルミニウム合金を抗菌剤として使用したマットが開示され、また特許文献2には、光触媒と銀メタル系の抗菌剤を使用したマットが開示されている。
特開平11−335967号公報 特開2005−298996号公報
しかしながら、前記特許文献1、2の記載のように、抗菌剤として有価金属を使用する場合、マットの長期使用によって、マットから抗菌剤が離脱したり、また、マットを廃棄する場合は抗菌剤も一緒に廃棄され、有価金属の有効利用が図れない。また、抗菌剤の効能が薄れてきた場合、マットに新たに抗菌剤を付与する必要があるが、ランニングコストがかかり経済的でない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、資源の有効利用を図ることができ、しかも経済的に製造可能な筍の皮を用いた抗菌性マットを提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る筍の皮を用いた抗菌性マットは、通気性を有する布地製袋体と、該布地製袋体内に入れる充填材とを有するマットであって、
前記充填材は、洗浄して乾燥させた筍の皮を原料とし、該原料から得た抗菌性を有する筍繊維を10質量%以上含む。
本発明に係る筍の皮を用いた抗菌性マットにおいて、前記乾燥させた筍の皮の水分は、5質量%以上15質量%以下の範囲であることが好ましい。
本発明に係る筍の皮を用いた抗菌性マットにおいて、前記充填材は更に、前記原料から得た抗菌性を有する筍皮片を含むことが好ましい。
本発明に係る筍の皮を用いた抗菌性マットにおいて、前記筍繊維の最大幅は、0.1mm以上2mm以下の範囲であることが好ましい。
本発明に係る筍の皮を用いた抗菌性マットにおいて、前記充填材は更に、弾力性を有する天然繊維及び化学繊維のいずれか1又は2を含むことが好ましい。
本発明に係る筍の皮を用いた抗菌性マットにおいて、前記筍繊維は、乾燥させた前記筍の皮を解繊して形成することが好ましい。
請求項1〜6記載の筍の皮を用いた抗菌性マットは、布地製袋体内に入れる充填材が、筍の皮から得た抗菌性を有する筍繊維を含むので、従来そのほとんどが処分されていた筍の皮の有効利用を図りながら、抗菌性を有するマットを経済的に製造できる。また、抗菌性マットの充填材は、筍繊維を10質量%含むので、その衛生状態を良好にできると共に、弾力性も備えている。この抗菌性マットは、例えば、医療施設、介護施設、宿泊施設、又は一般家庭で使用できるが、特に医療施設又は介護施設での使用に適している。
特に、請求項2記載の筍の皮を用いた抗菌性マットは、充填材に使用する筍繊維の原料となる乾燥させた筍の皮が所定量の水分を有しているので、筍繊維がばらばらに折れることを抑制できる。これにより、抗菌性マットの弾力性が損なわれにくくなり、使用者が抗菌性マットを快適に使用できる。
請求項3記載の筍の皮を用いた抗菌性マットは、充填材が更に、筍の皮から得た抗菌性を有する筍皮片を含むので、抗菌性マットの抗菌性を更に高めることができる。また、抗菌性マットが必要な抗菌力を、筍繊維と筍皮片で得ることにより、筍繊維の使用量を低減でき、例えば、充填材の全てを筍繊維で構成する場合と比較して、抗菌性マットの製造コストを低減できて経済的である。
請求項4記載の筍の皮を用いた抗菌性マットは、筍繊維の最大幅を所定範囲に設定することで、柔軟性を有する筍繊維を充填材として使用できる。
請求項5記載の筍の皮を用いた抗菌性マットは、充填材が更に、弾力性を有する繊維を含むので、この繊維の充填量を調整することにより、使用者の好みに応じた弾力性を備える抗菌性マットを提供できる。また、抗菌性マット内の充填材の全てを、筍繊維で構成した場合と比較して、筍繊維の使用量を低減でき、製造コストを低減できて経済的である。
請求項6記載の筍の皮を用いた抗菌性マットは、筍繊維を簡単な方法で得ることができる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る筍の皮を用いた抗菌性マットの製造方法の説明図、図2(A)は変形例に係る筍の皮を用いた抗菌性マットの斜視図、(B)は(A)のX−X矢視断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る筍の皮を用いた抗菌性マット(以下、単にマットともいう)10は、通気性を有する布地製袋体と、該布地製袋体内に入れる充填材とを有するマットであって、充填材が、洗浄して乾燥させた筍の皮を原料11とし、該原料11から得た抗菌性を有する筍繊維12を含んでいる。以下、詳しく説明する。
マット10は、例えば、使用者が寝たり横たわったりするときに使用するものであり、ベッドに使用するものを含むが、例えば、ソファー又は椅子の上に敷きクッションとして使用するものでもよい。このマット10の形状は、平面視して矩形(長方形又は正方形)であるが、使用用途に応じて、例えば、多角形、円形、又は楕円形でもよい。なお、使用者が寝るときに使用するマットは、その形状が平面視して矩形となっており、その長手方向の長さが、例えば、1m以上2m以下程度、幅が、例えば、0.5m以上2m以下程度であり、厚みが、例えば、3cm以上30cm以下程度である。
マット10を構成する布地製袋体は、例えば、綿、麻、又は葛のような繊維で織った織物で構成されており、その一部に開口部が形成され、内部に充填材を入れた後に縫い合わせられている。しかし、開口部に互いに噛み合う構成となったファスナーを取付け、開口部を開閉可能にすることも可能であり、この場合、充填材は、予めネット状袋体に収納し、これを布地製袋体内に入れるとよい。
布地製袋体内に入れる充填材は、洗浄して乾燥させた筍の皮を原料11とするものであり、該原料11から得た抗菌性を有する筍繊維12を10質量%以上含んでいる。
ここで、筍繊維12の製造方法について説明する。
筍は、竹の地下茎から出る若芽であり、その周囲を包む鱗片状の皮を、筍の皮として使用する。この筍の皮は、例えば、竹林、青物市場、又は八百屋から収集できる。なお、筍の皮を得る竹の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、マダケ、モウソウチク、ハチク、クロチク、ヤダケ、及びメダケのいずれか1又は2以上を使用することができる。この筍の皮には、炭水化物、水分、たんぱく質、脂質、及び灰分が含まれており、中でも植物繊維は、例えば、80質量%以上90質量%以下含まれている。
次に、収集した筍の皮を水洗いし、表面に付着した土及び埃を取り除く。なお、水洗いは、水を吹き付けるシャワーを使用して実施できるが、水槽に浸漬させて洗う洗濯機を使用してもよい。
このようにして、洗浄した筍の皮を乾燥させ、原料11を製造する。この乾燥は、筍の皮を解繊し易くするために行うものであり、熱又は熱風を利用した乾燥機を使用して実施できるが、大気中に放置する自然乾燥でもよい。
次に、得られた筍の皮の原料11を解繊し、筍繊維12を形成する。この解繊には、物理的な衝撃を与える手段として、ショットブラストを使用できるが、木の棒を用いて叩いたり、スタンパーのような打解機、又はビーターのような叩解機を使用することもできる。
以上の方法により、長さが20cm以上50cm以下(好ましくは、30cm以上40cm以下)の筍繊維12を製造できる。
製造した筍繊維12は、抗菌性を備えている。以下、その根拠について説明する。
筍繊維の抗菌力の試験は、JIS L 1902:2002「繊維製品の抗菌性試験方法」10.1菌液吸収法を参考にして行った。この試験には、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3301)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC 12732)の2種類の菌を使用した。以下、詳しく説明する。
試験菌液の調整は、以下の方法で行った。
まず、試験菌株を、培地であるNutrient Agar(Difco製)平板上に画線し、37℃±1℃で48時間培養した後、1つの白金耳を他の培地であるNutrient Broth(Difco製)20mL(ミリリットル)に移植し、37℃±1℃、110rpm、振幅3cmで、18〜24時間振とう培養した。この菌液を、Nutrient Brothで菌数が1〜2×108/mLとなるように調整し、これをNutrient Broth 20mLに0.4mL接種して、37℃±1℃、110rpm、振幅3cmで、3±1時間振とう培養した。この菌液を、1/20濃度のNutrient Brothで、生菌数が約105/mLとなるように調整し、試験菌液とした。
試験片の調整は、以下の方法で行った。
まず、筍繊維約0.4gを採取し、試験片とした。これを培養試験容器(以下、単に容器ともいう)内に入れ、容器のキャップを外した状態で上部をアルミニウム箔で覆い、湿熱滅菌処理(121℃、15分間)を行った後、自然冷却した。容器の温度が80〜100℃になったときに、容器の上部からアルミニウム箔を外し、この容器をクリーンベンチ内へ入れて1時間風乾した後、キャップを閉めた。
なお、比較例として、標準布(綿)についても、上記方法により同様の処理を行った。
上記調整した試験菌液を、容器内の試験片上に0.2mL接種し、37℃±1℃、18±1時間培養した後、容器に氷冷した0.2%ポリソルベート80(Tween 80)加生理食塩液20mLを加え、強く振とうして試験片中の菌を液中に分散させた。この分散液中の生菌数を菌数測定用培地を用いた混釈平板培養法により測定した。なお、この測定は、筍繊維(実施例1)と標準布(比較例1)の各試験片について、3個ずつ(試験片1〜3)行った。
ここで、比較例1については、接種直後の生菌数も測定した。
この結果を表1に示す。
Figure 2007195809
表1から明らかなように、筍繊維を使用した実施例1は、大腸菌と黄色ブドウ球菌のいずれについても、比較例1に比べて極端に少なく、筍繊維が抗菌性を有していることを確認できた。
なお、筍繊維が抗菌性を有するのは、筍の皮に抗菌性があることに起因する。この筍の皮が抗菌性を備えている根拠について、以下説明する。
筍繊維を製造する前の筍の皮(板状)の抗菌力の試験は、JIS Z 2801:2000「抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果」5.2プラスチック製品などの試験方法を参考にして行った。この試験には、大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC 12732)の2種類の菌を使用した。なお、筍の皮は、湿熱滅菌(121℃、15分間)した後に、試験に使用した。また、生菌数の測定は、筍の皮(実施例2)とポリエチレンフィルム(比較例2)の各試験片について、3個ずつ(試験片1〜3)行った。
ここで、試験に用いた試験片、フィルム、及び菌液の概要を表2に、また試験結果を表3に、それぞれ示す。
Figure 2007195809
Figure 2007195809
表3から明らかなように、筍の皮を使用した実施例2は、大腸菌と黄色ブドウ球菌のいずれについても、比較例2に比べて極端に少なく、筍の皮が抗菌性を有していることを確認できた。
前記した方法で製造した抗菌性を有する筍繊維12の最大幅(断面が実質的に円形の場合は直径)は、0.1mm以上2mm以下の範囲である。
このように、筍繊維の最大幅を0.1mm以上2mm以下の範囲に設定することで、筍繊維に柔軟性を与え、マットの充填材として使用する際に、マットとして必要な弾力性を有することができる。
従って、筍繊維に更なる柔軟性を付与するためには、筍繊維の最大幅の下限値を0.2mm、更には0.5mmとし、上限値を1.5mm、更には1mmとすることが好ましい。
なお、筍繊維は、必要に応じて煮沸したり薬剤を添加したりして、柔軟性を付与する処理を行ってもよい。
また、筍繊維12を製造するための原料11となる乾燥させた筍の皮の水分は5質量%以上15質量%以下の範囲である。
水分量が5質量%未満の場合、水分量が少なくなり過ぎて繊維が折れ易くなり、マットの充填材として使用する際に、マットとして必要な弾力性を有することができない恐れがある。一方、水分量が15質量%を超える場合、水分量が多くなり過ぎてじめじめし、衛生上好ましくない。
従って、筍の皮の水分量の下限値を7質量%、更には10質量%とし、上限値を13質量%、更には12質量%とすることが好ましい。
なお、この水分量は、筍繊維を大気中に放置した際に、大気中に存在する水分をある程度吸収することにより維持できる。
このような筍繊維12が、充填材に10質量%以上含まれている。
充填材に含まれる筍繊維量が10質量%未満の場合、筍繊維が少なくなり過ぎ、抗菌力が低下すると共に、充填材として布地製袋体内に入れる際に、筍繊維の存在領域に偏りが生じ易くなり、抗菌力の発揮場所に偏りが生じる恐れがある。従って、充填材に含まれる筍繊維量を、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上とし、場合によっては全部が筍繊維であってもよい。
このように、充填材の全てが筍繊維であってもよいため、上限値については規定していないが、例えば、筍繊維の製造量(製造速度)、及び使用する筍の皮の回収量を考慮すれば、充填材に含まれる筍繊維量の上限値を、80質量%、更には70質量%とすることが好ましい。
また、充填材は更に、筍の皮の原料11をそのまま、又は適当な大きさに切断した抗菌性を有する筍皮片を含んでもよい。この筍皮片についても、原料を筍の皮としているため、前記したように、筍繊維と同様、抗菌力を有している。これにより、例えば、マットに付与する抗菌力を筍皮片で更に高めることもできる。
そして、充填材は更に、筍繊維以外の繊維を含んでもよい。この繊維には、天然繊維と化学繊維があり、天然繊維は、植物性繊維と動物性繊維に分類され、化学繊維は、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、及び無機質繊維に分類される。
植物性繊維とは、植物の細胞膜(セルロース)からできている繊維であり、例えば、綿と麻がある。この綿は、丈夫であり、吸湿性があり、洗濯性が良く、熱に強いという特徴を有しており、麻は、吸湿性があり、光沢が良く、涼感があり、肌触りが良いという特徴を有している。
動物性繊維とは、動物の毛等の蛋白質でできている繊維であり、羊毛を代表とする獣毛繊維と蚕の絹繊維とに分けられる。この毛は、弾力性を有してかさ高性があり、皺になりくい特徴を有している。
再生繊維とは、天然のセルロース(木材又はパルプ)を溶かして、細長く繊維のような形に再生した化学繊維であり、例えば、レーヨン又はキュプラがある。このレーヨンは、吸湿性が良く、発色光沢性があるという特徴を有している。
半合成繊維とは、天然のセルロースに酢酸を化学作用させて造られる繊維であり、例えば、アセテートがある。このアセテートは、軽くて弾力性があり、皺になりくいという特徴を有している。
合成繊維とは、天然繊維を使用することなく、科学的に合成して造られた繊維であり、例えば、アクリル、ポリエステル、ポリアミド系繊維、ビニロン、又はポリウレタンがある。このアクリルは、軽くてかさ高性があり、発色性がよく、耐光堅牢度に優れており、ポリエステルは、強く腰があり、型崩れしにくく熱可塑性があり、ポリアミド系繊維は、強くて軽く、伸びと弾力性に優れて染め易く、ビニロンは、摩擦に強く、耐光堅牢度と耐薬品性に優れており、ポリウレタンは、弾力性と伸縮性が大きいという特徴をそれぞれ有している。
無機質繊維とは、無機化合物でできている繊維であり、例えば、ステンレス又は銅のような金属糸、またポリエステルに金又は銀を真空蒸着させた金糸又は銀糸のようなラメ糸がある。
以上に示した天然繊維及び化学繊維のいずれか1又は2を充填材に使用できるが、特に、これらの繊維の中で弾力性を有するものを使用することが好ましい。
なお、充填材には、更に抗菌剤を添加してもよい。
この抗菌剤としては、例えば、銅化合物(塩化銅、硝酸銅)、銀化合物(塩化銀、硝酸銀)、錫化合物、亜鉛化合物、チアベンダゾール、プリベントール、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム、アンバム、及びストレプトマイシンのいずれか1又は2以上を使用できるが、天然由来物を使用することが好ましい。この天然由来物としては、例えば、キトサン、ヒノキチオール、わさびエキス、辛子エキス、及び木酢のいずれか1又は2以上の分離精製品又は分離精製前の中間粗材料があり、また、生姜、紫蘇、ドクダミ、黄連、及びキハダのいずれか1又は2以上の天然物そのものの微小断片、又は乾燥粉砕物がある。
以上に示した充填材を、布地製袋体内に入れてマット10を製造する。
また、図2(A)、(B)に示すように、マット13は、筍繊維12を板状に成形して製造した繊維板14を、充填材として使用したものでもよい。
この場合、まず筍繊維12に熱硬化性の合成樹脂接着剤(接着剤の一例)を添加する。この接着剤は、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、及び尿素樹脂のいずれか1又は2以上であり、筍繊維12に対して5質量%以上13質量%以下の範囲で添加する。ここでは、例えばドライヤーを使用して、接着剤の水分を適度に飛ばし、接着剤が添加された筍繊維12の含水率を10質量%以下程度まで低減するとよい。
この含水率が調整された筍繊維12を、金網又は気流で繊維の粒度別に分級する乾式抄造機を使用し、均一に飛散させてマット状に形成する。
次に、平坦な熱盤を使用し、130℃以上160℃以下の温度範囲内で、1MPa以上3MPa以下(10kg/cm2以上30kg/cm2以下)程度の圧力をかけて熱圧成形する。これにより、厚みが例えば、10mm以上30mm以下程度のMDF(中比重繊維板)に類似する弾力性を備えた繊維板14を製造できる。
なお、繊維板は、1枚で構成できるが、例えば、マット13の長手方向及び幅方向のいずれか1又は2で、複数に分割(例えば2分割)してもよい。これにより、マットが折り曲げ可能になる。
この繊維板14を布地製袋体15内に入れ、その上(使用者が接触する側)に、他の充填材16として、前記した筍繊維12、筍皮片、筍繊維以外の天然繊維、及び化学繊維のいずれか1又は2以上、更にはスポンジを入れ、マット13を製造できるが、繊維板14のみでもよい。
また、筍繊維12を、例えば、一辺が0.5cm以上3cm以下(好ましくは、0.5cm以上2cm以下)の立方体又は直方体に成形したり、最大幅が0.5cm以上3cm以下(好ましくは、0.5cm以上2cm以下)の球形又は卵形に成形してもよい。
この場合、この成形体がマット内に分散されるように、その周囲に、前記した筍繊維12、筍皮片、筍繊維以外の天然繊維、及び化学繊維のいずれか1又は2以上、更にはスポンジを入れて、マットを製造する。
以上の方法で製造したマットは、そのまま部屋の床面に配置したり、またベッド上に載置することもできる。そして、使用者は、マット上にそのまま寝たり、また横たわったりしてもよいが、マットの上にシーツを被せたり、またマットを袋状シーツで包んだり、更にマットの上にふとんを敷いたりして使用してもよい。
これにより、抗菌性を有するマットを、資源の有効利用を図りながら、経済的に製造できる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の筍の皮を用いた抗菌性マットを構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
本発明の一実施の形態に係る筍の皮を用いた抗菌性マットの製造方法の説明図である。 (A)は変形例に係る筍の皮を用いた抗菌性マットの斜視図、(B)は(A)のX−X矢視断面図である。
符号の説明
10:抗菌性マット、11:原料、12:筍繊維、13:マット、14:繊維板、15:布地製袋体、16:他の充填材

Claims (6)

  1. 通気性を有する布地製袋体と、該布地製袋体内に入れる充填材とを有するマットであって、
    前記充填材は、洗浄して乾燥させた筍の皮を原料とし、該原料から得た抗菌性を有する筍繊維を10質量%以上含むことを特徴とする筍の皮を用いた抗菌性マット。
  2. 請求項1記載の筍の皮を用いた抗菌性マットにおいて、前記乾燥させた筍の皮の水分は、5質量%以上15質量%以下の範囲であることを特徴とする筍の皮を用いた抗菌性マット。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の筍の皮を用いた抗菌性マットにおいて、前記充填材は更に、前記原料から得た抗菌性を有する筍皮片を含むことを特徴とする筍の皮を用いた抗菌性マット。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の筍の皮を用いた抗菌性マットにおいて、前記筍繊維の最大幅は、0.1mm以上2mm以下の範囲であることを特徴とする筍の皮を用いた抗菌性マット。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の筍の皮を用いた抗菌性マットにおいて、前記充填材は更に、弾力性を有する天然繊維及び化学繊維のいずれか1又は2を含むことを特徴とする筍の皮を用いた抗菌性マット。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の筍の皮を用いた抗菌性マットにおいて、前記筍繊維は、乾燥させた前記筍の皮を解繊して形成することを特徴とする筍の皮を用いた抗菌性マット。
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