JP2007195762A - 椅子及びその背もたれに使用するバックシート - Google Patents
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Abstract
【課題】背もたれを前後開口のバックフレームにメッシュ状のバックシートを取り付けた構造にした椅子において、異音の発生と肌触りの向上とを図る。
【解決手段】バックシートはバックフレームに上方から被さるように袋状に形成されており、前面部と背面部とを有している。そして、バックシートは、多数本の単位フィラメントの束である主糸14,15を素材とした縦編みした構造を基本構造であり、これに上下長手の強弾性糸19を編み込んでいる。そして、主糸14,15の全体の太さは約300デニールで、単位フィラメントの太さは70〜80デニール程度のものを使用している。単位フィラメントが細いためバックシート8の柔軟性が向上している。このため、人が背もたれにもたれかかったロッキング時に、前面部8aと背面部8bとが接触して擦れても異音は発生しない。
【選択図】図4
【解決手段】バックシートはバックフレームに上方から被さるように袋状に形成されており、前面部と背面部とを有している。そして、バックシートは、多数本の単位フィラメントの束である主糸14,15を素材とした縦編みした構造を基本構造であり、これに上下長手の強弾性糸19を編み込んでいる。そして、主糸14,15の全体の太さは約300デニールで、単位フィラメントの太さは70〜80デニール程度のものを使用している。単位フィラメントが細いためバックシート8の柔軟性が向上している。このため、人が背もたれにもたれかかったロッキング時に、前面部8aと背面部8bとが接触して擦れても異音は発生しない。
【選択図】図4
Description
本願発明は、背もたれを備えた椅子及びこれに使用するバックシートに関するものである。
椅子の座や背もたれには様々の構造が採用されているが、近年、座又は背もたれを、フレームにメッシュ状のサポートシートを張ったものが出回っている。このタイプの椅子は一般にネット椅子と称されており、通気性やクッション性に優れている利点がある。
座又は背もたれのフレームにサポートシートを取り付ける方法としては接着や押さえ部材による固定などが採用されているが、これらの構造は、作業性が悪いのみならず、身体の圧力によってサポートシートがフレームから外れる虞があるという問題がある。この点について本願出願人は、特許文献1において、シートを袋状に形成してこれをフレームに被せたものを開示した。この先願によると、サポートシートの取り付けを簡単に行えるのみならず、身体の圧力に対する支持強度も向上できる等の利点がある。
特願2004−315439号
ところで、例えば背もたれのサポートシート(すなわちバックシート)を袋状に形成すると、当然ながらバックシートは前面部と背面部とを備えることになるが、着座した人が背もたれにもたれかかったときにバックシートの前面部と背面部とが擦れ合って音(異音)が発生することがあった。また、バックシートの素材としては縦糸と横糸を有する織地を使用することが多いが、従来のバックシート或いは肌触りが悪い場合があった。
本願発明は、これらの問題を解消することを課題とするものである。
請求項1の発明は、背もたれを、前後に開口したバックフレームとこれに取り付けた可撓性素材性バックシートとが備えられた構成としており、前記バックシートは前面部と背面部とを備えていてそれら前面部と背面部との間は空間になっており、かつ、バックシートは、多数本の単位フィラメントから成る複合糸のみ又はこの複合糸と強弾性糸とを素材として編まれた編地から成っている椅子において、前記バックシートに使用する複合糸の全体の太さが200〜400デニールであり、複合糸を構成する単位フィラメントの太さは100デニール以下になっている。
請求項2の発明は、請求項1において、前記バックシートは、前記複合糸及び強弾性糸を素材とした縦編み法によって筒状に編成されていると共に上端部は封止されており、バックシートを構成する前記複合糸は、多数本の単位フィラメントが束ねられた中間糸の複数本からなっており、複合糸の太さは約280〜320デニールで単位フィラメントの太さは約70〜80デニールであり、かつ、前記強弾性糸の太さは複合糸の太さと略同じに設定されている。
請求項3は、椅子の背もたれを構成するバックフレームに上方から被さるように下向き開口の袋状(本請求項では、筒状も含む概念である)に形成されたバックシートに係るもので、このバックシート、多数の単位フィラメントから成る複合糸と強弾性糸とを素材として縦編み法によって袋状又は筒状に形成されており、かつ、前記複合糸の太さは約280〜300デニールで単位フィラメントの太さは約70〜80デニールになっている。
本願発明によると、バックシートを構成する複合糸は適度の太さをもっていることによって人の身体を支持するに十分な強度を確保でき、かつ、複合糸を構成する単位フィラメントが100デニール以下と従来よりも細いため、身体に対する当たりが柔らかくて、触感を格段に向上することができる。
ところで、編地はその性質上、細かいピッチ(一般に数ミリのピッチ)で凹凸ができ、かつ、凹凸の高さ(或いは深さ)は素材になる糸が硬いほど大きくなる(糸を互いに絡ませるに際して曲がりにくくなるためである)。そして、編地からなるバックシートを袋状に形成するなどして前面部と背面部とを備えている場合において、前面部と背面部とが擦れて音が発生するメカニズムを本願発明者が研究したところ、前面部の凹凸と背面部の凹凸が引っ掛かりながらずれることで音が発生することが解明された。
そして本願発明のように構成すると、複合糸が全体として従来よりも柔らかいことにより、編み機で編み加工するに際して凹凸の高さを従来よりも浅くすることができ、このことと、バックシートの面が柔らかくてそもそも音が発生しにくいこととが相まって、バックシートの前面部と背面部とがこすれても異音が発生することは全く又は殆どなく、このため、使用者に快適なロッキング状態を提供することができる。
特に、請求項2,3のように、複合糸の太さを280〜320デニールで単位フィラメントの太さを70〜80デニールに設定すると、強度と柔らかさとのバランスが取れて特に好適であった。また、請求項2,3のようにバックシートを袋状(筒状)に形成すると、バックフレームへの取り付けが容易であるという先願の効果を保持しつつ、上記した異音の発生や肌触りを改善できる。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(1).椅子の概略
図1は椅子の正面図、図2は椅子の側面図である。これらの図から理解できるように、本実施形態は事務用に多用される回転椅子に適用しており、椅子は、ガスシリンダ(脚支柱)2を有する脚1と、脚支柱2の上端に固定したベース3と、ベース3と、ベース3で支持された座4と、ベース3に後傾動可能に取り付けた背受け部材5に取り付けられた背もたれ6とを備えている。
図1は椅子の正面図、図2は椅子の側面図である。これらの図から理解できるように、本実施形態は事務用に多用される回転椅子に適用しており、椅子は、ガスシリンダ(脚支柱)2を有する脚1と、脚支柱2の上端に固定したベース3と、ベース3と、ベース3で支持された座4と、ベース3に後傾動可能に取り付けた背受け部材5に取り付けられた背もたれ6とを備えている。
背もたれ6は、水平状のアッパー部と縦長の左右サイド部とを有して正面視で下向き開口コ字状状にバックフレーム7と、これに上方から被さった下向き開口のバックシート8とを備えている。図3のうち(A)は組み立てた状態での背もたれ6の縦断側面図、(B)は分離した状態での縦断側面図であり、バックシート8は袋状であることから前面部8aと背面部8bを備えており、前面部8aと背面部8bとの下端に設けた板材9を重ねて背受け部材5にボルト10及びナット11で重ね固定している(勿論、他の方法で取り付けても良い)。なお、バックシート8の内部にはランバーサポート12が配置されている。
バックシート8の製造手順としては、まず、前面部8aと背面部8bとをその両端部において連結した状態の筒状の中間体が編成され、次いで、中間体の開口部の上端を縫着して封止することで袋状に形成される。以下、図4以下の図面を参照してバックシート8について説明する。
(2).バックシートの構造
図4は編み構造の概略を示す図、図5のうち(A)はバックシート8の断面を示す図、(B)(C)(D)は素材の延び方向を示す概略図、図6は素材の絡みの状態の一例を示す概略図、図7は素材糸の斜視図である。
図4は編み構造の概略を示す図、図5のうち(A)はバックシート8の断面を示す図、(B)(C)(D)は素材の延び方向を示す概略図、図6は素材の絡みの状態の一例を示す概略図、図7は素材糸の斜視図である。
図4に大雑把に示すように、バックシート8は、上下方向(編成用ドラムの軸方向)に延びる糸の群を縦編(及び交編)することで製造されており、基本的には、それぞれ3本ずつの第1主糸14と第2主糸15がジグザグ状に延びながら互いに絡み合うことで、上下長手の開き目部16を隔てて多数の高密度ランド部17が上下左右に整列して並んだパターンが形成されている。つまり、第1主糸14、第2主糸15でバックシート8の基本構成が形成されている。
前面部8aと背面部8bとは耳部において耳糸18で連結されており、前面部8a及び背面部8bとも、耳糸18に近い端部ではランド部は主糸14,15の本数が多くなっている。そして、3本ずつの主糸14,15からなる基本パターン部分の両端に位置した状態で、高い弾性を有する強弾性糸19が上下方向に延びており、また、前面部8a及び背面部8bの左右端部を構成する広幅のランド部17′にも、複数本の強弾性糸19が配置されている。
言うまでもないが、耳糸18及び強弾性糸19は主糸14,15に絡まっている。また、ランド部17,17′において絡みの密度は高くなっている。また、第1主糸14と第2主糸15とは、上下に隣り合ったランド部17,17′の境界部においても絡み合っている。便宜的に、ランド部17,17′における主糸14,15の絡み部を第1絡み部21、境界部の箇所での主糸14,15の絡み部を第2絡み部22、強弾性糸19と主糸14,15との絡み部を第3絡み部23、耳糸18と主糸14,15との絡み部を第4絡み部24と称する。なお、図では、作図上の便宜のため第2絡み部22は境界部の下部又は上部にずれた状態に表示しているが、実際には境界部の上下中間部に位置している。
編地の特性として、上下に隣り合ったランド部17,17′は、バックシート8の面と直交した方向(編成用ドラムの半径方向)に交互にずれている。すなわち、表面側に突出した山と裏側に凹んだ谷とが交互に連続しており、図5(A)に示すような凹凸の断面形状になっている。この場合、前面部8aと背面部8bとで凹凸が略対称状になっており、かつ、前面部8aの凹凸と背面部8bの凹凸とは僅かの寸法だけ上下にずれている。
前面部8aと背面部8bとで凹凸が上下にずれているののは、耳糸18を前面部8aの主糸14,15と背面部8bの主糸14,15とに交互に絡ませるためである(前面部8aと背面部8bとを同じ箇所で耳糸18に絡ませるとその部分が厚くなって体裁や手触りが悪くなる)。
図6では、各絡み部21〜24における糸同士の絡みの例を模式的に示している。この例では、主糸14,15はその一部をループ状にひねった状態にしている。強弾性糸19は直線状に延びているが、これは、人の体圧によって強弾性糸19にテンションを利かせるためである(ジグザグ状であるとテンションが掛かる前に糸が伸びてしまう)。また、図6(C)では強弾性糸19は1本の主糸14,15に絡まった状態を示しているが、殆どの箇所では、2本の主糸14,15が絡まった部分に強弾性糸19が通っている(絡まっている)。言うまでもないが、糸同士の絡みの具体例はこれに限るものではなく、様々の編み方を採用できる(例えばメリヤス編みなども採用できる)。
図7では糸の具体的な構造を示している。(A)は主糸14,15及び耳糸18の構造を示しており、(B)では強弾性糸19の構造を示している。主糸14,15及び耳糸18は、多数本の単位フィラメント25を束ねた中間糸26の複数本を束ねることで複合糸に形成されている(中間糸26も複合糸である)。なお、複合糸は生糸(なまいと)と呼ばれることもある。
中間糸26及び主糸14,15とも、バラけることを防止する手段としては、仮縒りしたり、ごく緩いリードで縒ったり、或いは樹脂等の接着材で飛び飛びに接着したりしてもよい。
中間糸26を緩いピッチで編む(例えば4本の場合は4つ編みする)ことも可能である。強弾性糸19は樹脂のモノフィラメンを採用している。なお、強弾性糸19は中空状のものを採用してもよいし、複数本からなっていてもよい。
主糸14,15、耳糸18及び強弾性糸19の材料としては、例えばポリエステルが挙げられるが、勿論、他の化学繊維又は天然繊維も採用できる。
本実施形態では、主糸14,15及び耳糸18については、単位フィラメント25として75デニールのものを使用し、36本の単位フィラメント25で1本の中間糸26を形成し、この中間糸4本で300デニールの主糸14,15,耳糸18を形成した。これにより、強度を保持しつつ格段に柔らかくなり、その結果、良好な肌触りを得ることができるともに、編地の凹凸の高さを低くして擦れ音の発生を防止できた。強弾性糸19も主糸14,15,耳糸18と同じ太さになっている(編地の厚さを一定にするためである。)。
単位フィラメント25が細くなるほど柔らかさは増すが、強度が低下する。従って、強度と柔らかさとのバランスの点からは、50〜100程度が好適であり、特に、70±10デニール程度が特に好適である。また、主糸14,15及び強弾性糸19の太さも、一般成人用椅子の場合、強度や質感の点から、200〜400デニールが好適であり、特に、300±30デニール程度が好適であると言える。
なお、本実施形態のように、縦編み法で編地を袋状(筒状)に編成すると、縫着の手間を無くすことができる利点がある。また、本実施形態のように、多数の絡み部を有するランド部を一単位としたメッシュ状に形成すると、人の身体への当たりの柔らかさを保持しつつ、伸び(開き目が広がることによる主として左右方向の伸び)を確保できて、特に好適である。
(3).その他
ところで、椅子における座又は背もたれのメッシュ状サポートシート(身体の圧力を受ける強度メンバーとしてのシート)は、従来、織地を使用することが多かったが、織地はゴワゴワした感じがして肌触りが必ずしも良くない場合や、伸び率が弱くてクッション性を向上し難い場合があった。本実施形態の編地は、このような問題点の改善も課題としており、サポートシートを、多数の開き目によってランド部が縦横に整列して配置された編地を基本として、複合糸を請求項に記載したような太さとして採用すると、肌触りやクッション性を向上できる利点がある。
ところで、椅子における座又は背もたれのメッシュ状サポートシート(身体の圧力を受ける強度メンバーとしてのシート)は、従来、織地を使用することが多かったが、織地はゴワゴワした感じがして肌触りが必ずしも良くない場合や、伸び率が弱くてクッション性を向上し難い場合があった。本実施形態の編地は、このような問題点の改善も課題としており、サポートシートを、多数の開き目によってランド部が縦横に整列して配置された編地を基本として、複合糸を請求項に記載したような太さとして採用すると、肌触りやクッション性を向上できる利点がある。
従って、本明細書及び図面で開示した編地は椅子の座(敷衍すると身体支持装置)のサポートシートに適用することも可能であり、その場合、袋状でなくても良いことは言うまでもない。また、編み方は必ずしも縦編みである必要はなく、横編み等の他の編み方であっても良い。更に、サポートシートが取り付くフレームは開口している必要はなく、例えば背もたれ用である場合は前向きに凹のシェル状であっても良い(サポートシートの伸び変形が許容されたら良い)。
6 背もたれ
7 バックフレーム
8 バックシート
8a 前面部
8b 背面部
14,15 複合糸からなる主糸
16 開き目
17,17′ ランド部
18 耳糸
19 強弾性糸
21〜24 絡み部
25 単位フィラメント
26 中間糸
7 バックフレーム
8 バックシート
8a 前面部
8b 背面部
14,15 複合糸からなる主糸
16 開き目
17,17′ ランド部
18 耳糸
19 強弾性糸
21〜24 絡み部
25 単位フィラメント
26 中間糸
Claims (3)
- 背もたれを、前後に開口したバックフレームとこれに取り付けた可撓性素材性バックシートとが備えられた構成としており、前記バックシートは前面部と背面部とを備えてそれら前面部と背面部との間は空間になっており、かつ、バックシートは、多数本の単位フィラメントから成る複合糸のみ又はこの複合糸と強弾性糸とを素材として編まれた編地から成っている椅子であって、
前記バックシートに使用する複合糸の全体の太さが200〜400デニールであり、複合糸を構成する単位フィラメントの太さは100デニール以下になっている、
椅子。 - 前記バックシートは、前記複合糸及び強弾性糸を素材とした縦編み法によって筒状に編成されていると共に上端部は封止されており、バックシートを構成する前記複合糸は、多数本の単位フィラメントが束ねられた中間糸の複数本からなっており、複合糸の太さは約280〜320デニールで単位フィラメントの太さは約70〜80デニールであり、かつ、前記強弾性糸の太さは複合糸の太さと略同じに設定されている、
請求項1に記載した椅子。 - 椅子の背もたれを構成するバックフレームに上方から被さるように下向き開口の袋状に形成されたバックシートであって、多数の単位フィラメントから成る複合糸と強弾性糸とを素材として縦編み法によって袋状又は筒状に形成されており、かつ、前記複合糸の太さは約280〜320デニールで単位フィラメントの太さは約70〜80デニールになっている、
椅子の背もたれ用のバックシート。
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JP2006018379A JP2007195762A (ja) | 2006-01-27 | 2006-01-27 | 椅子及びその背もたれに使用するバックシート |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP5675946B1 (ja) * | 2013-12-26 | 2015-02-25 | 株式会社テイク・ビー | 椅子 |
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2006
- 2006-01-27 JP JP2006018379A patent/JP2007195762A/ja active Pending
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